JP4087630B2 - 保持器付きころおよびこれを用いた減速装置 - Google Patents

保持器付きころおよびこれを用いた減速装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、一定のスペース内で大きな負荷容量を得る保持器付きころ、およびこれを用いた遊星歯車減速装置に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】
一定のスペース内で最大の負荷容量を得る軸受として総ころ形式があるが、取り扱い上の問題点、すなわち組立、分解時の取扱性の悪さがあり、また、使用中の、ころスキュによる機能的な問題が内在している。
これらの問題を解決するため、保持器付きころが種々提案されている。保持器は、ころを保持するため、外側へのころ抜け止めと、内側へのころ抜け止めを必要とする。
【0003】
図11に示した保持器は、その一例を示す。同図の保持器70は、断面M形をなし、ころピッチ円径PCDより小径の中央環状部71と、ころピッチ円径PCDより大径の外方環状部72と、外方環状部72から内径側に折曲された鍔部73,73からなっている。この保持器70は、ころ74の外方への抜け止めを外方環状部72で、また内方への抜け止めを中央環状部71によって行う。すなわち、それぞれ環状部71,72の円周等配位置に、ころ74を収容するポケット75を形成しているが、このポケット75に突出した係止片76の幅を、ころ74の外径よりも僅かに小さくしている。ころ74の装着は、内径側から、ポケット75の係止片76を弾性変形させて行う。
【0004】
一定スペース内(一定の内径、外径)で、保持器70に組み込むころ74の本数を増加させて行くと、図11(B)の柱幅寸法aが小さくなり、加工上の限界が出て来るだけでなく、保持器強度も低下する。そのため、同図の例のような保持器70とは基本的に異なった構成の保持器が求められる。
また、遊星歯車減速装置における遊星歯車とクランク軸間に介在させる保持器付きころでは、保持器の鍔部面積の要求がある。すなわち、クランク軸の隣接する偏心軸部に2枚の遊星歯車を並べて設置したものでは、これら偏心軸部の偏心回転に伴い、保持器の鍔部が、隣接する遊星歯車の幅面と慴接する。そのため、鍔部の面積がある程度なければ、隣接する遊星歯車の内径に干渉してしまう恐れがある。
【0005】
このような課題を解消するものとして、本出願人は、次のものを提案した(特開2000−179544)。これは、図12に示すように、外方部材83および内方部材84からなる保持器81と、ころ82とを備える。外方部材83は、ころ配列のピッチ円径PCDより大径の環状部83aと、この環状部83aの軸方向両端部を内径側に折曲した鍔部83bとを有する。内方部材84はころ配列のピッチ円径PCDより小径の環状に形成する。これら外方部材83の環状部83aおよび内方部材84の円周方向複数箇所にポケット85,86を設け、外,内の部材83,84のポケット85,86にわたってころ82を収容する。鍔付きとするのは、外,内のいずれの部材83,84であっても良い。
このように、保持器81を外方部材83と内方部材84の2部品で構成した場合、ポケット間の柱部87,88を狭く加工することができて、限られたスペース内で多くのころ82を収容することができる。また、片方の部材83を鍔付きとするため、隣接部品と摺接するような場合にも、支障が生じない。
【0006】
しかし、上記提案例のものは、組立性において課題があった。すなわち、この軸受の組立は、まず保持器81における鍔付き側の部材83のポケット85内にころ82を収容する。この後、ころ82の配列の内接円に沿って鍔なし側の部材84を弾性装着する(鍔なし側の部材が外方部材である場合は、外接円に沿って弾性装着する)。この弾性装着時に、鍔なし側の部材84が弾性変形し難く、工数がかかることが判った。特に、鍔なし側の部材84が金属製の場合は、寸法精度を厳しく管理しなければ、装着は難しい。
【0007】
この発明の目的は、組立性に優れ、また一定のスペース内で大きな負荷容量を得ることができ、ころ案内機能、強度面、精度面でも優れ、保持器が隣接部品と摺接する場合にも支障のない保持器付きころを提供することである。
この発明の他の目的は、遊星歯車とクランク軸間に介在させる保持器付きころが、隣接する遊星歯車の内径に干渉する問題がなく、また組立性に優れ、ころ案内機能、強度面、精度面でも優れ、かつ一定のスペース内で大きな負荷容量を得ることができて、装置全体のコンパクト化が図れる遊星歯車減速装置を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明における第1の発明の保持器付きころは、外方部材および内方部材からなる保持器とを備える。上記外方部材は、ころ配列のピッチ円径よりも大径の環状部と、この環状部の軸方向両端部から内径側に屈曲した鍔部とを有する。上記内方部材はころ配列のピッチ円径より小径の環状に形成する。上記外方部材の環状部および内方部材の円周方向複数箇所にポケットをそれぞれ設け、これら外方部材および内方部材のポケットにわたって上記ころを収容する。この構成の保持器付きころにおいて、上記内方部材が、上記ころの内接円径よりも小径に弾性変形させて縮径可能とされ、この内方部材は、弾性復元状態では、外方部材の鍔部の内径端面に弾性で押し付けられるものであり、上記内方部材のうち円周方向の1か所に、軸方向に延びるスリットが形成され、このスリットを介して対向する上記内方部材の円周方向の両端部が互いに径方向に係合可能な形状としてあり、この両端部の係合部分および被係合部分が、径方向に隙間を介して係合しない状態で嵌まりあい、上記内方部材の円周方向の両端部の径方向位置がずれると、上記係合部分および被係合部分が係合し合うことを特徴とする。
この構成によると、内方部材が、ころの内接円径よりも小径に縮径可能とされているため、組立時において、鍔付き側の部材である外方部材のポケットにころを収容した後、内方部材を装着するときに、内方部材を縮径状態としてころ配列の内径側から装着することができる。このため組立性に優れる。
上記内方部材の円周方向の両端部の断面形状により、スリットの形成部に隣接するころ等にラジアル方向の負荷が掛かって、内方部材を縮径させようとする力が生じた場合に、上記負荷に対して抵抗として作用し、内方部材の縮径が生じ難くなる。そのため、内方部材の全体の剛性を高める設計を採らなくても、内方部材の縮径によりころの脱落を防止でき、ころ脱落防止の機能が強化される。
上記内方部材の円周方向の両端部は、その断面形状がそれぞれV字状に突出する形状としたV字状の突出部分と、V溝状に凹んだ形状としたV溝状の凹み部分とを有するものとしても良い。
【0009】
また、保持器を外方部材および内方部材の2部品としたため、外側へのころ抜け止めと、内側へのころ抜け止めの機能を、外方部材および内方部材にそれぞれ分担させることができ、各部材の機能が簡略化される。このため、外方部材および内方部材の形状がシンプルとなり、製造が容易となって、ポケット間の柱部分をどこまで狭くできるかの加工限界を上げることが可能となる。これにより、一定スペースでころ本数をできるだけ増やすことができ、最大の負荷容量を有するものとできる。また、このように外方部材および内方部材の形状がシンプルとなることから、ころ案内機能も向上し、強度面、精度面でも優れたものとできる。特に、柱部幅寸法の確保の厳しい内方部材の柱部の強度が低下する場合は、内方部材の板厚を外方部材よりも厚くすることも可能で、最適設計の自由度が高くなる。
また、外方部材に鍔部を設けたたため、鍔部にある程度の面積が確保でき、そのため、保持器が遊星歯車支持用のクランク軸等に設置されて隣接部品と摺接するような場合でも、保持器が遊星歯車等の隣接部品の内径面に干渉する等の支障が無くなる。
【0010】
この発明における第2の発明の保持器付きころは、第1の発明とは、鍔付きとする部材を内外逆にしたものである。すなわち、この保持器付きころは、外方部材および内方部材からなる保持器と、ころとを備え、上記外方部材はころ配列のピッチ円径より大径の環状に形成し、内方部材は、ころ配列のピッチ円径よりも小径の環状部と、この環状部の軸方向両端部から外径側に屈曲した鍔部とを有し、上記外方部材および内方部材の環状部の円周方向複数箇所にポケットをそれぞれ設け、これら外方部材および内方部材のポケットにわたって上記ころを収容した保持器付きころにおいて、上記外方部材が、上記ころの外接円径よりも大径に弾性変形させて拡径可能とされていることを特徴とする。
この構成の場合、外方部材が、ころの外接円径よりも大径に拡径可能とされているため、組立時において、鍔付き側の部材である内方部材のポケットにころを収容した後、外方部材を装着するときに、外方部材を拡径状態としてころ配列の外径側から装着することができる。このため組立性に優れる。また、第1の発明の同様に、一定のスペース内で大きな負荷容量を得ることができ、ころ案内機能、強度面、精度面、ころ脱落防止の機能でも優れ、保持器が隣接部品と摺接する場合にも支障のないものとできる。
【0012】
この発明において、上記外方部材のポケット間の柱部における長さ方向の1か所または複数箇所を、内径側へ凹む溝形屈曲部に形成しても良い。
このように柱部に溝形屈曲部を形成すると、ころ径が大きい場合に外方部材の板厚が薄くても、ころが外方部材の柱部を変形させて柱部の内側へ潜り込むことが防止される。また、溝形屈曲部を設けることにより、柱部ところとの接触部における通油性が向上し、保持器内部への潤滑油の循環性が向上する。
【0013】
この発明の保持器付きころは、遊星歯車減速装置における遊星歯車とこの遊星歯車を支持するクランク軸との間に設置されるものとしても良い。
【0014】
この発明の遊星歯車減速装置は、内歯または外歯の太陽歯車と、この太陽歯車と同心に回転自在に設けられたキャリアと、このキャリアに回転自在に支持されて隣接する複数の偏心軸部を有するクランク軸と、このクランク軸の前記各偏心軸部に保持器付きころを介して設置されて前記太陽歯車に噛み合う複数の遊星歯車とを備えた遊星歯車減速装置において、上記保持器付きころに、この発明の上記いずれかの構成の保持器付きころを用いる。すなわち、保持器付きころは、外方部材および内方部材からなる保持器と、これら外方部材および内方部材の周方向複数箇所に設けられたポケットに収容されて上記遊星歯車およびクランク軸の間で転動する複数のころから構成する。上記外方部材および内方部材は、各々ころ配列のピッチ円径よりも大径の環状部および小径の環状部で構成され、これら外方部材および内方部材のうち一方の部材は、上記環状部の軸方向両端に他方の部材側へ径方向に延びる鍔部を有する。他方の部材は、内方部材である場合はころ配列の内接円径よりも小径に弾性変形させて縮径可能とされ、この内方部材は、弾性復元状態では、外方部材の鍔部の内径端面に弾性で押し付けられるものであり、上記内方部材のうち円周方向の1か所に、軸方向に延びるスリットが形成され、このスリットを介して対向する上記内方部材の円周方向の両端部が互いに径方向に係合可能な形状としてあり、この両端部の係合部分および被係合部分が、径方向に隙間を介して係合しない状態で嵌まりあい、上記内方部材の円周方向の両端部の径方向位置がずれると、上記係合部分および被係合部分が係合し合うように構成され、
上記他方の部材が外方部材である場合はころ配列の外接円径よりも大径に弾性変形させて拡径可能とされ、この外方部材は、弾性復元状態では、内方部材の鍔部の外径端面に弾性で押し付けられるものであり、上記外方部材の円周方向の1か所に、軸方向に延びるスリットが形成され、このスリットを介して対向する上記外方部材の円周方向の両端部が互いに径方向に係合可能な形状としてあり、この両端部の係合部分および被係合部分が、隙間を介して係合しない状態で嵌まりあい、上記外方部材のスリット近傍にラジアル方向の外向きの負荷がかかったとき、上記係合部分および被係合部分が係合し合うように構成される。
このようにクランク軸に遊星歯車を設置した遊星歯車減速装置は、遊星歯車とクランク軸の間に介在する保持器付きころが、隣接する遊星歯車の内径に干渉することを防止する必要がある。この防止機能を保持器の鍔部で得ることができる。また、このような遊星歯車減速装置において、遊星歯車の支持には大荷重が必要となり、またその支持部は限られたスペースとなるが、上記の外方部材および内方部材の2部材に分けた保持器によると、このような限られたスペース内でころ本数の増加やころ径増大を図ることができ、大きな負荷容量を得ることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
この発明の第1の参考提案例にかかる保持器付きころを、図1〜図3と共に説明する。この保持器付きころは、保持器1ところ2とからなり、保持器1は、外方部材3および内方部材4で構成される。外方部材3は、ころ配列のピッチ円PCDの径より大径の環状部3aと、この環状部3aの軸方向両端部から内径側に屈曲して延びる鍔部3bとを有する。内方部材4は、ころ配列のピッチ円PCDの径より小径の環状に形成する。これら外方部材3の環状部3aおよび内方部材4は、円筒状のものであり、円周方向複数箇所に等間隔でポケット5,6をそれぞれ設ける。これら外方部材3および内方部材4のポケット5,6にわたって上記のころ2を収容する。外方部材3および内方部材4の隣合うポケット5間およびポケット6間の部分は、それぞれ柱部7,8となる。
【0016】
鍔部付き側の部材である外方部材3は、図2に示すように、ポケット5の幅mが、ころ2の外径Daよりも僅かに小さく、ころ2が外方に脱落するのを防止する。鍔無し側の内方部材4も同様に、ポケット6の幅nが、ころ2の外径Daよりも僅かに小さい寸法に形成され、ころ2が内方に脱落するのを防止する。
鍔なし側の部材である内方部材4は、ころ2の配列の内接円径よりも小径に縮径可能なものとする。この例では、図1(B)に示すように、内方部材4は、円周方向の1か所にスリット9を形成することよって、有端形状としてある。すなわち、内方部材4は、円周方向の1か所割りの割り筒としてある。スリット9の形成箇所は、内方部材4のポケット6のある箇所であっても、柱部8となる箇所であっても良い。内方部材4は、弾性復元状態では、外方部材3の鍔部3bの内径端面に弾性で押し付けられるものでも、外方部材3と内方部材4の間に隙間があっても良い。
【0017】
この構成によると、組立に際して、鍔付き側の部材である外方部材3のポケット5にころ2を収容した後、内方部材4を装着する。内方部材4は縮径状態としてころ配列の内径側から装着する。このとき、内方部材4は、有端状としてあるため、容易にころ配列の内接円径よりも小径に弾性変形させることができる。このため組立性に優れる。
使用時においては、保持器1を外方部材3と内方部材3との独立した2部材で構成し、外方および内方へのころ2の脱落防止機能をそれぞれの部材3,4に分担させたため、製造が容易で加工上の限界が緩和され、一定のスペース内で、ころ2の本数の増加、ころ径の増大を図って大きな負荷容量を得ることができ、また、ころ案内機能も向上し、強度面、精度面でも優れたものとできる。しかも、外方部材3に鍔部3bを設けたため、保持器1が隣接部品と摺接する場合にも隣接部品の内径面等と干渉することが防止される。
【0018】
図4は、この発明の他の実施形態にかかる保持器付きころの正面図であり、図5はその部分拡大図である。この実施形態は、第1の参考提案例にかかる保持器付きころにおいて、スリット9の断面形状を、このスリット9を介して対向する内方部材4の円周方向の両端部4a,4bが互いに径方向に係合可能な形状としたものである。両端部4a,4bの断面形状は、それぞれV字状に突出する形状、およびV溝状に凹んだ形状としてあり、そのV字状の突出部分およびV溝状の凹み部分が、隙間を介して嵌まりあっている。両端部4a,4bは、径方向に係合可能であれば良く、常時は図5に示すように径方向に隙間を生じていて係合していない。両端部4a,4bの径方向位置がずれると、係合を生じる。また、この係合は、外方部材3と内方部材4を互いに組み立てた状態で生じるようにすれば良く、内方部材4の単独状態、つまり内方部材4が自然に拡径した状態では、両端部4a,4bが円周方向に離れるため、係合が生じない。
【0019】
このように、スリット9を互いに径方向に係合可能な断面形状とした場合、次の利点が得られる。すなわち、スリット9の形成部に隣接するころ2等にラジアル方向の負荷Fが掛かって、内方部材4を縮径させようとする力が生じた場合に、単にスリット9を形成した図1の形状の場合は、両端が連結されていないために撓みが生じ易く、内方部材4が縮径してころ2が脱落することが考えられる。そのため内方部材4の全体の剛性を高くする必要がある。しかし、この実施形態のように、スリット9を互いに径方向に係合可能な形状とすると、若干の撓みが生じたときに、スリット9を介して対向する両端部4a,4bが互いに係合し合う。このため、内方部材1の上記負荷Fが掛かった端部4aの付近に対する反対側の端部4bの付近の剛性も、上記負荷Fに対して抵抗として作用し、内方部材1の縮径が生じ難くなる。反対側の端部4bの付近にラジアル方向の負荷Fbが作用した場合も、上記と同様に内方部材1の縮径が生じ難くなる。そのため、内方部材4の全体の剛性を高める設計を採らなくても、内方部材4の縮径によるころ2の脱落を防止でき、ころ脱落防止の機能が強化される。この実施形態におけるその他の構成,効果は第1の参考提案例と同じである。
【0020】
このような係合を生じさせるスリット9の断面形状は、両端部4a,4bが互いに係合可能であって、内方部材4のスリット9による縮径を可能とする形状であれば良く、例えば図6(A)〜(C)にそれぞれ示す形状など、各種の形状が採用できる。
図6(A)の例は、内方部材4のスリット9を形成する両端部4a,4bの断面形状を、それぞれ複数のV溝状部分が平行に並ぶ形状、およびV字状に突出する部分が平行に並ぶ形状としてある。各突出部分とV溝状部分は、隙間を介して嵌まり合う。
図6(B)の例は、内方部材4のスリット9を形成する両端部4a,4bの断面形状を、それぞれ断面矩形の突条4aaを設けた形状、およびこの突条4aaに噛み合う断面矩形の溝部4baを有する形状としたものである。突条4aaの両側面は、溝部4baの両側面に接触していても良い。つまり、通常状態において、両端部4a,4bが径方向に対して既に係合した状態であっても良い。
図6(C)の例は、図6(B)の例において、突条4aaおよび溝部4baの断面形状を、先端が円弧状となる突条、および底面が円弧状となる形状としたものである。
【0021】
図7は、この発明のさらに他の実施形態を示す。この実施形態は、いわば第1の参考提案例の外方部材3と内方部材4との構成を逆にしたものである。
外方部材3Aは、ころ配列のピッチ円PCDの径より大径の環状に形成する。内方部材4Aは、ころ配列のピッチ円径PCDより小径の環状部4Aaと、この環状部4Aaの軸方向両端部から外径側に屈曲して延びる鍔部4Abとを有する。これら外方部材3Aおよび内方部材4Aの環状部4Aaには円周方向複数箇所に等間隔でポケット5A,6Aをそれぞれ設け、両ポケット5A,6Aにわたってころ2を収容する。
【0022】
鍔なし側の部材である外方部材3Aは、ころ2の配列の外接円径よりも大径に拡径可能なものとする。この例では図7(B)に示すように、外方部材3Aは、円周方向の1か所にスリット9Aを形成することよって、有端状としてある。すなわち、外方部材3Aは、円周方向の1か所割りの割り筒としてある。スリット9Aの形成箇所は、外方部材3Aのポケット6Aのある箇所であっても、柱部8Aとなる箇所であっても良い。外方部材3Aは、弾性復元状態では、内方部材4Aの鍔部4Abの外径端面に弾性で押し付けられるものとしてある。
【0023】
この構成の場合、組立に際して、鍔付き側の部材である内方部材4Aのポケット6Aにころ2を収容した後、外方部材3Aを装着する。外方部材3Aは拡径状態としてころ配列の外径側から装着する。このとき、外方部材3Aは、有端状としてあるため、容易にころ配列の内接円径よりも小径に弾性変形させることができる。このため組立性に優れる。
この実施形態においても、一定のスペース内で大きな負荷容量を得ることができ、ころ案内機能、強度面、精度面でも優れ、保持器1Aが隣接部品と摺接する場合にも支障がないことは、上記実施形態と同様である。
【0024】
ただし、この実施形態の場合、外方部材3Aは、内方部材4Aよりも軸方向長さを短く設定することが好ましい。これは、次の理由による。外方部材3Aに一つ割りを使用した場合、軸受の回転による遠心力の発生で、割り口が開き、外方部材3Aが緩んで軸方向に移動する恐れがある。外方部材3Aの軸方向長さを短くしてあると、外方部材3Aが緩みにより軸方向に若干移動しても、内方部材4Aの鍔部4Abよりも軸方向に突出することが防止され、隣接部品との干渉の問題が避けられる。外方部材3Aにはポケット5A内にころ2が入っているため、外方部材3Aが緩みにより軸方向に移動する距離は、最大でポケット隙間δの2倍である。したがって、外方部材3Aの長さは、次のようにポケット軸方向隙間δを加味して設定する。例えば、
(外方部材軸方向長さ)≦(内方部材軸方向長さ−2×δ)
とする。
また、内方部材4Aの鍔部4Abの先端部を幅方向の内側が低くなる段付き形状とし、外方部材3Aが鍔部4Abの低くなった部分に嵌り込むようにしてもよい。このように、鍔部の先端を段付きとして鍔なし側の部材を嵌り込むようにする構成は、第1の実施形態のように外方部材を鍔付き側の部材とする場合にも適用できる。
【0025】
このように外方部材3Aを鍔なし側とした実施形態においても、スリット9Aの形状は、図4ないし図6にそれぞれ示す実施形態等と同様に、スリット9Aを介して対向する外方部材3Aの円周方向の両端部が互いに径方向に係合可能な形状としても良い。これにより、スリット9Aの近傍のころ2等により、ラジアル方向の外向きの負荷が掛かって、外方部材3Aを拡径させようとする力が生じた場合に、外方部材3Aが拡径し難くなり、ころ2の脱落防止機能が向上する。
【0026】
なお、上記の外方部材3Aと内方部材4Aの軸方向長さの関係は、内方部材4Aを鍔付きとした場合の例につき説明したが、第1の実施形態のように、外方部材3を鍔付き側とした場合は、外方部材3は内方部材4よりも軸方向長さを長く設定することが好ましい。
外方部材3を鍔付き側とした場合は、例えば、
(外方部材軸方向長さ)≧(内方部材軸方向長さ+2×δ)
とすることが好ましい。δはポケット軸方向隙間である。
【0027】
上記各実施形態において、保持器1,1Aにおける鍔なし側の部材4,3Aの製法および材質は、次のようにできる。例えば、鍔なし側の部材4,3Aは、帯板を丸めて両端を溶接した後に、円周方向の1か所で分割しても良く、また単に帯板を丸めても良い。丸めて溶接した後に分割するのは、分割端部の真円精度が得易いからである。鍔なし側の部材4,3Aの使用材料は、上記帯板から加工する場合であっても、その他の加工方法による場合であっても、例えば低炭素鋼、またはばね鋼等を使用し、熱処理を行ったものとできる。熱処理は、浸炭焼入れ等の焼入れとし、またはさらにその後に焼き戻しを行うようにしても良い。焼入れの代わりに、軟窒化処理等の表面硬化処理を行っても良い。鍔なし側の部材4,3Aは、削り出し、またはプレス加工で形成したものであっても良い。鍔なし側の部材4,3Aの使用材料は、鉄系材料等の金属系材料であっても、合成樹脂材料であっても良い。鍔付き側の部材3,4Aの使用材料も、金属系材料であっても、合成樹脂材料であっても良い。
【0028】
なお、上記各実施形態は、いずれも鍔なし側の部材4,3Aを、円周方向の1か所でスリット9により分割された有端状としたが、鍔なし側の部材4,3Aを、軸方向長さの全長に達しないスリット(図示せず)を円周方向の複数箇所に設けたものとしても良い。このようにスリットを形成した場合も、弾性変形による縮径または拡径が容易となる。
また、このような軸方向長さの全長に達しないスリットを設ける場合に、そのスリットの断面形状を、このスリットを介して対向する鍔なし側の部材4,3Aの円周方向の両端部が互いに径方向に係合可能な形状としても良い。
また、上記各実施形態は、いずれも外方部材3,3Aおよび内方部材4,4Aの環状部3a,4Aaが、ポケット間に柱部を形成するものとしたが、これら環状部3a,4Aaは、柱部に代えて爪部を形成するものとしても良い。
【0029】
図8(A),(B)は、この発明のさらに他の実施形態を示す。この実施形態は、図1〜図3に示す第1の参考提案例において、外方部材3のポケット5間の柱部7における長さ方向の1か所を、内径側へ凹む溝形屈曲部11に形成したものである。溝形屈曲部11は、保持器1の軸方向に沿う断面形状が溝形となった部分であり、柱部7の柱幅の全体が溝形とされている。溝形屈曲部11は、内外両面とも内径側へ凹んでおり、柱部7の板厚は、溝形屈曲部11とその他の部分とが略同じとされている。溝形屈曲部11の溝形状は、台形状とされている。溝形屈曲部11は、柱部7の長さ方向の中央に形成してあり、その幅は柱部7の長さの1/3ないし1/2程度としてある。溝形屈曲部11の溝深さは、例えば柱部7の板厚と同程度とされる。なお、溝形屈曲部11は、柱部7の長さ方向の複数箇所に設けても良い。外方部材3の材質は、鋼板等の金属板のプレス成形品であっても、鋼材等の金属材の削り出し品であっても良い。この実施形態におけるその他の構成は、第1の参考提案例と同じである。
【0030】
この実施形態のように柱部7に溝形屈曲部11を形成した場合、ころ2が外方部材3の柱部7の内側へ潜り込むことが防止される。また、溝形屈曲部11を設けることにより、柱部7ところ2との接触部における通油性が向上し、保持器1の内部への潤滑油の循環性が向上する。
【0031】
上記潜り込みにつき説明する。保持器1の外方部材3をプレス加工品とする場合、その板厚tの上限には制限がある。図8(C)は、図1に示す第1の参考提案例において、ころ2の径が大きい場合を、比較のために示したものである。図8(C)における角度αは、柱部7におけるころ2の案内部(ころ接触部)7aと、ころ2の中心とを通る直線が、ころ中心における保持器半径方向と直交する線に対して成す角度である。この案内部角度αは、軸受機能上、できるだけ小さいことが望ましい。しかし、図8(C)のように、(1) ころ径が大きく、(2) 保持器1は外径案内されなくてはならず、かつ(3) 外方部材3の板厚tをそれ以上大きくできない場合は、案内部角度αが大きくなってしまう。案内部角度αが大きくなると、負荷荷重により、ころ2が柱部7の案内部7aを外径側へ変形させて柱部7の下に潜り込む恐れが生じる。
このような潜り込みに対して、図8(A)のように、溝形屈曲部11が設けてあると、同図(B)のように柱部7の案内部7aは、溝形屈曲部11の底部となって、柱部7が直線状の場合よりも内径側に位置する。そのため、案内部角度αが小さくなり、潜り込みが生じ難くなる。
【0032】
保持器1の外方部材3を削り出し加工品とする場合は、その板厚tは任意に調整することができるが、潜り込みを防止するために板厚tを厚くすると、保持器1の重量が増大し、機能面、および材料コストの面で好ましくない。このため、外方部材3が削り出し品の場合も、溝形屈曲部11が設けてあると、保持器重量の増大を避け、またそれによる機能低下,材料コスト増大を抑えながら、潜り込みを防止することができる。また、溝形屈曲部11により保持器1内の潤滑油の循環性を向上させる作用は、プレス加工品の場合と同様に得られる。
【0033】
なお、図8の実施形態は、外方部材3を鍔付きした例について説明したが、図7に示す実施形態等のように、外方部材3Aを鍔無しとして内方部材4Aを鍔付とした場合にも、外方部材3Aに溝形屈曲部11を設けることで、潜り込みの防止効果、および潤滑油の循環性向上の効果が得られる。
【0034】
図9,図10は、この発明の保持器付きころを応用した遊星歯車減速装置の一例を示す。この遊星歯車減速装置は、内歯のリング歯車21と、回転出力部となるキャリア22と、このキャリア22に回転自在に支持されて隣接する複数の偏心軸部23a,23bを有するクランク軸23と、このクランク軸23の各偏心軸部23a,23bに回転自在に設置されてリング歯車21に噛み合う複数の遊星歯車24,25と、クランク軸23に回転を入力する回転入力部26とを有する。リング歯車21は、内歯の太陽歯車のことである。リング歯車21はハウジング27に固定され、キャリア22はリング歯車21と同心に回転自在なように、軸受28(図10)を介してハウジング27に設置されている。回転入力部26は、リング歯車21と同心の入力軸29と、各クランク軸23に設けられて入力軸29の歯車部に噛み合う伝達歯車30とで構成される。クランク軸23は、キャリア22の円周方向複数箇所(例えば3箇所)に設けられている。遊星歯車24,25は、図10に示すように、各々保持器付きころ31を介してクランク軸23の偏心軸部23a,23bに設置されている。この保持器付きころ31に、この発明の保持器付きころ、例えば上記第1または第2の実施形態の保持器付きころが用いられる。
【0035】
この遊星歯車減速装置の動作を説明する。中心の入力軸29を回転させると、伝達歯車30を介して3本のクランク軸23が互いに同期して回転する。ここで、1段目の減速が行われる。クランク軸23と遊星歯車24,25とは、保持器付きころ31を介して連結されており、クランク軸23の振れ回りは、遊星歯車24,25が内歯のリング歯車21の内側を回るときの公転と自転の合成運動に同期する。軸方向に並ぶ2枚の遊星歯車24,25は、互いに180°位相がずれた状態で内歯リング歯車21の内周を公転する。このため、2枚の遊星歯車24,25の振れ回りによる慣性力は打ち消し合う。内歯リング歯車21は固定してあり、遊星歯車24,25は内歯リング歯車21の内周を回る。3本のクランク軸23は、出力部材となるキャリア22の2枚の円盤部22a,22bの間に挟まっている。したがって、遊星歯車24,25の公転は、クランク軸23の公転を通じてキャリア22に達し、減速された回転運動が得られる。
【0036】
この構成の遊星歯車減速装置は、遊星歯車24,25とクランク軸23の間に介在した保持器付きころ31に、大きな負荷が作用し、しかもこの保持器付きころ31の設置スペースは、減速装置全体の大型化を避けるために限られたスペースとなる。また、この保持器付きころ31の保持器は、隣接する遊星歯車24,25の幅面と摺接する。しかし、上記各実施形態の保持器付きころによると、限られたスペース内で大きな負荷容量を得ることができ、また外方部材3または内方部材4のいずれかに、他方の部材側へ突出する鍔部3bを有しているため、隣接する互いに偏心した遊星歯車24,25の幅面との摺接によっても、その遊星歯車24,25の内径面に干渉する問題が生じない。
【0037】
【発明の効果】
この発明の保持器付きころは、保持器を外方部材と内方部材との独立した2部材で構成したものにおいて、鍔なし側の部材を、内方部材である場合はころ配列の内接円径よりも小径に縮径可能とし、外方部材である場合はころ配列の外接円径よりも大径に拡径可能としたため、組立性に優れる。また、保持器を外方部材と内方部材との独立した2部材で構成で構成し、外方および内方へのころの脱落防止機能をそれぞれの部材に分担させたため、製造が容易で加工上の限界が緩和され、一定のスペース内で、ころ本数の増加、ころ径の増大を図って最大の負荷容量を得ることができ、また、ころ案内機能も向上し、強度面、精度面でも優れたものとできる。しかも、外方部材および内方部材の一方には鍔部を設けたため、保持器が隣接部品と摺接する場合にも、隣接部品の内径面等と干渉することが防止される。
上記鍔なし側の部材が内方部材である場合、この内方部材は、弾性復元状態では、外方部材の鍔部の内径端面に弾性で押し付けられるものであり、上記内方部材のうち円周方向の1か所に、軸方向に延びるスリットが形成され、このスリットを介して対向する上記内方部材の円周方向の両端部が互いに径方向に係合可能な形状としてあり、この両端部の係合部分および被係合部分が、径方向に隙間を介して係合しない状態で嵌まりあい、上記内方部材の円周方向の両端部の径方向位置がずれると、上記係合部分および被係合部分が係合し合うように構成される。
上記内方部材の円周方向の両端部の断面形状により、スリットの形成部に隣接するころ等にラジアル方向の負荷が掛かって、内方部材を縮径させようとする力が生じた場合に、上記負荷に対して抵抗として作用し、内方部材の縮径が生じ難くなる。そのため、内方部材の全体の剛性を高める設計を採らなくても、内方部材の縮径によりころの脱落を防止でき、ころ脱落防止の機能が強化される。
上記他方の部材が外方部材である場合はころ配列の外接円径よりも大径に弾性変形させて拡径可能とされ、この外方部材は、弾性復元状態では、内方部材の鍔部の外径端面に弾性で押し付けられるものであり、上記外方部材の円周方向の1か所に、軸方向に延びるスリットが形成され、このスリットを介して対向する上記外方部材の円周方向の両端部が互いに径方向に係合可能な形状としてあり、この両端部の係合部分および被係合部分が、隙間を介して係合しない状態で嵌まりあい、上記外方部材のスリット近傍にラジアル方向の外向きの負荷がかかったとき、上記係合部分および被係合部分が係合し合うように構成される。この場合も、ころ脱落防止の機能が強化される。
この発明の遊星歯車減速装置は、遊星歯車とクランク軸間に保持器付きころを介在させた構成でありながら、隣接する遊星歯車の内径に保持器が干渉する問題がなく、また、保持器付きころにおけるころ案内機能、強度面、精度面でも優れ、かつ一定のスペース内で大きな負荷容量を得ることができて、装置全体のコンパクト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (A)はこの発明の第1の参考提案例にかかる保持器付きころの縦断面図、(B)はその正面図である。
【図2】同保持器付きころの破断正面図である。
【図3】同保持器付きころの部分拡大断面図である。
【図4】 この発明の実施形態にかかる保持器付きころの正面図である。
【図5】同保持器付きころの部分拡大正面図である。
【図6】 (A)〜(C)はそれぞれこの発明の他の実施形態にかかる保持器付きころの部分拡大正面図である。
【図7】(A)はこの発明のさらに他の実施形態にかかる保持器付きころの縦断面図、(B)はその正面図である。
【図8】(A)はこの発明のさらに他の実施形態にかかる保持器付きころの部分縦断面図、(B)はそのVIII-VIII 線断面図、(C)はさらに他の実施形態の断面図である。
【図9】同保持器付きころを用いた遊星歯車減速装置の模式図である。
【図10】同遊星歯車減速装置の部分切欠側面図である。
【図11】(A)は従来の保持器付きころの保持器の部分斜視図、(B)はその保持器付きころの部分断面図である。
【図12】他の従来例の部分縦断面図および部分横断面図である。
【符号の説明】
1…保持器
2…ころ
3…外方部材
3a…環状部
3b…鍔部
4…内方部材
5,6…ポケット
1A…保持器
2A…ころ
3A…外方部材
3Aa…環状部
3Ab…鍔部
4A…内方部材
5A,6A…ポケット
21…リング歯車(太陽歯車)
22…キャリア
23…クランク軸
23a,23b…偏心軸部
24,25…遊星歯車
26…入力部
31…保持器付きころ
PCD…ピッチ円径

Claims (6)

  1. 外方部材および内方部材からなる保持器と、ころとを備え、上記外方部材は、ころ配列のピッチ円径よりも大径の環状部と、この環状部の軸方向両端部から内径側に屈曲した鍔部とを有し、上記内方部材はころ配列のピッチ円径より小径の環状に形成し、上記外方部材の環状部および内方部材の円周方向複数箇所にポケットをそれぞれ設け、これら外方部材および内方部材のポケットにわたって上記ころを収容した保持器付きころにおいて、
    上記内方部材が、上記ころの内接円径よりも小径に弾性変形させて縮径可能とされ、この内方部材は、弾性復元状態では、外方部材の鍔部の内径端面に弾性で押し付けられるものであり、上記内方部材のうち円周方向の1か所に、軸方向に延びるスリットが形成され、このスリットを介して対向する上記内方部材の円周方向の両端部が互いに径方向に係合可能な形状としてあり、この両端部の係合部分および被係合部分が、径方向に隙間を介して係合しない状態で嵌まりあい、上記内方部材の円周方向の両端部の径方向位置がずれると、上記係合部分および被係合部分が係合し合うことを特徴とする保持器付きころ。
  2. 上記内方部材の円周方向の両端部は、その断面形状がそれぞれV字状に突出する形状としたV字状の突出部分と、V溝状に凹んだ形状としたV溝状の凹み部分とを有する請求項1に記載の保持器付きころ。
  3. 外方部材および内方部材からなる保持器と、ころとを備え、上記外方部材はころ配列のピッチ円径より大径の環状に形成し、内方部材は、ころ配列のピッチ円径よりも小径の環状部と、この環状部の軸方向両端部から外径側に屈曲した鍔部とを有し、上記外方部材および内方部材の環状部の円周方向複数箇所にポケットをそれぞれ設け、これら外方部材および内方部材のポケットにわたって上記ころを収容した保持器付きころにおいて、
    上記外方部材が、上記ころの外接円径よりも大径に弾性変形させて拡径可能とされ、この外方部材は、弾性復元状態では、内方部材の鍔部の外径端面に弾性で押し付けられるものであり、上記外方部材の円周方向の1か所に、軸方向に延びるスリットが形成され、このスリットを介して対向する上記外方部材の円周方向の両端部が互いに径方向に係合可能な形状としてあり、この両端部の係合部分および被係合部分が、隙間を介して係合しない状態で嵌まりあい、上記外方部材のスリット近傍にラジアル方向の外向きの負荷がかかったとき、上記係合部分および被係合部分が係合し合うことを特徴とする保持器付きころ。
  4. 上記外方部材のポケット間の柱部における長さ方向の1か所または複数箇所を、内径側へ凹む溝形屈曲部に形成した請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の保持器付きころ。
  5. 遊星歯車減速装置における遊星歯車とこの遊星歯車を支持するクランク軸との間に設置される請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の保持器付き針状ころ。
  6. 内歯または外歯の太陽歯車と、この太陽歯車と同心に回転自在に設けられたキャリアと、このキャリアに回転自在に支持されて隣接する複数の偏心軸部を有するクランク軸と、このクランク軸の前記各偏心軸部に保持器付きころを介して設置されて前記太陽歯車に噛み合う複数の遊星歯車とを備えた遊星歯車減速装置において、上記保持器付きころを、外方部材および内方部材からなる保持器と、これら外方部材および内方部材の周方向複数箇所に設けられたポケットに収容されて上記遊星歯車およびクランク軸の間で転動する複数のころから構成し、上記外方部材および内方部材は、各々ころ配列のピッチ円径よりも大径の環状部および小径の環状部で構成され、これら外方部材および内方部材のうち一方の部材は、上記環状部の軸方向両端に他方の部材側へ径方向に延びる鍔部を有し、他方の部材は、内方部材である場合はころ配列の内接円径よりも小径に弾性変形させて縮径可能とされ、この内方部材は、弾性復元状態では、外方部材の鍔部の内径端面に弾性で押し付けられるものであり、上記内方部材のうち円周方向の1か所に、軸方向に延びるスリットが形成され、このスリットを介して対向する上記内方部材の円周方向の両端部が互いに径方向に係合可能な形状としてあり、この両端部の係合部分および被係合部 分が、径方向に隙間を介して係合しない状態で嵌まりあい、上記内方部材の円周方向の両端部の径方向位置がずれると、上記係合部分および被係合部分が係合し合うように構成され、
    上記他方の部材が外方部材である場合はころ配列の外接円径よりも大径に弾性変形させて拡径可能とされ、この外方部材は、弾性復元状態では、内方部材の鍔部の外径端面に弾性で押し付けられるものであり、上記外方部材の円周方向の1か所に、軸方向に延びるスリットが形成され、このスリットを介して対向する上記外方部材の円周方向の両端部が互いに径方向に係合可能な形状としてあり、この両端部の係合部分および被係合部分が、隙間を介して係合しない状態で嵌まりあい、上記外方部材のスリット近傍にラジアル方向の外向きの負荷がかかったとき、上記係合部分および被係合部分が係合し合うように構成される遊星歯車減速装置。
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