JP4053802B2 - 電気化学デバイス - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、発電素子を有し、ラミネートフィルムを外装体に用いた電気化学デバイスに関し、特にこの電気化学デバイスの放熱効率の向上効果を与える構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の携帯機器の目覚しい発展により、携帯機器電源として使用される電気化学デバイスとりわけリチウムイオン電池の重要性が急速に高まってきている。さらに携帯機器の機能の増加に伴い高エネルギー化それに伴う電池特性の改善安全性の向上が技術開発の目標となっている。その方策として電解質を固体化する試みがあるが、電池特性上根本的な技術課題、例えば室温で使用できない点等があり、実用化に到っていない。
【0003】
そのため、液系の欠点を改良しつつ液系の電池に近い特性が得られる、ゲル化電解質を用いた電池に近年開発の中心が移ってきている。このゲル化した電池の場合、液系電池に比べ室温で遊離した電解液が存在しないこと、液量が少ないことから、安全性に対しても効果が得られている。
【0004】
したがって、現在リチウムイオン系の電池としては、以下の3種類に分類される。
(1)電解液を用いた液系電池。
(2)電解液と高分子ポリマーとによるゲル化した固件状電解質を用いる固体電解質電池。
(3)無機材料有機材料の固体内のリチウムイオン伝導を利用する電解質を用いた固体電解質電池。
【0005】
ここで、上記(2)に相当するゲル化電解質を用いた電池は、上述したように安全性の面で寄与できている。しかしながら、こうした電池を従来の金属ケースを用いたものと差別化するために、軽量化、薄型化が同時に試みられ、特にアルミ箔を用いた外装体が使用されてきており、これにより軽量化、さらなる薄型化が可能になった。
【0006】
このようなアルミ箔を用いた外装体については、既に開示されている例として下記特許に開示されたものがあり、主にアルミ箔の接着揚所により分類されている。
(1)深絞り型‥‥特開平2000−138040号公報
(2)合掌型・‥‥特開平2000−149885号公報
【0007】
上記(1)についてはあらかじめアルミ箔を成型し、成型された部分に電池を挿入し、挿入後アルミ箔を接着するものである。この場合、接着部分は電池の三方向にわたることになる。上記(2)については、電池側面の中央部分でアルミ箔を両側から接着している。つまり、接着部分が電池側面中心に沿って形成されている。
【0008】
しかしながら、このような薄型電池を使用する場合、充放電に伴う発熱、特に過充電や外気温の上昇に伴う異常発熱現象を生じる場合がある。このような異常発熱現象を放置すると、電解液の分解により生じたガスで、外装体が膨らんだり、破裂したりしてしまう。また、熱暴走が生じると、ついには発火に到る場合もある。
【0009】
このような、異常発熱、熱暴走を防止するために、感熱性保護素子を設けるなどの処置もなされているが、電池をより安全に保つには、電池構造体からの放熱を改善する必要があった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、内部で発生した発熱を効率よく放散し、より安全性が高く、しかも体積エネルギー密度の高い電気化学デバイスを提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
すなわち上記目的は、以下の本発明の構成により達成される。
(1) 発電素子と、前記発電素子を収容する外装体とを有し、扁平な直方体または板状体である電気化学デバイスにおいて、前記発電素子は厚さが4mm以下、エネルギー密度が250wh/l以上であり、前記外装体の最大面積となる平面部の少なくともいずれか一方に、複数の凹凸構造が形成されており、前記複数の凹凸構造が形成されている外装体平面部の表面積は、凹凸構造を有しない平面の表面積の1.5〜5倍であり、前記複数の凹凸構造が形成されている外装体平面部材料は、熱伝導性材料である、電気化学デバイス。
(2) 前記複数の凹凸構造が形成されている外装体平面部は、深絞り型外装体の蓋部材である上記(1)の電気化学デバイス。
(3) 前記複数の凹凸構造が形成されている外装体平面部材料は、アルミニウムである上記(1)または(2)の電気化学デバイス。
(4) 前記複数の凹凸構造が形成されている外装体平面部材料は、熱伝導性ゴムである上記(1)または(2)の電気化学デバイス。
(5) 前記凹凸構造は、その凹凸の高さが0.05〜1mmの範囲である上記(1)〜(4)のいずれかの電気化学デバイス。
(6) 前記外装体材料が金属箔と熱融着性樹脂を有するラミネートフィルムである上記(1)〜(5)のいずれかの電気化学デバイス。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の電気化学デバイスは、厚さ4mm以下、エネルギー密度が250wh/l以上である発電素子と、この発電素子を収容する外装体とを有し、前記外装体の最大面積となる平面部の少なくともいずれか一方に、複数の凹凸構造が形成されているものである。
【0013】
このように、外装体の最大面積となる平面部の少なくともいずれか一方に、複数の凹凸構造を形成することにより、電池の放熱効率が向上し、内部発熱に対してより安全率の高い電池とすることができ、より高い電圧での動作が可能になる。
【0014】
上述のように、電気化学デバイスの外装部材は、通常深絞り型の外装部材が多く用いられている。しかし、この金属製の深絞りケースは、強度、組み立て性等の点では優れるものの、製造上の制約からケースの形状を複雑なものとすることが困難である。このため、深絞り型のケースでより放熱効果を高めるためには、深絞りケースの蓋部材に凹凸構造を形成するとよい。この蓋部材は、通常平板状の金属材料を深絞りケースの形状に合わせて加工し、用いている。このため、蓋部材に予め凹凸加工を施したものを用いることにより、容易に深絞り型の外装部材を有するデバイスにも凹凸構造を導入することができる。また、変更する部分が蓋部材だけで済むので、従来の製造工程、部品をそのまま流用することができ、製造上も有利である。
【0015】
また、電気化学デバイスが扁平なブロックないし板状をなしているので、体積に占める放熱形状の外装体との接触面積が大きく、効率的に熱を放熱形状の外装体に伝達することができる。
【0016】
本発明の電気化学デバイスの構成例を図1に示す。図1は電気化学デバイスの概略断面図である。図において、電気化学デバイスは、発電素子2と深絞り型の外装体1と、この深絞り型外装体1の蓋部材3を有する。
【0017】
電気化学デバイス2は、図1,2に示すような、扁平な直方体あるいは板状体であり、最大面積を有する平面部21と、厚み部分となる側面部22とを有する。ここで、図2は電気化学デバイスの発電素子2を深絞り型外装体内に収納した状態を示している。図2において、内部に収納されている発電素子2のリード4がその外装体1の接着部分から引き出されている。
【0018】
そして、外装体の蓋部材に放熱効果を高める凹凸構造が形成されている。凹凸構造における凹凸の高さとしては、厚さ4mm以下、エネルギー密度が250wh/lの発電素子の発熱を効果的に放散できる面積となるような高さであればよい。一方、あまり高さが高くなりすぎると、電気化学デバイスの発電に寄与しない体積が増加し、デバイス全体の体積エネルギー密度を低下させる。
【0019】
従って、扁平な電気化学デバイスに最適な凹凸構造の高さhとしては、好ましくは0.05〜1mm、より好ましくは0.2〜0.8mmである。
【0020】
また、凹凸構造は放熱に必要な表面積が得られる形状、凹凸数であればよい。従って、凹凸の形状は特に限定されるものではなく、一般に放熱板や放熱用部材で採用されているリブ、フィン構造等としてもよいし、逆にディンプル構造としてもよい。また、ボス加工等を施したような形状としてもよい。放熱に必要な表面積としては、平面の1.5〜5倍、特に3〜5倍程度である。
【0021】
蓋部材は、放熱効果を高めるため、熱伝導性部材で形成されているとよい。熱伝導性部材としては、例えば、アルミニウム、銅、ステンレス等の熱伝導性が良好であるか、耐腐食性、強度を有する金属材料を挙げることができる。
【0022】
さらに、熱伝導性を上げるためにマトリックス樹脂に熱伝導率の大きな金属やセラミックス、炭素繊維などが充填されたもの等を用いることができる。例えば、特開平2−166755号公報に記載されているような、金属酸化物や窒化ホウ素をシリコーンゲルに混入し、さらに表面に溝を設けた伝熱シートを用いることができる。
【0023】
また、特開平2−196453号公報に記載されているような、強度を持たせ作業性を向上させるために、熱伝導性フィラーを混入したシリコーンゴムを強度保持層とし、熱伝導性フィラーを混入した柔軟性シリコーンゲルを変形層として複合化した熱伝導性シートも用いることができる。
【0024】
さらにまた、特開平6−155517号公報および特開平7−14950号公報に記載されているような、網目状物、樹脂製のフィルムあるいは不織布から選ばれる補強層を有した低硬度シリコーンゴムシート等を用いてもよい。
【0025】
熱伝導部材の熱伝導率としては、少なくとも電気化学デバイスの外装体より高いことが必要である。具体的には、金属材料で好ましくは100〜500W/m・k、上記の樹脂系の材料では好ましくは0.8〜1.5W/m・k程度である。
【0026】
さらに、熱伝導部材は難燃剤を含有していてもよい。難燃剤は、前記金属の表面にバインダー等により塗設されていてもよいし、樹脂材料中に分散されていてもよい。
【0027】
このように難燃剤を有することにより、万一電気化学デバイスが熱暴走し、発火したようなときでも、延焼を防止し、安全性を確保することができる。
【0028】
このような難燃剤としては、ハロゲン化リン酸エステル、ブロム化エポキシ樹脂等のハロゲン化物、また、リン酸エステルアミド系等の有機化合物や、三酸化アンチモン、水素化アルミニウム等の無機材料を用いることができる。
【0029】
また、感熱性保護素子を熱伝導性部材と接触するように配置してもよい。このように感熱性保護素子を熱伝導性部材と接触するように配置することで、より内部の温度に近い温度で動作させることができ、感熱性保護素子の感度が向上し、安全性が向上する。
【0030】
電気化学デバイスの感熱性保護素子としては、具体的には、温度ヒューズ、PTC素子等を挙げることができる。
【0031】
感熱性保護素子は、機械的手段により取り付けることもできるが、好ましくは接着により取り付けるとよい。また、特に熱伝導性の接着剤を用いることで、さらに感度を向上させることができる。
【0032】
なお、熱的に電池を安定化させるためには、上記のような構造の他に電池内部の活物質を、熱的により安定化された化合物を用いることがさらに望ましい。そのような化合物として、リチウムイオン二次電池系を例にとってみれば、正極活物質としてスピネル構造を持ったマンガン酸リチウムが挙げられる。また、層状構造を持つリチウムを挿入脱離可能な化合物の中で、マンガン・コバルト・ニッケルが添加されたコバルト酸リチウムと同様の構造を持っ化合物が望ましい。
【0033】
〔電気化学デバイス〕
本発明の電気化学デバイスは、発電素子を包含するユニットからなる。発電素子としては、例えば、アルミニウム箔や銅箔等の金属箔等で構成される正負両極の電極と、セパレータ、高分子固体電解質等とが交互に積層された構造を有する。正負両極の電極には、それぞれ引き出し電極(導出端子)が接続されている。導出端子、つまり引き出し電極は、アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス等の金属箔で構成される。
【0034】
外装体は、例えばアルミニウム等の金属層の片面に、熱接着性樹脂層としてのポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン樹脂層を、もう一方の面に耐熱性のポリエステル樹脂やナイロン層が積層されたラミネートフィルムから構成されている。外装体は、予め2枚のラミネートフィルムをそれらの3辺の端面の熱接着性樹脂層相互を熱接着してシール部を形成し、1辺が開口した袋状に形成される。あるいは、一枚のラミネートフィルムを折り返して両辺の端面を熱接着してシール部を形成して袋状としてもよい。
【0035】
金属−樹脂間接着剤としては、例えばカルボン酸等の酸変性ポリエチレン、酸変性ポリプロピレン、エポキシ樹脂、変性イソシアネート等を例示できる。金属−樹脂間接着剤は、金属とポリオレフィン樹脂との間に介在してこれらの密着性を良好にするためのものであるから、引き出し電極のシール部を覆う程度の大きさで十分である。
【0036】
本発明の電気化学デバイスに用いられる素子は、積層構造の二次電池に限定されるものではなく、巻回された二次電池、あるいはこれらと同様な構造を有するキャパシタなどを用いる。
【0037】
本発明の電気化学デバイスは、次のようなリチウム二次電池、電気二重層キャパシタとして用いることができる。
【0038】
〔リチウム二次電池〕
本発明におけるリチウム二次電池の構造は特に限定されないが、通常、正極、負極及び高分子固体電解質から構成され、積層型電池や角型電池等に適用される。
【0039】
また、高分子固体電解質と組み合わせる電極は、リチウム二次電池の電極として公知のものの中から適宜選択して使用すればよく、好ましくは電極活物質とゲル電解質、必要により導電助剤との組成物を用いる。
【0040】
負極には、炭素材料、リチウム金属、リチウム合金あるいは酸化物材料のような負極活物質を用い、正極には、リチウムイオンがインターカレート・デインターカレート可能な酸化物または炭素材料のような正極活物質を用いることが好ましい。このような電極を用いることにより、良好な特性のリチウム二次電池を得ることができる。
【0041】
電極活物質として用いる炭素材料は、例えば、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、天然あるいは人造の黒鉛、樹脂焼成炭素材料、カーボンブラック、炭素繊維などから適宜選択すればよい。これらは粉末として用いられる。中でも黒鉛が好ましく、その平均粒子径は1〜30μm 、特に5〜25μm であることが好ましい。平均粒子径が小さすぎると、充放電サイクル寿命が短くなり、また、容量のばらつき(個体差)が大きくなる傾向にある。平均粒子径が大きすぎると、容量のばらつきが著しく大きくなり、平均容量が小さくなってしまう。平均粒子径が大きい場合に容量のばらつきが生じるのは、黒鉛と集電体との接触や黒鉛同士の接触にばらつきが生じるためと考えられる。
【0042】
リチウムイオンがインターカレート・デインターカレート可能な酸化物としては、リチウムを含む複合酸化物が好ましく、例えば、LiCoO2、LiMn2O4、LiNiO2、LiV2O4などが挙げられる。また、これらのなかでも特に、Mn,Ni,Coを添加したLi(Mn,Ni,Co)O2 で表される化合物が、熱的安定性に優れておりより好ましい。これらの酸化物の粉末の平均粒子径は1〜40μm 程度であることが好ましい。
【0043】
電極には、必要により導電助剤が添加される。導電助剤としては、好ましくは黒鉛、カーボンブラック、炭素繊維、ニッケル、アルミニウム、銅、銀等の金属が挙げられ、特に黒鉛、カーボンブラックが好ましい。
【0044】
電極組成は、正極では、重量比で、活物質:導電助剤:ゲル電解質=30〜90:3〜10:10〜70の範囲が好ましく、負極では、重量比で、活物質:導電助剤:ゲル電解質=30〜90:0〜10:10〜70の範囲が好ましい。ゲル電解質は、特に限定されず、通常用いられているものを用いればよい。また、ゲル電解質を含まない電極も好適に用いられる。この場合、バインダとしてはフッ素樹脂、フッ素ゴム等を用いることができ、バインダの量は3〜30質量%程度とする。
【0045】
電極の製造は、まず、活物質と必要に応じて導電助剤を、ゲル電解質溶液またはバインダ溶液に分散し、塗布液を調製する。
【0046】
そして、この電極塗布液を集電体に塗布する。塗布する手段は特に限定されず、集電体の材質や形状などに応じて適宜決定すればよい。一般に、メタルマスク印刷法、静電塗装法、ディップコート法、スプレーコート法、ロールコート法、ドクターブレード法、グラビアコート法、スクリーン印刷法等が使用されている。その後、必要に応じて、平板プレス、カレンダーロール等により圧延処理を行う。
【0047】
集電体は、電池の使用するデバイスの形状やケース内への集電体の配置方法などに応じて、適宜通常の集電体から選択すればよい。一般に、正極にはアルミニウム等が、負極には銅、ニッケル等が使用される。なお、集電体は金属箔、金属メッシュなどが、通常、使用される。金属箔よりも金属メッシュの方が電極との接触抵抗が小さくなるが、金属箔でも十分小さな接触抵抗が得られる。
【0048】
そして、溶媒を蒸発させ、電極を作製する。塗布厚は、50〜400μm 程度とすることが好ましい。
【0049】
高分子膜は、例えば、PEO(ポリエチレンオキシド))系、PAN(ポリアクリロニトリル)系、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)系等の高分子微多孔膜を用いることができる。
【0050】
このような正極、高分子膜、負極をこの順に積層し、圧着して電池素体とする。
【0051】
高分子膜に含浸させる電解液は一般に電解質塩と溶媒よりなる。電解質塩としては、例えば、LiBF4 、LiPF6 、LiAsF6 、LiSO3 CF3 、LiClO4 、LiN(SO2 CF3 )2 等のリチウム塩が適用できる。
【0052】
電解液の溶媒としては、前述の高分子固体電解質、電解質塩との相溶性が良好なものであれば特に制限はされないが、リチウム電池等では高い動作電圧でも分解の起こらない極性有機溶媒、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等のカーボネート類、テトラヒドロフラン(THF)、2−メチルテトラヒドロフラン等の環式エーテル、1,3−ジオキソラン、4−メチルジオキソラン等の環式エーテル、γ−ブチロラクトン等のラクトン、スルホラン等が好適に用いられる。3−メチルスルホラン、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、エトキシメトキシエタン、エチルジグライム等を用いてもよい。
【0053】
溶媒と電解質塩とで電解液を構成すると考えた場合の電解質塩の濃度は、好ましくは0.3〜5mol/lである。通常、1mol/l辺りで最も高いイオン伝導性を示す。
【0054】
このような電解液に微多孔性の高分子膜を浸漬すると、高分子膜が電解液を吸収してゲル化し、高分子固体電解質となる。
【0055】
高分子固体電解質の組成を共重合体/電解液で示した場合、膜の強度、イオン伝導度の点から、電解液の比率は40〜90質量%が好ましい。
【0056】
〔電気二重層キャパシタ〕
本発明における電気二重層キャパシタの構造は特に限定されないが、通常、一対の分極性電極が高分子固体電解質を介して配置されており、分極性電極および高分子固体電解質の周辺部には絶縁性ガスケットが配置されている。このような電気二重層キャパシタはペーパー型、積層型等と称されるいずれのものであってもよい。
【0057】
分極性電極としては、活性炭、活性炭素繊維等を導電性活物質とし、これにバインダとしてフッ素樹脂、フッ素ゴム等を加える。そして、この混合物をシート状電極に形成したものを用いることが好ましい。バインダの量は5〜15質量%程度とする。また、バインダとしてゲル電解質を用いてもよい。
【0058】
分極性電極に用いられる集電体は、白金、導電性ブチルゴム等の導電性ゴムなどであってよく、またアルミニウム、ニッケル等の金属の溶射によって形成してもよく、上記電極層の片面に金属メッシュを付設してもよい。
【0059】
電気二重層キャパシタには、上記のような分極性電極と高分子固体電解質とを組み合わせる。
【0060】
高分子膜は、例えば、PEO(ポリエチレンオキシド)系、PAN(ポリアクリロニトリル)系、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)系等の高分子微多孔膜を用いることができる。
【0061】
電解質塩としては、(C2H5)4 NBF4 、(C2H5)3 CH3 NBF4 、(C2H5)4 PBF4 等が挙げられる。
【0062】
電解液に用いる非水溶媒は、公知の種々のものであってよく、電気化学的に安定な非水溶媒であるプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、1,2−ジメトキシエタン、スルホラン単独または混合溶媒が好ましい。
【0063】
このような非水溶媒系の電解質溶液における電解質の濃度は、0.1〜3mol/lとすればよい。
【0064】
このような電解液に微多孔性の高分子膜を浸漬すると、高分子膜が電解液を吸収してゲル化し、高分子固体電解質となる。
【0065】
高分子固体電解質の組成を共重合体/電解液で示した場合、膜の強度、イオン伝導度の点から、電解液の比率は40〜90質量%が好ましい。
【0066】
絶縁性ガスケットとしては、ポリプロピレン、ブチルゴム等の絶縁体を用いればよい。
【0067】
【実施例】
以下に実施例を用いて詳細に説明する。
[実施例1]
(1)電池構造
図1に示したように、発電素子であるリチウム二次電池ユニットが外装体内に封入された電池を作製した。この電池素子は、正極およびその集電体材料、負極およびその集電体材料、およびゲル化する固体状電解質膜から形成されている。
【0068】
この発電素子の厚みは3.0mm、容量2000mAh 、エネルギー密度は280wh/lであった。
【0069】
このようにして作製した電池を、凹凸部の高さを、それぞれサンプル1:0.03mm、サンプル2:0.1mm、サンプル3:0.6mm、サンプル4:1mm(外装体の厚みに対する凹凸部の高さの割合が、それぞれ1%、3.3%、20%、33%)とした蓋部材(具体的にはアルミニウム、熱伝導率237W/mk)を用いて、図2に示すような深絞り型外装体内に封入し、電気化学デバイスを得た。また、図3に示すような凹凸を設けないサンプル5も作製した。
【0070】
得られた各電池を同一環境下の室温で過充電試験を行った。
【0071】
過充電試験は、以下のようにして行った。
先ず、12Vの定電圧定電流装置を用いて、所定の電流を印加して試験対象となる各サンプルが熱暴走・発火するか否か確認した。具体的には、容量2000mAh の電池に対して2000mAを標準電流として印加した。また、6Vで3000mAを印加して同様にして評価した。
【0072】
その結果、サンプル2,3,4は熱暴走を起こさなかった。また、サンプル5は発火した。サンプル1では放熱が不十分で、発熱により140℃まで上昇し、その後熱暴走モードに到った。
【0073】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、薄型電気化学デバイスを重層化する場合に電気化学デバイスユニット間に生じる熱を効率よく放熱させ、より安全で、しかも体積エネルギー密度の高い電気化学デバイスモジュールを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電気化学デバイスの基本構成を示す概略断面図である。
【図2】本発明の電気化学デバイスの深絞り型外装体を示す概略斜視図である。
【図3】従来構造の電気化学デバイスの構成例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1 外装体
2 発電素子
3 蓋部材
Claims (6)
- 発電素子と、前記発電素子を収容する外装体とを有し、扁平な直方体または板状体である電気化学デバイスにおいて、前記発電素子は厚さが4mm以下、エネルギー密度が250wh/l以上であり、前記外装体の最大面積となる平面部の少なくともいずれか一方に、複数の凹凸構造が形成されており、前記複数の凹凸構造が形成されている外装体平面部の表面積は、凹凸構造を有しない平面の表面積の1.5〜5倍であり、前記複数の凹凸構造が形成されている外装体平面部材料は、熱伝導性材料である、電気化学デバイス。
- 前記複数の凹凸構造が形成されている外装体平面部は、深絞り型外装体の蓋部材である請求項1の電気化学デバイス。
- 前記複数の凹凸構造が形成されている外装体平面部材料は、アルミニウムである請求項1または2の電気化学デバイス。
- 前記複数の凹凸構造が形成されている外装体平面部材料は、熱伝導性ゴムである請求項1または2の電気化学デバイス。
- 前記凹凸構造は、その凹凸の高さが0.05〜1mmの範囲である請求項1〜4のいずれかの電気化学デバイス。
- 前記外装体材料が金属箔と熱融着性樹脂を有するラミネートフィルムである請求項1〜5のいずれかの電気化学デバイス。
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