JP4064061B2 - シート状材料搬送装置 - Google Patents

Description

【０００１】
発明の属する技術分野
本発明は、シート状材料の両面の一方にそれぞれ接触しているコンベアベルトと案内手段との間で該シート状材料を搬送する装置に関する。このような装置は、例えば印刷機、複写機、書類処理機などや紙幣処理機械における紙搬送技術に特に使用されている。
【０００２】
従来の技術
紙幣を搬送する分野において、同一方向に同じ高速で移動している２本の搬送ベルトの間で紙幣を搬送することが例えばドイツ特許公開第４,３０２,８２７号により公知である。この搬送方法は先ず、精巧にして保守性の良いベルト案内システムを含み、且つ紙幣を摩擦接触により運ぶためこの紙幣に十分に強力な締め付け力を伝える非常に多数のベルト偏向点を必ず必要としている。循環するコンベアベルト間の密着力を増進するため、ドイツ特許公開第４,３０２,８２７号には磁気力および／または電磁力を発生させる処理装置が提案されている。このような装置は明らかに相当な労力およびエネルギーの消費を必要とし、且つ急速に電磁干渉の問題を生ずる。さらに、これに使用されるセンサーの問題を、特に紙幣の検査装置に使用する場合に予期しなければならない。
【０００３】
搬送ベルトと固定板との間で紙幣を搬送することがドイツ特許第２,８５７,８８３により公知である。このような装置は特に、固定壁の片側に高摩擦力が作用することにより紙幣をしわ寄せしたり押しつぶしたりしやすい欠点を有する。
【０００４】
搬送ベルトによる運搬で発生する別の問題は、特に厚さの違う紙幣を短距離次々に運ぶときに、ベルトが不確定の締め付け力を紙幣に与えることである。例えば、薄い紙幣が搬送方向に見て２枚の明瞭に厚い紙幣の間に置かれると、この薄い紙幣に対しては、２枚の厚い接近した紙幣に対するよりも非常に小さな力しか伝えられない。
【０００５】
また、しっかりと取りつけた１列のローラと、別のばね調整ローラの列との間にシート状材料を搬送することがドイツ特許公開第２,９１４,９６９号により公知である。このような装置はシート状材料が２組のローラの間の区域でその両側を案内されているので材料のしわ寄せや紙詰まりが容易に発生する欠点を有する。
【０００６】
故に、本発明の目的は、搬送速度が高速であり且つシート状材料の厚さの変動が激しくても信頼性のある搬送性能を保証できる構造簡単にして保守の容易なシート状材料搬送装置を提供することである。
【０００７】
発明の概要
この問題は請求項１に記載の装置により解決される。
【０００８】
本発明の解決法は特に、一方では、シート状材料が片側をコンベアベルトにより地域的に導かれ、他方では、コンベアベルトが加圧エレメントの弾性作用により常に十分な押圧力をシート状材料とコンベアベルトとの間に加えることを特徴としている。
【０００９】
加圧エレメントが枢動自在に取り付けられたローラとして形成されるならば、摩耗およびエネルギー消費の点で効果がある。特に、メインテナンスが少なくて済み、また特に標準部品のため低コストである回転ベアリングを使用することが適している。
【００１０】
加圧エレメントの案内性と弾性偏倚力のため、特に板ばねの使用が労力が最小で取り付けスぺースが狭い理由で適している。
【００１１】
本発明の好適な実施の形態では、案内手段が、枢動自在に取り付けられたローラを有するローラ列からなる。特に、搬送材料の厚さが大きく変化すると予測されている場合、前記ローラ列がコンベアベルトの方向に弾性的に作用されるローラから構成されていれば効果的である。これは、加圧エレメントの運動によってシート状材料の変動の一部を補正し、残りの部分を案内手段の変位によって補正することを可能にする。
【００１２】
加圧エレメントとローラ列のローラは、互いに組として配置されるのが好ましい。もしローラ列が円筒状ローラを有していれば、円筒状ローラが搬送材料に直線状締め付け作用を発生するから、搬送材料の良好な案内作用が得られ、かくして所定の搬送方向が確実に維持される。
【００１３】
特にメインテナンスと作動が容易である本発明の実施の形態において、一方にはコンベアベルトと案内手段が、他方には加圧エレメントがそれぞれヒンジ付きフレームの一部に配置されている。
【００１４】
本発明の装置がコンベアベルトと案内手段の両方が突出する搬送チャンネルを有していれば、搬送の安全性を支える効果をもたらす。この搬送チャンネルは、搬送すべき最も大型のシート状材料に適合し且つ搬送通路、特に頁の隅折れができるおそれのあるシート状材料の側縁領域への障害を除くことができることが好ましい。
【００１５】
本発明のその他の効果的特徴、構造および作用は図面を参照した以下の説明から明瞭となるであろう。
【００１６】
好ましい実施の形態
図１は紙幣処理装置の搬送通路の側面図である。特にこのような用途では、搬送材料そのものへの接触状態が常にこの材料の価値に応じて調節されねばならないので、高度の安全性と信頼性が必要である。さらに、このような用途では搬送材料の質と厚さが変動し、その結果搬送の信頼性に非常に困難な状態を生ずる。
【００１７】
図１は偏向ローラ２、３、４、５、６と駆動ローラ７とテンションローラ８の周囲を導かれる弾性コンベアベルト１を示す。テンションローラ８は、その対応する変位によりコンベアベルト１の張力を調節できるよう垂直方向に変位可能に取り付けられている。駆動ローラ７は駆動モータ（図示せず）と連結されている。２個の平行な壁１０、１１により水平に延びた搬送チャンネル９が形成されている。搬送チャンネル９は、偏向ローラ２、３の間に下向きのアーチ状曲部を有する。このアーチ状曲部の半径は偏向ローラ２の半径に対応している。コンベアベルト１は、そのコンベアベルト１の外側に作用する偏向ローラ２と、コンベアベルト１の内側に作用する偏向ローラ３との間にＳ字状に延びている。
【００１８】
搬送されるべき紙幣は、このアーチ状部から搬送装置に供給される。コンベアベルト１の回転方向は矢印１２で示されている。偏向ローラ２と駆動ローラ７との間に延びているコンベアベルト１の下部走路はチャンネル壁１０、１１間のほぼ中央にある。チャンネル壁１０はコンベアベルト１が回る区域内にあるが、チャンネル壁１１はコンベアベルト１の下部走路の下にある。
【００１９】
特に図２に明示するように、複数組のねじ付きブッシュ１３ａがコンベアベルト１側とは反対側のチャンネル壁１０の面に押し込まれ、各組のねじ付きブッシュ１３ａは、挿入されたボルト１３により板ばね１４を締めつけており、板ばね１４のボルト１３から離れた部分１５はフォーク状になっている。このフォーク状部分１５は、上方から付勢されて回転ベアリング１６を支持している軸１７上に乗った状態で回転ベアリング１６をその両面に沿って取り囲んでおり、且つ回転ベアリング１６の横方向の溶接スポット１８により軸１７に連結されている。回転ベアリング１６は、部分的にチャンネル壁の窓状開口１９から突出している。回転ベアリング１６のために設けられた窓状開口１９と、板ばね１４のフォーク状部分１５による軸１７の案内作用とが図４から容易に理解される。
【００２０】
コンベアベルト１の回転ベアリング１６の反対側には、コンベアベルト１と平行に延び且つチャンネル壁１１に直角になるよう連結されている取付け用ストリップ２１の片持ち式支持部材によって案内された回転ベアリング２０が配置されている。
【００２１】
図４に示すように、いずれの回転ベアリング２０も、ねじ２２により取付け用ストリップ２１にねじ止めされている。回転ベアリング２０もまたチャンネル壁１１の窓状開口を通って搬送チャンネル９の中に突出して、コンベアベルト１がその上を走行できるようになっている。
【００２２】
各回転ベアリング１６、２０は、それらおよびベルト１と搬送されるシート状材料との間に圧接ラインを形成できるように円筒形である。このことによって、搬送シート状材料は特に正確に導かれ曲がらないようにされている。搬送シート状材料２３の搬送中の外部影響を排除するために、搬送チャンネルの幅は、搬送される最も大型のシートが搬送チャンネル９により完全に収容できるように決められている。回転ベアリング１６と２０の各組間の搬送方向の間隔は、たとえ最も小型のシートが搬送される場合でも少なくとも２組の回転ベアリング組１６、２０により常に作用されるような間隔となっている。このことは、図２において、搬送路内にある前縁２４と後縁２５とを備えた紙幣２３から明瞭に認められる。
【００２３】
シートが搬送チャンネル９のアーチ状曲部を経て搬送装置に供給されるとき、シートはコンベアベルト１と偏向ローラ２により挟持され、アーチ状曲部で９０°偏向されて図１で右方向に運ばれる。シートのコンベアベルト１との最初の接触動作は、コンベアベルト１がアーチ状に延びて該アーチの内側が押圧される区域で発生する。この接触面は搬送方向に直線的に延びており、よって圧縮力は搬送が進むと減少する。コンベアベルト１とシートと直線的に整列したとき、シートの後縁は、未だにコンベアベルト１と偏向ローラ２との間に挟まれているので、シートには張力が伝えられて引き伸ばされる。シートは、搬送チャンネル９を通って搬送されるときに、特定の回転ベアリング２０とコンベアベルト１を介して弾圧される回転ベアリング１６とによって、連続的に直線的締め付け作用を受ける。このことにより方向の安定性が得られる。このようにシート状材料は、搬送中常に片側が走行中のコンベアベルト１に接触し、それぞれの回転ベアリング２０に次々に直線的に接触する。
【００２４】
シート状材料を搬送チャンネル９から外すために、シート転換装置２６が搬送チャンネルのほぼ中央に存在する。弾圧式回転ベアリング１６によるコンベアベルト１に対する弾性作用により、搬送中の材料の厚さの差を、対向する回転ベアリング１６、２０間のそれぞれの挟み部において直接補償し、その結果厚さが非常に異なるシートが次々と非常に接近して搬送される場合でも信頼性のある搬送が行われる。これにより、特によれよれのシートが捩じれたりカールしたりするのが防止される。
【００２５】
図３、４に示すように、搬送チャンネル９は保守点検を容易にするため、または紙詰まりを解除するため、搬送通路や搬送作業に含まれるすべての部品に容易にアクセスできるよう、容易に開けることができる。この目的のため、回転ベアリング１６を支持しているチャンネル壁１０が継ぎ手３０によって基礎フレーム３１に旋回自在に連結され、一方、チャンネル壁１１と偏向ローラ、駆動ローラ、テンションローラ２乃至８の軸は前記基礎フレーム３１に固定されている。
【００２６】
チャンネル壁１０は、固定部材３２を外した後、図３に示す本来の位置から継ぎ手３０の周りに旋回させることができ、これにより、搬送チャンネル９を切り離す。
【００２７】
搬送チャンネル９になお残っているシート状材料２３は、今や弾圧式回転ベアリング１６の作用を受けることなく、コンベアベルト１と、少なくとも２個の回転ベアリング２０との間に保持される。
【図面の簡単な説明】
【図１】 搬送装置の側面図
【図２】 図１の部分拡大詳細図
【図３】 コンベアベルトの長手軸線方向から見た搬送装置の正面図
【図４】 揺動開放された搬送チャンネルを有する搬送装置の正面図
【符号の説明】
１ コンベアベルト
２〜６ 偏向ローラ
７ 駆動ローラ
８ テンションローラ
９ 搬送チャンネル
１０，１１ チャンネル壁
１３ ボルト
１３ａ ねじ付きブッシュ
１４ 板ばね
１５ フォーク状部
１６，２０ 回転ベアリング
１７ 軸
１９ 窓状開口
２１ 取付け用ストリップ
２３ シート状材料
２４ 前縁
２５ 後縁
２６ シート転換装置
３０ 継ぎ手
３１ 基礎フレーム
３２ 固定部材

Claims (8)

1. シート状材料（２３）を搬送するためのコンベアベルト（１）と、該コンベアベルトの駆動ローラが取り付けられた基礎フレームと、前記コンベアベルトとの間に前記シート状材料を挟んで該シート状材料を搬送方向に案内する案内手段（２０）とを有するシート状材料搬送装置において、
   該装置は、前記基礎フレームに固定された一方の壁（１１）と、前記基礎フレームに、前記一方の壁（１１）に対して平行な位置から該一方の壁（１１）からさらに離隔した位置まで旋回自在に連結された他方の壁（１０）とを備え、前記一方の壁（１１）と前記他方の壁（１０）が互いに平行な位置にあるときに、前記両壁により、前記シート状材料が通過する搬送チャンネルが形成され、
   前記案内手段（２０）は、前記一方の壁（１１）から前記搬送チャンネル（９）内に突出するように前記一方の壁（１１）に固定され、前記他方の壁（１０）は、前記コンベアベルト（１）を介して搬送されるべき前記シート状材料（２３）を弾性的に付勢可能な加圧エレメント（１４、１６）を有することを特徴とするシート状材料搬送装置。
2. 前記加圧エレメントが、枢動自在に取り付けられたローラ（１６）であることを特徴とする請求項１記載のシート状材料搬送装置。
3. 前記加圧エレメントが回転ベアリング（１６）であることを特徴とする請求項１または２記載のシート状材料搬送装置。
4. 前記加圧エレメントが板ばね（１４）により案内され且つ偏倚されていることを特徴とする請求項１乃至３のいずれか記載のシート状材料搬送装置。
5. 前記案内手段がローラ列（２０）を備えていることを特徴とする請求項１乃至４のいずれか記載のシート状材料搬送装置。
6. 前記ローラ列（２０）が前記コンベアベルト（１）の方向に弾性的に作用されるローラからなることを特徴とする請求項５記載のシート状材料搬送装置。
7. 前記加圧エレメント（１４、１６）と前記ローラ列（２０）のローラとが互いに組をなして向かい合って配置されていることを特徴とする請求項６記載のシート状材料搬送装置。
8. 前記ローラ列が円筒状ローラ（２０）を有することを特徴とする請求項５乃至７のいずれか記載のシート状材料搬送装置。

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