JP4074696B2 - 分散装置 - Google Patents

分散装置 Download PDF

Info

Publication number
JP4074696B2
JP4074696B2 JP32147197A JP32147197A JP4074696B2 JP 4074696 B2 JP4074696 B2 JP 4074696B2 JP 32147197 A JP32147197 A JP 32147197A JP 32147197 A JP32147197 A JP 32147197A JP 4074696 B2 JP4074696 B2 JP 4074696B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
dispersion
basket
chamber
dispersion chamber
side wall
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP32147197A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH1170327A (ja
Inventor
嘉孝 荒木
Original Assignee
株式会社荒木鉄工
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 株式会社荒木鉄工 filed Critical 株式会社荒木鉄工
Priority to JP32147197A priority Critical patent/JP4074696B2/ja
Publication of JPH1170327A publication Critical patent/JPH1170327A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4074696B2 publication Critical patent/JP4074696B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Processing And Handling Of Plastics And Other Materials For Molding In General (AREA)
  • Mixers Of The Rotary Stirring Type (AREA)

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、塗料やインキの顔料等の固形物を含む液状の配合物を分散させる分散装置に関し、より詳細には、ビーズカーボン等の比較的硬度の高い固形物の分散を行うことのできる分散装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
塗料やインキ等の固形物を含む塗料組成物の製造は、例えば、樹脂ワニスと顔料を混合してペーストを得る前練り工程、前記前練り工程により得られたペーストをボールミル、ロールミル、サンドグラインドミル等の分散装置により分散して樹脂ワニス中に顔料を均一に分散したミルベースを得る分散工程、前記分散工程により得られたミルベースをデイゾルバー等により溶剤、樹脂ワニス、必要に応じて添加剤と混合・溶解する溶解工程を経て製造される。
【0003】
そして、近年においては、前述の分散工程と溶解工程を同時に行うことができるという作業性の良さから、バスケットミルが塗料やインキ等の製造に使用されている。
【0004】
このバスケットミルは、かく拌槽内に顔料、溶剤、樹脂ワニス、必要に応じて添加剤等を混合した液体(以下、「配合物」という)を充填し、該かく拌槽の上方から前記配合物中に到達する長さに設けられたかく拌軸の先端にかく拌羽根を付設し、該かく拌羽根を前記かく拌軸を介して回転駆動装置で回転することにより、配合物間のずり応力で凝集した顔料粒子(二次粒子)を顔料粒子単体(一次粒子)にほぐすと共に、溶剤、樹脂ワニス、添加剤等を混合して前記液体中に顔料粒子を分散するものであり、前記かく拌羽根の外側を側壁及び底壁に小孔が多数穿設されている金属製薄板材、又は細かいメッシュの金網でなるバスケット(篭体)で囲み、該バスケット内にガラス球、鋼球、セラミック球等の分散媒体を投入し、かく拌羽根を回転させると、前記配合物内の固形物の大きな粒子は前記バスケット内で磨砕混合作用により砕かれて微細化し、微細化された顔料粒子はバスケットの底壁及び側方の前記小孔やメッシュから流出し、かく拌槽内を対流して再度バスケットの上方からバスケット内に流入してさらに細かく砕かれて配合物中で分散されるよう構成されている(例えば、特開昭60−122033号、特開昭61−293536号公報参照)。
【0005】
このようなバスケットミルあっては、バスケット内で分散された配合物をバスケットの底壁および側壁に穿設した小孔から流出させ、バスケットの底壁下方に流出した配合物はバスケット底壁下方に設けた液流動用羽根の回転により、バスケット上方に対流させ、再度上方からバスケット内に流入させて分散するのであるが、配合物中の顔料の二次粒子等の固形物は液体中では重量物であるために、相当量が分散されずバスケット底壁の小孔からかく拌槽底面へそのまま落下する。すなわち、篭体内に投入した分散媒体はかく拌羽根が回転することにより生ずる回転遠心力によってバスケット側壁周辺に集まってしまうので、少なくともかく拌軸周辺の配合物は全く分散されることのないままバスケット底壁の小孔からそのままバスケット下方に流出し、また、かく拌軸下方に沈殿する傾向にあるので、これらの要因を考慮していかに短時間で分散効果を上げるかということは依然として大きな課題であった。
【0006】
また、前述のように小孔を多数形成したバスケットを備えた分散装置にあっては、配合物中の凝集した顔料粒子により目詰まりしやすく、特に、通常のカーボンが粉状で非常に軽く、浮遊しやすいため作業環境を阻害するので、粒径1mm前後に形成したビーズカーボン等の顔料を含む配合物を分散すると、該ビーズカーボン等の顔料が分散されないままバスケットに形成された小孔に詰まってしまい、このビーズカーボンによるバスケットの目詰まりにより配合物がバスケットの内外を循環できなくなる。そのために、従来のバスケットミルにあってはビーズカーボン等のように1次粒子の凝集が強く2次粒子が硬くほぐれにくい顔料等の固形物を含む配合物を分散することはできない。
【0007】
このような問題点を解消すべく、バスケットの底壁を小孔を設けていないメクラ底壁で形成し、側壁のみに小孔を形成した分散装置、及び前記分散装置の小孔を側壁平板と、側壁の周囲方向で前記側壁平板より短い隙間板とをそれぞれ交互に複数個重ねて、上下に対向する側壁平板と側壁の周囲方向に対向する隙間板とで形成されるスリットより成る小孔とした分散装置が本発明の出願人により既に出願されている(特公平8−17930号公報参照)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
前述の特公平8−17930号公報に掲載の分散装置にあっては、前述のようにバスケットの底壁をメクラとしたことによりバスケット内部における配合物の滞留時間が長くなり、従来のバスケットミルに比較して短時間で配合物の分散を行うことができる。
【0009】
また、バスケットの側壁にスリット状の小孔を形成した分散装置にあっては、ビーズカーボン等の高硬度で、粒子の粗い顔料を含む配合物の分散に使用した場合であってもバスケットの小孔が目詰まりし難く、このような配合物であっても分散を行い得る。
【0010】
しかし、前述の分散装置によりビーズカーボン等を含む配合物を分散する場合、配合物中のビーズカーボン等の顔料の固形物を所望の粒度となるまで微細なものとするには長時間を要し、また長時間の分散による摩擦熱により配合物が加熱され、配合物中の溶剤等が揮発すれば、製品の品質の変化や工程中の原料ロスが生ずる他、揮発した溶剤等が作業環境内の雰囲気に溶け込んで作業環境を悪化させる。
【0011】
また、前述の従来の分散装置により得られた黒色塗料は、剪断力が弱いため、色合いの深みに欠ける。
【0012】
一方、円筒状のドラム内にスチールやアルミナ等の球体より成る分散媒体と共に前練りされたペーストを入れて前記ドラムを回転させて分散する前述のボールミルや、回転速度の異なる複数のロール間に前練りしたペーストを通過させ、ロール間の速度差によってペーストに与えられる剪断力により分散を行う前述のロールミルにより分散を行う場合、ビーズカーボンを原料として色合いに深みのある黒色塗料を製造することができる。
【0013】
しかし、前述のように前記ボールミルやロールミルを使用して分散を行った場合には、最終的な塗料やインキを得るためには前記ボールミルやロールミルを使用した分散工程により得られたミルベースを更に既知のディゾルバー等を使用して樹脂ワニス、溶剤、添加剤に溶解する溶解工程を経る必要がある他、前述のボールミルにあっては分散に長時間を要すると共に、分散媒体とドラムの内壁との衝突により発生する騒音が著しく、該装置を設置するに際しては防音対策が必要である等、周辺環境の整備のためのコストが嵩む等の問題点を有する。
【0014】
また、前述のロールミルにあっては、前述のボールミルに比較して騒音の発生等の問題は少ないものの、硬度の高いビーズカーボン等の固形物を含むペーストを分散するためにはロール間を、高圧力とした状態で強力に回転させる必要があり、モータ等の駆動源が大型化して装置を大型・高価とするだけでなく、前記ロールの高出力の回転を得るために消費電力等が増大する等の問題点がある。
【0015】
そこで本発明の目的は、上記従来技術の欠点に鑑みてなされたものであり、バスケットミル及び前記特公平8−17930号公報の分散装置と同様、顔料粒子等の固形物の分散と溶解を同時に行うことができ、従って作業性が良く、また、ビーズカーボン等の高硬度の固形物を含む配合物の分散作業を短時間で行うことができ、しかも色合いに深みのある黒色塗料を製造することのできる剪断力ないし衝撃摩砕力のきわめて高い分散装置を提供することにある。
【0016】
また、本発明の別の目的は、前述の分散装置にあって、かく拌槽内に充填された配合物を良好に対流させて、配合物中の固形物がかく拌槽の底部に沈殿することを防止し、良好にバスケツト内に導入して分散し得る構成を備えた分散装置を提供することにある。
【0017】
更に、本発明の別の目的は、前述の分散装置に配合物の加熱を防止し得る機構を設けることで、配合物中の溶剤等の揮発を防止し、製品の品質の変化や工程中の原料ロス、作業環境の悪化を防止し得る分散装置を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
昇降自在な分散装置本体10に回転可能な回転軸12を設け、この回転軸12を分散媒体37が収容されたバスケット20内に挿入すると共に、該バスケット20内に位置する前記回転軸12に複数の分散ピン14を有し、かく拌槽60内に充填された、例えば塗料やインキ等のように、顔料等の固形物を含んだ液状の配合物65を分散せしめる分散装置において、
前記バスケット20は、バスケット20内に配合物65を導入する開口38の形成された蓋板22と、この蓋板22で上端を被蓋された円筒状の上部側壁241(241a,241b)で区画され、前記蓋板22の開口38から導入された配合物65を予備的に分散する予備分散室201(201a,201b)と、
前記上部側壁241(241a,241b)の下端に連結され、下端を小孔を設けていないメクラ底板29で被蓋された円筒状の下部側壁242で区画され、前記予備分散室201で予備分散された配合物65を導入してこれを更に細かく分散する仕上分散室202を備え、
前記予備分散室201(201a,201b)を区画する上部側壁241(241a,241b)を小孔を設けないメクラに形成し、一方、前記仕上分散室202を区画する下部側壁242の少なくとも下方に、前記仕上分散室202内の配合物65をバスケット20外に流出する小孔35を円周方向に多数形成すると共に、ロッド13を介して分散装置本体10に前記バスケット20を固定すると共に、前記蓋板22に形成された開口38を介して前記予備分散室201の上部から仕上分散室202内に至る前記回転軸12を挿入し、予備分散室201内をかく拌する分散ピン141(141a,141b)及び仕上分散室202内をかく拌する分散ピン142をそれぞれ前記回転軸12に多段に複数対付設し、
前記バスケット20とかく拌槽60の内壁間に駆動手段48により回転駆動する液流動用軸46を配置し、該液流動用軸46に液流動用羽根47を付設し、該液流動用羽根47を前記かく拌槽60内で、かつ前記バスケット20と干渉しない位置に設け、更に前記蓋板22上又は、前記蓋板上方又は、前記予備分散室201の上方又は、前記予備分散室又は、仕上分散室202の内、少なくともいずれか一の位置に固定盤72を設け、この固定盤72に、前記回転軸12が回転可能に挿入されると共に配合物を通過させる開口を形成し、この固定盤72上にあって、複数の回転軌跡上で各固定ピン74を順次に植設した固定側分散ピンと、前記固定盤72に平行に対向して回転駆動可能に前記回転軸12に設けた可動盤71上にあって、前記各固定ピン74とは異なる複数の回転軌跡上で、且つ、各固定ピン74に対して可及的に接近した位置で、可動ピン73を順次に植設した可動側分散ピンとを備え、前記各固定ピン74と各可動ピン73との相互間で、前記配合物を分散し得るように構成したことを特徴とし、これにより予備分散室、仕上分散室における分散を促進すると共に、上記可動側分散ピンを蓋板若しくは蓋板上方に設ければ、前記予備分散室201に配合物が入る前にさらに予備的に分散することによって、分散効果及び作業効率を高めることができる。
【0019】
前記予備分散室201は、前記蓋板22の直近下方に位置する1次予備分散室201aと、前記1次予備分散室と連続して形成された2次予備分散室201bとから成り、前記1次予備分散室201a内をかく拌する分散ピン141a及び2次予備分散室201b内をかく拌する分散ピン141bを前記回転軸にそれぞれ複数対付設すると共に、前記1次予備分散室201a及び2次予備分散室201bのそれぞれを仕上分散室202と同等以上の高さに形成することもできる。
【0020】
前記仕上分散室202の側壁下方に形成された小孔35は、側壁平板27と、側壁の周囲方向で前記側壁平板27よりも短い隙間板28とをそれぞれ交互に複数個重ねて、上下に対向する側壁平板27と側壁の周囲方向に対向する隙間板28とで形成されるスリットから成る小孔35として形成することもできる。
【0021】
また、前記液流動用軸46及び液流動用羽根47は、前記バスケット20を中心とした対称位置に2又はそれ以上の複数個配置すれば好適である。
【0022】
さらに、前記予備分散室201を被蓋する蓋板22に中空室40を形成すると共に、又は前記蓋板22の中空室40に代えて予備分散室201の側壁に中空室44を形成し、該中空室40(及び/又は44)を前記ロッド13に形成した冷却媒体の流路を介して冷却媒体供給源に連通すれば好適である。
【0023】
加えて、前記バスケット20の蓋板22に設けられた開口38内で前記かく拌軸12に螺旋状の導入羽根18を付設することもできる。
【0025】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態につき添付図面を参照して説明する。
【0026】
本発明の分散装置は、図1に示すように昇降自在に構成された回転駆動機構11の先端下方に設置されて、顔料等の固形物を含む配合物65の充填されたかく拌槽60内に没入されて該かく拌槽60内の配合物65を分散し得るものであり、鋼球、ガラス球、セラミック球、ジルコニア球等より成る分散媒体37を、バスケット内外を循環する配合物65と共に収容するバスケット20と、前記バスケット20内に挿入され、該バスケット20内で回転する回転軸12、前記回転軸12に付設され、回転軸12の回転に伴って回転してバスケット20内に収容された分散媒体37をかく拌する分散ピン14(141a,141b,142)、及び前記バスケット20とかく拌槽60の内壁間に配置され、かく拌槽60内に充填された配合物65を対流させる液対流用軸46及び該液対流用軸に付設された液対流用羽根47より成る。
【0027】
前記バスケット20は、円筒状に形成された小孔を設けていない上部側壁241(241a,241b)と前記円筒状の上部側壁241(241a,241b)の上端を被蓋する蓋板22とにより区画された予備分散室201(201a,201b)と、前記上部側壁241(241a,241b)の下端に連結され、その外周に、配合物65が通過する多数の小孔35が形成され、下端を小孔を設けていないメクラ底壁29で被蓋された円筒状の下部側壁242により区画された仕上分散室202とを備える。
【0028】
前記予備分散室201(201a,201b)は、前記蓋板22に設けられた開口38を介して導入された配合物65を予備的に分散し、この予備分散された配合物65を後述の仕上分散室202に供給するものであり、前記蓋板22に形成された開口38を介して予備分散室201(201a,201b)内に挿入された回転軸12と、この回転軸12に付設された複数対の分散ピン141(141a,141b)が回転自在に配置され、この分散ピン141(141a,141b)の回転により予備分散室201内に収容された配合物65及び分散媒体37がかく拌可能に構成されている。
【0029】
この予備分散室201内に配置された分散ピン141(141a,141b)は、前述の回転軸12に分散ピン支持体15を介して付設されたもので、例えば回転軸12を中心として等角度に水平方向に植設された複数の分散ピン14を、前記回転軸12の長さ方向に所定の間隔で複数段付設する。図1及び図2に示す本発明の実施形態にあっては、一の分散ピン支持体15に2本づつ3段の計6本の分散ピン14を回転軸12を中心に90°ずつ位置ずれさせて、平面十字状とし、この分散ピン支持体15を予備分散室201内に回転軸12の長さ方向に4組配置している。
【0030】
そして、このうち上2組の分散ピン支持体15に付設された分散ピン141aが旋回する予備分散室201により1次予備分散室201aが、下2組の分散ピン支持体15に付設された分散ピン141bによりかく拌される予備分散室201により2次予備分散室201bが形成される。
【0031】
前記1次予備分散室201a及び2次予備分散室201bは、それぞれが後述する仕上分散室202の高さと同等以上の高さを備えており、本実施形態にあっては、蓋板22を除くバスケット20全体の高さ800mm、仕上分散室202の高さを200mm、1次、2次予備分散室201a,201bの高さをそれぞれ300mmに形成している。
【0032】
なお、本実施形態にあってはバスケット20の直径を約460mmとしている。従って前記バスケット20の高さは、従来の同種の分散装置のバスケットに比較して約3〜4倍の高さを有し、1次予備分散室201a、2次予備分散室201b、仕上分散室202の各々が、従来の分散装置におけるバスケット内に形成された分散室と同様の容量を備える。
【0033】
前記予備分散室201(201a,201b)を形成する側壁241(241a,241b)は、例えば金属板等を単に円筒状に形成し、これに蓋板22及び後述の下部側壁242を固定するための固定穴を設けたのみの単純な構成とすることもできるが、本実施形態にあっては前記上部側壁241(241a,241b)内に中空室44を形成すると共に、前記蓋板22を介して前記上部側壁241(241a,241b)の上方に位置するロッド13内に同様に冷却媒体の流路を形成し、前記ロッド13を介して上部側壁241(241a,241b)の中空室44を冷却媒体供給源に連通して上部側壁241(241a,241b)内に形成された中空室44内で冷却媒体を循環し得るように構成することもでき、この場合には分散媒体37がかく拌された際に相互に衝突して生ずる熱及び配合物との摩擦熱が好適に冷却され、配合物65の加熱による溶剤の揮発や該揮発による製品の品質の変化等を防止することができる。
【0034】
前記予備分散室201(201a,201b)の上部を画定する蓋板22は、中央部に回転軸12を挿通し、かつ、かく拌槽60内の塗料やインキ等の顔料などの固形物を含む液状の配合物65をバスケット20内に導入するための開口38が形成されている。
【0035】
この蓋板22は、一枚の円盤状の金属板等により形成することもできるが、好適には図2及び図3に示すように、内部に中空室40が形成され、この中空室40内に冷却水等の冷却媒体を循環し得る構成とした蓋板22を使用する。
【0036】
この蓋板22は、本実施形態にあっては蓋板22の上壁を成す載頭円錐状の傾斜面23と、前記開口38を形成する円筒状の内壁43とにより、上蓋22に中空室40を画定している。
【0037】
この中空室40内には、図5〜図7に示すように、中空室40を4等分する位置に順次、邪魔板70a,70b,70c,70dが中空室40の高さ方向に取り付けられている。
【0038】
邪魔板70aは、前記中空室40の縦断面と同一形状の直角三角形状を成し、邪魔板70aにより上蓋22の中空室40を区画し、台形状の邪魔板70b、70d及び三角形状の邪魔板70cは、中空室40の縦断面全体を覆う形状、ないし面積を有するものではなく、それぞれ中空室40の底面42側又は傾斜面23側に取り付けられて傾斜面23側、又は底面42側をそれぞれ冷却媒体が通過可能な流路として形成している。
【0039】
図5において、52a〜52dは螺孔を示し、分散装置本体10に垂下固定した4本のロッド13がそれぞれ取り付けられる。螺孔52a〜52dは、図6に示すように、上蓋22の底面42外周のフランジ部36上に設けたブラケット55に、垂直方向に雌ネジ部を有して形成され、前記螺孔52a,52dの2のブラケット55には水平方向に連通孔56を穿設形成し前記螺孔52に連通する。従って図5において、前記螺孔52a,52bは邪魔板70aと70b,70d間の中空室40a,40dとそれぞれ連通する。他の螺孔52b,52cには、前記連通孔56は設けられていない。
【0040】
そして、この螺孔52a,52bにはその内部に冷却媒体が通過する流路を有するロッド13の下端に設けた雄ねじ部を螺合して結合される。他の螺孔52b,52cにも同様に、ロッド13の下端に設けた雄ねじ部を前記螺孔の雌ネジ部に螺合して連結され、バスケット20を分散装置本体10に固定している。前記螺孔52a,52dに連結された2本のロッド13,13の流路は、分散装置本体10を介して図示せざる冷却媒体供給源に連通している。
【0041】
なお、本実施形態にあっては、前記蓋板22に形成された中空室40と、上部側壁241内に形成された中空室44を連通して、ロッド13を介して供給された冷却媒体が蓋板22及び上部側壁241のいずれの中空室40,44内をも循環し得るように構成している。
【0042】
配合物65をバスケット20内に導入する前記蓋板22に形成された開口38は、本実施形態では回転軸12をバスケット20内に挿入するための挿通孔と共通の穴として形成されており、前記回転軸12の外径よりも大きく形成された開口38に回転軸12が挿通され、開口38の周縁と前記回転軸12の外周間の隙間から配合物65がバスケット内に導入される。
【0043】
本実施形態にあっては、バスケット20内に積極的に配合物65を導入するために、前記開口38に挿入された回転軸12の外周に螺旋状の導入羽根18を設け、回転軸12の回転によりこの導入羽根18が同時に回転してバスケット20の内方に向かう配合物65の対流が生ずるように構成している。
【0044】
以上のように構成されたバスケット20の予備分散室201の下端には、多数の小孔35の形成された円筒状の下部側壁242と、その下端を被蓋するメクラ底壁29により区画された仕上分散室202が形成される。
【0045】
このように、仕上分散室202をメクラの底板29で区画することは、液体中を下方に落下しようとする、液体中では重量物である固形物を仕上分散室202外へ流出し難くし、そのため小孔35を底壁29に設けた場合よりも下部側壁242にのみ設けた場合の方が固形物が仕上分散室202内に滞留する時間が長く、配合物65中の固形物はより微細に砕かれて分散される。
【0046】
また、下部側壁242にのみ小孔35を形成し、上部側壁241をメクラに形成することで、バスケット20の上部に形成された開口38よりバスケット20内に導入された配合物65は、1次予備分散室201a、2次予備分散室201b、仕上分散室202を順次通過して各室内の配合物と共に分散媒体37をかく拌する分散ピン14(141a,141b,142)の回転により強制的に旋回された分散媒体37と接触して磨砕され、また配合物間のずり応力により順次細かに分散される。
【0047】
この仕上分散室202を区画する下部側壁242に設けられる小孔35は、細孔あるいはスリットが多数穿設されている金属製薄板材、又は細かいメッシュの金網によって形成されるものであっても良いが、分散媒体37等の衝突による摩耗や小孔35の大きさ(幅)の変更、下部側壁242、特にスリット部分が損傷、変形した場合の修理の便等を考えれば、これを図3及び図4に示すように、下部側壁242の厚さ方向に一定幅を持つ平板である側壁平板27と、下部側壁242の周囲方向で前記側壁平板27より短い隙間板28とをそれぞれ交互に複数個重ね、隙間板28を下部側壁242の周囲の適宜位置に配置し、上下に方向する側壁平板27,27と側壁周囲方向に対向する隙間板28,28で構成したスリットから成る小孔35に形成するのが好適である。
【0048】
すなわち、このように、下部側壁242に形成される小孔35をスリット状に構成すれば、小孔35を設けた部分の下部側壁242の壁厚を容易に増すことができ、壁厚の増した分だけ下部側壁242の寿命を向上させることができる。また、このようにして構成されたスリット35は、下部側壁242の厚み方向へ常に一定幅で形成されているので、メッシュの金網等のように小孔35周辺が摩耗した場合であっても小孔の大きさにバラツキが生じない。
【0049】
また、スリットから成る小孔35の大きさ(幅)の変更に際しては、隙間板28の板厚のみを変化させることによって調整できるので、隙間板28の板厚を変更することで単一のバスケットによって種々の用途に応じた分散作業に対応することができる。
【0050】
さらに、各々が独立した複数の側壁平板27と隙間板28の重合によってスリット35が形成されているので、例え分散媒体37などの衝突等により側壁平板の一部が摩耗してスリットの幅が広がり、又はスリットに配合物などが挟まった場合であっても摩耗した側壁平板27のみを交換又は修理することでスリット形状を元の好適な状態に復元することができ、修理の手間がかからずしかも経済的にバスケット20の修復を行うことができる。
【0051】
この側壁平板27と隙間板28の重合は、蓋板22の下面に前述のメクラに形成された上部側壁241を設け、該上部側壁241の下面に下部側壁242を成す側壁平板27と隙間板28を交互に複数個重ねて側壁24を構成するが、前記上部側壁241及び下部側壁242を成す側壁平板27の全周の同一位置に複数の固定穴を、本実施形態では12個設け、さらに前記隙間板28に固定穴を設けて例えばワッシャ等の形状にし、上部側壁241、側壁平板27、隙間板28のそれぞれの固定穴に側壁固定ロッド25を挿通せしめて、該側壁固定ロッド25の上に設けたネジ部を蓋板22に螺着し、底壁29を側壁固定ロッド25の下端に設けたネジ部を介してナット34で固定する。
【0052】
したがって、前述の実施形態では前記スリット35は、下部側壁242の全面に形成される。
【0053】
そして、前記仕上分散室202の底部を画定する底壁29は、前記配合物65が流通するスリットあるいは細かいメッシュの網等の小孔を設けずメクラ底板39にしている。
【0054】
従来のバスケットミルにあっては側壁の全面及び底壁に小孔が設けられていたために、バスケット20内で分散ピン14を回転させるとバスケット20内に生じた渦流により、バスケット20内に導入された配合物65は最寄りの小孔35より外部に放出されて十分に分散されないために、バスケット20外に排出された配合物65を対流させて繰り返しバスケット20内に導入して分散する必要があった。従って、所望の分散効果を得るのに長時間を要するものであった。しかし、本願分散装置のバスケット20によれば、バスケット20の側壁24の下方にのみ配合物65がバスケット20外へ流出し得る小孔35を設けたので、バスケット20の蓋板22に設けられた開口38よりバスケット20内に導入された配合物65は、バスケット20内を長い距離分散媒体37と衝突しながら通過するのでかく拌された分散媒体37及び配合物間のずり応力により微細に分散される。
【0055】
さらに、メクラ底板39は、その内面を中心から側壁24方向に下降するテーパ状に形成することもでき、また該メクラ底板39の底板39の側壁24側に、分散作業時においては分散媒体抜き穴用蓋32により被蓋されている分散媒体抜き穴31を穿設することもできる。
【0056】
底板29をこのように形成した場合、分散作業の終了後におい配合物65中よりバスケット20を取り出した際に配合物65のはけが良く、また、前記分散媒体抜き穴用蓋32を取り外すことによりバスケット20中から分散媒体37を容易に抜き取ることができ、この際、バスケット20を傾斜させたり逆さまにするなどの手間を必要としない。
【0057】
以上のように構成された下部側壁242及びメクラ底壁39により画定された仕上分散室202内には、前述の予備分散室201内を通過して回転軸12の先端が配置され、この回転軸12の先端に、仕上分散室202内に収容された分散媒体37をかく拌する分散ピン142が付設されている。
【0058】
なお、この仕上分散室202内に配置された分散ピン142の構成は、前述の予備分散室201における分散ピン141と同様であるが、本実施形態にあっては仕上分散室202を予備分散室201の各分散室201a,201bに比較して高さを低く形成しことから、一の分散ピン支持体15のみを配置し、この分散ピン支持体15に前述の各予備分散室201a,201bに配置された分散ピン141の半分の6本の分散ピン142を付設している。
【0059】
以上のように構成されたバスケット20は、その蓋体22の螺孔52a〜52dに連結されたロッド13を介して分散装置本体10の下方に連結され、また後述の回転駆動機構11のモータ41に連動される回転軸12の先端に分散ピン支持体15を介して設けた分散ピン14を回転可能に前記バスケット20内に配置すると共に、前記バスケット20内に分散媒体37を収容して配合物の充填されたかく拌槽60内に没入される。
【0060】
このようにかく拌槽60内に没入されたバスケット20の外方とかく拌槽60内壁間には、図1に示すように、回転駆動手段であるモータ48により回転駆動される液流動用軸46が設けられ、この液流動用軸46に液流動用羽根47をかく拌槽内で、前記バスケット20に干渉しない位置、例えばバスケット20の底壁29より下方に位置して設ける。
【0061】
本実施形態にあっては回転駆動機構11の架台に設置したモータ48に直結して下方に設けた液流動用軸46の先端に液流動用羽根47を設け、該液流動用羽根47がバスケット20の下方に位置するようにしたものであり、本実施形態にあっては、前記バスケット20を中心に対称の位置に2本の液流動用軸46を配置し、その先端にそれぞれ液流動用羽根47を付設している。従って、かく拌槽60の底部に沈殿しがちな配合物65中の固形物を好適に対流させることができ、従って分散効率を向上させることができる。
【0062】
このように、液流動用羽根47を回転軸12とは別に設けた液流動用軸46に、すなわち、かく拌槽60内下方で、かつ前記バスケット20の外方に離反して設けたので、例えばバスケット20をかく拌槽60内で上方に移動させた場合であっても液流動用羽根47は固形物が沈殿しがちなかく拌槽の下方の配合物を流動させているので、バスケット20の停止位置に影響されることなく固形物を含む配合物を万遍なく対流させることができる。
【0063】
以上のように構成された本発明の分散装置は、図1に示すように前記分散装置のバスケット20内で回転する回転軸12を駆動する回転駆動機構11、昇降装置50等と組み合わされて全体装置を構成する。
【0064】
図1において、昇降装置50の昇降シャフト53の上部に回転駆動機構11を設置し、該回転駆動機構11の先端下方に本発明の分散装置を設置する。
【0065】
昇降装置50は昇降装置本体51の内部に図示せざる油圧シリンダによって昇降シャフト53の上部に設置した回転駆動機構11を任意位置に停止調節可能とするための上昇バルブ57および下降バルブ58を設け、前記回転駆動機構11を案内するガイドシャフト54を設けている。
【0066】
回転駆動機構11はモータ41の回転軸に図示せざる変速装置を設置し、該変速装置の変速ハンドル等により変速調整された回転力をVベルト等の伝達手段を介して分散装置本体10の後述する回転軸12に連動している。そして、回転軸12の回転速度を測定する回転計16を設けている。
【0067】
分散装置は、前記回転駆動機構11の下方に4個のロッド13を介してバスケット20の側壁24上部のバスケット外周方向に突出したフランジ部36に連結してバスケット20を分散装置本体10に固定し、該バスケット20内に、前記回転駆動機構11のモータ41に連動される回転軸12の先端に分散ピン支持体15を介して設けた分散ピン14を回転可能に設置し、前記バスケット20内にガラス球、鋼球、セラミック球、ジルコニア球等の分散媒体37を、充填率を65〜85%で収容している。
【0068】
なお、図1に示すかく拌槽60は槽内の液が流出し易いように底壁がテーパになっており、該テーパの先端付近にドレンバルブ61を設け、さらに車輪62を設けて移動自在とすることができる。
【0069】
本発明の分散装置は、更に図8に示すように予備分散室201(201a)に先立つ前処理としての付加的分散機構として謂わばさらに予備的な予備分散を行う可動側分散ピン及び固定側分散ピンから成る構成を備えている。
【0070】
図8(A)、(B)において、72は固定盤で、側壁24の上端面に架設固定され固定盤72の中心部に前記回転軸12及び配合物65を通過させる開口38を備え、前記固定盤72に平行に対峙して回転軸12に、回転軸12によって回転駆動される可動盤71を設ける。
【0071】
そして、前記固定盤72上には、複数の、本実施例では6の同心円上の(可動盤71に対する相対的な)回転軌跡上で各固定ピン74を順次にこの実施例では、各固定ピン74は前記固定盤72上の中心から前記同心円上に外周縁に向かって、12本づづ、順次植設され、一方、前記可動盤71上には、前記各固定ピン74の回転軌跡に可及的に接近した6の回転軌跡上で交互に入り込む、可動ピン73を、前記可動盤71上の中心近傍から前記同心円上に外周縁に向かって、同じく12本づつ、順次植設して、これらの固定、可動の各ピン73,74の相互間で衝撃摩砕力により配合物の粉砕あるいは研磨による分散作用を得られるように位置して構成する。
【0072】
なお、前記固定及び可動の各ピン73,74の本数は、外周に向かうに従い中心側よりも本数を多くして密度を増やすようにしてもよい。
【0073】
この実施例では、前記固定及び可動の各ピン73,74は、分散ピン14と同一の断面形状および径でなり、固定及び可動の各ピン73,74外周間各軌跡のクリヤランスは、0.5mmとしているが、これに限定されるものではなく、断面正方形等の矩形、楕円等であってもよい。
【0074】
なお、図8の実施例では、図2における前記蓋板22に関する構成を変更したものを示したが、これに限定されることなく、図2における蓋板22の上方に前記付加的分散機構を設けてもよく、また、前記予備分散室201の上方あるいは、予備分散室201内あるいは仕上分散室202内のいづれかあるいは両方に設けるなどは、実施に応じて任意である。また、図2における蓋板22の傾斜面23としての上面部材を図8における固定盤72と同等の構成としてこの付加的分散機構を蓋板22上に設けることもできる。
【0075】
さらに、図8の実施形態においても、図2における導入羽根18を開口38内に設けることもできる。
【0076】
以上のように構成された本発明の分散装置を含む全体装置の作用について説明する。
【0077】
塗料やインキ等の顔料等の固形物と樹脂ワニス、溶剤さらに必要に応じて加えられた添加剤などから成る液状の配合物65を、前記かく拌槽60内に充填し、前述のように該槽内に本発明の分散装置本体10を配置する。
【0078】
昇降装置50の上昇バルブ57を開くと、昇降装置本体51内の図示せざるシリンダが作動し、昇降シャフト53の上昇に伴ってガイトシャフト54に案内されて回転駆動機構11が上昇すると共に、該回転駆動機構11の先端部に設けた分散装置本体10のバスケット20も上昇する。この状態で前記配合物65の装填されたかく拌槽60を移動し、バスケット20の下方の所定位置に設置し、昇降装置50の下降バルブ58を開いて分散装置本体10のバスケット20をかく拌槽60の前記配合物65内に下降させる。
【0079】
回転駆動機構11のモータ41を駆動すると、図示せざるVベルト等の伝達手段を介して分散装置本体10の回転軸12が回転駆動され、作業者は回転計16を見ながら変速ハンドル等によって回転軸12の回転速度を調節する。
【0080】
回転軸12の回転により、バスケット20内に設けた分散ピン14(141a,141b,142)がバスケット20内で回転してバスケット内の分散媒体37をかく拌すると共に、かく拌槽60内の配合物65は、前記回転軸12に設けられた液導入羽根18により生じた対流によりバスケット20上面の蓋板22に設けられた開口38を経てバスケット20内に導入される。
【0081】
図8の付加的分散機構を設けることにより、固定、可動の各ピン73,74の相互間で衝撃摩砕力により配合物の粉砕あるいは研磨による予備的な分散作用を受け開口38を通過し、あるいは、図2の実施形態では、前記開口38よりバスケット20内に導入された配合物65は、先ずバスケット20内の1次予備分散室201a内で、分散ピン141aによりかく拌された分散媒体37と衝突し、分散媒体37間の衝突による砕力及びずり応力により予備分散されて、分散媒体37中を通過して第2分散室201bに導入される。
【0082】
2次予備分散室201bに導入された配合物65は、同様に分散ピン141bによりかく拌された分散媒体37中を通過して分散されると共に、分散媒体37中を通過して仕上分散室202内に導入されるが、2次予備分散室201b内に収容されている分散媒体37には、1次予備分散室201a内に収容されている分散媒体37の重量も加わっているので、2次予備分散室201b内でかく拌されている分散媒体37は、かく拌された際に生ずる衝撃力が増強されており、従って1次予備分散室201aで予備分散された配合物は、2次予備分散室201b内で、更に微細に分散されて、その下方に連続する仕上分散室202内に導入される。
【0083】
この仕上分散室202内に配置されている分散媒体37は、前述の1次予備分散室201a及び2次予備分散室201b内に配置された分散媒体37の重量も加わって、該分散媒体37がかく拌された際に生ずる衝撃力は、前記予備分散201における衝撃力を遙かに上回っており、従ってこの仕上分散室202を通過することにより、配合物65中の固形物は短時間で略完全に分散される。
【0084】
このように、本発明の分散装置にあっては、従来の分散装置における個々のバスケット内に形成される分散室に相当する1次予備分散室201a、2次予備分散室201b、仕上分散室202が縦方向に連続して形成されているので、従来における分散装置のバスケットに比較して格段に処理能力が向上されており、しかも仕上分散室202に収容されている分散媒体37に対しては、1次予備分散室201a及び2次予備分散室201b内に配置された分散媒体37の重量も加わっているため、その分散能力は飛躍的に向上する。
【0085】
従って、配合物65中の固形物はバスケット内を一回通過するだけで従来の分散装置に比較してより微細に砕かれて分散される。その結果、前述のビーズカーボンの如き高硬度の固形物を含む配合物であっても短時間で良好に分散することができ、また、ビーズカーボンを含む配合物の分散により深い色合いを有する黒色塗料を製造することができる。
【0086】
なお、前述のように分散装置のバスケット20を内部に3つの室を形成し得る縦長の形状に形成したことにより、内部に収容される分散媒体の量も増加して該分散媒体をかく拌した際に生ずる熱量も増大するが、図示せざる冷却媒体供給源より供給された冷却水等の冷却媒体は、ロッド13内に形成された冷却媒体の流路を介して蓋板22及び上部側壁241内に形成された中空室44内を循環しているので、かく拌作業時に生じた熱は、この蓋板22及び上部側壁241内に形成された中空室40,44内を循環する冷却媒体37により好適に冷却され、従って配合物65が過度に加熱されることにより生ずる溶剤の揮発、該揮発に伴う製品の品質の低下、工程中の原料ロス、作業環境の悪化等を好適に防止し得る。
【0087】
このようにして溶剤、樹脂ワニス、添加剤中に分散された顔料等の固形物は、分散ピン14の回転による遠心力によって、下部側壁242に設けられたスリットから成る小孔35を通過してバスケット20の外へ流出する。この際、配合物65中の固形物は、略完全に分散されているため小孔35に対する目詰まりがなく、粒度の粗い固形物を含む配合物であっても良好に分散することができる。
【0088】
前記スリット35を通過してバスケット20の外へ流出した配合物65は、この流出作用または、前記かく拌槽内下方で、かつ前記バスケット20の外方に離反して設けた液流動用羽根47により上方へと対流され、再びバスケット20内へ流入する。
【0089】
バスケット20内で分散された固形物の粒子中で、前記隙間板28の板厚によって決定されるスリット35の幅よりも大きい粒子はスリット35を通過できないのでバスケット20内でさらに細かく分散される。したがって隙間板28の板厚を調整することによって配合物の種類に応じ分散状態を調整することができる。
【0090】
以上のようにして分散処理終了後、モータ41を停止し、上昇バルブ57を開いて分散装置本体10のバスケット20をかく拌槽60から上昇させ、次いでかく拌槽60を搬出する。前記メクラ底板39の内面を外方に向かって下方に傾斜するテーパ状に形成した場合には、バスケット20をかく拌槽60内の配合物65から取り出す時に、バスケット20内の配合物65の液切れが良くなるために、配合物65が無駄にならず効果的である。
【0091】
別の種類の配合物65の分散を行う前に、分散装置本体10を完全に洗浄し、次の分散処理も同様に行う。前記メクラ底板39の分散媒体抜き穴31からバスケット20内の分散媒体37を簡単に抜くことができ、分散媒体37を別途に洗浄することかできる。
【0092】
【発明の効果】
以下に、本願装置及び前出特公平8−17930号(従来例)による同一素材のビーズカーボンの処理比較例を挙げる。
【0093】
【表1】
Figure 0004074696
【0094】
本願例が処理能力約3倍、処理効果の粒度、光沢ともに優れていることが判明した。
【0095】
以上説明した本発明の構成により、本発明の分散装置は、顔料粒子等の固形物の分散と溶解を同時に行うことができ、従って作業性が良く、また、ビーズカーボン等の高硬度の固形物を含む配合物の分散作業を短時間で行うことができ、しかも色合いに深みのある黒色塗料を製造することのできる剪断力ないし衝撃摩砕力のきわめて高い分散装置を提供することができた。
【0096】
さらに、バスケットの蓋板及び/又はメクラ側壁に冷却媒体の流路である中空室を形成した本発明の分散装置にあっては、分散媒体の摩擦により生じた熱を好適に冷却することができ、配合物が加熱して配合物中の溶剤等の揮発を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の分散装置を含む機構の全体構成図。
【図2】 本発明の分散装置の要部詳細図。
【図3】 本発明の分散装置のバッケット側壁の部分詳細図。
【図4】 本発明のバスケットの小孔(スリット)部の部分斜視図
【図5】 本発明のバスケットの蓋板の平面図。
【図6】 本発明のバスケットの蓋板の正面断面図。
【図7】 邪魔板の正面図。
【図8】 本発明の実施形態である付加的分散機構を示すもので、
同図(A)は、固定側及び可動側分散ピンの配置状態を示す模式的な平面図、同図(B)は、同図(A)B−B線における最前列の固定側及び可動側分散ピンの配置状態を示す模式的な断面図である。
【符号の説明】
10 分散装置本体
11 回転駆動機構
12 回転軸
13 ロッド
14(141a,141b,142) 分散ピン
15 分散ピン支持体
16 回転計
18 導入羽根
20 バスケット(篭体)
201 予備分散室
201a 1次予備分散室
201b 2次予備分散室
202 仕上分散室
22 蓋板
23 傾斜面
24 側壁
241(241a,241b) 上部側壁
242 下部側壁
25 側壁固定ロッド
27 側壁平板
28 隙間板
29 底壁
31 分散媒体抜き穴
32 分散媒体抜き穴用蓋
34 ナット
35 小孔(スリット)
36 フランジ部
37 分散媒体
38 開口
39 メクラ底板
40 中空室(蓋板の)
41 モータ
42 底面
43 内壁
44 中空室(メクラ側壁の)
46 液流動用軸
47 液流動用羽根
48 モータ
50 昇降装置
51 昇降装置本体
52a〜52d 螺孔
53 昇降シャフト
54 ガイドシャフト
55 ブラケット
56 連通孔
57 上昇バルブ
58 下降バルブ
60 かく拌槽
61 ドレンバルブ
62 車輪
65 配合物
70a〜70d 邪魔板
71 可動盤
72 固定盤
73 可動ピン
74 固定ピン

Claims (7)

  1. 昇降自在な分散装置本体に回転可能な回転軸を設け、この回転軸を分散媒体が収容されたバスケット内に挿入すると共に、該バスケット内に位置する前記回転軸に複数の分散ピンを有し、かく拌槽内に充填された、固形物を含む液状の配合物を分散せしめる分散装置において、
    前記バスケットは、バスケット内に配合物を導入する開口の形成された蓋板とこの蓋板で上端を被蓋された円筒状の上部側壁で区画され、前記蓋板の開口から導入された配合物を予備的に分散する予備分散室と、
    前記上部側壁の下端に連結され、下端を小孔を設けていないメクラ底板で被蓋された円筒状の下部側壁で区画され、前記予備分散室で予備分散された配合物を導入してこれを更に細かく分散する仕上分散室を備え、
    前記予備分散室を区画する上部側壁を小孔を設けないメクラに形成し、一方、前記仕上分散室を区画する下部側壁の少なくとも下方に、前記仕上分散室内の配合物をバスケット外に流出する小孔を円周方向に多数形成すると共に、
    ロッドを介して分散装置本体に前記バスケットを固定すると共に、前記蓋板に形成された開口を介して前記予備分散室の上部から仕上分散室内に至る前記回転軸を挿入し、予備分散室内をかく拌する分散ピン及び仕上分散室内をかく拌する分散ピンをそれぞれ前記回転軸の長さ方向に多段に複数対付設し、
    前記バスケットとかく拌槽の内壁間に駆動手段により回転駆動する液流動用軸を配置し、該液流動用軸に液流動用羽根を付設し、該液流動用羽根を前記かく拌槽内で、かつ前記バスケットと干渉しない位置に設け、更に、前記蓋板上、前記蓋板上方、前記予備分散室の上方、前記予備分散室、又は仕上分散室の内、少なくともいずれかに固定盤を設け、この固定盤に、前記回転軸が回転可能に挿入されると共に配合物を通過させる開口を形成し、この固定盤上にあって、複数の回転軌跡上で各固定ピンを順次に植設した固定側分散ピンと、前記固定盤に平行に対向して回転駆動可能に前記回転軸に設けた可動盤上にあって、前記各固定ピンとは異なる複数の回転軌跡上で、且つ、各固定ピンに対して可及的に接近した位置で、可動ピンを順次に植設した可動側分散ピンとを備え、前記各固定ピンと各可動ピンとの相互間で、前記配合物を分散し得るように構成したことを特徴とする分散装置。
  2. 前記予備分散室は、前記蓋板の直近下方に位置する1次予備分散室と、前記1次予備分散室と連続して形成された2次予備分散室とから成り、前記1次予備分散室及び2次予備分散室内をかく拌する分散ピンを前記回転軸にそれぞれ複数対付設すると共に、前記1次予備分散室及び2次予備分散室のそれぞれを仕上分散室と同等以上の高さに形成したことを特徴とする請求項1記載の分散装置。
  3. 前記仕上分散室の側壁下方に形成された小孔は、側壁平板と、側壁の周囲方向で前記側壁平板よりも短い隙間板とをそれぞれ交互に複数個重ねて、上下に対向する側壁平板と側壁の周囲方向に対向する隙間板とで形成されるスリットから成る小孔であることを特徴とする請求項1記載の分散装置。
  4. 前記液流動用軸及び液流動用羽根を、前記バスケットを中心とした対称位置に複数配置したことを特徴とする請求項1記載の分散装置。
  5. 前記予備分散室を被蓋する蓋板に中空室を形成し、該中空室を前記ロッドに形成した冷却媒体の流路を介して冷却媒体供給源に連通したことを特徴とする請求項1記載の分散装置。
  6. 予備分散室を形成する上部側壁に中空室を形成し、該中空室を前記ロッドに形成した冷却媒体の流路を介して冷却媒体供給源に連通したことを特徴とする請求項1記載の分散装置。
  7. 前記バスケットの蓋板に設けられた開口内で前記かく拌軸に螺旋状の導入羽根を付設した請求項1記載の分散装置。
JP32147197A 1997-07-02 1997-11-21 分散装置 Expired - Lifetime JP4074696B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP32147197A JP4074696B2 (ja) 1997-07-02 1997-11-21 分散装置

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9-177392 1997-07-02
JP17739297 1997-07-02
JP32147197A JP4074696B2 (ja) 1997-07-02 1997-11-21 分散装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH1170327A JPH1170327A (ja) 1999-03-16
JP4074696B2 true JP4074696B2 (ja) 2008-04-09

Family

ID=26497946

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP32147197A Expired - Lifetime JP4074696B2 (ja) 1997-07-02 1997-11-21 分散装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4074696B2 (ja)

Families Citing this family (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100940041B1 (ko) * 2008-04-17 2010-02-04 유니원기연(주) 비드 분산밀의 분할타입 스크린
CN104437179B (zh) * 2014-11-11 2016-09-21 佛山市迅力机械有限公司 一种搅拌机
CN107596958A (zh) * 2017-10-17 2018-01-19 赵锦成 一种新型分散机
CN107890933B (zh) * 2017-12-28 2020-11-06 邱增海 一种可移动的过期西药粉碎回收设备
CN108097120A (zh) * 2018-01-02 2018-06-01 林光波 一种油墨生产设备
CN113680467A (zh) * 2021-09-30 2021-11-23 安徽嘉宝莉科技材料有限公司 篮式研磨机及其研磨机构、研磨方法
CN114243026B (zh) * 2021-11-17 2023-09-05 荣烯新材(北京)科技有限公司 一种石墨烯集流体的制备方法以及设备
CN114074376B (zh) * 2021-11-30 2023-03-24 中铁八局集团第一工程有限公司 一种高延性混凝土搅拌装置及其施工方法
CN115532148A (zh) * 2022-12-01 2022-12-30 潍坊纳澳化妆品有限公司 植物油凝胶糖果用混合配料装置
CN116749372B (zh) * 2023-06-21 2024-04-19 广东谷风三维科技有限公司 一种3d打印物料供给搅拌设备及其使用方法
CN117601300B (zh) * 2023-11-23 2024-05-17 凯斯德智能输电科技有限公司 一种复合绝缘套管生产用原材料混合***及其混合工艺

Also Published As

Publication number Publication date
JPH1170327A (ja) 1999-03-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4820031B2 (ja) 分散装置
JP4074696B2 (ja) 分散装置
JPH05345120A (ja) 媒体バスケット・ミルと成分を液体担体中に分散させる 分散方法
DE2848479A1 (de) Ruehrwerkskugelmuehle
JP4174000B2 (ja) 分散装置
JP4451965B2 (ja) パイプラインビ−ズミル
KR102024498B1 (ko) 혼합, 특히 분산 장치 및 방법
JP2949373B2 (ja) 分散装置および分散方法
JPH0731860A (ja) 分散装置
JPH0686924A (ja) 分散装置
JP4141054B2 (ja) 分散装置
JPH0817930B2 (ja) 分散装置
DE19819967A1 (de) Rührwerksmühle
KR100375296B1 (ko) 분산장치
CN117282294A (zh) 颜料颗粒打散装置和印刷油墨研磨混合设备
JPH1015374A (ja) 分散装置
JP2002525200A (ja) マルチバレルメディアミルおよび破砕方法
KR101126518B1 (ko) 배합물의 분산장치 및 분산방법
CN112892793B (zh) 一种美术颜料研磨装置
JPH11262646A (ja) 分散装置
CN205761479U (zh) 一种用于砂磨机的分散盘
DE1183344B (de) Ruehrwerkmuehle zum Zerkleinern und Dispergieren von Pigmenten
CA1147705A (en) High speed fluid grinding and disperser mill
JP3246973B2 (ja) 攪拌ミルを有する粉砕装置
JPH0910611A (ja) 分散機

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20041118

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20070124

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070206

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070404

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070614

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070720

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20071227

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20080128

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110201

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120201

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120201

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130201

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140201

Year of fee payment: 6

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term