JP4051760B2 - 冷凍サイクル装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、暖房時には圧縮機吐出ガス冷媒(ホットガス)を凝縮器側をバイパスして減圧し、蒸発器に直接導入することにより、蒸発器をガス冷媒の放熱器として使用するホットガスバイパス機能を持った冷凍サイクル装置において、特に、ホットガスバイパス運転時における高圧上昇を抑制するための改良に関するものであって、例えば、車両用空調装置に用いて好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両用空調装置では冬期暖房時に温水(エンジン冷却水)を暖房用熱交換器に循環させ、この暖房用熱交換器にて温水を熱源として空調空気を加熱するようにしている。この場合、温水温度が低いときには車室内への吹出空気温度が低下して必要な暖房能力が得られない場合がある。
【0003】
そこで、特開平5−223357号公報においては、ホットガスバイパスにより暖房機能を発揮できる冷凍サイクル装置が提案されている。この従来装置では、圧縮機吐出側から凝縮器をバイパスして蒸発器入口側に直接連通するホットガスバイパス通路を設けるとともに、このホットガスバイパス通路に減圧手段を設け、エンジン始動直後のごとく温水温度が所定温度より低いときには、圧縮機吐出ガス冷媒(ホットガス)をホットガスバイパス通路の減圧手段で減圧した後に蒸発器に直接導入し、蒸発器でガス冷媒から空調空気に放熱することにより、暖房機能を発揮できるようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記の従来装置において、ホットガスバイパス運転時における冷媒の挙動を実際に検討してみると、例えば、外気温:−20°Cの条件下において、サイクル起動前では、サイクル内の冷媒は−20°Cの外気雰囲気と同一温度に冷却されて液化し、この温度に対応した飽和圧力(0.36kgf/cm2 G)の状態になっている。
【0005】
このような状態からサイクルを起動してホットガスバイパス運転を開始すると、起動後、高圧は5kgf/cm2 G、低圧は1kgf/cm2 Gとなり、その後、30分程度の時間をかけて高圧は20kgf/cm2 G、低圧は4kgf/cm2 G程度まで上昇する。これは、空調装置の送風量大(送風機速度:Hi)、圧縮機回転数:1500rpm(一定)という条件の下での現象である。
【0006】
ところで、車両用空調装置では、通常、起動後30分程度の時間経過により、車室内温度が上昇してくるので、自動制御式の場合、この室温上昇に伴って送風量を中(Me)レベルまで自動的に減少させる。すると、この送風量減少により蒸発器での冷媒放熱量の減少→低圧側冷媒の温度上昇→低圧上昇という現象が発生して、低圧が上記値よりもさらに上昇する。これに伴って、高圧が30kgf/cm2 Gを越えてしまうことがある。
【0007】
外気温:−20°Cの条件でも過度な高圧上昇が発生するので、外気温がこれよりも高い−10°C、0°Cの条件では、蒸発器吸入空気(外気)温度の上昇により蒸発器での冷媒放熱量がさらに減少し、高圧がさらに上昇する。
車両用空調装置では、通常、サイクル構成部品の保護のために、高圧が30kgf/cm2 G程度まで上昇すると、電磁クラッチを遮断して圧縮機を停止する制御(高圧カット制御)を採用しているので、従来技術では、ホットガスバイパス運転時に高圧の上昇により圧縮機の運転が頻繁に断続されることになり、圧縮機運転の断続によるショックが発生し、車両運転性能を悪化させる。
【0008】
本発明は上記点に鑑みてなされたもので、ホットガスバイパス運転時における高圧上昇を抑制することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明では、圧縮機の吸入絞りによる吸入圧低下作用に着目して、圧縮機の吸入側に絞りを設置することにより、上記目的を達成するものである。
すなわち、請求項1記載の発明では、圧縮機(10)の吐出ガス冷媒をホットガスバイパス通路(18)を通して直接、蒸発器(17)に流入させることにより、ホットガスバイパスによる暖房モードを設定する冷凍サイクル装置において、
蒸発器(17)の出口側と圧縮機(10)の吸入側との間に、弁開度を調整可能な絞り弁(25)を配置し、
ホットガスバイパスによる暖房モード時に、圧縮機(10)吐出側の高圧(PD )の上昇に応じて、絞り弁(25)の弁開度を減少させることで、高圧(P D )の上昇につれて絞り弁(25)の弁開度をより一層減少させることを特徴としている。
【0010】
これによると、ホットガスバイパス運転時に、サイクルの高圧PD が上昇すると、絞り弁(25)の弁開度が減少するので、圧縮機(10)の吸入側が絞られ、圧縮機(10)の吸入圧力が低下する。この結果、圧縮機(10)の吐出側圧力、すなわち、高圧PD の上昇を抑制できる。ここで、高圧PD の上昇につれて絞り弁(25)の弁開度がより一層減少するので、高圧PD の上昇を確実に抑制できる。従って、ホットガスバイパス運転時に高圧カット制御により圧縮機(10)の運転が頻繁に断続されることを未然に防止できる。
【0011】
また、請求項2記載の発明では、請求項1において、通常のサイクル運転時には、絞り弁(25)をバイパスする第1通路(23)に冷媒を流し、ホットガスバイパスによる暖房モード時には、絞り弁(25)を通過する第2通路(24)に冷媒を流すことを特徴としている。
これによると、通常のサイクル運転時には、絞り弁(25)をバイパスして冷媒が流れるから、絞り弁(25)の設置が通常のサイクル運転時に悪影響を及ぼすことが全くない。
【0012】
また、請求項3記載の発明では、請求項1または2において、絞り弁(25)は、高圧(PD )に応じて変位する圧力応動部材(256、43)と、この圧力応動部材(256、43)の変位に応じて変位する弁体(252、34)とを有し、この弁体(252、34)を圧力応動部材(256、43)により高圧(PD )の上昇に応じて弁開度が減少する方向に変位させることを特徴としている。
【0013】
これによると、高圧(PD )に応じて変位する圧力応動部材を用いて、弁体(252、34)を変位させることがてきるから、センサ、制御装置等の電気的機構を用いる場合に比して、絞り弁(25)を純機械的機構により簡素化できる。
また、請求項4記載の発明のように、請求項3において、絞り弁(25)は、さらに、圧力応動部材(256、43)に高圧(P D )を導入する圧力導入パイプ(259)を備えるようにしてよい。
また、請求項5記載の発明のように、請求項3または4において、圧力応動部材は、具体的には、高圧(P D )に応じて直接変位するダイヤフラム(252)またはベローズ(43)で構成すればよい。
また、請求項6記載の発明では、請求項1において、絞り弁(25)は、高圧(PD )の上昇に応じて弁開度が減少する方向に変位する弁体(252、34)と、この弁体(252、34)を高圧(PD )の変化から切り離して独立に駆動可能な電気的駆動機構(21a)とを有し、通常のサイクル運転時には、電気的駆動機構(21a)により弁体(252、34)を全開状態に保持することを特徴としている。
【0014】
これによると、絞り弁(25)の弁体(252、34)を全開状態に保持することにより、通常のサイクル運転時に絞り弁(25)の絞り作用を解消することができる。すなわち、請求項6記載の発明によると、絞り弁(25)自身に絞り作用解消のための通路切替機能を兼務させることができ、絞り弁(25)と通路切替弁との一体化により弁機構および通路構成の簡素化を図ることができる。
また、請求項7記載の発明のように、請求項1ないし6のいずれか1つに記載の冷凍サイクル装置は、高圧(P D )が所定値以上に上昇すると圧縮機(10)の運転を停止する高圧カット制御を行う冷凍サイクル装置であって、
高圧(P D )が高圧カット制御を行う前記所定値よりも低い圧力範囲にあるときに、高圧(P D )の上昇に応じた絞り弁(25)の弁開度減少を実行すればよい。
【0015】
なお、上記各手段に付した括弧内の符号は、後述する実施形態記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1、2は車両用空調装置における冷凍サイクル装置に本発明を適用した第1実施形態を示している。図1において、圧縮機10は、電磁クラッチ11を介して水冷式の車両エンジン(図示せず)により駆動される。圧縮機10の吐出側は第1電磁弁(弁手段)12を介して凝縮器13に接続され、この凝縮器13の出口側は冷媒の気液を分離して液冷媒を溜める受液器14に接続される。
【0017】
そして、受液器14の出口側は逆止弁15を介して温度式膨張弁(第1減圧装置)16に接続されている。この温度式膨張弁16は蒸発器17の入口に接続されている。温度式膨張弁16は通常の冷凍サイクル運転時に蒸発器17出口冷媒の過熱度が所定値に維持されるように弁開度(冷媒流量)を調整するものである。逆止弁15は、ホットガスバイパス運転時にホットガスが受液器14側へ逆流するのを阻止するものである。
【0018】
一方、圧縮機10の吐出側から凝縮器13等をバイパスして蒸発器17の入口側に直接至るホットガスバイパス通路18が設けてある。このバイパス通路18には第2電磁弁(弁手段)19と絞り(第2減圧装置)20が配置されている。この絞り20は、オリフィス等の固定絞りで構成できる。
蒸発器17の出口側は三方切替弁21を介してアキュームレータ22の入口側に接続される。このアキュームレータ22は周知のごとく冷媒の気液を分離して液冷媒を溜めてガス冷媒を導出するもので、その出口側は圧縮機10の吸入側に接続される。
【0019】
三方切替弁21は電磁弁タイプ、あるいはモータ等のアクチュエータにより弁体を変位させるタイプの弁から構成されるものであり、蒸発器17の出口側を第1通路23あるいは第2通路24に切り替えるものである。第1通路23は蒸発器17の出口側をアキュームレータ22の入口側に直接接続するものであり、また、第2通路24は絞り弁25を介して蒸発器17の出口側をアキュームレータ22の入口側に接続するものである。
【0020】
蒸発器17は車両用空調装置の空調ユニット26のケース内に設置され、図示しない送風機により送風される空気(車室内空気または外気)を夏期冷房モード時には冷却する。また、冬期暖房モード時には、蒸発器17はホットガスバイパス通路18からの高温冷媒ガス(ホットガス)が流入して空気を加熱するので、放熱器としての役割を果たす。
【0021】
空調ユニット26のケース内において、蒸発器17の空気下流側には車両エンジンからの温水(エンジン冷却水)を熱源として送風空気を加熱する温水式の暖房用熱交換器27が設置されている。この暖房用熱交換器27の下流側に設けられた吹出口(図示せず)から車室内へ空調空気を吹き出すようになっている。なお、上記した電磁クラッチ11、第1、第2電磁弁12、19、切替弁21等の作動は空調用電子制御装置28により制御される。
【0022】
次に、図2は上記した絞り弁25の具体的構造を例示するもので、縦長の円筒状もしくは縦長の矩形筒状のハウジング250を有し、このハウジング250内に第2通路24の途中に位置する絞り通路251が軸方向に形成されている。この絞り通路251の開度を球状の弁体252により調整する。この球状の弁体252は弁棒253の一端に連結されている。
【0023】
弁棒253はハウジング250の中心部において軸方向に延びる穴部254に軸方向に摺動可能に嵌合している。この弁棒253の他端側には弁駆動機構255が配置されている。この弁駆動機構255には圧力応動部材としてのダイヤフラム256が備えられ、このダイヤフラム256により仕切られた第1圧力室257と第2圧力室258が形成されている。
【0024】
第1圧力室257は基準圧力室であって、予め所定圧力にてガスが封入されている。これに対して、第2圧力室258は可変圧力室であって、圧力導入パイプ259により図1の冷凍サイクルの高圧PD (圧縮機10の吐出側圧力)が導入される。また、第2圧力室258内には弁棒253の他端側の拡大部253aが位置しており、この拡大部253aがダイヤフラム256の下側面(第2圧力室258側の面)に当接するようになっている。このため、ダイヤフラム256の変位に応じて弁棒253が図2の上下方向(ハウジング軸方向)に移動するようにしてある。
【0025】
次に、上記構成において第1実施形態の作動を説明する。夏期冷房モード時には、制御装置28により第1電磁弁12が開状態とされ、第2電磁弁19が閉状態とされる。また、切替弁21は制御装置28の出力により第1通路23を開放し、第2通路24を閉塞する。従って、蒸発器17の出口側は第1通路23により絞り弁25をバイパスして直接アキュームレータ22の入口側に接続される。
【0026】
この状態において、電磁クラッチ11が接続状態となり、圧縮機10が車両エンジンにて駆動されると、圧縮機10の吐出ガス冷媒は開状態の第1電磁弁12を通過して凝縮器13に流入する。凝縮器13では、図示しない冷却ファンにより送風される外気にて冷媒が冷却されて凝縮する。そして、凝縮後の液冷媒は受液器14で気液分離され、液冷媒のみが逆止弁15を介して温度式膨張弁16に流入し、ここで減圧されて、低温低圧の気液2相状態となる。
【0027】
次に、この低圧冷媒は蒸発器17内に流入し、蒸発器17において図示しない送風機により送風される空調空気から吸熱して蒸発する。蒸発器17で冷却された空調空気は車室内へ吹き出して車室内を冷房する。そして、蒸発器17で蒸発したガス冷媒は切替弁21、第1通路23を介してアキュームレータ22に流入し、アキュームレータ22内部を経由して圧縮機10に吸入され、圧縮される。
【0028】
一方、冬期暖房モード時には、制御装置28により第1電磁弁12が閉状態とされ、第2電磁弁19が開状態とされ、ホットガスバイパス通路18が開通する。また、切替弁21は制御装置28の出力により第1通路23を閉塞し、第2通路24を開放する。従って、蒸発器17の出口側は第2通路24の絞り弁25を介してアキュームレータ22の入口側に接続される。
【0029】
ホットガスバイパス通路18の開通により、圧縮機10の高温吐出ガス冷媒(過熱ガス冷媒)が開状態の第2電磁弁19を通って絞り20で減圧された後、蒸発器17内に流入する。蒸発器17において、減圧後の過熱ガス冷媒が空調空気に放熱して、空調空気を加熱する。
ホットガスバイパス運転時には、バイパス通路18からのガス冷媒の圧力で逆止弁15が閉弁状態を維持するので、吐出ガス冷媒が受液器14側へ逆流することはない。
【0030】
温水式の暖房用熱交換器27に車両エンジンからの温水を流すことにより、空調空気を暖房用熱交換器27においても加熱することができる。そして、蒸発器17で放熱したガス冷媒は、第2通路24の絞り弁25を介してアキュームレータ22内に流入し、その内部を経由してから圧縮機10に吸入され、圧縮される。
【0031】
ところで、本実施形態によると、ホットガスバイパス運転時には蒸発器17で放熱したガス冷媒が第2通路24の絞り弁25を介してアキュームレータ22へに流れるとともに、絞り弁25では冷凍サイクルの高圧PD が第2圧力室258に導入され、この第2圧力室258の高圧PD に応じて弁体252を変位させるようにしてある。
【0032】
このため、第1圧力室257の基準圧力よりも第2圧力室258の高圧PD が上昇すると、ダイヤフラム256が図2の上方へ変位し始め、これに伴って、弁棒253も上方へ変位し、弁体252により絞り通路251の開度を減少させる。この結果、圧縮機10の吸入側が絞られ、圧縮機10の吸入圧力が低下するので、圧縮機10の吐出側圧力、すなわち、高圧PD の上昇を抑制できる。ここで、高圧PD の上昇につれて絞り通路251の開度をより一層減少させるので、高圧PD の上昇を確実に抑制できる。従って、ホットガスバイパス運転時に高圧カット制御により圧縮機10の運転が頻繁に断続されることを未然に防止できる。
【0033】
なお、ホットガスバイパス通路18の絞り20は蒸発器17の上流側に位置しているので、高圧PD の上昇時に絞り20を絞っても高圧PD がさらに上昇するだけで、高圧PD の上昇抑制効果は得られない。
(第2実施形態)
図3は第2実施形態であり、図1の切替弁21と絞り弁25とを一体化したものである。図3の上部が切替弁21を構成し、図3の下部が絞り弁25を構成している。第2実施形態では、切替弁21と絞り弁25の共通のハウジング30が備えられており、このハウジング30は縦長の略円筒状もしくは縦長の矩形筒状に形成ししてある。
【0034】
ハウジング30のうち、軸方向の中間部分の外面には、蒸発器17の出口に接続される低圧冷媒の入口部31と、アキュームレータ22の入口に接続される低圧冷媒の出口部32が開口している。そして、この入口部31と出口部32との間を連結する連結通路33がハウジング30の中心部に軸方向に形成してある。この連結通路33の開度を球状の弁体34により調整する。
【0035】
弁体34は連結棒35を介してプランジャ36に連結されている。このプランジャ36は電磁機構(電気的駆動機構)21aの一部を構成するもので、プランジャ36およびこれに対向設置された固定鉄心37は磁性体からなる。電磁コイル38に通電すると、プランジャ36、固定鉄心37、継鉄39等を含む磁気回路に磁束が流れて、プランジャ36と固定鉄心37との間に電磁吸引力が発生し、スプリング40に抗してプランジャ36が図3の上方へ移動する。これにより、球状の弁体34も図3の上方へ移動して、連結通路33を全開状態に保持する。
【0036】
一方、ハウジング30のうち、絞り弁25を構成する下側部分の中心部には、図1の冷凍サイクルの高圧PD (圧縮機10の吐出側圧力)が高圧導入口41を介して導入される高圧室42が形成されている。この高圧室42内には圧力応動部材としてベローズ43が配置されている。このベローズ43は図2の上下方向(ハウジング30の軸方向)に伸縮可能な襞折り形状を有するものであり、ベローズ43の一端(下端)は支持板47に固定され、ベローズ43の他端(上端)は上下方向に変位可能な自由端43aとなっている。
【0037】
ベローズ43の内部は、高圧室42と連通し、高圧室42と同一圧力になっている。ベローズ43内にはベローズ43の伸長方向にばね力を作用させるスプリング44が配設されている。
また、ベローズ43の上端に位置する自由端43aには連結棒45の一端が連結され、この連結棒45の他端は球状の弁体34に対して連結棒35と反対側に位置して、弁体34の外面に接離可能に当接する。これにより、高圧室42に導入される高圧PD の上昇によりベローズ43が図2の下方向へ圧縮されると、自由端43aが下降して連結棒45も下降し、これにより、球状の弁体34が電磁機構21aのスプリング40の力を受けて下降し、連結通路33の開度を減少させる。なお、連結棒45はハウジング30内に固定されたガイド部材46により気密に、かつ、摺動可能に嵌合支持されている。
【0038】
第2実施形態によると、通常の冷凍サイクル運転時(冷房モード時)には、電磁機構21aの電磁コイル38に通電する。これにより、プランジャ36と固定鉄心37との間に電磁吸引力が発生し、スプリング40に抗してプランジャ36が図3の上方へ移動する。これにより、連結棒35を介して球状の弁体34も図3の上方へ移動して、連結通路33を全開状態に保持する。この連結通路33の全開状態は高圧PD の変動に関係なく保持される。
【0039】
一方、ホットガスバイパス運転時には電磁機構21aの電磁コイル38への通電を遮断する。これにより、プランジャ36がスプリング40のばね力により図3の下方へ移動して、連結棒35を介して弁体34を連結棒45の上端部に押しつける。従って、この状態では、弁体34は下側の連結棒45の変位(上下動)に応じて変位することになる。
【0040】
すなわち、高圧室42に導入される高圧PD が上昇すると、ベローズ43が図2の下方向へ圧縮されるので、自由端43aが下降して連結棒45も下降し、これにより、球状の弁体34が連結通路33の開度を減少させる。これにより、第1実施形態と同様に、圧縮機10の吸入圧力の低下により、高圧PD の上昇を確実に抑制できる。
【0041】
(他の実施形態)
なお、上記した第1、第2実施形態では、高圧PD に応じて直接変位するダイヤフラム256あるいはベローズ43により弁体252、弁体34を変位させる純機械的な機構により絞り弁25の開度を調整しているが、例えは、高圧PD を圧力センサにて電気的に検出し、この圧力センサの検出信号を制御装置28に入力し、この制御装置28により制御される電気的駆動機構(アクチュエータ)を絞り弁25に備え、絞り弁25の開度を電気的に調整するようにしてもよい。
【0042】
また、上記した第1、第2実施形態では、蒸発器17の出口側とアキュームレータ22の入口側との間に切替弁21および絞り弁25を配置しているが、切替弁21および絞り弁25をアキュームレータ22の出口側と圧縮機10の吸入側との間に配置してもよい。
また、上記した実施形態では、本発明を車両用空調装置の冷凍サイクルに適用した場合について説明したが、本発明を種々な用途の冷凍サイクルに適用できることはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の冷凍サイクル図である。
【図2】図1における絞り弁の縦断面図である。
【図3】本発明の第2実施形態による絞り弁の縦断面図である。
【符号の説明】
10…圧縮機、12、19…第1、第2電磁弁(弁手段)、13…凝縮器、
15…逆止弁、16…温度式膨張弁(第1減圧装置)、17…蒸発器、
18…ホットガスバイパス通路、20…絞り(第2減圧装置)、
21…切替弁、23…第1通路、24…第2通路、25…絞り弁。
Claims (7)
- 冷媒を圧縮し、吐出する圧縮機(10)と、
この圧縮機(10)の吐出ガス冷媒を凝縮する凝縮器(13)と、
この凝縮器(13)で凝縮した冷媒を減圧させる第1減圧装置(16)と、
この第1減圧装置(16)で減圧された冷媒を蒸発させる蒸発器(17)と、
前記圧縮機(10)の吐出側を直接、前記蒸発器(17)の入口側に接続するホットガスバイパス通路(18)と、
このホットガスバイパス通路(18)に設けられ、前記圧縮機(10)の吐出ガス冷媒を減圧する第2減圧装置(20)と、
前記圧縮機(10)の吐出ガス冷媒が前記凝縮器(13)およひ前記ホットガスバイパス通路(18)のいずれに流入するかを切り替える弁手段(12、19)とを備え、
前記圧縮機(10)の吐出ガス冷媒を前記ホットガスバイパス通路(18)を通して直接、前記蒸発器(17)に流入させることにより、ホットガスバイパスによる暖房モードを設定する冷凍サイクル装置において、
前記蒸発器(17)の出口側と前記圧縮機(10)の吸入側との間に、弁開度を調整可能な絞り弁(25)を配置し、
前記ホットガスバイパスによる暖房モード時に、前記圧縮機(10)吐出側の高圧(PD )の上昇に応じて、前記絞り弁(25)の弁開度を減少させることで、前記高圧(P D )の上昇につれて前記絞り弁(25)の弁開度をより一層減少させることを特徴とする冷凍サイクル装置。 - 通常のサイクル運転時には、前記絞り弁(25)をバイパスする第1通路(23)に冷媒を流し、前記ホットガスバイパスによる暖房モード時には、前記絞り弁(25)を通過する第2通路(24)に冷媒を流すことを特徴とする請求項1に記載の冷凍サイクル装置。
- 前記絞り弁(25)は、前記高圧(PD )に応じて変位する圧力応動部材(256、43)と、この圧力応動部材(256、43)の変位に応じて変位する弁体(252、34)とを有し、この弁体(252、34)を前記圧力応動部材(256、43)により前記高圧(PD )の上昇に応じて弁開度が減少する方向に変位させることを特徴とする請求項1または2に記載の冷凍サイクル装置。
- 前記絞り弁(25)は、さらに、前記圧力応動部材(256、43)に前記高圧(P D )を導入する圧力導入パイプ(259)を備えることを特徴とする請求項3に記載の冷凍サイクル装置。
- 前記圧力応動部材は、前記高圧(P D )に応じて直接変位するダイヤフラム(252)またはベローズ(43)であることを特徴とする請求項3または4に記載の冷凍サイクル装置。
- 前記絞り弁(25)は、前記高圧(PD )の上昇に応じて弁開度が減少する方向に変位する弁体(252、34)と、この弁体(252、34)を前記高圧(PD )の変化から切り離して独立に駆動可能な電気的駆動機構(21a)とを有し、 通常のサイクル運転時には、前記電気的駆動機構(21a)により前記弁体(252、34)を全開状態に保持することを特徴とする請求項1に記載の冷凍サイクル装置。
- 前記高圧(P D )が所定値以上に上昇すると前記圧縮機(10)の運転を停止する高圧カット制御を行う冷凍サイクル装置であって、
前記高圧(P D )が前記高圧カット制御を行う前記所定値よりも低い圧力範囲にあるときに、前記高圧(P D )の上昇に応じた前記絞り弁(25)の弁開度減少を実行することを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載の冷凍サイクル装置。
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