JP4075555B2 - エンジンのシリンダヘッド部構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンのシリンダヘッド部構造に関し、特に、多気筒列型エンジンにおけるシリンダヘッド前端部の剛性を高めるためのシリンダヘッド部構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車用等のエンジンにおいて、多気筒列型で、各気筒の弁を駆動するカムを備えたカムシャフトを支承するカムジャーナル部と、各カムと弁との間の伝達機構を支持する伝達機構支持部を備え、それらカムジャーナル部および伝達機構支持部を一体に形成したカムキャリアを、シリンダヘッド本体にボルト締結してなるシリンダヘッド部構造で、吸気弁及び排気弁をタペットを介して直接カムで駆動するダイレクトタイプの動弁装置を設け、カムシャフトの軸方向前端側にクランクシャフトにより駆動されるタイミングベルトやチェーン等を使用した伝動装置を配置したものが従来から知られている(例えば、特許文献1、2参照)。そうしたエンジンの動弁装置として、油圧作動式の弁特性変更機構を備えた動弁装置、例えば、タペットをセンタタペットとカム軸方向両側のサイドタペットとで構成し、両側のサイドタペットを、弁側の端部近傍において両サイドタペットに対し略垂直に延びる連結部によって結合し、その連結部の反カム側の面に弁ステムとの当結部を設け、両側のサイドタペットの間に相対移動可能にセンタタペットを組み込んで、外周面が略円柱状となるよう構成し、ロック機構により結合及び離脱可能とするとともに、カムプロフィールの異なるセンタカムとサイドカムを設けて、ロック機構の結合もしくは離脱作動により弁特性を変更可能とし、カムキャリアに気筒列方向に延びる弁特性変更機構用のオイルギャラリーを配設したものが知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−329907号公報
【特許文献2】
特開2002−54413号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、多気筒列型で、カムシャフトの気筒列方向前端側にクランクシャフトと連係するタイミングベルトやチェーン等の伝達機構を配置したエンジンにおいては、カムシャフトの軸方向一端側においてタイミングベルトやチェーンの張力による振れが発生し信頼性が悪化するという問題があり、また、タイミングベルトやチェーンの張力でシリンダヘッド部前端が変形すると、油通路等のシール性に問題が生ずる。特に、動弁装置のタペットが低速タペットと高速タペットとからなり両タペットを結合及び離脱可能とする油圧作動式のロック機構を備えたものである場合、ロック機構へ作動油圧を供給する油路接続部のシール性が損なわれる。
【0005】
本発明はこうした問題点に鑑みてなされたものであって、多気筒列型で一端側にカムシャフト駆動用の伝達機構を配置したエンジンのシリンダヘッド部の剛性を前記一端側において高めることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明のエンジンのシリンダヘッド部構造は、カムシャフトの気筒列方向前端部にクランクシャフトと連係する伝達機構を備えた多気筒列型エンジンにおける、各気筒の弁を駆動するカムを備えたカムシャフトを支承するカムジャーナル部と、各カムと弁との間の伝達機構を支持する伝達機構支持部を備え、それらカムジャーナル部および伝達機構支持部を一体に形成したカムキャリアを、各気筒の燃焼室頂部を一体に形成したシリンダヘッド本体と該シリンダヘッド本体を上方から覆うヘッドカバーとで画成される動弁室内に配設し、前記シリンダヘッド本体を左右に分けた所定の配置で形成されたヘッドボルトボス部にてシリンダブロックにボルト締結するとともに、前記カムキャリアを、前記ヘッドボルトボス部の上方を覆う配置で、前記シリンダヘッド本体のヘッドボルトボス部よりシリンダヘッド外周側となる配置で設けられた左右のキャリアボルトボス部にてシリンダヘッド本体にボルト締結する構成とされたシリンダヘッド部構造であって、シリンダヘッド本体は、気筒列方向前端部にヘッドボルトボス部を備えるとともにキャリアボルトボス部を備え、カムキャリアの気筒列方向最前端のカムジャーナル部にボルト締結されるカムキャップは、カムキャリアと共に、シリンダヘッド本体の気筒列方向前端部に設けられたキャリアボルトボス部に共締めされ、シリンダヘッド本体の気筒列方向前端部外壁側においてヘッドボルトボス部とキャリアボルトボス部とを連結する位置に、シリンダヘッド本体内部のウォータジャケットと連通する、ウォータジャケットとは別の冷却水通路の外壁部が一体形成されたことを特徴とする。
【0007】
このように、気筒列方向一端側においてシリンダヘッド本体のヘッドボルトボス部とキャリアボルトボス部とを連結する位置に、シリンダヘッド本体内部のウォータジャケットと連通する冷却水通路を一体形成することで、そのボルトボス部とキャリアボルトボス部とを連結する冷却水通路の壁部構造によりシリンダヘッド部一端側の剛性を高めることができ、タイミングベルトやチェーンの張力によるカムシャフトの振れを防止するようにできる。この冷却水通路は、例えばウォータポンプからの冷却水がシリンダブロックに入りシリンダヘッドを流れてラジエータ側へ流れる冷却系統において、エア抜き用に設けるものであってよく、その場合、上記配置は冷却水通路としても好都合である。
【0008】
上記シリンダヘッド部構造は、特に、カムシャフトの気筒列方向前端部にクランクシャフトと連係する伝達機構を備えたものにおいて、カムキャリアの気筒列方向最前端のカムジャーナル部にボルト締結するカムキャップをカムキャリアと共にシリンダヘッド本体に共締めするよう構成するのがよく、そうすることで、気筒列方向前端側においてカムキャリアとシリンダヘッド本体との締結を強固とし、シリンダヘッド部の剛性を一層高めることができる。
【0009】
また、上記シリンダヘッド部構造は、伝達機構支持部が、カムと弁間に配置されたタペットを摺動自在に支持するタペットガイドホールで、タペットが、低速タペットと高速タペットとからなり両タペットを結合及び離脱可能とするロック機構を備え、ロック機構の結合もしくは離脱作動により弁特性を変更可能である場合に適用できる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0011】
図1〜11は本発明の実施の形態のエンジンのシリンダヘッド部構造を示している。図1はエンジン上部の気筒列方向に直交する断面にて示す縦断面図、図2はシリンダヘッド部の前端部平面図、図3はカムキャリアの平面図、図4はシリンダヘッド本体の前端部平面図、図5はシリンダヘッド本体の正面図、図6はシリンダヘッド本体の正面左斜め上から見た斜視図、図7はシリンダヘッド本体の正面右斜め上から見た斜視図、図8はタペットの平面図、図9はタペットのカム軸に直交する中心断面で示す正面視縦断面図、図10はタペットのカム軸に平行な中心断面で示す側面視縦断面図、図11はタペットのロック機構の中心を通る平面視横断面図である。
【0012】
この実施の形態に係るエンジンは、直列4気筒のDOHC(ダブルオーバヘッドカム)エンジンであって、図1に示すように、シリンダブロック(図示せず)の上部にボルト締結され各気筒の燃焼室頂部を構成するとともにヘッド上部の動弁室の外郭を構成するシリンダヘッド本体1の上部に、シリンダヘッドカバー2が取り付けられ、動弁室が画成される。そして、そのシリンダヘッド本体1の上部に画成された動弁室内に、カムキャップ3と協働して吸気カムシャフト4及び排気カムシャフト5を支持する各カムジャーナル部6を形成するとともにタペットガイドホール8を有するタペットガイド部9を形成する一体構造のカムキャリア10が配置され、該カムキャリア10がシリンダヘッド本体1にボルト締結されている。
【0013】
このエンジンは、1気筒当たり吸気ポート11が2個、排気ポート12が2個で、吸気弁13を2個、排気弁14を2個備え、それら各吸気弁13及び排気弁14をそれぞれタペット30を介して直接カムで駆動するダイレクトタイプの動弁装置を備えている。タペット30は高速用のセンタタペットと低速用のサイドタペットとの分割構成で、センタタペットとサイドタペットとを結合及び離脱するロック機構を備え、吸気カムシャフト4および排気カムシャフト5が、各気筒毎の2個の吸気弁13および2個の排気弁に対応する各タペット30に対し、それぞれ1枚の高速用カム15a、15bを中央にしてそのカム軸方向両側に2枚の低速用カム16a、16bを備えている。ロック機構を内蔵する分割構成のタペット30と、高速用カム15a、15bを中央にして両側に低速用カム16a、16bを配置したカム構成とで弁特性変更機構が構成される。
【0014】
図2に示すように、気筒列方向に配設された吸気カムシャフト4及び排気カムシャフト5は、カムキャリヤ10の前端から突出し、その突出した軸方向前端部にそれぞれカムスプロケット17a、17bが設けられ、それらカムスプロケット17a、17bと図示しないクランクシャフト前端のクランクスプロケットとの間にタイミングチェーン18が掛け渡されている。そして、これらカムスプロケット17a、17bおよびタイミングチェーン18とクランクスプロケットとからなる伝動装置を覆うよう、チェーンカバー19が取り付けられている。なお、伝動装置は、タイミングベルト等他の無端可撓部材を用いたものであってもよい。
【0015】
カムキャリア10は、図1〜3に示すように、気筒毎の点火プラグ取付ホール部21と、気筒列幅方向中央に位置し各気筒の点火プラグ取付ホール部21を連結して気筒列方向に延びる中央ウェブ22と、中央ウェブ22の幅方向両側に間隔をおいて配置され気筒列方向に延びる側壁部23、24を備え、中央ウェブ22と両側壁部23、24の間には、吸気側及び排気側の各カムジャーナル部6と、吸気側及び排気側の各タペットガイドホール8を構成するタペットガイド部9が配置され、それらカムジャーナル部6及びタペットガイド部9が中央ウェブ22と側壁部23、24に一体連結されたフレーム構造の部材である。
【0016】
そして、カムキャリア11の中央ウェブ22には、点火プラグ取付ホール部21を挟む吸気側及び排気側の両側に、各気筒のタペットガイドホール8に近接してシリンダヘッド長手方向(カム軸方向)に延びるオイルギャラリ91、92が設けられ、また、これらオイルギャラリ91、92からの油圧を各タペット30のロック機構へ供給するよう、オイルギャラリ91、92から分岐してタペットガイドホール8の内周面に開口する作動油供給通路93、94が設けられている。また、カムキャリア1の中央ウェブ22の前端部には、タペット30に内蔵されたロック機構の作動油圧を制御するための油圧制御弁を取り付ける油圧制御弁取付ホール部95が設けられ、その前方に油圧制御プラグ取付ホール部96が設けられている。そして、カムキャリア10の最前部には、油圧源であるオイルポンプからの油圧を油圧制御弁へ導入する作動油流入油路97と、油圧制御弁からの油圧をオイルギャラリ91、92へ導出する作動油流出油路(図示せず)が形成されている。
【0017】
また、図1に示すように、吸気カムシャフト4及び排気カムシャフト5には、それぞれ中心部に軸方向の油路を構成するオイルギャラリー99a、99bが形成され、それら油路99a、99bから分岐して、カムキャリア10の各カムジャーナル部6に開口する分岐油路100a、100bが形成されている。オイルギャラリー99a、99bにはオイルポンプからの潤滑油が供給され、その潤滑油がオイルギャラリー99a、99bから各分岐油路100a、100bを介してカムキャップ10の各カムジャーナル部6に導かれ、それにより各カムジャーナル部6が潤滑される。また、各カムジャーナル部6の側端から漏出した潤滑油は各カムジャーナル部6間に位置する各タペットガイドホール8に導かれ、それにより各タペットガイドホール8のタペット摺動面が潤滑される。カムキャリア10には、図1及び図5に示すように、側壁部23、24の内側に、各カムジャーナル部6から漏出した潤滑油を各カムジャーナル部6間に位置するタペットガイドホール8に向け導く方向へ傾斜した油受け壁部102、103が一体形成されている。
【0018】
カムキャップ3はカムキャリヤ10の各カムジャーナル部6にボルト締結される。但し、吸気側の気筒列方向最前端のカムキャップ3は、カムキャップ3をカムキャリヤ10のカムジャーナル部6に固定する一対のボルト111、112のうち、側壁部23側のボルト111がカムキャリヤ10を貫通してシリンダヘッド本体1にねじ込まれ、カムキャップ3とカムキャリア10とをシリンダヘッド本体1に共締めする。また、排気側の気筒列方向最前端のカムキャップ3は、カムキャップ3をカムキャリヤ10のカムジャーナル部6に固定する一対のボルト113、114のうち、側壁部24側のボルト114がカムキャリヤ10を貫通してシリンダヘッド本体1にねじ込まれ、カムキャップ3とカムキャリア10とをシリンダヘッド本体1に共締めする。
【0019】
カムキャリヤ10は、カムキャップ3とカムキャリヤ10を共締めする上記ボルト111、114の他、図3に示すカムキャリア10前端部のカムジャーナル部6の後方に隣接する左右2箇所のボルトボス部115、116と、後端部片側1箇所のボルトボス部117においてシリンダヘッド本体1にボルト締結される。図2において118及び119はカムキャリア10前端部のボルトボス部115、116に取り付けられたボルトである。
【0020】
シリンダヘッド本体1は、図4〜7に示すように、気筒列方向から見て左右に分けた所定の配置でヘッドボルトボス部121を備え、これらヘッドボルトボス部121よりシリンダヘッド外周側となる配置で左右にキャリアボルトボス部122を備えている。シリンダヘッド本体1はヘッドボルトボス部121にてシリンダブロックにボルト締結され、それらヘッドボルトボス部121の上方を覆うようにカムキャリア10が配設され、キャリアボルトボス部122にてシリンダヘッド本体1にボルト締結される。
【0021】
そして、シリンダヘッド本体1には、気筒列方向前端部の左側のヘッドボルトボス部121と左側のキャリアボルトボス部122とを連結する位置にシリンダヘッド本体内部のウォータジャケットと連通する冷却水通路の外壁部123が一体形成されている。この冷却水通路は、ウォータポンプからの冷却水がシリンダブロックに入りシリンダヘッドを流れてラジエータ側へ流れる冷却系統において、例えばエア抜き用に設けるものである。
【0022】
また、シリンダヘッド本体1には、カムキャリアの作動油導入油路97および一方のオイルギャラリ91と平面視にて略重なる位置に、オイルポンプ(図示せず)から作動油を導入する作動油導入通路124および作動油導出通路125が形成され、それら通路124、125の開口部に、気筒列方向前端部の右側のヘッドボルトボス部121と右側のキャリアボルトボス部122に近接した配置で連続形状のボス部127が形成されている。
【0023】
カムキャリアの作動油導入油路97およびオイルギャラリ91とシリンダヘッド本体1の作動油導入通路124および作動油導出通路125とは、シール状態で上下に連通する。
【0024】
タペット30は、図8〜11に示すように、全体として略円筒状で、センタタペット31によりカム軸(カムシャフト2の中心軸)方向の中央部分が構成され、サイドタペット32の両サイドタペット体32a、32bにより側方部分が構成される。そして、センタタペット31の上面が、カム摺接方向(平面視にてカムシャフトの軸線に直交する方向)に長い略矩形平面状のセンタカム当接面を構成し、サイドタペット32の両サイドタペット体32a、32bの上面が、センタカム当接面の両側を埋めて全体として円形のカム当接面を構成する略三日月形平面状のサイドカム当接面を構成する。
【0025】
サイドタペット32は、サイドカム当接面を構成する一対のサイドタペット体32a、32bがカム当接面とは反対側(以下、「反カム側」という)の端部近傍で、下面に弁ステムエンドとの当接部33を有する連結部分32cにより一体に連結され、側面視略U字状に形成されたもので、その連結部分32cのカム軸に直交する方向の両端部にロストモーションスプリングシート部34a、34bが設けられ、各ロストモーションスプリングシート部34a、34bにロストモーションスプリング35a、35bが設置されて、その上から両サイドタペット体32a、32bの間にセンタタペット31が組み込まれる。タペット30は、サイドタペット32の連結部32c下面の当接部33がシム6を介して弁ステムエンドと当接する。
【0026】
センタタペット31は、上記略矩形平面状のセンタカム当接面のカム摺接方向に沿う側(両長辺側)の端縁から垂直下方に前後対称に延びる一対の端面36a、36bを有し、また、カム軸に直交する方向の両端となる側(両短辺側)の端縁から垂直下方に左右対称に延びる一対の断面円弧状の外方周面37a、37bを有し、カム軸に直交する方向の両端には、外側が外方周面から連続して円弧状にサイドタペット32(サイドタペット体32a、32b)側へ張り出し、内側が、カム軸に直交する方向に対向してカム軸方向に平行でタペット軸方向に延びる摺接面を構成するよう、前後の端面36a、36bから略直角にカム軸方向に張り出した突起部38a、38b、38c、38dが、タペット軸方向の略全長に亘って突出形成され、全体として平面視略I字状に構成されている。そして、センタタペット31の上部中央には、カム軸方向に平行に前後の端面36a、36b間を貫通する貫通孔39が形成されている。
【0027】
また、サイドタペット32は、上述のように側面視略U字状で、左右一対のサイドタペット体32a、32bの内側に垂直下方に対向して延びる一対の内方端面40a、40bを有し、また、サイドカム当接面のカム軸方向外端側の縁部から垂直下方に前後対称に延びる断面円弧状の外側周面41a、41bを有し、各サイドタペット体32a、32bのカム摺接方向(カム軸に直交する方向)の両端には、上記センタタペット31の突起部38a、38b、38c、38dの摺接面と摺接するよう、カム軸方向に平行でタペット軸方向に延びる摺接面を備えた摺接部42a、42b、42c、42dが形成されている。そして、サイドタペット32には、サイドタペット体32a、32bの上部中央に、センタタペット31のセンタカム当接面とサイドタペット32のサイドカム当接面が面一となる時にセンタタペット31の貫通孔39と一直線に段差なく連通するよう、カム軸方向に平行に各内方端面40a、40bから外側周面41a、41bに貫通する貫通孔43a、43bが設けられている。
【0028】
センタタペット31とサイドタペット32は、センタタペット31のセンタカム摺接面がセンタカム15a,15bのベースサークル部に当接し、サイドタペット32のサイドカム摺接面がサイドカム16a、16bのベースサークル部に当接している状態で、センタタペット31のセンタカム摺接面とサイドタペット32のサイドカム摺接面とが略面一となり、その状態で、センタタペット31の貫通孔39とサイドタペット32の貫通孔43a、43bが一直線に連通する。
【0029】
また、サイドタペット32の一方のサイドタペット体32bの貫通孔43bには、油圧によりセンタタペット31の貫通孔56内に突出可能なよう油圧プランジャ71が内蔵され、センタタペット31を貫通する貫通孔39には、上記油圧プランジャ71に押されてサイドタペット32の他方のサイドタペット体32aの貫通孔43a内に突出可能なようロックピン72が内蔵され、また、ロックピン72を、センタタペット31とサイドタペット32とが相互に離脱しタペット摺動方向に相対移動可能となる位置へ付勢するリターンスプリング73が内蔵されている。
【0030】
そして、センタタペット31の貫通孔39には、サイドタペット32の両サイドタペット体32a、32bの内方端面40a、40bに対向する前後の端面36a、36bに開口する部分に、センタタペット31の端面36a、36bと面一となるようブッシュ74、75がそれぞれ挿入固定される。そのうち、油圧プランジャ71側の端部に固定されるブッシュ75は、ロックピン72外周の鍔部76に当接して、ロックピン72の油圧プランジャ71側への移動を規制する。また、もう一方の端部に固定されるブッシュ74は、ロックピン72外周の上記鍔部76との間にリターンスプリング73を圧縮状態で保持する。
【0031】
さらに、サイドタペット32側の両貫通孔43a、43bには、ブッシュ77、78が各々挿入固定される。そのうち、油圧プランジャ71を内蔵する方のサイドタペット体32bの貫通孔43bに挿入固定されたブッシュ78は、タペット外周側が端壁78aで塞がれ、内側が油圧プランジャ71を摺動嵌合させる嵌合孔78bを構成する。また、他方のサイドタペット体32aの貫通孔43aに挿入固定されるブッシュ77は、その軸方向内側に、ロックピン72の端部を嵌合させる嵌合孔77bを有し、ロックピン72の移動を規制するストッパとして機能する。これらサイドタペット32側のブッシュ77、78は、センタタペット31側の端部を貫通孔61a、61bよりそれぞれ所定寸法突出させ、センタタペット31の貫通孔56に挿入固定したブッシュ74、75の端面にそれぞれ所定間隔をおいて対峙させる。
【0032】
また、ブッシュ77が挿入固定される方(後側)のサイドタペット体32aの外側周面41aは、貫通孔43aが開口する部分が垂直に切り欠かれ、この切り欠かれた部分に、上記ブッシュ77に支持されたピン86により揺動自在に支承された回止部材87が装着され、タペット3の周方向の回動を防止している。
【0033】
また、センタタペット31には、サイドタペット32の両サイドタペット体32a、32bと対峙する両端面54a、54bの、貫通孔39の下部に沿う部分に、カム軸方向にサイドタペット32の両サイドタペット体32a、32bの内方端面40a、40bへ向けて突出することにより、両サイドタペット体32a、32bの貫通孔43a、43bに装着された内方へ突出するブッシュ77、78の端部に係止される係止部89a、89bが設けられている。これら係止部89a、89bが両側でサイドタペット32側のブッシュ77、78に係止されることにより、センタタペット31はタペット摺動方向上方への移動が規制される。
【0034】
このようにして、貫通孔39、43a、43b、油圧プランジャ71、ロックピン72及びリターンスプリング73等により、センタタペット31とサイドタペット32とを相互に結合及び離脱可能とするロック機構が構成されている。
【0035】
このロック機構において、油圧プランジャ71は、油圧が作用すると、ロックピン72側に移動して端部がセンタタペット31側の貫通孔39内に入り込むとともに、ロックピン72をリターンスプリング73に抗して移動させ、ロックピン72の端部をサイドタペット32の上記他方(後方側)のサイドタペット体32aの貫通孔43a内に入り込ませる。この時、油圧プランジャ71がセンタタペット31とサイドタペット32の上記一方(前方側)のサイドタペット体32bとの分割部分に跨がるとともに、ロックピン72がセンタタペット31とサイドタペット32の他方のサイドタペット体32aとの分割部分に跨がり、それらが協動してセンタタペット31とサイドタペット32とを結合し、ロック状態となる。また、油圧が解放されると、リターンスプリング73がロックピン72を油圧プランジャ71側に押し返し、油圧プランジャ71が元の位置に復帰して、ロックピン72の両端面がセンタタペット31の貫通孔39内でセンタタペット31とサイドタペット32との分割部分と略面一になって、センタタペット31がサイドタペット32から離脱し、アンロック状態(ロック解除)となる。
【0036】
このように、ロック機構は油圧によりロック状態とアンロック状態とに切り換え可能で、ロック状態においては、サイドタペット32とセンタタペッ31とが結合し、サイドタペット32と、センタカム15a、15bにより駆動されるセンタタペット31とが協働して、弁を高速態様でリフトさせる。また、アンロック状態においては、センタタペット31がサイドタペット32から離脱して、ロストモーションスプリング35a、35bによりセンタカム15a、15bに押圧された状態で自由移動し、サイドカム16a、16bがサイドタペット32を駆動して、弁を低速態様でリフトさせ、あるいは実質作動停止とする。
【0037】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明のシリンダヘッド部構造は、気筒列方向一端側においてシリンダヘッド本体のヘッドボルトボス部とキャリアボルトボス部とを連結する位置に、シリンダヘッド本体内部のウォータジャケットと連通する冷却水通路を一体形成することにより、そのボルトボス部とキャリアボルトボス部とを連結する冷却水通路の壁部構造によってシリンダヘッド部一端側の剛性を高めることができ、タイミングベルトやチェーンの張力によるカムシャフトの振れを防止するようにできる。また、弁特性変更可能としたタペットの油圧作動式のロック機構に作動油圧を供給される油路等の接続部のシール性を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態のエンジン上部の気筒列方向に直交する断面にて示す縦断面図である。
【図2】 本発明の実施の形態におけるシリンダヘッド部の前端部平面図である。
【図3】 本発明の実施の形態におけるカムキャリアの平面図である。
【図4】 本発明の実施の形態におけるシリンダヘッド本体の前端部平面図である。
【図5】 本発明の実施の形態におけるシリンダヘッド本体の正面図である。
【図6】 本発明の実施の形態におけるシリンダヘッド本体の正面左斜め上から見た斜視図である。
【図7】 本発明の実施の形態におけるシリンダヘッド本体の正面右斜め上から見た斜視図である。
【図8】 本発明の実施の形態における動弁装置のタペットの平面図である。
【図9】 本発明の実施の形態における動弁装置のタペットのカム軸に直交する中心断面で示す正面視縦断面図である。
【図10】 本発明の実施の形態における動弁装置のタペットのカム軸に平行な中心断面で示す側面視縦断面図である。
【図11】 本発明の実施の形態における動弁装置のタペットのロック機構の中心を通る平面視横断面図である。
【符号の説明】
1 シリンダヘッド本体
3 カムキャップ
4 吸気カムシャフト
5 排気カムシャフト
6 カムジャーナル部
8 タペットガイドホール
9 タペットガイド部
10 カムキャリア
30 タペット
17a、17b カムスプロケット
18 タイミングチェーン
91、92 オイルギャラリ(油圧用)
121 ヘッドボルトボス部
122 キャリアボルトボス部
123 冷却水通路の外壁部
127 ボス部
Claims (2)
- カムシャフトの気筒列方向前端部にクランクシャフトと連係する伝達機構を備えた多気筒列型エンジンにおける、各気筒の弁を駆動するカムを備えたカムシャフトを支承するカムジャーナル部と、各カムと弁との間の伝達機構を支持する伝達機構支持部を備え、それらカムジャーナル部および伝達機構支持部を一体に形成したカムキャリアを、各気筒の燃焼室頂部を一体に形成したシリンダヘッド本体と該シリンダヘッド本体を上方から覆うヘッドカバーとで画成される動弁室内に配設し、前記シリンダヘッド本体を左右に分けた所定の配置で形成されたヘッドボルトボス部にてシリンダブロックにボルト締結するとともに、前記カムキャリアを、前記ヘッドボルトボス部の上方を覆う配置で、前記シリンダヘッド本体のヘッドボルトボス部よりシリンダヘッド外周側となる配置で設けられた左右のキャリアボルトボス部にてシリンダヘッド本体にボルト締結する構成とされたシリンダヘッド部構造であって、
前記シリンダヘッド本体は、気筒列方向前端部に前記ヘッドボルトボス部を備えるとともに前記キャリアボルトボス部を備え、
前記カムキャリアの気筒列方向最前端のカムジャーナル部にボルト締結されるカムキャップは、カムキャリアと共に、前記シリンダヘッド本体の気筒列方向前端部に設けられたキャリアボルトボス部に共締めされ、
前記シリンダヘッド本体の気筒列方向前端部外壁側においてヘッドボルトボス部とキャリアボルトボス部とを連結する位置に、シリンダヘッド本体内部のウォータジャケットと連通する、ウォータジャケットとは別の冷却水通路の外壁部が一体形成されたことを特徴とするエンジンのシリンダヘッド部構造。 - 前記伝達機構支持部が、カムと弁間に配置されたタペットを摺動自在に支持するタペットガイドホールで、タペットが、低速タペットと高速タペットとからなり両タペットを結合及び離脱可能とするロック機構を備え、ロック機構の結合もしくは離脱作動により弁特性を変更可能である請求項1記載のエンジンのシリンダヘッド部構造。
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