JP4056580B2 - 抄紙用ドライヤーカンバス - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は抄紙用ドライヤーカンバスに関し、詳しくは、抄紙機のドライパートで静電気の帯電防止対策を施して使用され、特に、基布に繊維ウェッブをニードルパンチングしてなる抄紙用ドライヤーカンバスに関する。
【0002】
【従来の技術】
抄紙機のドライパートに使用される抄紙用ドライヤーカンバスにおいては、その構成繊維と、抄造される紙材及び乾燥ロールとの間に表面速度差などに起因する摩擦で帯電現象が発生し、その静電気の発生によって紙粉やオイルミスト等の汚れがドライヤーカンバスの表面に付着し易くなる。この結果、抄造される紙の品質に悪影響を及ぼす問題が発生している。
【0003】
このような問題を解決するため、例えば実開昭50−8203号公報には、抄紙用ドライヤーカンバスを構成する基布の両面又は片面に、炭素繊維や金属繊維等の導電性繊維を混入した繊維ウェッブをニードルパンチングすることによって、抄紙用ドライヤーカンバスに帯電防止性を付与する方法が記載されている。
【0004】
また、実開平6−6496号公報には、抄紙用ドライヤーカンバスの表層構成部材として使用される繊維ウェッブ中に、この繊維ウェッブの形成繊維と同質で、かつ、表面に金属コーティング被膜を有する繊維を混入することによって帯電防止性を付与する方法が記載されている。
【0005】
更に、実開平2−61999号公報に記載された抄紙用ドライヤーカンバスは、導電性物質を混入した糸を一部に使用して帯電防止対策を行った織成布を基布とするもので、この基布に繊維ウェッブをニードルパンチングしたものも用途によっては使用されている。
【0006】
また、特開平8−134789号公報には、図11に示す抄紙用ドライヤーカンバス40に使用される繊維ウェッブ41中に、図12に示すようにナイロン繊維51に炭素微粒子含有の導電性繊維52を配した2成分複合の導電性複合繊維50を混入し、この繊維ウェッブ41を基布42にニードルパンチングすることによって帯電防止性を付与する方法が記載されている。尚、この導電性複合繊維50として、ユニチカ(株)製のメガIII (商品名)を使用した例が挙げられている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、実開昭50−8203号公報に記載された抄紙用ドライヤーカンバスでは、繊維ウェッブ中に炭素繊維や金属繊維等の導電性繊維を混入しているため、繊維ウェッブの主成分として配合されている合成繊維と前記導電性繊維の物性、例えば柔軟性が大幅に異なるため、表層側を合成繊維の繊維ウェッブのみから形成してなる抄紙用ドライヤーカンバスと同等の表面特性が得られず、紙面に斑等が発生する場合が少なくなかった。
【0008】
また、実開平6−6496号公報に記載された抄紙用ドライヤーカンバスでは、ドライパートで繰返し折曲げ荷重が付加されることによって、被膜強度が経時的に減少し、繊維表面から金属コーティング被膜が剥離し易くなるという問題がある。
【0009】
更に、実開平2−61999号公報に記載された抄紙用ドライヤーカンバスでは、導電性物質を混入した糸の周辺で電位が高くなり、この部分に微細なダストが集中的に付着し易くなったり、放電現象が発生し易くなったりする欠点が見受けられる。放電現象が激しくなると繊維ウェッブを構成する個々の繊維が加熱されることによって溶融してしまう場合もあり、抄紙用ドライヤーカンバスの長期に亘る使用が困難となる。
【0010】
一方、特開平8−134789号公報に記載された抄紙用ドライヤーカンバス40では、導電性複合繊維50内の炭素微粒子含有量が少量であるので、湿紙と接触する繊維ウェッブ41の表面特性が導電性繊維を全く含まない繊維ウェッブと略同等の水準に維持される。その結果、耐屈曲強度や耐摩耗強度の不足に起因する抄紙用ドライヤーカンバスの表面特性の悪化が未然に回避され、長期間に亘る使用が可能になって帯電防止効果も充分発揮できる旨が記載されている。
【0011】
しかしながら、この抄紙用ドライヤーカンバスでは、図12に示すように導電性を示す炭素微粒子含有の導電性繊維52が、導電性複合繊維50の表面全体に露出しているため、ドライヤーカンバスの用途或いは使用条件によっては、どうしても湿紙へ炭素微粒子が転移することは防げなかった。
【0012】
また、基布に繊維ウェッブをニードルパンチングしてなるドライヤーカンバスの場合は、ニードルパンチングの際に表面に炭素微粒子があると、その炭素微粒子が導電性複合繊維50から出てくることがどうしてもおこりがちであった。この炭素微粒子が出てくるのを防止しようとすると、ニードルパンチングを行う作業の効率が低下する問題があった。このように湿紙への炭素微粒子の転移を防止するのは実用上困難であった。以上の結果、導電性物質が繊維表面に露出しない構造の導電性繊維を使用したドライヤーカンバスが要求されるようになってきている。
【0013】
一方、最近の抄紙機の高速化に対応するため、湿紙の断紙の検出装置やドライヤーカンバスの長さ方向端部(耳部)の無接触式自動ガイド装置の導入が行われるようになってきている。そのため、各検出装置との組合せ及び用途によって、ドライヤーカンバス色が白色だけでなく、黒色、赤色、緑色及び青色等に着色されたものが要求されるようになってきている。基布に繊維ウェッブをニードルパンチングしてなるドライヤーカンバスの場合、基布及び通常の繊維ウェッブは元来白色であるので、染色加工により種々の色にすることは可能であった。
【0014】
しかしながら、ドライヤーカンバスに静電気の帯電防止対策を施そうとすると、前述した特開平8−134789号公報に記載の内容は、導電性複合繊維内に炭素微粒子を含有しているので複合繊維自体は黒色である。通常の繊維ウェッブは白色としても、これに黒色の導電性複合繊維を配合すると、製品としては白色と黒色の色むらができる。
【0015】
従って、カンバス製品としては完全な白色ではなく、また、染色加工により鮮明な赤色、緑色及び青色等に染色することが困難で、その結果、前述した湿紙の断紙の検出装置やドライヤーカンバスの長さ方向端部(耳部)の無接触式自動ガイド装置の導入に対応できない問題があった。また、抄紙用ドライヤーカンバスの表面に前述した白色と黒色の色むらができると、その表面に汚れが付着したかどうか分り難い問題があった。この問題を解決するため、抄紙用ドライヤーカンバスとしては、白色系の製品が要求されるようになってきている。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解消するための技術的手段として、本発明は、基布に繊維ウェッブをニードルパンチングしてなる抄紙用ドライヤーカンバスにおいて、前記繊維ウェッブ中に、アクリロニトリル系共重合体からなる芯鞘複合繊維で芯部のみに導電率10-3S/cm以上の導電性物質を15〜70体積%含有した導電性アクリル系繊維を配合したことを特徴とする。
【0017】
また、本発明において、前記導電性繊維の配合割合は、前記繊維ウェッブの全重量に対して3重量%以上とすることが望ましく、更に、5重量%以上とすることがより一層望ましい。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態を以下に詳述する。
【0019】
この実施形態の抄紙用ドライヤーカンバス1は、図1に示すように二重織組織に織成された基布2の接紙面側に繊維ウェッブ3を重ね合わせた後、基布2と共にニードルパンチング加工を施すことによって、基布2と繊維ウェッブ3を一体構造に接合したもので、繊維ウェッブ3中に、アクリロニトリル系共重合体からなる芯鞘複合繊維で芯部のみに導電率10-3S/cm以上の導電性物質を15〜70体積%含有した図2の導電性アクリル系繊維10を配合したことを特徴とする。
【0020】
ここで、前述したアクリロニトリル系共重合体からなる芯鞘複合繊維は、通常、アクリル系繊維の製造に用いられるアクリル系共重合体であればよく特に限定されない。また、芯成分と鞘成分を構成するアクリル系重合体は同一組成であっても異なる組成であってもよい。
【0021】
尚、この実施形態では、二重織の場合について説明しているが、本発明はこれに限定されることはない。
【0022】
この導電性繊維10の配合割合は、前述した繊維ウェッブ3の全重量に対して3重量%以上、望ましくは5重量%以上とする。この配合割合が、3重量%未満であると抄紙用1ドライヤーカンバスの比抵抗値が小さくならず静電防止効果が少なくなり、用途によっては使用できない。また、3重量%以上であると充分静電防止効果があり好適である。さらに、静電防止効果が厳しく要求される用途に使用する場合には、5重量%以上が望ましい。
【0023】
【実施例】
本出願人は、具体的に繊維ウェッブ3中に配合する導電性繊維10に関して、導電性物質が繊維表面に露出しない構造を有するもので静電気の帯電防止対策が行え、また、抄紙機の高速化による湿紙の断紙の検出装置やドライヤーカンバスの長さ方向端部(耳部)の無接触式自動ガイド装置の導入に対応でき、表面に汚れが付着したかどうかわかりやすい白色系のものを検討した。その結果、アクリロニトリル系共重合体からなる芯鞘複合繊維で芯部のみに導電率10-3S/cm以上の導電性物質を15〜70体積%含有した導電性アクリル系繊維10である「スーパーエレキテル」[三菱レイヨン(株)製:商品名](以下、SE繊維と称す)を使用できる可能性があることが判明した。このSE繊維10は、図2に示すように白色系導電微粒子をアクリルポリマーに高率配合した層11とアクリルポリマー層12を特殊複合紡糸した芯鞘構造である。
【0024】
そこで、SE繊維10が抄紙用ドライヤーカンバス1に使用できるか否かを確認するため、蒸熱試験及び乾熱試験の性能試験を行った。
【0025】
(1) 蒸熱試験
1.0kg/cm2 の飽和蒸気雰囲気内で蒸熱試験を行った。その試験結果を図3に示す。図3は、縦軸を強力の保持率(%)、横軸を処理日数(日)として蒸熱性を表わす。尚、本発明品で使用した▲1▼SEと比較するため、▲2▼メガIII [ユニチカ(株)製:導電性複合繊維の商品名]、▲3▼T(ポリエステル繊維)、▲4▼N(ナイロン繊維)、▲5▼AC(アクリル繊維)の各種繊維についても同様に試験を行った。この試験結果から、SEはTよりも強力保持率が高く、他の繊維とも遜色ないことが分り、抄紙用ドライヤーカンバスとして充分使用できることが分った。
【0026】
(2) 乾熱試験
150℃の雰囲気内で乾熱試験を行った。その試験結果を図4に示す。図4は、縦軸を強力の保持率(%)、横軸を処理日数(日)として乾熱性を表わす。尚、本発明品で使用した▲1▼SEと比較するため、▲2▼メガIII [ユニチカ(株)製、導電性複合繊維の商品名]、▲3▼T(ポリエステル繊維)、▲4▼N(ナイロン繊維)、▲5▼AC(アクリル繊維)の各種繊維についても同様に試験を行った。この試験結果から、SEはメガIII よりも強力保持率は高く、ACとほぼ同様な特性を示すことが分り、抄紙用ドライヤーカンバスとして充分使用できることが分った。
【0027】
以上の結果、SE繊維10は抄紙用ドライヤーカンバス1の繊維ウェッブ3として充分使用できる性能であることが判明した。
【0028】
次に、このSE繊維10を使用した本発明の実施例について以下に詳述する。前述した本発明の抄紙用ドライヤーカンバス1(図1参照)は、二重織組織に織成された基布2の接紙面側に繊維ウェッブ3を重ね合わせた後、基布2と共にニードルパンチング加工を施すことによって、基布2と繊維ウェッブ3を一体構造に接合したものである。基布2は、図5の一覧表で示すように直径0.4mmのポリエステルモノフィラメント(TM)を経糸4の織密度を83.9〜84.0本/2.54cm、緯糸5の織密度を15.3〜15.4×2本/2.54cmで、二重織組織に織成することによって製作されている。また、繊維ウェッブ3は、同じく同図の一覧表で示すように配合比を変化させて製作されている。
[実施例1]
繊維ウェッブ3は、10デニールのナイロン繊維(N)を55重量%、10デニールのアクリル繊維(AC)を40重量%、3デニールのSE繊維10を5重量%で配合し、積層量を300g/m2 として、抄紙用ドライヤーカンバス1を製作した。
[実施例2]
繊維ウェッブ3は、10デニールのナイロン繊維(N)を57重量%、10デニールのアクリル繊維(AC)を40重量%、3デニールのSE繊維10を3重量%で配合し、積層量を300g/m2 として、抄紙用ドライヤーカンバス1を製作した。
[実施例3]
繊維ウェッブ3は、10デニールのナイロン繊維(N)を59重量%、10デニールのアクリル繊維(AC)を40重量%、3デニールのSE繊維10を1重量%で配合し、積層量を300g/m2 として、抄紙用ドライヤーカンバス1を製作した。
【0029】
前述した実施例1〜実施例3は、繊維ウェッブ3に配合するSE繊維10をそれぞれ5重量%、3重量%、1重量%と変化させたものである。尚、各実施例の仕様は図5の一覧表で示す通りである。
【0030】
次に、本発明品と従来品とを比較するため、以下に詳述する比較例を製作した。各比較例は、実施例と同様(図1参照)、二重織組織に織成された基布2の接紙面側に繊維ウェッブ3を重ね合わせた後、基布2と共にニードルパンチング加工を施すことによって、基布2と繊維ウェッブ3を一体構造に接合したものである。この比較例の基布2は、図6の一覧表で示すように直径0.4mmのポリエステルモノフィラメント(TM)を経糸4の織密度を84.4本/2.54cm、緯糸5の織密度を15.3〜15.6×2本/2.54cmで二重織組織に織成することによって製作されている。また、繊維ウェッブ3は同じく図6の一覧表で示すように素材及び配合比を変化させて製作されている。
[比較例1]
繊維ウェッブ3は、10デニールのナイロン繊維(N)を55重量%、10デニールのアクリル繊維(AC)を40重量%、導電性繊維である2.5デニールのメガIII [ユニチカ(株)製の導電性複合繊維の商品名]を5重量%で配合し、積層量を300g/m2 として、抄紙用ドライヤーカンバス1を製作した。
[比較例2]
繊維ウェッブ3は、10デニールのナイロン繊維(N)を50重量%、10デニールのアクリル繊維(AC)を40重量%、導電性繊維である2.5デニールのメガIII を10重量%で配合し、積層量を300g/m2 として、抄紙用ドライヤーカンバス1を製作した。
[比較例3]
繊維ウェッブ3は、10デニールのナイロン繊維(N)を60重量%、10デニールのアクリル繊維(AC)を40重量%で配合し、積層量を300g/m2 として、抄紙用ドライヤーカンバス1を製作した。
【0031】
比較例1及び比較例2は、繊維ウェッブ3に配合するメガIII をそれぞれ5重量%、10重量%と変化させたものであり、比較例3は導電性繊維を配合しない場合を示すものである。尚、各比較例の仕様は図6の一覧表で示す通りである。
【0032】
前述した各実施例及び比較例として製作した抄紙用ドライヤーカンバス1の帯電防止性能を評価するために図7の抵抗値測定装置を用意し、電極21と22の間に前述の抄紙用ドライヤーカンバス1の試料25を挟持し、電極21,22間に所定の電流を供給しながら超絶縁計26[東亜電波工業(株)製SM−5E型]を使用して抵抗値と比抵抗値(体積固有抵抗値)を測定した。尚、各試料25の大きさは、長さ10cm、幅5cmとした。また、測定時の周囲条件は温度22.5℃で、湿度は57%であった。
【0033】
各実施例及び比較例についての測定結果を図8の一覧表に一括して示す。この測定結果から、実施例1は比較例1及び比較例2とほぼ同じ比抵抗値を示しており、比較例3(導電性繊維を配合しない場合)よりも102 のオーダーで小さいことが分かる。比較例1及び比較例2は導電性繊維のメガIII をそれぞれ5重量%、10重量%配合したものであり、この配合であれば抄紙用ドライヤーカンバス1として帯電防止効果が充分であることが分っている。
【0034】
従って、実施例1は帯電防止効果が十分あることが分る。また、実施例2及び実施例3は実施例1に比べて比抵抗値が大きくなる。しかし、比較例3と比べると、実施例2では約1/50、実施例3では約1/10と小さく、抄紙用ドライヤーカンバス1の帯電防止効果を厳しく要求されない用途によっては使用することもできる。
【0035】
次に、抄紙用ドライヤーカンバス1の使用時の帯電防止性能を評価するため、各実施例及び各比較例について、幅15cm、長さ360cmの抄紙用ドライヤーカンバス1の試料30を用意し、図9に示す走行テストマシン31に仕掛け、1.0kg/cmの張力を負荷した状態で走行速度Vを100m/min.、200m/min.、300m/min.の3段階に変化させ、それぞれの走行速度ごとにテスト開始から5分、10分、15分経過した時点での最大電圧KVを測定した。
【0036】
尚、図9に示す走行テストマシン31は、試料30に負荷される張力の調整手段として、重錘Wと加圧ローラ32を配設すると共に、試料30の走行域の上方には帯電圧測定器33[シシド静電気(株)製、商品名「スタチロン−M」]を配設している。また、試料30と前述した相対配設位置の関係にある帯電圧測定器33には、試料30の上面から5cmの離間間隔を保持して電圧センサ34が接続されている。
【0037】
各実施例及び比較例についての測定結果を図10に示す。この測定結果から、各試料の帯電圧について、実施例1及び実施例2は、比較例1及び比較例2とほぼ同じレベルにあり、比較例3(導電性繊維を配合しない場合)よりも大幅に減少しており、帯電防止効果が十分あることが分かる。実施例3については、比較例3と比較して帯電圧はほぼ1/2しか減少していないので、通常の用途には使用できないが、帯電防止効果を厳しく要求されない用途では使用することもできる。
【0038】
図8及び図10に示す各試験の測定結果から、SE繊維10を繊維ウェッブ3に配合すれば、帯電防止効果があることが判明した。そのSE繊維10の繊維ウェッブ3への配合割合については、前記測定結果から、3重量%以上、望ましくは5重量%以上が帯電防止効果として非常に有効であることが分かる。また、3重量%未満で1重量%以上であれば、帯電防止効果を厳しく要求されない用途であれば使用することもできる。
【0039】
各実施例について、SE繊維10を混合したことにより抄紙用ドライヤーカンバス1の表面に色むらがないことも確認できた。尚、実施例では抄紙用ドライヤーカンバス1(図1参照)における基布2の接紙面側にのみ、SE繊維10を配合した繊維ウェッブ3が重ね合わされているが、必要に応じて基布2の上下両面に繊維ウェッブ3を重ね合わせることも可能である。
【0040】
また、各実施例の抄紙用ドライヤーカンバス1について、導電性微粒子が表面に露出してくることがないかについての確認試験を行った。その結果、前述したような現象は発生していないことが判明した。これは、SE繊維10が繊維の内部に導電性物質を含有した芯鞘構造であるからである。これにより、本発明の抄紙用ドライヤーカンバス1を使用しても、導電性物質が湿紙へ転移する現象は発生しないことが判明した。
【0041】
更に、抄紙用ドライヤーカンバス1の製作の際のニードルパンチング作業はSE繊維10を使用するからといって、特別な考慮は必要でなく、通常の繊維ウェッブと同じ要領で行えるので作業効率が低下することなく作業が可能となった。
【0042】
次に、各実施例について抄紙用ドライヤーカンバス1の染色加工性について確認を行った。その結果、黒色、赤色、緑色、青色等の各種の色彩が染色加工により、鮮明な色彩の抄紙用ドライヤーカンバス1が得られることが確認できた。これは、SE繊維10が白色系であり一般的な染色加工により鮮明な着色が可能なためである。これにより、湿紙の断紙の検出装置やドライヤーカンバスの長さ方向端部(耳部)の無接触式自動ガイド装置等の導入に対応できる製品が得られることになった。
【0043】
また、SE繊維10は、アクリルポリマーを主体とした繊維であるので、優れた耐湿熱性があるので、蒸熱負荷の大きな用途でも耐久性があるので、導電性繊維であるSE繊維10を繊維ウェッブ3に配合しても、抄紙用ドライヤーカンバス1の寿命が低下するという問題は発生しないので、耐久性があり長寿命の抄紙用ドライヤーカンバス1が得られる。
【0044】
【発明の効果】
本発明によれば、導電性繊維として繊維ウェッブに配合するSE繊維は、少量配合するのみで十分な帯電防止効果が得られるので、湿紙と接触する繊維ウェッブの表面特性が導電性繊維を全く含まない繊維ウェッブと略同等の水準に維持される。また、比較的少量の導電性繊維を繊維ウェッブ内に分散配置することによって、抄紙用ドライヤーカンバスの接紙面全域に略均一に帯電防止域が形成されるため、カンバス表面で局部的に帯電圧が高くなり、この部分にダストが集中的に付着するという不都合の発生が皆無となる。
【0045】
また、本発明の抄紙用ドライヤーカンバスを使用すれば、導電性物質が湿紙へ転移する問題が解消でき、カンバス製作時におけるニードルパンチング作業では、SE繊維を使用する上での特別な考慮が必要でないので作業効率が低下することもない。また、各種の色彩へ染色加工が可能なので、染色加工性が良好で鮮明な色彩を有し、様々な色彩仕様が要求される用途に使用できる抄紙用ドライヤーカンバスを提供することができる。
【0046】
更に、SE繊維は白色系であるので、カンバス製品の表面に白色と黒色の色むらが発生せず、このため、抄紙用ドライヤーカンバスの表面に汚れの付着があった場合も分かり易い効果を有する。これにより、白色の抄紙用ドライヤーカンバスが要求される用途にも使用できる。また、SE繊維はアクリルポリマーを主体とした繊維であるので、優れた湿熱性により、蒸熱負荷の大きな用途でも耐久性があるので、抄紙用ドライヤーカンバスを長寿命に保てる効果も有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る抄紙用ドライヤーカンバスの組織構造を示す断面図
【図2】 図1の繊維ウェッブに配合されるSE繊維の構造を示す断面図
【図3】 本発明で行った蒸熱試験の試験結果を示す特性図
【図4】 本発明で行った乾熱試験の試験結果を示す特性図
【図5】 本発明の各実施例の仕様を示す一覧表
【図6】 本発明の各実施例と比較するための各比較例の仕様を示す一覧表
【図7】 (a)は抄紙用ドライヤーカンバスの帯電防止性能を評価するための抵抗値測定装置を示す概略構成図(b)はその断面図
【図8】 各実施例及び比較例についての抵抗値測定結果を示す一覧表
【図9】 抄紙用ドライヤーカンバス使用時の帯電防止性能を評価するための走行テストマシンを示す概略構成図
【図10】 各実施例及び比較例についての帯電圧測定結果を示す特性図
【図11】 抄紙用ドライヤーカンバスの従来例を示す組織構造図
【図12】 図11の繊維ウェッブ中に混入される導電性複合繊維を示す組織構造図
【符号の説明】
1 抄紙用ドライヤーカンバス
2 基布
3 繊維ウェッブ
10 導電性繊維(SE繊維)

Claims (1)

  1. 基布に繊維ウェッブをニードルパンチングしてなる抄紙用ドライヤーカンバスにおいて、前記繊維ウェッブ中に、アクリロニトリル系共重合体からなる芯鞘複合繊維で芯部のみに導電率10-3S/cm以上の導電性物質を15〜70体積%含有した導電性アクリル系繊維を配合したことを特徴とする抄紙用ドライヤーカンバス。
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