JP4081847B2 - 燃料噴射装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の燃料噴射装置に関し、特に、ポンプ室に燃料を供給する供給流路に介装された燃料遮断弁と、前記ポンプ室から燃料を逃すスピル流路に介装されたスピル弁とを備えた燃料噴射装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、プランジャの往復動により拡縮するポンプ室に燃料を供給する供給流路に介装された燃料遮断弁とポンプ室から燃料を逃すスピル流路に介装されたスピル弁とを備え、ポンプ室からの燃料圧送途中でスピル弁を開閉制御して燃料噴射量を制御する燃料噴射装置が用いられている。
【0003】
このような燃料噴射装置では、スピル弁が閉弁した状態で故障した場合には、燃料噴射量の制御ができなくなるばかりでなく、オーバラン状態となってしまう。そこで、スピル弁が閉弁した状態で故障した際には、燃料遮断弁を閉弁させて内燃機関の運転を停止するようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、こうした従来のものでは、燃料遮断弁が同時に開弁した状態で故障した場合には、燃料供給を遮断できなくなるので、内燃機関のオーバランを防止できないという問題があった。一方、燃料遮断弁に異物がつまる等により開弁した状態で故障しても、スピル弁が正常に制御できている間は、内燃機関の運転を制御できるので、燃料遮断弁の故障を運転者が気付きにくいという問題があった。
【0005】
本発明の課題は、燃料遮断弁の故障を判定して、内燃機関のオーバランを防止することができる燃料噴射装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を達成すべく、本発明は課題を解決するため次の手段を取った。即ち、
回転及び往復動するプランジャの往復動により拡縮するポンプ室と、前記プランジャの回転により前記プランジャに形成されたスリットを介して連通されて前記ポンプ室に燃料を供給する供給流路に介装された燃料遮断弁と、前記ポンプ室から燃料を逃すスピル流路に介装されたスピル弁とを備え、
内燃機関の回転数とアクセル開度とを含む運転条件に基づいて算出した噴射量指令値に応じて前記スピル弁の開閉を制御する燃料噴射装置において、
イグニッションスイッチがオフとされたときに、前記スピル弁の閉弁時期を前記燃料遮断弁が開弁して前記ポンプ室へ燃料を吸入する時期にまで早めて前記スピル流路から前記ポンプ室への燃料吸入を遮断すると共に、前記燃料遮断弁に閉弁する信号を出力し、閉弁する信号により前記内燃機関が停止しないときには前記燃料遮断弁が故障したと判定する故障判定手段を備えたことを特徴とする燃料噴射装置がそれである。
【0007】
また、前記故障判定手段は、イグニッションスイッチがオフとされたときに、前記スピル弁の閉弁時期を前記燃料遮断弁が開弁して前記ポンプ室へ燃料を吸入する時期にまで早めて前記スピル流路から前記ポンプ室への燃料吸入を遮断し、その後に前記燃料遮断弁に閉弁する信号を出力し、閉弁する信号により前記内燃機関が停止しないときには前記燃料遮断弁が故障したと判定するようにしてもよい。更に、前記故障判定手段により前記燃料遮断弁が故障したと判定したときには異常を報知する報知手段を備えるようにしてもよい。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1に示すように、1は噴射ポンプで、噴射ポンプ1は往復動可能に支持されたプランジャ2を備えている。プランジャ2にはカムプレート4が取り付けられており、カムプレート4に対向してカムローラ6が設けられている。図示しない内燃機関の回転と共にカムプレート4が回転されると、カムプレート4がプランジャ2と共に往復動される。
【0009】
プランジャ2の往復動によりポンプ室8の容積が拡縮し、ポンプ室8内の燃料が加圧されて、燃料噴射弁10に供給される。燃料噴射弁10に供給された燃料は、図示しない燃焼室内に噴射される。ポンプ室8には供給流路12とスピル流路14とが接続されており、供給流路12とスピル流路14とは図示しない燃料室に連通されている。
【0010】
供給流路12には燃料遮断弁16が介装されており、スピル流路14にはスピル弁18が介装されている。本実施形態では、燃料遮断弁16は、図2に示すように、ソレノイド20に駆動電流が供給されると、弁体22を移動して供給流路12を連通し、ばね24の付勢力により弁体22を移動して供給流路12を遮断する構造のものである。
【0011】
また、スピル弁18は、図3に示すように、ソレノイド26に駆動電流が供給されると、弁体28を移動してスピル流路14を遮断し、ばね29の付勢力により弁体28を移動してスピル流路14を連通する構造のものである。
一方、内燃機関の回転数を検出する回転数センサ30が設けられると共に、運転者により操作される図示しないアクセルペダルの開度を検出するアクセルセンサ32も設けられている。これらの回転数センサ30、アクセルセンサ32は、電子制御回路50に接続されており、電子制御回路50は、周知のCPU52、ROM54、RAM56を論理演算回路の中心として構成され、外部と入出力を行う入出力回路58をコモンバス60を介して相互に接続されている。
【0012】
CPU52は、回転数センサ30、アクセルセンサ32からの信号を入出力回路58を介して入力する。一方、これらの信号及びROM54、RAM56内のデータや予め記憶された制御プログラムに基づいてCPU52は、内燃機関の運転状態に応じた燃料噴射量等を算出し、その算出値に基づいて入出力回路58を介してドライブ回路62に駆動信号を出力する。ドライブ回路62は駆動信号を受けて、スピル弁18に駆動電流を出力する。
【0013】
次に、前述した電子制御回路50において行われる開閉制御処理について、図4のフローチャートによって説明する。
まず、内燃機関の運転が開始されると、回転数センサ30により検出された回転数NEとアクセルセンサ32により検出されたアクセル開度ACCPFとから図示しないマップ等に基づいて噴射量指令値QFINが算出される(ステップ100)。
【0014】
次に、スピル弁18の閉弁時期QPANGFを回転数センサ30により検出された回転数NEと前回の開弁時期QANGFとから算出する(ステップ110)。そして、スピル弁18の開弁時期QANGFを回転数センサ30により検出された回転数NEと噴射量指令値QFINとから算出する(ステップ120)。続いて、この算出した閉弁時期QPANGFと開弁時期QANGFとに応じた駆動信号をドライブ回路62に出力する(ステップ130)。ドライブ回路62は、この駆動信号を受けてスピル弁18に駆動電流を出力する。
【0015】
図6に示すように、供給流路12はポンプ室8が圧縮された後にプランジャ2の回転及びプランジャ2先端のスリットにより連通されて、プランジャ2の後退と共にポンプ室8には供給流路12及びスピル流路14から燃料が吸入される。そして、ポンプ室8が拡張された後、供給流路12は遮断される。
【0016】
スピル弁18は、プランジャ2がポンプ室8を圧縮し始める閉弁時期QPANGFに閉弁され、これによりポンプ室8から圧縮された燃料が燃料噴射弁10に供給される。また、開弁時期QANGFとなると、スピル弁18が開弁されて、ポンプ室8からスピル流路14を通って燃料が燃料室に戻される。よって、閉弁時期QPANGFと開弁時期QANGFとの間の期間で燃料噴射弁10から燃料が噴射される。
【0017】
開閉制御処理が繰り返し実行されている間、図5に示す故障判定処理が繰り返し実行される。
まず、故障判定処理では、図示しないイグニッションスイッチがオフとされたか否かを判断し(ステップ200)、オフとされていないときには、一旦本制御処理を終了する。運転者によりイグニッションスイッチが操作されてオフとされたときには、スピル弁18の閉弁時期QPANGFを前出しする処理を実行する(ステップ210)。
【0018】
この前出し処理では、ステップ120の処理の実行により算出した閉弁時期QPANGFを、図6(ハ)に破線で示すように、燃料遮断弁16が開弁してポンプ室8へ燃料を吸入する時期と同じか、それよりも早める処理を行う。燃料遮断弁16が開弁する前の時期にまでスピル弁18の閉弁時期を早めると、スピル流路14からポンプ室8には燃料が供給されなくなる。
【0019】
次に、燃料遮断弁16を閉弁する処理を実行する(ステップ220)。これにより、燃料遮断弁16が正常に動作して、供給流路12を遮断すると、ポンプ室8には供給流路12からも燃料が供給されなくなる。続いて、内燃機関が停止したか否かを判断する(ステップ230)。停止したか否かは、回転数センサ30により検出される回転数NEが0となったか否か等により判断すればよい。内燃機関が停止したときには、供給流路12が燃料遮断弁16により正常に遮断されたと判断して、一旦本制御処理を終了する。
【0020】
内燃機関が停止しないときには、燃料遮断弁16に信号を出力しても、燃料遮断弁16が正常に動作せず、供給流路12からポンプ室8に燃料が供給されている異常な状態であると判断する。そして、燃料遮断弁16が故障したことを運転者に報知するために、故障ランプ64を点灯する等の報知を実行する(ステップ240)。尚、前記故障判定処理の実行が故障判定手段として働き、故障ランプ64、ステップ240の処理の実行が報知手段として働く。
【0021】
内燃機関の運転停止時に、スピル弁18の閉弁時期を前出しして、スピル流路14からポンプ室8への燃料供給を遮断する。その後、燃料遮断弁16を閉弁して供給流路12からポンプ室8への燃料供給を遮断する。燃料遮断弁16が正常に動作して供給流路12が遮断されると、燃料供給が遮断されるので、内燃機関は停止する。
【0022】
一方、燃料遮断弁16に異物が詰まったりして、弁体22により供給流路12を遮断できないと、供給流路12から引続きポンプ室8に燃料が供給されるので、内燃機関の運転は停止しない。これにより、燃料遮断弁16が開弁した状態で故障していると判断できる。
【0023】
以上本発明はこの様な実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得る。
【0024】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明の燃料噴射装置は、内燃機関の運転停止時に、スピル弁の閉弁時期を早くすると共に、燃料遮断弁を閉弁して供給流路からの燃料供給を遮断する。よって、燃料遮断弁が正常に動作していれば内燃機関は停止し、燃料遮断弁に異物が詰まったりして供給流路を遮断できないと、内燃機関は停止しないので、燃料遮断弁が開弁した状態で故障していると判定できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態としての燃料噴射装置の概略構成図である。
【図2】本実施形態の燃料遮断弁の概略構成図である。
【図3】本実施形態のスピル弁の概略構成図である。
【図4】本実施形態の電子制御回路で行われる開閉制御処理の一例を示すフローチャートである。
【図5】本実施形態の電子制御回路で行われる故障判定処理の一例を示すフローチャートである。
【図6】本実施形態のスピル弁と供給流路の開閉タイミングを示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
1…噴射ポンプ 2…プランジャ
8…ポンプ室 10…燃料噴射弁
12…供給流路 14…スピル流路
16…燃料遮断弁 18…スピル弁
30…回転数センサ 32…アクセルセンサ
50…電子制御回路
Claims (3)
- 回転及び往復動するプランジャの往復動により拡縮するポンプ室と、前記プランジャの回転により前記プランジャに形成されたスリットを介して連通されて前記ポンプ室に燃料を供給する供給流路に介装された燃料遮断弁と、前記ポンプ室から燃料を逃すスピル流路に介装されたスピル弁とを備え、
内燃機関の回転数とアクセル開度とを含む運転条件に基づいて算出した噴射量指令値に応じて前記スピル弁の開閉を制御する燃料噴射装置において、
イグニッションスイッチがオフとされたときに、前記スピル弁の閉弁時期を前記燃料遮断弁が開弁して前記ポンプ室へ燃料を吸入する時期にまで早めて前記スピル流路から前記ポンプ室への燃料吸入を遮断すると共に、前記燃料遮断弁に閉弁する信号を出力し、閉弁する信号により前記内燃機関が停止しないときには前記燃料遮断弁が故障したと判定する故障判定手段を備えたことを特徴とする燃料噴射装置。 - 前記故障判定手段は、イグニッションスイッチがオフとされたときに、前記スピル弁の閉弁時期を前記燃料遮断弁が開弁して前記ポンプ室へ燃料を吸入する時期にまで早めて前記スピル流路から前記ポンプ室への燃料吸入を遮断し、その後に前記燃料遮断弁に閉弁する信号を出力し、閉弁する信号により前記内燃機関が停止しないときには前記燃料遮断弁が故障したと判定することを特徴とする請求項1記載の燃料噴射装置。
- 前記故障判定手段により前記燃料遮断弁が故障したと判定したときには異常を報知する報知手段を備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の燃料噴射装置。
Priority Applications (1)
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JP10790898A JP4081847B2 (ja) | 1998-04-17 | 1998-04-17 | 燃料噴射装置 |
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JP10790898A JP4081847B2 (ja) | 1998-04-17 | 1998-04-17 | 燃料噴射装置 |
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JPH11303668A JPH11303668A (ja) | 1999-11-02 |
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JP10790898A Expired - Fee Related JP4081847B2 (ja) | 1998-04-17 | 1998-04-17 | 燃料噴射装置 |
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1998
- 1998-04-17 JP JP10790898A patent/JP4081847B2/ja not_active Expired - Fee Related
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