JP4080666B2 - 多電極パルスアーク溶接制御方法及び溶接装置 - Google Patents

多電極パルスアーク溶接制御方法及び溶接装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、1つの溶接トーチから互いに電気的に絶縁された2本の溶接ワイヤと被溶接物との間に2つのアークを発生させて溶接する多電極パルスアーク溶接方法において、2つのアークの相互間に作用する力によるアークの相互干渉によってアーク発生状態が不安定になることを抑制することができる多電極パルスアーク溶接制御方法及び溶接装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
多電極パルスアーク溶接方法では、1つの溶接トーチに設けた電気的に絶縁した2つのコンタクトチップを通して2本の溶接ワイヤを送給して、それらの溶接ワイヤと被溶接物との間に2つのパルスアークを発生させて溶接を行う。この溶接方法は、2本の溶接ワイヤが同時に溶融するので高溶着量を得ることができるので、薄板の溶接では4[m/分]を超える高速溶接を行うことができ、また、厚板の多層溶接では層数を減らして溶接を行うことができ、溶接作業の高効率化を図ることができる。かつ、本溶接方法はパルスアーク溶接方法であるので、スパッタの発生が少なく、美しいビード外観を得ることができる。この溶接方法は、鉄鋼、ステンレス鋼、アルミニウム合金等の種々の金属に対して使用することができる。しかしながら、従来技術の多電極パルスアーク溶接方法では、後述するように、2つのアークの相互間に作用する力によるアークの相互干渉によってアーク発生状態が不安定になるという解決すべき課題がある。以下、従来技術の多電極パルスアーク溶接制御方法及び溶接装置について説明する。
【0003】
図1は、従来技術の多電極パルスアーク溶接装置(以下、従来溶接装置という)の構成図である。同図に示すように、この溶接装置は、第1の溶接電源装置APS、第1のワイヤ送給装置AWF、第2の溶接電源装置BPS、第2のワイヤ送給装置BWF及び溶接トーチ4から構成されている。
溶接トーチ4には、相互に電気的に絶縁された第1のコンタクトチップA41及び第2のコンタクトチップB41が装着されており、これらのコンタクトチップA41及びB41を通して第1の溶接ワイヤA1及び第2の溶接ワイヤB1が送給及び給電されて、被溶接物2との間に第1のアークA3及び第2のアークB3が発生する。これらの2つのアークによって1つの溶融池21が形成される。
【0004】
第1の溶接電源装置APSは、一般的なパルスアーク溶接用の溶接電源装置であり、第1のワイヤ送給装置AWFに送給制御信号Wcを出力すると共に、第1の溶接ワイヤA1に第1の溶接電圧AVwを供給して、その結果、第1の溶接電流AIwが通電する。第1のワイヤ送給装置AWFは、上記の送給制御信号Wcに従って第1の溶接ワイヤA1の送給を制御する。また、第2の溶接電源装置BPS及び第2のワイヤ送給装置BWFについても、上記と同様であるので説明を省略する。
【0005】
上記の第1の溶接電源装置APS及び第2の溶接電源装置BPSでは、図2で後述するように、電圧フィードバック制御によるアーク長制御及び電流フィードバック制御による電流波形制御の2つの制御が同時に行われている。従来技術においては、これらの制御は両電源装置間で完全に独立して行われている。
【0006】
図2は、上述した第1の溶接電源装置APS及び第2の溶接電源装置BPSの出波形を示す電流・電圧波形図である。同図(A)は第1の溶接電流AIwの時間変化を示しており、同図(B)は第1の溶接電圧AVwの時間変化を示しており、同図(C)は第2の溶接電流BIwの時間変化を示しており、同図(D)は第2の溶接電圧BVwの時間変化を示している。以下、同図を参照して動作を説明する。
【0007】
▲1▼ 時刻t1〜t2の期間(第1のピーク電流通電時間ATp)
同図(A)に示すように、第1のピーク電流通電時間ATpの間は第1のピーク電流AIpが通電する。通常、この第1のピーク電流通電時間ATp及び第1のピーク電流AIpの両値は、溶接ワイヤがアーク熱によって1パルス1溶滴移行するように予め設定する。また、同図(B)に示すように、第1のピーク電流通電時間ATpの間は第1のピーク電流AIpに対応した第1のピーク電圧AVpが第1の溶接ワイヤと被溶接物との間に印加する。
【0008】
▲2▼ 時刻t2〜t3の期間
同図(A)に示すように、時刻t2から第1のパルス周期ATf期間が終了する時刻t3までの間は、溶滴移行しない範囲で予め設定した第1のベース電流AIbが通電する。この第1のパルス周期ATfの継続時間は、第1の溶接電圧AVwの平均値と電源装置の外部から設定される第1の電圧設定信号AVsとの誤差による周波数変調制御又はパルス幅変調制御(電圧フィードバック制御)によって自動的に決定される。一般的に、溶接電圧の平均値とアーク長とは比例関係にあるので、上記の電圧フィードバック制御は、溶接品質に重大な影響を及ぼすアーク長の制御を行っていることになる。
また、同図(B)に示すように、この期間中は第1のベース電流AIbに対応した第1のベース電圧AVbが第1の溶接ワイヤと被溶接物との間に印加する。
時刻t1以前及び時刻t3以後の期間は、上記の▲1▼項及び▲2▼項の動作を繰り返して第1の溶接電源装置APSによる溶接が行われる。
【0009】
▲3▼ 時刻t4〜t5の期間(第2のピーク電流通電時間BTp)
同図(C)に示すように、第2のピーク電流通電時間BTpの間は第2のピーク電流BIpが通電する。通常、この第2のピーク電流通電時間BTp及び第2のピーク電流BIpの両値を、前述したように溶接ワイヤがアーク熱によって1パルス1溶滴移行するように予め設定する。なお、この両値はワイヤ送給速度(溶接電流の平均値)によって異なる値に設定されるので、上記の第1の溶接電流AIwの平均値と上記の第2の溶接電流BIwの平均値とが異なれば、第1のピーク電流通電時間ATpと第2のピーク電流通電時間BTpとは異なった値となり、第1のピーク電流AIpと第2のピーク電流BIpとは異なった値になる。
また、同図(D)に示すように、第2のピーク電流通電時間BTpの間は第2のピーク電流BIpに対応した第2のピーク電圧BVpが第2の溶接ワイヤと被溶接物との間に印加する。
【0010】
▲4▼ 時刻t5〜t6の期間
同図(C)に示すように、時刻t5から第2のパルス周期BTf期間が終了する時刻t6までの間は、溶滴移行しない範囲で予め設定した第2のベース電流BIbが通電する。通常、このベース電流の値は、ワイヤ送給速度(溶接電流の平均値)によって異なる値に設定されるので、上記の第1の溶接電流AIwの平均値と上記の第2の溶接電流BIwの平均値とが異なれば、第1のベース電流AIbと第2のベース電流BIbとは異なった値となる。
上記の第2のパルス周期BTfの継続時間は、上記の▲2▼項と同様に、第2の溶接電圧BVwの平均値と電源装置の外部から設定される第2の電圧設定信号BVsとの誤差による周波数変調制御又はパルス幅変調制御(電圧フィードバック制御)によって自動的に決定される。
また、同図(D)に示すように、この期間中は第2のベース電流BIbに対応した第2のベース電圧BVbが第2の溶接ワイヤと被溶接物との間に印加する。
時刻t4以前及び時刻t6以後の期間は、上記の▲3▼項及び▲4▼項の動作を繰り返して第2の溶接電源装置BPSによる溶接が行われる。
【0011】
上記の▲1▼項及び▲2▼項に示す第1の溶接電源装置APSにおける電圧フィードバック制御及び溶接電流の通電を制御する電流波形制御並びに上記の▲3▼項及び▲4▼項に示す第2の溶接電源装置BPSにおける電圧フィードバック制御及び電流波形制御は、完全に独立して行われる。そのために、第1のピーク電流AIp及び第1のベース電流AIbの通電するタイミングと、第2のピーク電流BIp及び第2のベース電流BIbが通電するタイミングとは、同図(A)及び(C)に示すようにアトランダムになる。
なお、第1のベース電圧AVbが同図(B)のイ部に示すように持ち上がる期間は、第2のピーク電流BIpの通電期間と一致し、同様に第2のベース電圧BVbが同図(D)のロ部に示すように持ち上がる期間は、第1のピーク電流AIpの通電期間に一致する。この現象は、第1のアークと第2のアークとの間のアークの相互干渉によって発生しており、詳細は図8で後述する。
【0012】
図3は、前述した従来技術の第1の溶接電源装置APS及び第2の溶接電源装置BPSの回路構成を示すブロック図である。以下、同図を参照して各回路ブロックについて説明する。
【0013】
第1の溶接電源装置APSは、一点鎖線で囲んだ範囲内の各回路ブロックから構成されており、以下これらの回路ブロックについて説明する。
出力制御回路INVは、商用電源を入力として出力制御を行い、アーク負荷に適した出力を供給する。一般的に、この出力制御回路INVとしては、インバータ制御回路、チョッパ制御回路、サイリスタ位相制御回路等が慣用されている。例えば、上記のインバータ制御回路は、商用電源を整流する1次側整流回路と、整流されたリップルのある電圧を平滑する平滑回路と、平滑された直流電圧を高周波交流に変換するインバータ回路と、高周波交流をアーク負荷に適した電圧に降圧する高周波変圧器と、降圧された交流を再び整流する2次側整流回路と、整流されたリップルのある直流を平滑する直流リアクトルとから構成されており、後述する電流誤差増幅信号Eiに従って上記のインバータ回路を形成する複数組のパワートランジスタが制御されて出力制御が行われる。
【0014】
電圧検出回路VDは、第1の溶接電圧AVwを検出して平均化した電圧検出信号Vdを出力する。第1の電圧設定回路AVSは、電源装置の外部に設けられており、第1の電圧設定信号AVsを出力する。電圧誤差増幅増幅回路EVは、フィードバック信号である上記の電圧検出設定信号Vdと、目標値である第1の電圧設定信号AVsとの誤差を増幅して、電圧誤差増幅信号Evを出力する。V/F変換回路VFは、上記の電圧誤差増幅信号Evを入力としてV/F変換を行い、V/F変換信号Vfを出力する。ピーク電流通電時間設定回路TPは、予め設定したピーク電流通電時間設定信号Tpを出力する。モノマルチバイブレータMMは、上記のV/F変換信号VfがLowレベルからHighレベルに変化することをトリガとして、上記のピーク電流通電時間設定信号Tpによって設定した時間だけHighレベルとなる、図2で前述した第1のパルス周期信号ATfを出力する。
【0015】
上記の電圧誤差増幅回路EV、V/F変換回路VF、ピーク電流通電時間設定回路TP及びモノマルチバイブレータMMによって点線で囲んだ変調回路MCが形成される。この変調回路MCは、上記の電圧検出信号Vdと上記の第1の電圧設定信号AVsとを入力としてそれらの信号間の誤差による周波数変調制御によって上記の第1のパルス周期信号ATfを出力する。この変調方式としては、上記の周波数変調制御の他にパルス幅変調制御も慣用技術として使用されている。
【0016】
第1のピーク電流設定回路AIPは、予め設定した第1のピーク電流設定信号AIpを出力する。第1のベース電流設定回路AIBは、予め設定した第1のベース電流設定信号AIbを出力する。第1の切換回路ASWは、上記の第1のパルス周期信号ATfがHighレベルのときはa側に接続されて上記の第1のピーク電流設定信号AIpを第1の電流制御設定信号AIscとして出力し、上記の第1のパルス周期信号ATfがLowレベルのときはb側に接続されて上記の第1のベース電流設定信号AIbを第1の電流制御設定信号AIscとして出力する。電流検出回路IDは、第1の溶接電流AIwを検出して、電流検出信号Idを出力する。電流誤差増幅回路EIは、フィードバック信号である電流検出信号Idと、目標値である第1の電流制御設定信号AIscとの誤差を増幅して、電流誤差増幅信号Eiを出力する。この電流誤差増幅信号Eiに従って出力制御が行われて、第1の溶接電圧AVwが印加する。
【0017】
第1の送給速度設定回路AWSは、電源装置の外部に設けられており、第1の送給速度設定信号AWsを出力する。送給制御回路WCは、第1の送給速度設定信号AWsを入力として送給制御信号Wcを出力する。第1のワイヤ送給装置AWFは、上記の送給制御信号Wcに従って第1の溶接ワイヤA1の送給を制御する。
【0018】
次に、第2の溶接電源装置BPS及び第2のワイヤ送給装置BWFの回路ブロックの説明は、上記の第1の溶接電圧AVw及び第1の溶接電流AIwを第2の溶接電圧BVw及び第2の溶接電流BIwに、第1の電圧設定回路AVS及び第1の電圧設定信号AVsを第2の電圧設定回路BVS及び第2の電圧設定信号BVsに、第1のピーク電流設定回路AIP及び第1のピーク電流設定信号AIpを第2のピーク電流設定回路BIP及び第2のピーク電流設定信号BIpに、第1のベース電流設定回路AIB及び第1のベース電流設定信号AIbを第2のベース電流設定回路BIB及び第2のピーク電流設定信号BIbに、第1のパルス周期信号ATfを第2のパルス周期信号BTfに、第1の切換回路ASW及び第1の電流制御設定信号AIscを第2の切換回路BSW及び第2の電流制御設定信号BIscに、それぞれ読み替えると同様になるので省略する。結果的に、上記の第2の溶接電源装置BPSによって第2の溶接電圧BVwが印加すると共に、上記の第2のワイヤ送給装置BWFによって第2の溶接ワイヤB1が送給されて、被溶接物2との間に第2のアークB3が発生して第2の溶接電流BIwが通電する。
【0019】
上述したように、第1の溶接電源装置APS及び第2の溶接電源装置BPSにおいて、電圧フィードバック制御を行う電圧誤差増幅回路EV及び電流フィードバック制御を行う電流誤差増幅回路EIは、両電源装置間では独立しているために、図2で前述したように、第1の溶接電流AIwと第2の溶接電流BIwとの通電タイミングはアトランダムになる。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来技術の多電極パルスアーク溶接方法では、2つのアークの相互間に作用する力によってアークの形状が変形するアークの相互干渉に起因して、アーク長が変動してアーク発生状態が不安定になる現象が生じる。以下、まずこのアークの相互干渉の発生原因について説明し、続いてアークの相互干渉によって発生する従来技術の問題点について説明する。
【0021】
図4は、単独で発生しているアーク3に作用する力を説明するためのアーク発生部模式図である。同図(A)は、発生しているアーク3の形状が溶接ワイヤ1の送給方向(以下、送給方向という)a−bを中心線として対称形状である場合であり、同図(B)は、発生しているアーク3の形状が送給方向a−bを中心線として対称形状でない場合である。
同図(A)に示すように、溶接ワイヤ1と被溶接物2との間にアーク3が発生しており、溶接電流Iwが通電している。この溶接電流Iwは、溶接電源装置の図示していないプラス端子から溶接ワイヤ1→アーク3→被溶接物2と順次に通電した後にマイナス端子へと戻る。溶接ワイヤ1を通電する電流によって同図(A)に示すような磁界が形成される。しかしこの場合は、アーク3の形状が対象形状であるので、この磁界によってアーク3に力は作用しない。一方、アーク3を通電する電流により形成された磁界によって、同図(A)に示すようにアーク3を収縮させる力(以下、アークによる収縮力という)FXが作用する。したがって、対称形状のアークには、アークによる収縮力のみが作用する。
【0022】
次に、同図(B)においては、溶接ワイヤ1と被溶接物2との間に、後述する図8(B)の第2のアークB3のように非対称形状のアーク3がa−c方向に発生して溶接電流Iwが通電している。この溶接ワイヤ1を通電する電流によって、図示するような磁界が形成される。この場合には同図(A)とは異なり、アーク3の形状が対称形状でないので、この磁界によってアーク3には力(以下、磁界による力という)FYが作用する。一方、アーク3を通電する電流により形成される磁界によって、同図(B)に示すようにアーク3にはアークによる収縮力FXが作用する。上記の磁界による力FYはアーク3を送給方向a−bに引き戻すように作用し、かつ、上記のアークによる収縮力FXはアークの形状を維持するように作用するので、アークは同図(A)に示すような対象形状に戻り、その形状を保持する性質(アークの硬直性)を有する。また、上記の磁界による力FY及びアークによる収縮力FXの力の大きさは、磁界を形成する電流値の大きさに比例する。
【0023】
次に、従来技術の多電極パルスアーク溶接方法における2つのアーク相互間に作用する力について図5〜図8を参照して説明する。
図5は、前述した図2と同様に、従来技術の多電極パルスアーク溶接方法の電流・電圧波形図であり、同図(A)は第1の溶接電流AIwの時間変化を示しており、同図(B)は第1の溶接電圧AVwの時間変化を示しており、同図(C)は第2の溶接電流BIwの時間変化を示しており、同図(D)は第2の溶接電圧BVwの時間変化を示している。前述したように、第1の溶接電流AIwと第2の溶接電流BIwとはアトランダムに通電しているために、それぞれのピーク電流とベース電流との通電の組み合わせは下記の4通りとなる。
【0024】
すなわち、時刻t1においては、第1の溶接電流AIwとして第1のピーク電流AIpが通電し、かつ、第2の溶接電流BIwとして第2のピーク電流BIpが通電している。この状態でのアークの相互干渉については図6で後述する。次に、時刻t2においては、第1の溶接電流AIwとして第1のベース電流AIbが通電し、かつ、第2の溶接電流BIwとして第2のベース電流BIbが通電している。この状態でのアークの相互干渉については図7で後述する。
【0025】
さらに、時刻t3においては、第1の溶接電流AIwとして第1のピーク電流AIpが通電し、かつ、第2の溶接電流BIwとして第2のベース電流BIbが通電している。時刻t4においては、上記とは逆に、第1の溶接電流AIwとして第1のベース電流AIbが通電し、かつ、第2の溶接電流BIwとして第2のピーク電流BIpが通電している。これらの状態でのアークの相互干渉については図8で後述する。
【0026】
図6は、2つのアークに通電する第1及び第2の溶接電流が共にピーク電流である前述した図5の時刻t1におけるアーク発生部の模式図である。以下、同図を参照して、この状態でのアークの相互干渉について説明する。
同図に示すように、第1の溶接ワイヤA1には第1のピーク電流AIpが通電して、前述した図4(A)のときと同様に第1のアークA3が対象形状で発生している。他方、第2の溶接ワイヤA2には第2のピーク電流BIpが通電して、上記と同様に第2のアークB3が対象形状で発生している。
【0027】
この状態では、前述した図4(A)のときと同様に、第1のアークA3には、第1の溶接ワイヤA1を通電する第1のピーク電流AIpによる磁界による力は作用せず、第1のアークA3を通電する第1のピーク電流AIpによるアークによる収縮力AFX1のみが作用する。また、第1のアークA3の周囲には第2の溶接ワイヤB1を通電する第2のピーク電流BIpによって磁界が形成されており、この磁界に対しては第1のアークA3は対象形状ではないために、第1のアークA3には、上記のアークによる収縮力AFX1に加えて磁界による力AFZ1が作用する。通常、2つのアークを通電する電流値が略等しいときは、アーク形状を維持する力であるアークによる収縮力AFX1が、アーク形状を変形させる力である磁界による力AFZ1よりも大きいので、第1のアークA3の形状は変化しない。同様に、第2のアークB3の形状も変化しない。
【0028】
上述したように時刻t1の状態では、自己のアークによる収縮力(AFX1及びBFX1)が他方のアークからの干渉である磁界による力(AFZ1及びBFZ1)よりも大きいので、アークの形状は変化しない。すなわち、2つのアークに略等しい値の電流が通電しているときは、アークの相互干渉によるアーク発生状態への影響はほとんどない。
【0029】
図7は、2つのアークに通電する第1及び第2の溶接電流が共にベース電流である前述した図5の時刻t2におけるアーク発生部の模式図である。
同図に示す状態は、上述した図6において2つのアークを通電する電流がピーク電流からベース電流に代わっただけであり、その動作は同様である。すなわち、自己のアークによる収縮力(AFX2及びBFX2)が他方のアークからの干渉である磁界による力(AFZ2及びBFZ2)よりも大きいので、アークの形状は変化しない。したがって、図6のときと同様に、2つのアークに略等しい値の電流が通電しているときは、アークの相互干渉によるアーク発生状態への影響はほとんどない。
【0030】
図8は、第1のアークA3に第1のピーク電流AIpが通電し、第2のアークB3に第2のベース電流BIbが通電する前述した図5の時刻t3におけるアーク発生部の模式図であり、同図(A)は時刻t3の時点でのアーク発生状態を示しており、同図(B)は時刻t3直後のアーク発生状態を示している。以下、同図を参照して、この状態でのアークの相互干渉について説明する。
【0031】
▲1▼ 同図(A)に示すように、第1の溶接ワイヤA1には第1のピーク電流AIpが通電し、前述した図4(A)のときと同様に、第1のアークA3が対象形状で発生している。他方、第2の溶接ワイヤA2には第2のベース電流BIbが通電し、前述した図4(A)のときと同様に、第2のアークB3が対象形状で発生している。
【0032】
この状態では、第1のアークA3には、第1のアークA3を通電する第1のピーク電流AIpによるアークによる収縮力AFX1が作用する。さらに、第1のアークA3には、他方の第2の溶接ワイヤB1を通電する第2のベース電流BIbによる磁界による力AFZ2が作用する。ここで、第1のピーク電流AIpの値は第2のベース電流BIbの値に比べてかなり大きな値であるので、上記のアークによる収縮力AFX1が上記の磁界による力AFZ2よりも大きくなり、その結果、第1のアークA3の形状は変化しない。
【0033】
他方、第2のアークB3には、第2のアークB3を通電する第2のベース電流BIbによるアークによる収縮力BFX2が作用する。さらに、第2のアークB3には、他方の第1の溶接ワイヤA1を通電する第1のピーク電流AIpによる磁界による力BFZ1が作用する。ここで、第2のベース電流BIbの値は第1のピーク電流AIpの値に比べてかなり小さい値であるので、上記のアークによる収縮力BFX2は上記の磁界による力BFZ1よりも小さくなり、その結果、第2のアークB3の形状は次の▲2▼項で説明する同図(B)のように変形する。
【0034】
▲2▼ 同図(B)に示すように、時刻t3直後においても、第1のアークA3の形状は上記▲1▼項と同様に変化しない。他方、第2のアークB3は上記▲1▼項の動作によって第1のアークA3方向に吸引されるために、同図(B)に示すようにアークの陰極点がb点からc点に移動して、アークの形状も非対称形状に大きく変形する。この変形した第2のアークB3の状態は、図4(B)で前述した状態と同じであるので、第2のアークB3には、上記▲1▼項で説明した力に加えて第2の溶接ワイヤB1を通電する第2のベース電流BIbによる磁界による力BFY2が新たに作用する。その結果、BFZ1=BFX2+BFY2となり第2のアークB3に作用する力の均衡が保たれることになるので、第2のアークB3は同図(B)に示す形状を保持することになる。
【0035】
また、第2のアークB3が同図(B)に示すように変形してアーク長がa−bからa−cに変化するために、アーク長は変形前よりも長くなる。アーク長が長くなると、アーク長に比例する溶接電圧値が大きくなるので、図5(D)の時刻t3に示すように、第2の溶接電圧BVwの値は、通常の値よりも持ち上がって大きな値となる。
【0036】
上述したように、自己のアークを通電する電流値よりも、他方のアークを通電する電流値が大きいときは、自己のアークは他方のアークの干渉によって吸引されて、その形状が変形すると共にアーク長も長くなる。特に、パルスアーク溶接では、一般的にピーク電流値は400〜600[A]程度に設定し、ベース電流値は30〜60[A]程度に設定するために、その電流差はかなり大きくなり、その結果、上記のアークの相互干渉は強くなり、アークの変形も大きくなる。
【0037】
▲3▼ 上記▲1▼項及び▲2▼項の場合とは逆に、第1のアークA3に第1のベース電流AIbが通電し、第2のアークB3に第2のピーク電流BIpが通電する前述した図5の時刻t4においては、第2のアークB3の形状は変化しないが、他方、第1のアークA3は第2のアークB3からの干渉によって吸引されて、そのアークの形状は変形してアーク長は長くなる。そのために、図5(B)の時刻t4に示すように、第2の溶接電圧BVwは持ち上がり通常値よりも大きな値となる。
【0038】
上述したように、2つのアークに略等しい値の電流が通電しているときは、アークの相互干渉の影響は少ないが、通電する電流値の差が大きいときには、アークの相互干渉によって通電する電流値の小さな方のアークは大きく影響されて、その形状が大きく変形する。この後者の状態が発生すると、以下に説明するように、アーク発生状態が不安定になり、溶接品質が不良となる。
すなわち、前述した図5の時刻t3では第2のアークB3の形状が、また時刻t4では第1のアークA3の形状が、上述したアークの相互干渉によって変形してアーク長も長くなるために、溶滴移行が1パルス1溶滴移行の安定状態から外れて不安定になり、その結果、スパッタの大量発生、ビード外観の悪化、溶け込み不良等が生じて溶接品質が著しく悪化する。
さらに、図5の時刻t5に示すように、上述したアークの相互干渉によってアーク長が長くなり過ぎるとアークを維持することができなくなり、ついにはアーク切れが発生する。溶接中にアーク切れが頻繁に発生すると、溶け込み不良、ビード外観の悪化等の溶接欠陥が生じる。
【0039】
そこで、本発明は、多電極パルスアーク溶接方法において、2つのアークの相互干渉によって生じるアーク発生状態の不安定を抑制することができ、常に良好な溶接品質を得ることができる多電極パルスアーク溶接制御方法及び溶接装置を提供する。
【0040】
【課題を解決するための手段】
【0042】
請求項1の発明は、図11及び図13に示すように、
1つの溶接トーチ4から互いに電気的に絶縁された第1の溶接ワイヤA1及び第2の溶接ワイヤB1をそれぞれ予め設定した送給速度で送給し、上記第1の溶接ワイヤA1には予め設定した第1のピーク電流AIpの通電と予め設定した第1のベース電流AIbの通電とを1周期とする通電を繰り返すと共に、上記第2の溶接ワイヤB1には予め設定した第2のピーク電流BIpの通電と予め設定した第2のベース電流BIbの通電とを1周期とする通電を繰り返し、上記第1の溶接ワイヤA1及び上記第2の溶接ワイヤB1と被溶接物2との間に2つのアークA3及びB3を発生させて溶接する多電極パルスアーク溶接制御方法において、
上記第2の溶接ワイヤに、第1回目の上記第1のピーク電流AIpの通電期間は上記第2のピーク電流BIpを通電し上記第1のベース電流AIbの通電期間は予め設定した通常値の上記第2のベース電流BIbを通電し、続いて第2回目の上記第1のピーク電流AIpの通電期間は予め設定した通常値よりも大きな値の上記第2のベース電流BIbを通電し上記第1のベース電流AIbの通電期間は上記通常値の第2のベース電流BIbを通電し、上記第1回目及び第2回目の通電を1組として繰り返して通電する多電極パルスアーク溶接制御方法である。
【0043】
請求項2の発明は、図12及び図13に示すように、
請求項1に記載する第2の溶接ワイヤB1の送給速度が、予め設定した第1の溶接ワイヤA1の送給速度を1/2倍した値をさらに微調整した値である請求項1の多電極パルスアーク溶接制御方法である。
【0044】
請求項3の発明は、図12及び図13に示すように、
1つの溶接トーチ4から互いに電気的に絶縁された第1の溶接ワイヤA1及び第2の溶接ワイヤB1をそれぞれ予め設定した送給速度で送給し、上記第1の溶接ワイヤA1には予め設定した第1のピーク電流AIpの通電と予め設定した第1のベース電流AIbの通電とを1周期とする通電を繰り返すと共に、上記第2の溶接ワイヤB1には予め設定した第2のピーク電流BIpの通電と予め設定した第2のベース電流BIbの通電とを1周期とする通電を繰り返し、上記第1の溶接ワイヤA1及び上記第2の溶接ワイヤB1と被溶接物2との間に2つのアークA3及びB3を発生させて溶接する多電極パルスアーク溶接制御方法において、
上記第2の溶接ワイヤに、第1回目の上記第1のピーク電流AIpの通電期間は上記第2のピーク電流BIpを通電し上記第1のベース電流AIbの通電期間は予め設定した通常値の上記第2のベース電流BIbを通電し、続いて第2回目の上記第1のピーク電流AIpの通電期間は予め設定した通常値よりも大きな値の上記第2のベース電流BIbを通電し上記第1のベース電流AIbの通電期間は上記通常値の第2のベース電流BIbを通電し、さらに上記第2回目と同様の通電を予め設定した3以上の整数である第n回目まで繰り返し、上記第1回目乃至第n回目の通電を1組として繰り返して通電する多電極パルスアーク溶接制御方法である。
【0045】
請求項4の発明は、図12及び図13に示すように、
請求項3に記載する第2の溶接ワイヤB1の送給速度が、予め設定した第1の溶接ワイヤA1の送給速度を1/n倍した値をさらに微調整した値である請求項3の多電極パルスアーク溶接制御方法である。
【0046】
請求項5の発明は、図9乃至図13に示すように、
請求項1乃至4に記載する第1の溶接ワイヤA1を通電する予め設定した第1のピーク電流AIpの通電と予め設定した第1のベース電流AIbの通電との1周期の時間長さATfが、第1の溶接ワイヤA1と被溶接物2との間の溶接電圧AVwを検出した電圧検出信号AVdと予め設定した電圧設定信号AVsとの誤差に基づく周波数変調制御又はパルス幅変調制御によって定まる請求項1〜4のいずれか1項に記載の多電極パルスアーク溶接制御方法である。
【0049】
請求項6の発明は、図11乃至図13に示すように、
1つの溶接トーチ4から互いに電気的に絶縁された第1の溶接ワイヤA1及び第2の溶接ワイヤB1をそれぞれ予め設定した送給速度で送給し、上記第1の溶接ワイヤA1には予め設定した第1のピーク電流AIpの通電と予め設定した第1のベース電流AIbの通電とを1周期とする通電を繰り返すと共に、上記第2の溶接ワイヤB1には予め設定した第2のピーク電流BIpの通電と予め設定した第2のベース電流BIbの通電とを1周期とする通電を繰り返し、上記第1の溶接ワイヤA1及び上記第2の溶接ワイヤB1と被溶接物2との間に2つのアークA3及びB3を発生させて溶接する多電極パルスアーク溶接装置において、
上記第1の溶接ワイヤA1と被溶接物2との間の溶接電圧AVwを検出して電圧検出信号Vdを出力する電圧検出回路VDと、電圧設定信号AVsを出力する電圧設定回路AVSと、上記電圧検出信号Vd及び上記電圧設定信号AVsを入力としてそれらの信号間の誤差による周波数変調制御又はパルス幅変調制御によって第1のパルス周期信号ATfを出力する変調回路MCと、第1のピーク電流設定信号AIpを出力する第1のピーク電流設定回路AIPと、第1のベース電流設定信号AIbを出力する第1のベース電流設定回路AIBと、上記第1のパルス周期信号ATf、上記第1のピーク電流設定信号AIp及び上記第1のベース電流設定信号AIbを入力として上記第1のパルス周期信号ATfによって上記第1のピーク電流設定信号AIpと上記第1のベース電流設定信号AIbとを切り換えて第1の電流制御設定信号AIscとして出力する第1の切換回路ASWとから成り、上記第1の電流制御設定信号AIscによって上記第1のピーク電流AIpの通電開始及び通電終了と上記第1のベース電流AIbの通電開始及び通電終了とを制御する第1の溶接電源装置APS並びに
2以上の整数である倍率設定信号nを出力する倍率設定回路NSと、上記第1のパルス周期信号ATfを入力としてその信号と同期しかつその信号の上記倍率設定信号n倍の周期を有する信号に変換して第2のパルス周期信号BTfを出力する周期変換回路TCと、第2のピーク電流設定信号BIpを出力する第2のピーク電流設定回路BIPと、上記第1のパルス周期信号ATfを入力としてその入力信号が上記第1のピーク電流設定信号AIpに切り換える信号であるときは予め設定した通常値よりも大きな値の第2のベース電流設定信号BIbを出力しその入力信号が上記第1のベース電流設定信号AIbに切り換える信号であるときは予め設定した通常値の上記第2のベース電流設定信号BIbを出力する第2のベース電流設定回路BIBと、上記第2のパルス周期信号BTf、上記第2のピーク電流設定信号BIp及び上記第2のベース電流設定信号BIbを入力として上記第2のパルス周期信号BTfによって上記第2のピーク電流設定信号BIpと上記第2のベース電流設定信号BIbとを切り換えて第2の電流制御設定信号BIscとして出力する第2の切換回路BSWとから成り、上記第2の電流制御設定信号BIscによって上記第2のピーク電流BIpの通電開始及び通電終了と上記第2のベース電流BIbの通電開始及び通電終了とを制御する第2の溶接電源装置BPSから構成される多電極パルスアーク溶接装置である。
【0050】
請求項7の発明は、図11乃至図13に示すように、
請求項6に記載する第2の溶接電源装置BPSが、第1の溶接ワイヤA1のめ設定した第1の送給速度設定信号AWsを入力としてその信号を1/n倍してさらに微調整した第2の送給速度設定信号BWsを出力する送給速度調整回路WBを具備し、上記第2の送給速度設定信号BWsによって第2の溶接ワイヤB1の送給を制御する第2の溶接電源装置BPSである請求項6の多電極パルスアーク溶接装置である。
【0051】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態は、図13に示すように、
1つの溶接トーチ4から互いに電気的に絶縁された第1の溶接ワイヤA1及び第2の溶接ワイヤB1をそれぞれ予め設定した送給速度で送給し、上記第1の溶接ワイヤA1には予め設定した第1のピーク電流AIpの通電と予め設定した第1のベース電流AIbの通電とを1周期とする通電を繰り返すと共に、上記第2の溶接ワイヤB1には予め設定した第2のピーク電流BIpの通電と予め設定した第2のベース電流BIbの通電とを1周期とする通電を繰り返し、上記第1の溶接ワイヤA1及び上記第2の溶接ワイヤB1と被溶接物2との間に2つのアークA3及びB3を発生させて溶接する多電極パルスアーク溶接装置において、
上記第1の溶接ワイヤA1と被溶接物2との間の溶接電圧AVwを検出して電圧検出信号Vdを出力する電圧検出回路VDと、電圧設定信号AVsを出力する電圧設定回路AVSと、上記電圧検出信号Vd及び上記電圧設定信号AVsを入力としてそれらの信号間の誤差による周波数変調制御又はパルス幅変調制御によって第1のパルス周期信号ATfを出力する変調回路MCと、第1のピーク電流設定信号AIpを出力する第1のピーク電流設定回路AIPと、第1のベース電流設定信号AIbを出力する第1のベース電流設定回路AIBと、上記第1のパルス周期信号ATf、上記第1のピーク電流設定信号AIp及び上記第1のベース電流設定信号AIbを入力として上記第1のパルス周期信号ATfによって上記第1のピーク電流設定信号AIpと上記第1のベース電流設定信号AIbとを切り換えて第1の電流制御設定信号AIscとして出力する第1の切換回路ASWとから成り、上記第1の電流制御設定信号AIscによって上記第1のピーク電流AIpの通電開始及び通電終了と上記第1のベース電流AIbの通電開始及び通電終了とを制御する第1の溶接電源装置APS並びに
2以上の整数である倍率設定信号nを出力する倍率設定回路NSと、上記第1のパルス周期信号ATfを入力としてその信号と同期しかつその信号の上記倍率設定信号n倍の周期を有する信号に変換して第2のパルス周期信号BTfを出力する周期変換回路TCと、第2のピーク電流設定信号BIpを出力する第2のピーク電流設定回路BIPと、上記第1のパルス周期信号ATfを入力としてその入力信号が上記第1のピーク電流設定信号AIpに切り換える信号であるときは予め設定した通常値よりも大きな値の第2のベース電流設定信号BIbを出力しその入力信号が上記第1のベース電流設定信号AIbに切り換える信号であるときは予め設定した通常値の上記第2のベース電流設定信号BIbを出力する第2のベース電流設定回路BIBと、上記第2のパルス周期信号BTf、上記第2のピーク電流設定信号BIp及び上記第2のベース電流設定信号BIbを入力として上記第2のパルス周期信号BTfによって上記第2のピーク電流設定信号BIpと上記第2のベース電流設定信号BIbとを切り換えて第2の電流制御設定信号BIscとして出力する第2の切換回路BSWとから成り、上記第2の電流制御設定信号BIscによって上記第2のピーク電流BIpの通電開始及び通電終了と上記第2のベース電流BIbの通電開始及び通電終了とを制御する第2の溶接電源装置BPSから構成される多電極パルスアーク溶接装置である。
【0052】
【実施例】
以下に説明する本発明の第1及び第2の実施例の概要を下記に示す。
▲1▼ 第1の実施例
図9に示すように、本発明の第1の実施例は、
第1の溶接ワイヤA1には、第1のピーク電流AIpの通電と第1のベース電流AIbの通電とを1周期とする通電を繰り返すと共に、
第2の溶接ワイヤB1に、上記第1のピーク電流AIpの通電期間は第2のピーク電流BIpを通電し、上記第1のベース電流AIbの通電期間は第2のベース電流BIbを通電する多電極パルスアーク溶接制御方法である。また、上述した第1の実施例のための溶接装置のブロック図を図10に示す。
【0053】
▲2▼ 第2の実施例
図11及び図12に示すように、本発明の第2の実施例は、
第1の溶接ワイヤA1には、第1のピーク電流AIpの通電と第1のベース電流AIbの通電とを1周期とする通電を繰り返すと共に、
第2の溶接ワイヤB1に、第1回目の上記第1のピーク電流AIpの通電期間は第2のピーク電流BIpを通電し上記第1のベース電流AIbの通電期間は予め設定した通常値の第2のベース電流BIbを通電し、続いて第2回目の上記第1のピーク電流AIpの通電期間は予め設定した通常値よりも大きな値の上記第2のベース電流BIbを通電し上記第1のベース電流AIbの通電期間は予め設定した通常値の上記第2のベース電流BIbを通電し、さらに上記第2回目と同様の通電を予め設定した整数である第n回目まで繰り返し、上記第1回目乃至第n回目の通電を1組として繰り返して通電する多電極パルスアーク溶接制御方法である。なお、図11は上記のn=2の場合であり、図12は上記のn=3の場合を例示している。また、上述した第2の実施例のための溶接装置のブロック図を図13に示す。
以下、上記の第1及び第2の実施例の詳細について説明する。
【0054】
[実施例1]
図9は、本発明の第1の実施例(以下、実施例1という)の多電極パルスアーク溶接制御方法を示す電流・電圧波形図であり、同図(A)は第1の溶接電流AIwの時間変化を示しており、同図(B)は第1の溶接電圧AVwの時間変化を示しており、同図(C)は第2の溶接電流BIwの時間変化を示しており、同図(D)は第2の溶接電圧BVwの時間変化を示している。
同図に示すように、時刻t1〜t2期間中は、第1のアークに同図(A)に示すように第1のピーク電流AIpが通電しており、このとき第2のアークには同図(C)に示すように第2のピーク電流BIpを通電する。さらに。時刻t2〜t3期間中は、第1のアークに同図(A)に示すように第1のベース電流AIbが通電しており、このとき第2のアークには同図(C)に示すように第2のベース電流BIbを通電する。したがって、第1のピーク電流AIpの通電と第2のピーク電流BIpの通電とは同期しており、かつ、第1のベース電流AIbの通電と第2のベース電流BIbの通電とは同期している。
そのために、2つのアークを通電する電流値はどの期間中も略等しい値となるので、2つのアークの相互干渉によるアーク発生状態への影響はなく、常に安定したアーク発生状態を維持することができる。
【0055】
図10は、上述した実施例1の多電極パルスアーク溶接制御方法を実施するための溶接装置のブロック図である。同図において、図3で前述した従来溶接装置と同一の回路ブロックには同一の符号を付しており、説明は省略する。以下、点線で示す図3とは異なる回路ブロックである第1の溶接電源装置APSの変調回路MC並びに第2の溶接電源装置BPSの第2の切換回路BSW及び送給速度調整回路WBについて説明する。
第1の溶接電源装置APSの変調回路MCの出力信号である第1のパルス周期信号ATfを第2の溶接電源装置BPSに出力する。
第2の溶接電源装置BPSの第2の切換回路BSWは、上記の第1のパルス周期信号ATfがHighレベルのときはa側に接続されて第2のピーク電流設定信号BIpを第2の電流制御設定信号BIscとして出力し、上記信号がLowレベルのときはb側に接続されて第2のベース電流設定信号BIbを第2の電流制御設定信号BIscとして出力する。
第2の溶接電源装置BPSの送給速度調整回路WBは、第1の送給速度設定信号AWsを入力として、その値を中心値として微調整した第2の送給速度設定信号BWsを出力する。
【0056】
上述した実施例1の溶接装置においては、第2の溶接電源装置BPSの電圧フィードバック制御を第1の溶接電源装置APSの電圧フィードバック制御によって併用して、第1のピーク電流AIpと第2のピーク電流BIpとの通電のタイミング及び第1のベース電流AIbと第2のベース電流BIbとの通電のタイミングを同期させている。また、第2の溶接ワイヤB1の送給速度は、第1の送給速度設定信号AWsを微調整した第2の送給速度設定信号BWsによって制御される。
【0057】
[実施例2]
図11は、本発明の第2の実施例(以下、実施例2という)の多電極パルスアーク溶接制御方法を示す電流・電圧波形図であり、同図(A)は第1の溶接電流AIwの時間変化を示しており、同図(B)は第1の溶接電圧AVwの時間変化を示しており、同図(C)は第2の溶接電流BIwの時間変化を示しており、同図(D)は第2の溶接電圧BVwの時間変化を示している。また、同図は後述するパルス周期の倍率nが2の場合を例示している。したがって、同図(C)に示す第2の溶接電流BIwの第2のパルス周期BTfは、同図(A)に示す第1の溶接電流AIwの第1のパルス周波ATfの2倍になっている。以下、同図を参照して各期間の動作を説明する。
【0058】
第1のアークには、時刻t1〜t2期間中の第1のピーク電流AIpの通電と時刻t2〜t3期間中の第1のベース電流AIbの通電とを1周期(時刻t1〜t3期間)とする通電を繰り返して行う。
他方、第2のアークには、時刻t1〜t2期間中の第1回目の上記第1のピーク電流AIpの通電期間は第2のピーク電流BIpを通電し、時刻t2〜t3期間中の上記第1のベース電流AIbの通電期間は通常値の第2のベース電流BIbを通電し、続いて時刻t3〜t4期間中の第2回目の上記第1のピーク電流AIpの通電期間は通常値よりも大きな値の上記第2のベース電流BIbを通電し、時刻t4〜t5期間中の上記第1のベース電流AIbの通電期間は通常値の上記第2のベース電流BIbを通電し、上記第1回目の通電(時刻t1〜t3期間)及び第2回目の通電(時刻t3〜t5期間)を1組として繰り返して通電する。
【0059】
上述したように、時刻t1〜t3期間及び時刻t4〜t5期間中は、2つのアークを通電する電流値は略等しいので、2つのアークの相互干渉によるアーク発生状態への影響はなく、安定したアーク発生状態である。
一方、時刻t3〜t4期間中のアーク発生状態は、前述した図8(A)の状態と同様である。図8(A)では、第2のアークB3には磁界による力BFZ1及びアークによる収縮力BFX2が作用しており、BFZ1>BFX2であるので、第2のアークB3は変形する。しかし、図11では、第2のアークB3には通常値よりも大きな値の第2のベース電流BIbが通電しているので、アークによる収縮力BFX2は図8(A)のときよりも大きくなる。その結果、BFZ1<BFX2となるので、第2のアークB3は変形しないで安定したアーク発生状態を維持することができる。上記の第2のベース電流BIbの通常値よりも大きな値としては、BFZ1<BFX2となるように設定する。その設定値は80〜150[A]程度となる。
【0060】
図12は、上述した実施例2において倍率nが3のときの多電極パルスアーク溶接制御方法を示す電流・電圧波形図であり、同図(A)は第1の溶接電流AIwの時間変化を示しており、同図(B)は第1の溶接電圧AVwの時間変化を示しており、同図(C)は第2の溶接電流BIwの時間変化を示しており、同図(D)は第2の溶接電圧BVwの時間変化を示している。ここで倍率n=3であるので、同図(C)に示す第2の溶接電流BIwの第2のパルス周期BTfは、同図(A)に示す第1の溶接電流AIwの第1のパルス周期ATfの3倍になっている。また、同図において時刻t1〜t5期間の動作は、図11の時刻t1〜t5期間と同様であり、時刻t5〜t6期間の動作は、図11の時刻t3〜t5期間と同様であるので説明は省略する。
【0061】
さらに、上記の倍率nが4のときには、図11において時刻t5の後に時刻t3〜t5期間と同様の通電を3回追加する。したがって、倍率がnのときには、時刻t5の後に時刻t3〜t5期間と同様の通電をn−2回追加することになる。
【0062】
図13は、図11及び図12で上述した実施例2の多電極パルスアーク溶接制御方法を実施するための溶接装置のブロック図である。同図において、図3及び図10で前述した溶接装置と同一の回路ブロックには同一の符号を付しており、説明は省略する。以下、点線で示す図3及び図10とは異なる回路ブロックである第2の溶接電源装置BPSの倍率設定回路NS、周期変換回路TC、第2のベース電流設定回路BIB、第2の切換回路BSW及び送給速度調整回路WBについて説明する。
倍率設定回路NSは、2以上の整数である倍率設定信号nを出力する。
周期変換回路TCは、第1の溶接電源装置APSから出力された第1のパルス周期信号ATf及び上記の倍率設定信号nを入力として、前述したように、その信号と同期しかつその信号のn倍の周期を有する信号に変換して第2のパルス周期信号BTfを出力する。なお、前述した図11ではこの倍率設定信号nが2の場合であり、図12ではこの倍率設定信号nが3の場合を例示する。
第2のベース電流設定回路BIBは、上記の第1のパルス周期信号ATfを入力として、その入力がLowレベルのときは予め設定した通常値の第2のベース電流設定信号BIbを出力し、その入力信号がHighレベルのときは予め設定した通常値よりも大きな値の第2のベース電流設定信号を出力する。
第2の切換回路BSWは、上記の第2のパルス周期信号BTfがHighレベルのときはa側に接続されて第2のピーク電流設定信号BIpを第2の電流制御設定信号BIscとして出力し、上記信号がLowレベルのときはb側に接続されて上記の第2のベース電流設定信号BIbを第2の電流制御設定信号BIscとして出力する。
送給速度調整回路WBは、第1の送給速度設定信号AWsを入力として、その値を上記の倍率nで除算した値を中心値として微調整した第2の送給速度設定信号BWsを出力する。
【0063】
上述した実施例2の溶接装置においては、上記の倍率nの設定によって、第2の溶接ワイヤB1の送給速度を第1の溶接ワイヤA1の送給速度の1/n倍に調整することができると共に、第2の溶接電源装置BPSは、上記の第2のパルス周期信号BTfによる電圧フィードバック制御によって、その送給速度に対応した溶接電圧を出力することができる。すなわち、実施例1では2つの溶接ワイヤの送給速度は略等しい値である必要があるが、実施例2では一方の溶接ワイヤの送給速度を他方の1/n倍に調整することができる。したがって、溶接施工における溶接条件の選定の自由度が拡大するので、本発明の溶接方法の適用範囲が広くなる。
【0064】
前述した図9〜図13の実施例では、第1の溶接電源装置APSの電圧フィードバック制御を基準として第2の溶接電源装置BPSの電圧フィードバック制御を行っている。反対に第2の溶接電源装置BPSの電圧フィードバック制御を基準として第1の溶接電源装置APSの電圧フィードバック制御を行うようにしてもよい。
【0065】
図14は、本発明の効果を示すためのアーク切れ回数の比較図である。図3に示す従来溶接装置及び図13に示す本発明(実施例2)の溶接装置を使用して、溶接中に発生したアーク切れ回数の比較を行った。このときの主な溶接条件は以下のとおりである。すなわち、第1の溶接電流AIwは400[A]であり、第1の溶接電圧AVwは32[V]であり、他方、第2の溶接電流BIwは200[A]であり、第2の溶接電圧BVwは28[V]ある。したがって、倍率nは2の場合である。試験方法としては、溶接速度5[m/分]でビード長が50[cm]の溶接を10回繰り返して行い、1回の溶接当りのアーク切れ回数を計数して比較した。
【0066】
同図に示すように、従来技術では1回の溶接当り18回もアーク切れが発生して、スパッタも多く発生して、不良なビード外観となった。これに対して、本発明では、アーク切れは1回も発生しないで良好な溶接品質となった。
【0067】
図15は、本発明の効果を示すためのスパッタ発生量の比較図である。図3に示す従来溶接装置及び図13に示す本発明(実施例2)の溶接装置を使用して、溶接中に発生したスパッタ発生量の比較を行った。このときの主な溶接条件は前述した図14のときと同様である。試験方法としては、溶接速度5[m/分]の溶接を行い、その溶接中に発生した1分間当りのスパッタ発生量を測定して比較した。
同図に示すように、従来技術では22[g/分]と大量のスパッタが発生して、不良なビード外観となった。これに対して、本発明では7[g/分]と従来技術の場合の1/3に減少して、良好な溶接品質となった。
【0068】
【本発明の効果】
本発明は、多電極パルスアーク溶接方法において2つのアークの相互干渉によって発生するアーク形状の変形、アーク長の変動等のアーク発生状態の不安定を抑制することができ、常に良好な溶接品質を得ることができる。
さらに、実施例2の発明は、一方の溶接ワイヤの送給速度を他方の溶接ワイヤの送給速度の1/n倍に調整することができ、かつ、その送給速度に最適な溶接電圧を電圧フィードバック制御によって出力することができるので、実施例1の発明よりも溶接施工の適用範囲を拡大することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、多電極パルスアーク溶接装置の構成図である。
【図2】図2は、図1に示す第1の溶接電源装置APS及び第2の溶接電源装置BPSの出波形を示す電流・電圧波形図である。
【図3】図3は、図1に示す従来技術の第1の溶接電源装置APS及び第2の溶接電源装置BPSの回路構成を示すブロック図である。
【図4】図4は、単独で発生しているアーク3に作用する力を説明するためのアーク発生部模式図である。
【図5】図5は、従来技術の多電極パルスアーク溶接方法の電流・電圧波形図である。
【図6】図6は、2つのアークに通電する第1及び第2の溶接電流が共にピーク電流である図5の時刻t1におけるアーク発生部の模式図である。
【図7】図7は、2つのアークに通電する第1及び第2の溶接電流が共にベース電流である図5の時刻t2におけるアーク発生部の模式図である。
【図8】図8は、第1のアークA3に第1のピーク電流AIpが通電し、第2のアークB3に第2のベース電流BIbが通電する図5の時刻t3におけるアーク発生部の模式図である。
【図9】図9は、本発明の第1の実施例の多電極パルスアーク溶接制御方法を示す電流・電圧波形図である。
【図10】図10は、実施例1の多電極パルスアーク溶接制御方法を実施するための溶接装置のブロック図である。
【図11】図11は、本発明の第2の実施例(以下、実施例2という)の多電極パルスアーク溶接制御方法を示す電流・電圧波形図である。
【図12】図12は、実施例2において倍率nが3のときの多電極パルスアーク溶接制御方法を示す電流・電圧波形図である。
【図13】図13は、実施例2の多電極パルスアーク溶接制御方法を実施するための溶接装置のブロック図である。
【図14】図14は、本発明の効果を示すためのアーク切れ回数の比較図である。
【図15】図15は、本発明の効果を示すためのスパッタ発生量の比較図である。
【符号の説明】
1 溶接ワイヤ
2 被溶接物
21 溶融池
3 アーク
4 溶接トーチ
A1 第1の溶接ワイヤ
A3 第1のアーク
A41 第1のコンタクトチップ
AFZ1〜2、BFZ1〜2 磁界による力
AIB 第1のベース電流設定回路
AIb 第1のベース電流、第1のピーク電流設定信号
AIP 第1のピーク電流設定回路
AIp 第1のピーク電流、第1のピーク電流設定信号
AIsc 第1の電流制御設定信号
AIw 第1の溶接電流
APS 第1の溶接電源装置
ASW 第1の切換回路
ATf 第1のパルス周期、第1のパルス周期信号
ATp 第1のピーク電流通電時間
AVb 第1のベース電圧
AVp 第1のピーク電圧
AVS 第1の電圧設定回路
AVs 第1の電圧設定信号
AVw 第1の溶接電圧
AWF 第1のワイヤ送給装置
AWS 第1の送給速度設定回路
AWs 第1の送給速度設定信号
B1 第2の溶接ワイヤ
B3 第2のアーク
B41 第2のコンタクトチップ
BIB 第2のベース電流設定回路
BIb 第2のベース電流、第2のピーク電流設定信号
BIP 第2のピーク電流設定回路
BIp 第2のピーク電流、第2のピーク電流設定信号
BIsc 第2の電流制御設定信号
BIw 第2の溶接電流
BPS 第2の溶接電源装置
BSW 第2の切換回路
BTf 第2のパルス周期、第2のパルス周期信号
BTp 第2のピーク電流通電時間
BVb 第2のベース電圧
BVp 第2のピーク電圧
BVS 第2の電圧設定回路
BVs 第2の電圧設定信号
BVw 第2の溶接電圧
BWF 第2のワイヤ送給装置
BWS 第2の送給速度設定回路
BWs 第2の送給速度設定信号
EI 電流誤差増幅回路
Ei 電流誤差増幅信号
EV 電圧誤差増幅回路
Ev 電圧誤差増幅信号
FX、AFX1〜2、BFX1〜2 アークによる収縮力
FY、BFY2 磁界による力
ID 電流検出回路
INV 出力制御回路
Iw 溶接電流
MC 変調回路
MM モノマルチバイブレータ
NS 倍率設定回路
n 倍率、倍率設定信号
TC 周期変換回路
TP ピーク電流通電時間設定回路
Tp ピーク電流通電時間設定信号
VD 電圧検出回路
Vd 電圧検出信号
VF V/F変換回路
Vf V/F変換信号
WB 送給速度調整回路
WC 送給制御回路
Wc 送給制御信号

Claims (7)

  1. 1つの溶接トーチから互いに電気的に絶縁された第1の溶接ワイヤ及び第2の溶接ワイヤをそれぞれ予め設定した送給速度で送給し、前記第1の溶接ワイヤには予め設定した第1のピーク電流の通電と予め設定した第1のベース電流の通電とを1周期とする通電を繰り返すと共に、前記第2の溶接ワイヤには予め設定した第2のピーク電流の通電と予め設定した第2のベース電流の通電とを1周期とする通電を繰り返し、前記第1の溶接ワイヤ及び前記第2の溶接ワイヤと被溶接物との間に2つのアークを発生させて溶接する多電極パルスアーク溶接制御方法において、前記第2の溶接ワイヤに、第1回目の前記第1のピーク電流の通電期間は前記第2のピーク電流を通電し前記第1のベース電流の通電期間は予め設定した通常値の前記第2のベース電流を通電し、続いて第2回目の前記第1のピーク電流の通電期間は予め設定した通常値よりも大きな値の前記第2のベース電流を通電し前記第1のベース電流の通電期間は前記通常値の第2のベース電流を通電し、前記第1回目及び第2回目の通電を1組として繰り返して通電する多電極パルスアーク溶接制御方法。
  2. 前記第2の溶接ワイヤの送給速度が、予め設定した第1の溶接ワイヤの送給速度を1/2倍した値をさらに微調整した値である請求項1の多電極パルスアーク溶接制御方法。
  3. 1つの溶接トーチから互いに電気的に絶縁された第1の溶接ワイヤ及び第2の溶接ワイヤをそれぞれ予め設定した送給速度で送給し、前記第1の溶接ワイヤには予め設定した第1のピーク電流の通電と予め設定した第1のベース電流の通電とを1周期とする通電を繰り返すと共に、前記第2の溶接ワイヤには予め設定した第2のピーク電流の通電と予め設定した第2のベース電流の通電とを1周期とする通電を繰り返し、前記第1の溶接ワイヤ及び前記第2の溶接ワイヤと被溶接物との間に2つのアークを発生させて溶接する多電極パルスアーク溶接制御方法において、前記第2の溶接ワイヤに、第1回目の前記第1のピーク電流の通電期間は前記第2のピーク電流を通電し前記第1のベース電流の通電期間は予め設定した通常値の前記第2のベース電流を通電し、続いて第2回目の前記第1のピーク電流の通電期間は予め設定した通常値よりも大きな値の前記第2のベース電流を通電し前記第1のベース電流の通電期間は前記通常値の第2のベース電流を通電し、さらに前記第2回目と同様の通電を予め設定した3以上の整数である第n回目まで繰り返し、前記第1回目乃至第n回目の通電を1組として繰り返して通電する多電極パルスアーク溶接制御方法。
  4. 前記第2の溶接ワイヤの送給速度が、予め設定した第1の溶接ワイヤの送給速度を1/n倍した値をさらに微調整した値である請求項3の多電極パルスアーク溶接制御方法。
  5. 前記第1の溶接ワイヤを通電する予め設定した第1のピーク電流の通電と予め設定した第1のベース電流の通電との1周期の時間長さが、第1の溶接ワイヤと被溶接物との間の溶接電圧を検出した電圧検出信号と予め設定した電圧設定信号との誤差に基づく周波数変調制御又はパルス幅変調制御によって定まる請求項1〜4のいずれか1項に記載の多電極パルスアーク溶接制御方法。
  6. 1つの溶接トーチから互いに電気的に絶縁された第1の溶接ワイヤ及び第2の溶接ワイヤをそれぞれ予め設定した送給速度で送給し、前記第1の溶接ワイヤには予め設定した第1のピーク電流の通電と予め設定した第1のベース電流の通電とを1周期とする通電を繰り返すと共に、前記第2の溶接ワイヤには予め設定した第2のピーク電流の通電と予め設定した第2のベース電流の通電とを1周期とする通電を繰り返し、前記第1の溶接ワイヤ及び前記第2の溶接ワイヤと被溶接物との間に2つのアークを発生させて溶接する多電極パルスアーク溶接装置において、前記第1の溶接ワイヤと被溶接物2との間の溶接電圧を検出して電圧検出信号を出力する電圧検出回路と、電圧設定信号を出力する電圧設定回路と、前記電圧検出信号及び前記電圧設定信号を入力としてそれらの信号間の誤差による周波数変調制御又はパルス幅変調制御によって第1のパルス周期信号を出力する変調回路と、第1のピーク電流設定信号を出力する第1のピーク電流設定回路と、第1のベース電流設定信号を出力する第1のベース電流設定回路と、前記第1のパルス周期信号、前記第1のピーク電流設定信号及び前記第1のベース電流設定信号を入力として前記第1のパルス周期信号によって前記第1のピーク電流設定信号と前記第1のベース電流設定信号とを切り換えて第1の電流制御設定信号として出力する第1の切換回路とから成り、前記第1の電流制御設定信号によって前記第1のピーク電流の通電開始及び通電終了と前記第1のベース電流の通電開始及び通電終了とを制御する第1の溶接電源装置並びに2以上の整数である倍率設定信号nを出力する倍率設定回路と、前記第1のパルス周期信号を入力としてその信号と同期しかつその信号の前記倍率設定信号n倍の周期を有する信号に変換して第2のパルス周期信号を出力する周期変換回路と、第2のピーク電流設定信号を出力する第2のピーク電流設定回路と、前記第1のパルス周期信号を入力としてその入力信号が前記第1のピーク電流設定信号に切り換える信号であるときは予め設定した通常値よりも大きな値の第2のベース電流設定信号を出力しその入力信号が前記第1のベース電流設定信号に切り換える信号であるときは予め設定した通常値の前記第2のベース電流設定信号を出力する第2のベース電流設定回路と、前記第2のパルス周期信号、前記第2のピーク電流設定信号及び前記第2のベース電流設定信号を入力として前記第2のパルス周期信号によって前記第2のピーク電流設定信号と前記第2のベース電流設定信号とを切り換えて第2の電流制御設定信号として出力する第2の切換回路とから成り、前記第2の電流制御設定信号によって前記第2のピーク電流の通電開始及び通電終了と前記第2のベース電流の通電開始及び通電終了とを制御する第2の溶接電源装置から構成される多電極パルスアーク溶接装置。
  7. 前記第2の溶接電源装置が、第1の溶接ワイヤの予め設定した第1の送給速度設定信号を入力としてその信号を1/n倍してさらに微調整した第2の送給速度設定信号を出力する送給速度調整回路を具備し、前記第2の送給速度設定信号によって第2の溶接ワイヤの送給を制御する第2の溶接電源装置である請求項6の多電極パルスアーク溶接装置。
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