JP4061826B2 - ゴム組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、(A)加水分解性シリル基を含有するシリル基含有エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム、(B)炭酸カルシウムおよび(C)タルクを含有するゴム組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
反応性ケイ素基を含有する飽和炭化水素系重合体は、室温においても水分により反応性ケイ素基の加水分解反応に引き続くシロキサン結合の形成によって架橋し、ゴム状硬化物が得られるので、複層ガラス用シーリング材や建築用弾性シーラント等に用いられている。
この建築用弾性シーラントの充填剤には、一般的に膠質炭酸カルシウムや重質炭酸カルシウム等の炭酸カルシウムが用いられている。膠質炭酸カルシウムを充填したシーラント用組成物はチクソ性が高く、糸ひき性が小さくいので作業性に優れる。硬化物は、建築用シーラントに適した低モジュラス・高伸びの引張特性を示す。
一方、重質炭酸カルシウムは、増量剤として用いられている。
【0003】
複層ガラス用シーリング材は、低モジュラスと高伸びが必要とされる建築用シーリング材とは反対に、ガラスを支えるだけの高モジュラスと高硬度を有することが必要とされる。従って、複層ガラス用シーリング材には、強度や硬度などの機械特性と良好な作業性を両立することが重要である。しかし、上記反応性ケイ素基を含有する飽和炭化水素系重合体を用いた場合には、これらの特性を両立させることができない。
【0004】
特開平10−316804号公報では、作業性と機械的特性の両立させる課題を解決したものとして、反応性ケイ素基を有する飽和炭化水素系重合体に、炭酸カルシウムとタルクを配合した硬化性組成物を提案している。しかしながら、この提案された硬化性組成物は作業性と機械的特性が必ずしも十分に両立していない。さらに硬化速度、硬化物の耐候性においても必ずしも満足の行くものではなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、作業性と硬化物の機械特性が高度にバランスし、しかも十分な硬化速度を有しかつ硬化物が耐候性に優れ、複層ガラス用シーリング材に好適に用いることができるゴム組成物を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、次のゴム組成物である。
1. (A)分子中に下記一般式(1)で示される加水分解性シリル基を含有するシリル基含有エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム、および
【化6】
(式中、Rは炭素数1〜12の1価の炭化水素基、Xはハイドライド基、ハロゲン基、アルコキシル基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミド基、酸アミド基、アミノオキシ基、チオアルコキシ基、アミノ基、メルカプト基およびアルケニルオキシ基より選ばれる加水分解性基を示し、mは0、1または2の整数である。)
(B)炭酸カルシウム、および
(C)タルク
を含有するゴム組成物であって、
前記シリル基含有エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)が下記一般式(2)または(3)
【化7】
(式中、Rは炭素数1〜12の1価の炭化水素基、R 1 は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基、R 2 は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基、R 3 は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基、Xはハイドライド基、ハロゲン基、アルコキシル基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミド基、酸アミド基、アミノオキシ基、チオアルコキシ基、アミノ基、メルカプト基およびアルケニルオキシ基より選ばれる加水分解性基であり、mは0、1または2の整数であり、nは0〜10の整数である。)
で示される少なくとも1種のシリル基含有単位を有する
ことを特徴とするゴム組成物。
2. (A)分子中に下記一般式(1)で示される加水分解性シリル基を含有するシリル基含有エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム、
【化8】
(式中、Rは炭素数1〜12の1価の炭化水素基、Xはハイドライド基、ハロゲン基、アルコキシル基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミド基、酸アミド基、アミノオキシ基、チオアルコキシ基、アミノ基、メルカプト基およびアルケニルオキシ基より選ばれる加水分解性基を示し、mは0、1または2の整数である。)
(B)炭酸カルシウム、および
(C)タルク
を含有するゴム組成物であって、
前記シリル基含有エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)が下記一般式(4)および/または(5)
【化9】
(式中、R1は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基、R2は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基、R3は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基を示し、nは0〜10の整数である。)
で示される少なくとも1種の末端ビニル基含有ノルボルネン化合物を非共役ポリエンとするエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴムに下記一般式(6)
【化10】
(式中、Rは炭素数1〜12の1価炭化水素基、Xはハイドライド基、ハロゲン基、アルコキシル基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミド基、酸アミド基、アミノオキシ基、チオアルコキシ基、アミノ基、メルカプト基およびアルケニルオキシ基より選ばれる加水分解性基を示し、mは0、1または2の整数である。)
で示されるケイ素化合物を反応させて、上記共重合体ゴムの二重結合に上記ケイ素化合物のSiH基を付加させたものである
ことを特徴とするゴム組成物。
3. Xがアルコキシル基である上記1または2に記載のゴム組成物。
4. (B)成分の炭酸カルシウムが、膠質炭酸カルシウムおよび/または重質炭酸カルシウムである上記1〜3のいずれかに記載のゴム組成物。
5. (A)成分100重量部に対して、(B)成分5〜500重量部、および(C)成分5〜300重量部を含有する上記1〜4のいずれかに記載のゴム組成物。
6. (D)成分として、シランカップリング剤0.1〜20重量部をさらに含有する上記5に記載のゴム組成物。
7. 上記1〜6のいずれかに記載のゴム組成物を含有する複層ガラス用シーリング材組成物。
8. 上記1〜6のいずれかに記載のゴム組成物であって、
電気・電子部品、輸送機、土木・建築、医療またはレジャ−の用途に用いられるゴム組成物。
9. 電気・電子部品の用途が、重電部品、弱電部品、電気・電子機器の回路や基板のシーリング材、ポッティング材、コーティング材もしくは接着剤;電線被覆の補修材;電線ジョイント部品の絶縁シール材;OA機器用ロール;振動吸収剤;またはゲルもしくはコンデンサの封入材である上記8に記載のゴム組成物。
10. シーリング材が、冷蔵庫、冷凍庫、洗濯機、ガスメーター、電子レンジ、スチームアイロンまたは漏電ブレーカー用のシール材として用いられる上記9に記載のゴム組成物。
11. ポッティング材が、トランス高圧回路、プリント基板、可変抵抗部付き高電圧用トランス、電気絶縁部品、半導電部品、導電部品、太陽電池またはテレビ用フライバックトランスをポッティングするために用いられる上記9に記載のゴム組成物。
12. コーティング材が、高電圧用厚膜抵抗器もしくはハイブリッドICの回路素子;HIC;電気絶縁部品;半導電部品;導電部品;モジュール;印刷回路;セラミック基板;ダイオード、トランジスタもしくはボンディングワイヤーのバッファー材;半導電体素子;または光通信用オプティカルファイバーをコーティングするために用いられる上記9に記載のゴム組成物。
13. 接着剤が、ブラウン管ウェッジ、ネック、電気絶縁部品、半導電部品または導電部品を接着するために用いられる上記9に記載のゴム組成物。
14. 輸送機の用途が、自動車、船舶、航空機または鉄道車輛の用途である上記8に記載のゴム組成物。
15. 自動車の用途が、自動車エンジンのガスケット、電装部品もしくはオイルフィルター用のシーリング材;イグナイタHICもしくは自動車用ハイブリッドIC用のポッティング材;自動車ボディ、自動車用窓ガラスもしくはエンジンコントロール基板用のコーティング材;またはオイルパンのガスケット、タイミングベルトカバーのガスケット、モール、ヘッドランプレンズ、サンルーフシールもしくはミラー用の接着剤である上記14に記載のゴム組成物。
16. 船舶の用途が、配線接続分岐箱、電気系統部品もしくは電線用のシーリング材;または電線もしくはガラス用の接着剤である上記14に記載のゴム組成物。
17. 土木・建築の用途が、商業用ビルのガラススクリーン工法の付き合わせ目地、サッシとの間のガラス周り目地、トイレ、洗面所もしくはショーケースにおける内装目地、バスタブ周り目地、プレハブ住宅用の外壁伸縮目地、サイジングボード用目地に使用される建材用シーラント;複層ガラス用シーリング材;道路の補修に用いられる土木用シーラント;金属、ガラス、石材、スレート、コンクリートもしくは瓦用の塗料・接着剤;または粘着シート、防水シートもしくは防振シートに用いられる上記8に記載のゴム組成物。
18.医療の用途が、医薬用ゴム栓、シリンジガスケットもしくは減圧血管用ゴム栓用のシール材料である上記8に記載のゴム組成物。
19. レジャーの用途が、スイミングキャップ、ダイビングマスクもしくは耳栓用のスイミング部材;またはスポーツシューズもしくは野球グローブ用のゲル緩衝部材である上記8に記載のゴム組成物。
20. 上記1〜6のいずれかに記載のゴム組成物からなるシーリング材。
21. 上記1〜6のいずれかに記載のゴム組成物からなるポッティング材。
22. 上記1〜6のいずれかに記載のゴム組成物からなるコーティング材。
23. 上記1〜6のいずれかに記載のゴム組成物からなる接着剤。
【0007】
以下、本発明についてさらに詳しく説明する。
(A)成分であるシリル基を含有するシリル基含有エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(以下、「シリル基含有共重合体ゴム」と称することもある)は上記一般式(1)で示される加水分解性シリル基を含有するものであって、上記一般式(2)または(3)で示される少なくとも1種のシリル基含有単位を有するものであり、好ましくは非共役ポリエンに由来する構造単位が上記一般式(4)または(5)で示される少なくとも1種の末端ビニル基含有ノルボルネン化合物よりなるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴムの側鎖または末端に上記一般式(1)で示されるシリル基を含有するものである。
【0008】
一般式(1)中、Rは、非置換または置換の炭素数1〜12の1価炭化水素基であり、好ましくは脂肪族不飽和結合を有さないもので、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、シクロヘキシル等のアルキル基、フェニル、トリル等のアリール基などや、これらの炭素原子に結合した水素原子の一部または全部をフッ素原子等のハロゲン原子などで置換した基が挙げられる。また、Xはハイドライド基、ハロゲン基、アルコキシル基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミド基、酸アミド基、アミノオキシ基、チオアルコキシ基、アミノ基、メルカプト基およびアルケニルオキシ基より選ばれる基を示す。これらの中ではアルコキシル基、特に炭素数1〜4のアルコキシル基が好ましい。mは0、1または2の整数であり、好ましくは0または1である。なお、一般式(2)、(3)、および(6)におけるR、X、mも上記と同様である。
【0009】
シリル基含有共重合体ゴム1分子中シリル基の数は1個以上であり、その数の平均は0.1〜10個あることが好ましい。分子中に含まれるシリル基の数が0.1個未満になると、硬化性が不充分になり、良好なゴム弾性が得られなくなることがある。
【0010】
本発明の加水分解性シリル基を含有するシリル基変性エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴムの製造方法は特に制限されないが、特に好ましくは非共役ポリエンが上記一般式(4)または(5)で示される少なくとも1種の末端ビニル基含有ノルボルネン化合物よりなるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴムに上記一般式(6)で示されるケイ素化合物をハイドロシリレーション反応させる方法が好ましい。
【0011】
上記一般式(6)で示されるケイ素化合物と反応させられるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴムは、エチレンと、炭素原子数3〜20のα−オレフィンと、非共役ポリエンとのランダム共重合体である。
このような炭素原子数3〜20のα−オレフィンとしては、具体的には、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセン、9−メチル−1−デセン、11−メチル−1−ドデセン、12−エチル−1−テトラデセンなどが挙げられる。中でも、炭素原子数3〜10のα−オレフィンが好ましく、特にプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどが好ましく用いられる。
これらのα−オレフィンは、単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いられる。
【0012】
本発明で好ましく用いられる非共役ポリエンは、上記一般式(4)または(5)で表わされる末端ビニル基含有ノルボルネン化合物である。
一般式(4)において、nは0ないし10の整数である。
R1は水素原子または炭素原子数1〜10のアルキル基であり、R1の炭素原子数1〜10のアルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、t−ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基などが挙げられる。
R2は水素原子または炭素原子数1〜5のアルキル基である。
R2の炭素原子数1〜5のアルキル基の具体例としては、上記R1の具体例のうち、炭素原子数1〜5のアルキル基が挙げられる。
一般式(5)において、R3は水素原子または炭素原子数1〜10のアルキル基である。R3のアルキル基の具体例としては、上記R1のアルキル基の具体例と同じアルキル基を挙げることができる。
なお、上記一般式(2)におけるR1、nは上記一般式(4)のR1、nと同様であり、上記一般式(3)におけるR3は上記一般式(5)のR3と同様である。
【0013】
上記一般式(4)または(5)表わされるノルボルネン化合物としては、具体的には、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−(2−プロペニル)−2−ノルボルネン、5−(3−ブテニル)−2−ノルボルネン、5−(1−メチル−2−プロペニル)−2−ノルボルネン、5−(4−ペンテニル)−2−ノルボルネン、5−(1−メチル−3−ブテニル)−2−ノルボルネン、5−(5−ヘキセニル)−2−ノルボルネン、5−(1−メチル−4−ペンテニル)−2−ノルボルネン、5−(2,3−ジメチル−3−ブテニル)−2−ノルボルネン、5−(2−エチル−3−ブテニル)−2−ノルボルネン、5−(6−ヘプテニル)−2−ノルボルネン、5−(3−メチル−5−ヘキセニル)−2−ノルボルネン、5−(3,4−ジメチル−4−ペンテニル)−2−ノルボルネン、5−(3−エチル−4−ペンテニル)−2−ノルボルネン、5−(7−オクテニル)−2−ノルボルネン、5−(2−メチル−6−ヘプテニル)−2−ノルボルネン、5−(1,2−ジメチル−5−ヘキセシル)−2−ノルボルネン、5−(5−エチル−5−ヘキセニル)−2−ノルボルネン、5−(1,2,3−トリメチル−4−ペンテニル)−2−ノルボルネンなど挙げられる。このなかでも、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−(2−プロペニル)−2−ノルボルネン、5−(3−ブテニル)−2−ノルボルネン、5−(4−ペンテニル)−2−ノルボルネン、5−(5−ヘキセニル)−2−ノルボルネン、5−(6−ヘプテニル)−2−ノルボルネン、5−(7−オクテニル)−2−ノルボルネンが好ましい。これらのノルボルネン化合物は、単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0014】
上記ノルボルネン化合物たとえば5−ビニル−2−ノルボルネンの他に、本発明の目的とする物性を損なわない範囲で、以下に示す非共役ポリエンを併用することもできる。
このような非共役ポリエンとしては、具体的には、1,4−ヘキサジエン、3−メチル−1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、4,5−ジメチル−1,4−ヘキサジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン等の鎖状非共役ジエン;
メチルテトラヒドロインデン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、5−ビニリデン−2−ノルボルネン、6−クロロメチル−5−イソプロペニル−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン等の環状非共役ジエン;
2,3−ジイソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−エチリデン−3−イソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−プロペニル−2,2−ノルボルナジエン等のトリエンなどが挙げられる。
【0015】
上記のような諸成分からなるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体は、以下のような組成を有している。
(i)エチレンと炭素原子数3〜20のα−オレフィンとのモル比(エチレン/α−オレフィン)
エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴムは、(a)エチレンで導かれる単位と(b)炭素原子数3〜20のα−オレフィン(以下単にα−オレフィンということがある)から導かれる単位とを、40/60〜95/5、好ましくは50/50〜90/10、さらに好ましくは55/45〜85/15、特に好ましくは60/40〜80/20のモル比〔(a)/(b)〕で含有している。
このモル比が上記範囲内にあると、耐熱老化性、強度特性およびゴム弾性に優れるとともに、耐寒性および加工性に優れた加硫ゴム成形体を提供できるゴム組成物が得られる。
【0016】
(ii)ヨウ素価
エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴムのヨウ素価は、0.5〜50(g/100g)、好ましくは0.8〜40(g/100g)、さらに好ましくは1〜30(g/100g)、特に好ましくは1.5〜25(g/100g)である。ここで、ヨウ素価は上記一般式(4)および/または一般式(5)で示される末端ビニル基含有ノルボルネンに由来する構造単位に含まれる二重結合の量に相当する値である。
このヨウ素価が上記範囲内にあると、加水分解性シリル基を所望の含有量に調整でき、しかも耐圧縮永久歪み性に優れるとともに、耐環境劣化性(耐熱老化性)に優れた加硫ゴム成形体を提供できるゴム組成物が得られる。ヨウ素価が50を超えると、コスト的に不利になるので好ましくない。
(iii)極限粘度
エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴムの135℃デカリン中で測定した極限粘度〔η〕は、0.001〜2dl/g、好ましくは0.01〜2dl/g、さらに好ましくは0.05〜1dl/g、特に好ましくは0.05〜0.7dl/g、最も好ましくは0.1〜0.5dl/gであることが望ましい。
この極限粘度〔η〕が上記範囲内にあると、強度特性および耐圧縮永久歪み性に優れた架橋ゴム成形体を提供できる、流動性に優れたゴム組成物が得られる。
【0017】
(iv)分子量分布(Mw/Mn)
エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴムのGPCにより測定した分子量分布(Mw/Mn)は、3〜100、好ましくは3.3〜75、さらに好ましくは3.5〜50である。
この分子量分布(Mw/Mn)が上記範囲内にあると、加工性に優れるとともに、強度特性に優れた架橋ゴム成形体を提供できるゴム組成物が得られる。
【0018】
エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴムは、下記化合物(H)および(I)を主成分として含有する触媒の存在下に、重合温度30〜60℃、特に30〜59℃、重合圧力4〜12kgf/cm2、特に5〜8kgf/cm2、非共役ポリエンとエチレンとの供給量のモル比(非共役ポリエン/エチレン)0.01〜0.2の条件で、エチレンと、炭素原子数3〜20のα−オレフィンと、上記一般式(4)または(5)で表わされる末端ビニル基含有ノルボルネン化合物とをランダム共重合することにより得られる。共重合は、炭化水素媒体中で行なうのが好ましい。
【0019】
(H)VO(OR)nX3-n(式中、Rは炭化水素基であり、Xはハロゲン原子であり、nは0または1〜3の整数である)で表わされる可溶性バナジウム化合物、またはVX4(Xはハロゲン原子である)で表わされるバナジウム化合物。
上記可溶性バナジウム化合物(H)は、重合反応系の炭化水素媒体に可溶性の成分であり、具体的には、一般式 VO(OR)aXbまたはV(OR)cXd(式中、Rは炭化水素基であり、0≦a≦3、0≦b≦3、2≦a+b≦3、0≦c≦4、0≦d≦4、3≦c+d≦4)で表わされるバナジウム化合物、あるいはこれらの電子供与体付加物を代表例として挙げることができる。
より具体的には、VOCl3、VO(OC2H5)Cl2、
VO(OC2H6)2Cl、VO(O−iso−C3H7)Cl2、
VO(O−n−C4H9)Cl2、VO(OC2H5)3、VOBr3、VCl4、
VOCl3、VO(O−n−C4H9)3、VCl3・2OC6H12OHなどを例示することができる。
【0020】
(I)R’mAlX’3-m(R’は炭化水素基であり、X’はハロゲン原子であり、mは1〜3である)で表わされる有機アルミニウム化合物。
上記有機アルミニウム化合物(I)としては、具体的には、
トリエチルアルミニウム、トリブチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム;
ジエチルアルミニウムエトキシド、ジブチルアルミニウムブトキシド等のジアルキルアルミニウムアルコキシド;
エチルアルミニウムセスキエトキシド、ブチルアルミニウムセスキブトキシド等のアルキルアルミニウムセスキアルコキシド;
R0.5Al(OR1)0.5などで表わされる平均組成を有する部分的にアルコキシ化されたアルキルアルミニウム;
ジエチルアルミニウムクロリド、ジブチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムブロミド等のジアルキルアルミニウムハライド;
エチルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキブロミド等のアルキルアルミニウムセスキハライド、エチルアルミニウムジクロリド、プロピルアルミニウムジクロリド、ブチルアルミニウムジブロミド等のアルキルアルミニウムジハライドなどの部分的にハロゲン化されたアルキルアルミニウム;
ジエチルアルミニウムヒドリド、ジブチルアルミニウムヒドリド等のジアルキルアルミニウムヒドリド、エチルアルミニウムジヒドリド、プロピルアルミニウムジヒドリド等のアルキルアルミニウムジヒドリドなどの部分的に水素化されたアルキルアルミニウム;
エチルアルミニウムエトキシクロリド、ブチルアルミニウムブトキシクロリド、エチルアルミニウムエトキシブロミドなどの部分的にアルコキシ化およびハロゲン化されたアルキルアルミニウムなどを挙げることができる。
【0021】
上記化合物(H)のうち、VOCl3で表わされる可溶性バナジウム化合物と、上記化合物(I)のうち、Al(OC2H5)2Cl/Al2(OC2H5)3Cl3のブレンド物(ブレンド比は1/5以上)を触媒成分として使用すると、ソックスレー抽出(溶媒:沸騰キシレン、抽出時間:3時間、メッシュ:325)後の不溶解分が1%以下であるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴムが得られるので好ましい。
また、上記共重合の際に使用する触媒として、いわゆるメタロセン触媒たとえば特開平9−40586号公報に記載されているメタロセン触媒を用いても差し支えない。
【0022】
次に、上記エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴムに対し上記一般式(6)で示されるケイ素化合物をハイドロシリレーション反応(ヒドロシリル化反応)させてシリル基変性エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムを製造する方法について述べる。
【0023】
上記一般式(6)におけるXで示される加水分解性基の例について説明する。
ハイドライド基は水素原子である。
ハロゲン基としては、例えば塩素原子、フッ素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
アルコキシル基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、プロポキシブトキシ基、イソプロポキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、フェノキシ基等が挙げられる。
アシルオキシ基としては、例えばアセトキシ基、ベンゾイルオキシ基等が挙げられる。
ケトキシメート基としては、アセトキシメート基、ジメチルケトキシメート基、ジエチルケトキシメート基、シクロヘキシルケトキシメート基等が挙げられる。
アミド基としては、ジメチルアミド基、ジエチルアミド基、ジプロピルアミド基、ジブチルアミド基、ジフェニルアミド基等が挙げられる。
酸アミド基としては、カルボン酸アミド基、マレイン酸アミド基、アクリル酸アミド基、イタコン酸アミド基等が挙げられる。
チオアルコキシ基としては、例えばチオメトキシ基、チオエトキシ基、チオプロポキシ基、チオイソプロポキシ基、sec−チオブトキシ基、tert−チオブトキシ基、チオペンチルオキシ基、チオヘキシルオキシ基、チオフェノキシ基等が挙げられる。
アミノ基としては、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基、ジフェニルアミノ基等が挙げられる。
これらのなかでは、アルコキシル基が好ましい。
【0024】
上記一般式(6)のケイ素化合物としては、具体的には、
トリクロロシラン、メチルジクロロシラン、ジメチルクロロシラン、エチルジクロロシラン、ジエチルクロロシラン、フェニルジクロロシラン、ジフェニルクロロシラン等のハロゲン化シラン類;
トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、エチルジメトキシシラン、ブチルジメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、エチルジエトキシシラン、ブチルエトキシシラン、フェニルジメトキシシラン等のアルコキシシラン類;
トリアセトキシシラン、メチルジアセトキシシラン、フェニルジアセトキシシラン等のアシロキシシラン類;
トリス(アセトキシメート)シラン、ビス(ジメチルケトキシメート)メチルシラン、ビス(メチルエチルケトキシメート)メチルシラン、ビス(シクロヘキシルケトキシメート)メチルシラン等のケトキシメートシラン類;
アミノオキシシラン、トリアミノオキシシラン等のアミノオキシシラン類
等が挙げられる。
これらの中では特にアルコキシシラン類が望ましい。
【0025】
上記一般式(6)のケイ素化合物の使用量は、これと反応するエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム中の二重結合1モル当たりに対して0.01〜5モル、好ましくは0.05〜3モルとすることが好ましい。
【0026】
反応は、遷移金属錯体の触媒を使用して行うことが好ましい。触媒としては、例えば白金、ロジウム、コバルト、パラジウムおよびニッケルから選ばれるVIII属遷移金属錯体化合物が有効に使用される。これらの中では特に塩化白金酸、白金オレフィン錯体のような白金系触媒が好ましい。この場合、触媒の使用量は触媒量であるが、好ましくは反応物に対して金属単位として0.1〜10000ppm、より好ましくは1〜1000ppm、特に好ましくは20〜200ppmである。このハイドロシリレーション反応の好適な温度は30〜180℃、好ましくは60〜150℃である。また、必要に応じて加圧下で反応させてもよい。反応時間は10秒から10時間程度である。
【0027】
なお、溶剤は使用してもしなくてもよいが、使用する場合はエーテル類、炭化水素類のような不活性溶剤が好ましい。
【0028】
上記ハイドロシリレーション反応により、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム中の非共役ポリエンに由来する二重結合に一般式(6)で示されるケイ素化合物のSiH基が付加し、例えば非共役ポリエンが上記一般式(4)または(5)である場合、上記一般式(2)あるいは(3)で示されるシリル基含有単位が生成する。
【0029】
なお、反応に際して、上記一般式(6)で示されるケイ素化合物と共に下記式(7)で示される片末端水素変性シロキサンを付加させて、シロキサンの特徴である耐候性、滑り性、ガス透過性を付与することも可能である。
【0030】
【化9】
【0031】
(式中、R4は非置換または置換の炭素数1〜12の1価の炭化水素基であり、特にアルキル基であることが好ましい。また、pは5〜200、特に好ましくは10〜150の整数である。)
【0032】
本発明のゴム組成物中、シリル基含有共重合体ゴムの含有率は10%以上が好ましく、20%以上がより好ましく、30%以上がとくに好ましい。本発明のゴム組成物においては、組成物の良好な作業性(糸ひき性)と該組成物の硬化物の高い機械特性、特に硬度を両立するために、(B)成分である炭酸カルシウムと(C)成分であるタルクの2種類のフィラーが配合される。
【0033】
(B)成分の炭酸カルシウムには、天然のチョーク(白亜)、石灰石、大理石などを機械的に粉砕・加工した重質炭酸カルシウムと、石灰石等の原料を用いて化学反応によって湿式で製造される軽質炭酸カルシウムがある。軽質炭酸カルシウムの中でも、製造条件の制御によりコロイド状の極微細粒子とした炭酸カルシウムは特に膠質(コロイド)炭酸カルシウムと呼ばれている。これらの炭酸カルシウムの中でも、低コストの重質炭酸カルシウムと、作業性(糸ひき性)改善効果の大きい膠質炭酸カルシウムを用いるのが好ましい。これらは単独で用いてもよく、併用してもよい。
【0034】
重質炭酸カルシウムの粉砕方法には乾式法と湿式法があるが、湿式粉砕品は本発明のゴム組成物の貯蔵安定性を悪化させることが多いために好ましくない。本発明に用いる炭酸カルシウムは、表面処理剤を用いて表面処理を施した炭酸カルシウムであることがより好ましい。表面処理炭酸カルシウムを(B)成分として用いた場合、本発明の組成物の接着性などを改善し、作業性改善効果がより向上する。
【0035】
前記の表面処理剤としては脂肪酸、脂肪酸石鹸、脂肪酸エステルなどの有機物や各種界面活性剤、および、シランカップリング剤やチタネートカップリング剤などの各種カップリング剤が用いられる。具体例としては、カプロン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸等の脂肪酸と、それら脂肪酸のナトリウム、カリウム等の塩、そして、それら脂肪酸のアルキルエステルが挙げられる。界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステルや長鎖アルコール硫酸エステル等と、それらのナトリウム塩、カリウム塩等の硫酸エステル型陰イオン界面活性剤、また、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルナフタレンスルホン酸、パラフィンスルホン酸、α−オレフィンスルホン酸、アルキルスルホコハク酸等と、それらのナトリウム塩、カリウム塩等のスルホン酸型陰イオン界面活性剤等が挙げられる。
【0036】
前記の表面処理剤の処理量は、炭酸カルシウムに対して、0.1〜20重量%の範囲で処理するのが好ましく、1〜5重量%の範囲で処理するのがより好ましい。処理量が0.1重量%未満の場合には、作業性、接着性と耐候安定性の改善効果が十分でないことがあり、20重量%を越えると該硬化性組成物の貯蔵安定性が低下することがある。
【0037】
(B)成分の配合量は、(A)成分100重量部に対して、5〜500重量部の範囲で使用するのが好ましく、20〜350重量部の範囲で使用するのがより好ましく、40〜200重量部の範囲で使用するのがとくに好ましい。配合量が5重量部未満の場合には、組成物の作業性(糸ひき性)改善効果が十分でないことがあり、500重量部を越えるとゴム組成物の接着性が低下することがある。(B)成分は単独で使用しても良いし、2種以上併用しても良い。
【0038】
(C)成分のタルクは、滑石と呼ばれる原石を機械的に粉砕・加工・分級により得られる無機充填剤であり、マグネシウムシリケート(3MgO・4SiO2・H2O)を主成分としている。本発明に用いるタルクは、無処理タルクでもよく、表面処理剤を用いて表面処理を施したタルクでもよい。表面処理タルクを(C)成分として用いた場合、本発明のゴム組成物の貯蔵安定性を改善する。
【0039】
前記の表面処理剤としては、先述の炭酸カルシウムの表面処理剤と同一のもの等があげられる。(C)成分の配合量は、(A)成分100重量部に対して、5〜300重量部の範囲で使用するのが好ましく、20〜200重量部の範囲で使用するのがより好ましく、40〜150重量部の範囲で使用するのがとくに好ましい。配合量が5重量部未満では、ゴム組成物の硬化物の機械特性の改善効果が十分でないことがあり、300重量部を越えるとゴム組成物の接着性が低下することがある。本発明の(C)成分は単独で使用してもよいし、2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0040】
本発明のゴム組成物には、(B)炭酸カルシウムと(C)タルク以外の充填剤として、種々の充填剤を配合することができる。このような充填剤としては、ヒュームドシリカ、沈降性シリカ、無水ケイ酸、含水ケイ酸およびカーボンブラックのような補強性充填剤;珪藻土、焼成クレー、クレー、酸化チタン、ベントナイト、有機ベントナイト、酸化第二鉄、酸化亜鉛及び活性亜鉛華等のような充填剤;ガラス繊維およびフィラメントのような繊維状充填剤が使用できる。
【0041】
本発明のゴム組成物には、(D)成分としてシランカップリング剤を配合することができる。シランカップリング剤は、被着体や基材とシリル基含有共重合体ゴムの硬化物との接着強度を向上させる。シランカップリング剤は、加水分解性基が結合したケイ素原子を含む基(以下加水分解性ケイ素基という)およびそれ以外の官能基を有する化合物である。この加水分解性ケイ素基の例としては、前記一般式(6)で表される基の内Xが加水分解性基である物を挙げることができる。具体的には、加水分解性基として既に例示した基を挙げることができるが、メトキシ基、エトキシ基等が加水分解速度の点から好ましい。加水分解性基の個数は、2個以上が好ましく、特に3個以上が好ましい。
【0042】
加水分解性ケイ素基以外の官能基としては、1級、2級、3級のアミノ基、メルカプト基、エポキシ基、カルボキシル基、ビニル基、イソシアネート基、イソシアヌレート、ハロゲン等を例示できる。これらの内、1級、2級、3級のアミノ基、エポキシ基、イソシアネート基、イソシアヌレート等が好ましく、イソシアネート基、エポキシ基が特に好ましい。
【0043】
加水分解性ケイ素基とそれ以外の官能基は、アルキレン基、アリーレン基等の炭化水素基で結合されていればよいが、特にそれらに限定されるものではない。
シランカップリング剤の分子量は、500以下、特に300以下であることが好ましい。シランカップリング剤の具体例としては、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビニルベンジル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノ基含有シラン類;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン等のメルカプト基含有シラン類;γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン等のエポキシ基含有シラン類;β−カルボキシエチルトリエトキシシラン、β−カルボキシエチルフェニルビス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−β−(カルボキシメチル)アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のカルボキシシラン類;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクロイルオキシプロピルメチルトリエトキシシラン等のビニル型不飽和基含有シラン類;γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等のハロゲン含有シラン類;トリス(トリメトキシシリル)イソシアヌレート等のイソシアヌレートシラン類;γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルメチルジエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルメチルジメトキシシラン等のイソシアネート基含有シラン類等を挙げることができる。また、これらを変性した誘導体である、アミノ変性シリルポリマー、シリル化アミノポリマー、不飽和アミノシラン錯体、ブロックイソシアネートシラン、フェニルアミノ長鎖アルキルシラン、アミノシリル化シリコーン、シリル化ポリエステル等もシランカップリング剤として用いることができる。
【0044】
本発明に用いるシランカップリング剤は、(A)成分であるシリル基含有共重合体ゴム100重量部に対し、0.1〜20重量部の範囲で使用される。特に、0.5〜10重量部の範囲で使用するのが好ましい。上記シランカップリング剤は1種類のみで使用してもよいし、2種類以上混合使用してもよい。本発明のゴム組成物にはシランカップリング剤以外の接着性付与剤も用いることができる。
【0045】
本発明のゴム組成物には、シラノール縮合反応を促進する硬化触媒を配合するのが望ましい。このような硬化触媒としては、従来公知のものを広く使用できる。その具体例としては、例えばテトラブチルチタネート、テトラプロピルチタネート等のチタン酸エステル類;シブチルスズジラウレート、ジブチルスズマレエート、ジブチルスズジアセテート、オクチル酸スズ、ナフテン酸スズ等のスズカルボン酸塩類;シブチルスズオキサイドとフタル酸エステルとの反応物;シブチルスズジアセチルアセトナート;アルミニウムトリスアセチルアセトナート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、ジイソプロポシアルミニウムエチルアセトアセテート等の有機アルミニウム化合物類;ジルコニウムテトラアセチルアセトナート、チタンテトラアセチルアセトナート等のキレート化合物類;オクチル酸鉛;ブチルアミン、オクチルアミン、ジブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、オレイルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、キシレンジアミン、トリエチレンジアミン、グアニジン、ジフェニルグアニジン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、モルホリン、N−メチルモルホリン、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕ウンデセン−7(DBU)等のアミン系化合物、或いはこれらのカルボン酸等との塩;過剰のポリアミンと多塩基酸とから得られる低分子量ポリアミド樹脂;過剰のポリアミンとエポキシ化合物との反応生成物;アミノ基を有するシランカップリング剤、例えばγ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のシラノール縮合触媒、更には他の酸性触媒、塩基性触媒等の公知のシラノール縮合触媒等が挙げられる。これらの触媒は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
【0046】
硬化触媒を用いる場合、その配合量は、(A)成分100重量部当り、通常0.1〜20重量部程度、好ましくは1〜10重量部程度がよい。(A)成分に対する硬化触媒の配合量が少な過ぎると、得られるゴム組成物の硬化速度が遅くなり、一方多過ぎると、得られる硬化物の引張特性等の物性が低下するので、いずれも好ましくない。
【0047】
本発明のゴム組成物には、更に接着性改良剤、物性調整剤、保存安定性改良剤、可塑剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、金属不活性化剤、オゾン劣化防止剤、光安定剤、アミン系ラジカル連鎖禁止剤、リン系過酸化物分解剤、滑剤、顔料、発泡剤等の各種添加剤を適宜添加できる。
【0048】
ここで、接着性改良剤としては、上記した(D)成分であるシランカップリング剤以外の一般に用いられている接着剤やその他の化合物を用いることができる。このような接着性改良剤の具体例としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、クマロン−インデン樹脂、ロジンエステル樹脂、テルペン−フェノール樹脂、α−メチルスチレン−ビニルトルエン共重合体、ポリエチルメチルスチレン、アルキルチタネート類、芳香族ポリイソシアネート等を挙げることができる。接着性改良剤を配合する場合、その配合量は、(A)成分100重量部当り、1〜50重量部程度が好ましく、5〜30重量部程度がより好ましい。
保存安定性改良剤としては、例えば珪素原子に加水分解性基が結合した化合物やオルト有機酸エステル等を挙げることができる。このような保存安定性改良剤の具体例としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、トリメチルイソブトキシシラン、トリメチル(n−ブトキシ)シラン、n−ブチルトリメトキシシランやオルトギ酸メチル等を挙げることができる。保存安定性改良剤を配合する場合、その配合量としては、(A)100重量部当り、0.5〜2重量部程度が好ましく、1〜10重量部程度がより好ましい。
【0049】
可塑剤も特に限定されるものではなく、通常用いられている可塑剤がいずれも使用できるが、本発明のゴム組成物に配合される各種成分と相溶性のよいものが好ましい。このような可塑剤の具体例としては、例えばポリブテン、水添ポリブデン、エチレン・α−オレフィンオリゴマー、α−メチルスチレンオリゴマー、ビフェニル、トリフェニル、トリアリールジメタン、アルキレントリフェニル、液状ポリブタジエン、水添液状ポリブタジエン、アルキルジフェニル、部分水素添加ターフェニル、パラフィン油、ナフテン油、アタクチックポリプロピレン等の炭化水素系化合物類;塩化パラフィン類;ジブチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジ(2−エチルヘキシル)フタレート、ブチルベンジルフタレート、ブチルフタリルブチルグリコレート等のフタル酸エステル類;ジオクチルアジペート、ジオクチルセバケート等の非芳香族2塩基酸エステル類;ジエチレングリコールベンゾエート、トリエチレングリコールジベンゾエート等のポリアルキレングリコールのエステル類;トリクレジルホスフェート、トリブチルホスフェート等のリン酸エステル類等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
これらの中で不飽和基を有さない炭化水素系化合物類(具体的には水添ポリブデン、水添液状ポリブタジエン、パラフィン油、ナフテン油、アタクチックポリプロピレン等)が、本発明組成物に配合される各種成分との相溶性が良好であり、またゴム組成物の硬化速度への影響が小さく、しかも得られる硬化物の耐候性が良好となり、且つ安価なため、好ましい。
【0050】
これらの可塑剤は、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムに反応性珪素基を導入する際に、反応温度の調節、反応系の粘度の調節等の目的で溶剤の代りに用いてもよい。
【0051】
可塑剤を配合する場合、その配合量は、(A)成分100重量部当り、10〜500重量部程度が好ましく、20〜300重量部程度がより好ましい。
【0052】
上記老化防止剤としては、通常用いられている公知の老化防止剤、例えば硫黄系老化防止剤、ラジカル禁止剤、紫外線吸収剤等が挙げられる。
硫黄系老化防止剤としては、例えばメルカプタン類、メルカプタンの塩類、スルフィドカルボン酸エステル類やヒンダードフェノール系スルフィド類を含むスルフィド類、ポリスルフィド類、ジチオカルボン酸塩類、チオウレア類、チオホスフェイト類、スルホニウム化合物、チオアルデヒド類、チオケトン類、メルカプタール類、メルカプトール類、モノチオ酸類、ポリチオ酸類、チオアミド類、スルホキシド類等が挙げられる。硫黄系老化防止剤の具体例としては、メルカプタン類である2−メルカプトベンゾチアゾール、メルカプタンの塩類である2−メルカプトベンゾチアゾールの亜鉛塩、スルフィド類である4,4'−チオ−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4'−チオ−ビス(2−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2'−チオ−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルベンジル)スルフィド、テレフタロイルジ(2,6−ジメチル−4−t−ブチル−3−ヒドロキシベンジル)スルフィド、フェノチアジン、2,2'−チオ−ビス(4−オクチルフェノール)ニッケル、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネート、ジトリデシルチオジプロピオネート、ジステアリルβ,β'−チオジブチレート、ラウリル−ステアリルチオジプロピオネート、2,2−チオ〔ジエチル−ビス−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)プロピオネート〕、ポリスルフィド類である2−ベンゾチアゾールジスルフィド、ジチオカルボン酸塩類であるチンクジブチルジチオカルバメート、チンクジエチルジチオカルバメート、ニッケルジブチルジチオカルバメート、チンクジ−n−ブチルジチオカルバメート、ジブチルアンモニウムジブチルジチオカルバメート、チンクエチル−フェニル−ジチオカルバメート、チンクジメチルジオカルバメート、チオウレア類である1−ブチル−3−オキシ−ジエチレン−2−チオウレア、ジ−o−トリル−チオウレア、エチレンチオウレア、チオホスウェイト類であるトリラウリルトリチオホスフェイト等を挙げることができる。
このような硫黄系老化防止剤は、他の老化防止剤に比べて本発明のゴム組成物に用いた場合、主鎖の熱による分解劣化を大巾に防止することができ、表面タック(べとつき)の発生等を防止することができる。
【0053】
上記ラジカル禁止剤としては、例えば2,2−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、テトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン等のフェノール系ラジカル禁止剤や、フェニル−β−ナフチルアミン、α−ナフチルアミン、N,N'−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、フェノチアジン、N,N'−ジフェニル−p−フェニレンジアミン等のアミン系ラジカル禁止剤等が挙げられる。
上記紫外線吸収剤としては、例えば2−(2'−ヒドロキシ−3',5'−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジン)セバケート等が挙げられる。
上記老化防止剤を配合する場合、その配合量は、(A)成分100重量部当り、0.1〜20重量部程度が好ましく、1〜10重量部程度がより好ましい。
【0054】
本発明の炭酸カルシウムとタルクとの併用効果は、前述の各種添加剤が添加された場合も同様に認められる。すなわち、本発明のゴム組成物が建築用弾性シーリング剤や複層ガラス用シーリング剤、SSG工法用シーリング材、および、網入りガラスや合わせガラス端面(切断部)の防錆・防水用封止材などに用いられた場合、該充填剤の添加により、それらシーリング剤の作業性(糸ひき性)を改善するとともに機械特性(硬度)も改善することができる。
【0055】
本発明のゴム組成物は、上記各成分を、インターミックスミキサー、プラネタリーミキサー、バンバリーミキサー、ニーダー、2本ロールなどの混練り機を使用して、均一に混練することにより調製することができる。
また、本発明のゴム組成物の硬化は、硬化速度が速いので、室温〜200℃で数分間〜数日間で行われる。特に、空気中の水分と反応させ、架橋させるのが好ましい。
【0056】
(ゴム組成物の用途)
本発明のゴム組成物は、電気・電子部品、輸送機、土木・建築、医療またはレジャーの用途などに用いられる。
【0057】
電気・電子部品の用途としては、具体的には、重電部品、弱電部品、電気・電子機器の回路や基板のシーリング材、ポッティング材、コーティング材もしくは接着材;電線被覆の補修材;電線ジョイント部品の絶縁シール材;OA機器用ロール;振動吸収剤;またはゲルもしくはコンデンサの封入材などが挙げられる。
【0058】
上記シーリング材は、たとえば冷蔵庫、冷凍庫、洗濯機、ガスメーター、電子レンジ、スチームアイロン、漏電ブレーカー用のシール材として好適に用いられる。
【0059】
上記ポッティング材は、たとえばトランス高圧回路、プリント基板、可変抵抗部付き高電圧用トランス、電気絶縁部品、半導電部品、導電部品、太陽電池またはテレビ用フライバックトランスをポッティングするために好適に用いられる。
【0060】
上記コーティング材は、たとえば高電圧用厚膜抵抗器もしくはハイブリッドIC等の各種回路素子;HIC、電気絶縁部品;半導電部品;導電部品;モジュール;印刷回路;セラミック基板;ダイオード、トランジスタもしくはボンディングワイヤー等のバッファー材;半導電体素子;または光通信用オプティカルファイバーをコーティングするために好適に用いられる。
【0061】
上記接着剤は、たとえばブラウン管ウェッジ、ネック、電気絶縁部品、半導電部品または導電部品を接着するために好適に用いられる。
上記輸送機の用途としては、自動車、船舶、航空機または鉄道車輛の用途がある。
【0062】
自動車の用途としては、たとえば自動車エンジンのガスケット、電装部品もしくはオイルフィルターのシーリング材;イグナイタHICもしくは自動車用ハイブリッドICのポッティング材;自動車ボディ、自動車用窓ガラス、エンジンコントロール基板のコーティング材;またはオイルパンもしくはタイミングベルトカバー等のガスケット、モール、ヘッドランプレンズ、サンルーフシール、ミラー用の接着剤などが挙げられる。
【0063】
船舶の用途としては、たとえば配線接続分岐箱、電気系統部品もしくは電線用のシーリング材;電線もしくはガラス用の接着剤などが挙げられる。
上記の土木建築の用途としては、たとえば商業用ビルのガラススクリーン工法の付き合わせ目地、サッシとの間のガラス周り目地、トイレ、洗面所もしくはショーケース等における内装目地、バスタブ周り目地、プレハブ住宅用の外壁伸縮目地、サイジングボード用目地に使用される建材用シーラント;複層ガラス用シーリング材;道路の補修に用いられる土木用シーラント;金属、ガラス、石材、スレート、コンクリートもしくは瓦用の塗料・接着剤;または粘着シート、防水シートもしくは防振シートなどが挙げられる。
【0064】
上記の医療の用途としては、たとえば医薬用ゴム栓、シリンジガスケット、減圧血管用ゴム栓などが挙げられる。
上記のレジャーの用途としては、たとえばスイミングキャップ、ダイビングマスク、耳栓等のスイミング部材;スポーツシューズ、野球グローブ等のゲル緩衝部材などが挙げられる。
【0065】
本発明のゴム組成物は、電気・電子部品、輸送機、土木建築、レジャー等の用途において、シーリング材(シール材)、ポッティング材、コーティング材、接着剤として好適に用いることができる。
【0066】
【発明の効果】
本発明のゴム組成物は、(A)分子中に上記一般式(1)で示される加水分解性シリル基を含有するシリル基含有エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム、(B)炭酸カルシウム、および(C)タルクを含有し、前記シリル基含有エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)が前記一般式(2)または(3)で示される少なくとも1種のシリル基含有単位を有するので、作業性と硬化物の機械的特性が高度にバランスし、硬化速度も十分であり、しかも硬化物の耐候性が優れる。従って、複層ガラス用シーリング材に好適に用いることができる他、上記した建築用弾性シーリング剤、SSG工法用シーリング材、網入りガラスや合わせガラス端面(切断部)の防錆、防水用封止材などに用いることができる。
【0067】
【発明の実施の形態】
以下、実施例および比較例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0068】
製造例1
〔シリル基含有エチレン・プロピレン・5−ビニル−2−ノルボルネンランダム共重合体ゴムの製造〕
撹拌羽根を備えた実質内容積100リットルのステンレス製重合器(撹拌回転数=250rpm)を用いて、連続的にエチレンとプロピレンと5−ビニル−2−ノルボルネンとの三元共重合を行なった。重合器側部より液相へ毎時ヘキサンを60リットル、エチレンを2.5kg、プロピレンを4.0kg、5−ビニル−2−ノルボルネンを380gの速度で、また、水素を700リットル、触媒としてVO(OC2H5)2Clを45ミリモル、Al(Et)1.5Cl1.5を315ミリモルの速度で連続的に供給した。
以上に述べたような条件で共重合反応を行なうと、エチレン・プロピレン・5−ビニル−2−ノルボルネンランダム共重合体ゴムが均一な溶液状態で得られた。
その後、重合器下部から連続的に抜き出した重合溶液中に少量のメタノールを添加して重合反応を停止させ、スチームストリッピング処理にて重合体を溶媒から分離したのち、55℃で48時間真空乾燥を行った。
上記のようにして得られたエチレン・プロピレン・5−ビニル−2−ノルボルネンランダム共重合体ゴムは、エチレン含量68モル%、ヨウ素価10、極限粘度〔η〕0.2dl/g、分子量分布(Mw/Mn)15であった。
【0069】
製造されたエチレン・プロピレン・5−ビニル−2−ノルボルネン共重合体ゴム 100gに2%塩化白金酸のトルエン溶液0.3gを加え、メチルジメトキシシラン1.5gを仕込み、120℃で2時間反応させた。反応後、過剰のメチルジメトキシシランと溶剤を留去したところ、ジメトキシメチルシリル基含有共重合体ゴム101.5gが得られた。
【0070】
実施例1〜2、比較例1〜3
製造例で得られたジメトキシシリル基含有共重合体ゴムと、パラフィン系プロセスオイル(出光興産(株)製、商品名ダイアナプロセスPS−32)、膠質炭酸カルシウム(白石工業(株)製、商品名EDS−D10A)、重質炭酸カルシウム(丸尾カルシウム(株)製、商品名スノーライトSS)、タルク(富士タルク工業(株)製、商品名タルクLMR)、Na2SO4・10H2O(和光純薬製)、および、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン(日本ユニカー(株)製、商品名シランカップリング剤Y−9030)を表1に示す重量部加え、三本ペイントロールでよく混練して主剤とした。
【0071】
上記の主剤を用いてヘラ作業を行い、その際の糸ひき性を評価した。
さらに、上記の主剤に、硬化触媒としてジブチルスズビスアセチルアセトナート(日東化成(株)製、商品名ネオスタンU−220)を404:2の重量比で秤量し、手混ぜ混練した。充分混練した後、配合物中の泡をスパチュラで押しつぶしながら、テフロンのシートを敷いたアルミの型枠(厚み:2mm)に充填し、シート状サンプルをオーブン中で硬化させた。養生条件はいずれも、23℃×7日+50℃×7日である。養生後、シート状硬化物をJIS K 6251−1993「加硫ゴムの引張試験方法」に従って、3号形ダンベル用型枠で打ち抜き、温度23℃、湿度50±10%の恒温室中、引張速度500mm/minの条件で、島津オートグラフAG−2000Aを用いて行った。
【0072】
硬度測定用硬化物は以下の方法により作製した。上記の主剤に硬化触媒(日東化成(株)製、商品名ネオスタンU−220)を404:2の重量比で秤量して充分混練した後、テフロンシートを敷いた寸法12×12×50mmの型枠に充填し、標準養生(23℃×7日+50℃×7日)した後に得られる直方体のサンプルを用いて硬化物硬度の値を測定した。この棒状硬化物の硬度をJIS K6301−1975規定のスプリング式硬さ試験A形に準じて、島津製作所(株)製島津ゴム硬度計200形を用いて測定した。測定は5点行い、その平均値を表示した。
【0073】
配合組成と、主剤の粘度(10rpm)、糸ひき性、ダンベル引張試験、硬度測定、硬化速度、耐候性の評価結果を表1に示す。
糸ひき性評価結果は以下の基準に従った。
○:糸ひきが小さく、へら仕上げが容易である。
×:糸ひきが大きく、へら仕上げが困難である。
また、表1中のM50、Tmax、Emaxとは、それぞれ、50%引張応力、最大引張応力、最大荷重時の伸びを表す。
【0074】
硬化速度、耐候性は下記の方法に従った。
・硬化速度:上記の主剤と触媒の配合物を用いて、室温での膜張性を測定した。
すなわち硬化速度:(膜張性)
組成物をモールド(20×80×5mm)に満たし23℃、50%RHの条件で24時間硬化させた後に剰し、硬化部をスプリングが弱いダイヤルゲージで0.1mmまで測厚する。
(評価)
硬化部が<1mm ×
硬化部が≧1mm ○
【0075】
・耐候性:促進耐候試験:JIS B 7753準拠
サンシャイン・カーボンアーク・ウェザロメーター
照射・降雨サイクル:120分照射/18分降雨
ブラックパネル温度:63±2℃
槽内温度:40±2℃
照射時間:500時間後の表面状態を観察した。
(評価)
○:亀裂溶解部分なし
△:僅かに小さな亀裂または僅かな溶解部分あり
×:亀裂または溶解部分あり
【0076】
結果を表1に示した。
【0077】
比較例4〜8
特開平10−316804号公報の段落〔0049〕〜〔0055〕に記載される方法に従って反応性ケイ素基を有するイソブチレンポリマーを合成した。
上記実施例1〜2および比較例1〜3において、ジメトキシシリル基含有共重合体ゴムに代えて反応性ケイ素基を有するイソブチレンポリマーを用いる他は、各々実施例1〜2および比較例1〜3と同様に行ない、各種物性を評価した。結果を表2に示した。
【0078】
【表1】
【0079】
【表2】
【0080】
表1および表2に示される結果から以下のことが明らかである。
シリル基含有共重合体ゴムを用いた実施例1〜2は、作業性に優れ、しかも硬化物の機械的強度、硬度に優れ、両者が高度にバランスしている。さらには耐候性、硬化速度も十分である。
シリル基含有共重合体ゴムを用いてはいるものの、炭酸カルシウムあるいはタルクを配合していない比較例1〜3は両者のバランスに劣る。
また、シリル基含有共重合体ゴムを用いない比較例4〜8は、両者のバランスが悪く、耐候性および硬化速度のいずれかに劣る。
Claims (23)
- (A)分子中に下記一般式(1)で示される加水分解性シリル基を含有するシリル基含有エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム、
(B)炭酸カルシウム、および
(C)タルク
を含有するゴム組成物であって、
前記シリル基含有エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)が下記一般式(2)または(3)
で示される少なくとも1種のシリル基含有単位を有する
ことを特徴とするゴム組成物。 - (A)分子中に下記一般式(1)で示される加水分解性シリル基を含有するシリル基含有エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム、
(B)炭酸カルシウム、および
(C)タルク
を含有するゴム組成物であって、
前記シリル基含有エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A)が下記一般式(4)および/または(5)
で示される少なくとも1種の末端ビニル基含有ノルボルネン化合物を非共役ポリエンとするエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴムに下記一般式(6)
で示されるケイ素化合物を反応させて、上記共重合体ゴムの二重結合に上記ケイ素化合物のSiH基を付加させたものである
ことを特徴とするゴム組成物。 - Xがアルコキシル基である請求項1または2に記載のゴム組成物。
- (B)成分の炭酸カルシウムが、膠質炭酸カルシウムおよび/または重質炭酸カルシウムである請求項1〜3のいずれかに記載のゴム組成物。
- (A)成分100重量部に対して、(B)成分5〜500重量部、および(C)成分5〜300重量部を含有する請求項1〜4のいずれかに記載のゴム組成物。
- (D)成分として、シランカップリング剤0.1〜20重量部をさらに含有する請求項5に記載のゴム組成物。
- 請求項1〜6のいずれかに記載のゴム組成物を含有する複層ガラス用シーリング材組成物。
- 請求項1〜6のいずれかに記載のゴム組成物であって、
電気・電子部品、輸送機、土木・建築、医療またはレジャ−の用途に用いられるゴム組成物。 - 電気・電子部品の用途が、重電部品、弱電部品、電気・電子機器の回路や基板のシーリング材、ポッティング材、コーティング材もしくは接着剤;電線被覆の補修材;電線ジョイント部品の絶縁シール材;OA機器用ロール;振動吸収剤;またはゲルもしくはコンデンサの封入材である請求項8に記載のゴム組成物。
- シーリング材が、冷蔵庫、冷凍庫、洗濯機、ガスメーター、電子レンジ、スチームアイロンまたは漏電ブレーカー用のシール材として用いられる請求項9に記載のゴム組成物。
- ポッティング材が、トランス高圧回路、プリント基板、可変抵抗部付き高電圧用トランス、電気絶縁部品、半導電部品、導電部品、太陽電池またはテレビ用フライバックトランスをポッティングするために用いられる請求項9に記載のゴム組成物。
- コーティング材が、高電圧用厚膜抵抗器もしくはハイブリッドICの回路素子;HIC;電気絶縁部品;半導電部品;導電部品;モジュール;印刷回路;セラミック基板;ダイオード、トランジスタもしくはボンディングワイヤーのバッファー材;半導電体素子;または光通信用オプティカルファイバーをコーティングするために用いられる請求項9に記載のゴム組成物。
- 接着剤が、ブラウン管ウェッジ、ネック、電気絶縁部品、半導電部品または導電部品を接着するために用いられる請求項9に記載のゴム組成物。
- 輸送機の用途が、自動車、船舶、航空機または鉄道車輛の用途である請求項8に記載のゴム組成物。
- 自動車の用途が、自動車エンジンのガスケット、電装部品もしくはオイルフィルター用のシーリング材;イグナイタHICもしくは自動車用ハイブリッドIC用のポッティング材;自動車ボディ、自動車用窓ガラスもしくはエンジンコントロール基板用のコーティング材;またはオイルパンのガスケット、タイミングベルトカバーのガスケット、モール、ヘッドランプレンズ、サンルーフシールもしくはミラー用の接着剤である請求項14に記載のゴム組成物。
- 船舶の用途が、配線接続分岐箱、電気系統部品もしくは電線用のシーリング材;または電線もしくはガラス用の接着剤である請求項14に記載のゴム組成物。
- 土木・建築の用途が、商業用ビルのガラススクリーン工法の付き合わせ目地、サッシとの間のガラス周り目地、トイレ、洗面所もしくはショーケースにおける内装目地、バスタブ周り目地、プレハブ住宅用の外壁伸縮目地、サイジングボード用目地に使用される建材用シーラント;複層ガラス用シーリング材;道路の補修に用いられる土木用シーラント;金属、ガラス、石材、スレート、コンクリートもしくは瓦用の塗料・接着剤;または粘着シート、防水シートもしくは防振シートに用いられる請求項8に記載のゴム組成物。
- 医療の用途が、医薬用ゴム栓、シリンジガスケットもしくは減圧血管用ゴム栓用のシール材料である請求項8に記載のゴム組成物。
- レジャーの用途が、スイミングキャップ、ダイビングマスクもしくは耳栓用のスイミング部材;またはスポーツシューズもしくは野球グローブ用のゲル緩衝部材である請求項8に記載のゴム組成物。
- 請求項1〜6のいずれかに記載のゴム組成物からなるシーリング材。
- 請求項1〜6のいずれかに記載のゴム組成物からなるポッティング材。
- 請求項1〜6のいずれかに記載のゴム組成物からなるコーティング材。
- 請求項1〜6のいずれかに記載のゴム組成物からなる接着剤。
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