JP4064158B2 - 粘・接着剤組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、粘・接着剤組成物に関する。より詳細には、本発明は、反応性ホットメルト型粘・接着剤として好適に使用できる粘・接着剤組成物に関する。本発明の粘・接着剤組成物は、接着性、耐クリープ性などの諸特性に優れており、それらの特性を活かして、包装、製本、合板の製造、木工、製靴、繊維製品の接着、各種粘着テープ、ラベルなどの種々の粘着製品などの製造など広範な用途に有効に使用することができる。
【0002】
【従来の技術】
ホットメルト粘・接着剤のベースポリマーとしては、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレンと共役ジエンのブロック共重合体およびその水素添加物、ポリウレタン樹脂、エチレン−α−オレフィン共重合体、ポリエステル樹脂などの種々の重合体が利用されている。とりわけ、スチレンと共役ジエンとからなるブロック共重合体は、オープンタイムが長く、接着力と保持力のバランスが比較的良好なことから、使い捨ての衛生材料の接着剤、表面保護フィルムの接着剤などとして好適に使用されている。例えば、特公昭45−41518号公報には、ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレン、或いはポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレンなどの直鎖状ブロック共重合体による接着剤組成物が提案されている。また特公昭56−49958号公報には、(ポリスチレン−ポリブタジエン)nXの有枝鎖ブロック共重合体を用いた熱溶融(ホットメルト)型粘着剤組成物が提案されている。
【0003】
しかしながら、これらのポリスチレンとポリ共役ジエンとよりなるブロック共重合体からなる粘・接着剤は、ベースポリマーである該ブロック共重合体のポリスチレンブロックが拘束相であり、高温条件下などポリスチレンの拘束力が低下した条件下での粘・接着剤の凝集力(保持力)が問題となっており、凝集力(保持力)の改善が切望されている。
【0004】
一方、イソシアネート末端プレポリマーを用いたポリウレタンをベースとしたホットメルト接着剤の場合は、その固体状態から繰り返し加熱され液体形状に流動化することのできる上記のホットメルトとは異なり、熱硬化性樹脂のように挙動する。すなわち、周囲に水分が存在する条件下において使用する場合、水とイソシアナート基が不可逆的化学反応を生じ、架橋構造を形成し、凝集力(保持力)の優れた粘・接着剤となる。この硬化型ウレタン接着剤は、優れた防湿性及び耐薬品性を与えると同時に広い温度範囲において使用することができる。しかしながら、硬化型ウレタン接着剤を塗布した後、架橋が進行して硬化するまでの強度が小さく、十分に硬化するまでの間、外部からの機械的な支持を必要とし、使用上煩しいという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明は、上記従来技術の問題点を解決し、塗布時にはポリスチレンとポリ共役ジエンとのブロック共重合体をベースとしたホットメルト粘着剤と少なくとも同等の接着力、保持力を有し、数時間ないし、数日後には、接着力、保持力が向上する粘・接着剤を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、両末端に水酸基を有するブロック共重合体を含有するブロック共重合体、架橋剤および粘着付与樹脂を含む反応性粘・接着剤が、上記課題を解決することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
1) ブロック共重合体(a)、架橋剤(b)および粘着付与樹脂(c)を含有する接着剤組成物であって、
(i)ブロック共重合体(a)が、主として芳香族ビニル化合物単位からなる重合体ブロックAと、主として共役ジエン単位からなり、炭素−炭素不飽和二重結合の少なくとも一部が水素添加されていてもよい重合体ブロックBとを含み、かつ該ブロック共重合体が両末端に水酸基を有するブロック共重合体を含有する;および
(ii)架橋剤(b)が分子内に少なくとも2個のイソシアネート基を有する;
ことを特徴とする反応性ホットメルト粘・接着剤組成物である。
また、本発明は、
2) 両末端に水酸基を有するブロック共重合体が、HO−A−B−A−OHおよび/またはHO−A−B−OH(式中、Aは重合体ブロックAを、またBは重合体ブロックBをそれぞれ表し、OHは水酸基を表す)であることを特徴とする上記1)記載の粘・接着剤組成物である。
さらに、本発明は、
3) 軟化剤をさらに含有する、または重合体ブロックBの炭素−炭素不飽和二重結合の少なくとも一部が水素添加されている上記のいずれかに記載の粘・接着剤組成物である。
そして、本発明は、
4) 上記のいずれかに記載の粘・接着剤組成物からなるホットメルト型粘・接着剤である。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の粘・接着剤組成物は、ブロック共重合体(a)、架橋剤(b)および粘着付与樹脂(c)を含有する。
本発明に用いる第1の必須成分であるブロック共重合体(a)は、主として芳香族ビニル化合物からなる重合体ブロックAと、主として共役ジエン単位からなり、炭素−炭素不飽和二重結合の少なくとも一部が水素添加されていてもよい重合体ブロックBとを含み、かつ両末端に水酸基を有するブロック共重合体を含有する。上記ブロック共重合体(a)は、両末端に水酸基を有するブロック共重合体を含有することが必須であるが、芳香族ビニル化合物から主としてなる重合体ブロックAと、共役ジエン単位から主としてなり、炭素−炭素不飽和二重結合の少なくとも一部が水素添加されていてもよい重合体ブロックBとを含む他のブロック共重合体(例えば、片末端に水酸基を有するブロック共重合体、末端に水酸基を有しないブロック共重合体)を含有していてもよい。該ブロック共重合体(a)に含有される両末端に水酸基を有するブロック共重合体としては、例えば、次の式(1)〜(3)で示される両末端に水酸基を有するブロック共重合体またはその水素添加物が挙げられる。
【0008】
【化1】
HO−(A−B)k−OH (1)
HO−A−(B−A)l−OH (2)
HO−B−(A−B)m−OH (3)
(上記式中、Aは重合体ブロックAを、Bは重合体ブロックBをそれぞれ表し、k、lおよびmはそれぞれ1以上の整数を表し、OHは水酸基を表す)
【0009】
本発明に用いる上記ブロック共重合体(a)の重合体ブロックの構造は、直鎖状、分岐状等に限定はされず用いることができるが、なかでもA−B−A型トリブロック共重合体、A−B型ジブロック共重合体、 A−B−A−B型テトラブロック共重合体、(A−B)n型マルチブロック共重合体、(A−B)nX型星形共重合体(Xはカップリング剤残基を表す)等が好ましいものとして挙げられる。これらのブロック共重合体の構造は、1種単独であってもよく、2種以上の混合物であってもよい。
【0010】
また、ブロック共重合体(a)の重合体ブロック構造には、本発明の趣旨を損なわない範囲内で、他の重合体ブロックCを共重合させたものでもよく、該ブロック共重合体の重合体ブロックの構造としては、例えば、A−B−C型トリブロック共重合体、A−B−C−A型テトラブロック共重合体、A−B−A−C型テトラブロック共重合体等が挙げられる。
【0011】
ブロック共重合体(a)における重合体ブロックAは、主として芳香族ビニル化合物単位からなるが、該芳香族ビニル化合物単位を構成する単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン,m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、4−プロピルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセンなどが挙げられる。これらの中でも、スチレン、α−メチルスチレンまたはp−メチルスチレンが好ましく用いられる。これらの芳香族ビニル化合物は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。重合体ブロックAに芳香族ビニル化合物を2種以上併用する場合の形態としては、特に制限されず、ランダム状でもテーパード状でも良い。
【0012】
また、上記重合体ブロックAは、本発明の趣旨を損なわない範囲内で、上記芳香族ビニル化合物とこれ以外の他のアニオン重合性単量体とを共重合したものでもよい。共重合の形態は、ランダム状でもテーパード状でも良い。共重合できる単量体としては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等の共役ジエン、2−ビニルピリジンなどのヘテロ芳香族ビニル化合物、ビニルトリメチルシランなどのビニルシラン化合物などが挙げられる。
【0013】
ブロック共重合体(a)の重合体ブロックBは、主として共役ジエン単位からなり、炭素−炭素不飽和二重結合の少なくとも一部が水素添加されていてもよい。該共役ジエン単位を構成する単量体としては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等の共役ジエンが挙げられる。これらの中でも、1,3−ブタジエン、イソプレンが好ましく用いられる。共役ジエンは、単独で使用してもよいし、二種類以上を併用してもよい。重合体ブロックBに共役ジエン化合物を2種以上併用する場合の形態としては、特に制限されず、ランダム状でもテーパード状でも良い。
【0014】
また、該重合体ブロックBは、本発明の趣旨を損なわない範囲内で、上記共役ジエン化合物とこれ以外の他のアニオン重合性単量体を共重合したものでもよい。共重合の形態は、ランダム状でもテーパード状でも良い。共重合できる単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン,m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、4−プロピルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセンなどの芳香族ビニル化合物;2−ビニルピリジンなどのヘテロ芳香族ビニル化合物;ビニルトリメチルシランなどのビニルシラン化合物などが挙げられる。
【0015】
さらに、重合体ブロックCを構成する単量体としては、本発明の趣旨を損なわない範囲内で、他のアニオン重合性化合物を特に制限なく用いることができる。該単量体としては、例えば、2−ビニルピリジンなどのヘテロ芳香族ビニル化合物、ビニルトリメチルシランなどのビニルシラン化合物、メタクリル酸メチルなどの(メタ)アクリレート化合物、アクリロニトリルなどの(メタ)アクリロニトリル化合物、エチレンオキサイドなどのエポキシ化合物、ε−カプロラクトンなどのラクトン化合物などが挙げられる。
【0016】
上記ブロック共重合体(a)中の重合体ブロックBは、本発明の粘・接着剤組成物における接着性能、耐熱劣化性、耐候性などの性能を向上する観点から水素添加されていることが好ましい。水素添加の割合は、特に限定されるものではないが、ブロック共重合体中の共役ジエン由来の全炭素−炭素不飽和二重結合の30%以上であることが好ましく、50%以上であることより好ましく、80%以上であることがさらに好ましい。
【0017】
上記ブロック共重合体(a)において、両末端に水酸基を有するブロック共重合体を含むことが必要であるが、水酸基は、ブロック共重合体の末端に位置することができる重合体ブロックA、重合体ブロックBまたは重合体ブロックCのいずれに位置していてもよい。両末端に水酸基を有するブロック共重合体においては、少なくとも一方がハードブロックである重合体ブロックAの末端に位置していることが好ましく、A−B−A型トリブロック共重合体の重合ブロックAの末端にそれぞれ有する構造(HO−A−B−A−OH)であることがより好ましく、該トリブロック共重合体のスチレン重合体ブロックの末端に位置していることがさらに好ましい。かかる両末端に水酸基を有するブロック共重合体のブロック共重合体(a)中の含有量は、求められる粘・接着剤組成物の性能により適宜設定でき特に限定されないが、接着性能などの観点から、ブロック共重合体の総量に対して、50〜100質量%あることが好ましく、70〜100質量%あることがより好ましく、90〜100質量%あることがさらに好ましい。
【0018】
ブロック共重合体(a)の製造方法としては、特に制限なく公知の方法が利用でき、例えばアニオン重合による次のような具体例が挙げられる。
(1)保護された水酸基を有するアルキルリチウム化合物を開始剤としてn−ヘキサンやシクロヘキサンなどの不活性有機溶媒中で、芳香族ビニル化合物、共役ジエン化合物を逐次重合させ、所望の分子構造および分子量に達した時点でエチレンオキサイド、プロピレンオキサイドまたはスチレンオキサイド等のエポキシ化合物や、ε−カプロラクトン等のラクトン化合物、もしくはアセトン等のケトン化合物を付加した後、アルコール類、カルボン酸類、水等の活性水素を含有する化合物を添加し重合を停止して、一方の末端に水酸基を有し、他の末端に保護された水酸基を有するブロック共重合体を合成する。次いで、保護基を脱保護することにより、両末端に水酸基を有するブロック共重合体を含有するブロック共重合体(a)を得る方法。
(2)保護された水酸基を有するアルキルリチウム化合物を開始剤としてn−ヘキサンやシクロヘキサンなどの不活性有機溶媒中で、芳香族ビニル化合物、共役ジエン化合物を逐次重合させ、所望の分子構造および分子量に達した時点でカップリング剤を添加して、両末端の水酸基を保護したブロック共重合体を合成する。次いで、保護基を脱保護することにより、両末端に水酸基を有するブロック共重合体を含有するブロック共重合体(a)を得る方法。
(3)m−ジイソプロペニルベンゼンと2モル等量のアルキルリチウムの付加物などのジアルキルリチウム化合物を開始剤としてn−ヘキサンやシクロヘキサンなどの不活性有機溶媒中で、共役ジエン化合物、芳香族ビニル化合物を逐次重合させ、所望の分子構造および分子量に達した時点でエチレンオキサイド、プロピレンオキサイドまたはスチレンオキサイド等のエポキシ化合物、ε−カプロラクトン等のラクトン化合物またはアセトン等のケトン化合物を付加した後、アルコール類、カルボン酸類、水等の活性水素を含有する化合物を添加して重合を停止して、両末端に水酸基を有するブロック共重合体を含有するブロック共重合体(a)を得る方法。
上記ブロック共重合体の製造方法中、製造中の粘度抑制や製造の簡便さなどの観点から上記(1)の方法が好ましい方法として採用される。
【0019】
上記方法(1)および(2)において重合開始剤として用いられる水酸基を保護したアルキルリチウム化合物としては、3−(t−ブチルジメチルシロキシ)−2,2−ジメチル−1−プロピルリチウム、3−(トリメチルシロキシ)−2,2−ジメチル−1−プロピルリチウム、3−(t−ブトキシ)−2,2−ジメチル−1−プロピルリチウム(J. Polym. Sci., Polym. Chem. Ed., (1997),15,2401、米国特許第5,654,371号参照)などが挙げられる。これらの重合開始剤は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0020】
上記の水酸基を保護したブロック共重合体を脱保護する場合、脱保護剤としては、例えば、塩酸、スルホン酸、カルボン酸などのプロトン酸性化合物;3フッ化ほう素、4塩化錫などのルイス酸性化合物;フッ化テトラブチルアンモニウム、フッ化アンモニウム、フッ化カリウムなどのアルカリ性フッ素イオン含有化合物などが用いられる。これらの中でも、塩酸、スルホン酸などのプロトン酸性化合物が好ましく用いられる。
【0021】
重合に使用される溶媒としては、通常非極性溶媒が用いられ、例えば、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、n−ヘキサン、n−ヘプタンなどの脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素などを挙げることができる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上使用してもよい。
【0022】
上記溶媒には、ブロック共重合体(a)に含まれる重合体ブロックBを構成する共役ジエンの一次構造を変化させるために、少量の極性化合物を添加してもよい。該極性化合物には、アニオン種と反応する官能基(水酸基、カルボニル基など)などを有しない、分子内に酸素原子、窒素原子等の複素原子を有する化合物が用いられ、例えば、ジエチルエーテル、モノグライム、テトラメチルエチレンジアミン、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン等を挙げることができる。これらの化合物は単独で用いてもよいし、2種以上使用してもよい。
【0023】
また、ブロック共重合体(a)への水素添加方法としては、例えば、n−ヘキサンやシクロヘキサン等の不活性有機溶媒中でアルキルアルミニウム化合物とコバルト、ニッケルなどからなるチーグラー触媒等の水添触媒の存在下に、反応温度20〜100℃、水素圧力1〜10MPaの条件下で行うことができる。水素添加(水添)されていないブロック共重合体は、上記方法などにより共役ジエン重合体ブロック中の不飽和二重結合の30%以上が飽和されるまで水添されることが望ましく、より好ましくは50%以上、さらに好ましくは80%以上が飽和されるまで水添されることが望ましい。これによりブロック共重合体の耐候性を高めることができる。水添されたブロック共重合体における共役ジエン重合体ブロック中の不飽和二重結合の水添率は、ヨウ素価滴定法、赤外分光スペクトル測定、核磁気共鳴スペクトル(1H−NMRスペクトル)測定等の分析手段を用いて算出することができる。
【0024】
本発明に使用されるブロック共重合体(a)の分子量、ブロック共重合体(a)に含まれる重合体ブロックAおよび重合体ブロックBの分子量は、特に制限されないが、接着剤組成物の加工性などの点から、水素添加前の状態において通常ブロック共重合体(a)の数平均分子量が10,000〜1,000,000であり、重合体ブロックAの数平均分子量が2,500〜200,000で、重合体ブロックBの数平均分子量が3,000〜300,000であることが好ましく、ブロック共重合体(a)の数平均分子量が20,000〜300,000であり、重合体ブロックAの数平均分子量が6,000〜100,000で、重合体ブロックBの数平均分子量が8,000〜100,000であることがより好ましい。またブロック共重合体(a)の分子構造としては、特に限定されず、例えば線状、分岐状などが挙げられ、あるいはこれらの任意の組合せであってもよい。
上記ブロック共重合体(a)の粘・接着剤組成物の総量に対する配合量は、特に限定されないが、3〜80質量%の範囲であることが好ましく、10〜60質量%の範囲であることがより好ましい。
【0025】
次に、本発明の粘・接着剤組成物に使用する第2の必須成分である架橋剤としては、分子内に少なくとも2個のイソシアネート基を有することが必要であり、例えば、2官能以上のイソシアネートを用いることができる。該イソシアネートの具体例としては、例えば、エチレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ジフェニル−4,4’−ジイソシアネート、4,4’,4”−トリイソシアナトトリフェニルメタン、1,3,5−トリイソシアナトベンゼン、2,4,6−トリイソシアナトトルエン、4,4’−ジメチルジフェニルメタン−2,2’,5,5’−テトライソシアネート等を挙げることができる。
【0026】
上記架橋剤が作用する際の架橋速度を改良するために触媒として、本発明の趣旨を損なわない範囲内で、有機錫、ビスマス触媒などを添加することができ、例えば、ジブチル錫ジラウレートが好ましく使用できる。
また、架橋剤の使用量は、特に制限はないが、イソシアナート基(−N=C=O)がブロック共重合体(a)の末端の水酸基に対して、0.2〜4モル等量であることが好ましく、0.4〜2.2モル等量であることがより好ましい。
【0027】
さらに、本発明の粘・接着剤組成物に使用する第3の必須成分である粘着付与樹脂としては、従来粘・接着剤用に粘着付与樹脂として使用されているものであれば特に限定されず用いることができるが、例えば、テルペン系樹脂、合成テルペン樹脂、芳香族変性ポリテルペン樹脂、脂肪族系飽和石油樹脂、ロジンエステル、不均化ロジンエステル、水素添加ロジンエステル、脂肪族系石油樹脂(C5系脂肪族系石油樹脂、C5・C9系脂肪族系石油樹脂等)、変性脂肪族系石油樹脂、クロマン・インデン樹脂、フェノール樹脂、p−t−ブチルフェノール・アセチレン樹脂、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂、ポリテルペン樹脂、キシレン・ホルムアルデヒド樹脂、芳香族炭化水素樹脂、脂肪族環状炭化水素樹脂、モノオレフィンやジオレフィンのオリゴマー、ポリブテン、水素添加ウッドロジン、テレピン系粘着付与樹脂等が挙げられる。これらのうち、テルペン系樹脂、合成テルペン樹脂、芳香族変性ポリテルペン樹脂、脂肪族系飽和石油樹脂、ロジンエステル、不均化ロジンエステル、水素添加ロジンエステル、脂肪族系石油樹脂(C5系脂肪族系石油樹脂、C5・C9系脂肪族系石油樹脂等)、変性脂肪族系石油樹脂等が好ましく用いられる。これらの粘着剤付与樹脂は1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
粘着付与樹脂の配合量は、特に制限されないが、ブロック共重合体(a)100質量部に対して通常40〜1,000質量部、好ましくは100〜500質量部である。
【0028】
本発明の粘・接着剤組成物には、上記必須成分に加えて、塗工性の観点から軟化剤を含有することができる。使用できる軟化剤としては、パラフィン系、ナフテン系、アロマ系などのプロセスオイル等の石油系軟化剤、パラフィン、植物油系軟化剤、可塑剤等が挙げられる。これらは、単独で使用することもできるし、2種以上を混合して用いることもできる。
軟化剤の使用量は、本発明の趣旨を損なわない限り、特に制限はないが、ブロック共重合体(a)100質量部に対して、通常0〜1,000質量部、好ましくは0〜500質量部、より好ましくは50〜300質量部である。
【0029】
また、本発明の粘・接着剤組成物には、耐熱劣化性、耐候性の向上などの観点から必要に応じて添加剤を配合することができ、例えば、フェノール系安定剤、イオウ系安定剤、リン系安定剤、帯電防止剤、離型剤、難燃剤、発泡剤、顔料、染料、増白剤、カーボン繊維等を添加することができる。
上記安定剤の具体例としては、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスチリル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N'−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロジナマミド)、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルフォスフォネート−ジエチルエステル、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート、3,9−ビス{2−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等のフェノール系安定剤、ペンタエリスリチルテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、ジステアリル3,3'−チオジプロピオネート、ジラウリル3,3'−チオジプロピオネート、ジミリスチル3,3'−チオジプロピオネート等のイオウ系安定剤、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ジアステリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト等のリン系安定剤等を挙げることができる。これら安定剤は、単独で用いることもできるし、2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0030】
さらに、本発明の粘・接着剤組成物には、保持力を向上させるための補強性樹脂として、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂等を配合することができる。
また、本発明の粘・接着剤組成物には、上記ブロック共重合体(a)と共に、本発明の趣旨を損なわない範囲内で、さらに他のエラストマー成分を配合することができる。他のエラストマー成分としては、例えば、天然ゴム、合成ポリイソプレンゴム、液状ポリイソプレンゴムまたはその水素添加物、ポリブタジエンゴム、液状ポリブタジエンゴムまたはその水素添加物、クロロプレンゴム、エチレン−プロピレンゴム、アクリルゴム、ポリイソプレン−イソブチレンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴムなどが挙げられる。
【0031】
本発明の粘・接着剤組成物には、その特性を損なわない範囲で、さらに無機充填剤を添加することができる。かかる無機充填剤の具体例としては、タルク、炭酸カルシウム、シリカ、ガラス繊維、マイカ、カオリン、酸化チタンなどが挙げられる。
【0032】
本発明の粘・接着剤組成物を調製する方法としては、通常の粘・接着剤を製造する方法であればいずれも採用でき特に限定されないが、例えば、一般の槽式混合機、高速攪拌機、密閉式ニーダー、インターナルミキサー、一軸押出機や二軸押出機などの押出機等を用いて、必要な場合には窒素ガス雰囲気中で、通常、130℃〜230℃範囲で溶融混練または溶融混合して調製することができる。そして、上記した成分を混合して得られる本発明の粘・接着剤組成物は、その用途、使用態様等に応じて適当な形態にしておくことができ、例えばブロック状、粒状、フレーク状、ペレット状、棒状、フィルム状、シート状などの形態において、種々の粘・接着用途、各種の粘・粘着製品などに用いることができる。
【0033】
また、本発明の粘・接着剤組成物は、ヘプタン、イソペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族系溶剤;ベンゼン、キシレン、トルエン、エチルベンゼン等の芳香族系溶剤などに、その用途に応じて、固形分濃度が通常5%〜70%程度になるように溶解させ、溶剤型の粘・接着剤としても調製することができる。
【0034】
本発明の粘・接着剤組成物の用途は特に制限されず、従来のホットメルト型接着剤や感圧接着剤と同様に種々の素材の粘・接着用途に使用することができ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等のプラスチックフィルムやシート、紙、木材、繊維製品、金属箔、皮革等の接着に用いることができる。より具体的には、本発明の粘・接着剤組成物は、例えば、製袋、小箱や段ボールの封緘、ラベルのピックアップ、アルミホイル缶の製造等のような包装;製本;合板の製造;木工;製靴、カーペットバッキング、不織布のバインダー等の繊維製品の製造;紙おむつ、生理用ナプキンをはじめとする各種衛材用品の製造;包装用粘着テープ、電気絶縁テープやフィルム、各種物品の表面保護用粘着テープや粘着シートの製造;半導体ウエハ製造工程で用いる各種粘着フィルムや粘着シート、パイプなどの結束固定;窓枠等の各種建材や自動車ランプ周りやインパネ周り等のシーリング材の製造;ラベル用接着剤の製造などに使用することができる。
【0035】
本発明の粘・接着剤組成物が、ホットメルト型接着剤である場合には、従来と同様のホットメルト型接着剤用のアプリケーターを使用して、ホットメルト接着剤を加熱溶融して被着体に塗布し、被着体同士を張り合わせた(圧着させた)状態で接着剤を固化させて接着を行うことができる。
【0036】
また、本発明の粘・接着剤組成物がホットメルト型粘着剤(感圧接着剤)である場合には、ホットメルト型粘着剤(感圧接着剤)を加熱溶融した状態で、紙、布帛、プラスチックフィルムやシート、金属箔等の基材の一方または両方の面に塗布して基材上に粘着剤(感圧接着剤)の層を形成して、粘着フィルム、粘着シート、その他の粘着製品を製造することができる。
【0037】
そして、本発明の粘・接着剤組成物がホットメルト型接着剤である場合およびホットメルト型粘着剤(感圧接着剤)である場合のいずれの場合も、本発明の粘・接着剤組成物は、通常、約120℃〜200℃の温度に加熱することによって容易に溶融させることができ、良好な加工性で接着作業や、粘着フィルムなどの粘着製品の製造作業を円滑に行うことができる。
【0038】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されない。
【0039】
なお、粘・接着剤組成物の調製に用いたブロック共重合体における水素添加前のブロック共重合体の数平均分子量、ブロック共重合体における水素添加前のスチレン重合体ブロックA(以下、ブロックAと略称する)の含有率、ブタジエン/イソプレン重合体ブロックB(以下、ブロックBと略称する)の水添率およびブロック共重合体の末端への水酸基の導入率は以下のようにして求めた。
【0040】
ブロック共重合体の数平均分子量:
水素添加前のブロック共重合体に対して、ブロック共重合体全体の数平均分子量をゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)分析により、ポリスチレン換算の分子量として求めた。
ブロックAの含有率:
水素添加処理前のブロック共重合体のNMR測定により、ブロックAの含有率を求めた。
ブロックBの水添率:
水素添加処理後のブロック共重合体のNMR測定により、ブロックBの水添率を求めた。
ブロック共重合の末端への水酸基の導入率:
脱保護反応処理後のブロック共重合体の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)測定により、ブロック共重合の末端への水酸基の導入率を求めた。
【0041】
また、粘・接着剤組成物を用いて得られた粘着フィルムのブロック共重合体と架橋剤の反応率、粘着フィルムの接着力、粘着フィルムの保持力、粘着フィルムのタック性および粘着フィルムの糊厚は以下のようにして求めた。
【0042】
粘着フィルム中のブロック共重合体と架橋剤の反応率:
粘・接着剤組成物を塗布した後、および20℃、湿度55%の条件下に所定時間放置した後に、GPC分析を行い、それぞれブロック共重合体と架橋剤との反応率を求めた。
【0043】
粘着フィルムの接着力:
接着力(粘着力)は、JIS Z0237に準じて求めた。すなわち、SUS304板(冷間圧延ステンレス鋼板)に縦×横=10mm×20mmに切断した粘着フイルムを貼着し、所定時間後に、周囲温度25℃で、180°の引きはがし角度で、引張速度300mm/分の条件下で剥離させたときの接着力(粘着力)を求めた。
【0044】
粘着フィルムの保持力:
保持力は、JIS Z0237に準じて求めた。すなわち、SUS304板に縦×横=25mm×25mmに切断した粘着フイルムを貼着し、それを粘着フイルムが垂直になるように保持固定し、粘着フイルムの下端中央部に1kgの荷重を吊り下げ、周囲温度60℃で、粘着フイルムが剥離して落下するまでの時間を測定して保持力とした。なお、240分以上保持できたものにおいては、240分後のズレ距離を併記した。
【0045】
粘着フィルムのタック性:
タック性は、周囲温度25℃で、JIS Z0237に準ずるボールタック法によって求めた。
粘着フィルムの糊厚:
糊厚は、ポリエチレンテレフタレートフイルムの片面に粘・接着剤組成物を塗布した後、これにポリエチレンテレフタレートフィルムを重ねてマイクロメーターで厚みを測定し、ポリエチレンテレフタレートフイルムの厚みを除くことで求めた。
【0046】
参考例1(両末端に水酸基を有するブロック共重合体の製造)
攪拌装置付き耐圧容器中にシクロヘキサン5.06kg、充分に脱水したスチレン182gおよび3−(t−ブチルジメチルシロキシ)−2,2−ジメチル−1−プロピルリチウムのシクロヘキサン溶液(18質量%)[FMC corporation製]59.3gを加え、40℃で60分間重合し、イソプレンとブタジエンの混合物(モル比1:1)935gを加えて60分間、さらにスチレンを182g加えて60分間重合した後、エチレンオキサイド10gを加え、最後にメタノールを添加して反応を停止し、一方の末端に水酸基を有し、他の末端に保護された水酸基を有するスチレン−(ブタジエン/イソプレン)−スチレン型のブロック共重合体を合成した。このとき、GPCから求めたポリスチレン換算の数平均分子量は49,200であった。1H−NMRスペクトル測定により算出したスチレン重合体ブロックの含有率は25.3質量%であり、重合体ブロックB中の1,4−ブタジエン結合量および1,4−イソプレン結合量は、それぞれ91.5%および90.2%であった。また、HPLCから求めた1分子当りの末端水酸基の数は0.96個であった。
このようにして合成したブロック共重合体をチーグラー系触媒を用いて、水素雰囲気下において90℃で7時間水素添加反応を行い、水添ブロック共重合体を得た。1H−NMRスペクトル測定により算出した水素添加率は、98.7%であった。
さらに合成したブロック共重合体の脱保護反応をテトラヒドロフラン中、塩酸を用いて60℃、7時間行い、両末端に水酸基を有するブロック共重合体を含有するブロック共重合体を得た。このときGPCから求めたポリスチレン換算の数平均分子量は58,700であった。また、HPLCから求めた両末端に水酸基を有するブロック共重合体、片末端に水酸基を有するブロック共重合体、水酸基を有しないブロック共重合体の割合は、それぞれ77%、23%、0%であり、平均すると1分子当りの末端水酸基の数は1.77個であった。
【0047】
参考例2(片末端に水酸基を有するブロック共重合体の製造)
3−(t−ブチルジメチルシロキシ)−2,2−ジメチル−1−プロピルリチウムを用いずに、sec−ブチルリチウムのシクロヘキサン溶液(11質量%)を用いたこと以外は、参考例1と同様にして片末端に水酸基を有するブロック共重合体を製造した。
このときGPCから求めたポリスチレン換算の数平均分子量は65,400であった。また、HPLCから求めた両末端に水酸基を有するブロック共重合体、片末端に水酸基を有するブロック共重合体、水酸基を有しないブロック共重合体の割合は、それぞれ0%、93%、7%であり、平均すると1分子当りの末端水酸基の数は0.93個であった。
【0048】
実施例1
(1)上記の参考例1で得られた両末端に水酸基を有するブロック共重合体を含有する水素添加したブロック共重合体100質量部に対して、粘着付与樹脂[脂環族系飽和炭化水素樹脂:荒川化学(株)製「アルコンP100」]100質量部、軟化剤[鉱物油系軟化剤:出光興産(株)製「ダイアナプロセスPW−90」]50質量部および老化防止剤(ヒンダート・フェノール系:チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製「イルガノックス1010」)1質量部を加えて、さらに架橋剤[3官能イソシアネート:日本ポリウレタン工業(株)製「コロネートHX」]をイソシアナート基(−N=C=O)がブロック共重合体の末端の水酸基に対して、1.1モル等量となる量(1.25質量部)加えて、粘・接着剤組成物を調製した。
【0049】
(2)次いで上記(1)で得られた粘・接着剤組成物を160℃に加熱したニーダーに入れ、30分溶融混合して、40μmのコーターを用いてポリエチレンテレフタレートフイルムの片面に30μmの厚さに塗布した後、室温に冷却して、ポリエチレンテレフタレートフイルムからなる支持体上に粘・接着剤組成物層(粘着剤層)が形成されている粘着フイルムを製造した。
【0050】
(3)上記(2)で得られた粘着フイルムにおけるブロック共重合体と架橋剤の反応率を、塗布直後、20℃、湿度55%にて3日間放置した後および20℃、湿度55%にて7日間放置した後について、それぞれの条件下においたベースポリマーの反応率をGPCを用ることにより求めた。その結果を表1に示す。
(4)上記(2)で得られた粘着フイルムの接着力(粘着力)を、塗布直後、20℃、湿度55%にて3日間放置した後および20℃、湿度55%にて7日間放置した後のそれぞれについて求めた。その結果を下記の表1に示す。
(5)上記(2)で得られた粘着フイルムを20℃、湿度55%にて7日間放置した後、タック性を求めたところ、下記の表1に示すとおりであった。
(6)上記(2)で得られた粘着フイルムを20℃、湿度55%にて7日間放置した後、保持力を求めた。その結果を糊厚測定結果と共に下記の表1に示す。
【0051】
実施例2
(1)架橋剤をイソシアナート基がブロック共重合体の末端の水酸基に対して、0.4モル等量となるように加えて用いたこと以外は、実施例1の(1)におけるのと同様にしてそれぞれの感圧接着剤組成物(粘着剤)を製造し、実施例1の(2)と同様にして粘着フイルムを製造し、ベースポリマーの反応率および粘着フイルムのタック性、接着力(粘着力)および保持力を実施例1の(3)〜(6)と同様にして求めたところ、下記の表1に示すとおりであった。
【0052】
実施例3
架橋剤をイソシアナート基がブロック共重合体の末端の水酸基に対して、2.2モル等量となるように加えて用いたこと以外は、実施例1の(1)におけるのと同様にしてそれぞれの感圧接着剤組成物(粘着剤)を製造し、実施例1の(2)と同様にして粘着フイルムを製造し、ベースポリマーの反応率および粘着フイルムのタック性、接着力(粘着力)および保持力を実施例1の(3)〜(6)と同様にして求めたところ、下記の表1に示すとおりであった。
【0053】
比較例1
架橋剤を用いなかったこと以外は、実施例1の(1)におけるのと同様にして感圧接着剤組成物(粘着剤)を製造し、実施例1の(2)と同様にして粘着フイルムを製造し、ベースポリマーの反応率および粘着フイルムのタック性、接着力(粘着力)および保持力を実施例1の(3)〜(6)と同様にして求めたところ、下記の表1に示すとおりであった。
【0054】
比較例2
水酸基を持たないブロック共重合体[(株)クラレ製「セプトン2002」]を用いたこと以外は、実施例1の(1)におけるのと同様にして感圧接着剤組成物(粘着剤)を製造し、実施例1の(2)と同様にして粘着フイルムを製造し、ベースポリマーの反応率および粘着フイルムのタック性、接着力(粘着力)および保持力を実施例1の(3)〜(6)と同様にして求めたところ、下記の表1に示すとおりであった。
【0055】
比較例3
上記の参考例2で得られた片末端に水酸基を有する水素添加したブロック共重合体を用いたこと以外は、実施例1の(1)におけるのと同様にして感圧接着剤組成物(粘着剤)を製造し、実施例1の(2)と同様にして粘着フイルムを製造し、ベースポリマーの反応率および粘着フイルムのタック性、接着力(粘着力)および保持力を実施例1の(3)〜(6)と同様にして求めたところ、下記の表1に示すとおりであった。
【0056】
【表1】
【0057】
上記表1から明らかなように、実施例1〜3の粘・接着剤組成物は、塗布時においてはブロック共重合体をベースとした粘着剤と同等の接着力、保持力を有するとともに、数日後には架橋が進行し、接着力、保持力がさらに向上していることがわかる。
【0058】
【発明の効果】
本発明の粘・接着剤組成物は、ブロック共重合体(a)、架橋剤(b)および粘着付与樹脂(c)を含有する接着剤組成物であって、該ブロック共重合体(a)が、主として芳香族ビニル化合物単位からなる重合体ブロックAと、主として共役ジエン単位からなり、炭素−炭素不飽和二重結合の少なくとも一部が水素添加されていてもよい重合体ブロックBとを含み、かつ該ブロック共重合体が両末端に水酸基を有するブロック共重合体を含有し、また架橋剤(b)が分子内に少なくとも2個のイソシアネート基を有するものであるので、初期接着力が良好であり、また経時的に接着力が向上する特徴を有する。このため、本発明の粘・接着剤組成物は、接着力および保持力が共に優れた粘・接着剤組成物、特にホットメルト型粘・接着剤として好適である。
Claims (5)
- ブロック共重合体(a)、架橋剤(b)および粘着付与樹脂(c)を含有する接着剤組成物であって、
(i)ブロック共重合体(a)が、主として芳香族ビニル化合物単位からなる重合体ブロックAと、主として共役ジエン単位からなり、炭素−炭素不飽和二重結合の少なくとも一部が水素添加されていてもよい重合体ブロックBとを含み、かつ該ブロック共重合体が両末端に水酸基を有するブロック共重合体を含有する;および
(ii)架橋剤(b)が分子内に少なくとも2個のイソシアネート基を有する;
ことを特徴とする粘・接着剤組成物。 - 両末端に水酸基を有するブロック共重合体が、HO−A−B−A−OHおよび/またはHO−A−B−OH(式中、Aは重合体ブロックAを、またBは重合体ブロックBをそれぞれ表し、OHは水酸基を表す)であることを特徴とする請求項1記載の粘・接着剤組成物。
- 軟化剤をさらに含有することを特徴とする請求項1または2記載の粘・接着剤組成物。
- 重合体ブロックBの炭素−炭素不飽和二重結合の少なくとも一部が水素添加されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の粘・接着剤組成物。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の粘・接着剤組成物からなるホットメルト型粘・接着剤。
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