JP4061822B2 - 赤外線モジュールの特性測定方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は赤外線の受発光を行う赤外線モジュールの特性測定方法、殊に受光特性の測定方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
赤外線発光素子と赤外線受光素子とを備えている赤外線伝送用の受発光モジュールがある。図10はこの赤外線伝送用の受発光モジュール1の一例を示しており、回路基板10の一面に発光素子(発光ダイオード)2と受光素子(フォトダイオード)3とを実装するとともに、上記回路基板10上に信号処理用IC4も実装して、これらの素子2,3及びIC4と回路基板10上の配線パターンとの接続を行い、その後、樹脂にてこれらの素子を封止するとともに該樹脂にて回路基板10上に投光レンズ5と受光レンズ6とを形成している。
【0003】
このような受発光モジュール1の受発光特性などを測定するにあたっては、図11に示すように、複数の受光センサー8を椀状曲面に沿って並べて、発光素子2を作動させた時の各受光センサー8の出力から受発光モジュールにおける発光部の特性を測定し、上記受光センサー8に代えて椀状曲面に沿って並べた発光手段(図示せず)を発光させた際の受光素子3の出力から受発光モジュール1の受光部の特性を測定している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記の特性測定では、多数の受光センサー8あるいは多数の発光手段が必要であり、測定機材にかかるコストが高く、しかも距離に応じた特性も得ようとすれば、各受光センサー8(あるいは発光手段)は受発光モジュール1に対して該受発光モジュール1を中心とする放射状に移動させて測定を行うことになり、このような移動を行わせるには、多くの器材と多くの機構を用いなくてはならず、どうしてもコストが高くなっている。
【0005】
図12に示すように、単一の受光センサー8あるいは単一の発光手段を移動させることによって、特性を測定する場合、受光センサー8あるいは発光手段の数こそ少なくてすむが、移動のための構成にコストがかかる上に、測定ポイントの数が多い場合、移動待ちの時間が多くなり、測定に要する時間が長くなる。
【0006】
本発明はこのような点に鑑みなされたものであって、その目的とするところは特性測定を低コストで且つ迅速に行うことができる赤外線モジュールの特性測定方法を提供するにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
しかして本発明は、赤外線を受光する受光素子と、該受光素子に赤外線を集光するレンズとからなる赤外線モジュールの特性測定方法であって、赤外線を発する発光面に対向する上記受光素子を発光面に対して所定位置にセットして受光を行い、上記受光素子出力から赤外線モジュールの受光特性を求めるにあたり、上記発光面として投光手段からの投射で発光する椀状曲面型のスクリーンを用いるために、実際上、発光面を用意するだけで受光特性測定を行うことができるものである。
【0008】
しかも、発光面を複数の明暗パターンで発光させて、各明暗パターンに対する受光素子出力から演算によって受光特性測定を行うために、配光特性の左右バランスや上下バランス、ビーム拡がり角といった特定パラメータを短時間で測定することができる。
【0009】
受発光素子が実装された回路基板と検査用投受光レンズとの組み合わせの赤外線モジュールに対して、上記の特性測定を行うようにしてもよい。投受光レンズを回路基板に一体成形してしまうものにおいては、回路基板上の受発光素子の位置ずれ等を早期に検出することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下本発明を実施の形態の一例に基づいて詳述すると、図1は近赤外線の受発光を行う前述の受発光モジュール1における発光部の特性を測定するためのものを示しており、発光素子と投光用レンズとからなる発光部に平板状の拡散型スクリーン11を正対させて、発光部から所定距離のところにあるスクリーン11に発光部から出た赤外線を投射することができるようにしておく。
【0011】
そして近赤外線領域に感度を有するとともに上記発光部の光軸近傍に配置した撮像手段12によって上記スクリーン11を撮像し、得られた画像についての画像処理によってスクリーン11上の各部での輝度を算出し、さらにスクリーン11上の位置と輝度とを基に、光軸からの角度と距離をベースとしている通常の配光に関する特性を演算にて求める。なお、この演算にあたっては、発光部からスクリーン11までの距離、スクリーン11から撮像手段12までの距離、撮像手段12のレンズ特性なども補正要素の一つとして演算を行って特性を求める。スクリーン11と撮像手段12との間隔を一定に保ったまま、スクリーン11から発光部2までの距離を変更することで、さらに細かい配光特性を求めることができる。
【0012】
スクリーン11としては平板状のもののほか、図2に示すように半球状や放物面状、あるいは楕円断面等の椀状曲面型のものを用いることができる。発光部2からスクリーン11までの距離及びスクリーン11から撮像手段12までの距離がスクリーン11の各部においてほぼ同一となるようにセットすることができるために、上記補正要素が減ることになり、より的確な特性測定を行うことができる。
【0013】
スクリーン11は上記拡散型のほかに半透明のものを用いることができるとともに、この時には図3あるいは図4に示すように、撮像手段12による撮像をスクリーン11の背後から行うことができる。この場合、発光部の光軸上に撮像手段12を配置することができるほか、スクリーン11と発光部との間隔を変える時にも、発光部と撮像手段12との位置関係が測定の邪魔になってしまうことがない。なお、椀状曲面型のスクリーン11を背後から撮像手段12で撮像する場合、スクリーン11の湾曲を考慮した座標変換を行った後、画像処理を行う。
【0014】
スクリーン11としては、赤外線に反応して可視光を出力する蛍光スクリーンを用いてもよい。この場合、撮像手段12として可視光に感度を有するものを用いることができるほか、スクリーン11の目視による観察でおおよその状態を判断することもできるものとなる。
【0015】
受発光モジュール1の受光素子と受光用レンズとからなる受光部の受光特性に関しては、次のようにして測定する。すなわち、図5に示すように、赤外線を発する発光面13を用意して、この発光面13から所定距離のところに受光部をセットし、発光面13を発光させた時の受光部の出力から特性を求めるのである。発光面としては、CRTなどの自己発光型のもののほか、バックライト付き液晶パネルなども利用することができ、さらには図6に示すように、プロジェクターのような投光手段14によって投射されるスクリーン15を用いてもよい。また、スクリーン15を用いる場合は、図7に示すように、椀状曲面型のものを用いることができる。さらに投光手段14を受発光モジュール1側に配置するほか、透過型のスクリーン15の使用により、スクリーン15の背後側に投光手段14を配置することもできる。
【0016】
いずれにしても、受光部の受光特性測定にあたっては、発光面13の全面を一様に発光させるのではなく、輝点が移動するように発光させるとともに、これに同期して受光部の出力を処理することで受光特性を求める。
【0017】
この時、図8に示すような複数の明暗パターンで発光させ、各明暗パターンに対する受光部の出力から演算によって受光特性測定を行う。たとえば、図8(a)に示す明暗パターンにより左右バランスを、図8(b)に示す明暗パターンで上下バランスを、さらに図8(c)に示す明暗パターンでビーム拡がり角(受光エリア)を求めることができる。
【0018】
なお、受光部から得られたデータに基づいて受光部の受光特性などを算出することができるのであれば、発光面13をどのように発光させてもよい。全面が発光している発光面13に対してマスクを動かすようにしてもよいものである。
【0019】
そして、受光部の特性測定に際しても、発光面13と受光部との間隔を可変としておくことで、さらに細かい特性を求めることができる。
【0020】
このような受発光モジュール1に対する特性測定は、完成品に対してだけでなく、受発光モジュール1の製造過程における検査に適用することができるのはもちろんであり、更には受発光モジュール1の完成前、たとえば前記回路基板1への受発光素子2,3の実装直後で且つ投受光レンズ5,6の形成前の段階における検査にも適用することができる。すなわち、投受光レンズ5,6は受発光素子2,3を基準に成形するのではなく、回路基板1を基準に成形することから、回路基板1への受発光素子2,3の実装位置にずれがあると、本来の性能を得ることができないものとなる。このために、回路基板1への受発光素子2,3の実装直後に、該回路基板1に検査用レンズ9を組み合わせて、前述の特性測定を行うのである。この時、検査用レンズ9は回路基板1を基準にその位置をセットすることで、投受光レンズ5,6を成形した後の測定と同等の結果が得られるようにする。
【0021】
回路基板1に対する受発光素子2,3の実装位置にずれがあった場合、このずれは特性の変化として現れることから、検査結果を実装工程に直ちにフィードバックすることで、実装位置ずれに起因する不良品の発生を抑えることができるとともに、特性ばらつきを抑えることができるものである。
【0022】
この場合の特性検査にあたっては、図9に示すように、予め受発光素子2,3のx,y,z方向の位置ずれ量と光分布や面積との関係データを求めておき、検査で得られたデータを上記関係データと照合することにより、位置ずれ量を求めて実装工程にフィードバックすることで、実装位置ずれについての補正を早期に行うことができる。
【0023】
【発明の効果】
以上のように本発明においては、赤外線を受光する受光素子と、該受光素子に赤外線を集光するレンズとからなる赤外線モジュールの特性を測定するにあたり、赤外線を発する発光面に対向する受光素子を発光面に対して所定位置にセットして受光を行い、受光素子出力から赤外線モジュールの受光特性を求めるために、実際上、発光面を用意するだけで特性測定を行うことができるものであり、しかも上記発光面として投光手段からの投射で発光するスクリーンを用いるために自己発光型のものを用いる場合に比してコストが低くてすむものであり、またスクリーンとして椀状曲面型のものを用いるために良好な測定精度を得ることができる。
【0024】
しかも、発光面を複数の明暗パターンで発光させて、各明暗パターンに対する受光素子出力から演算によって受光特性測定を行うために、受光特性の左右バランスや上下バランス、ビーム拡がり角といった特定パラメータを効率的に求めることができる。
【0025】
受発光素子が実装された回路基板と検査用投受光レンズとの組み合わせの赤外線モジュールに対して、上記の特性測定を行う時には、投受光レンズを回路基板に一体成形してしまうものにおいて、回路基板上の受発光素子の位置ずれ等を等受光レズの一体成形前に検出することができ、実装工程への補正指令を早期に出力することができて歩留まり向上に寄与させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一例を示す概略斜視図である。
【図2】同上の他例の概略斜視図である。
【図3】同上のさらに他例の概略斜視図である。
【図4】同上の別の例の概略斜視図である。
【図5】他の実施の形態の一例の概略斜視図である。
【図6】同上の他例の概略斜視図である。
【図7】同上のさらに他例の概略斜視図である。
【図8】(a)(b)(c)は同上の別の例における明暗パターンの例を示す説明図である。
【図9】他の実施の形態の一例を示すもので、(a)は概略断面図、(b)(c)(d)(e)は夫々特性とずれとの関係を示すグラフである。
【図10】赤外線モジュールの一例を示すもので、(a)は斜視図、(b)は断面図である。
【図11】従来例の概略説明図である。
【図12】他の従来例の概略説明図である。
【符号の説明】
1 赤外線モジュール
2 発光素子
11 スクリーン
12 撮像手段
Claims (2)
- 赤外線を受光する受光素子と、該受光素子に赤外線を集光するレンズとからなる赤外線モジュールの特性測定方法であって、赤外線を発する発光面に対向する上記受光素子を発光面に対して所定位置にセットして受光を行い、上記受光素子出力から赤外線モジュールの受光特性を求めるにあたり、上記発光面として投光手段からの投射で発光する椀状曲面型のスクリーンを用い、該発光面を複数の明暗パターンで発光させて、各明暗パターンに対する受光素子出力から演算によって受光特性測定を行うことを特徴とする赤外線モジュールの特性測定方法。
- 受発光素子が実装された回路基板と検査用投受光レンズとの組み合わせの赤外線モジュールに対して、特性測定を行うことを特徴とする請求項1記載の赤外線モジュールの特性測定方法。
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