JP4088561B2 - フリップチップ実装用基板 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はフリップチップ実装用基板に関し、より詳細には半導体素子に設けられた金属バンプと接合される接続パッドを備えたフリップチップ実装用基板に関する。
【0002】
【従来の技術】
図5は接続電極である金属バンプとして金バンプ12を備えた半導体素子10を、フリップチップ接続用の接続パッド22が形成された実装基板20に実装する状態を示す説明図である。金バンプ12と接続パッド22との接合は金−はんだ接合によるものであり、接続パッド22の表面にはあらかじめはんだ23が付着されている。半導体素子10の金バンプ12と実装基板20の接続パッド22とを位置合わせし、加熱環境下で半導体素子10を実装基板20に加圧しながらはんだ23を溶融し、金バンプ12と接続パッド22とを接合することによって半導体素子10が実装される。
【0003】
ところで、フリップチップ実装される半導体素子10には、金属バンプの配置ピッチが100μm以下といったきわめて狭ピッチに形成される製品があり、このような半導体素子10を搭載する実装基板20では、金属バンプの配置ピッチに合わせて、接続パッド22が100μm以下のきわめて狭ピッチに形成される。このように接続パッド22の配置ピッチが狭くなると、接続パッド22に供給したはんだによって隣接する接続パッド22が短絡しやすくなるため、接続パッド22に供給するはんだの量を制限せざるを得なくなる。その結果、接続パッド22に付着するはんだの量が減って、金属バンプと接続パッド22との接合が不確実になるという問題が生じる。
【0004】
図6は、このような問題を回避するために、実装基板20の実装面に金バンプ12の配置ピッチに合わせて接続パッド22と引き出し線24からなる細長の導体パターン25を形成し、接続パッド22を導体パターン25の長手方向の中央部に配置するとともに、接続パッド22を引き出し線24よりも幅広に形成した従来例である(たとえば、特許文献1参照)。この方法によれば、接続パッド22と引き出し線24にはんだを供給して溶融させた際に、はんだの表面張力によって、幅広の接続パッド22の表面に厚くはんだを集めることができ、接続パッド22の表面に融着するはんだ23の量を確保することができる。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−77471号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、導体パターン25を細長く形成して幅広の接続パッド22を形成する方法は、導体パターン25の配置ピッチが比較的広い場合には、導体パターン25の配置にも余裕があり、接続パッド22の形状等を所要の幅寸法等に形成することが可能であるが、導体パターン25の配置ピッチが狭くなってくると、導体パターン25の設計条件が厳しくなり、接続パッド22を十分に幅広に形成することができなくなるという問題がある。
【0007】
とくに、導体パターン25の配置ピッチが100μm以下といったようにきわめて狭くなると、エッチング等によって導体パターン25を精度よく形成するための加工条件が厳しくなるから、設計通りに導体パターン25を仕上げることが困難になり、図7に示すように、導体パターン25を形成した際に、接続パッド22の角部がダレたりするといったことがおきる。このように接続パッド22が所定形状に仕上がらない場合には、接続パッド22が所要のはんだを融着するに十分な面積を確保することができなくなるといった問題が生じる。
【0008】
そこで、本発明はこれらの課題を解決すべくなされたものであり、その目的とするところは、フリップチップ実装に使用される実装用基板に設けられる接続パッドの配置ピッチが100μm以下といったようにきわめて狭くなった場合であっても、接続パッドを所定の形状に形成することを可能とし、接続パッドに付着されるはんだの量を確保して、半導体素子を確実に実装することができるフリップチップ実装用基板を提供するにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は次の構成を備える。
すなわち、接続電極として金属バンプを備える半導体素子をフリップチップ実装するフリップチップ実装用基板において、前記半導体素子を実装する実装面に、前記金属バンプの配置ピッチと一致する配置ピッチで、前記金属バンプが接合される接続パッドと該接続パッドに接続して設けられた引き出し線とからなる導体パターンが複数個配列されるとともに、前記各々の導体パターンの長手方向中央部に形成される接続パッドが、各々の導体パターンの一方の側縁から導体パターンの一方の側にのみ接続パッドの側縁を延出させて設けられていることを特徴とする。
【0010】
また、前記金属バンプの配置ピッチが100μm以下に設定されているフリップチップ実装用基板、また、前記導体パターンに供給したはんだが溶融され、接続パッドを含む導体パターンの表面にはんだが融着されているフリップチップ実装用基板が、接合電極として金属バンプを備えた半導体素子をフリップチップ実装する実装基板として好適に用いられる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態について添付図面と共に詳細に説明する。
本実施形態のフリップチップ実装用基板は、図5に示すような、金属バンプとして金バンプ12を備えた半導体素子10をフリップチップ実装する実装基板20であり、実装基板20の実装面に形成する導体パターン30の形状を特徴とするものである。
図1に本実施形態のフリップチップ実装用基板に設ける導体パターン30の平面形状を示す。導体パターン30は半導体素子10に形成されている金バンプ12の配置ピッチに一致する配置で、長手方向を互いに平行にして多数個配列されている。導体パターン30の長手方向の中央部には接続パッド32が形成され、接続パッド32に引き出し線34が接続されていることは、図6に示す従来のフリップチップ実装基板における導体パターン25の形態と同様である。
【0012】
本実施形態のフリップチップ実装用基板において特徴的な構成は、従来の実装用基板においては、図6に示すように、導体パターン25の長手方向の中央部で、導体パターン25の両側縁から接続パッド22の側縁を延出させることによって、引き出し線24の線幅よりも幅広に接続パッド22を形成しているのに対して、本実施形態の実装用基板では、導体パターン30の一方の側縁のみから導体パターン30の一方の側に向けて接続パッド32の側縁を延出させるようにした点にある。すなわち、従来の実装用基板においては導体パターン25の中心線に対して対称に接続パッド22を形成しているのに対して、本実施形態の実装用基板においては、導体パターン30の片側のみから接続パッド32の側縁を延出させるようにしている。
なお、本実施形態において、各導体パターン30に形成している接続パッド32は、各々の導体パターン30の一方の側縁から接続パッド32の側縁を延出させ、すべて同じ向きに接続パッド32が張り出すように設計している。
【0013】
図2(a)、(b)に、本実施形態の実装用基板と従来の実装用基板に設けられている接続パッド22、32の平面形状を拡大して示す。W1が接続パッド32、22の幅、W2が引き出し線34、24の幅を示す。また、ΔWが接続パッドの幅寸法W1と引き出し線の幅寸法W2との差(ΔW=W1−W2)である。
図のように、本実施形態の実装用基板に設けられる接続パッド32の幅W1と、従来の実装用基板に設けられている接続パッド22の幅W1とは同一であり、接続パッド32、22の長さも同一である。すなわち、接続パッド32、22は本実施形態、および従来例ともに平面形状が矩形であり、面積が等しく形成されている。
また、導体パターン30、25に形成される引き出し線34、24の線幅W2も、本実施形態と従来例とで同一である。
【0014】
このように実装用基板に形成される導体パターン30、25についてその設計上の条件でみる限り、本実施形態と従来の実装用基板とで接続パッド32、22にはんだを厚く集める作用についての作用上の相違はない。すなわち、図1に示す導体パターン30の形態でも、図6に示す従来の導体パターン25の形態でも、設計通りに正確に導体パターン30、25が形成できる限り、接続パッド32、22にはんだ23を集める作用は同等である。
また、引き出し線34、24の線幅も本実施形態と従来例とでまったく同一の条件としているから、導体パターン30、25の配置ピッチについても本実施形態では従来例と同一の条件で設計することが可能である。
【0015】
図2において、本実施形態と従来例の導体パターン30、25の側縁から張り出す接続パッド32、22の張り出し部32a、22aの張り出し量についてみると、本実施形態では張り出し部32aの張り出し幅がΔWとなるのに対して、従来例では張り出し部22aの張り出し幅が導体パターン25の両側で各々ΔW/2となる。このように、導体パターン30、25の側縁から張り出す接続パッドの張り出し量が異なることは、実装用基板に導体パターン30、25を実際に形成する加工技術上においては重要な差となる。
【0016】
すなわち、実装用基板に導体パターン30、25を形成する際には、フォトリソグラフィー法等の導体パターンを形成するための公知の方法が利用される。導体パターン等を所定のパターンに形成する方法には種々の方法があるが、導体パターンが微細なパターンになればなるほど、導体パターンの線幅などの仕上がり精度のばらつきが大きくなる。
図3は、本実施形態の方法(導体パターンの片側に接続パッドの側縁が延出する)と従来方法(導体パターンの両側に接続パッドの側縁が延出する)で実際に実装用基板に導体パターン30、25を形成し、導体パターン30、25に形成された接続パッド32、22の張り出し量のばらつきを実測した結果を示すグラフである。
【0017】
この実験で実際に作成した実装用基板での導体パターンの設計条件は、導体パターン30、25の配置ピッチL1=65μm、接続パッド32、22の幅W1=35μm、引き出し線34、24の線幅W2=30μm、接続パッド32、22の側縁と隣接する導体パターン30、25の側縁との間隔L2=30μmである。
この条件の場合、本実施形態では、接続パッド32の張り出し部32aの張り出し幅(ΔW)は5μmであり、従来例での張り出し部22aの張り出し幅(ΔW/2)は2.5μmとなる。
【0018】
図3は、従来方法による場合は、接続パッド22の側縁位置が設計位置から大きくばらつくこと、これに対して、本実施形態の方法によると接続パッド32の側縁位置のばらつきがより小さく抑えられることを示している。
上記の実験条件のように、導体パターン30、25の配置ピッチが65μmといったきわめて狭ピッチにパターン形成するような場合には、加工技術上、設計寸法通りに導体パターンを仕上げることが困難であり、とくに従来例のように導体パターン25の両側に接続パッド22を張り出す設計の場合には、接続パッド22の張り出し量(2.5μm)がわずかであるために、導体パターン25をパターン形成する際の解像度が不十分であったりすると、設計通りのパターンに仕上げることが難しいといったことが生じる。
【0019】
これに対して、本実施形態の場合には、導体パターン30の側縁からの接続パッド32の張り出し量は5μmであり、従来方法にくらべて接続パッド32をパターン形成する際の困難度が緩和され、同一の加工精度を備えた加工装置を使用した場合であっても、従来方法による場合よりも精度よく導体パターン30を形成することが可能になる。
すなわち、図2(b)のような従来の導体パターン25の形態にパターン形成するためには、引き出し線24と接続パッド22との接続部における段差部分等を所定精度で仕上げることができる加工精度が求められるのに対して、図2(a)の本実施形態の導体パターン30の形態にパターン形成する場合には、引き出し線34と接続パッド32との接続部の段差部はより大きくなり、図2(b)のパターンを形成する場合にくらべて実質的により広幅のパターンを形成する条件となり、導体パターン30を形成するための加工精度が緩和されることになる。
【0020】
このように本実施形態のフリップチップ実装用基板は、接続パッド32を備える導体パターン30の形状を変更するという方法を採用するだけで、従来の加工装置では導体パターン25の配置ピッチがきわめて狭くなったような場合に、所定の精度に接続パッド22をパターン形成できなかったような場合でも、加工装置の加工精度を上げることなく、所要の精度で導体パターン30を形成することが可能となる。そして、導体パターン30を所要の精度で形成できることから、接続パッド32に所要量のはんだを融着させることができ、半導体素子を確実にフリップチップ実装することができる実装用基板として提供することが可能となる。
【0021】
図4は、実装用基板の表面に、本実施形態の方法と従来方法とによって、接続パッド32、22の幅が異なる導体パターンをいくつか形成し、導体パターン30、25の表面にはんだを供給した後、はんだを溶融して各々の導体パターン30、25について接続パッド32、22の表面に融着したはんだの厚さを測定した結果を示す。なお、導体パターン30、25は引き出し線の線幅を30μmとし、この引き出し線の側縁からの接続パッドの張り出し量を変えてサンプルとしたものである。
【0022】
図4で、横軸は接続パッドの幅W1と引き出し線の幅W2の差ΔWを示す。図4は、接続パッドと引き出し線の幅の差ΔWが5μmよりも大きい場合には、接続パッドの表面に融着されるはんだの厚さは本実施形態の方法と従来方法とで有意差はなく、接続パッドと引き出し線の幅の差ΔWが5μm以下になってくると、従来方法の場合には接続パッドに融着されるはんだの厚さが大きく減少することを示している。
この結果は、接続パッドと引き出し線の幅の差ΔWが5μmよりも大きい場合は、加工装置の加工精度が導体パターンを所定精度に仕上げるに十分な精度を有しており、導体パターンの形成精度に影響があらわれないようになっているのに対して、接続パッドと引き出し線の幅の差ΔWが5μmよりも小さくなると、加工装置の加工精度が導体パターンの形成精度に影響を及ぼすようになることを示している。
【0023】
したがって、本実施形態の方法による場合は、接続パッド32と引き出し線34の幅の差ΔWが5μmよりも小さくなる場合であっても所定の精度で導体パターン30を形成することができ、接続パッド32が所定形状に仕上げられることによって接続パッド32に所要の厚さにはんだ23を融着することが可能となる。すなわち、導体パターン30の配置ピッチがきわめて狭くなった場合でも、本実施形態のような導体パターン30の形状とすることで、接続パッド32を所要の精度で形成することができ、接続パッド32に所要の厚さではんだ23を融着することができることから、半導体素子を確実にフリップチップ実装することができる実装用基板として提供することが可能になる。
【0024】
なお、図4では、接続パッドと引き出し線の幅の差ΔWがある程度以上大きくなると、接続パッドに融着されるはんだの厚さが減少することを示す。接続パッドに融着されるはんだの厚さが厚くなるのは、はんだが溶融した際に、はんだの表面張力によって幅広に形成した接続パッドにはんだが集められる作用による。接続パッドの幅がある程度以上になると、はんだの厚さが減少するのは、接続パッドの面積が大きくなることによって、はんだを厚く形成する範囲が広がり、導体パターンへのはんだの供給量が増加する増加分によってはんだの厚さを厚く維持することができなくなるためである。
【0025】
【発明の効果】
本発明に係るフリップチップ実装用基板によれば、上述したように、半導体素子を接合する接続パッドを含む導体パターンの配置ピッチがきわめて狭くなった場合でも、実装用基板に所定の精度で接続パッドを含む導体パターンを形成することができ、接続パッドに所要の厚さにはんだを融着することが可能となることから、金属バンプを備えた半導体素子を確実にフリップチップ実装することができる実装用基板として提供することができる等の著効を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るフリップチップ実装用基板の実装面に形成される導体パターンの平面形状を示す説明図である。
【図2】本実施形態と従来例での導体パターンの形状を拡大して示す説明図である。
【図3】導体パターンに形成される接続パッドの側縁位置のばらつきを測定した結果を示すグラフである。
【図4】接続パッドの表面に融着したはんだの厚さを測定した結果を示すグラフである。
【図5】半導体素子を実装用基板にフリップチップ実装する状態を示す説明図である。
【図6】従来のフリップチップ実装用基板の実装面に形成される導体パターンの平面形状を示す説明図である。
【図7】導体パターンを拡大して示す説明図である。
【符号の説明】
10 半導体素子
12 金バンプ
20 実装基板
22、32 接続パッド
22a、32a 張り出し部
23 はんだ
24、34 引き出し線
25、30 導体パターン
Claims (3)
- 接続電極として金属バンプを備える半導体素子をフリップチップ実装するフリップチップ実装用基板において、
前記半導体素子を実装する実装面に、前記金属バンプの配置ピッチと一致する配置ピッチで、前記金属バンプが接合される接続パッドと該接続パッドに接続して設けられた引き出し線とからなる導体パターンが複数個配列されるとともに、
前記各々の導体パターンの長手方向中央部に形成される接続パッドが、各々の導体パターンの一方の側縁から導体パターンの一方の側にのみ接続パッドの側縁を延出させて設けられていることを特徴とするフリップチップ実装用基板。 - 前記金属バンプの配置ピッチが100μm以下に設定されていることを特徴とする請求項1記載のフリップチップ実装用基板。
- 前記導体パターンに供給したはんだが溶融され、接続パッドを含む導体パターンの表面にはんだが融着されていることを特徴とする請求項1または2記載のフリップチップ実装用基板。
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