JP4069739B2 - 電子部品実装装置および電子部品実装方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子部品を吸着ノズルによって吸着保持して基板に実装する電子部品実装装置および電子部品実装方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子部品を基板に実装する電子部品実装装置において電子部品を保持する方法として、真空吸着による方法が用いられる。この方法は、下端部に吸着孔が設けられた吸着ノズルを電子部品の上面に当接させた状態で吸着孔から真空吸引することにより発生する負圧を利用して電子部品を保持するものであり、真空吸引をオンオフすることのみによって保持状態を制御できるという利点がある。
【0003】
この反面、吸着ノズルの吸着孔や内部に組み込まれた異物除去用のフィルタなど、真空吸引系を構成する部品の状態によって吸着動作が不安定になりやすいという欠点がある。すなわち、吸着ノズルによって電子部品を確実に吸着保持するためには、吸着ノズルの真空圧が所定圧に到達することが必要であり、また電子部品の吸着解除のためには吸着ノズルの真空を破壊して圧力を大気圧に復帰させることが必要であるが、前述のように真空吸引系に異物の付着や目詰まりが生じている場合には、これらの影響によって真空圧の上昇や真空破壊に要する応答時間が遅延し、所期の動作タクトタイムが保たれない事態が生じる。このため従来より吸着ノズルを用いた電子部品実装装置には、このような異物を排除するためのエアブローなどの機構を備えたものが知られている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開昭61−252643号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記従来例では、吸着ノズルの端部に付着した異物を除去できるのみで、フィルタの目詰まりなどに真空吸引回路内部に存在する異物に対しては有効ではなかった。また吸着ノズルに対してエアを吹き付ける構成であるため、異物除去と同時に異物の飛散が避けられず、飛散した異物が基板の実装面に付着することによる新たな不具合を誘発する場合があった。このように、従来の電子部品実装装置においては、吸着ノズルから真空吸引する真空吸引系の異物の影響によって、安定した実装動作を行うことが困難な場合があった。
【0006】
そこで本発明は、真空吸引系の異物の影響を極力少なくし、安定した実装動作を保つことができる電子部品実装装置および電子部品実装方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の電子部品実装装置は、部品供給部から移載ヘッドの吸着ノズルによって
電子部品を真空吸着によりピックアップして基板に実装する電子部品実装装置であって、前記吸着ノズルから真空吸引する真空吸引手段と、前記真空吸引手段から吸着ノズルに至る真空吸引回路を断接する真空断接手段と、前記真空吸引回路に介設され真空吸引回路を通過する空気の流量を計測する流量センサと、この流量センサの流量計測結果に基づいて前記真空断接手段の断接タイミングを制御するタイミング制御手段とを備え、流量の計測結果から正常な真空吸引状態における流量を示す基準流量値に対する流量偏差を求め、この流量偏差に対応したタイミング補正値に基づいて、真空断接手段の断接タイミングを制御する。
【0008】
請求項2記載の電子部品実装方法は、部品供給部の電子部品を移載ヘッドの吸着ノズルから真空吸引回路を介して真空吸引することにより吸着保持して基板に実装する電子部品実装方法であって、前記吸着ノズルの特定状態である真空吸引時において前記真空吸引回路に介設された流量センサによって真空吸引回路内を通過する空気の流量を計測する流量計測工程と、前記真空吸引回路を断接する真空断接手段を接状態にすることにより吸着ノズルによって電子部品を吸着保持して取り出すピックアップ工程と、前記電子部品を吸着保持した吸着ノズルを前記基板に対して上下動させるとともに、前記真空断接手段を断状態にして吸着保持を解除することにより電子部品を吸着ノズルから離脱させて基板に搭載する搭載工程とを含み、また流量の計測結果から正常な真空吸引状態における流量を示す基準流量値に対する流量偏差を求め、この流量偏差に対応したタイミング補正値に基づいて、真空断接手段の断接タイミングを制御するようにし、且つ前記ピックアップ工程およびまたは搭載工程において、前記流量計測結果に基づいて前記真空断接手段の断接タイミングを制御する。
【0009】
本発明によれば、吸着ノズルの特定状態において流量センサによって真空吸引回路内を通過する空気の流量を計測し、この流量計測結果に基づいて真空吸引回路の断接タイミングを制御することにより、吸着ノズルから真空吸引する真空吸引系の異物の影響を極力少なくし、安定した実装動作を保つことができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施の形態の電子部品実装装置の平面図、図2は本発明の一実施の形態の電子部品実装装置の移載ヘッドの構成を示す図、図3は本発明の一実施の形態の電子部品実装装置の真空吸引・エアブロー系の構成を示すブロック図、図4は本発明の一実施の形態の電子部品実装装置によるピックアップ動作における真空吸引回路内部の真空度の時間的変化を示すグラフ、図5は本発明の一実施の形態の電子部品実装装置による部品搭載動作における真空吸引回路内部の真空度の時間的変化を示すグラフ、図6(a)は本発明の一実施の形態の電子部品実装装置における真空吸引回路内部の真空度と空気の流量との関係を示すグラフ、図6(b)は本発明の一実施の形態の電子部品実装装置における真空吸引回路内部の流量偏差と切換バルブのタイミング補正値との関係を示すグラフ、図7は本発明の一実施の形態の電子部品実装方法におけるバルブ作動タイミング設定処理のフロー図である。
【0011】
まず図1を参照して電子部品実装装置の構造を説明する。図1において基台1の中央にはX方向に搬送路2が配設されている。搬送路2は基板3を搬送し電子部品の実装位置に位置決めする。搬送路2の両側方には、部品供給部4が配置されており、それぞれの部品供給部4には多数のテープフィーダ5が並設されている。テープフィーダ5はテープに保持された電子部品を収納し、このテープをピッチ送りすることにより電子部品を供給する。
【0012】
基台1上面の両端部上にはY軸テーブル6A,6Bが配設されており、Y軸テーブル6A、6B上には2台のX軸テーブル7A,7Bが架設されている。Y軸テーブル6Aを駆動することにより、X軸テーブル7AがY方向に水平移動し、Y軸テーブル6Bを駆動することにより、X軸テーブル7BがY方向に水平移動する。X軸テーブル7A,7Bには、それぞれ移載ヘッド8および移載ヘッド8と一体的に移動するカメラ9が装着されている。
【0013】
Y軸テーブル6A,X軸テーブル7A,Y軸テーブル6B,X軸テーブル7Bをそれぞれ組み合わせて駆動することにより移載ヘッド8は水平移動し、それぞれの部品供給部4から電子部品を吸着ノズル10(図2参照)によってピックアップし、搬送路2に位置決めされた基板3上に実装する。基板3上に移動したカメラ9は、基板3を撮像して認識する。また部品供給部4から搬送路2に至る経路には、ラインカメラ11が配設されている。ラインカメラ11は、それぞれの移載ヘッド8に保持された状態の電子部品を下方から撮像する。
【0014】
次に図2を参照して移載ヘッド8について説明する。図2に示すように、移載ヘッドはマルチタイプであり、部品保持手段としての単位移載ヘッド8aを8個備えた構成となっている。これらの単位移載ヘッド8aはそれぞれ下端部に電子部品を吸着して保持する吸着ノズル10を備え、個別に昇降動作が可能となっている。ここで吸着ノズル10は単位移載ヘッド8aの下部に設けられた装着部8b(図3参照)に着脱自在に装着され、電子部品の種類に応じて交換されるようになっている。
【0015】
ここで図3を参照して、吸着ノズル10から真空吸引する真空吸引・エアブロー系の構成について説明する。図3に示すように、単位移載ヘッド8aにおいて吸着ノズル10が装着される装着部8bには、流量センサ12を介して切換バルブ13が接続されている。切換バルブ13の一方側の切換ポートaは真空ポンプ14に接続され、他方側の切換ポートbはブローバルブ16を介してエア供給源17に接続されている。制御部20によって切換バルブ13を制御することにより、吸着ノズル10を切換ポートa、bのいずれかに選択的に接続させることができる。
【0016】
装着部8bに吸着ノズル10を装着し、真空ポンプ14を駆動した状態で切換バルブ13を切換ポートa側に切り換えることにより、吸着ノズル10の下端部の吸着面に設けられた吸着孔10aより真空吸引する。装着部8bにはフィルタ15が内蔵されており、真空吸引する際に吸着ノズル10から空気とともに吸引された異物は、フィルタ15によって捕集される。
【0017】
上記構成において、吸着ノズル10から真空ポンプ14に至る回路は、真空吸引時に空気が通過する真空吸引回路となっており、真空ポンプ14は吸着ノズル10から真空吸引する真空吸引手段となっている。そして切換バルブ13は、真空吸引回路を断接する断接する真空断接手段となっている。すなわち切換ポートa側に切り換えることにより、真空吸引回路が接状態となって吸着ノズル10から真空吸引し、切換ポートb側に切り換えることにより、真空吸引回路が断状態となって吸着ノズル10からの真空吸引が停止する。
【0018】
そして切換バルブ13を切換ポートb側に切り換えた状態で、ブローバルブ16を開状態にすることにより、吸着ノズル10の下端部の吸着面に設けられた吸着孔10aから正圧空気が吐出される。吸着ノズル10からエア供給源17に至る回路は、エアブロー回路となっており、エア供給源17は吸着ノズル10から正圧空気を吐出させるエアブロー手段となっている。
【0019】
真空吸引時の真空吸引回路の流量およびエアブロー時のエアブロー回路の流量は、流量センサ12によって計測される。流量センサ12は、内部を流れる流体の温度差を検出することにより、真空吸引・エアブローによって単位時間当たりに真空吸引・エアブロー回路内を通過する空気の量を計測する。この流量計測は、吸着ノズル10から真空吸引する方向の空気の流量および吸着ノズル10から空気を吐出する方向の空気の流量のいずれについても計測可能となっている。流量計測結果はバルブ作動タイミング設定部18に送られる。
【0020】
バルブ作動タイミング設定部18は、流量センサ12の流量計測結果に基づき、記憶部19に記憶されているバルブ作動タイミング補正データを用いて、切換バルブ13の作動タイミング、すなわち真空断接手段の断接タイミングを設定する。作動タイミングの設定結果は制御部20へ送られ、制御部20は設定結果に基づいて切換バルブ13を制御する。したがって、バルブ作動タイミング設定部18と制御部20は、流量センサ12の流量計測結果に基づいて真空断接手段の断接タイミングを制御するタイミング制御手段となっている。
【0021】
ここでバルブ作動タイミングおよびバルブ作動タイミング設定データについて、図4、図5および図6を参照して説明する。図4(a)(b)は、電子部品を吸着ノズル10によってピックアップするピックアップ動作において、真空ポンプ14を駆動した状態で、切換バルブ13を切換ポートb側(真空吸引OFF)から切換ポートa側(真空吸引ON)に切り換えた場合の吸着ノズル10内の真空圧Pの時間的変化を示している。
【0022】
また図5(a)(b)は、吸着ノズル10に保持された電子部品を基板3に搭載する搭載動作において、真空ポンプ14を駆動した状態で、切換バルブ13を切換ポートa側(真空吸引ON)から切換ポートb側(真空吸引OFF)に切り換えた場合の吸着ノズル10内の真空圧Pの時間的変化を示している。いずれの場合も、真空圧Pは大気圧との差圧を示しており、絶対圧が低下して差圧が大きくなる方向を真空圧Pの正方向としている。
【0023】
まず、ピックアップ動作におけるバルブ作動タイミングについて説明する。電子部品実装動作において、移載ヘッド8によって電子部品をピックアップする際には、前述のように切換バルブ13を切換ポートa側(真空吸引ON)に切り換えて吸着ノズル10から真空吸引する。この部品吸着動作において、吸着ノズル10によって電子部品を確実に吸着保持するためには、吸着ノズル10内部の真空圧が、大気圧との差圧によって電子部品を保持するのに十分な所定圧に到達することが必要とされる。
【0024】
このとき、切換バルブ13を真空吸引側に切り換えたタイミングから吸着ノズル10内の真空圧が所定圧に到達するまでにはタイムラグが存在する。すなわち、図4(a)に示すように、切換バルブ13を真空吸引ONへ切り換えたタイミングtaからタイムラグt1だけ遅れたタイミングtbにおいて、吸着ノズル10内の真空圧Pは、所定圧(電子部品の吸着保持のための基準真空圧Ps1)に到達する(実線で示す圧力カーブp1参照)。そしてこの基準真空圧Ps1の到達を確認した後、吸着ノズル10が上昇して電子部品がピックアップされる。
【0025】
ところが吸着ノズル10からの真空吸引を反復しておこなう過程において、フィルタ15の目詰まりや吸着ノズル10内部の異物付着が進行すると、真空吸引系の応答状態が劣化して基準真空圧Ps1に到達するタイミングが遅延する傾向にあり(破線で示す圧力カーブp2参照)、本来ピックアップが行われるべきタイミングtbにおいては、基準真空圧Ps1を差分ΔP1だけ下回った真空圧状態にある。
【0026】
そしてこの場合には、基準真空圧Ps1の到達が確認されるまでにはさらに追加のタイムラグΔt1を必要とし、タイミングtbからさらにタイムラグΔt1が経過したタイミングにおいて吸着ノズル10による電子部品のピックアップが行われる。すなわち真空吸引系の応答状態の劣化は、前述のタイムラグΔt1分だけピックアップ動作の遅れを招くこととなる。ここで、実際に使用される条件範囲内においては、差分ΔP1とタイムラグΔt1とは略比例関係にある。
【0027】
このようなピックアップ動作の遅れを防止するため、本実施の形態の電子部品実装方法においては、以下に示すバルブ作動タイミング補正データを用いて切換バルブ13のバルブ作動タイミングの設定を変更することにより、ピックアップ動作の遅れに起因するタクトタイムの増大を防止するようにしている。
【0028】
図6(a)は、真空吸引回路内の空気の流量Q(横軸)と、吸着ノズル10内の真空圧P(縦軸)との関係を示している。吸着ノズル10から真空吸引した状態における空気の流量Qは、図6(a)に示すように、実際の真空吸着に用いられる条件範囲内においては、真空圧Pと略線形な対応関係にある。すなわち、流量Qが、正常な真空吸引状態における流量を示す基準流量値Q1から流量偏差ΔQ1だけ低下すると、真空圧Pはこの流量偏差ΔQ1に比例した差分ΔP1だけ低下する。
【0029】
この関係を換言すれば、吸着ノズル10内の真空圧Pの変化の状態を検出したい場合には、流量Qの変化を計測すればよいことになる。本実施の形態に示すバルブ作動タイミング補正データでは、この関係を利用して、流量Qの計測結果から流量Qの基準流量値Q1に対する流量偏差ΔQ1を求め、次いでこの流量偏差ΔQ1に対応する吸着ノズル10内の真空圧Pの差分ΔP1を求め、さらにこの差分ΔP1に相当するタイムラグΔt1(すなわち流量偏差ΔQ1に対応するタイミング補正値Δt1)を求めるようにしている。
【0030】
図6(b)のグラフは、これらの流量偏差ΔQ、真空圧Pの差分ΔPおよびタイミング補正値Δt1の相互の関係において、流量偏差ΔQとタイミング補正値Δt1との比例関係を真空圧Pを省略して示したものである。このようなバルブ作動タイミング補正データを準備することにより、電子部品実装装置の稼働中の適宜インターバルにおいて流量センサ12によって真空吸引回路内の流量Qを計測して基準流量値Q1との差を演算して流量偏差ΔQ1を求め、この流量偏差ΔQ1に対応したタイミング補正値Δt1が求められる。
【0031】
そして求められたタイミング補正値Δt1だけ切り換えバルブ13の作動タイミングを前倒しする。これにより、図4(b)に示すように圧力カーブp2はΔt1だけ左側へ移動し、本来のピックアップのタイミングtbにおいて真空圧Pは基準真空圧Ps1に到達する。したがって、真空吸引回路の応答状態がフィルタ15の目詰まりなどの要因によって変化した場合にあっても、時間遅れを生じることなく電子部品をピックアップすることができる。なお図6(b)においては、流量偏差にタイミング補正値を対応させるための関連を直線状の相関線で示しているが、これ以外にもステップ状の相関線など、実用上適した相関線を選択して用いてもよい。
【0032】
上述のバルブ作動タイミング補正は、部品搭載動作に対しても同様に適用される。すなわち図5に示すように、この部品搭載動作においては、前述のように切換バルブ13を切換ポートb側(真空吸引OFF)に切り換えて吸着ノズル10の吸着状態を解除する。この部品搭載動作において、吸着ノズル10から電子部品を確実に離脱させるためには、吸着ノズル10内部の真空を破壊して基準真空圧値Ps2(ほぼ大気圧に等しい圧力に設定される)にすることが必要とされる。
【0033】
このとき、切換バルブ13を切換ポートb側(真空吸引OFF)に切り換えたタイミングから、吸着ノズル10内の真空圧が大気圧に復帰するまでには真空吸引時と同様にタイムラグが存在する。すなわち、図5(a)に示すように、切り換えバルブ13を切換ポートa(真空吸引ON)へ切り換えたタイミングtcからタイムラグt2だけ遅れたタイミングtdにおいて、吸着ノズル10内の真空圧Pは、基準真空圧値Ps2に到達する(実線で示す圧力カーブp3参照)。そしてこの基準真空圧Ps2の到達を確認した後、電子部品を離脱させた吸着ノズル10が上昇して部品搭載動作が完了する。
【0034】
ところが吸着ノズル10からの真空吸引を反復しておこなう過程において、フィルタ15の目詰まりや吸着ノズル10内部の異物付着が進行すると、真空吸引系の応答状態が劣化して基準真空圧Ps2に到達するタイミングが遅延する傾向にあり(破線で示す圧力カーブp4参照)、本来部品離脱が行われるべきタイミングtdにおいては、基準真空圧Ps2を差分ΔP2だけ上回った真空圧状態にある。
【0035】
そしてこの場合には、基準真空圧Ps2の到達が確認されるまでにはさらに追加のタイムラグΔt2を必要とし、タイミングtdからさらにタイムラグΔt2が経過したタイミングにおいて電子部品を離脱させた吸着ノズル10を上昇させる動作が行われる。すなわち真空吸引系の応答状態の劣化は、ピックアップ動作時とほぼ同様に、タイムラグΔt2分だけ部品搭載動作の遅れを招くこととなる。ここで、実際に使用される条件範囲内においては、ピックアップ動作の場合と同様に、差分ΔP2とタイムラグΔt2とは略比例関係にある。
【0036】
このような部品搭載動作の遅れを防止するため、本実施の形態の電子部品実装方法においては、ピックアップ動作におけるバルブ作動タイミング補正データと同様のバルブ作動タイミング補正データを用いて、部品搭載動作時の切換バルブ13のバルブ作動タイミングの設定を変更することにより、部品搭載動作の遅れに起因するタクトタイムの増大を防止するようにしている。
【0037】
すなわち、図6(b)に示すように、流量偏差ΔQ2とタイミング補正値Δt2との関係を示すバルブ作動タイミング補正データを準備する。そして電子部品実装装置の稼働中の適宜インターバルにおいて流量センサ12によって真空吸引回路内の流量を計測して基準流量値Q2との差を演算して流量偏差ΔQ2を求め、この流量偏差ΔQ2に対応したタイミング補正値Δt2が求められる。
【0038】
そして求められたタイミング補正値Δt2だけ切り換えバルブ13の作動タイミングを前倒しする。これにより、図5(b)に示すように圧力カーブp4はΔt2だけ左側へ移動し、本来の電子部品の離脱のタイミングtdにおいて真空圧Pは基準真空圧Ps2に到達する。したがって、真空吸引回路の応答状態がフィルタ15の目詰まりなどの要因によって変化した場合にあっても、時間遅れを生じることなく電子部品を搭載することができる。
【0039】
次に図7を参照して、上述のバルブ作動タイミング設定処理について説明する。この処理は、部品供給部4の電子部品を移載ヘッド8の吸着ノズル10から真空吸引回路を介して真空吸引することにより吸着保持して基板3に実装する電子部品実装方法において、所定インターバル毎(例えば基板の入れ替え毎)に、バルブ作動タイミング設定部18によって実行される。
【0040】
まずバルブ作動タイミング補正データを記憶部19より読み込む(ST1)。ここでは、基準状態におけるバルブ作動タイミング、すなわち図4,図5に示すタイミングta、tcに相当するタイミングや、図6に示す基準流量値Q1,Q2など、以下に説明するバルブ作動タイミング設定に必要なデータを読み込む。ここで、タイミングta、tcは実装シーケンスより与えられる。基準流量値Q1は、フィルタ15の目詰まりや吸着ノズル10が閉塞されていない正常な基準状態において、切換バルブ13を真空吸引OFFから真空吸引ONに切り換えたときの流量値であり、基準流量値Q2は、逆に切換バルブ13を真空吸引ONから真空吸引OFFに切り換えたときの流量値である。これらのデータは予め計測され記憶部19に記憶される。
【0041】
次に真空吸引回路の流量を流量センサ12によって計測する(ST2)(流量計測工程)。この流量計測においては、吸着ノズル10に電子部品が保持されていない状態(流量計測用の特定状態)で、まず切換バルブ13を真空吸引OFFから真空吸引ONに切り換えたときの流量を計測し、次いで切換バルブ13を真空吸引ONから真空吸引OFFに切り換えたときの流量を計測する。
【0042】
そしてこれらの流量計測結果から、流量計測値と基準流量値Q1,Q2の差をそれぞれ示す流量偏差ΔQ1、ΔQ2を求める(ST3)。次いで、流量偏差ΔQ1,ΔQ2に対応したタイミング補正値Δt1、Δt2を、バルブ作動タイミング補正データ(図6(b)参照)から求める(ST4)。そしてタイミング補正値Δt1、Δt2を加味したバルブ作動タイミングを、新たなバルブ作動タイミングとして設定し(ST5)、設定結果を制御部20に対して出力する。
【0043】
このようにして新たなバルブ作動タイミングが設定されたならば、実装動作が開始される。すなわち、切換バルブ13を切換ポートa側に切り換えて、吸着ノズル10によって電子部品を吸着保持して取り出す(ピックアップ工程)。このときのバルブ作動タイミングは、図4(b)に示すように、タイミングtaをΔt1だけ前倒ししたタイミングである。この後、電子部品を保持した移載ヘッド8はラインカメラ11の上方を移動してここでの認識を行った後、基板3上に移動する。
【0044】
そしてここで電子部品を吸着保持した吸着ノズル10を基板3に対して上下動させるとともに、切換バルブ13を切換ポートb側に切り換えて、吸着ノズル10による電子部品の吸着保持を解除することにより、電子部品を吸着ノズル10から離脱させて基板3に搭載する(搭載工程)。このときのバルブ作動タイミングは、図5(b)に示すように、タイミングtcをΔt2だけ前倒ししたタイミングである。
【0045】
すなわち、上述の電子部品実装方法のピックアップ工程および搭載工程においては、バルブ作動タイミング設定処理の流量計測工程における流量計測結果に基づいて、当初のタイミングta,tcにそれぞれタイミング補正値Δt1、Δt2を加味したバルブ作動タイミングを用いて、制御部20によって切換バルブ13の作動タイミングを制御する。
【0046】
このように、本実施の形態に示す電子部品実装装置では、真空吸引系の異物の影響によるタクトタイムの遅延や実装動作の不安定に対する対策として、従来より用いられていたエアブローによる異物排除を用いていない。これにより、従来方法における不都合、すなわち、吸着ノズルの端部に付着した異物を除去できるのみで、フィルタの目詰まりなどに真空吸引系内部に存在する異物に対しては有効ではないという不都合、さらには吸着ノズルに対してエアを吹き付ける構成であるため、異物除去と同時に異物の飛散が避けられず、飛散した異物が基板の実装面に付着することによる新たな不具合を誘発するという不具合がない。
【0047】
従って、稼働時間の経過と伴って不可避的に生じる真空吸引系の異物の影響を極力少なくすることができ、メンテナンス作業のインターバルを延長して作業負荷を軽減できるとともに、異物付着が進行中においても付着状態に応じてバルブ作動タイミングが更新されることから、常に安定した実装動作を保つことができる。
【0048】
なお、上述の実施の形態においては、切換バルブ13の作動タイミングのみをタイミング補正の対象としているが、搭載工程における部品離脱時において吸着ノズル10内に正圧を付与するエアブローバルブ16の作動タイミングを併せてタイミング補正の対象としてもよい。この場合には、基準流量値Q2の計測およびタイミング補正時の流量計測を正圧付与の状態で行う。
【0049】
【発明の効果】
本発明によれば、吸着ノズルの特定状態において流量センサによって真空吸引回路内を通過する空気の流量を計測し、この流量計測結果に基づいて真空吸引回路の断接タイミングを制御することにより、吸着ノズルから真空吸引する真空吸引系の異物の影響を極力少なくし、安定した実装動作を保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態の電子部品実装装置の平面図
【図2】本発明の一実施の形態の電子部品実装装置の移載ヘッドの構成を示す図
【図3】本発明の一実施の形態の電子部品実装装置の真空吸引・エアブロー系の構成を示すブロック図
【図4】本発明の一実施の形態の電子部品実装装置によるピックアップ動作における真空吸引回路内部の真空度の時間的変化を示すグラフ
【図5】本発明の一実施の形態の電子部品実装装置による部品搭載動作における真空吸引回路内部の真空度の時間的変化を示すグラフ
【図6】(a)本発明の一実施の形態の電子部品実装装置における真空吸引回路内部の真空度と空気の流量との関係を示すグラフ
(b)本発明の一実施の形態の電子部品実装装置における真空吸引回路内部の流量偏差と切換バルブのタイミング補正値との関係を示すグラフ
【図7】本発明の一実施の形態の電子部品実装方法におけるバルブ作動タイミング設定処理のフロー図
【符号の説明】
1 基台
3 基板
4 部品供給部
8 移載ヘッド
8a 単位移載ヘッド
8b 装着部
10 吸着ノズル
12 流量センサ
13 切換バルブ
14 真空ポンプ
15 フィルタ
16 ブローバルブ
18 バルブ作動タイミング設定部
19 記憶部
20 制御部
Claims (2)
- 部品供給部から移載ヘッドの吸着ノズルによって電子部品を真空吸着によりピックアップして基板に実装する電子部品実装装置であって、前記吸着ノズルから真空吸引する真空吸引手段と、前記真空吸引手段から吸着ノズルに至る真空吸引回路を断接する真空断接手段と、前記真空吸引回路に介設され真空吸引回路を通過する空気の流量を計測する流量センサと、この流量センサの流量計測結果に基づいて前記真空断接手段の断接タイミングを制御するタイミング制御手段とを備え、
流量の計測結果から正常な真空吸引状態における流量を示す基準流量値に対する流量偏差を求め、この流量偏差に対応したタイミング補正値に基づいて、真空断接手段の断接タイミングを制御することを特徴とする電子部品実装装置。 - 部品供給部の電子部品を移載ヘッドの吸着ノズルから真空吸引回路を介して真空吸引することにより吸着保持して基板に実装する電子部品実装方法であって、前記吸着ノズルの特定状態である真空吸引時において前記真空吸引回路に介設された流量センサによって真空吸引回路内を通過する空気の流量を計測する流量計測工程と、前記真空吸引回路を断接する真空断接手段を接状態にすることにより吸着ノズルによって電子部品を吸着保持して取り出すピックアップ工程と、前記電子部品を吸着保持した吸着ノズルを前記基板に対して上下動させるとともに、前記真空断接手段を断状態にして吸着保持を解除することにより電子部品を吸着ノズルから離脱させて基板に搭載する搭載工程とを含み、
また流量の計測結果から正常な真空吸引状態における流量を示す基準流量値に対する流量偏差を求め、この流量偏差に対応したタイミング補正値に基づいて、真空断接手段の断接タイミングを制御するようにし、且つ前記ピックアップ工程およびまたは搭載工程において、前記流量計測結果に基づいて前記真空断接手段の断接タイミングを制御することを特徴とする電子部品実装方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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