JP4067597B2 - 自動車のオートマチックトランスミッションのためのシフト装置 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車のオートマチックトランスミッションのためのシフト装置であって、第１のオートマチックシフト路と、マニュアルの段階的なシフト運転（ステップバイステップ式のシフト路）のための第２のシフト路とが設けられており、シフト路の内部で該シフト路よりも低い位置にあるセレクト軸を中心にして、旋回可能に支承されたシフトレバーが設けられていて、セレクト軸が、シフト装置を受容している車体固定されたケーシング内に支承されており、さらに、セレクト軸に対して直交していてかつ該セレクト軸と同平面内に位置しているシフト軸と、ケーシング内で該シフト軸よりも上位の支承箇所とが設けられている形式のものに関する。
【０００２】
【従来の技術】
オートマチックトランスミッションのためのシフト装置には、使いやすさに関して常により高い要求が課される。この理由から、従来のオートマチックシフト機能の他に、これを補強したマニュアルのシフト機能をも付加的に設けるようになった。このためにシフト装置には独立した第２のシフト路が必要である。このシフト路の選択は運転者に、簡単な方法でトランスミッションを段階的に切り換えるということを可能にする。従来のオートマチックシフト運転からステップバイステップ式のシフト路に移動するためには、シフトレバーをセレクト軸を介して旋回可能に支承することが必要である。さらに不可欠なのは、シフトレバーをステップバイステップ式のシフト路内で固定させることである。
【０００３】
自動車のオートマチックトランスミッションのためのセレクト装置は、ドイツ連邦共和国特許公開第４４２６２０７号明細書によって公知であり、このセレクト装置においてはシフトレバーを２つの種々異なるシフト路の間で左右に旋回させることが可能である。この場合第１のシフト路はオートマチック運転を可能にし、第２のシフト路はマニュアルのステップバイステップ式のシフトを可能にする。このシフトが出来るだけコンパクトに構成され得るために、シフトレバーのセレクト軸とシフト軸とが同じ平面内に設けられた。さらに両軸は互いに直交している。シフトレバーはオートマチック運転からマニュアル運転への切り換えのためにステップバイステップ式のシフト路に旋回させられる。この際、このシフトレバーは、マニュアルのシフト操作の信号を受信して転送する、相補形状を有するガイドエレメントに係合する。このようなシフト装置は、極めて多数の構成部品のために構造的にも製造技術的にも複雑であり、ひいてはコストが高くつく。
【０００４】
さらに、ドイツ連邦共和国特許公開第１９５２６０５９号明細書に記載されている自動車のオートマチック式のトランスミッションのためのシフト装置では、シフトレバーがシフト路の内部で、該シフト路よりも低い位置にあるセレクト軸を中心にして旋回可能であり、かつシフト位置Ｐ，Ｒ，ＮおよびＤにおいて、シフト路の長手方向に対して横方向に作用するばね力によって、シフト位置に配属されていて互いに横方向にずらされて位置している係止部に対して、保持されている。シフトレバーのセレクト軸が自在継ぎ手のように中間部分で支承されており、この場合、この中間部分は車体固定されたケーシングにセレクト軸を中心にして旋回可能に支承されており、シフトレバーはオートマチック式のシフトに配属された、選択されたシフト位置（Ｄ）においてセレクト軸より上位の旋回支承部を中心にしてセレクト運動の方向に、トランスミッションのギヤのステップバイステップ式のシフトのためのシフトコンタクトの橋渡しのために、手動で中間部分に対して相対的に旋回可能である。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、簡単かつ安価に製造可能で、第１のオートマチックシフト路の他に、マニュアルの段階的なシフト運転のための第２のステップバイステップ式のシフト路を有しており、しかもシフトレバーが、ステップバイステップ式のシフト路においてケーシング内で独立した支承箇所に支持されるような、自動車のオートマチックトランスミッションのためのシフト装置を提供することである。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
この課題を解決するために本発明の手段では、シフトレバーに貫通係合しているピンの端部が、ステップバイステップ式のシフト路において、ケーシング内でシフト軸の上位もしくは下位に位置する支承箇所に係合しており、シフトレバーと共にセレクト軸を中心にして支承されかつケーシング内のセレクト軸において両側をばねによって支持されたシフトレバー支持体が、前記シフトレバーをシフト軸を中心にして旋回可能に受容しており、かつオートマチックシフト路への旋回時に、相補形状を有するケーシング切欠きに係合可能なロックピンを有している。
【０００７】
【発明の効果】
本発明による、自動車のオートマチックトランスミッションのためのシフト装置はシフトレバーを有しており、このシフトレバーの上方の運転者側にはシフトノブが設けられている。
【０００８】
シフトレバーは、車体固定されたケーシング内でセレクト軸を中心にして旋回可能に支承されており、これによってオートマチックシフト路とステップバイステップ式のシフト路との間の切り換えが可能である。さらにこのシフトレバーはシフトレバー支持体と共に、シフト軸を中心にして旋回可能である。このシフトレバー支持体は本発明によれば、相補形状を有するケーシング切欠きに係合可能なロックピンを有している。
【０００９】
シフトレバーがオートマチックシフト路内にある場合、このロックピンはケーシング切欠きと係合している。シフトレバーは、自体公知の形式でシフト軸を中心にして旋回するので、運転者が個々のレンジを選択することができる。ほぼ中空に形成されたシフトレバーの内部には、シフト形式に応じて引張りロッドが軸方向で可動に案内され得る。このような引張りロッドを使用したい場合は、該引張りロッドがばね支承されて、個々のオートマチックレンジに対応する、シフトレバー支持体またはケーシングに一体に形成された輪郭の内部で滑動させるのが有利である。
【００１０】
ステップバイステップ式のシフト路においては、運転者が、シフトレバーのノック運動により一方向またはその逆方向でトランスミッションを任意で手動で切り換えることができる。この際シフト信号の受信および伝達は、種々異なる方法で行われる。しかしこのことが本発明の目的ではない。
【００１１】
オートマチックシフト路からステップバイステップ式のシフト路への切り換えを行うために、シフトレバーは、車体固定されたケーシング内で支承されたセレクト軸を中心にして横方向に旋回する。この場合、シフトレバー支持体のロックピンとケーシング切欠きとの間の結合は係合外にもたらされる。シフトレバーはステップバイステップ式のシフト路の内部でボールピンによって形成される軸線を中心にして旋回する。この場合、シフトレバーはボールピンを介してケーシング内で支持されている。このボールピンは、それ自身がシフト装置と自動車のトランスミッションとの間の結合部材である伝達エレメントに結合するために働くと共に、シフトレバーをケーシング内で支承かつ支持するために働く。ケーシングにおけるシフトレバーの支承および支持のために、ボールピンのピン端部はシフトレバーを貫通し、ケーシングの相補形状を有する支承箇所に係合している。この支承箇所は有利な形式では、弾性に乏しいプラスチックでライニングされていても良い。
【００１２】
本発明によれば、第１の係止手段が設けられており、この係止手段はシフトレバーの移動の際、ばね弾性的に該シフトレバーに作用するので、“上死点”を越えた後、シフトレバーは係止手段によって、２つのシフト路のいずれか１つにおける所定のポジションで固定される。シフトレバーはこれによって、所定のポジションにばね弾性的に保持されている。ステップバイステップ式のシフト路においては、トランスミッションのシフト動作は運転者によって手動で実施され得る。本発明によれば、シフトレバーはこのために小さな角度だけしか旋回しない。ステップバイステップ式のシフトはつまり、シフトレバーを適当な方向で短時間押圧することによって行われる。ステップバイステップ式のシフト路におけるシフト動作のシミュレーションのために、ケーシングには第２の係止手段が設けられている。この係止手段は、シフトレバーの運動方向とは逆方向のばね力を発生させる。この第２の係止手段はいわば、１つの押圧作用点だけを生ぜしめ、付加的にシフトレバーをシフトレバー支持体と共に、ステップバイステップ式のシフト路の内部における出発位置に押し戻す。しかしこの第２の係止手段は、第１の係止手段のような本当の係止部ではない。両係止手段は同じ構造であり得る。
【００１３】
このようなシフト装置は構造が非常に単純であり、これにより安価に生産可能である。単純かつ少ない構成部品によって、公知の構成に対して著しい重量節減を生ぜしめ、より迅速に組み立てることが可能である。
【００１４】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を図面につき詳しく説明する。
【００１５】
図１には本発明による、自動車のオートマチックトランスミッションのためのシフト装置が示されている。このシフト装置はシフトレバー１を有しており、このシフトレバーの上方の運転者側にはシフトノブが設けられている。このシフトノブは、その内部においてシフトレバー１を案内するシフト路と同様、図１を単純化するために図示されていない。
【００１６】
シフトレバー１は、車体固定されたケーシング９内でセレクト軸２を中心にして旋回可能に支承されている。ステップバイステップ式のシフト路内においてこのシフトレバー１は、付加的にシフトレバー支持体３と共に、少なくとも１つのコイルばね１４の作用に抗してセレクト軸の軸方向に僅かにシフト可能である。しかもこのシフトレバー１は、シフト軸４を中心にして旋回可能である。本発明によればシフトレバー支持体３は、相補形状を有するケーシング切欠６に係合可能なロックピン５を有している。
【００１７】
このロックピン５は、シフトレバー１がオートマチックシフト路内にある場合には、ケーシング切欠き６に係合している。シフトレバー１は、自体公知の形式でシフト軸４を中心に旋回するので、運転者が個々のレンジを選択することができる。中空に形成されたシフトレバー１の内部には、引張りロッド１２が軸方向で可動に案内されている。この引張りロッド１２はばね支承されて、個々のオートマチックレンジに対応する、ケーシング９に一体に形成された輪郭の内部で、滑動するように案内されている。
【００１８】
シフトレバー支持体３は所定の半径を有しており、この半径が描く円弧の部分円周面に沿って引張りロッド１２が所定の範囲で滑動する。
【００１９】
オートマチックシフト路からステップバイステップ式のシフト路への切り換えを行うために、シフトレバー１は、車体固定されたケーシング９で支承されたセレクト軸２を中心にして、横方向に旋回する。この際、シフトレバー支持体３のロックピン５とケーシング切欠き６との間の結合は係合外にもたらされる。シフトレバー１はステップバイステップ式のシフト路の内部でボールピン７によって形成される軸線を中心にして旋回する。この場合、シフトレバー１はボールピン７を介してケーシング内で支持されている。このボールピン７は、それ自身がシフト装置と自動車のトランスミッションとの間の結合部材でありかつ図示の実施例ではボーデンケーブルである伝達エレメント１０に結合するために働くと共に、シフトレバー１をケーシング内で支承かつ支持するために働く。伝達エレメント１０へのボールピン７の結合は、この伝達エレメント１０に固定された、有利にはプラスチックから成っていてボールピン７のボール７．２を受容している支承シェルを介して行われる。ケーシング９内でシフトレバー１を支承かつ支持するために、ボールピン７のピン端部７．１はシフトレバー１を貫通し、ケーシング９の相補形状を有する支承箇所８に係合している。この支承箇所８は弾性に乏しいプラスチックでライニングされている。
【００２０】
図２から判るように、本発明によれば第１の係止手段１１．１が設けられている。この係止手段１１．１は、シフトレバー１の旋回の際に該シフトレバー１にばね弾性的に作用するので、“上死点”を越えた後、シフトレバー１は係止手段１１．１によって、２つのシフト路のいずれか１つにおける所定のポジションで固定される。シフトレバーはこれによって、所定のポジションにばね弾性的に保持されている。ステップバイステップ式のシフト路においては、トランスミッションのシフト動作は運転者によって手動で実施され得る。
【００２１】
本発明によれば、シフトレバー１はこのために小さな角度だけしか旋回しない。ステップバイステップ式のシフトはつまり、シフトレバー１を適当な方向で短時間押圧することによって行われる。ステップバイステップ式のシフト路におけるシフト動作のシミュレーションのために、ケーシング９には第２の係止手段１１．２が設けられている。この第２の係止手段１１．２は、シフトレバー１の運動方向とは逆方向のばね力を発生させる。この第２の係止手段１１．２は、いわば１つの押圧作用点だけを生ぜしめ、付加的にシフトレバー１をシフトレバー支持体と共に、ステップバイステップ式のシフト路内における出発位置に押し戻す。しかしこの第２の係止手段１１．２は、第１の係止手段１１．１の場合のような本当の係止部ではない。両係止手段１１．１，１１．２は同じ構造である。
【００２２】
セレクト軸２は、図２に示された本発明によるシフト装置の構成によれば、ケーシング９に支承された単純なピン１３によって構成されている。シフトレバー支持体３は、ピン１３とコイルばね１４とを介してケーシング９内に支持されており、これによって同時にシフトレバー１を位置決めする。引張りロッド１２はケーシング９の輪郭内、ならびにシフトレバー支持体３に沿った所定の範囲で滑動する。
【００２３】
図３に示された本発明によるシフト装置においては、伝達エレメントの結合がシフトレバー１の下側領域で行われている。このような構成の方が、図１および図２に示された構成よりも幾分スリムだが、高さにおいてはより多くの構成空間を必要とする。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明による、上部領域にボーデンケーブル結合部を有するシフト装置の断面図である。
【図２】本発明による、上部領域にボーデンケーブル結合部を有するシフト装置を、図１の矢印Ａの方向でみた断面図である。
【図３】本発明による、下部領域にボーデンケーブル結合部を有するシフト装置の断面図である。
【符号の説明】
１ シフトレバー、 ２ セレクト軸、 ３ シフトレバー支持体、 ４ シフト軸、 ５ ロックピン、 ６ ケーシング切欠き、 ７ ボールピン、 ７．１ ピン端部、 ７．２ ボール、 ８ 支承箇所、 ９ ケーシング、 １０ 伝達エレメント、 １１．１，１１．２ 係止手段、 １２ 引張りロッド、 １３ ピン、 １４ コイルばね

Claims (5)

1. 自動車のオートマチックトランスミッションのためのシフト装置であって、第１のオートマチックシフト路と、マニュアルの段階的なシフト運転（ステップバイステップ式のシフト路）のための第２のシフト路とが設けられており、シフト路の内部で該シフト路よりも低い位置にあるセレクト軸を中心にして、旋回可能に支承されたシフトレバーが設けられていて、セレクト軸が、シフト装置を受容している車体固定されたケーシング内に支承されており、さらに、セレクト軸に対して直交していてかつ該セレクト軸と同平面内に位置しているシフト軸が設けられている形式のものにおいて、
   シフトレバーに貫通係合しているピンの端部が、ステップバイステップ式のシフト路において、ケーシング内でシフト軸の上位に位置する支承箇所に係合しており、シフトレバー（１）と共にセレクト軸（２）を中心にして支承されかつケーシング内のセレクト軸において両側をばねによって支持されたシフトレバー支持体（３）が、前記シフトレバーをシフト軸（４）を中心にして旋回可能に受容しており、かつオートマチックシフト路への旋回時に、相補形状を有するケーシング切欠き（６）に係合可能なロックピン（５）を有していることを特徴とする、自動車のオートマチックトランスミッションのためのシフト装置。
2. 自動車のオートマチックトランスミッションのためのシフト装置であって、第１のオートマチックシフト路と、マニュアルの段階的なシフト運転（ステップバイステップ式のシフト路）のための第２のシフト路が設けられており、シフト路の内部で該シフト路よりも低い位置にあるセレクト軸を中心にして旋回可能に支承されたシフトレバーが設けられていて、セレクト軸が、シフト装置を受容している車体固定されたケーシング内に支承されており、さらにセレクト軸に対して直交していてかつ該セレクト軸と同平面内に位置しているシフト軸が設けられている形式のものにおいて、
   シフトレバーに貫通係合しているピンの端部が、ステップバイステップ式のシフト路において、ケーシング内でシフト軸の下位に位置する支承箇所に係合しており、シフトレバー（１）と共にセレクト軸（２）を中心にして支承されかつケーシング内のセレクト軸において両側をばねによって支持されたシフトレバー支 持体（３）が、前記シフトレバーをシフト軸（４）を中心にして旋回可能に受容しており、かつオートマチックシフト路へ旋回する場合、相補形状を有するケーシング切欠き（６）に係合可能なロックピン（５）を有していることを特徴とする、自動車のオートマチックトランスミッションのためのシフト装置。
3. シフト軸（４）の上方又は下方でシフトレバー（１）に貫通係合するピン端部（７．１）を備えたボールピン（７）が設けられていて、該ボールピン（７）が、ステップバイステップ式のシフト路において、ケーシング（９）に設けられた支承箇所（８）に係合しており、この場合ボールピン（７）のボール（７．２）に、伝達エレメント（１０）が取り付けられている、請求項１又は２記載のシフト装置。
4. ケーシング（９）の支承箇所（８）が、弾性に乏しいプラスチックでライニングされている、請求項３記載のシフト装置。
5. シフトレバー（１）をそれぞれのシフト路で固定するための係止手段（１１．１）が設けられており、さらにステップバイステップ式のシフト路における段階的なシフト動作のために１つの押圧作用点を生ぜしめるための係止手段（１１．２）が設けられている、請求項１から４までのいずれか１項記載のシフト装置。

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