JP4087596B2 - フィルム一体キーシート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、携帯電話や自動車電話等の情報通信機器、音響機器等の各種電子機器において押釦スイッチに用いられるフィルム一体キーシートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、携帯電話や自動車電話等の移動通信端末をはじめとする各種電子機器においては、軽量化、小型化及び薄型化が要望されている。そのため、これらに用いられる押釦スイッチにおいても同様に、軽量化、小型化及び薄型化が要望されている。このような要望に応えるものとして、透光性樹脂フィルムが透光性樹脂キートップの裏面を除く残余の面に固着してなるフィルム一体キーシートが知られ、近年では、この種のフィルム一体キーシートが広く採用されるに至っている。
【0003】
図7に、従来のフィルム一体キーシートの断面図を示す。このフィルム一体キーシート31は、透光性樹脂フィルム32が透光性樹脂キートップ33の裏面33aを除く残余の面に固着した構成となっている。そのため、このフィルム一体キーシート31においては、透光性樹脂フィルム32の上面側に押圧部34が凸状に形成された構成となっている。そして、このフィルム一体キーシート31は、押圧部34となる透光性樹脂フィルム32の裏面32aに文字・記号・数字・記号・模様或いは絵柄等の図柄を描画した文字表示層35が設けられている。また、透光性樹脂キートップ33の裏面33aの略中央位置には、樹脂注入ゲート部36aが設けられた構成となっている。そして、かかるフィルム一体キーシート31は、一般に、透光性樹脂フィルム32を透光性樹脂キートップ33の上面側形状と略同形状に湾曲形成した後、その湾曲部内にモールド樹脂を注入することにより製造されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
近年、この種のフィルム一体キーシートにおいてはデザイン競争が激化し、例えば携帯電話等に用いられる押釦スイッチのフィルム一体キーシートにおいては、多種多様なデザインが要求されている。かかる背景のもと、この種のフィルム一体キーシートにおいては、視認性に優れた高品位なデザインが要求されている。
【0005】
しかしながら、上記従来のフィルム一体キーシート31においては、透光性樹脂キートップ33の裏面33aに樹脂注入ゲート部36aが設けられているため、シートの押圧部34の表面側からこの透光性樹脂キートップ33を見た場合、この樹脂注入ゲート部36aが視認されてしまう。そのため、上記従来のフィルム一体キーシート31は見栄えが悪いものであった。
【0006】
また、透光性樹脂フィルム32の裏面32aに文字表示層35を形成した場合に、シートの押圧部34の表面側から文字表示層35を見ると、この樹脂注入ゲート部36aによって文字表示層35の表示が歪んで視認されることとなる。
【0007】
すなわち、上記の樹脂注入ゲート部36aの存在は、文字表示層35の視認性を悪化させ、フィルム一体キーシート31の押圧部34の美観を損なわせる要因となっていた。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、視認性に優れ、高品位なデザインを具備したフィルム一体キーシートを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、透光性樹脂フィルムと透光性樹脂キートップとを備え、前記透光性樹脂キートップの裏面に該透光性樹脂キートップの樹脂注入ゲート部が設けられ、前記透光性樹脂フィルムが前記透光性樹脂キートップの裏面を除く残余の面に固着してなるフィルム一体キーシートにおいて、前記透光性樹脂フィルムの裏面の一部に、開口部を有する表面側装飾層を設け、前記開口部の下方を除く前記透光性樹脂キートップの周縁部であって前記表面側装飾層の下方に設けられた樹脂注入ゲート部を、前記開口部の下端外縁と前記樹脂注入ゲート部の下端中央とを結ぶ直線と、前記透光性樹脂キートップの下面と平行となる水平面とを結ぶ角度が60度未満となる位置に設けることで、前記樹脂注入ゲート部が前記表面側装飾層によって遮蔽されていることを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のフィルム一体キーシートにおいて、前記透光性樹脂キートップの裏面に、裏面側装飾層を設けたことを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載のフィルム一体キーシートにおいて、前記開口部に、文字表示部を設けたことを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のフィルム一体キーシートにおいて、前記表面側装飾層および/または裏面側装飾層が、金属光沢を有することを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した実施の形態を図1〜図5に基づいて説明する。
図1及び図2に示すように、本実施形態のフィルム一体キーシート11は、透光性樹脂フィルム12と複数の略円筒状の透光性樹脂キートップ13とを備えている。透光性樹脂フィルム12は、その一部が透光性樹脂キートップ13の上面側形状と略同形状に湾曲し、透光性樹脂キートップ13の裏面13aを除く残余の面に固着している。そのため、このフィルム一体キーシート11においては、透光性樹脂フィルム12の上面側に向かって、複数の押圧部14が凸状に形成された構成となっている。
【0015】
以下、各構成について説明する。
透光性樹脂フィルム12を構成する樹脂フィルムは、透光性を有するものであればその組成や種類、色調について特に限定されるものではなく、可撓性を有する公知の樹脂フィルムから要求性能に応じて適宜選択して用いることができる。この具体的な透光性樹脂フィルム12としては、例えば、オレフィン系フィルム、ビニル系フィルム、フッ素系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、アセテート系フィルム、ポリエステル系フィルム、ポリアミド系フィルム、ポリイミド系フィルム、アイオノマーフィルム等が例示される。これらのなかでも、透光性の良好なポリカーボネート系フィルムやフッ素系フィルム、ポリエステル系フィルム等を用いることがより好ましい。
【0016】
押圧部14となる透光性樹脂フィルム12の裏面12aには、表面側装飾層15が設けられている。この表面側装飾層15は、透光性樹脂フィルム12の裏面12aの一部のみに設けられ、これにより表面側装飾層15が設けられていない部分、すなわち、開口部15aが押圧部14の略中央に形成された構成となっている。
【0017】
表面側装飾層15は、押圧部14の上方から透光性樹脂フィルム12及び透光性樹脂キートップ13を介して視認されるものであり、赤色・青色・黄色・緑色等の有彩色、或いは白色・黒色・灰色等の無彩色、若しくは金属色を呈する層である。この表面側装飾層15は、透光性樹脂キートップ13の裏面13aにインクや塗料などを塗布或いは印刷、転写等したり、又は、無機物を蒸着或いは転写等したりすることにより形成される。なお、この表面側装飾層15は、文字・数字・記号・模様或いは絵柄等の図柄を表示するものであっても構わない。
【0018】
開口部15aは、透光性樹脂フィルム12の裏面12aの一部のみに表面側装飾層15を形成することにより、或いは、透光性樹脂フィルム12の裏面12a全面に表面側装飾層15を形成した後、エッチング等にて表面側装飾層15の一部を除去することにより設けられる。
【0019】
開口部15aの略中央には、文字表示部16が設けられている。この文字表示部16は、押圧部14の上方から透光性樹脂フィルム12を介して視認されるものであり、文字・数字・記号・模様或いは絵柄等の図柄を描画したものである。この文字表示部16は、開口部15aの透光性樹脂フィルム12の裏面12aに、例えばインクや塗料などを塗布又は印刷、転写等することにより形成される。なお、この文字表示部16は、乗せ文字状に描画されたものであっても、抜き文字状に描画されたものであっても構わない。また、文字表示部16は、透光性樹脂フィルム12の表面および/または裏面に形成する構成としても構わない。
【0020】
上記の透光性樹脂フィルム12、表面側装飾層15及び文字表示部16の裏面には、透明補強層17が設けられている。この透明補強層17は、透光性樹脂フィルム12、表面側装飾層15或いは文字表示部16の裏面に、透明な合成樹脂を塗布、印刷等することにより形成される。この透明補強層17により、透光性樹脂フィルム12の湾曲形成時や透光性樹脂キートップ13の射出成形時に、表面側装飾層15及び文字表示部16の歪みや変形、劣化が抑制され、これら表面側装飾層15及び文字表示部16の外観品位が保たれる。さらに、この透明補強層17は、透光性樹脂フィルム12と透光性樹脂キートップ13との密着性を向上させる作用を有する。
【0021】
透光性樹脂キートップ13を構成する合成樹脂は、透光性を有するものであればその組成や種類、色調について特に限定されるものではなく、例えば、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、硬化性樹脂或いは架橋ゴムなどの公知の合成樹脂から要求性能に応じて適宜選択して用いることができる。なかでも、成形加工性の良好な熱可塑性樹脂を用いることが好ましく、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂、アクリル樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン樹脂、アクリロニトリル−塩素化ポリエチレン−スチレン樹脂等を好適に用いることができる。これらのなかでも、透明性、機械的強度及び耐熱性等の良好なポリカーボネート樹脂を用いることが特に好ましい。
【0022】
透光性樹脂キートップ13の裏面13aには、樹脂注入ゲート部Gが設けられている。この樹脂注入ゲート部Gは、透光性樹脂キートップ13の裏面13aの周縁部に設けられ、押圧部14の略中央に設けられた前記開口部15aの下方を除く位置、すなわち、前記表面側装飾層15の下方に設けられている。より具体的には、この樹脂注入ゲート部Gは、開口部15a及び樹脂注入ゲート部Gを結ぶ直線と水平面とがなす角度(俯角θ)が、60度未満となる位置に設けられている。
【0023】
透光性樹脂キートップ13の裏面13aには、裏面側装飾層18が設けられている。この裏面側装飾層18は、押圧部14の上方から透光性樹脂フィルム12及び透光性樹脂キートップ13を介して視認されるものであり、赤色・青色・黄色・緑色等の有彩色、或いは白色・黒色・灰色等の無彩色、若しくは金属色を呈する層である。この裏面側装飾層18は、上記表面側装飾層15と同様に形成される。なお、この裏面側装飾層18は、文字・数字・記号・模様或いは絵柄等の図柄を表示するものであっても構わない。
【0024】
上記表面側装飾層15及び裏面側装飾層18は、金属光沢を有するものであることが好ましい。かかる金属光沢を有する表面側装飾層15及び裏面側装飾層18は、例えば、金属粉末配合塗料(メタルインク)を塗布或いは印刷などすることにより、又は、アルミニウムやクロム、銅、ニッケル等の金属を蒸着或いは転写等することにより形成される。このように金属光沢を有する表面側装飾層15及び裏面側装飾層18とすることにより、金属光沢調を呈するデザインを実現でき、高光沢で美観に優れデザイン性の高いフィルム一体キーシート11を実現することができる。
【0025】
また、上記表面側装飾層15及び裏面側装飾層18は、透光性を有するものであることが好ましい。かかる透光性を有する表面側装飾層15及び裏面側装飾層18は、透光性を有するインクや塗料などを塗布或いは印刷等したり、又は、アルミニウムやクロム、銅、ニッケル等の金属を2〜300nmの厚さで蒸着等することにより形成される。このように透光性を有する表面側装飾層15及び裏面側装飾層18とすることにより、透光性樹脂キートップ13の裏面13a側に、LED(発光ダイオード)やEL(エレクトロルミネセンス)などの照光器を付設することにより、簡易に照光機能を付与することができ、夜間や暗い場所でのフィルム一体キーシート11の視認性を向上させることができる。なお、アルミニウムやクロム、銅、ニッケル等の金属を5〜50nmの厚さで蒸着等することにより、金属光沢と透光性とを併せ持つ表面側装飾層15及び裏面側装飾層18を実現することができる。
【0026】
以下、本実施形態のフィルム一体キーシート11の製造方法を図3及び図4に基づいて説明する。
ここでは、透光性樹脂キートップ13の成形用の上下一対の成形金型(上金型21,下金型22)を用いた製造方法を説明する。図3に示すように、上金型21には、透光性樹脂キートップ13を成形するための略円筒状の成形凹部21aからなるキャビティSが設けられている。一方、下金型22には、溶融樹脂を注入するための樹脂注入ゲート22aが、上金型21のキャビティSに対して一方に偏して設けられている。この樹脂注入ゲート22aは、成形されるフィルム一体キーシート11の表面側装飾層15及び開口部15aに対して、前述した位置関係となるように配設されている。なお、樹脂注入ゲート22aは、ピンポイントゲート、ファンゲート、フィルムゲート、リングゲート、ディスクゲート、サブマリンゲート、オーバーラップゲート、ダイレクトゲート、タブゲート、エッジゲートなどが挙げられ、特に限定されるものではないが、透光性樹脂キートップ13に残るゲート痕(樹脂注入ゲート部G)が小さい等の理由から、ピンポイントゲートであることが好ましい。
【0027】
そして、このフィルム一体キーシート11を製造するには、まず、透光性樹脂フィルム12の裏面12aの一部に表面側装飾層15を形成し、表面側装飾層15の開口部15aに文字表示部16を形成する。さらに、透光性樹脂フィルム12、表面側装飾層15及び文字表示部16の裏面に、透明補強層17を塗布、印刷等して形成する。
【0028】
次いで、図4に示すように、この表面側装飾層15、文字表示部16及び透明補強層17が形成された透光性樹脂フィルム12を、上金型21と下金型22との間に挟持して型締めする。ここで、上金型21と下金型22との間に挟持する透光性樹脂フィルム12の一部を、冶具などを用いて、成形する透光性樹脂キートップ13の上面側形状(上金型21のキャビティS形状)と略同形状に予め湾曲変形させておくことが好ましい。
【0029】
そして、下金型22の樹脂注入ゲート22aから、溶融した合成樹脂をキャビティS内に射出する。この溶融した合成樹脂のキャビティS内への注入に伴い、透光性樹脂フィルム12は上金型21のキャビティS形状と略同形状に湾曲して伸張される。その結果、透光性樹脂キートップ13が成形されるとともに、透光性樹脂フィルム12と透光性樹脂キートップ13とが熱融着により固着して、フィルム一体キーシートが作製される。
【0030】
冷却後、上金型21及び下金型22を離型させてフィルム一体キーシートを取り出し、このフィルム一体キーシートの透光性樹脂キートップ13の裏面13aに裏面側装飾層18を形成することにより、本実施形態のフィルム一体キーシート11が製造される。
【0031】
以上詳述したように、本実施形態によれば以下に示す作用効果が奏される。
(1) 透光性樹脂フィルム12と透光性樹脂キートップ13とを備え、透光性樹脂キートップ13の裏面13aに透光性樹脂キートップ13の樹脂注入ゲート部Gが設けられ、前記透光性樹脂フィルム12が透光性樹脂キートップ13の裏面13aを除く残余の面に固着してなるフィルム一体キーシート11において、前記透光性樹脂フィルム12の裏面12aの一部に表面側装飾層15を設け、この表面側装飾層15の下方に樹脂注入ゲート部Gを設けた。
【0032】
このように構成すると、フィルム一体キーシート11の押圧部14の表面側から透光性樹脂キートップ13を見た場合に、表面側装飾層15により樹脂注入ゲート部Gが遮蔽されて、樹脂注入ゲート部Gが視認されなくなる。すなわち、この表面側装飾層15は、樹脂注入ゲート部Gを遮蔽する機能を有する。従って、外観が良好で美観に優れるフィルム一体キーシート11を実現することができる。
【0033】
(2) 透光性樹脂フィルム12の裏面12aに、開口部15aを有する表面側装飾層15を設け、前記樹脂注入ゲート部Gを、開口部15a及び樹脂注入ゲート部Gを結ぶ直線と水平面とを結ぶ角度が60度未満となる位置に設けた。
【0034】
このように構成すると、フィルム一体キーシート11の押圧部14の表面側から透光性樹脂キートップ13を見た場合に、表面側装飾層15により樹脂注入ゲート部Gが遮蔽されて、樹脂注入ゲート部Gが視認されなくなる。すなわち、この表面側装飾層15は、樹脂注入ゲート部Gを遮蔽する機能を有する。従って、外観が良好で美観に優れるフィルム一体キーシート11を実現することができる。
【0035】
(3) 樹脂注入ゲート部Gを、透光性樹脂キートップ13の裏面13aの周縁部に設けた。このように構成すると、押圧部14の略中央に設けた開口部15aの下方の透光性樹脂キートップ13の裏面13aを、段差のない平滑な面とすることができる。従って、この開口部15aの下方の透光性樹脂キートップ13の裏面13aに、高品質な文字や装飾等を簡易に施すことができるようになり、種々のデザインを具現化することができるようになる。そのため、デザインバリエーションを拡大することができるようになり、生産性が高く美観に優れるデザイン性の高いフィルム一体キーシート11を実現することができる。
【0036】
(4) 透光性樹脂キートップ13の裏面13aに、裏面側装飾層18を設けた。ここで、本実施形態のフィルム一体キーシート11においては、上記のように表面側装飾層15の下方であって、透光性樹脂キートップ13の裏面13aの周縁部に樹脂注入ゲート部Gを設けたため、このように裏面側装飾層18を設けても、樹脂注入ゲート部Gが裏面側装飾層18の視認性を悪化させる要因とならない。従って、フィルム一体キーシート11の押圧部14の表面側から裏面側装飾層18が明瞭に視認されることとなり、視認性を向上させた美観に優れるフィルム一体キーシート11を実現することができる。そして、このように裏面側装飾層18を設ける構成とすることにより、さらに多種多様のデザインを具現化することができ、美観に優れるデザイン性の高いフィルム一体キーシート11を実現することができる。
【0037】
(5) 開口部15aに文字表示部16を設けた。ここで、本実施形態のフィルム一体キーシート11においては、上記のように表面側装飾層15の下方であって、透光性樹脂キートップ13の裏面13aの周縁部に樹脂注入ゲート部Gを設けたため、このように開口部15aに文字表示部16を設けても、樹脂注入ゲート部Gが文字表示部16の視認性を悪化させる要因とならない。従って、フィルム一体キーシート11の押圧部14の表面側から文字表示部16が明瞭に視認されることとなり、視認性を向上させた美観に優れるフィルム一体キーシート11を実現することができる。そして、このように文字表示部16を設ける構成とすることにより、さらに多種多様のデザインを具現化することができ、美観に優れるデザイン性の高いフィルム一体キーシート11を実現することができる。
【0038】
(6) 透光性樹脂フィルム12の裏面12aに表面側装飾層15を設け、開口部15aに文字表示部16を設けるとともに、透光性樹脂キートップ13の裏面13aに裏面側装飾層18を設けた。
【0039】
このように構成すると、図5に示すように、押圧部14において、文字表示部16の周囲に裏面側装飾層18及び表面側装飾層15が視認されるとともに、文字表示部16の文字等の影が裏面側装飾層18に映し出されて、文字表示部16が立体的に浮き出た外観として視認されるようになる。すなわち、立体感のある文字表示部16を実現することができる。従って、この種のフィルム一体キーシート11において、従来存在しなかった新たなデザインを具現化することができ、フィルム一体キーシート11のデザインバリエーションを拡大することができる。これにより、美観に優れるデザイン性の高いフィルム一体キーシート11を実現することができる。
【0040】
(7) 表面側装飾層15および/または裏面側装飾層18を、金属光沢を有するものとすることにより、金属光沢調を呈する高級感のあるデザインを実現でき、高光沢で美観に優れデザイン性の高いフィルム一体キーシート11を実現することができる。
【0041】
(変形例)
尚、本発明は、前記実施形態の構成に限定されるものではなく、この発明の趣旨から逸脱しない範囲で、各部の構成を任意に変更して具体化してもよい。
【0042】
・ 前記実施形態のフィルム一体キーシート11において、裏面側装飾層18を透光性樹脂キートップ13の裏面13aの一部のみに設けた構成とすること。例えば、図6に示すように、裏面側装飾層18を、開口部15aの下方の透光性樹脂キートップ13の裏面13aのみに形成した構成とすること。このように構成しても、上記実施形態と同様の作用効果が奏される。
【0043】
・ 前記実施形態のフィルム一体キーシート11において、表面側装飾層15を透光性樹脂キートップ13の表面に設けた構成とすること。表面側装飾層15が透光性樹脂フィルム12及び透光性樹脂キートップ13の間に介在された構成であれば、上記実施形態と同様の作用効果が奏される。
【0044】
・ 前記実施形態のフィルム一体キーシート11において、文字表示部16或いは透明補強層17を省略した構成とすること。このように構成しても、上記実施形態と同様の作用効果が奏される。
【0045】
・ 透光性樹脂キートップ13の形状(透光性樹脂キートップ13を成形するための成形凹部21aの形状)を適宜変更すること。このように構成しても、上記実施形態と同様の作用効果が奏される。
【0046】
・ 透光性樹脂キートップ13の裏面13a側に、LED(発光ダイオード)やEL(エレクトロルミネセンス)などの照光器を付設すること。このように構成すると、フィルム一体キーシート11に簡易に照光機能を付与することができ、夜間や暗い場所でのフィルム一体キーシート11の視認性を向上させることができる。
【0047】
(付記)
上記実施形態及び変形例から把握される技術的思想について以下に記載する。
・ 透光性樹脂フィルムと透光性樹脂キートップとを備え、前記透光性樹脂キートップの裏面に該透光性樹脂キートップの樹脂注入ゲート部が設けられ、前記透光性樹脂フィルムが前記透光性樹脂キートップの裏面を除く残余の面に固着してなるフィルム一体キーシートにおいて、前記透光性樹脂フィルムの裏面の一部に、前記樹脂注入ゲート部を遮蔽する表面側装飾層を設けたことを特徴とするフィルム一体キーシート。このように構成しても、上記実施形態と同様の作用効果が奏される。
【0048】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1に記載の発明によれば、透光性樹脂フィルムの裏面の一部に、開口部を有する表面側装飾層を設けるとともに、この表面側装飾層の下方に樹脂注入ゲート部を設けている。すなわち、同樹脂注入ゲート部は、開口部の下方を除く透光性樹脂キートップの周縁部に設けられている。こうした開口部と樹脂注入ゲート部とは、開口部の下端外縁と樹脂注入ゲート部の下端中央とを結ぶ直線と、透光性樹脂キートップの下面と平行となる水平面とを結ぶ角度が60度未満となる位置関係で設けられている。これにより、押圧部の上面側から透光性樹脂キートップを見た場合に、表面側装飾層により樹脂注入ゲート部が遮蔽されて、樹脂注入ゲート部が視認されなくなる。従って、視認性に優れ、美観に優れるデザイン性の高いフィルム一体キーシートを実現することができる。
【0049】
また、透光性樹脂キートップの裏面に、高品質な文字や装飾等を簡易に施すことができるようになり、種々のデザインを具現化することができるようになる。従って、デザインバリエーションを拡大することができ、生産性が高く高品位なデザインを具備したフィルム一体キーシートを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のフィルム一体キーシートを示す概略斜視図。
【図2】 図1のA−A断面図。
【図3】 本発明のフィルム一体キーシートの製造方法を示す断面図。
【図4】 本発明のフィルム一体キーシートの製造方法を示す断面図。
【図5】 本発明のフィルム一体キーシートの押圧部の概略斜視図。
【図6】 本発明の変形例のフィルム一体キーシートを示す断面図。
【図7】 従来のフィルム一体キーシートを示す断面図。
【符号の説明】
G…樹脂注入ゲート部、11…フィルム一体キーシート、12…透光性樹脂フィルム、12a…裏面、13…透光性樹脂キートップ、13a…裏面、15…表面側装飾層、15a…開口部、16…文字表示部、18…裏面側装飾層。
Claims (4)
- 透光性樹脂フィルムと透光性樹脂キートップとを備え、前記透光性樹脂キートップの裏面に該透光性樹脂キートップの樹脂注入ゲート部が設けられ、前記透光性樹脂フィルムが前記透光性樹脂キートップの裏面を除く残余の面に固着してなるフィルム一体キーシートにおいて、
前記透光性樹脂フィルムの裏面の一部に、開口部を有する表面側装飾層を設け、
前記開口部の下方を除く前記透光性樹脂キートップの周縁部であって前記表面側装飾層の下方に設けられた樹脂注入ゲート部を、前記開口部の下端外縁と前記樹脂注入ゲート部の下端中央とを結ぶ直線と、前記透光性樹脂キートップの下面と平行となる水平面とを結ぶ角度が60度未満となる位置に設けることで、前記樹脂注入ゲート部が前記表面側装飾層によって遮蔽されていることを特徴とするフィルム一体キーシート。 - 前記透光性樹脂キートップの裏面に、裏面側装飾層を設けたことを特徴とする請求項1に記載のフィルム一体キーシート。
- 前記開口部に、文字表示部を設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のフィルム一体キーシート。
- 前記表面側装飾層および/または裏面側装飾層が、金属光沢を有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のフィルム一体キーシート。
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