JP4085215B2 - ポリカーボネート樹脂エマルジョンの分離方法 - Google Patents

ポリカーボネート樹脂エマルジョンの分離方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリカーボネート樹脂エマルジョンの分離方法に関し、詳しくはポリカーボネート樹脂エマルジョンからポリカーボネート樹脂の有機溶媒溶液と水溶液に効率的に分離する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在ポリカーボネート樹脂の製造方法としては、塩化メチレンなどのハロゲン化有機溶媒を使用した界面重縮合法による製造方法が一般的に用いられている。界面重縮合法によるポリカーボネート樹脂の製造においては、重縮合反応終了時にポリカーボネート樹脂を含む有機溶媒溶液(以下、油相又はOと略すことがある)と水溶液(以下、Wと略すことがある)の混合物が得られる。ポリカーボネート樹脂を含む有機相は、重縮合反応時の副生成物である不純物やアルカリ性水溶液を含んでおりエマルジョン状を呈しているため、エマルジョンをポリカーボネートの有機溶媒溶液と水溶液に分離する必要がある。
【0003】
また、ポリカーボネート樹脂の有機溶媒溶液に微量に残存している不純物を除去することを目的として、アルカリ性水溶液、酸性水溶液、純水などを加えて洗浄する方法が一般的に行われるが、洗浄効率を向上させるためにポリカーボネート樹脂溶液と洗浄液の混合物を強力に攪拌すると、エマルジョン化する場合があった。
【0004】
従来、このエマルジョン化された混合溶液からの分離は、液液遠心分離機、もしくは静置分離槽が用いられてきた。しかしながら、遠心分離機によりエマルジョンを分離する場合は、使用する遠心分離機が高価なだけでなく、遠心分離機のメンテナンスや運転電力に多大な費用の支出を余儀なくされる。また駆動部分や回転部分の故障や摩耗のために、しばしば異常停止を引き起こすことがあった。
【0005】
また静置による分離は、内部に分離板や邪魔板を挿入しても、分離のための滞在時間を確保するためには、分離槽が大きくなったり、ホールドアップも大きくなるという欠点があった。
【0006】
このような問題を解決する方法として、特公昭46−41622号公報において、水との接触角が40°以下の濾過層にポリカーボネート樹脂液を通して分離する方法が開示されている。さらに、特開平7−309940号公報においてポリカーボネート樹脂溶液と水性洗浄液を混合し水中油滴型乳化状態として洗浄した後、濾過材を通過分離させる方法が開示されている。
【0007】
また、特開昭55−104316号公報では、ポリカーボネート樹脂液をpH2〜14の範囲の水溶性洗浄液を使用して乳化し、0.01〜2cm/秒の空間速度で10〜500mmの厚さで0.2〜0.7g/mlの見掛け密度の繊維層を通過させて2相に分離する方法が開示されている。しかし、これらの方法は、濾材の流出や、ポリカーボネート樹脂溶液の粘度が高いため、充填物による大きな圧力損失が発生するという欠点があった。
【0008】
また、特開平9−104747号公報では、粗製ポリカーボネート溶液を洗浄水により攪拌下に洗浄した後、洗浄水を含む粗製ポリカーボネート溶液を、静置分離または遠心分離により、水相とポリカーボネートを含む有機相とに分離し、ポリカーボネートを含む有機相を孔径20〜180μmの濾過フィルターで濾過流速60〜1000mm/minの条件で濾過する方法が開示されている。しかしながらこの方法では、濾過フィルターを用いて濾過する前に、静置分離又は遠心分離を行わなくてはならないが、ポリカーボネート樹脂の有機溶媒溶液と水溶液から構成されるエマルジョンは静置分離で分離させることは非常に困難であり、分離が可能であっても滞在時間確保のため長時間を要し、静置分離槽が巨大化する。また遠心分離を行う場合においては、前述したようにメンテナンスや運転電力のために多大な費用の支出と、遠心分離機の異常停止対策のため予備機の設置や運転操作が煩雑となる。
【0009】
一方、ダストの混入を極力抑える必要がある成形材料品、例えばポリカーボネートの透明性、耐熱性、耐加水分解性、寸法安定性等の特徴を生かしたコンパクトディスク、レーザーディスク、光カード、MOディスク、DVD等の成形品においてダストの混入はサブミクロンの信号の読み書きに悪影響を及ぼすため、ダストの低減化が望まれる。
【0010】
光学用材料としてのポリカーボネート樹脂は、『ダスト』は極力少ないものがよく、ここでいう『ダスト』とは、空気中のチリやゴミ、原料中に含まれる不純物、溶媒中に残存する浮遊物、空送配管や駆動機器の摩耗による金属粉などに由来するものであり、光学用成形ディスク中に残存した場合に、読取りエラーや書き込みエラーなどのトラブルを引き起こす原因となる、短径0.5μm以上である物質を指し、通常市販されている光学顕微鏡や微粒子カウンターなどの測定機器を用いることによって、定量することができるものをいう。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような従来の欠点を解消し、ポリカーボネート樹脂エマルジョンからポリカーボネート樹脂を含む有機溶媒溶液と不純物を含む水溶液に効率よく分離する方法を提供することを目的とするものである。
【0012】
【問題を解決するための手段】
本発明者らは、ポリカーボネート樹脂の有機溶媒溶液と水溶液とから構成され、液滴径が1〜100μmである油中水分散型(W/O)エマルジョンを金属性の濾材に通液すると、エマルジョンを構成している水相が濾材に一時捕集され、その後濾材から押し出される時に効率的に濾材表面で凝集成長し、低い圧力で容易に水相と油相に2相分離することを見出した。さらに、濾材から溢流してくる水相と油相の混合物をある一定時間静置分離させることにより、ポリカーボネート樹脂の有機溶媒溶液と水溶液とに容易に分離させることができ、不純物やダストが低減されたポリカーボネート樹脂溶液を得ることができることを見いだし、本発明を完成させた。
【0013】
即ち、本発明はポリカーボネート樹脂の有機溶媒溶液と水溶液とから構成され、液滴径が1〜100μmである油中水分散型(W/O)エマルジョンを、ポリカーボネート樹脂の有機溶媒溶液と水溶液とに分離する方法において、該エマルジョンを濾過精度10μm〜200μmの金属フィルターに通液した後、1分〜30分間静置分離させるポリカーボネート樹脂エマルジョンの分離方法である。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明でいうポリカーボネート樹脂の製法は、従来のポリカーボネート樹脂の製法と同様の製法、すなわち界面重合法、ピリジン法等の溶液法により製造されたものであり、二価フェノール系化合物を主成分とし、少量の分子量調節剤および所望により分岐化剤を用いてホスゲンと反応させることにより製造される。通常のビスフェノール類を使用してなる芳香族のホモ−或いはコーポリカーボネート樹脂、更に分岐化されたもの、末端に長鎖アルキル基を導入したものなどの、粘度平均分子量1,000〜100,000のものに適用可能である。さらには、末端停止剤やコモノマーとして炭素−炭素二重結合その他のグラフト可能点を持つポリカーボネート樹脂を製造し、これにスチレンなどをグラフトしたもの、またはポリスチレン等にフェノール系水酸基、その他のポリカーボネート樹脂のグラフト重合開始点を持つ化合物を共重合したもの、これにポリカーボネート樹脂をグラフト重合したものなど溶剤可溶性のポリカーボネート樹脂に使用可能である。通常用いられる芳香族ポリカーボネート樹脂としては、特に、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン〔ビスフェノールA〕を主原料とするポリカーボネートが挙げられ、これに例えば、1,1-(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン〔ビスフェノールZ〕や2,2-ビス(4-ヒドロキシ−3,5-ジメチルフェニル)プロパン〔テトラブロムビスフェノールA〕などを併用して得られるポリカーボネート共重合体、これらの分岐化物や末端長鎖アルキル変性したものにも適用可能である。
【0015】
本発明で使用するビスフェノール系化合物として好ましいものは、具体的にはビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3,5−ジブロム−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(2−t−ブチル−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、1,1−ビス(2−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)エタン、1−フェニル−1,1−ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノ−ルA;BPA)、2,2−ビス(3,5−ジブロム−4−ヒドロキシフェニル)プロパン(TBA),2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(2−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジフルオロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−クロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−フルオロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−1−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシ−5−クロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(2−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニルブタン、1,1−ビス(2−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ブタン、1,1−ビス(2−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)イソブタン、1,1−ビス(2−t−アミル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ブタン、1,1−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)プタン、1,1−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,1−ビス(2−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ヘプタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタンなどのビス(ヒドロキシアリール)アルカン類;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(ビスフェノールZ;BPZ)、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキサンなどのビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロアルカン類;4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシ−2,2’−ジメチルビフェニル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルビフェニル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジシクロヘキシルビフェニルなどのジヒドキシビフェニル類;ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エーテルなどのビス(ヒドロキシアリール)エーテル類;ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホンなどのビス(ヒドロキシアリール)スルホン類;ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)スルホキシドなどのビス(ヒドロキシアリール)スルホキシド類;ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルファイド、ビス(3−メチル4−ヒドロキシフェニル)スルファイドなどのビス(ヒドロキシアリール)スルファイド類;ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、その他、両末端フェノール変成シロキサン類などが例示される。これらは、2種類以上併用して用いてもよい。中でもビスフェノ−ルA、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンおよび2,2−ビス(3,5−ジブロム−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、から選ばれるものが望ましい。
【0016】
末端停止剤あるいは分子量調節剤としては一価のフェノール性水酸基を有する化合物が挙げられ、通常のフェノール、P-t-ブチルフェノール、トリブロモフェノール等の他、長鎖アルキルフェノール、脂肪族カルボン酸クロライド、脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸、芳香族酸クロライド、ヒドロキシ安息香酸アルキルエステル、アルキルエーテルフェノールなどが挙げられる。また、反応性二重結合を有するフェノール類を末端停止剤として用いてもよく、その場合の例として、アクリル酸、ビニル酢酸、2−ペンテン酸、3−ペンテン酸、5−ヘキセン酸、9−ウンデセン酸などの不飽和カルボン酸;アクリル酸クロライド、ソルビン酸クロライド、アリルアルコ−ルクロロホーメート、イソプロペニルフェノールクロロホルメートまたはヒドロキシスチレンクロロホーメート等の酸クロライドまたはクロロホーメート;イソプロペニルフェノール、ヒドロキシスチレン、ヒドロキシフェニルマレイミド、ヒドロキシ安息香酸アリルエステルまたはヒドロキシ安息香酸メチルアリルエステルなどの不飽和基を有するフェノール類等が挙げられる。
【0017】
これらの化合物は従来の末端停止剤と併用してもよいものであり、上記した二価フェノール系化合物1モルに対して、通常、1〜25モル%、好ましくは1.5〜10モル%の範囲で使用される。
【0018】
反応に用いられる有機溶媒としては、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、クロロホルム、トルエン、クロロベンゼン、1,1,1-トリクロロエタン、四塩化炭素などの塩素化炭化水素類;ベンゼン等の芳香族炭化水素;ジエチルエーテル等のエーテル系化合物を挙げることができ、これらの有機溶媒は二種以上を混合して使用することもできる。
【0019】
更に分岐化剤を上記の二価フェノール系化合物に対して、0.01〜5 モル%、特に0.1〜3.0モル%の範囲で併用して分岐化ポリカーボネートを合成することができ、分岐化剤としては、フロログルシン、2,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−3、3、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−2、1,3,5−トリ(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾール、1,1,1−トリ(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,6−ビス(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、α,α′,α″−トリ(4−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリイソプロピルベンゼンなどで例示されるポリヒドロキシ化合物、及び3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オキシインドール(=イサチンビスフェノール)、5−クロルイサチンビスフェノール、5,7−ジクロルイサチンビスフェノール、5ーブロムイサチンビスフェノールなどが例示される。
【0020】
製造されるポリカーボネート樹脂の分子量としては、粘度平均分子量として1,000〜100,000の範囲の中から選ばれるが、成型物の耐衝撃性や耐磨耗性などの要求される物性や成形性などから考慮すると、5,000〜50,000の範囲であることが好ましい。
【0021】
通常、界面重縮合反応では、芳香族ビスフェノール化合物を苛性アルカリ水溶液に溶解し、有機溶媒の存在下でホスゲン化反応させ、必要に応じて重縮合触媒を添加し撹拌することにより重合反応を行う。重縮合反応時におけるポリカーボネート樹脂の濃度は、有機溶媒溶液として30wt%以下であることが好ましい。ポリカーボネート樹脂の濃度が高すぎると粘度が高くなり好ましくない。
【0022】
重合反応が終了すると、ポリカーボネートの有機溶媒溶液(油相)と、副生成物の塩化物、炭酸塩、苛性アルカリなどの不純物を含む水溶液(水相)からなる混合物が得られる。この混合物は、油相と水相に分離することもあるが、油相中には依然として若干の水分を含有していたり、水相中に微細な樹脂溶液粒子が浮遊していたりしており、重合後の混合物はエマルジョン状を呈している。このエマルジョンは、W/O(油中水分散型)であることが多い。
【0023】
また、ポリカーボネート樹脂の有機溶媒溶液から不純物を除去して純度の高いポリカーボネート樹脂溶液を得る方法として、ポリカーボネート樹脂の有機溶媒溶液に対して、アルカリ性水溶液、酸性水溶液、純水などの洗浄水を加えて攪拌混合下に精製される。こうした洗浄はいずれかのみ、あるいは2種類または3種類以上の洗浄方法を組み合わせる場合があるが、本発明ではいずれの洗浄方法にも適用可能である。
【0024】
ポリカーボネート樹脂の有機溶媒溶液と洗浄水の混合方法としては、液−液混合を目的とした、市販に入手できる如何なる機器も使用可能であるが、所望の攪拌効率を得るために、一方回転式の攪拌機の他、往復反転式の攪拌機、インラインミキサー、スタティックミキサー、オリフィスミキサー、フルゾーン(神鋼パンティック(株))、マックスブレンド(住友重機械工業(株))、ホモミキサー(特殊機化工業(株))、スルーザーミキサー(住友重機械工業(株))やスタティックミキサーなどが好適である。
【0025】
エマルジョンを構成している油相と水相との関係は、O/W(水中油型)あるいはW/O(油中水型)の場合があるが、本発明においては、廃水を減少させることを目的として、W/O(油中水型)のエマルジョンにする。また、エマルジョンを構成している油相中の液滴径は、ポリカーボネート樹脂溶液の濃度、水溶液のpH、洗浄水の種類、油相と水相の容積比などによって異なるが、通常、1〜100μmが好ましい。液滴径は100μmを超えると、洗浄効果が悪くなり好ましくない。一方、1μm未満になると分離性能が低下してくるため好ましくない。
【0026】
本発明において、洗浄水と混合されたポリカーボネートの有機溶媒溶液は、上記の液滴径を有するため、攪拌を止めても容易に油相と水相に分離することはなく、通常エマルジョン状を呈している。
【0027】
エマルジョンの粘度は、10〜500cpの範囲であることが好ましい。エマルジョンの粘度を10cpより小さくするためには、ポリカーボネート樹脂溶液を有機溶媒で希釈しなければならず、その結果、濾過フィルターでの処理量が増大するため好ましくない。また、粘度が500cpを超える場合には、濾材での液体粒子の凝集作用が低下したり、濾過フィルターでの圧損が大きくなったりするため好ましくない。
【0028】
本発明の方法においては、重縮合反応終了時や洗浄水による精製工程において、ポリカーボネート樹脂の有機溶媒溶液と水溶液とから構成されるエマルジョンを、金属フィルターに通液する。エマルジョンはフィルターを通過する際に、微細な水滴が金属フィルターを構成している濾材に捕集され、その後濾材から押し出された水滴が効率的に濾材表面で凝集成長する。
【0029】
濾過フィルターの濾過精度は10〜200μmのものを用いることが好ましい。さらに好ましくは、10μmから100μmである。本発明において規定している濾過精度は絶対濾過精度を意味し、その孔径での硬質異物の濾過効率が100%であることをいう。
【0030】
使用するフィルターの濾過精度が10μm以下になると、液体粒子の凝集効果は上昇するが、異物によるフィルターの閉塞を生じ、一方で、フィルター圧損が極端に上昇してしまう。そのため再生あるいは更新に係わるランニングコストの増大を招くため好ましくない。また、濾過精度が200μm以上のフィルターを用いても、粒子の凝集作用が悪くなりエマルジョンの分離が不十分になってしまうため好ましくない。
【0031】
ポリカーボネート樹脂エマルジョンがフィルターを通過する際の線速度すなわち濾過速度は、0.01cm/secから20cm/secの範囲から選ばれることが好ましい。濾過速度を0.01cm/sec未満にすると、必要なフィルターの本数が多くなり装置が大きくなるので好ましくなく、20cm/secを超える場合にはフィルターでのエマルジョンの分離が不十分になり、後工程である静置分離で完全に分離させることができないため好ましくない。
【0032】
本発明において、使用される金属フィルターは、金属繊維でできたものが好ましく、金属繊維の不織布でできているものが特に好ましい。
【0033】
金属フィルターの材質としては特に制限はないが、なかでも、液体粒子の凝集効果やフィルターの圧損、耐溶剤性、耐腐食性などの観点から、オーステナイト系ステンレス鋼またはニッケル合金、中でも、SUS304、SUS316、SUS316L、SUS317、SUS347からなる金属材料、あるいは、ハステロイ( 登録商標 )C、インコロイ、モネルからなる金属材料を使用することが好ましい。
【0034】
フィルターの厚みについては、フィルター圧損に支障が無い程度で厚み(depth) が大きい程効果がある。具体的には、フィルターの厚みとして0.1mm〜200mmが一般的に用いられ、好ましくは0.1mm〜100mm、さらに好ましくは0.2mm〜50mmである。
【0035】
以上の操作によって、ポリカーボネート樹脂の有機溶媒溶液と水溶液とから構成されるエマルジョンは、油相と水相に分離されてフィルターから溢流してくる。しかしながら、エマルジョン状態に比べて液滴径は大きくなったものの、油相と水相が完全には分離していない。従って、本発明では、フィルターから溢流した混合液を1分〜30分間静置分離させることにより、油相と水相の分離を完全に行う。静置時間が1分未満では分離効果が不十分であり、30分を超えると大きな静置分離槽が必要になるため好ましくない。静置分離槽は単純な滞在槽でもよく、傾斜板を初めとする公知の技術を用いてもよい。
【0036】
また、フィルターから溢流してくる混合液を静置分離する際に、エマルジョンの中に含まれていたダストが、油相と水相の界面に集まってくる。これにより、ポリカーボネート有機溶媒溶液中のダスト濃度が低減される。油相から界面付近へのダストの移動を効率的に行うためにも、上述した様に、1分〜30分の静置分離時間が必要になる。さらに、連続運転を継続すると、油相と水相の界面にダストが蓄積することになるが、界面付近の水相と油相を除去して、重合反応工程や未反応フェノールの回収工程へ送り処理することが好ましい。
【0037】
以上の操作を1回あるいは複数回繰り返すことにより精製されたポリカーボネート樹脂の有機溶媒溶液(油相)を得ることができる。このポリカーボネート樹脂の有機溶媒溶液中の0.5〜1.0μmのダスト数は、ポリカーボネート樹脂1g当たり、50,000個以下にすることが可能であり、30,000個以下にする事もできる。このポリカーボネート樹脂の有機溶媒溶液は、公知の方法で有機溶媒を除去してポリカーボネート樹脂固形物を得る。さらに必要に応じて、乾燥機を用いて有機溶媒を完全に除去したり、押出機を用いてペレット化したりすることにより、ダストの少ない光学材料等に有用なポリカーボネート樹脂を得ることができる。
【0038】
【実施例】
次に本発明を実施例を用いて詳しく説明するが、本発明の範囲はこれにより制限されるものではない。
【0039】
(ダスト測定方法)
ポリカーボネートの樹脂液またはエマルジョン100mLをビーカーにサンプリングし、ホットプレート(表面温度120℃)にビーカーを置き、溶媒と水分を蒸発させ、固形のポリカーボネート樹脂を得た。固形ポリカーボネート樹脂1gをメチレンクロライド100ccに溶解し、ハイアック−ロイコ社製微粒子カウンター4100型を用いて、固形ポリカーボネート樹脂1g中に含まれる、0.5〜1.0μmのサイズのダスト数を測定した。なお、ダストの測定値は他のどのような測定方法であっても、この数値は大きく変わらない。
【0040】
(樹脂エマルジョンの粘度測定方法)
東京計器製E型回転式粘度計、型番:デジタルビスコメーターDV L−Bで測定した。
(エマルジョンの液滴径の測定方法)
堀場製作所(株)製超遠心式自動粒度分布測定装置、型番CAPA-700にて測定した。
(ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量の測定方法)
ウベローデ型の細管粘度計で極限粘度を測定し、シュネルの式で換算した。
(ポリカーボネート樹脂溶液中の含水率の測定方法)
カールフィッシャー水分計(京都エレクトロニクス:型番MKA−210)で測定した。
【0041】
実施例1
(ポリカーボネート樹脂溶液の合成)
水酸化ナトリウム3.7kgを水42リットルに溶解し、これに二価フェノールとしてビスフェノールA7kgおよびハイドロサルファイト29gを溶解した。これにメチレンクロライド(MC)35リットルを加えて撹拌しつつ、p−t−ブチルフェノール120gを加え、次いでホスゲン3.6kgを60分かけて吹き込んだ。ホスゲン吹き込み後、激しく撹拌して反応液を乳化させ、乳化後、8gのトリエチルアミンを加え約1時間撹拌し重合させた。混合物を30分間静置させると、水溶液とMC層とに分離した。得られたMC層をポリカーボネートの樹脂溶液として実施例で使用した。MC層を約10ccサンプリングして溶媒を揮散させ固形のポリカーボネートを得、粘度平均分子量を測定したところMv=28,500であった。
【0042】
(ポリカーボネート樹脂溶液の洗浄)
前記のポリカーボネート合成によって得られたポリカーボネート樹脂溶液20Lに、1%硫酸2Lを加え、ホモミキサー(特殊機化工業)を用いて攪拌混合し、W/O(油中水分散型)エマルジョン溶液を調製した。エマルジョンの粘度は220cp、エマルジョンの液滴径は約80μmであった。またダスト数は、135,600個/gであった。
【0043】
(フィルターによる液液分離)
フィルターとしてTFSジャパン(株)製、材質SUS316、不織布、品番421メタルフィルター、濾過精度30μm、大きさ52mmφ×254mm、厚さ5mmをガラス製ハウジングに取り付けて、攪拌槽よりフィルターの外から中へエマルジョン溶液を250kg/hの流量(濾過速度:0.14cm/sec)でギアポンプを用いて圧送した。このときのフィルターの圧力損失は、0.3kg/cm2であった。ポリカーボネート樹脂溶液をハウジング出口から取り出して分液ロートに移し、10分間静置分離したあと、塩化メチレン層のところをサンプリングして水分を測定したところ0.2w/v %、ダスト数20,500個/gであった。
【0044】
実施例2
フィルターとして日本ポール(株)製、材質SUS316、不織布、品番PMFポリマーメルト、濾過精度40μm、大きさ35mmφ×250mm、厚さ5mmをガラス製ハウジングに取り付けて、攪拌槽よりフィルターの中から外へ、実施例1で使用したエマルジョン溶液を250kg/h(濾過速度:0.21cm/sec)の流量でギアポンプを用いて圧送した。このときのフィルターの圧力損失は、0.2kg/cm2で、ガラスハウジングを通してメタルフィルターの表面で凝集分離を確認するとともに、ポリカーボネート樹脂溶液をハウジング出口から取り出して分液ロートに移し、5分間静置分離したあと、塩化メチレン層の含水率を測定したところ0.2w/v %、ダスト数22,500個/gであった。
【0045】
比較例1
実施例1で用いたエマルジョン溶液を、フィルター濾過せず分液ロートに移しそのまま1時間静置分離したのち、塩化メチレン層の含水率を測定したところ3.2w/v %、ダスト数110,500個/gであった。
【0046】
比較例2
実施例2において、分液ロートでの静置分離を30秒間にした以外は同様にして実験を行い、塩化メチレン層の含水率を測定したところ2.5w/v %、ダスト数100,450個/gであった。
【0047】
比較例3
実施例2において、フィルターとして日本ポール(株)製、材質SUS316、不織布、品番PMFポリマーメルト、濾過精度5μm、大きさ35mmφ×250mm、厚さ5mmをガラス製ハウジングに取り付けて、攪拌槽よりフィルターの中から外へエマルジョン溶液を50kg/h(濾過速度:0.04cm/sec)の流量でギアポンプを用いて圧送した。このときのフィルターの圧力損失は、8.3kg/cm2であった。ポリカーボネート樹脂溶液をハウジング出口から取り出して分液ロートに移し、5分間静置分離したあと、塩化メチレン層の含水率を測定したところ、3.5w/v %、ダスト数113,400個/gであった。
【0048】
実施例3
実施例2において、フィルターとして日本ポール(株)製、不織布、材質SUS316、品番PMFポリマーメルト、濾過精度20μm、大きさ35mmφ×250mm、厚さ5mmをガラス製ハウジングに取り付け、流量600kg/h(濾過速度:0.51cm/sec)でフィルターに送液した以外は同様にして実験を行ったところ、塩化メチレン層の含水率は0.3w/v %、ダスト数24,700個/gであった。
【0049】
実施例4
(ポリカーボネート樹脂溶液の合成)
水酸化ナトリウム3.7kgを水42リットルに溶解し、これに二価フェノールとしてビスフェノールA7kgおよびハイドロサルファイト29gを溶解した。これにメチレンクロライド(MC)35リットルを加えて撹拌しつつ、p−t−ブチルフェノール190gを加え、次いでホスゲン3.7kgを60分かけて吹き込んだ。ホスゲン吹き込み後、激しく撹拌して反応液を乳化させ、乳化後、8gのトリエチルアミンを加え約1時間撹拌し重合させた。混合物を30分間静置させると、水溶液とMC層とに分離した。得られたMC層をポリカーボネートの樹脂溶液として実施例で使用した。MC層を約10ccサンプリングして溶媒を揮散させ固形のポリカーボネートを得、粘度平均分子量を測定したところMv=21,500であった。
【0050】
(ポリカーボネート樹脂溶液の洗浄)
前記のポリカーボネート合成によって得られたポリカーボネート樹脂溶液20Lに、1%水酸化ナトリウム水溶液2Lを加え、ホモミキサー(特殊機化工業)を用いて攪拌混合し、W/O(油中水分散型)エマルジョン溶液を調製した。エマルジョンの粘度は460cp、エマルジョンの液滴径は約5μmであった。またダスト数は、147,300個/gであった。
【0051】
(フィルターによる液液分離)
フィルターとして実施例2で使用したものをガラス製ハウジングに取り付けて、攪拌槽よりフィルターの中から外へエマルジョン溶液を400kg/hの流量(濾過速度:0.34cm/sec)でギアポンプを用いて圧送した。このときのフィルターの圧力損失は、0.4kg/cm2で、ガラスハウジングを通してメタルフィルターの表面で凝集分離を確認するとともに、ポリカーボネート樹脂溶液をハウジング出口から取り出して分液ロートに移し、5分間静置分離したあと、塩化メチレン層の含水率を測定したところ0.4w/v %、ダスト数は22,200個/gであった。
【0052】
比較例4
実施例4で用いたエマルジョンを、フィルター濾過せず分液ロートに移しそのまま1時間静置分離させたが、有機相と水相に分離しなかった。
【0053】
比較例5
実施例4で使用したエマルジョンを、市販のストレーナー(配管サイズ1インチ、40メッシュ、線径0.23mm、目開き405μ)に、流量250kg/hで送液し、ストレーナーから溢流する液体を分液ロートに移して1時間静置分離したが、依然としてエマルジョン状態を維持しており、有機相と水相に分離しなかった。
【0054】
比較例6
フィルターとして日本ポール(株)製、材質ポリプロピレン、品番プロファイルII、不織布、濾過精度30μm、大きさ53mmφ×254mm、厚さ20mmをガラス製ハウジングに取り付けて、攪拌槽よりフィルターの中から外へ、実施例4で使用したエマルジョン溶液を250kg/h(濾過速度:0.14cm/sec)の流量でギアポンプを用いて圧送した。このときのフィルターの圧力損失は、0.2kg/cm2で、ガラスハウジングを通してメタルフィルターの表面で凝集分離を確認するとともに、ポリカーボネート樹脂溶液をハウジング出口から取り出して分液ロートに移し、20分間静置分離したあと、塩化メチレン層の含水率を測定したところ2.7w/v %、ダスト数92,500個/gであった。
【0055】
実施例5
(ポリカーボネート樹脂溶液の合成)
水酸化ナトリウム4.0kgを水42リットルに溶解し、これに二価フェノールとしてビスフェノールA7kg、及びハイドロサルファイト29gを溶解した。これにメチレンクロライド(MC)35リットルを加えて撹拌しつつ、p−t−ブチルフェノール240gを加え、次いでホスゲン3.9kgを60分かけて吹き込んだ。ホスゲン吹き込み後、激しく撹拌して反応液を乳化させ、乳化後、8gのトリエチルアミンを加え約1時間撹拌し重合させた。混合物を30分間静置させると、水溶液とMC層とに分離した。得られたMC層をポリカーボネートの樹脂溶液として実施例で使用した。MC層を約10ccサンプリングして溶媒を揮散させ固形のポリカーボネートを得、粘度平均分子量を測定したところMv=17,300であった。
【0056】
(ポリカーボネート樹脂溶液の洗浄)
前記のポリカーボネート合成によって得られたポリカーボネート樹脂溶液20Lに、1%水酸化ナトリウム水溶液2Lを加え、ホモミキサー(特殊機化工業)を用いて攪拌混合し、W/O(油中水分散型)エマルジョン溶液を調製した。エマルジョンの粘度は370cp、エマルジョンの液滴径は約12μmであった。またダスト数は、128,900個/gであった。
【0057】
(フィルターによる液液分離)
フィルターとしてTFSジャパン(株)製、材質SUS316、不織布、品番421メタルフィルター、濾過精度30μm、大きさ52mmφ×254mm、厚さ5mmをガラス製ハウジングに取り付けて、攪拌槽よりフィルターの中から外へエマルジョン溶液を50kg/h(濾過速度:0.03cm/sec)の流量でギアポンプで圧送した。このときのフィルターの圧力損失は、0.5kg/cm2で、ガラスハウジングを通してメタルフィルターの表面で凝集分離を確認するとともに、ポリカーボネート樹脂溶液をハウジング出口から取り出して分液ロートに移し、30秒間静置分離した後、塩化メチレン層の含水率を測定したところ2w/v %であった。さらに5分間静置分離したあと、塩化メチレン層の含水率を測定したところ0.3w/v %、ダスト数は22,100個/gであった。
【0058】
実施例6
(ポリカーボネート樹脂溶液の洗浄)
実施例5の(ポリカーボネート樹脂溶液の合成)で調製された樹脂溶液20Lに、3w/v %燐酸水溶液2Lを加え、ホモミキサー(特殊機化工業)で攪拌混合し、W/O(油中水分散型)エマルジョン溶液を調製した。このエマルジョン溶液の粘度を測定したところ、220cp、またエマルジョン液滴径の大きさは、約50μmであった。
【0059】
(フィルターによる液液分離)
フィルターとして富士フィルター工業(株)製、材質ハステロイC、不織布、フジメタルファイバー、濾過精度10μm、外径50mmφ、内径43mmφ、厚さ1mm、長さ250mmをガラス製ハウジングに取り付けて、攪拌槽よりフィルターの中から外へエマルジョン溶液を420kg/h(濾過速度:0.25cm/sec)の流量でギアポンプで圧送した。このときのフィルターの圧力損失は、0.4kg/cm2で、ガラスハウジングを通してメタルフィルターの表面で凝集分離を確認するとともに、ポリカーボネート樹脂溶液をハウジング出口から取り出して分液ロートに移し、10分間静置分離したあと、塩化メチレン層の含水率を測定したところ0,2w/v %、ダスト数は9,500個/gであった。
【0060】
比較例7
実施例6において、ホモミキサーの代わりに一方回転式タービン翼(翼直径440mm、翼幅15mm、回転数120rpm)を使用した以外は同様に実験を行ったところ、W/Oエマルジョンが得られ、液滴径は180μmであった。
フィルターとしてTFSジャパン(株)製、材質SUS316、不織布、品番421メタルフィルター、濾過精度30μm、大きさ52mmφ×254mm、厚さ5mmをガラス製ハウジングに取り付けて、攪拌槽よりフィルターの中から外へエマルジョン溶液を50kg/h(濾過速度:0.03cm/sec)の流量でギアポンプで圧送した。このときのフィルターの圧力損失は、0.7kg/cm2で、ガラスハウジングを通してメタルフィルターの表面で凝集分離を確認するとともに、ポリカーボネート樹脂溶液をハウジング出口から取り出して分液ロートに移し、10分間静置分離した後、塩化メチレン層の含水率を測定したところ0.6w/v %、ダスト数は124,300個/gであった。
【0061】
実施例7
(ポリカーボネート樹脂溶液の合成)
水酸化ナトリウム4.5kgを水50リットルに溶解し、これに二価フェノールとしてビスフェノールA7.3kg、及びハイドロサルファイト29gを溶解した。これにメチレンクロライド(MC)50リットルを加えて撹拌しつつ、p−t−ブチルフェノール100gを加え、次いでホスゲン3.9kgを60分かけて吹き込んだ。ホスゲン吹き込み後、激しく撹拌して反応液を乳化させ、乳化後、8gのトリエチルアミンを加え約1時間撹拌し重合させた。混合物を30分間静置させるても水溶液とMC層とには分離せず、W/O(油中水分散型)のエマルジョンを呈していた。エマルジョンを約10ccサンプリングして溶媒と水分を揮散させ固形のポリカーボネートを得、粘度平均分子量を測定したところMv=34,500であった。エマルジョンの粘度は370cp、エマルジョンの液滴径は約8μmであった。またダスト数は、117,700個/gであった。
【0062】
(フィルターによる液液分離)
フィルターとしてTFSジャパン(株)製、材質SUS316、不織布、品番421メタルフィルター、濾過精度30μm、大きさ52mmφ×254mm、厚さ5mmをガラス製ハウジングに取り付けて、攪拌槽よりフィルターの中から外へエマルジョン溶液を100kg/h(濾過速度:0.56cm/sec)の流量でギアポンプで圧送した。このときのフィルターの圧力損失は、0.8kg/cm2で、ガラスハウジングを通してメタルフィルターの表面で凝集分離を確認するとともに、ポリカーボネート樹脂溶液をハウジング出口から取り出して分液ロートに移し、30秒間静置分離した後、塩化メチレン層の含水率を測定したところ2.5w/v %、ダスト数は88,600個/gであった。さらに5分間静置分離したあと、塩化メチレン層の含水率を測定したところ0.3w/v %、ダスト数は15,700個/gであった。
【0063】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、ポリカーボネート樹脂エマルジョンから、不純物とダストが低減されたポリカーボネート樹脂の有機溶媒溶液と、水溶液とに、低コスト、省エネルギーで効率よく分離することができる。

Claims (7)

  1. ポリカーボネート樹脂の有機溶媒溶液と水溶液とから構成され、液滴径が1〜100μmである油中水分散型(W/O)エマルジョンを、ポリカーボネート樹脂の有機溶媒溶液と水溶液とに分離する方法において、該エマルジョンを濾過精度10〜200μmで厚さ0.2〜5mmのプリーツタイプの金属フィルターに通液した後、1分〜30分間静置分離させることを特徴とするポリカーボネート樹脂エマルジョンの分離方法。
  2. 金属フィルターが金属繊維である請求項1に記載のポリカーボネート樹脂エマルジョンの分離方法。
  3. 金属フィルターが金属繊維の不織布である請求項1に記載のポリカーボネート樹脂エマルジョンの分離方法。
  4. 金属フィルターの材質がオーステナイト系ステンレス鋼またはニッケル合金からなる請求項1に記載のポリカーボネート樹脂エマルジョンの分離方法。
  5. 金属フィルターの材質がSUS304、SUS316、SUS316L、SUS317およびSUS347から選ばれた少なくとも1種である請求項5に記載のポリカーボネート樹脂エマルジョンの分離方法。
  6. 金属フィルターの材質がハステロイ( 登録商標 )C、インコロイおよびモネルから選ばれた少なくとも1種である請求項5に記載のポリカーボネート樹脂エマルジョンの分離方法。
  7. ポリカーボネート樹脂エマルジョンの粘度が、10〜500cpである請求項1記載のポリカーボネート樹脂エマルジョンの分離方法。
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