JP4081298B2 - 千鳥縫いミシン - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、千鳥縫いミシン、さらに詳細には、生地を所定のピッチで正逆方向に送るとともに、生地の送り方向と直交する方向に針または生地を揺動させて生地に千鳥縫い目を形成する千鳥縫いミシンに関する。
【0002】
【従来の技術】
このような千鳥縫いミシンにおいて、千鳥縫いに用いられる縫いデータは、千鳥縫い目が、針又は生地のX方向に沿った揺動方向の移動量と、Y方向である布送り方向のピッチによって定まり、またそのピッチはミシンの目盛ダイヤルなど機械的な手段で設定されるので、千鳥縫いの縫いデータは、揺動値をX座標で記述し、Y方向を、布送りの正逆方向、つまりプラスかマイナスで記述するデータとなっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
最近、縫いに使用される縫いデータは、ミシンで作成されるだけではなく、外部から供給されるデータから作成されており、この場合、針落ち点をX座標とY座標で記述するベクトルデータ(座標データ)からなる針落ちデータがミシンに供給されることが多くなっている。しかしながら、ベクトルデータは、針落ち点がX、Y座標で記述されていることから、そのままでは千鳥縫いミシンの針落ちデータとして利用することができない、という問題がある。
【0004】
本発明の課題は、このような問題点に鑑みてなされたもので、ベクトルデータで記述されている針落ちデータから簡単な方法で千鳥縫いの縫いデータを作成して千鳥縫いを行うことが可能な千鳥縫いミシンを提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、この課題を解決するために、
生地を所定のピッチで正逆に送ることが可能な布送り手段と、
前記ピッチを設定するピッチ設定手段と、
前記送り方向と直交する方向に針または生地を揺動する揺動手段とを備え、
前記布送り手段と前記揺動手段とを駆動することで、生地に千鳥縫い目を形成する千鳥縫いミシンにおいて、
外部から針落ちデータを入力する入力手段と、
前記針落ちデータから針落ち点における揺動方向のX座標データおよび前記送り方向の正逆方向データからなる縫いデータを作成する演算手段と、
演算した各データを記憶する記憶手段と、
前記ピッチ設定手段により設定されたピッチで、前記正逆方向データに基づいて正方向又は逆方向に送るように布送り手段を制御すると共に、前記X座標データに基づいて針または生地を揺動するように揺動手段を制御する制御手段とを備える構成を採用している。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下図面に示す実施の形態に基づいて本発明を詳細に説明する。
【0007】
図1には、本発明に係わる千鳥縫いミシンの概観が図示されており、同図において、主軸を回転させる主軸モータ1により針棒2に支持された針3が上下動される。この針3の上下動に関連して針板4上に布送り装置(布送り手段)の送り歯が出没し、それにより押さえ板5に押さえられた布が送られ、布送り装置との協働により布に縫目が形成される。布の縫い送りピッチは送り目盛ダイヤル(ピッチ設定手段)6で設定することができ、また縫い始めあるいは終わりのときに行われる止め縫いは、コンデンス目盛ダイヤル7でコンデンス送りピッチを設定して、その設定されたピッチの送り量で送り装置を駆動することにより行われる。コンデンス送り量は、正送り量と同量の逆送り量からゼロに設定可能であり、通常の設定量としては、略ゼロ又は正送り量と同量の逆送り量とされる。その場合、返し縫いレバー8を操作することにより、または止め縫い時に図示しない返し縫いソレノイドを駆動することにより、送り量を切り換えてコンデンス縫いを行うことができる。なお、9は電源スイッチであり、10は各種の設定を行う表示部を備えた操作パネルである。
【0008】
本発明の千鳥縫いミシンには、図2に図示されたような針振り機構(揺動手段)が設けられ、針3を支持する針棒2は、針振りモータ(例えば、ステッピングモータ又はサーボモータ)11で駆動されるリンク機構12により、布送り装置の布送り作用と同期させながら布送り方向に対して直交する方向(図2の矢印の方向)に往復に揺動され、それにより所定の針振りパターンの縫目を形成することができる。針振り機構には、針振りモータ11の回転とともに回転する遮蔽板11aを検知する原点センサ13が設けられ、針振り位置の原点が検出される。なお、揺動手段は、針を揺動させるのではなく、布を揺動させることによっても実現できる。
【0009】
図3には、千鳥縫いミシンの制御システムがブロック図として示されており、演算手段ないし制御手段としてのCPU20は、全体のミシン制御を司るもので、CPU20には、パーソナルコンピュータなどの外部装置21から縫製に必要な針落ちデータがベクトルデータ(座標データ)として入出力手段22を介して入力される。入出力手段22は、通信装置あるいはメモリカードリーダなどである。この入出力手段22を介して外部装置21へベクトルデータが出力される。また、CPU20には、送り目盛ダイヤル6で設定された布送りピッチ、コンデンス目盛ダイヤル7で設定されたコンデンス送りピッチ、操作パネル10で設定される設定値などの種々の設定データ、並びにミシン起動ペダルから発生されるミシン起動指令23や原点センサ13からの信号が入力される。
【0010】
また、CPU20には、制御プログラムを格納したROM30、演算データを格納しワークエリアとして使用されるRAM31、縫いプログラムなど種々のプログラム、縫製に必要な縫製データ、針落ちデータ、設定データなどを格納する不揮発性メモリ(記憶手段)32が接続されている。
【0011】
CPU20は、ミシン起動指令23の信号により起動され、送り目盛ダイヤル6、コンデンス目盛ダイヤル7、設定パネル10などで設定されたデータに基づいて主軸モータ1、針振りモータ11を回転させ、また布送りモータ24、糸調子ソレノイド、メスソレノイドなどの種々のアクチュエータ25を作動して針落ちデータに従って縫製の制御を行う。
【0012】
本発明では、針落ちデータが外部装置21からベクトルデータとして入力され、これが千鳥縫いの針落ちデータに変換されて縫いが行われる。ベクトルデータは、図4(A)に図示したように、針落ち点pn(n=1、2、3、4、.....)が座標値(xn、yn)として記述される座標データであり、一方、千鳥縫いで用いられる針落ちデータは、X方向が針又は生地の揺動量であり、Y方向が布送り方向の移動量で、送り目盛ダイヤル6やコンデンス目盛ダイヤル7で機械的に設定されるピッチの値になるので、CPU20により、ベクトルデータから千鳥縫い用の針落ちデータへの変換が行われる。
【0013】
この変換が図4に図示されており、図4(B)に示した外部から入力されるベクトルデータのX座標は、そのまま利用し、またY座標は、布の送りの正逆方向データに変換する。図示例では、+方向(正方向)となるので、全てのY座標を「+」のデータに変換する。このように変換された縫いデータが図4(C)に図示されている。また、この縫いデータを再び外部装置21へと出力する場合には、Y方向データとして、適当な送りピッチYを付加してY座標データとする。これが図4(D)に図示されている。これにより、縫いデータが、千鳥縫いミシンから例えばパーソナルコンピュータからなる外部装置21へと出力された場合でも、X・Y座標データによって形状を表示することができ、編集作業に活用することができる。
【0014】
図5には、コンデンス縫いを行う場合の例が図示されており、図5(B)に示した外部から入力されるベクトルデータのX座標は、そのまま利用し、またY座標は、布の送りの正逆方向データに変換する。図5(A)に図示した例では、p1〜p4までは通常の千鳥縫いとなり布送りが正方向となるので、p1〜p4のY座標を「+」のデータに変換する。また、p5〜p8は、図5(A)では便宜上正方向に記載したが実際には終わりコンデンス縫いで返し縫いとなり布送りが逆方向となるので、そのY座標を「−」のデータに変換する。このように変換された縫いデータが図5(C)に図示されている。また、この縫いデータを再び外部装置21へと出力する場合には、p4まではY方向データとして、適当な送りピッチYを付加してY座標データとし、また、p5からは、Y方向データとして、適当なコンデンスピッチY’を付加してY座標データとする。これが図5(D)に図示されている。
【0015】
このように、演算して作成された針落ちデータは不揮発性メモリ32に記憶される。この流れが図6に図示されている。
【0016】
まず、外部から入力されるベクトルデータを選択し(ステップS1)、図4、図5に示したように、データ変換を行い(ステップS2)、その変換されたデータの登録先を指定し、変換データを、縫い始めのコンデンス部、縫い終わりのコンデンス部、または通常の千鳥縫い部のいずれに適用するか決定する(ステップS3)。登録先が通常の千鳥縫いデータであるときは(ステップS4のYES)、不揮発性メモリ32の通常千鳥縫い部に関連するデータエリアにデータを登録する(ステップS5)。この場合には、図4(C)、図5(C)のp4までの針落ちデータがこのデータエリアに記憶される。
【0017】
一方、始めコンデンス縫いデータの場合には(ステップS6のYES)、変換されたデータが不揮発性メモリ32の縫い始めコンデンス部に対応するデータエリアに記憶され(ステップS7)、終わりコンデンス縫いデータの場合には(ステップS6のNO)、変換されたデータが不揮発性メモリ32の縫い終わりコンデンス部に対応するデータエリアに記憶される(ステップS8)。
【0018】
このように構成された千鳥縫いミシンでは、縫製時、CPU20は、不揮発性メモリ32に格納された縫いデータを読み出し、Y座標データが+の場合、送り目盛ダイヤル6で設定されたピッチで生地を正方向に送り、−の場合、図示しない返し縫いソレノイドを駆動してコンデンス目盛ダイヤル7で設定されたピッチで生地を逆方向に送るように、布送りモータ24を制御すると共に、針落ちデータのX座標データに基づいて針振りモータ11を制御して千鳥縫いを実行する。
【0019】
また、変換された縫いデータを千鳥縫いミシンから外部装置21に出力する場合には、不揮発性メモリ32に記憶されている、例えば、図4(C)、図5(C)の針落ちデータを読み出し、CPU20の元で、それぞれ図4(D)、図5(D)に示したようなX座標とY座標データからなるベクトルデータに変換する。そして、このベクトルデータは、入出力手段22を介してパーソナルコンピュータやメモリカードのような記憶媒体としての外部装置21に出力され、ベクトルデータを表示可能なパーソナルコンピュータに出力された場合には表示することができ、データの編集に役立てることができる。
【0020】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明では、座標データで記述されている針落ちデータから簡単な方法で千鳥縫いの縫いデータを作成して千鳥縫いを行うことが可能になる。また出力するデータのY方向データをY座標データに変換しベクトルデータとして出力することでデータの共通性及び千鳥ミシンで作成したデータを外部装置にて扱えるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の千鳥縫いミシンの外観を示す斜視図である。
【図2】針振り機構の概略構成を示す構成図である。
【図3】千鳥縫いミシンの制御構成を示すブロック図である。
【図4】ベクトルデータから千鳥縫いデータを作成する流れを説明した説明図である。
【図5】他のベクトルデータから千鳥縫いデータを作成する流れを説明した説明図である。
【図6】作成したデータを登録する流れを示したフローチャートである。
【符号の説明】
1 主軸モータ
6 送り目盛ダイヤル
7 コンデンス目盛ダイヤル
11 針振りモータ
24 布送りモータ
Claims (3)
- 生地を所定のピッチで正逆に送ることが可能な布送り手段と、
前記ピッチを設定するピッチ設定手段と、
前記送り方向と直交する方向に針または生地を揺動する揺動手段とを備え、
前記布送り手段と前記揺動手段とを駆動することで、生地に千鳥縫い目を形成する千鳥縫いミシンにおいて、
外部から針落ちデータを入力する入力手段と、
前記針落ちデータから針落ち点における揺動方向のX座標データおよび前記送り方向の正逆方向データからなる縫いデータを作成する演算手段と、
演算した各データを記憶する記憶手段と、
前記ピッチ設定手段により設定されたピッチで、前記正逆方向データに基づいて正方向又は逆方向に送るように布送り手段を制御すると共に、前記X座標データに基づいて針または生地を揺動するように揺動手段を制御する制御手段とを備えることを特徴とする千鳥縫いミシン。 - 前記演算手段により演算した各データに対して、縫い始めのコンデンス部、縫い終わりのコンデンス部、または通常の千鳥縫い部のいずれに適用するか決定する縫い部決定手段とを備えることを特徴とする請求項1に記載の千鳥縫いミシン。
- 前記演算手段は、前記記憶手段に記憶される前記送り方向の正逆方向データに対してY座標データを設定して針落ちデータを作成し、前記針落ちデータを外部装置へと出力する出力手段とを備えることを特徴とする請求項2に記載の千鳥縫いミシン。
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