JP4058550B2 - 軟弱地盤の改良工法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば湖沼周囲の埋立造成区域などの軟弱地盤に多量に含まれる水と空気とを排出することで、硬質地盤へと改良する軟弱地盤の改良工法に関する。詳細には軟弱地盤に含まれる水と空気とを効率よく、しかも確実に排出することができる軟弱地盤の改良工法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来、軟弱軟弱地盤の改良工法としては、サンドドレーン工法やペーパードレーン工法が代表的なものとして挙げられるバーチカルドレーン工法がある。サンドドレーン工法は、軟弱地盤中に適当な間隔で鉛直方向に数多くのサンドパイル(人工的に設けた砂柱)を設置し、このサンドパイルを通して地盤中の水を抜き取って地盤の圧密と強度増加を促進し、硬質地盤へと改良する方法である。
【0003】
一方、ペーパードレン工法は、軟弱な地盤の圧密を促進するためのものであり、厚さ3mm、幅100mm程度の帯状原紙の中に縦方向に連続した通水孔を設けたカードボードをマンドレルによって適当な間隔に打ち込み設置し、このカードボードを通して地盤中の水を抜き取るようにしたものである。
【0004】
ところが、これらサンドドレーン工法やペーパードレーン工法などのバーチカルドレーン工法にあっては、処理を開始した当初はよいが、水の抜き取りが進行するにつれて、地盤中に水の通路となるべき間隙がなくなり、遂には排水されないという不具合が生じていた。
【0005】
そこで、排水効率をさらに高める目的で提案されたのが図16に示す改良工法である。この方法は、プラスチックドレーンを打設した後、カードボード1の上端部1aにこれと接触するように水平状に真空ポンプ3に連結した有孔管2を配置し、これらカードボード1及び有孔管2を砂層4で覆うようにしたものであり、真空ポンプ3に連結した有孔管2を通して地盤A上面を負圧とすることで、地盤A中における間隙水圧との差を大きくし、地盤A中の水をカードボード1及び有孔管2を介して排水するようにしたものである。
【0006】
しかしながら、真空ポンプ3に連結した有孔管2は砂層4で覆われているだけであり、地盤A上面に十分な負圧環境を創り出すことができない。また有孔管2の孔5が砂や地盤A内からの土砂などで目詰まりを生じることもあり、地盤Aの深部まで圧力差による水の吸い出し効果が得られないなどの不具合があり、十分な排水ができないことがあった。
【0007】
また、図面に示した改良工法の場合には、地盤A上面に負圧環境を創り出すために強力な吸引力で吸引しなければならず、しかも地盤A中の排水が完了するまでの間中吸引しつづけることから、真空ポンプ3を作動させるために消費される電力、軽油も多く、地盤上面に負圧環境を創り出すために要する費用は莫大なものとなっていた。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、地盤中に含まれる水と空気とを効率よく、しかも確実に排出することができる軟弱地盤の改良工法を提供することを目的とするものである。
【0009】
また、例えば湖沼周囲の埋立造成区域などの軟弱地盤にあっては、地盤中に多量の水と空気とが含まれており、このような地盤改良には、上述の費用や労力だけではなく、3ヶ月から半年、場合によっては1年といった長期に渡る施工期間を必要としていた。
【0010】
また、埋立造成時には、埋立造成区域の周囲を浚渫することから、その際に生じる浚渫泥の処理には、別に設けた浚渫泥用の処理プールに運び入れて処理しなければならず、その手間だけでも大変な労力と時間と費用とを必要としていた。
【0011】
本発明の他の目的は、例えば湖沼州の埋立造成区域などの軟弱地盤を硬質地盤へと改良するとともに、その際に生じる浚渫泥、(あるいは別の工事や浚渫作業などに伴って生じた浚渫泥であってもよい)も確実に処理することができる軟弱地盤の改良工法を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、以下のa)〜h)の工程を有することを特徴とする軟弱地盤の改良工法をその要旨とした。
a) 鉛直ドレーン材を上端部を残して地盤中に所定の間隔をおいて打設することにより、地盤中に鉛直排水壁を造成する工程、 b) 前記鉛直ドレーン材上端部と接触するように水平状に真空ポンプに連結した通水材を配置する工程、
c) 前記鉛直ドレーン材上端部及び通水材を砂層で覆う工程、 d) 前記地盤上を前記鉛直ドレーン材上端部、通水材及び砂層とともに気密シートで覆う工程、
e) 前記真空ポンプを作動させて地盤上面に負圧の状態を造り出す工程、
f) 前記地盤の圧密沈下後の凹部内に土砂を撒き出す工程、
g) 前記土砂層に前記気密シートを貫通して前記砂層に至る深さまで鉛直ドレーン材を打設する工程、
h) 前記真空ポンプを作動させて前記地盤上面に負圧の状態を造り出し、前記土砂層中に打設した鉛直ドレーン材を介して土砂層中の水及び空気を排出させる工程。
【0013】
請求項2記載の発明は、f)、g)、h)の工程を繰り返すことを特徴とする軟弱地盤の改良工法をその要旨とした。
【0014】
請求項3記載の発明は、気密シート上に撒き出す土砂が浚渫泥であることを特徴とする軟弱地盤の改良工法をその要旨とする。
【0015】
請求項4記載の発明は、各工程に使用される鉛直ドレーン材、通水材及び気密シートのいずれか又は全てが、生分解性成形材料よりなることを特徴とする軟弱地盤の改良工法をその要旨とした。
【0016】
請求項5記載の発明は、生分解性成形材料が天然高分子を主体とすることを特徴とする軟弱地盤の改良工法をその要旨とした。
【0017】
請求項6記載の発明は、真空ポンプを間欠的に作動させることで、地盤上面に常圧及び負圧の状態を交互に造り出す工程をさらに含むことを特徴とする軟弱地盤の改良工法をその要旨とした。
【0018】
(削除)
【0019】
(削除)
【0020】
請求項7記載の発明は、以下のa)〜f)の工程を有することを特徴とする軟弱地盤の改良工法をその要旨とした。
a) 圧密沈下後の地盤の凹部底面に、真空ポンプと連結し、排水ポンプを備える真空タンクと、同真空タンクと接続した第1の排水材とを設置すると共に、この第1の排水材と接するように、所定の間隔をおいて第1の水平ドレーン材を敷設する工程、
b) 前記地盤の凹部内に土砂を撒き出す工程、
c) 前記真空ポンプを作動させて、真空タンク、第1の排水材、第1の水平ドレーン材を介して土砂層に含まれる水分及び空気を除去し、土砂層を固化させる工程、
d) 前記固化した土砂上面に、第2の排水材を設置し、この第2の排水材に接するように、所定の間隔をおいて第2の水平ドレーン材を敷設すると共に、前記第2の排水材と前記第1の排水材とを可撓管を介して接続する工程、
e) 前記凹部内に再度土砂を撒き出す工程、
f) 前記真空ポンプを作動させて、真空タンク、第1、第2の排水材、第1、第2の水平ドレーン材、可撓管を介して土砂層に含まれる水分及び空気を除去し、土砂層を固化させる工程。
【0021】
請求項8記載の発明は、a)の工程における地盤を圧密沈下させて地盤に凹部を造成する工法が、以下のア)〜オ)の工程からなることを特徴とする軟弱地盤の改良工法をその要旨とした。
ア) 鉛直ドレーン材を上端部を残して地盤中に所定の間隔をおいて打設することにより、地盤中に鉛直排水壁を造成する工程、
イ) 前記鉛直ドレーン材上端部と接触するように水平状に真空ポンプに連結した通水材を配置する工程、
ウ) 前記鉛直ドレーン材上端部及び通水材を砂層で覆う工程、 エ) 前記地盤上を前記鉛直ドレーン材上端部、通水材及び砂層とともに気密シートで覆う工程、
オ) 前記真空ポンプを作動させて地盤上面に負圧の状態を造り出す工程。
【0022】
請求項9記載の発明は、d)、e)、f)の工程を繰り返すことを特徴とする軟弱地盤の改良工法をその要旨とした。
【0023】
請求項10記載の発明は、圧密沈下後の地盤の凹部内に撒き出す土砂が浚渫泥であることを特徴とする軟弱地盤の改良工法をその要旨とした。
【0024】
請求項11記載の発明は、各工程に使用される第1、第2の水平ドレーン材、第1、第2の排水材及び可撓管のいずれか又は全てが、生分解性成形材料よりなることを特徴とする軟弱地盤の改良工法をその要旨とした。
【0025】
請求項12記載の発明は、生分解性成形材料が天然高分子を主体とすることを特徴とする軟弱地盤の改良工法をその要旨とした。
【0026】
【発明の実施の形態】
(作用)
請求項1〜6記載の軟弱地盤の改良工法にあっては、地盤上面が、鉛直ドレーン材上端部及び通水材とともに気密シートで覆われるとともに、通水材に連結された真空ポンプが作動して真空引きされることから、地盤上面は負圧の状態となり、地盤中における間隙水圧との間には差が生じるようになる。
【0027】
そしてこの圧力差によって、鉛直ドレーン材を上端部を残して地盤中に所定の間隔をおいて打設することにより、地盤中に造成された鉛直排水壁を通して地盤中の水と空気が地盤表面へと吸い出されるようになっている。地盤表面の水と空気は、鉛直ドレーン材上端部と接触するように水平状に配された通水材を通って真空タンクへと排出されるようになっている。
【0028】
地盤中の水と空気が地盤表面へと吸い出されると、地盤は水と空気が吸い出された分だけ圧密沈下し、凹部が形成されることになる。この後、圧密沈下後の凹部に土砂を撒き出す。これにより、地盤上には土砂による圧密載荷重が加わり、地盤の圧密脱水はさらに進行し、圧密沈下が促進することになる。
【0029】
また凹部内に撒き出された土砂層中の水及び空気は、この土砂層に、前記気密シートを貫通して前記砂層に至る深さまで鉛直ドレーン材を打設し、前記真空ポンプを作動させて前記地盤上面に負圧の状態を造り出すことで、前記鉛直ドレーン材を介して排出されるようになっている。
【0030】
そして上述の気密シート上への土砂の撒き出し、土砂層への鉛直ドレーン材の打設、及び地盤上面における負圧状態の造出といった操作を繰り返すことにより、地盤及び土砂層は土砂層による圧密載荷重と負圧力とによって圧密脱水が効果的に進行し、硬化地盤へと改良されるようになっている。
【0031】
また、土砂層が浚渫泥によるものの場合には、上記圧密載荷重と負圧力とによる圧密脱水で、地盤改良と同時に浚渫泥の処理も行うことができるようになっている。
【0032】
請求項7〜12記載の軟弱地盤の改良工法にあっては、圧密沈下後の地盤の凹部底面に、真空ポンプと連結し、排水ポンプを備えた真空タンクと、同真空タンクと接続した第1の排水材とが設置され、この第1の排水材と接するように、所定の間隔をおいて第1の水平ドレーン材が敷設され、当該凹部内に土砂が撒き出され、前記真空ポンプが作動して真空引きされることから、真空タンク、第1の排水材及び第1の水平ドレーン材を介して土砂層中の水及び空気が排出され、土砂層は固化するようになる。また同時に、凹部内に撒き出された土砂層による圧密載荷重によって地盤の圧密脱水が効果的に進行し、硬化地盤へと改良されるようになっている。
【0033】
土砂層の固化と軟弱地盤の硬化により圧密沈下がさらに進行した凹部内(固化した土砂層の上面)に、第2の排水材が設置され、この第2の排水材に接するように、所定の間隔をおいて第2の水平ドレーン材が敷設され、前記第2の排水材と前記第1の排水材とが可撓管を介して接続され、この凹部内に再度土砂が撒き出され、前記真空ポンプが作動して真空引きされることから、真空タンク、第1、第2の排水材及び第1、第2の水平ドレーン材、可撓管を介して新たに撒き出された土砂層中の水及び空気が排出され、土砂層は固化するようになる。また同時に、さきに撒き出された土砂層からの水及び空気の排出も行われ、さらに凹部内に再度撒き出された土砂層による圧密載荷重によって地盤の圧密脱水が効果的に進行し、さらなる硬化地盤へと改良されるようになっている。
【0034】
尚、軟弱地盤の含水量(軟弱さ)によっては、上記固化した土砂上面に、第3、第4、第5・・・の排水材の設置、第3、第4、第5の水平ドレーン材の敷設、凹部内への土砂の撒き出し、真空ポンプによる土砂層中の水分及び空気の除去といった操作を繰り返すことで、より効果的でかつ確実な地盤の改良がなされるようになる。
【0035】
また、土砂層が浚渫泥によるものの場合には、上記圧密載荷重と負圧力とによる圧密脱水で、地盤改良と同時に浚渫泥の処理も行うことができるようになっている。
【0036】
尚、上記請求項7〜12記載の工法においては、真空タンクとして排水ポンプを備えたものを採用している。これは、圧密による地盤の沈下が大きくても、凹部内に設置した真空タンク(排水ポンプ)の稼働により真空度ロスが軽減できるようにするためである。すなわち、図13〜図15に示すように、圧密による地盤Aの沈下に伴って真空タンク32も沈下することになる。真空タンク32の沈下に伴い、本来負圧発生手段である真空ポンプ40は、沈下した深さ(高さ)分だけ、地盤間隙水を揚水しなければならなくなる。そして、その揚水に真空ポンプ40の負圧力が利用され、その結果として真空ポンプ40による負圧能力も低下することになるのである。このような不具合が発生することがないよう、本発明では、排水ポンプを備えた真空タンク32を採用し、これにより真空タンク32内の間隙水が、常時、排水ポンプの稼働によって排水されて、真空ポンプ40の真空度ロスを軽減しているのである。
【0037】
以下、本発明の軟弱地盤の改良工法(以下単に改良工法という)を図面に示した一実施例に従って詳細に説明する。尚、図1〜図15に示す実施例は、湖沼周囲の軟弱地盤の改良例を図示したものであり、同改良例では、地盤上に撒き出す土砂として湖沼からの浚渫泥を用いることで、軟弱地盤の改良と同時に湖沼からの浚渫泥の処理も行っている。
【0038】
図1〜図11には、請求項1〜6記載の発明の改良工法の実施例を示した。請求項1記載の改良工法は、以下のa)〜h)の工程を有することを特徴とするものである。図1に示すように、a)の工程、すなわち地盤中に鉛直排水壁を造成する工程は、鉛直ドレーン材11を上端部11aを残して地盤A中に所定の間隔をおいて打設することからなる。鉛直ドレーン材11としては、従来より使用されているドレーン材を用いることができる。その中でもプラスチックドレーン材は、図1に示すように、マンドレル12に内挿した状態で地盤A中に貫入し、プラスチックドレーン材11を地盤Aに残したままマンドレル12を引き上げることで打設することができ、打設作業の容易さ、目詰まりが生じ難く、確実な透水材としての機能をもつことから好ましく、本実施例ではこのドレーン材を採用している。
【0039】
この鉛直ドレーン材11を地盤A中に所定の間隔をおいて打設することで、地盤A中には所定の間隔をおいて鉛直状の排水壁が造成されることになり、各排水壁間の地盤中に含まれる水及び空気は、図1中矢印で示すように鉛直ドレーン材11よりなる排水壁を通して地盤A上面へと吸い上げられ、地盤A上面に残されているドレーン材上端部11aより排出される。
【0040】
次に、b)の工程、すなわち、真空ポンプに連結した通水材を配置する。図2に示すように、ドレーン材上端部11aは地盤Aの上面に突出している。この突出部分に通水材13を接触するように平行状に配置するのである。通水材13としては、水及び空気が該通水材13の長手方向へと移動できる通路としての機能を持つものならば何でもよいが、地盤A側からの水及び空気が該通水材13内部へ侵入する口、例えば孔、スリットなどが、地盤A中の砂や土砂などによって閉塞してしまい、水及び空気の通水材内部への侵入が困難となったり、同じく地盤中の砂や土砂などによって通路が閉塞して水及び空気が該通水材の長手方向へ移動できなかったりすることが少ない構造のものが好ましい。
【0041】
具体的には図3に示すように、プラスチックネット14とその表面に積層した繊維シート15とからなるものが好ましい例として挙げられる。この通水材13において水及び空気は、プラスチックネット14の表面に積層した繊維シート15側から侵入し、プラスチックネット14と繊維シート15との隙間、及び繊維シート15の構成繊維相互間を通して移動するようになる。
【0042】
この通水材13の一端側には真空ポンプ16が連結されている。図2に示すように、真空ポンプ16は通水材13の一端側に直接連結されず、真空タンク17を介している。つまり真空ポンプ16からの負圧が排水ポンプ(図示しない)を備える真空タンク17を介して通水材13へと伝達されるようになっている。そしてこの作用により水及び空気が通水材13へと入り込み、同通水材13内を移動して真空タンク17へと排出され、排水ポンプ(図示しない)によってタンク17外へ排出されるようになっているのである。
【0043】
次いで、c)、d)の工程を行う。つまり図4に示すように、鉛直ドレーン材11の上端部11a及び通水材13を砂層21で覆い、地盤A上を前記鉛直ドレーン材11の上端部11a、通水材13及び砂層21とともに気密シート18で覆うのである。ここで気密シート18は、空気が透過できない素材であるならば、合成樹脂シート、繊維基材表面に合成樹脂フィルムをラミネートしたものなど何でもよい。
【0044】
次いで、e)の工程、すなわち気密シート18で地盤A上を覆った状態で真空ポンプ16を作動させるのである。真空ポンプ16が作動すると、真空ポンプ16からの負圧が排水ポンプを備える真空タンク17を介して通水材13へと伝達され、地盤A上面は負圧状態となり、地盤A中における間隙水圧との間には差が生じるようになる。
【0045】
そしてこの圧力差によって、地盤A中に造成された鉛直排水壁を通して地盤A中の水と空気が、図4中矢印で示したように、地盤A表面へと吸い出され、地盤表面の水と空気は、鉛直ドレーン材上端部11aと接触するように水平状に配された通水材13を通って真空タンク17へと排出されるようになる。
【0046】
真空ポンプ16は勿論連続して作動させてもよいが、間欠的に作動させることもできる。図5に示すように、地盤A表面が負圧の状態となり、その圧力差によって地盤A中の水と空気が地盤A表面へと吸い出されると、地盤、特に鉛直ドレーン材11の周りは、地盤Aを構成する粒子間隙が狭くなり、水と空気が通り難くなる。この結果、地盤A中に残存する水と空気は、圧力差によっても十分に吸い出されなくなる。
【0047】
真空ポンプを間欠的に作動させることで、地盤A上面は常圧及び負圧の状態が交互に造り出されることになる。負圧の状態から常圧の状態へと変わるときには、空気が一気に入り込むことになる。このため、地盤Aにはその圧力差によって空気が一気に入り込むことになり、このときの衝撃力が地盤Aに作用して地盤Aを揺り動かし、この結果図6に示すように地盤A、特に鉛直ドレーン材11周りの地盤Aを構成する粒子間隙は広がり、水と空気は通り易くなる。
【0048】
そこで、再び真空ポンプ16を作動させることで、地盤A表面が常圧の状態から負圧の状態へと変わることで、その圧力差によって地盤A中の水と空気が吸い出されるようになる。このように真空ポンプを間欠的に作動させることで、地盤中の水と空気はより効率的に吸い出されることになる。
【0049】
また真空ポンプを間欠的に作動させることで、地盤A上面に常圧及び負圧の状態を交互に造り出す場合、負圧の状態から常圧の状態へと変わるときに、圧力差によって空気が一気に入り込むだけではなく、さらに積極的に空気を送り込むようにすることもできる。この場合には、地盤に作用する衝撃力もより大きくなり、地盤、特に鉛直ドレーン材11周りの地盤Aを構成する粒子間隙はより大きく広がり、水と空気はより通り易くなる。
【0050】
この結果、より効果的に地盤中の水と空気の吸い出しができると共に、地盤上面をより速く常圧の状態へと戻すことができる。
【0051】
また、地盤Aを揺り動かす別の方法としては、鉛直ドレーン材11自体を振動させる方法がある。この場合も地盤A、特に鉛直ドレーン材11周りの地盤を構成する粒子間隙は広がり、水と空気は通り易くなる。尚、鉛直ドレーン材を振動させる方法と前述の真空ポンプを間欠的に作動させる方法を併用したならば、より効果的に地盤A中の水及び空気の吸い出しを行うことができる。
【0052】
上述の如く地盤A中の水と空気が地盤A表面へと吸い出されることで、地盤Aは、図7に示すように水と空気が吸い出された分だけ圧密沈下し、ここに凹部30が造り出されることになる。
【0053】
この後、F)の工程を行う。すなわち図8に示すように、前記軟弱地盤Aの圧密沈下により造られた凹部30内に土砂22を撒き出す。これにより、地盤A上には土砂22よりなる層によって圧密載荷重が加わり、さらに地盤Aの圧密脱水が行われるようになる。尚、土砂22を撒き出す場合、土砂22が周囲に広がらないように、改良区域を取り囲むように壁を設けておいてもよい。
【0054】
次に、g)の工程、すなわち図9に示す如く、前記土砂22よりなる層中に前記気密シート18を貫通して前記砂層21に至る深さまで鉛直ドレーン材24を打設するのである。この場合、鉛直ドレーン材24の打設は、前述の鉛直ドレーン材18の打設と同じ要領で行う。そして、h)の工程、つまり前記真空ポンプ16を作動させるのである。これにより真空ポンプ16からの負圧が真空タンク17を介して通水材13へと伝達され、地盤A上面は負圧状態となる。地盤A上面の負圧力は、砂層21中の前記通水材13に上端部11aが接触する地盤A中の鉛直ドレーン材18とともに、砂層21中に打ち込まれた鉛直ドレーン材24にも伝わり、これら鉛直ドレーン材18、24を介して、地盤A及び土砂22よりなる層中の水及び空気が排出されるようになる。
【0055】
尚、図9に示す態様では、土砂22よりなる層の上面に砂層21を覆う気密シート18と同じ気密シート25で覆われており、これにより真空ポンプ16からの負圧力が確実に土砂22よりなる層中に伝わり、より効果的な脱水が行えるようになっている。
【0056】
次いで図10に示すように、図8及び図9に示す土砂22の撒き出し、鉛直ドレーン材24の砂層21への打設、及び真空ポンプ16からの負圧力による排水によって地盤A及び土砂22よりなる層の圧密沈下が生じた後、再度上述の気密シート25上への土砂の撒き出し、土砂層への鉛直ドレーン材の打設、及び地盤上面における負圧状態の造出といった操作を繰り返すのである。これにより、地盤及び土砂層は土砂による圧密載荷重と負圧力とによって圧密脱水が効果的に進行し、硬化地盤へと改良されるようになる。
【0057】
尚、各工程に使用される鉛直ドレーン材、通水材及び気密シートのいずれか又は全てを生分解性成形材料により構成することもできる。生分解性成形材料とは土中又は水中に存在する微生物や水分などにより容易に分解してしまう材料をいう。この生分解性成形材料によって構成された鉛直ドレーン材、通水材及び気密シートを用いて、上述の方法に従い改良工法を施工した場合、鉛直ドレーン材、通水材及び気密シートを構成する生分解性成形材料が、地盤内の土中又は水中に存在する微生物や水分などにより容易に分解してしまうため、これらの部材を撤去する必要がなく、軟弱地盤の改良に要する費用と手間とを大幅に削減することができる。
【0058】
また生分解性成形材料としては、芋類、米麦類、コーン類などの澱粉質、澱粉に酢酸ビニルなどのビニルモノマーを共重合させた澱粉質誘導体、パルプ、セルロースなどの植物繊維又は植物粉末、天然ゴム、アラビアゴムなどの植物性高分子、ガゼイン、ゼラチン、グルテンなどの動物性タンパク質といった天然高分子を主体とするものが好ましい。というのは、これら天然高分子を主体とするものにあっては、施工後に地盤内で分解しても環境に悪影響を与えることがないからである。
【0059】
尚、本発明の軟弱地盤の改良工法を施工した後(地盤を十分に減圧した後)、必要に応じて前記砂層にセメント粉末またはセメントミルクを、地盤の減圧様態を利用して注入すれば、砂層の液状化を防止することができる。
【0060】
尚、本発明の軟弱地盤の改良工法を、埋立造成区域などの軟弱地盤に適用する場合、埋立造成時には、埋立造成区域の周囲を浚渫することから、その際に生じる浚渫泥を気密シート上に撒き出す土砂とすればよい。これにより、軟弱地盤の改良と浚渫泥の処理とが同時に行えるようになる。また、河川や港湾などの浚渫工事の際に生じた浚渫泥を、本発明の地盤改良工法を適用するときに、気密シート上に投入される圧密載荷重(土砂)として用いることもできる。
【0061】
尚、上に示したものは単なる説明例にすぎず、例えば鉛直ドレーン材11の上端部11aと通水材13との位置が施工時にズレてしまわないように、これらに固定手段を設けたりするなど、特許請求の範囲に記載された範囲で自由に変更することができる。
【0062】
次に、請求項7〜12記載の発明の改良工法を説明する。この発明の実施例を図12〜図15に示した。この改良工法は、以下のa)〜f)の工程を有することを特徴とするものである。まず最初に、a)の工程について説明する。a)の工程では、図12及び図13に示すように、圧密沈下後の地盤Aの凹部30底面に、真空ポンプ40と連結した真空タンク32(水中ポンプ内蔵、以下同様)と、この真空タンク32と接続した第1の排水材33aとを設置すると共に、この第1の排水材33aと接するように、所定の間隔をおいて第1の水平ドレーン材34aを敷設する。尚、この例において、真空タンク32は、図12に示すように凹部30底面のほぼ中央に設置した。これは、通常、中央部が最も沈下量が大きくなるからである。
【0063】
尚、ここで軟弱地盤を圧密沈下させて、地盤に凹部を造成する方法は、地盤中に鉛直ドレーン材を打設し、この地盤上に土砂などの加重を載加して地盤中の水を圧密脱水する方法や真空圧密脱水による方法など、まったく任意である。本実施例では、前述の図1〜図7に示す工法を用いた。又、本例では、図1〜図7に示す工法で用いた真空ポンプ16を、そのまま本工法の真空ポンプ40として利用した。尚、地盤の沈下量、即ち凹部30の深さとしては、1m以上が好ましい。
【0064】
この例において、真空タンク32と真空ポンプ40とは、耐圧ホース41を介して連結されている。また第1の排水材33aには、多数の孔(図示しない)を有する管体であり、その周面には不織布などの繊維シートが張り付けられて孔及び管の目詰まりを防止しているものを用いた。図12及び図13の例では、凹部30底部の長さ方向に間隔をおいて3本の第1の排水材33aを配置したが、凹部の大きさや深さに応じて、複数本縦方向に並設したり、縦横格子状に配したり、あるいは上部及び下部に平行して配置したりすることもできる。
【0065】
また凹部30の底部には、前記第1の排水材33aに接触するように、第1の水平ドレーン材34aを所定の間隔、好ましくは0.7〜1.0mの間隔を置いて敷設する。この第1の水平ドレーン材34aは、幅が10〜30cmの帯状をなしており、プラスチックネットとその両表面に積層した繊維シートとからなり、後述する土砂層内の水分及び空気が、プラスチックネットと繊維シートとの間隙、繊維シートを構成する繊維間隙を通して侵入し、かつ移動するようにしたもの(尚、繊維シートには、不織布、織物、編物、紙などを用いることができる。)、あるいは同じく樹脂ネットを用い、このプラスチックネットの一方面側のみに繊維シートを積層一体化したものなどを適用することができる。尚、第1の水平ドレーン材34a相互の間隔は、土質定数に従って適宜変更する。
【0066】
図12及び図13に示すように、第1の水平ドレーン材34aは、縦横に0.7〜1.0mの間隔で格子状に配列して、各交差点を止め金(図示しない)で止めて固定した網目状として用いることもできる。
【0067】
尚、水平ドレーン材34aは、凹部30底部にのみ配されているだけでも良いが、凹部30の底部及びその周辺部分にも敷設して、同水平ドレーン材34aで凹部30(撒き出される土砂層35)の全体を取り囲むようにすることもできる。この場合、凹部30内に撒き出される土砂層35が、底部のみならず、その周辺部からも水分及び空気の吸い出しが行われることになり、より効率的な水分及び空気の除去ができる。
【0068】
この第1の水平ドレーン材34aと前記第1の排水材33aとは、例えば排水材33a上に第1の水平ドレーン材34aを直接接続する態様を採ることができる。この場合、第1の排水材33aと第1の水平ドレーン材34aは、単に積層状態としておいても良いが、止め金(図示しない)などで相互を固定しておいても良い。また、第1の水平ドレーン材34aを敷設しておき、この上に排水材33aを配置し、この上に砂の層13を設けるという態様も採ることもできる。
【0069】
次に、前記凹部30内に土砂35を撒き出す。土砂35の撒き出しにより、地盤A上には土砂35による圧密載荷重が加わり、さらに地盤Aの圧密脱水が行われるようになる。この土砂35の撒き出し量、換言すれば土砂35よりなる層の厚さは任意である。土砂層の厚さが薄ければ、処理は速いものの、1回の処理量は少なくなり、土砂層の厚さが厚ければ、処理は遅くなるので、必要な処理量を考慮して適宜決定すると良い。具体的には1〜2mの厚さが好ましい。
【0070】
次に、前記土砂層上面を気密シート36で覆う。気密シートとしては、空気が透過できない素材であるならば、合成樹脂シート、繊維シート表面に合成樹脂フィルムをラミネートしたものなど何でも良い。この気密シート36で、土砂層上面を覆うことで、凹部30内は気密状態となり、より効率的な排水がなされるようになる。
【0071】
この後、e)の工程、すなわち真空ポンプ40を作動させる。これにより、真空ポンプ40からの負圧が真空タンク32を介して第1の排水材33aに伝わり、この第1の排水材33aに接続する第1の水平ドレーン材34aを通して土砂層内の水分及び空気が、図13中矢印で示すように、第1の水平ドレーン材34aへと吸い出され、第1の排水材33a、真空タンク32、耐圧ホース41を介して排水され、土砂層が固化するようになっている。
【0072】
次に、i)の工程、すなわち図14に示すように、前記固化した土砂35よりなる層上面に、第2の排水材33bを設置し、この第2の排水材33bに接するように、所定の間隔をおいて第2の水平ドレーン材34bを敷設する。また、可撓管37を介して前記第1の排水材33aと第2の排水材33bとを接続する。
【0073】
この後、j)、k)の工程、つまり前記凹部内(固化した土砂35の層の上面)に再度土砂42を撒き出し、土砂42からなる層の上面を気密シート43で覆い、真空ポンプ40を作動させるのである。これにより、真空ポンプ40からの負圧が、真空タンク32、第1、第2の排水材33a、33b、第1、第2の水平ドレーン材34a、34b、可撓管37を介して土砂35、42からなる層に伝わり、図14中矢印に示すように、土砂層中の水分と空気が、第1、第2の水平ドレーン材34a、34bへと吸い出され、第1、第2の排水材33a、真空タンク3、耐圧ホース41を介して排水され、土砂35、42からなる層が固化するようになっている。勿論この場合も、固化した土砂35の層の上面への土砂42の撒き出しにより、地盤Aには、土砂35の荷重に加え、土砂42の荷重が加わることになり、この荷重の載加により、地盤Aの圧密脱水も進行することになる。
【0074】
次いで、図15に示すように、上記i)、j)、k)の工程を繰り返すのである。これにより、地盤Aは、繰り返し載加される土砂による圧密載荷重によって圧密脱水が効果的に進行し、硬化地盤へと改良されるようになる。同時に地盤A上の土砂層も、土砂による圧密載荷重と負圧力とによって圧密脱水が効果的に進行し、盛土材などに再生利用ができるまでに固化処理がなされるようになる。
【0075】
また、図15に示すように、固化した土砂をそのまま盛土材として用い、軟弱地盤A上に堤防を造成することができる。
【0076】
尚、前記c)〜f)の工程を繰り返す毎に、地盤Aの凹部30底面に設置した真空タンク32は、図13〜図15に示すように、地盤Aと共に沈下することになる。真空タンク32の沈下に伴い、真空ポンプ40による負圧能力も低下していくことになる。というのは真空ポンプ40は本来負圧発生手段であるが、沈下した深さ(高さ)分だけ、地盤間隙水を揚水しなければならなくなり、その揚水に真空ポンプ40の負圧力が利用され、その結果として真空ポンプ40による負圧能力も低下することになるからである。このような不具合の発生を解消するため、本例では、水中ポンプ(図示しない)を内蔵した真空タンク32を設置している。これにより真空タンク32内の間隙水は、常時、水中ポンプの稼働によって排水されるので、真空ポンプ40による真空度ロスを軽減することができる。尚、水中ポンプが故障したときに対処すべく、真空タンク内の底部に耐圧ホースを設置して地上(外側)まで配管しておくとよい。また本例では、タンク内に水中ポンプを設置した真空タンクを採用したが、地盤間隙水を排水するための排水ポンプを備えるものならば何でも良く、例えばタンク外部に排水ポンプを付設した真空タンク、あるいは地上に設置した排水ポンプと連結させた真空タンクなども用いることができる。
【0077】
尚、各工程に使用される第1、第2の水平ドレーン材、第1、第2の排水材、可撓管、及び気密シートのいずれか又は全てを生分解性成形材料により構成することもできる。生分解性成形材料とは土中又は水中に存在する微生物や水分などにより容易に分解してしまう材料をいう。この生分解性成形材料によって構成された第1、第2の水平ドレーン材、第1、第2の排水材、可撓管、及び気密シートを用いて、上述の方法に従い改良工法を施工した場合、第1、第2の水平ドレーン材、第1、第2の排水材、可撓管、及び気密シートを構成する生分解性成形材料が、地盤、土砂内の土中又は水中に存在する微生物や水分などにより容易に分解してしまうため、これらの部材を撤去する必要がなく、軟弱地盤の改良に要する費用と手間とを大幅に削減することができる。
【0078】
また生分解性成形材料としては、芋類、米麦類、コーン類などの澱粉質、澱粉に酢酸ビニルなどのビニルモノマーを共重合させた澱粉質誘導体、パルプ、セルロースなどの植物繊維又は植物粉末、天然ゴム、アラビアゴムなどの植物性高分子、ガゼイン、ゼラチン、グルテンなどの動物性タンパク質といった天然高分子を主体とするものが好ましい。というのは、これら天然高分子を主体とするものにあっては、施工後に地盤内で分解しても環境に悪影響を与えることがないからである。
【0079】
尚、請求項7〜12記載の改良工法を、埋立造成区域などの軟弱地盤に適用する場合、埋立造成時には、埋立造成区域の周囲を浚渫することから、その際に生じる浚渫泥を凹部内に撒き出す土砂とすればよい。これにより、軟弱地盤の改良と浚渫泥の処理とが同時に行えるようになる。また、河川や港湾などの浚渫工事の際に生じた浚渫泥を、この改良工法を適用するときに、凹部内に撒き出す土砂として用いることもできる。
【0080】
【発明の効果】
請求項1〜6記載の軟弱地盤の改良工法にあっては、a)〜h)の工程を有することから、土砂層による圧密載荷重と負圧力とによって地盤及び土砂層の圧密脱水が効果的に進行し、より効率的な軟弱地盤の硬化地盤への改良がなされる。
【0081】
また、上記工法においてf)、g)、h)の工程を繰り返すことで、土砂層による圧密載荷重と負圧力とによる軟弱地盤及び土砂層の圧密脱水はさらに進行し、より確かな硬化地盤への改良がなされるようになる。
【0082】
また、土砂層が浚渫泥によるものの場合には、上記圧密載荷重と負圧力とによる圧密脱水で、地盤改良と同時に浚渫泥の処理も行うことができる。
【0083】
また、前記各工程に使用される鉛直ドレーン材、通水材及び気密シートのいずれか又は全てに、生分解性成形材料(特に好ましくは天然高分子)を用いたならば、これらの部材が地盤内で容易に分解してしまうので、これらの部材を撤去する必要がなく、軟弱地盤の改良に要する費用と手間とを大幅に削減することができる。
【0084】
また、上記工法において、真空ポンプを間欠的に作動させることもでき、この場合、地盤上面は、負圧の状態と常圧の状態とが交互に造り出されることになる。負圧の状態から常圧の状態に変わるとき、その圧力差によって地盤中に空気が一気に入り込むことになり、その衝撃力によって脱水により閉塞状態となっていた地盤を構成する粒子間隔が広がり、地盤中の水及び空気の排出経路が確保され、より効率的な水及び空気の排出がなされるようになる。
【0085】
(削除)
【0086】
請求項7〜12記載の軟弱地盤の改良工法にあっては、a)〜f)の工程を有することから、圧密沈下が大きな場合でも、土砂層による圧密載荷重と負圧力とによって地盤及び土砂層の圧密脱水が効果的に進行し、効率的な軟弱地盤の硬化地盤への改良がなされる。
【0087】
また、上記工法においてd)e)f)の工程を繰り返すことで、より効果的でかつ確実な地盤の改良がなされるようになる。
【0088】
また、土砂層が浚渫泥によるものの場合には、上記圧密載荷重と負圧力とによる圧密脱水で、地盤改良と同時に浚渫泥の処理も行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】地盤中に鉛直ドレーン材を打設した状態を示す断面図。
【図2】鉛直ドレーン材上端部と接触するように平行状に通水材を配置した状態を示す断面図。
【図3】通水材を示す要部拡大断面図。
【図4】地盤上を前記鉛直ドレーン材上端部及び通水材とともに気密シートで覆った状態を示す断面図。
【図5】水と空気が吸い出された後の鉛直ドレーン材周りの地盤を示す模式図。
【図6】負圧状態から常圧の状態へ戻すことにより、鉛直ドレーン材周りの地盤を構成する粒子間隙を広げた状態を示す模式図。
【図7】本発明の改良工法により圧密沈下した地盤の凹部を示す断面図。
【図8】圧密沈下した地盤の気密シート上に土砂を撒き出した状態を示す断面図。
【図9】土砂層中に鉛直ドレーン材を打設すると共に土砂層上面を気密シートで覆った状態を示す断面図。
【図10】圧密沈下した地盤の凹部を示す断面図。
【図11】圧密沈下した凹部内にさらに土砂を撒き出した状態を示す断面図。
【図12】圧密沈下した凹部内に第1の排水材、真空タンクを設置する共に、第1の水平ドレーン材を敷設した状態を示す平面図。
【図13】同じく断面図。
【図14】固化後の土砂層の上面に第2の排水材を設置する共に、第2の水平ドレーン材を敷設した状態を示す平面図。
【図15】固化した土砂を盛土材として、軟弱地盤上に堤防を造成した状態を示す断面図。
【図16】従来の軟弱軟弱地盤の改良施工装置を示す断面図。
【符号の説明】
11、24・・・鉛直ドレーン材
13・・・通水材
16、40・・・真空ポンプ
17・・・真空タンク
18、25、36、43・・・気密シート
21・・・砂層
22、26、35、42・・・土砂
30・・・凹部
32・・・真空タンク(水中ポンプ内蔵)
33a、33b・・・排水材
34a、34b・・・水平ドレーン材
Claims (12)
- 以下のa)〜h)の工程を有することを特徴とする軟弱地盤の改良工法。
a) 鉛直ドレーン材を上端部を残して地盤中に所定の間隔をおいて打設することにより、地盤中に鉛直排水壁を造成する工程、 b) 前記鉛直ドレーン材上端部と接触するように水平状に真空ポンプに連結した通水材を配置する工程、
c) 前記鉛直ドレーン材上端部及び通水材を砂層で覆う工程、 d) 前記地盤上を前記鉛直ドレーン材上端部、通水材及び砂層とともに気密シートで覆う工程、
e) 前記真空ポンプを作動させて地盤上面に負圧の状態を造り出す工程、
f) 前記地盤の圧密沈下後の凹部内に土砂を撒き出す工程、
g) 前記土砂層に前記気密シートを貫通して前記砂層に至る深さまで鉛直ドレーン材を打設する工程、
h) 前記真空ポンプを作動させて前記地盤上面に負圧の状態を造り出し、前記土砂層中に打設した鉛直ドレーン材を介して土砂層中の水及び空気を排出させる工程。 - 前記f)、g)、h)の工程を繰り返すことを特徴とする請求項1記載の軟弱地盤の改良工法。
- 前記気密シート上に投入する土砂が浚渫泥であることを特徴とする請求項1または2記載の軟弱地盤の改良工法。
- 前記各工程に使用される鉛直ドレーン材、通水材及び気密シートのいずれか又は全てが、生分解性成形材料よりなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の軟弱地盤の改良工法。
- 生分解性成形材料が天然高分子を主体とすることを特徴とする請求項4記載の軟弱地盤の改良工法。
- 真空ポンプを間欠的に作動させることで、地盤上面に常圧及び負圧の状態を交互に造り出す工程をさらに含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の軟弱地盤の改良工法。
- 以下のa)〜f)の工程を有することを特徴とする軟弱地盤の改良工法。
a) 圧密沈下後の地盤の凹部底面に、真空ポンプと連結し、排水ポンプを備えている真空タンクと、同真空タンクと接続した第1の排水材とを設置すると共に、この第1の排水材と接するように、所定の間隔をおいて第1の水平ドレーン材を敷設する工程、
b) 前記地盤の凹部内に土砂を撒き出す工程、
c) 前記真空ポンプを作動させて、真空タンク、第1の排水材、第1の水平ドレーン材を介して土砂層に含まれる水分及び空気を除去し、土砂層を固化させる工程、
d) 前記固化した土砂上面に、第2の排水材を設置し、この第2の排水材に接するように、所定の間隔をおいて第2の水平ドレーン材を敷設すると共に、前記第2の排水材と前記第1の排水材とを可撓管を介して接続する工程、
e) 前記凹部内に再度土砂を撒き出す工程、
f) 前記真空ポンプを作動させて、真空タンク、第1、第2の排水材、第1、第2の水平ドレーン材、可撓管を介して土砂層に含まれる水分及び空気を除去し、土砂層を固化させる工程。 - 前記a)の工程における地盤を圧密沈下させて地盤に凹部を造成する工法が、以下のア)〜オ)の工程からなることを特徴とする請求項7記載の軟弱地盤の改良工法。
ア) 鉛直ドレーン材を上端部を残して地盤中に所定の間隔をおいて打設することにより、地盤中に鉛直排水壁を造成する工程、 イ) 前記鉛直ドレーン材上端部と接触するように水平状に真空ポンプに連結した通水材を配置する工程、
ウ) 前記鉛直ドレーン材上端部及び通水材を砂層で覆う工程、 エ) 前記地盤上を前記鉛直ドレーン材上端部、通水材及び砂層とともに気密シートで覆う工程、
オ) 前記真空ポンプを作動させて地盤上面に負圧の状態を造り出す工程。 - 前記d)、e)、f)の工程を繰り返すことを特徴とする請求項7または8のいずれかに記載の軟弱地盤の改良工法。
- 前記圧密沈下後の凹部内に撒き出す土砂が浚渫泥であることを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載の軟弱地盤の改良工法。
- 前記各工程に使用される第1、第2の水平ドレーン材、第1、第2の排水材及び可撓管のいずれか又は全てが、生分解性成形材料よりなることを特徴とする請求項7〜10いずれかに記載の軟弱地盤の改良工法。
- 生分解性成形材料が天然高分子を主体とすることを特徴とする請求項11記載の軟弱地盤の改良工法。
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