JP4055632B2 - 内燃機関の点火時期制御装置 - Google Patents

内燃機関の点火時期制御装置 Download PDF

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  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の点火時期制御装置に関し、特にMBT(最小点火進角値)となるように点火時期を制御する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
機関の運転状態に基づいて点火時期を設定して制御する内燃機関の点火時期制御装置であって、所定の演算式を用いてMBT(最小点火進角値)を演算する点火時期制御装置が特許文献1に記載されている。
【0003】
【特許文献1】
特開平10−318110号公報
【0004】
【本発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1においてMBT演算手段は、内燃機関のコントロールユニットが点火指令を発信してから実際にシリンダ内で燃焼が開始するまでの無駄時間を、エンジン回転数の関数として扱っている。
【0005】
このため、運転状態が変化した場合、例えば当量比が変化して燃焼反応確率に変動が生じた場合等には、正確な無駄時間を算出することができず、結果としてMBTを正確に算出できないという問題があった。
【0006】
そこで本発明は、当量比が変化した場合にも正確な無駄時間を算出し、これにより正確なMBTを算出することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の点火時期制御装置は、燃焼ガスの層流状態での燃焼速度である層流燃焼速度を算出する層流燃焼速度算出手段と、算出した層流燃焼速度からシリンダ内の燃焼ガスの燃焼速度を算出する燃焼速度算出手段と、燃焼ガス燃焼開始時のシリンダ内容積を算出するシリンダ内容積算出手段と、所定のクランク角までにシリンダ内で燃焼する燃焼ガス量を算出する燃焼ガス量算出手段と、所定運転条件での燃焼ガスの燃焼しやすさに対する前記シリンダ内での燃焼ガスの燃焼のしやすさを示す反応確率を算出する反応確率算出手段と、前記燃焼速度と前記シリンダ内容積と前記燃焼ガス量と前記反応確率とに基づき燃焼期間を算出し、この燃焼期間に基づきMBTの得られる基本点火時期を算出する基本点火時期算出手段と、前記シリンダ内の燃焼ガスの燃焼圧力が最大になるクランク角を算出する基準クランク角算出手段と、前記シリンダ内の燃焼ガスに着火する点火プラグの点火指令信号を出力したタイミングから点火プラグが点火するまでのクランク角区間を燃焼に関する複数のパラメータに応じて算出する点火無駄時間相当クランク角算出手段を備え、前記MBTの得られる基本点火時期を、前記燃焼期間と前記算出した基準クランク角と点火無駄時間相当クランク角とから算出することを特徴とする。
【0008】
【作用・効果】
本発明によれば、例えば内燃機関の空燃比、残留ガス率、シリンダ内温度、シリンダ内圧力から算出された点火無駄時間を用いてMBTを算出するので、内燃機関の運転状態が変化した場合にも常に最適点火時期であるMBTを正確に算出することが可能となる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0010】
図1は本発明のシステムを説明するための概略図である。
【0011】
1はエンジンであり、エンジン1の燃焼室5の上部には、燃焼室5内に空気を導入するための吸気ポート4および燃焼後の排気ガスを排出するための排気ポート10が開口している。吸気ポート4と排気ポート10とは対向する位置に設けられる。また、吸気ポート4、排気ポート10の開口部にはそれぞれ吸気弁15、排気弁16が設けられ、これらが作動することにより燃焼室5と吸気ポート4及び排気ポート10との連通は断接される。
【0012】
吸気ポート4の上流には吸気マニホールド3が、そのさらに上流には吸気コレクタ2が設けられる。吸気コレクタ2には吸気温度センサ43、吸気圧力センサ44が設けられ、これらの検出信号はエンジンコントローラ31に読込まれる。
【0013】
吸気マニホールド3には、燃料インジェクタ21が設けられる。
【0014】
排気ポート10の下流には排気マニホールド8が設けられ、そのさらに下流には三元触媒9が設けられる。排気マニホールド8には排気温度センサ45、排気圧力センサ46が設けられ、これらの検出信号はエンジンコントローラ31に読込まれる。
【0015】
燃焼室5上部の略中央には燃焼室5内で圧縮された空気と燃料の混合気に点火するための点火プラグ14が設けられる。
【0016】
次に本システムの作用について説明する。空気は吸気コレクタ2に蓄えられた後、吸気マニホールド3を介して各気筒の燃焼室5に導入される。各気筒の吸気ポート4に配置された燃料インジェクタ21から噴射された燃料が、気化しつつ空気と混合してガス(混合気)を作り、燃焼室5に流入する。この混合気は吸気弁15と排気弁16が閉じることで燃焼室5に閉じ込められ、ピストン6の上昇によって圧縮される。
【0017】
この圧縮混合気に対して高圧火花により点火を行うため、パワートランジスタ内臓の点火コイルを各気筒に配した電子制御システムの点火装置11を備える。
【0018】
すなわち、点火装置11は、バッテリからの電気エネルギーを蓄える点火コイル13と、点火コイル13の一次側への通電、遮断を行うパワートランジスタと、燃焼室5の天井に設けられた点火コイル13の一次電流の遮断によって点火コイル13の二次側に発生する高電圧を受けて、火花放電を行う点火プラグ14とからなっている。
【0019】
圧縮上死点より少し手前で点火プラグ14により火花が飛ばされ圧縮混合気に着火されると、火炎が広がりやがて爆発的に燃焼し、この燃焼によるガス圧がピストン6を押し下げる仕事を行う。この仕事はクランクシャフト7の回転力として取り出される。燃焼後のガス(排気)は排気弁16が開いたとき排気通路8へと排出される。
【0020】
排気通路8に設けられた三元触媒9は、排気の空燃比が理論空燃比を中心とした狭い範囲(ウインドウ)にあるとき、排気に含まれるHC、CO、NOxといった有害三成分を同時に効率よく除去できる。空燃比は吸入空気量と燃料量の比であるので、エンジンの1サイクル(4サイクルエンジンではクランク角で720度区間)当たりに燃焼室5に導入される吸入空気量と、燃料インジェクタ21からの燃料噴射量との比が理論空燃比となるように、エンジンコントローラ31ではエアフローメータ32からの吸入空気流量の信号とクランク角センサ(33、34)からの信号に基づいて燃料インジェクタ21からの燃料噴射量を定めると共に、三元触媒9の上流に設けたO2センサ35からの信号に基づいて空燃比をフィードバック制御している。
【0021】
吸気コレクタ2の上流には、絞り弁23がスロットルモータ24により駆動される、いわゆる電子制御スロットル22を備える。運転者が要求するトルクはアクセルペダル41の踏み込み量(アクセル開度)に現れるので、エンジンコントローラ31ではアクセルセンサ42からの信号に基づいて目標トルクを定め、この目標トルクを実現するための目標空気量を定め、この目標空気量が得られるようにスロットルモータ24を介して絞り弁23の開度を制御する。
【0022】
吸気弁用カムシャフト25、排気弁用カムシャフト26及びクランクシャフト7の各前部にはそれぞれカムスプロケット、クランクスプロケットが取り付けられ、これらスプロケットにタイミングチェーン(図示しない)を掛け回す事で、カムシャフト25、26がエンジンのクランクシャフト7により駆動されるのであるが、このカムスプロケットと吸気弁用カムシャフト25との間に介在して、作動角一定のまま吸気弁用カムの位相を連続的に制御しうる吸気バルブタイミングコントロール機構(以下、「吸気VTC機構」という。)27と、カムスプロケットと排気弁用カムシャフト26との間に介在して、作動角一定のまま排気弁用カムの位相を連続的に制御し得る排気バルブタイミングコントロール機構(以下、「排気VTC機構」という。)28とを備える。吸気弁15の開閉時期や排気弁16の開閉時期を変えると燃焼室5に残留する不活性ガスの量が変化する。燃焼室5内の不活性ガスの量が増えるとポンピングロスが減って燃費がよくなるので、運転条件によりどのくらい不活性ガスが燃焼室5内に残留したらよいかを目標吸気弁閉時期に予め定めており、エンジンコントローラ31ではその時の運転条件(エンジンの負荷と回転速度)より目標吸気弁閉時期と目標排気弁閉時期を定め、それら目標値が得られるように吸気VTC機構27、排気VTC機構28の各アクチュエータを介して吸気弁閉時期と排気弁閉時期を制御する。
【0023】
吸気温度センサ43からの吸気温度の信号、吸気圧力センサ44からの吸気圧力の信号、排気温度センサ45からの排気温度の信号、排気圧力センサ46からの排気圧力の信号が、水温センサ37からの冷却水温の信号と共に入力されるエンジンコントローラ31では、パワートランジスタを介して点火プラグ14の一次側電流の遮断時期である点火時期を制御する。
【0024】
図2はエンジンコントローラ31内で行われる点火時期制御のブロック図で、大きくは点火時期演算部51と点火時期制御部61とからなる。点火時期演算部51はさらに初期燃焼期間算出部52、主燃焼期間算出部53、燃焼期間算出部54、基本点火時期算出部55、前回燃焼開始時期算出部56、からなる。
【0025】
初期燃焼期間算出部52では、混合気が着火してから火炎核が形成されるまでの期間を初期燃焼期間BURN1として算出する。主燃焼期間算出部53では、火炎核が形成されてから燃焼圧力が最大値Pmaxに達するまでの期間を主燃焼期間BURN2として算出する。燃焼期間算出部54では、これら初期燃焼期間BURN1と主燃焼期間BURN2との合計を、点火より最大燃焼圧力Pmaxに至るまでの燃焼期間BURNとして算出する。基本点火時期算出部55では、この燃焼期間BURNに基づいてMBTの得られる点火時期(この点火時期を「基本点火時期」という。)MBTCALを算出する。
【0026】
点火時期制御部61ではこのようにして算出された点火時期指令値QADVで点火プラグ14が燃焼室5内の混合気に対して着火するように、点火コイル13への通電角と非通電角を制御する。
【0027】
上記のように燃焼期間BURNを初期燃焼期間BURN1と主燃焼期間BURN2に分けて算出し、燃焼期間BURNに応じて基本点火時期MBTCALを求めるようにしたのは、燃焼解析より得られた結果に基づくものである。以下、燃焼解析に基づくこの点火時期制御をさらに説明する。
【0028】
図3に示すようにMBT(最大トルクが得られる最小進角値)で混合気に点火した場合に混合気の燃焼圧力が最大値Pmaxとなるクランク角を基準クランク角θPMAX[degATDC]とする。基準クランク角θPMAXは燃焼方式に拠らずほぼ一定であり、一般に圧縮上死点後12〜15度、最大で圧縮上死点後10〜20度の範囲にある。
【0029】
図4に火花点火エンジンにおける燃焼室5内の燃焼解析により得られた燃焼質量割合Rの変化を示す。燃焼室5に供給された燃料に対する燃焼質量の比率を表す燃焼質量割合Rは、点火時に0%であり、完全燃焼によって100%に達する。基準クランク角θPMAXにおける燃焼質量割合Rmaxは一定で約60%である。
【0030】
燃焼質量割合0%から基準クランク角θPMAX相当の約60%までの燃焼期間は、燃焼ガス点火後、燃焼割合に殆ど変化が無く筒内圧力があまり変化しない期間である燃焼初期期間と、燃焼割合が急激に立上がり筒内圧力が高くなる燃焼主期間とに分けて考えることができる。燃焼初期期間は、燃焼開始から火炎核が形成される段階であり、一般に火炎核が形成されるまでの燃焼質量割合は2〜10%である。この段階では、圧力・温度上昇が殆ど無いので燃焼速度が遅く、このため燃焼期間が長い。初期燃焼期間の長さは燃焼室内の温度や圧力の変化の影響を受けやすい。
【0031】
一方、主燃焼期間においては、火炎核から外側へと火炎が伝播し、燃焼速度が急上昇する。そのため、主燃焼期間の燃焼質量割合に変化は初期燃焼期間の燃焼質量割合の変化に比べて大きい。
【0032】
エンジンコントローラ31では、燃焼質量割合が2%に達するまでを初期燃焼期間BURN1[deg]とし、初期燃焼期間BURN1に終了後、基準クランク角θPMAXに至るまでの区間(燃焼質量割合でいえば2%より約60%に達するまでの間)を主燃焼期間BURN2[deg]として区別する。そして、初期燃焼期間BURN1に主燃焼期間BURN2を加えた合計である燃焼期間BURN[deg]を差し引き、さらに後述する点火無駄時間相当クランク角IGNDEAD[deg]を加えたクランク角位置を、MBTの得られる点火時期である基本点火時期MBTCAL[degBTDC]として設定する。
【0033】
火炎核の形成される初期燃焼期間での燃焼室5内の圧力、温度は、点火時の圧力、温度とほぼ等価になるが、これら点火時期を算出しようとしているのに、最初から正確な点火時期を設定することはできない。そこで、図2に示したように前回燃焼開始時期算出部56で基本点火時期の前回値を前回燃焼開始時期MBTCYCL[degBTDC]として算出し、この値を初期燃焼期間算出部52に対して与えるようにし、初期燃焼期間算出部52において初期燃焼期間の算出をサイクリックに繰り返すことで、精度の高い結果を時間遅れなしに出すようにしている。
【0034】
次にエンジンコントローラ31で実行される点火時期指令値QADVの算出を以下のフローチャートを参照しながら詳述する。
【0035】
図5に示すフローチャートは上述した燃焼期間の算出に必要な各物理量を算出するためのもので、一定時間毎(例えば10ms毎)に実行する。
【0036】
まずステップS11では、吸気弁閉時期IVC[degBTDC]、温度センサ432より検出されるコレクタ内温度TCOL[K]、温度センサ45により検出される排気温度TEXH[K]、内部不活性ガス率MRESFR[%]、温度センサ37により検出される冷却水温TWK[K]、目標当量比TFBYA、クランク角センサにより検出されるエンジン回転速度NRPM[rpm]、点火無駄時間DEADTIME[μsec]を読込む。
【0037】
ここでクランク角センサはクランクシャフト7のポジションを検出するポジションセンサ33と、吸気用カムシャフト25のポジションを検出するフェーズセンサ34とからなり、これら2つのセンサ33、34からの信号に基づいてエンジン回転速度NRPM[rpm]が算出されている。
【0038】
吸気弁閉時期IVCは吸気VTC機構27に与える指令値から既知である。あるいはフェーズセンサ34により実際の吸気弁閉時期を検出してもかまわない。
【0039】
内部不活性ガス率MRESFRは燃焼室内に残留する不活性ガス量を燃焼室内の総ガス量で除した値で、その算出については後述する。点火無駄時間DEADTIMEは一定値である。
【0040】
目標当量比TFBYAは図示しない燃焼噴射量の算出フローにおいて算出されている。目標当量比TFBYAは無名数であり、理論空燃比を14.7とすると、次式により表される値である。
【0041】
TFBYA=14.7/目標空燃比 ・・・(1)
例えば(1)式より目標空燃比が理論空燃比のときTFBYA=1.0となり、目標空燃比が例えば22.0といったリーン側の値であるとき、TFBYAは1.0未満の正の値である。
【0042】
ステップS12では燃焼室5の吸気弁閉時期IVCにおける容積(つまり圧縮開始時期での容積)VIVC[m3]を算出する。燃焼室5の吸気弁閉時期における容積VIVCは、ピストン6のストローク位置によって決まる。ピストン6のストローク位置はエンジンのクランク角位置によって決まる。
【0043】
図6を参照して、エンジンのクランクシャフト71の回転中心72がシリンダの中心73からオフセットしている場合を考える。コネクティングロッド74、コネクティングロッド74とクランクシャフト71との結節点75、コネクティングロッド74とピストンをつなぐピストンピン76が図に示す関係にあるとする。この時の燃焼室5の吸気弁閉時期における容積VIVCは次式(2)〜(6)で表すことができる。
【0044】
VIVC=f1(θivc)
=Vc+(π/4)・D2・H ・・・(2)
Vc=(π/4)・D2・H/(ε−1) ・・・(3)
H=[(CND+ST2/2)−(CRoff−PISoff)2]1/2
−[(ST/2)・cos(θivc+θoff)]
+(CND2−X21/2 ・・・(4)
X=(ST/2)・sin(θivc+θoff)−CRoff)−CRoff+PISoff・・・(5)
θoff=arcsin{(CRoff−PISoff)/(CND・(ST/2))}・・・(6)
ただし、Vc :隙間容積[m3]、
ε :圧縮比、
D :シリンダボア径[m]、
ST :ピストンの全ストローク、
H :ピストンピン76のTDCからの距離[m]、
CND :コネクティングロッド74の長さ[m]、
CRoff:結節点75のシリンダ中心軸73からのオフセット距離[m]、
PISoff:クランクシャフト回転中心72のシリンダ中心軸73からのオフセット距離[m]、
θivc:吸気弁閉時期のクランク角[degATDC]、
θoff:ピストンピン76とクランクシャフト回転中心72とを結ぶ線がTDCにおいて垂直線となす角度[deg]、
X :結節点75とピストンピン76との水平距離[m]、
吸気弁閉時期のクランク角θivcは前述のように、エンジンコントローラ31から吸気VTC機構27への指令信号によって決まるので、既知である。式(2)〜(6)にこの時のクランク角θivc(=IVC)を代入すれば、燃焼室5の吸気弁閉時期における容積VIVCを算出することができる。したがって、実用上は燃焼室5の吸気弁閉時期における容積VIVCは吸気弁閉時期IVCをパラメータとするテーブルで設定したものを用いる。吸気VTC機構27を備えない時には定数で与えることができる。
【0045】
ステップS13では、燃焼室5の吸気弁閉時期IVCにおける温度(つまり圧縮開始時気温度)TINI[K]を算出する。燃焼室5の吸気弁閉時期IVCにおける温度TINIは、燃焼室5に流入する新気と燃焼室5に残留する不活性ガスとが混じったガスの温度であり、燃焼室5に流入する新気の温度は吸気コレクタ2内の新気温度TCOLに等しく、また燃焼室5内に残留する不活性ガスの温度は排気ポート部近傍の排気温度TEXHで近似できるので、吸気コレクタ2内の新気温度TCOL、排気温度TEXH、燃焼室5内に残留する不活性ガスの割合である内部不活性ガス率MRESFRから次式により求めることができる。
【0046】
TINI=TEXH×MRESFR+TCOL×(1−MRESFR)・・・(7)
ステップS14では、燃焼室5内の混合気の燃えやすさを表す反応確率RPROBA[%]を算出する。反応確率RPROBAは無次元の値であり、残留不活性ガス率MRESFR、冷却水温TWK[K]、目標当量比TFBYAの3つのパラメータに依存するので、次式により表すことができる。
【0047】
RPROBA=f3(MRESFR、TWK、TFBYA) ・・・(8)
具体的に説明すると、MRESFR、TWK、TFBYAの3つのパラメータの組み合わせによって得られる反応確率の最大値を100%とし、これらのパラメータと反応確率RPROBAの関係を実験的に求め、求めた反応確率RPROBAをパラメータに応じたテーブルとしてエンジンコントローラ31のメモリに予め格納しておく。ステップS14ではパラメータに応じてこのテーブルを検索することにより反応確率RPROBAを求める。
【0048】
具体的には、冷却水温TWKに応じて図7に示すような特性を有する水温補正係数のテーブルと、同様に設定された内部不活性ガス率補正係数のテーブル(図示しない)と、目標当量比TFBYAに応じて図8に示すような特性を有する当量比補正係数のテーブルを予めメモリに格納しておく。各補正係数の最大値はそれぞれ1.0であり、3種類の補正係数の積に反応確率の最大値100%を掛け合わせることで、反応確率RPROBAを算出する。
【0049】
各テーブルを説明すると、図7に示す水温補正係数は冷却水温TWKが高いほど大きく、冷却水温TWKが80℃以上では1.0になる。図8に示す当量比補正係数は目標当量比TFBYAが1.0のとき、つまり理論空燃比のときに最大値の1.0となり、目標当量比TFBYAが1.0より大きくても小さくても当量比補正係数は減少する。内部不活性ガス率補正係数は図示しないが、内部不活性ガス率MRESFRがゼロの場合に1.0となる。
【0050】
ステップS15では基準クランク角θPMAX[degATD]を算出する。前述のように基準クランク角θPMAXはあまり変動しないが、それでもエンジン回転速度NRPMの上昇に応じて進角する傾向があるため、基準クランク角θPMAXはエンジン回転速度NRPMの関数として次式で表すことができる。
【0051】
θPMAX=f4(NRPM) ・・・(9)
具体的にはエンジン回転速度NRPMから、エンジンコントローラ31のメモリに予め格納された図9に示す特性のテーブルを検索することにより基準クランク角θPMAXを求める。算出を容易にするため、基準クランク角θPMAXを一定とみなすことも可能である。
【0052】
最後にステップS16では、点火無駄時間相当クランク角IGNDEAD[deg]を算出する。点火無駄時間相当クランク角IGNDEAD[deg]は、エンジンコントローラ31から点火指令値、すなわち点火コイル13の一次電流を遮断する信号を出力したタイミングから点火プラグ14が実際に点火するまでの点火無駄時間DEADTIMEで、次式により表すことができる。
【0053】
IGNDEAD=f5(DEADTIME、NRPM) ・・・(10)
式(10)中の点火無駄時間DEADTIME[μsec]の算出方法について説明する。
【0054】
点火無駄時間DEADTIMEは空燃比LAMBDA[-]、残留ガス率R[%]、シリンダ内圧力P[Pa]、温度Ts[K]のパラメータとして表され、また、それぞれのパラメータの影響は互いに独立であるので、それぞれの影響をfL(LAMBDA)、fR(R)、fP(P)、fT(Ts)とすると、以下の関数で表すことができる。
【0055】
Figure 0004055632
図14はエンジンコントローラ31が実行するDEADTIMEを算出するためのフローチャートである。
【0056】
まずステップS100で空燃比のパラメータとしてfL(LAMBDA)を算出する。fL(LAMBDA)は図18に示すようにストイキ(LAMBDA=1)付近で最小となる下に凸な曲線であり、
L(LAMBDA)=a11(LAMBDA−1)2+1
・・・(12)
もしくは
Figure 0004055632
にて近似的に算出する。
【0057】
なお、式(12)、式(13)の係数a11、a12、a13については、予め実験などにより求めておく。また、図18のテーブルを参照してもよい。
【0058】
次にステップS101で残留ガス率のパラメータとしてfR(R)を求める。fR(R)は図23に示すように残留ガス率が高くなるに従い2次曲線的に大きくなる曲線であり、次式により算出する。
【0059】
R(R)=1/(1−R)a21 ・・・(14)
ここで、残留ガス率Rは外部EGR率と内部残留ガス率の和であり、外部EGR装置がついてないエンジンについては、内部残留ガス率を指す。
【0060】
残留ガス率Rの算出については、エンジン1の運転状態に応じて推定してもよいし、実験などにより求めた結果をテーブル参照してもよい。また、式(14)の係数a21については燃料の種類、エンジンの形状等によって決まる定数であり、予め実験等により求めておく。
【0061】
ステップS102でシリンダ内圧力のパラメータとしてfP(P)を求める。fP(P)は図24に示すようにシリンダ内圧力Pが高くなるにしたがって大きくなる曲線で、次式により算出する。
【0062】
P(P)=a31×Pa32 ・・・(15)
ここで、シリンダ内圧力Pは圧力センサ等を用いて直接計測してもよいし、実験等から求めた結果をテーブル参照してもよい。
【0063】
有効圧縮比EC[−]、燃焼ガスの比熱比k[−](=定圧比熱/定容比熱)、吸気バルブが閉じた時(IVC)のシリンダ内圧力PIVC[Pa]を用いて、次式にて求める。
【0064】
P=EC k×PIVC ・・・(15)
ここで、有効圧縮比Ecは次式にしたって算出する。
【0065】
C[−]=f7(V0[m3]/VIVC[m3]) ・・・(16)
PIVCは直接シリンダ内の圧力を測定してもよいし、インマニ内圧力PINTと同じとして計算してもよい。
【0066】
また、式(15)の係数a31、a32については燃料の種類、エンジン1の形状等によって決まる定数であり、予め実験などにより求めておく。
【0067】
ステップS103で温度のパラメータとしてfT(Ts)を求める。fT(Ts)は図25に示すようにシリンダ内温度が高くなるに従い低くなる曲線であり、次式により求める。
【0068】
T(Ts)=e(a41/Ts) ・・・(17)
ここで、eは自然対数の底である。温度Tsは直接測定してもよいし、式(7)に従い算出してもよいし、実験等から求めた結果をテーブル参照してもよい。また、燃焼開始時の筒内圧力Ps、シリンダ内容積Vs、吸入空気量モル数nsより、
T0=(Ps×Vs)/(ns×R) R:気体定数 ・・・(18)
で求めてもよい。ここで、nsは(吸入空気量)/(混合気の平均分子量)で求めてもよい。
【0069】
ステップS104では上述したステップS100〜S103で求めた結果と式(5)からDEADTIMEを求める。
【0070】
以上のように算出したDEADTIMEを用いて、式(10)から点火無駄時間相当クランク角IGNDEADを算出する。
【0071】
図10は初期燃焼期間BURN1[deg]を算出するためのもの、また、図12は主燃焼期間BURN2[deg]を算出するためのもので、一定時間毎(例えば10msec)に実行する。図10、12は図5に続けて実行する。また、どちらを先に実行してもかまわない。
【0072】
まず図10から説明すると、ステップS21では前回燃焼開始時期MBTCYCL[degBTDC]、図5のステップS12で算出されている燃焼室5の吸気弁閉時期における温度TINI[K]、エンジン回転速度NRPM[rpm]、図5のステップS14で算出されている反応確率RPROBA[%]を読込む。
【0073】
ここで、全快燃焼開始時期MBTCYCLは、基本点火時期MBTCAL[degBTDC]の1サイクル前の値でありその算出については後述する。
【0074】
ステップS22では燃焼室5の燃焼開始時期における容積V0[m3]を算出する。前述したように、ここでの点火時期(燃焼開始時期)は今回のサイクルで演算する基本点火時期MBTCALではなく基本点火時期の1サイクル前の値である。すなわち基本点火時期の1サイクル前の値であるMBTCYCLから次式により燃焼室5の燃焼開始時期における容積V0を算出する。
【0075】
0[m3]=f6(MBTCYCL) ・・・(19)具体的には前工程時の点火時期MBTCYCL(degBTDC)からピストン位置を算出し、ピストン位置とシリンダのボア径からピストン上面とシリンダ壁に囲まれた容積を算出し、これと燃焼室容積から燃焼開始時シリンダ内容積V0を求める。続いてステップS23では燃焼開始時の有効圧縮比Ecを算出する。有効圧縮比Ecは燃焼開始時シリンダ内容積V0を吸気バルブ閉時(圧縮開始時)のシリンダ内容積VIVC(mm3)で除して求められ、下記式で表される。
【0076】
Ec[−]=f7(V0[m3]/VIVC[m3]) ・・・(20)
ステップS24では吸気弁閉時期IVCから燃焼開始時までの燃焼室5内の温度上昇率TCOMPを燃焼開始時の有効圧縮比から算出する。
【0077】
TCOMP[−]=f8(Ecκ-1[−]) ・・・(21)
ただし、κ:比熱比
係数κは、断熱圧縮されるガスの定圧比熱を定容比熱で除した値で、断熱圧縮されるガスが空気であればκ=1.4であり、簡単にはこの値を用いればよい。ただし、混合気に対してκの値を実験的に求めることで、一層の算出精度の向上が可能である。
【0078】
図11は(21)式を図示したものである。従って、このような物性のテーブルを予めエンジンコントローラ31のメモリに格納しておき、有効圧縮比Ecに基づき当該テーブルを検索することにより温度上昇TCOMPを求めることも可能である。
【0079】
そしてステップS25では、燃焼室5の燃焼開始時期における温度T0[K]を、燃焼室5の吸気弁閉時期における温度TINIに温度上昇率TCOMPを乗じることで、つまり
T0=TINI×TCOMP ・・・(22)
の式により算出する。
【0080】
ステップS26では、次式(公知)により層流燃焼速度SL1[m/sec]を算出する。
【0081】
SL1=SLstd×(T0×Tstd)2.18×(P0/Pstd)-0.16 ・・・(23)
ただし、Tstd :基準温度[K]、
Pstd :基準圧力[Pa]
SLstd :基準温度Tstdと基準圧力Pstdにおける基準層流 燃焼速度[m/sec]、
T0 :燃焼室5の燃焼開始時期における温度[K]、
P0 :燃焼室5の燃焼開始時期における圧力[Pa]、
基準温度Tstdと基準圧力Pstdと基準層流燃焼速度SLstdは実験により予め定められる値である。
【0082】
燃焼室5の通常の圧力である2bar以上の圧力下では上記式の圧力項(P0/Pstd)-0.16は小さな値となる。したがって圧力項(P0/Pstd)-0.16を一定値として基準層流燃焼速度SLstdを基準温度Tstdのみで規定することも可能である。
【0083】
従って基準温度Tstdが550[K]で、基準層流燃焼速度SLstdが1.0[m/sec]で、圧力項が0.7である場合の燃焼開始時期における温度T0と層流燃焼速度SL1との関係は近似的に次式で定義することができる。
【0084】
SL1=f9(T0)
=1.0×0.7×(T0/550)2.18 ・・・(24)
ステップS27では、初期燃焼におけるガス流動の乱れ強さST1を算出する。このガス流動の乱れ強さST1は無次元の値であり、燃焼室5に流入する新気の流速と燃料インジェクション21の噴射燃料のペネトレーションとに依存する。
【0085】
燃焼室5に流入する新気の流速は、吸気通路の形状と、吸気弁15の作動状態と、吸気弁15を設ける吸気ポート4の形状に依存する。噴射燃料のペネトレーションは燃料インジェクタ21の噴射圧力と、燃料噴射時間と、燃焼噴射タイミングに依存する。
【0086】
最終的に、初期燃焼におけるガス流動の乱れ強さST1は、エンジン回転速度NRPMの関数として次式で表されることができる。
【0087】
ST1=f10(NRPM)=C1×NRPM ・・・(25)
ただし、C1:定数、
ステップS28では層流燃焼速度S1と乱れ強さST1から、初期燃焼におけるガスの燃焼速度FLAME1[m/sec]を次式により算出する。
【0088】
FLAME1=SL1×ST1 ・・・(26)
燃焼室5内にガス乱れがあるとガスの燃焼速度が変化する。(26)式はこのガス乱れに伴う燃焼速度への寄与(影響)を考慮したものである。
【0089】
ステップS29では、次式により初期燃焼期間BURN1[deg]を算出する。
【0090】
Figure 0004055632
ただし、AF1:火炎核の反応面積(固定値)[m2]、
ここで、(27)式右辺のBR1は燃焼開始時期より初期燃焼期間BURN1の終了時期までの燃焼質量割合の変化量であり、ここではBR1=2%に設定している。(27)式右辺の(NRPM×6)は単位をrpmからクランク角[deg]のに変換するための措置である。火炎核の反応面積AF1は実験的に設定される。
【0091】
次に図12のフローに移ると、ステップS31では回転速度NRPM、図5のステップS14で算出されている反応確率RPROBAを読込む。
【0092】
ステップS32では主燃焼におけるガス流動の乱れ強さST2を算出する。このガス流動の乱れ強さST2も初期燃焼におけるガス流動の乱れ強さST1と同様に、エンジン回転速度NRPMの関数として次式で表すことができる。
【0093】
ST2=f11(NRPM) ・・・(28)
ただし、C2:定数、
乱れ強さST2を回転速度をパラメータとするテーブルから求めることも可能である。
【0094】
ステップS33では、層流燃焼速度SL2[m/sec]と主燃焼におけるガス流動の乱れ強さST2とから、主燃焼における燃焼速度FLAME2[m/sec]を次式により算出する。
【0095】
FLAME2=SL2×ST2 ・・・(29)
ただし、SL2:層流燃焼速度[m/sec]、
(29)式は(26)式と同様、ガス乱れに伴う燃焼速度への寄与を考慮したものである。
【0096】
前述のように主燃焼期間BURN2の長さは燃焼室5内の温度や圧力の変化影響を受けにくい。したがって、層流燃焼速度SL2には予め実験的に求めた固定値を適用する。
【0097】
ステップS34では、主燃焼期間BURN2[deg]を(27)式に類似した次式で算出する。
【0098】
Figure 0004055632
ただし、V2:燃焼室5の主燃焼期間開始時容積[m3]、
AF2:火炎核の反応面積[m2]、
ここで、 (30)式右辺のBR2は主燃焼期間の開始時期より終了時期までの燃焼質量割合の変化量である。初期燃焼期間の終了時期に燃焼質量割合が2%になり、その後、主燃焼期間が開始し、燃焼質量割合が60%に達して主燃焼期間が終了すると考えているので、BR2=60%−2%=58%を設定している。AF2は火炎核の成長過程における平均の反応面積であり、 (27)式のAF1と同様に、予め実験的に定めた固定地とする。燃焼室5の主燃焼期間開始時における容積V2も固定値である。
【0099】
図13は基本点火時期MBTCAL[degBTDC]を算出するためのもので、一定時間毎(例えば10ms毎)に実行する。図10、図12のうち遅く実行されるフローに続けて実行する。
【0100】
ステップS41では図15のステップS29で算出されている初期燃焼期間BURN1、図17のステップS34で算出されている主燃焼期間BURN2、図5のステップS16で算出されている点火時期無駄時間相当クランク角IGNDEAD、図5のステップS15で算出されている基準クランク角θPMAXを読込む。
【0101】
ステップS42では、初期燃焼期間BURN1と主燃焼期間BURN2の合計を燃焼期間BURN[deg]として算出する。
【0102】
ステップS43では次式により基本点火時期MBTCAL[degBTDC]を算出する。
【0103】
MBTCAL=BURN―θPMAX+IGNDEAD ・・・(31)
ステップS44では、この基本点火時期MBTCALから点火無駄時間相当クランク角IGNDEADを差し引いた値を前回燃焼時開始時気MBTCYCL[degBTDC]として算出する。
【0104】
このようにして算出した基本点火時期MBTCALは、部分燃焼発生限界点火時期(部分燃焼が発生しない進角側限界の点火時期)CCLCAL[degBTDC]と比較され、より遅角側の値が点火時期指令値QADV[degBTDC]として選択される。この点火時期指令値QADVは点火レジスタに移され、実際のクランク角がこの点火時期指令値QADVと一致したタイミングでエンジンコントローラ31より一次電流を遮断する点火信号が点火コイル13に出力される。
【0105】
また、今サイクルの点火時期指令値としてステップS43で算出された基本点火時期MBTCALが用いられたとすると、次サイクルの点火時期になるまでの間、ステップS44で算出された前回燃焼開始時期MBTCYCLが図10のステップS22において用いられる。
【0106】
以上により本実施形態では、従来は運転状態によらず一定のクランク角として扱っていた点火無駄時間DEADTIMEを、空燃比LAMBDA、残留ガス率R、シリンダ内圧力P、温度Tsをパラメータとして算出するので、運転状態の変化に伴い当量比が変化して反応確率に変動が生じた場合にも、前記運転状態の変動に応じた点火無駄時間DEADTIMEを算出することができる。したがってこの点火時期無駄時間DEADTIMEを用いて算出する点火無駄時間相当クランク角IGNDEAD、および点火無駄時間相当クランク角IGNDEADを用いて算出するMBT点火時期も運転状態に応じたものとなる。
【0107】
第2実施形態について説明する。
【0108】
本実施形態は、基本的に第1実施形態と同様であるが、点火無駄時間DEADTIMEの算出方法が異なる。
【0109】
本実施形態では、点火無駄時間DEADTIME[μsec]への影響が互いに独立であるエンジン1の総ガス量と燃料の重量比(G/F)GBYF[-]、シリンダ内圧力P[Pa]、温度Ts[T]をパラメータとして用いる。前記因子のそれぞれの影響を総ガス量と燃料の重量比のパラメータとしてfG(GBYF)、シリンダ内圧力のパラメータとしてfP(P)、温度のパラメータとしてfT(Ts)とすると、以下の関数で表すことができる。
【0110】
DEADTIME=fG(GBYF)×fP(P)×fT(Ts) ・・・(26) 上式(26)について図12に示すサブルーチンにしたがって算出していく。
【0111】
ステップS200では総ガス量と燃料量の重量比GBYFの影響fG(GBYF)を算出する。fG(GBYF)は横軸をGBYF、縦軸をfG(GBYF)とすると図19に示すように、GBYF=15付近で最小となる下に凸な曲線であり、
G(GBYF)=a41(GBYF−15)2+1 ・・・(27)
にて近似的に算出する。
【0112】
なお、式(27)の係数a41については、予め実験等により求めておく。また、図10に示すようなテーブルデータを持つようにしてもよい。
【0113】
以下、ステップS201でシリンダ内圧力のパラメータとしてfP(P)、ステップS202で温度のパラメータとしてfT(Ts)を第1実施形態と同様に算出し、ステップS203で式(26)を用いて点火無駄時間DEADTIME[μsec]を算出する。
【0114】
上記のように点火無駄時間DEADTIME[μsec]を算出して、以下、第1実施形態と同様に点火時期MBTCYCLを求める。
【0115】
以上により、本実施形態ではエンジン1の総ガス量と燃料の重量比(G/F)GBYF、シリンダ内圧力P、温度Tsを用いて点火無駄時間DEADTIMEを算出するので、第1実施形態と同様にいかなる運転状態においても正確なMBTを算出することができる。
【0116】
第3実施形態について説明する。本実施形態も第2実施形態と同様に、点火無駄時間DEADTIME[μsec]の算出方法が第1実施形態と異なる。
【0117】
本実施形態では、空燃比LAMBDA[-]と、残ガス率R[%]、エンジン回転数NRPM[rpm]および充填効率ηc[%]を用いる。上記各値の点火無駄時間DEADTIMEへの影響は互いに独立であるとすると、
Figure 0004055632
で表される。
【0118】
上式(28)について、図16のフローチャートにしたがって算出する。
【0119】
ステップS300、S301では空燃比、残留ガス率のパラメータとしてそれぞれfL(LAMBDA)、fR(R)を第1実施形態と同様に算出する。
【0120】
ステップS302でエンジン回転数および充填効率のパラメータとしてfNI(NRPM、ηc)を算出する。fNI(NRPM、ηc)は、バルブタイミングが固定である場合、図20に示すようにエンジン回転数が高いほど、また充填効率が高いほど大きくなる。これを予め実験等により測定しておき、マップ参照して求める。
【0121】
また、排気温度、残留ガス率はエンジン回転数、充填効率に依るため、暖機後であればシリンダ内温度、シリンダ内圧力もエンジン回転数、充填効率の関数となる。したがって、シリンダ内温度、シリンダ内圧力を予め計算、もしくは測定し、テーブル化(図21、図22)しておき、
NI(NRPM、ηc)=fP(P)×fT(Ts) ・・・(29)
にて算出してもよい。
【0122】
ステップS303で式(28)をもちいて点火無駄時間DEADTIME[μsec]を算出する。
【0123】
上記のように点火無駄時間DEADTIME[μsec]を算出して、以下、第1実施形態と同様に点火時期MBTCYCLを求める。
【0124】
以上により、本実施形態では空燃比LAMBDAと、残留ガス率R、エンジン回転数NRPMおよび充填効率ηcを用いて点火無駄時間DEADTIMEを算出するので、第1実施形態と同様にいかなる運転状態においても正確なMBTを算出することができる。
【0125】
第4実施形態について説明する。
【0126】
本実施形態も点火無駄時間DEADTIME[μsec]の算出方法のみが第1実施形態と異なる。本実施形態ではエンジン1の総ガス量と燃料量の重量比GBYFとエンジン回転数NRPM[rpm]、充填効率ηc[%]をパラメータとして用いて点火無駄時間DEADTIME[μsec]を算出する。
【0127】
上記各値の点火無駄時間DEADTIMEへの影響がそれぞれ独立であるとすると、
DEADTIME=fG(BGYF)×fNI(NRPM、ηc) ・・・(30)
で表される。
【0128】
上式(30)について、図17にフローチャートにしたがって算出する。
【0129】
ステップS400で総ガス量と燃料量の重量比のパラメータとしてfG(BGYF)、ステップS401でエンジン回転数と充填効率のパラメータとしてfNI(NRPM、ηc)をそれぞれ第2、第3実施例と同様に算出し、ステップS402で式(30)を用いて点火無駄時間DEADTIME[μsec]を算出する。
【0130】
上記のように点火無駄時間DEADTIME[μsec]を算出し、以下、第1実施形態と同様に点火時期MBTCYCLを求める。
【0131】
以上により、本実施形態ではエンジン1の総ガス量と燃料量の重量比GBYFとエンジン回転数NRPM、充填効率ηcを用いて点火無駄時間DEADTIMEを算出するので、第1実施形態と同様にいかなる運転状態においても正確なMBTを算出することができる。
【0132】
なお、本発明は上記の実施の形態に限定されるわけではなく、特許請求の範囲に記載の技術的思想の範囲内で様々な変更を成し得ることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態のシステム構成図である。
【図2】エンジンコントローラで実行される点火時期制御のブロック図である。
【図3】シリンダ内圧力の変化を説明する特性図である。
【図4】燃焼質量割合の変化を説明する特性図である。
【図5】燃焼期間の算出に用いる物理量の算出を説明するフローチャートである。
【図6】エンジンのクランクシャフトとコネクティングロッドの位置関係を説明するダイアフラムである。
【図7】水温補正係数の特性図である。
【図8】当量比補正係数の特性図である。
【図9】基準クランク角の特性図である。
【図10】初期燃焼期間の算出を説明するためのフローチャートである。
【図11】温度上昇率の特性図である。
【図12】主燃焼期間の算出を説明するためのフローチャートである。
【図13】基本点火時期の算出を説明するためのフローチャートである。
【図14】第1実施形態の点火無駄時間DEADTIMEを算出するためのフローチャートである。
【図15】第2実施形態の点火無駄時間DEADTIMEを算出するためのフローチャートである。
【図16】第3実施形態の点火無駄時間DEADTIMEを算出するためのフローチャートである。
【図17】第4実施形態の点火無駄時間DEADTIMEを算出するためのフローチャートである。
【図18】空燃比と着火遅れの関係を表す図である。
【図19】総ガス量と燃料量の重量比と着火遅れの関係を表す図である。
【図20】エンジン回転数、充填効率と着火遅れの関係を表す図である。
【図21】エンジン回転数、充填効率とシリンダ内温度の関係を表す図である。
【図22】エンジン回転数、充填効率とシリンダ内圧力の関係を表す図である。
【図23】残ガス率と着火遅れの関係を表す図である。
【図24】シリンダ内圧力と着火遅れの関係を表す図である。
【図25】シリンダ内温度と着火遅れの関係を表す図である。
【符号の説明】
1 エンジン
2 吸気コレクタ
3 吸気マニホールド
4 吸気ポート
5 燃焼室
6 ピストン
7 クランクシャフト
8 排気通路
9 三元触媒
11 点火装置
13 点火コイル
14 点火プラグ
15 吸気弁
16 排気弁
21 燃料インジェクタ
22 電子制御スロットル
23 絞り弁
24 スロットルモータ
25 吸気弁用カムシャフト
26 排気弁用カムシャフト
27 吸気VTC機構
28 排気VTC機構
31 エンジンコントローラ
32 エアフローメータ
33、34 クランク角センサ
35 O2センサ
37 水温センサ
41 アクセルペダル
42 アクセルセンサ
43 吸気温度センサ
44 吸気圧力センサ(圧縮開始時圧力算出手段)
45 排気温度センサ
46 排気圧力センサ

Claims (5)

  1. 燃焼ガスの層流状態での燃焼速度である層流燃焼速度を算出する層流燃焼速度算出手段と、
    算出した層流燃焼速度からシリンダ内の燃焼ガスの燃焼速度を算出する燃焼速度算出手段と、
    燃焼ガス燃焼開始時のシリンダ内容積を算出するシリンダ内容積算出手段と、
    所定のクランク角までにシリンダ内で燃焼する燃焼ガス量を算出する燃焼ガス量算出手段と、
    所定運転条件での燃焼ガスの燃焼しやすさに対する前記シリンダ内での燃焼ガスの燃焼のしやすさを示す反応確率を算出する反応確率算出手段と、
    前記燃焼速度と前記シリンダ内容積と前記燃焼ガス量と前記反応確率とに基づき燃焼期間を算出し、この燃焼期間に基づきMBTの得られる基本点火時期を算出する基本点火時期算出手段と、
    前記シリンダ内の燃焼ガスの燃焼圧力が最大になるクランク角を算出する基準クランク角算出手段と、
    前記シリンダ内の燃焼ガスに着火する点火プラグの点火指令信号を出力したタイミングから点火プラグが点火するまでのクランク角区間を燃焼に関する複数のパラメータに応じて算出する点火無駄時間相当クランク角算出手段を備え、
    前記MBTの得られる基本点火時期を、前記燃焼期間と前記算出した基準クランク角と点火無駄時間相当クランク角とから算出することを特徴とする内燃機関の点火時期制御装置
  2. 前記点火無駄時間相当クランク角は、内燃機関の空燃比、残留ガス率、シリンダ内温度、シリンダ内圧力に基づいて算出されることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の点火時期制御装置
  3. 前記点火無駄時間相当クランク角は、内燃機関の総ガス量と燃料量の重量比、シリンダ内温度、シリンダ内圧力に基づいて算出されることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の点火時期制御装置
  4. 前記点火無駄時間相当クランク角は、内燃機関の空燃比、残留ガス率、回転数、負荷に基づいて算出されることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の点火時期制御装置
  5. 前記点火無駄時間相当クランク角は、内燃機関の総ガス量と燃料量の重量比、回転数、負荷に基づいて算出されることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の点火時期制御装置
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