JP4175781B2 - 多電極パルスアーク溶接制御方法及び溶接装置 - Google Patents

多電極パルスアーク溶接制御方法及び溶接装置 Download PDF

Info

Publication number
JP4175781B2
JP4175781B2 JP2001064224A JP2001064224A JP4175781B2 JP 4175781 B2 JP4175781 B2 JP 4175781B2 JP 2001064224 A JP2001064224 A JP 2001064224A JP 2001064224 A JP2001064224 A JP 2001064224A JP 4175781 B2 JP4175781 B2 JP 4175781B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
welding
voltage
current
peak
signal
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2001064224A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2002263838A (ja
JP2002263838A5 (ja
Inventor
登史男 大縄
敏郎 上園
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Daihen Corp
Original Assignee
Daihen Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Daihen Corp filed Critical Daihen Corp
Priority to JP2001064224A priority Critical patent/JP4175781B2/ja
Publication of JP2002263838A publication Critical patent/JP2002263838A/ja
Publication of JP2002263838A5 publication Critical patent/JP2002263838A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4175781B2 publication Critical patent/JP4175781B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Arc Welding Control (AREA)
  • Arc Welding In General (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、1つの溶接トーチから互いに電気的に絶縁された2本の溶接ワイヤと被溶接物との間に2つのアークを発生させて溶接する多電極パルスアーク溶接方法において、2つのアークの相互間に作用する力によるアークが相互干渉するためにアーク発生状態が不安定になることを抑制する多電極パルスアーク溶接制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
多電極パルスアーク溶接方法では、1つの溶接トーチに設けた電気的に絶縁した2つのコンタクトチップを通して2本の溶接ワイヤを送給して、それらの溶接ワイヤと被溶接物との間に2つのパルスアークを発生させて溶接を行う。この溶接方法は、2本の溶接ワイヤが同時に溶融するので高溶着量を得ることができるので、薄板の溶接では4[m/分]を超える高速溶接を行うことができ、また、厚板の多層溶接では層数を減らして溶接を行うことができ、溶接作業の高効率化を図ることができる。かつ、本溶接方法はパルスアーク溶接方法であるので、スパッタの発生が少なく、美しいビード外観を得ることができる。この溶接方法は、鉄鋼、ステンレス鋼、アルミニウム合金等の種々の金属に対して使用することができる。
【0003】
[第1の従来技術]
この溶接方法として、例えば、Welding Journalの1999年5月号の31〜34頁に記載されている「Twin-Wire GMAW:Process Characteristics and Applications」には、2本のワイヤを用いたGMAW(ガスメタルアーク溶接)において、図2に示すパルス電流を2本のワイヤにそれぞれ通電し、この2本のワイヤに通電するそれぞれのパルス電流のピーク期間が重ならないように制御することが提案されている。同図(A)は、第1の溶接ワイヤに通電する第1ワイヤ溶接電流AIwの時間変化を示しており、同図(B)は、第2の溶接ワイヤに通電する第2ワイヤ溶接電流BIwの時間変化を示している。AIp及びBIpは第1のピーク電流値及び第2のピーク電流値であり、AIb及びBIbは第1のベース電流値及び第2のベース電流値であり、ATp及びBTpは第1のピーク電流通電時間及び第2のピーク電流通電時間であり、ATb及びBTbは第1のベース電流通電時間及び第2のベース電流通電時間である。この場合、第1の溶接ワイヤに通電される第1ワイヤ溶接電流AIwが第1のベース電流通電時間ATbでは、第1の溶接ワイヤA1のアークの電磁力が第2の溶接ワイヤB1のアークに強い影響を与えないために、溶融池は安定し、美麗なビードが得られることが示されている。
【0004】
しかし、溶接速度を向上させるためには、ワイヤの送給速度と平均溶接電流値とを増加させて、ワイヤの溶融量を増加させなければならない。そこで、平均溶接電流値を大きくするためにパルス周波数を高くして第1ワイヤ溶接電流AIwと第2ワイヤ溶接電流BIwとのパルス波形が、図3に示すように密になる場合、次の理由によって大量のスパッタが発生する。図3は、パルス周波数を高くして第1ワイヤ溶接電流AIwと第2ワイヤ溶接電流BIwとのパルス波形が密になる場合を示す図である。
同図(A)に示す第1ワイヤ溶接電流AIwの第1のピーク電流AIpを通電した直後に同図(B)に示す第2ワイヤ溶接電流BIwの第2のピーク電流BIpを通電した場合、第1の溶接ワイヤA1の溶滴離脱は、時刻t2の第1のピーク電流AIpから立ち下がった第1のベース電流AIbを通電し始める時期に発生する。この時期は同図(B)に示すように、第2のピーク電流BIpが通電し始める時期である。第2のピーク電流BIpの値が第1のベース電流AIbの値よりもかなり大きな値である。したがって、図4に示すように、第1のアークA3に作用する電磁力Fによって第1のアークA3が第2のアークB3に引き寄せられた状態になる。図4は、図3に示す時刻t2における溶滴1の離脱の状態を説明する図である。同図において、第1の溶接ワイヤA1から溶滴1が離脱するとき、溶滴1は第2の溶接ワイヤB1の方向に飛び出すために溶融池に落下しないでスパッタに成る。
【0005】
また例えば、ワイヤの直径が1.2[mm]の軟鋼溶接ワイヤの場合、1パルス1溶滴移行を行う適切なパルス条件は、一般的にピーク電流値が450[A]乃至500[A]、ピーク電流通電時間が1.5[ms]乃至2.0[ms]であって、ピーク電流値が450[A]よりも小さいときは、溶融エネルギ及びピンチ力が不足するために、数個のパルスで1個の溶滴が溶接ワイヤ先端から離脱するnパルス1溶滴移行又は短絡移行になる。また、ピーク電流値が500[A]よりも大きいときは、溶融エネルギ及びピンチ力が過大となるために、1個のパルスによって数個の溶滴が溶接ワイヤ先端から離脱する1パルスn溶滴移行となる。これらの場合、スパッタの発生が増加し、アーク状態も不安定になる。
【0006】
また、本出願の発明者は、溶接学会全国大会講演概要第66集(2000)の240頁に記載しているように、後行ワイヤの平均通電電流値は、第1の溶接ワイヤA1の平均通電電流値の約40[%]が適正値であることを提案した。以下、その理由を説明する。
図5は、2電極アーク溶接制御方法における第2の溶接ワイヤB1の平均通電電流値[A](横軸)と最大溶接速度[m/min](縦軸)との関係を示す図である。同図は、被溶接物が軟鋼で、直径が1.2[mm]の軟鋼ワイヤを使用してアルゴンが80[%]と炭酸ガスが20[%]とのシールドガスで、第1の溶接ワイヤA1の平均通電電流値を300[A]、350[A]及び400[A]に変化させて溶接したときの第2の溶接ワイヤB1の平均通電電流値[A](横軸)と最大溶接速度[m/min](縦軸)との関係を示している。
上記の3種の平均通電電流値のうち、例えば、第1の溶接ワイヤA1の平均通電電流値が400[A]であって、第2の溶接ワイヤB1の平均通電電流値が100[A]のときは、第2の溶接ワイヤB1のアークB3によって形成される溶接金属の量が不足するために、溶接ビードが全体に亘り細くなり、アンダカットが発生し、又は溶融池後方に流れようとする湯流れを第2の溶接ワイヤB1のアークB3のアーク力が抑えきれないためにハンピングビードが発生してしまう。従って、最大溶接速度は2.3[m/min]に制限される。
【0007】
また、第2の溶接ワイヤB1の平均通電電流値を200[A]に増加させると、第2の溶接ワイヤB1の平均通電電流値が過大になるために、第2の溶接ワイヤB1のアークB3による溶融池の掘り下げが大きくなり、溶融金属の流れが乱れて両アーク間に大きな湯溜まりが形成され、この不安定な湯溜まりが溶接ビード形状を悪化させる。従って、最大溶接速度は3.3[m/min]に制限される。
さらに、第2の溶接ワイヤB1の平均通電電流値を250[A]まで増加させると、第2の溶接ワイヤB1のアーク力がさらに過大になり、アンダカット又はハンピングビードが発生する傾向が増加する。従って、正常な溶接ビードを形成させことができる最大溶接速度は2.2[m/min]に低下してしまう。
【0008】
これに対して、第2の溶接ワイヤB1の平均通電電流値が約150[A]のときは、第2の溶接ワイヤB1のアーク力が第1の溶接ワイヤA1のアーク力によって後方に流れる溶融金属の流れを緩和し、溶接ビードの表面高さを均一にするように作用するので、4.0[m/min]の高速溶接の場合においても、溶接ビード形状が良好である。
【0009】
また同図において、第1の溶接ワイヤA1の平均通電電流値が350[A]のときは、第2の溶接ワイヤB1の平均通電電流値が約130[A]のときに、最大溶接速度は4.2[m/min]となり溶接ビード形状も良好である。また、第1の溶接ワイヤA1の平均通電電流値が300[A]のときは、第2の溶接ワイヤB1の平均通電電流値が約120[A]のときに、最大溶接速度は3.2[m/min]となり溶接ビード形状が良好である。
このように、本出願人が提案した技術では、第2の溶接ワイヤB1の平均通電電流値と第1の溶接ワイヤA1の平均通電電流値との比がそれぞれ、150/400=0.38、130/350=0.37、120/300=0.40となるので、第2の溶接ワイヤB1の平均通電電流値が、第1の溶接ワイヤA1の平均通電電流値の約40[%]のときに、正常な溶接ビードを最も高速度で形成することが可能であった。
【0010】
そこで、平均溶接電流値を大きくするためにパルス周波数を高くした図3の波形において、1パルス1溶滴移行を行う適切なパルス条件を満たすと同時に第2ワイヤ溶接電流BIwの平均値を第1ワイヤ溶接電流AIwの平均値の約40[%]に設定しようとした場合、次の問題が有る。
例えば、ワイヤの直径が1.2[mm]の軟鋼溶接ワイヤの場合、第1のピーク電流値AIpが500[A]、第1のピーク電流通電時間ATpが2[ms]、第2のピーク電流値BIpが450[A]、第2のピーク電流通電時間BTpが1.5[ms]程度にしかならないために、第1の溶接ワイヤA1と第2の溶接ワイヤB1との平均電流値が略同じ値になり、高速溶接に適した第2ワイヤ溶接電流BIwの平均値を第1ワイヤ溶接電流AIwの平均値の約40[%]にするという条件を満たすことができない。
【0011】
また、第1の溶接ワイヤA1と第2の溶接ワイヤB1との平均電流値が略同じ値になるために、1ワイヤ当りの平均電流値を最大で(ピーク電流値+ベース電流値)/2までしか大きくできないために、高速溶接に必要な大電流化を図ることが困難である。
【0012】
上記の問題点を解決するために、本出願人と同一出願人によって平成12年7月28日に特許出願(特願2000−228330)(以下、第2の従来技術という)がされている。
また、高速溶接に適した第2ワイヤ溶接電流BIwの平均値を第1ワイヤ溶接電流AIwの平均値の約40[%]にするという条件を満たすために、第2の溶接ワイヤB1に通電する電流のパルス周波数を第1の溶接ワイヤA1に通電する電流のパルス周波数の1/n(nは2以上の自然数)にする方法も提案した。
以下、第2の従来技術の多電極パルスアーク溶接制御方法及び溶接装置について説明する。
【0013】
[第2の従来技術]
図6は第2の従来技術の多電極パルスアーク溶接装置の回路構成を示すブロック図である。同図に示すように、この溶接装置は、第1の溶接電源装置APS、第1のワイヤ送給装置AWF、第1の送給速度設定回路AWS、第2の溶接電源装置BPS、第2のワイヤ送給装置BWF、第2の送給速度設定回路BWS及び溶接トーチ4から構成されている。以下、同図を参照してこれらの構成装置について説明する。
【0014】
溶接トーチ4には、相互に電気的に絶縁された第1のコンタクトチップA41及び第2のコンタクトチップB41が装着されており、これらのコンタクトチップA41及びB41を通して第1の溶接ワイヤA1及び第2の溶接ワイヤB1が送給及び給電されて、被溶接物2との間に第1のアークA3及び第2のアークB3が発生する。
【0015】
第1の溶接電源装置APSは、一点鎖線で囲んだ範囲内の各回路ブロックから構成されており、以下、これらの回路ブロックについて説明する。
出力制御回路INVは、商用電源を入力として出力制御し、アーク負荷に適した出力を供給する。一般的に、この出力制御回路INVとしては、インバータ制御回路、チョッパ制御回路、サイリスタ位相制御回路等が慣用されている。例えば、上記のインバータ制御回路は以下の回路から形成されている。すなわち、商用電源を整流する1次側整流回路と、整流されたリップルのある電圧を平滑する平滑回路と、平滑された直流電圧を高周波交流に変換するインバータ回路と、高周波交流をアーク負荷に適した電圧に降圧する高周波変圧器と、降圧された交流を再び整流する2次側整流回路と、整流されたリップルのある直流を平滑する直流リアクトルとから形成されており、後述する電流誤差増幅信号Eiに従って上記のインバータ回路を形成する複数組のパワートランジスタが制御されて出力制御が行われる。
【0016】
電圧検出回路VDは、第1の溶接電圧AVwを検出して平均化した電圧検出信号Vdを出力する。電圧設定回路VSは、電源装置の外部に設けられており、電圧設定信号Vsを出力する。電圧誤差増幅回路EVは、フィードバック信号である上記の電圧検出信号Vdと、目標値である上記の電圧設定信号Vsとの誤差を増幅して、電圧誤差増幅信号Evを出力する。V/F変換回路VFは、上記の電圧誤差増幅信号Evを入力としてV/F変換を行い、V/F変換信号Vfを出力する。ピーク電流通電時間設定回路TPは、予め設定したピーク電流通電時間設定信号Tpを出力する。モノマルチバイブレータMMは、上記のV/F変換信号VfがLowレベルからHighレベルに変化することをトリガとして、上記のピーク電流通電時間設定信号Tpによって設定した時間Highレベルとなる図2で前述した第1のパルス周期信号ATfを出力する。
【0017】
点線で囲んだ変調回路MCは、上記の電圧誤差増幅回路EV、V/F変換回路VF、ピーク電流通電時間設定回路TP及びモノマルチバイブレータMMから形成される。この変調回路MCは、上記の電圧検出信号Vdと上記の電圧設定信号Vsとを入力として、それらの信号間の誤差によるパルス周波数変調制御によって上記の第1のパルス周期信号ATfを出力する。
【0018】
第1のピーク電流設定回路AIPは、予め設定した第1のピーク電流設定信号AIpを出力する。第1のベース電流設定回路AIBは、予め設定した第1のベース電流設定信号AIbを出力する。第1の切換回路ASWは、上記の第1のパルス周期信号ATfがHighレベルのときはa側に接続されて上記の第1のピーク電流設定信号AIpを第1の電流制御設定信号AIscとして出力し、上記の第1のパルス周期信号ATfがLowレベルのときはb側に接続されて上記の第1のベース電流設定信号AIbを第1の電流制御設定信号AIscとして出力する。電流検出回路IDは、第1ワイヤ溶接電流AIwを検出して、電流検出信号Idを出力する。電流誤差増幅回路EIは、フィードバック信号である上記の電流検出信号Idと、目標値である上記の第1の電流制御設定信号AIscとの誤差を増幅して、電流誤差増幅信号Eiを出力する。この電流誤差増幅信号Eiに従って上記の出力制御回路INVによって上記の第1ワイヤ溶接電流の制御が行われて、第1の溶接電圧AVwが印加する。
【0019】
第1の送給速度設定回路AWSは、電源装置の外部に設けられており、第1の送給速度設定信号AWsを出力する。送給制御回路WCは、上記の第1の送給速度設定信号AWsを入力として、送給制御信号Wcを出力する。第1のワイヤ送給装置AWFは、上記の送給制御信号Wcに従って第1の溶接ワイヤA1の送給を制御する。
【0020】
次に、第2の溶接電源装置BPSを構成する各回路ブロックについて説明する。
倍率設定回路NSは、1以上の整数である倍率設定信号nを出力する。周期変換回路TCは、第1の溶接電源装置APSから出力された上記の第1のパルス周期信号ATf及び上記の倍率設定信号nを入力として、第1のパルス周期信号ATfと同期し、かつ、その信号のn倍の周期を有する信号に変換して、第2のパルス周期信号BTfを出力する。
【0021】
第2の切換回路BSWは、上記の第2のパルス周期信号BTfがHighレベルのときはa側に接続されて第2のピーク電流設定信号BIpを第2の電流制御設定信号BIscとして出力し、上記の第2のパルス周期信号BTfがLowレベルのときはb側に接続されて上記の第2のベース電流設定信号BIbを第2の電流制御設定信号BIscとして出力する。電流誤差増幅回路EIは、フィードバック信号である電流検出信号Idと、目標値である上記の第2の電流制御設定信号BIscとの誤差を増幅して、電流誤差増幅信号Eiを出力する。この電流誤差増幅信号Eiに従って出力制御回路INVによって上記の第2ワイヤ溶接電流の制御が行われて、第2の溶接電圧BVwが印加する。
【0022】
その他の符号の説明については、上記の第1の溶接電圧AVw及び第1ワイヤ溶接電流AIwを第2の溶接電圧BVw及び第2ワイヤ溶接電流BIwに、第1のピーク電流設定回路AIP及び第1のピーク電流設定信号AIpを第2のピーク電流設定回路BIP及び第2のピーク電流設定信号BIpに、第1のベース電流設定回路AIB及び第1のベース電流設定信号AIbを第2のベース電流設定回路BIB及び第2のベース電流設定信号BIbに、第1の切換回路ASW及び第1の電流制御設定信号AIscを第2の切換回路BSW及び第2の電流制御設定信号BIscに、第1の送給速度設定回路AWS及び第1の送給速度設定信号AWsを第2の送給速度設定回路BWS及び第2の送給速度設定信号BWsに、第1のワイヤ送給装置AWFを第2のワイヤ送給装置BWFにそれぞれ読み替えると同様になるので、説明を省略する。
結果的に、上記の第2の溶接電源装置BPSによって第2の溶接電圧BVwが印加すると共に、上記の第2のワイヤ送給装置BWFによって第2の溶接ワイヤB1が送給されて、被溶接物2との間に第2のアークB3が発生して第2ワイヤ溶接電流BIwが通電する。
【0023】
また、図6に示した第2の従来技術の多電極パルスアーク溶接装置において、倍率設定回路NSが出力する倍率設定信号n=1の場合の溶接電流及び溶接電圧の波形を図7に示し、倍率設定信号n=2の場合の溶接電流及び溶接電圧の波形を図8に示す。図7と図8とを比較すると、倍率設定信号n=2に設定することによって、後行ワイヤに通電する平均溶接電流を先行ワイヤに通電する平均溶接電流の約40[%]にすることができる。この場合の溶滴移行現象を図9乃至図11を参照して説明する。図9に示すように、時刻t2乃至t4の期間は第1の溶接ワイヤA1及び第2の溶接ワイヤB1に第1のピーク電流AIp及び第2のピーク電流BIpをそれぞれ通電する。この第1のピーク電流AIp及び第2のピーク電流BIpを通電する期間は、電流値が大きいためにアークの硬直性の性質によって図10に示すように、第1のアークA3及び第2のアークB3は第1の溶接ワイヤA1及び第2の溶接ワイヤB1の送給方向に発生する。したがって、一方のアークが他方のアークの方向に引っ張られることがなく、安定したアーク長制御を行うことができる。
さらに、第1の溶接ワイヤA1及び第2の溶接ワイヤB1からの溶滴離脱が図9に示す時刻t5付近で発生し、アークの磁気的干渉の最も少ない第1のベース電流AIb及び第2のベース電流BIbの通電期間に近い時期に溶滴離脱が発生するため、図11に示すように、溶滴1が溶融池内に落下して、スパッタの発生を著しく減少させることができる。
【0024】
また、第2の従来技術の第1の溶接ワイヤA1と第2の溶接ワイヤB1とに第1ワイヤ溶接電流AIwと第2ワイヤ溶接電流BIwとを同時に通電する溶接方法において、倍率設定回路NSが出力する倍率設定信号nが第2の溶接ワイヤB1に通電するパルス電流のパルス周波数を第1の溶接ワイヤA1に通電するパルス周波数の1/nにすることによって、高速溶接に適した第2ワイヤ溶接電流BIwの平均値を第1ワイヤ溶接電流AIwの平均値の約40[%]にするという条件を満たすことができる。
【0025】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記の第2の従来技術においては、第1の溶接ワイヤA1のアーク長制御を第1の溶接電圧AVwをフィードバックしてパルス周波数変調で行っている。これに対して、第2の溶接ワイヤB1に通電する第2ワイヤ溶接電流BIwは、単に第1ワイヤ溶接電流AIwのパルス周波数に同期して変化しているだけで、第2の溶接電圧BVwをフィードバックしてないので、第2溶接ワイヤB1のアーク長制御を行っていない。したがって、溶接中にトーチが振動したり、被溶接物2の溶接線上に凹凸がある場合、第1の溶接ワイヤA1のアーク長制御を行うことができるが、第2の溶接ワイヤB1のアーク長制御を十分に行うことができないために、美麗な溶接ビードを形成することができない。
【0026】
【課題を解決するための手段】
【0028】
請求項1に記載の発明は、図15に示す実施例2であって、第1の溶接ワイヤA1及び第2の溶接ワイヤB1のピーク電流及びベース電流の通電期間をそれぞれ一致させ、第2の溶接ワイヤB1に通電するパルス電流のパルス周波数を第1の溶接ワイヤA1に通電するパルス周波数の1/nにして、n=2とした場合であり、
1つの溶接トーチ4から互いに電気的に絶縁された第1の溶接ワイヤA1及び第2の溶接ワイヤB1をそれぞれ予め設定した送給速度で送給し、上記第1の溶接ワイヤA1には予め設定した第1のピーク電流AIpの通電と予め設定した第1のベース電流AIbの通電とを1周期とする通電を繰り返すと共に、上記第2の溶接ワイヤB1には予め設定した第2のピーク電圧BVpの印加による第2のピーク電流BIpの通電と第2のベース電圧BVbの印加による第2のベース電流BIbの通電とを1周期とする通電を繰り返し、上記第1の溶接ワイヤA1及び上記第2の溶接ワイヤB1と被溶接物2との間に2つのアークA3及びB3を発生させて溶接する多電極パルスアーク溶接制御方法において、
上記第2の溶接ワイヤB1に、第1回目の上記第1のピーク電流AIpの通電期間は上記第2のピーク電圧BVpを印加して第2のピーク電流BIpを通電し、
上記第1のベース電流AIbの通電期間は上記第2のベース電圧BVbを印加して第2のベース電流BIbを通電し、
続いて第2回目の上記第1のピーク電流AIpの通電期間及び上記第1のベース電流AIbの通電期間は上記第2のベース電圧BVbを印加して第2のベース電流BIbを通電し、
さらに予め設定した2以上の整数である倍率nによって上記第2回目と同様の通電を第n回目まで繰り返し、上記第1回目乃至第n回目の通電を1組として繰り返して通電し、
第1のピーク電圧時間ATpを予め定めて、第1の溶接電圧AVwの平均値を予め定めた第1の電圧設定値AVsと等しくなるように第1ワイヤ溶接電流AIWのパルス周波数を変化させることによって、上記第1の溶接ワイヤA1のアーク長を制御し、
上記第2のピーク電圧を予め定めたピーク電圧設定値と等しくなるように制御することによって上記第2のピーク電圧の印加期間中の上記第2の溶接ワイヤB1のアーク長を制御し、上記第2のベース電圧を予め定めたベース電圧設定値と等しくなるように制御することによって上記第2のベース電圧の印加期間中の上記第2の溶接ワイヤB1のアーク長を制御する、多電極パルスアーク溶接制御方法である。
【0029】
請求項2に記載の発明は、図16に示す実施例3であって、第1のピーク電流通電期間ATpと第2のピーク電流通電期間BTpとのパルスを同時に終了させる場合であり、
1つの溶接トーチ4から互いに電気的に絶縁された第1の溶接ワイヤA1及び第2の溶接ワイヤB1をそれぞれ予め設定した送給速度で送給し、上記第1の溶接ワイヤA1には予め設定した第1のピーク電流AIpの通電と予め設定した第1のベース電流AIbの通電とを1周期とする通電を繰り返すと共に、上記第2の溶接ワイヤB1には予め設定した第2のピーク電圧BVpの印加による第2のピーク電流BIpの通電と第2のベース電圧BVbの印加による第2のベース電流BIbの通電とを1周期とする通電を繰り返し、上記第1の溶接ワイヤA1及び上記第2の溶接ワイヤB1と被溶接物2との間に2つのアークA3及びB3を発生させて溶接する多電極パルスアーク溶接制御方法において、
上記第2の溶接ワイヤB1に、上記第1のピーク電流AIpの通電期間の開始時点から予め設定した遅延時間Todの経過時点までの期間は上記第2のベース電圧BVbを印加して第2のベース電流BIbを通電し、
上記経過時点から上記第1のピーク電流AIpの通電期間の終了時点までの期間は上記第2のピーク電圧BVpを印加して第2のピーク電流BIpを通電し、
上記第1のベース電流AIbの通電期間は上記第2のベース電圧BVbを印加して第2のベース電流BIbを通電し、
第1のピーク電圧時間ATpを予め定めて、第1の溶接電圧AVwの平均値を予め定めた第1の電圧設定値AVsと等しくなるように第1ワイヤ溶接電流AIWのパルス周波数を変化させることによって、上記第1の溶接ワイヤA1のアーク長を制御し、
上記第2のピーク電圧を予め定めたピーク電圧設定値と等しくなるように制御することによって上記第2のピーク電圧の印加期間中の上記第2の溶接ワイヤB1のアーク長を制御し、上記第2のベース電圧を予め定めたベース電圧設定値と等しくなるように制御することによって上記第2のベース電圧の印加期間中の上記第2の溶接ワイヤB1のアーク長を制御する、多電極パルスアーク溶接制御方法である。
【0030】
請求項3に記載の発明は、図17に示す実施例4であって、第1のピーク電流通電期間ATpと第2のピーク電流通電期間BTpとのパルスを同時に終了させ、第2の溶接ワイヤB1に通電するパルス電流のパルス周波数を第1の溶接ワイヤA1に通電するパルス周波数の1/nにし、n=2とした場合であって、
1つの溶接トーチ4から互いに電気的に絶縁された第1の溶接ワイヤA1及び第2の溶接ワイヤB1をそれぞれ予め設定した送給速度で送給し、上記第1の溶接ワイヤA1には予め設定した第1のピーク電流AIpの通電と予め設定した第1のベース電流AIbの通電とを1周期とする通電を繰り返すと共に、上記第2の溶接ワイヤB1には予め設定した第2のピーク電圧BVpの印加による第2のピーク電流BIpの通電と第2のベース電圧BVbの印加による第2のベース電流BIbの通電とを1周期とする通電を繰り返し、上記第1の溶接ワイヤA1及び上記第2の溶接ワイヤB1と被溶接物2との間に2つのアークA3及びB3を発生させて溶接する多電極パルスアーク溶接制御方法において、
上記第2の溶接ワイヤB1に、第1回目の上記第1のピーク電流AIpの通電期間の開始時点から予め設定した遅延時間Todの経過時点までの期間は予め設定した上記第2のベース電圧BVbを印加して第2のベース電流BIbを通電し、
上記経過時点から上記第1のピーク電流AIpの通電期間の終了時点までの期間は上記第2のピーク電圧BVpを印加して第2のピーク電流BIpを通電し、
上記第1のベース電流AIbの通電期間は上記第2のベース電圧BVbを印加して第2のベース電流BIbを通電し、
続いて第2回目の上記第1のピーク電流AIpの通電期間及び上記第1のベース電流AIbの通電期間は上記第2のベース電圧BVbを印加して第2のベース電流BIbを通電し、
さらに予め設定した2以上の整数である倍率nによって上記第2回目と同様の通電を第n回目まで繰り返し、上記第1回目乃至第n回目の通電を1組として繰り返して通電し、
第1のピーク電圧時間ATpを予め定めて、第1の溶接電圧AVwの平均値を予め定めた第1の電圧設定値AVsと等しくなるように第1ワイヤ溶接電流AIWのパルス周波数を変化させることによって、上記第1の溶接ワイヤA1のアーク長を制御し、
上記第2のピーク電圧を予め定めたピーク電圧設定値と等しくなるように制御することによって上記第2のピーク電圧の印加期間中の上記第2の溶接ワイヤB1のアーク長を制御し、上記第2のベース電圧を予め定めたベース電圧設定値と等しくなるように制御することによって上記第2のベース電圧の印加期間中の上記第2の溶接ワイヤB1のアーク長を制御する、多電極パルスアーク溶接制御方法である。
【0031】
請求項4に記載の発明は、図18に示すように、
1つの溶接トーチ4から互いに電気的に絶縁された第1の溶接ワイヤA1及び第2の溶接ワイヤB1をそれぞれ予め設定した送給速度で送給し、上記第1の溶接ワイヤA1には予め設定した第1のピーク電流AIpの通電と予め設定した第1のベース電流AIbの通電とを1周期とする通電を繰り返すと共に、上記第2の溶接ワイヤB1には予め設定した第2のピーク電圧BVpの印加による第2のピーク電流BIpの通電と第2のベース電圧BVbの印加による第2のベース電流BIbの通電とを1周期とする通電を繰り返し、上記第1の溶接ワイヤA1及び上記第2の溶接ワイヤB1と被溶接物2との間に2つのアークA3及びB3を発生させて溶接する多電極パルスアーク溶接装置において、
上記第1の溶接ワイヤA1と被溶接物2との間の第1の溶接電圧AVwを検出して電圧検出信号Vdを出力する電圧検出回路VDと、
電圧設定信号Vsを出力する電圧設定回路VSと、
上記電圧検出信号Vd及び上記電圧設定信号Vsを入力としてそれらの信号間の誤差によるパルス周波数変調制御によって第1のパルス周期信号ATfを出力する変調回路MCと、
第1のピーク電流設定信号AIpを出力する第1のピーク電流設定回路AIPと、
第1のベース電流設定信号AIbを出力する第1のベース電流設定回路AIBと、
上記第1のパルス周期信号ATfと上記第1のピーク電流設定信号AIpと上記第1のベース電流設定信号AIbとを入力として上記第1のパルス周期信号ATfによって上記第1のピーク電流設定信号AIpと上記第1のベース電流設定信号AIbとを切り換えて第1の電流制御設定信号AIscとして出力する第1の切換回路ASWとから成り、
上記第1の電流制御設定信号AIscによって上記第1ワイヤ溶接電流AIwを制御する第1の溶接電源装置APS並びに
2以上の整数である倍率設定信号nを出力する倍率設定回路NSと、
上記第1のパルス周期信号ATfを入力としてその信号と同期しかつその信号の上記倍率設定信号n倍の周期を有する信号に変換して第2のパルス周期信号BTfを出力する周期変換回路TCと、
遅延時間設定信号Todを出力する遅延時間設定回路TODと、
上記第2のパルス周期信号BTfと上記遅延時間設定信号Todとを入力として上記第2のパルス周期信号BTfがLowレベルからHighレベルに変化した時刻から上記遅延時間設定信号Todで定まる期間Lowレベルとなる遅延信号Odを出力する遅延回路ODと、
上記第2のパルス周期信号BTf及び上記遅延信号Odの論理積(AND)を行い切換信号Adを出力する論理積回路ANDと、
ピーク電圧設定信号BVpを出力するピーク電圧設定回路BVPと、
ベース電圧設定信号BVbを出力するベース電圧設定回路BVBと、
上記切換信号Adと上記ピーク電圧設定信号BVpと上記ベース電圧設定信号BVbとを入力として上記切換信号Adによって上記ピーク電圧設定信号BVpと上記ベース電圧設定信号BVbとを切り換えて電圧制御設定信号BVscとして出力する第2の切換回路BSWと、
上記第2の溶接ワイヤB1と被溶接物2との間の第2の溶接電圧BVwを検出して第2の電圧検出信号BVdを出力する第2の電圧検出回路BVDと、
上記第2の電圧検出信号BVdと上記電圧制御設定信号BVscとを入力として電圧誤差増幅信号Evを出力する電圧誤差増幅回路EVとから成り、
上記電圧誤差増幅信号Evによって第2の溶接電圧BVwを制御する第2の溶接電源装置BPSから構成される多電極パルスアーク溶接装置である。
【0032】
【発明の実施の形態】
図1は、本出願に係る発明の特徴を最もよく表す図である。後述する図18と同じなので、説明は図18で後述する。
発明の実施の形態は、出願時の請求項5項に記載の多電極パルスアーク溶接装置であって、1つの溶接トーチ4から互いに電気的に絶縁された第1の溶接ワイヤA1及び第2の溶接ワイヤB1をそれぞれ予め設定した送給速度で送給し、上記第1の溶接ワイヤA1には予め設定した第1のピーク電流AIpの通電と予め設定した第1のベース電流AIbの通電とを1周期とする通電を繰り返すと共に、上記第2の溶接ワイヤB1には予め設定した第2のピーク電圧BVpの印加による第2のピーク電流BIpの通電と第2のベース電圧BVbの印加による第2のベース電流BIbの通電とを1周期とする通電を繰り返し、上記第1の溶接ワイヤA1及び上記第2の溶接ワイヤB1と被溶接物2との間に2つのアークA3及びB3を発生させて溶接する多電極パルスアーク溶接装置において、上記第1の溶接ワイヤA1と被溶接物2との間の第1の溶接電圧AVwを検出して電圧検出信号Vdを出力する電圧検出回路VDと、電圧設定信号Vsを出力する電圧設定回路VSと、上記電圧検出信号Vd及び上記電圧設定信号Vsを入力としてそれらの信号間の誤差によるパルス周波数変調制御によって第1のパルス周期信号ATfを出力する変調回路MCと、第1のピーク電流設定信号AIpを出力する第1のピーク電流設定回路AIPと、第1のベース電流設定信号AIbを出力する第1のベース電流設定回路AIBと、上記第1のパルス周期信号ATfと上記第1のピーク電流設定信号AIpと上記第1のベース電流設定信号AIbとを入力として上記第1のパルス周期信号ATfによって上記第1のピーク電流設定信号AIpと上記第1のベース電流設定信号AIbとを切り換えて第1の電流制御設定信号AIscとして出力する第1の切換回路ASWとから成り、上記第1の電流制御設定信号AIscによって上記第1ワイヤ溶接電流AIwを制御する第1の溶接電源装置APS並びに2以上の整数である倍率設定信号nを出力する倍率設定回路NSと、上記第1のパルス周期信号ATfを入力としてその信号と同期しかつその信号の上記倍率設定信号n倍の周期を有する信号に変換して第2のパルス周期信号BTfを出力する周期変換回路TCと、遅延時間設定信号Todを出力する遅延時間設定回路TODと、上記第2のパルス周期信号BTfと上記遅延時間設定信号Todとを入力として上記第2のパルス周期信号BTfがLowレベルからHighレベルに変化した時刻から上記遅延時間設定信号Todで定まる期間Lowレベルとなる遅延信号Odを出力する遅延回路ODと、上記第2のパルス周期信号BTf及び上記遅延信号Odの論理積(AND)を行い切換信号Adを出力する論理積回路ANDと、ピーク電圧設定信号BVpを出力するピーク電圧設定回路BVPと、ベース電圧設定信号BVbを出力するベース電圧設定回路BVBと、上記切換信号Adと上記ピーク電圧設定信号BVpと上記ベース電圧設定信号BVbとを入力として上記切換信号Adによって上記ピーク電圧設定信号BVpと上記ベース電圧設定信号BVbとを切り換えて電圧制御設定信号BVscとして出力する第2の切換回路BSWとから成り、上記電圧制御設定信号BVscによって第2の溶接電圧BVwを制御する第2の溶接電源装置BPSから構成される多電極パルスアーク溶接装置である。
【0033】
【実施例】
[実施例1]
図12は、出願時の請求項1の発明に対応する実施例1の多電極パルスアーク溶接制御方法の溶接電流を示す図であり、同図(A)は第1ワイヤ溶接電流AIwの時間変化を示しており、同図(B)は第2ワイヤ溶接電流BIwの時間変化を示している。また、実施例1の多電極パルスアーク溶接制御方法を実施するための溶接装置の回路構成を図18に示し、後述する。
図12において、第1の溶接ワイヤA1については、第1ワイヤ溶接電流AIwのパルス周波数を変化させて第1ワイヤ溶接電流AIwの平均値を増減させることによって第1の溶接ワイヤA1のアーク長を制御する。また、第2の溶接ワイヤB1については、第2のパルス周期BTf及び第2のピーク電流通電時間BTpを第1ワイヤ溶接電流AIwの第1のパルス周期ATf及び第1のピーク電流通電時間ATpとそれぞれ同期させ、第2ワイヤ溶接電流BIwの第2のピーク電流BIpの値を変化させて第2ワイヤ溶接電流BIwの平均値を増減させることによって第2の溶接ワイヤB1のアーク長を制御する。
【0034】
ここで、図13を参照して、図12に示す第1ワイヤ溶接電流AIwのパルス周波数を変化させてアーク長を一定に制御することを説明し、次に図14を参照して、第2ワイヤ溶接電流BIwの第2のピーク電流BIpの値を変化させてアーク長を一定に制御することを説明する。
【0035】
図13は図12(A)に示す第1ワイヤ溶接電流AIwのパルス周波数を変化させてアーク長を一定に制御することを説明する図であって、パルス周波数変調方式のアーク長制御について、溶接電圧波形図を参照して説明する。同図において、時刻t1を起点として、第1の電圧設定値AVsに対して実際の電圧波形の平均値を近づけるために、次のパルスを発生させる時刻を求める。ここで、第1のピーク電圧AVpと第1のピーク電圧時間ATpと第1のベース電圧AVbと第1のベース電圧時間ATbとの関係は次の式(1)となる。
AVs×(ATp+ATb)=AVp×ATp+AVb×ATb・・・(1)
第1のピーク電圧時間ATpと第1の電圧設定値AVsとは、予め設定されているとする。
この式(1)から第1のベース電圧時間ATbを求めると式(2)になる。
ATb=ATp×(AVp−AVs)/(AVs−AVb)・・・(2)
アーク長が長くなる状態とは、第1のピーク電圧AVp及び第1のベース電圧AVbの値が大きくなることである。この場合、式(2)の右辺の(AVp−AVs)が大きくなり、(AVs−AVb)が小さくなる。したがって、第1のベース電圧時間ATbが大きくなる。第1のベース電圧時間ATbが大きくなるということは、次のパルスを発生させる時刻を遅らせることになる。
【0036】
次に、上記の関係を基に、図12(A)に示す第1ワイヤ溶接電流AIwの時間変化を説明する。時刻t1乃至t2の期間は、第1の溶接ワイヤA1の溶接ワイヤ送給速度と溶接ワイヤ溶融量とがバランスしているとする。
そして、時刻t2乃至t3の期間において、例えば被溶接物の加工精度、位置決め精度等によってコンタクトチップと被溶接物との間の距離が変動してアーク長が短くなると、第1のベース電流通電時間ATbが時刻t1乃至t2の期間のATb1よりも短いATb2になり、時刻t3において、パルスが発生する。
次に、時刻t3乃至t4の期間において、コンタクトチップと被溶接物との間の距離が変動してアーク長が長くなると、第1のベース電流通電時間ATbがATb3と長くなり、時刻t4において、パルスが発生する。
そして、時刻t4乃至t5において、前述した時刻t1乃至t2の期間と同じパルス周期の第1ワイヤ溶接電流AIw及び第2ワイヤ溶接電流BIwが通電する。
【0037】
図14は、第2のピーク電圧の印加期間中は、第2のピーク電圧を予め定めたピーク電圧設定値と等しくなるように制御することによってアーク長を一定に制御することを説明する図であって、第2の溶接ワイヤB1の先端から被溶接物2までの距離であるアーク長が変化したときの第2のピーク電流BIp[A](横軸)と第2のピーク電圧BVp[V](縦軸)との関係を示す図である。
図12に示す時刻t1乃至t2の期間は、図14に示す第2のピーク電流BIpとしてBIp2が通電されて第2の溶接ワイヤB1の溶接ワイヤ送給速度と溶接ワイヤ溶融量とがバランスし、このときのアーク長LをL2とする。
そして、第1の溶接ワイヤA1と第2の溶接ワイヤB1とは溶接トーチ4で一体であるので、上述した第1の溶接ワイヤA1と同様に、図12に示す時刻t2乃至t3の期間において、コンタクトチップと被溶接物との間の距離が変動してアーク長Lが短くなり図14に示すL3になる。
このとき、第2のピーク電流通電時間BTpは、第2のピーク電圧を予め定めたピーク電圧設定値と等しくなるように制御していて、図14に示すように、ピーク電圧設定値は、わずかに右肩さがりの直線を示している。その結果、アーク長Lが短くなってL3になると、第2のピーク電圧BVpが低くなって2のピーク設定電圧の直線とアーク長Lの曲線との交点が右に移動する。そして、第2のピーク電流BIpが増加してBIp3となり、図12に示す時刻t3において通電する第2のピーク電流BIpが大きくなる。したがって、第2の溶接ワイヤB1の溶融速度が増加してアーク長LがL2に戻る。
次に、図12に示す時刻t3乃至t4の期間において、コンタクトチップと被溶接物との間の距離が変動してアーク長Lが長くなって、図14に示すL1になると、第2のピーク電圧BVpが高くなって、ピーク電圧設定値の直線とアーク長Lの曲線との交点が左に移動する。そして、第2のピーク電流BIpが減少してBIp1となり、図12に示す時刻t4において通電する第2のピーク電流BIpが小さくなる。したがって、第2の溶接ワイヤB1の溶融速度が減少してアーク長がL2に戻る。
そして、図12に示す時刻t4乃至t5において、前述した時刻t1乃至t2の期間と同じパルス周期の第2溶接電流BIwが通電する。また、上記と同様に、第2のベース電圧の印加期間中は、第2のベース電圧を予め定めた第2のベース設定電圧と等しくなるように制御することによってアーク長を一定に制御する。
【0038】
したがって、実施例1においては、
(1)第2の溶接ワイヤB1のアーク長制御を第2の溶接電圧をフィードバックしてパルスピーク変調方式で行うことによって、第2の溶接ワイヤB1のアーク長制御をより安定して行うことができる。
(2)第1のピーク電流通電期間ATpと第2のピーク電流通電期間BTpとのパルスを同時に終了させることによって、第1の溶接ワイヤA1と第2の溶接ワイヤB1との溶滴離脱をアークの磁気的干渉の少ないベース電流通電期間で行うことができ、スパッタの発生を減少させることができる。
【0039】
[実施例2]
図15は、出願時の請求項2の発明に対応する実施例2の多電極パルスアーク溶接制御方法の溶接電流を示す図であり、同図(A)は第1ワイヤ溶接電流AIwの時間変化を示しており、同図(B)は第2ワイヤ溶接電流BIwの時間変化を示している。また、実施例2の多電極パルスアーク溶接制御方法を実施するための溶接装置の回路構成を図18に示し、後述する。
同図において、実施例2は上記の実施例1において、さらに、第2の溶接ワイヤB1に通電するパルス電流のパルス周波数を第1の溶接ワイヤA1に通電するパルス周波数の1/nにし、同図はn=2の場合である。したがって、同図(B)に示す第2ワイヤ溶接電流BIwの第2のパルス周期BTfは、同図(A)に示す第1ワイヤ溶接電流AIwの第1のパルス周期ATfの2倍の周期になる。したがって、高速溶接に適した第2ワイヤ溶接電流BIwの平均値を第1ワイヤ溶接電流AIwの平均値の約40[%]にするという条件を満たすことができ、溶接作業の効率化を図ることができる。
【0040】
[実施例3]
図16は、出願時の請求項3の発明に対応する実施例3の多電極パルスアーク溶接制御方法の溶接電流を示す図であり、同図(A)は第1ワイヤ溶接電流AIwの時間変化を示しており、同図(B)は第2ワイヤ溶接電流BIwの時間変化を示している。また、実施例2の多電極パルスアーク溶接制御方法を実施するための溶接装置の回路構成を図18に示し、後述する。
【0041】
同図において、実施例3は上記の実施例1において、さらに、第2ワイヤ溶接電流BIwのピーク電流通電期間BTpを第1ワイヤ溶接電流AIwのピーク電流通電期間ATpよりも短くしている。
(1)第2の溶接ワイヤB1のアーク長制御を第2の溶接電圧をフィードバックしてパルスピーク変調方式で行うことによって、第2の溶接ワイヤB1のアーク長制御をより安定して行うことができる。
(2)第1のピーク電流通電期間ATpと第2のピーク電流通電期間BTpとのパルスを同時に終了させることによって、第1の溶接ワイヤA1と第2の溶接ワイヤB1との溶滴離脱をアークの磁気的干渉の少ないベース電流通電期間で行うことができ、スパッタの発生を減少させることができる。
(3)第2ワイヤ溶接電流BIwのピーク電流通電期間BTpを第1ワイヤ溶接電流AIwのピーク電流通電期間ATpと異なる値に設定することができるので、種々の条件の溶接施工に使用することができる。
【0042】
[実施例4]
図17は、出願時の請求項4の発明に対応する実施例4の多電極パルスアーク溶接制御方法の溶接電流を示す図であり、同図(A)は第1ワイヤ溶接電流AIwの時間変化を示しており、同図(B)は第2ワイヤ溶接電流BIwの時間変化を示している。また、実施例2の多電極パルスアーク溶接制御方法を実施するための溶接装置の回路構成を図18に示し、後述する。
【0043】
同図において、実施例4は上記の実施例3において、さらに、第2の溶接ワイヤB1に通電するパルス電流のパルス周波数を第1の溶接ワイヤA1に通電するパルス周波数の1/nにし、同図はn=2の場合である。したがって、同図(B)に示す第2ワイヤ溶接電流BIwの第2のパルス周期BTfは、同図(A)に示す第1ワイヤ溶接電流AIwの第1のパルス周期ATfの2倍の周期になる。したがって、高速溶接に適した第2ワイヤ溶接電流BIwの平均値を第1ワイヤ溶接電流AIwの平均値の約40[%]にするという条件を満たすことができ、溶接作業の効率化を図ることができる。
【0044】
図18は、上記の実施例1乃至実施例4の多電極パルスアーク溶接制御方法を実施するための溶接装置の回路構成を示すブロック図である。同図において、前述した図6と同一の回路ブロックには同一の符号を付しており、それらの説明は省略する。以下、図6とは異なる回路ブロックである遅延時間設定回路TOD、遅延回路OD、論理積回路AND、ベース電圧設定回路BVB、ピーク電圧設定回路BVP及び電圧誤差検出回路EVについて、同図を参照して説明する。
【0045】
遅延時間設定回路TODは、遅延時間設定信号Todを出力する。遅延回路ODは、第1のパルス周期信号ATfの周期をn倍した周期を有する第2のパルス周期信号BTfがLowレベルからHighレベルに変化したことをトリガとして、その時点から上記の遅延時間設定信号Todで定まる期間Lowレベルとなる遅延信号Odを出力する。論理積回路ANDは、上記の第2のパルス周期信号BTf及び遅延信号Odの論理積(AND)を行い、切換信号Adを出力する。
図12に示した実施例1は、遅延時間設定信号Todを零とし、倍率設定信号n=1の場合であり、図15に示した実施例2は、遅延時間設定信号Todを零とし、倍率設定信号n=2の場合である。また、図16に示した実施例3は、倍率設定信号n=1の場合であり、図17に示した実施例4は、倍率設定信号n=2の場合である。
なお、図18では、倍率設定回路NS及び遅延時間設定回路TODは、第2の溶接電源装置内にあるが、これらの回路を電源装置の外部に設けてもよい。また、これらの倍率設定信号n及び遅延時間設定信号Todを、溶接ロボット制御装置からの通信信号によって設定してもよい。
【0046】
ピーク電圧設定回路BVPは、予め設定したピーク電圧設定信号BVpを出力する。ベース電圧設定回路BVBは、予め設定したベース電圧設定信号BVbを出力する。第2の切換回路BSWは、上記の切替信号AdがHighレベルのときはa側に接続されて上記のピーク電圧設定信号BVpを電圧制御設定信号BVscとして出力する。また、上記の切替信号AdがLowレベルのときはb側に接続されて上記のベース電圧設定信号BVbを上記の電圧制御設定信号BVscとして出力する。第2の電圧検出回路BVDは、第2の溶接ワイヤB1と被溶接物2との間の第2の溶接電圧BVwを検出して、第2の電圧検出信号BVdを出力する。電圧誤差増幅回路EVは、フィードバック信号である上記の第2の電圧検出信号BVdと、目標値である上記の電圧制御設定信号BVscとの誤差を増幅して、電圧誤差増幅信号Evを出力する。この電圧誤差増幅信号Evに従って出力制御回路INVによる出力制御が行われて、第2の溶接電圧BVwが印加する。
【0047】
上述した実施例1乃至実施例4を実施する溶接装置においては、
(1)第2の溶接ワイヤB1のアーク長制御をパルスピーク変調方式で行うことができ、
(2)第1のピーク電流通電期間ATpと第2のピーク電流通電期間BTpとのパルスを同時に終了させることができ、
(3)第2ワイヤ溶接電流BIwのピーク電流通電期間BTpを第1ワイヤ溶接電流AIwのピーク電流通電期間ATpと異なる値にすることができ、
(4)第2の溶接ワイヤB1に通電するパルス電流のパルス周波数を第1の溶接ワイヤA1に通電するパルス周波数の1/nにすることができるので、下記に詳述する効果を有する。
【0048】
【発明の効果】
本発明の多電極パルスアーク溶接制御方法及び溶接装置は、以下の効果を有する。
(1)2つのアークの相互干渉によって発生するアーク形状の変形、アーク長の変動等のアーク発生状態の不安定を抑制することができ、常に良好な溶接品質を得ることができる。
(2)第2の溶接ワイヤB1のアーク長制御をパルスピーク変調方式で行うことによって、第2の溶接ワイヤB1のアーク長制御をより安定して行うことができる。
(3)第1のピーク電流通電期間ATpと第2のピーク電流通電期間BTpとのパルスを同時に終了させることによって、第1の溶接ワイヤA1と第2の溶接ワイヤB1との溶滴離脱をアークの磁気的干渉の少ないベース電流通電期間で行うことができる。
(4)第2のピーク電流BIpの通電期間BTpを第1のピーク電流の通電期間ATpと異なる期間にすることによって、種々の条件の溶接施工に使用することができる。
(5)第2の溶接ワイヤB1に通電するパルス電流のパルス周波数を第1の溶接ワイヤA1に通電するパルス周波数の1/nにすることによって、高速溶接に適した第2ワイヤ溶接電流BIwの平均値を第1ワイヤ溶接電流AIwの平均値の約40[%]にするという条件を満たすことができ、溶接作業の効率化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本出願に係る発明の特徴を最もよく表す図である。
【図2】従来技術1の2本のワイヤにそれぞれのパルス電流のピーク期間が重ならないように通電して制御することを説明するためのパルス電流を示す図である。
【図3】従来技術1のパルス周波数を高くして第1ワイヤ溶接電流AIwと第2ワイヤ溶接電流BIwとのパルス波形が密になる場合を示す図である。
【図4】図3に示す時刻t2における溶滴1の離脱の状態を説明する図である。
【図5】被溶接物が軟鋼で、直径が1.2[mm]の軟鋼ワイヤを使用してアルゴンが80[%]と炭酸ガスが20[%]とのシールドガスで消耗電極ガスシールドアーク溶接制御方法を実施したときの第2の溶接ワイヤB1の平均通電電流値[A](横軸)と最大溶接速度[m/min](縦軸)との関係を示す図である。
【図6】第2の従来技術の多電極パルスアーク溶接装置の回路構成を示すブロック図である。
【図7】図6に示した第2の従来技術の多電極パルスアーク溶接装置において、倍率設定回路NSが出力する倍率設定信号n=1の場合の溶接電流及び溶接電圧の波形を示す図である。
【図8】図6に示した第2の従来技術の多電極パルスアーク溶接装置において、倍率設定回路NSが出力する倍率設定信号n=2の場合の溶接電流及び溶接電圧の波形を示す図である。
【図9】図6に示した第2の従来技術の多電極パルスアーク溶接装置において、倍率設定回路NSが出力する倍率設定信号n=2の場合の詳細な溶接電流の波形を示す図である。
【図10】図6に示した第2の従来技術の多電極パルスアーク溶接装置において、倍率設定回路NSが出力する倍率設定信号n=2の場合のアークの発生状態を示す図である。
【図11】図6に示した第2の従来技術の多電極パルスアーク溶接装置において、倍率設定回路NSが出力する倍率設定信号n=2の場合の溶滴移行を示す図である。
【図12】出願時の請求項1の発明に対応する実施例1の多電極パルスアーク溶接制御方法の溶接電流及び溶接電圧を示す図である。
【図13】図12(A)に示す第1ワイヤ溶接電流AIwのパルス周波数を変化させてアーク長を一定に制御することを説明する図である。
【図14】第2の溶接ワイヤB1のアーク長が変化したときの第2ワイヤ溶接電流BIw[A](横軸)と第2の溶接電圧BVw[V](縦軸)との関係を示す図である。
【図15】出願時の請求項2の発明に対応する実施例2の多電極パルスアーク溶接制御方法の溶接電流及び溶接電圧を示す図である。
【図16】出願時の請求項3の発明に対応する実施例3の多電極パルスアーク溶接制御方法の溶接電流及び溶接電圧を示す図である。
【図17】出願時の請求項4の発明に対応する実施例4の多電極パルスアーク溶接制御方法の溶接電流及び溶接電圧を示す図である。
【図18】実施例1乃至実施例4の多電極パルスアーク溶接制御方法を実施するための溶接装置の回路構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 溶滴
2 被溶接物
4 溶接トーチ
A1 第1の溶接ワイヤ
A3 第1のアーク
A41 第1のコンタクトチップ
Ad 切換信号
AIB 第1のベース電流設定回路
AIb 第1のベース電流、第1のベース電流設定信号
AIP 第1のピーク電流設定回路
AIp 第1のピーク電流、第1のピーク電流設定信号
AIsc 第1の電流制御設定信号
AIw 第1ワイヤ溶接電流
AND 論理積回路
APS 第1の溶接電源装置
ASW 第1の切換回路
ATf 第1のパルス周期、第1のパルス周期信号
ATb 第1のベース電流通電時間(第1のベース電圧時間)
ATp 第1のピーク電流通電時間(第1のピーク電圧時間)
AVb 第1のベース電圧
AVp 第1のピーク電圧
AVw 第1の溶接電圧
AWF 第1のワイヤ送給装置
AWS 第1の送給速度設定回路
AWs 第1の送給速度設定信号
B1 第2の溶接ワイヤ
B3 第2のアーク
B41 第2のコンタクトチップ
BIB 第2のベース電流設定回路
BIb 第2のベース電流、第2のベース電流設定信号
BIP 第2のピーク電流設定回路
BIp 第2のピーク電流、第2のピーク電流設定信号
BIsc 第2の電流制御設定信号
BIw 第2ワイヤ溶接電流
BPS 第2の溶接電源装置
BSW 第2の切換回路
BTf 第2のパルス周期、第2のパルス周期信号
BTp 第2のピーク電流通電時間
BVb 第2のベース電圧
BVD 第2の電圧検出回路
BVd 第2の電圧検出信号
BVp 第2のピーク電圧
BVsc 電圧制御設定信号
BVw 第2の溶接電圧
BWF 第2のワイヤ送給装置
BWS 第2の送給速度設定回路
BWs 第2の送給速度設定信号
EI 電流誤差増幅回路
Ei 電流誤差増幅信号
EV 電圧誤差増幅回路
Ev 電圧誤差増幅信号
F 電磁力
ID 電流検出回路
Id 電流検出信号
INV 出力制御回路
L アーク長
MC 変調回路
MM モノマルチバイブレータ
NS 倍率設定回路
n 倍率、倍率設定信号
OD 遅延回路
Od 遅延信号
TC 周期変換回路
TOD 遅延時間設定回路
Tod 遅延時間設定信号
TP ピーク電流通電時間設定回路
Tp ピーク電流通電時間設定信号
VD 電圧検出回路
Vd 電圧検出信号
VF V/F変換回路
Vf V/F変換信号
VS 第1の電圧設定回路
Vs 第1の電圧設定信号
WC 送給制御回路
Wc 送給制御信号

Claims (4)

  1. 1つの溶接トーチから互いに電気的に絶縁された第1の溶接ワイヤ及び第2の溶接ワイヤをそれぞれ予め設定した送給速度で送給し、前記第1の溶接ワイヤには予め設定した第1のピーク電流の通電と予め設定した第1のベース電流の通電とを1周期とする通電を繰り返すと共に、前記第2の溶接ワイヤには予め設定した第2のピーク電圧の印加による第2のピーク電流の通電と第2のベース電圧の印加による第2のベース電流の通電とを1周期とする通電を繰り返し、前記第1の溶接ワイヤ及び前記第2の溶接ワイヤと被溶接物との間に2つのアークを発生させて溶接する多電極パルスアーク溶接制御方法において、
    前記第2の溶接ワイヤに、第1回目の前記第1のピーク電流の通電期間は前記第2のピーク電圧を印加して前記第2のピーク電流を通電し、前記第1のベース電流の通電期間は前記第2のベース電圧を印加して前記第2のベース電流を通電し、続いて第2回目の前記第1のピーク電流の通電期間及び前記第1のベース電流の通電期間は前記第2のベース電圧を印加して前記第2のベース電流を通電し、
    さらに予め設定した2以上の整数である倍率nによって前記第2回目と同様の通電を第n回目まで繰り返し、前記第1回目乃至第n回目の通電を1組として繰り返して通電し、
    第1のピーク電圧時間を予め定めて、第1の溶接電圧の平均値を予め定めた第1の電圧設定値と等しくなるように第1ワイヤ溶接電流のパルス周波数を変化させることによって、前記第1の溶接ワイヤのアーク長を制御し、
    前記第2のピーク電圧を予め定めたピーク電圧設定値と等しくなるように制御することによって前記第2のピーク電圧の印加期間中の前記第2の溶接ワイヤのアーク長を制御し、前記第2のベース電圧を予め定めたベース電圧設定値と等しくなるように制御することによって前記第2のベース電圧の印加期間中の前記第2の溶接ワイヤのアーク長を制御する、多電極パルスアーク溶接制御方法。
  2. 1つの溶接トーチから互いに電気的に絶縁された第1の溶接ワイヤ及び第2の溶接ワイヤをそれぞれ予め設定した送給速度で送給し、前記第1の溶接ワイヤには予め設定した第1のピーク電流の通電と予め設定した第1のベース電流の通電とを1周期とする通電を繰り返すと共に、前記第2の溶接ワイヤには予め設定した第2のピーク電圧の印加による第2のピーク電流の通電と第2のベース電圧の印加による第2のベース電流の通電とを1周期とする通電を繰り返し、前記第1の溶接ワイヤ及び前記第2の溶接ワイヤと被溶接物との間に2つのアークを発生させて溶接する多電極パルスアーク溶接制御方法において、前記第2の溶接ワイヤに、前記第1のピーク電流の通電期間の開始時点から予め設定した遅延時間の経過時点までの期間は前記第2のベース電圧を印加して前記第2のベース電流を通電し、前記経過時点から前記第1のピーク電流の通電期間の終了時点までの期間は前記第2のピーク電圧を印加して前記第2のピーク電流を通電し、前記第1のベース電流の通電期間は第2のベース電圧を印加して前記第2のベース電流を通電し、第1のピーク電圧時間を予め定めて、第1の溶接電圧の平均値を予め定めた第1の電圧設定値と等しくなるように第1ワイヤ溶接電流のパルス周波数を変化させることによって、前記第1の溶接ワイヤのアーク長を制御し、
    前記第2のピーク電圧を予め定めたピーク電圧設定値と等しくなるように制御することによって前記第2のピーク電圧の印加期間中の前記第2の溶接ワイヤのアーク長を制御し、前記第2のベース電圧を予め定めたベース電圧設定値と等しくなるように制御することによって前記第2のベース電圧の印加期間中の前記第2の溶接ワイヤのアーク長を制御する、多電極パルスアーク溶接制御方法。
  3. 1つの溶接トーチから互いに電気的に絶縁された第1の溶接ワイヤ及び第2の溶接ワイヤをそれぞれ予め設定した送給速度で送給し、前記第1の溶接ワイヤには予め設定した第1のピーク電流の通電と予め設定した第1のベース電流の通電とを1周期とする通電を繰り返すと共に、前記第2の溶接ワイヤには予め設定した第2のピーク電圧の印加による第2のピーク電流の通電と第2のベース電圧の印加による第2のベース電流の通電とを1周期とする通電を繰り返し、前記第1の溶接ワイヤ及び前記第2の溶接ワイヤと被溶接物との間に2つのアークを発生させて溶接する多電極パルスアーク溶接制御方法において、前記第2の溶接ワイヤに、第1回目の前記第1のピーク電流の通電期間の開始時点から予め設定した遅延時間の経過時点までの期間は予め設定した前記第2のベース電圧を印加して前記第2のベース電流を通電し、前記経過時点から前記第1のピーク電流の通電期間の終了時点までの期間は前記第2のピーク電圧を印加して前記第2のピーク電流を通電し、前記第1のベース電流の通電期間は前記第2のベース電圧を印加して前記第2のベース電流を通電し、続いて第2回目の前記第1のピーク電流の通電期間及び前記第1のベース電流の通電期間は前記第2のベース電圧を印加して前記第2のベース電流を通電し、さらに予め設定した2以上の整数である倍率nによって前記第2回目と同様の通電を第n回目まで繰り返し、前記第1回目乃至第n回目の通電を1組として繰り返して通電し、
    第1のピーク電圧時間を予め定めて、第1の溶接電圧の平均値を予め定めた第1の電圧設定値と等しくなるように第1ワイヤ溶接電流のパルス周波数を変化させることによって、前記第1の溶接ワイヤのアーク長を制御し、
    前記第2のピーク電圧を予め定めたピーク電圧設定値と等しくなるように制御することによって前記第2のピーク電圧の印加期間中の前記第2の溶接ワイヤのアーク長を制御し、前記第2のベース電圧を予め定めたベース電圧設定値と等しくなるように制御することによって前記第2のベース電圧の印加期間中の前記第2の溶接ワイヤのアーク長を制御する、多電極パルスアーク溶接制御方法。
  4. 1つの溶接トーチから互いに電気的に絶縁された第1の溶接ワイヤ及び第2の溶接ワイヤをそれぞれ予め設定した送給速度で送給し、前記第1の溶接ワイヤには予め設定した第1のピーク電流の通電と予め設定した第1のベース電流の通電とを1周期とする通電を繰り返すと共に、前記第2の溶接ワイヤには予め設定した第2のピーク電圧の印加による第2のピーク電流の通電と第2のベース電圧の印加による第2のベース電流の通電とを1周期とする通電を繰り返し、前記第1の溶接ワイヤ及び前記第2の溶接ワイヤと被溶接物との間に2つのアークを発生させて溶接する多電極パルスアーク溶接装置において、
    前記第1の溶接ワイヤと被溶接物との間の第1の溶接電圧を検出して電圧検出信号を出力する電圧検出回路と、電圧設定信号を出力する電圧設定回路と、前記電圧検出信号及び前記電圧設定信号を入力としてそれらの信号間の誤差によるパルス周波数変調制御によって第1のパルス周期信号を出力する変調回路と、第1のピーク電流設定信号を出力する第1のピーク電流設定回路と、第1のベース電流設定信号を出力する第1のベース電流設定回路と、前記第1のパルス周期信号と前記第1のピーク電流設定信号と前記第1のベース電流設定信号とを入力として前記第1のパルス周期信号によって前記第1のピーク電流設定信号と前記第1のベース電流設定信号とを切り換えて第1の電流制御設定信号として出力する第1の切換回路とから成り、前記第1の電流制御設定信号によって前記第1ワイヤ溶接電流を制御する第1の溶接電源装置並びに2以上の整数である倍率設定信号nを出力する倍率設定回路と、前記第1のパルス周期信号を入力としてその信号と同期しかつその信号の前記倍率設定信号n倍の周期を有する信号に変換して第2のパルス周期信号を出力する周期変換回路と、遅延時間設定信号を出力する遅延時間設定回路と、前記第2のパルス周期信号と前記遅延時間設定信号とを入力として前記第2のパルス周期信号がLowレベルからHighレベルに変化した時刻から前記遅延時間設定信号で定まる期間Lowレベルとなる遅延信号を出力する遅延回路と、前記第2のパルス周期信号及び前記遅延信号の論理積(AND)を行い切換信号を出力する論理積回路と、ピーク電圧設定信号を出力するピーク電圧設定回路と、ベース電圧設定信号を出力するベース電圧設定回路と、前記切換信号と前記ピーク電圧設定信号と前記ベース電圧設定信号とを入力として前記切換信号によって前記ピーク電圧設定信号と前記ベース電圧設定信号とを切り換えて電圧制御設定信号として出力する第2の切換回路と、前記第2の溶接ワイヤと被溶接物2との間の第2の溶接電圧を検出して第2の電圧検出信号を出力する第2の電圧検出回路と、前記第2の電圧検出信号と前記電圧制御設定信号とを入力として電圧誤差増幅信号を出力する電圧誤差増幅回路とから成り、前記電圧誤差増幅信号によって第2の溶接電圧を制御する第2の溶接電源装置から構成される多電極パルスアーク溶接装置。
JP2001064224A 2001-03-08 2001-03-08 多電極パルスアーク溶接制御方法及び溶接装置 Expired - Fee Related JP4175781B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001064224A JP4175781B2 (ja) 2001-03-08 2001-03-08 多電極パルスアーク溶接制御方法及び溶接装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001064224A JP4175781B2 (ja) 2001-03-08 2001-03-08 多電極パルスアーク溶接制御方法及び溶接装置

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2002263838A JP2002263838A (ja) 2002-09-17
JP2002263838A5 JP2002263838A5 (ja) 2007-07-26
JP4175781B2 true JP4175781B2 (ja) 2008-11-05

Family

ID=18923073

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001064224A Expired - Fee Related JP4175781B2 (ja) 2001-03-08 2001-03-08 多電極パルスアーク溶接制御方法及び溶接装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4175781B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5342280B2 (ja) * 2009-03-16 2013-11-13 株式会社神戸製鋼所 タンデムパルスアーク溶接制御装置、及び、そのシステム
CN109848519B (zh) * 2018-11-30 2021-09-07 北京新立机械有限责任公司 一种机器人双丝四脉冲新型焊接方法
EP3722038A1 (de) * 2019-04-10 2020-10-14 Fronius International GmbH Mehrfach-impulsschweissverfahren
EP3722037A1 (de) * 2019-04-10 2020-10-14 FRONIUS INTERNATIONAL GmbH Mehrfach-impulsschweissverfahren
CN113977044B (zh) * 2021-10-21 2023-01-06 华南理工大学 一体化双丝中值脉冲mig焊电源***及多相位控制方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2002263838A (ja) 2002-09-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4846898B2 (ja) 交流パルスアーク溶接制御方法及び溶接電源装置
JP2011073022A (ja) 炭酸ガスパルスアーク溶接方法
CN108555421A (zh) 一种基于脉冲协调双钨极氩弧焊的熔滴过渡控制装置及其控制方法
JP2012006020A (ja) アーク溶接制御方法
JP7075705B2 (ja) アーク溶接制御方法
JP2011206794A (ja) プラズマミグ溶接方法
JP6524412B2 (ja) アーク溶接制御方法
JP4715813B2 (ja) パルスアーク溶接制御方法およびパルスアーク溶接装置
JP2009262181A (ja) パルスアーク溶接の出力制御方法
JP4175781B2 (ja) 多電極パルスアーク溶接制御方法及び溶接装置
JP2008105039A (ja) プラズマmig溶接のパルス波形制御方法
JP4053753B2 (ja) 多電極パルスアーク溶接制御方法及び溶接装置
JP2004001033A (ja) 2電極パルスアーク溶接制御方法
JPH06218546A (ja) 消耗電極式パルスアーク溶接装置
JP4080666B2 (ja) 多電極パルスアーク溶接制御方法及び溶接装置
WO2018070364A1 (ja) アーク溶接方法およびアーク溶接装置
JP2003039168A (ja) 多電極パルスアーク溶接制御方法及び溶接装置
JP2004223550A (ja) 2電極アーク溶接方法
JP2022185999A (ja) アーク溶接装置
JP4342689B2 (ja) 多電極パルスアーク溶接制御方法及び溶接装置
JP4739607B2 (ja) 消耗2電極アーク溶接終了方法及び終了制御方法
JP4012360B2 (ja) 多電極パルスアーク溶接制御方法
JP2001340964A (ja) 多電極パルスアーク溶接制御方法
JP2003126961A (ja) 多電極パルスアーク溶接制御方法及び溶接装置
KR102233253B1 (ko) 아크 용접 제어 방법

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070530

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070608

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20070608

A975 Report on accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005

Effective date: 20070904

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070911

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20071112

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080304

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080417

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20080812

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20080819

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110829

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 4175781

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110829

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120829

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130829

Year of fee payment: 5

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees