JP4046465B2 - 画像処理装置、画像処理方法、及び画像処理システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像データをエッジ強調などのフィルタ処理を行う画像処理装置に関し、特に原稿画像を読み取るスキャナ等の画像データ入力装置から出力された画像データを処理して画像の性質に適したデータ加工を施し、プリンタ等に出力するデジタル複写機、プリンタ、ファクシミリ、イメージスキャナなどに好適な画像処理装置に関する。
【0002】
また、本発明は、画像データの濃度変換を行う画像処理装置に関する。
【0003】
【従来の技術】
<従来例1>
この種の従来例として、特開平5−307603号公報では、文字画像や線画像のエッジにおける濃度の急峻さを保持しながら網点画像に対して十分な平滑化処理を施すと共に、網点画像や写真画像中の文字に対しても画像のエッジを良好に強調するために、入力画像データと、入力画像データにエッジ強調フィルタ処理を施したデータと、同じく入力画像データに平滑化フィルタを施したデータのうち、少なくとも2つの画像データをエッジ量に基づき混合する方法が提案されている。
【0004】
また、同公報には、白地上の文字画像をより良好に再現するために、入力画像データと、エッジ強調フィルタ出力と、平滑化フィルタ出力と、エッジ量により前記フィルタ結果を混合した出力のいずれを出力するかを、入力画像データの白地領域を検出して白地領域か否かにより選択する方法が提案されている。
<従来例2>
一般に、絵柄部の階調性を重視したγ変換特性が設定された画像処理装置では、文字部の再現性が不十分である。例えば細線のトギレが発生したり、薄い文字などの再現性が著しく低下したりする。そこで、この問題を解決する従来例として、文字部および絵柄部の特徴量を抽出し、抽出結果に基づいてそれぞれの領域で異なる画像処理を行い、画像品質を向上させる提案がされている。例えば特開平8−204953号公報には、白地領域判定手段と複数の濃度変換手段とを有し、白地領域判定手段の判定結果に基づいて、濃度変換手段を選択的に切り換える方法が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
<課題1>
しかしながら、上記従来例1では、あらかじめエッジ強調、平滑化などの各種フィルタ処理を行ない、白地領域の有無によりそれぞれのフィルタ結果または入力画像のいずれかを選択的に出力するので、処理の規模が増大するという問題点がある。また、白地領域の有無により各フィルタ結果を選択する構成では、白地検出結果に誤検出があった場合の画像劣化が目立ちやすいという欠点がある(第1の問題点)。
<課題2>
上記従来例2において説明した特開平8−204953号公報における白地領域判定方法は、特開平6−133159号公報に開示されているものであり、判定される領域は、必ずしも白地と画像領域の境界部分を検出することができず、このため白地あるいは背景上の境界部分における文字の再現性が悪いという問題点がある。また、白地に隣接する画像境界部の大きさ(膨張される画素数)は、入力画像データの解像度によって最適な値が存在し、境界部が小さい場合は適応的な濃度変換の効果が薄れ、白地上の文字の再現性が低下する。また逆に境界部が大きい場合は、絵柄部分の輪郭部に縁取りが発生し、画質の劣化を引き起こす。
【0006】
また、上記従来例2においては、このような画像境界部の大きさについては述べられていない。また、白地領域判定手段に入力される画像データについても特定されていない。また、上記の従来例2の他、エッジ検出、網点検出などの画像の特徴量を用いて、文字部と絵柄部分を像域分離し、各領域に対してそれぞれ最適化されたγ補正を行う等の出願がなされている。しかしながら、エッジ検出等を用いた像域分離は規模が大きくコストがかかるばかりか、連続調画像(写真)における濃度勾配が急峻な部分や、低線数の網点原稿や、あるいはエッジ検出用のフィルタの周波数特性に合致するような周波数成分をもつ網点原稿に対しては、絵柄部であるにも関わらず大きなエッジ量が検出され、誤った分離を引き起こすという問題点がある(第2の問題点)。
【0007】
またある領域が白地であるか白地でないかの2値的な判断に基づいて処理を行うと、どの程度白地に近いのかという中間的な情報は無視されることになる。このような処理は安定性にかける面があり、例えば本来は非白地領域として判断されて欲しい領域で、1つでも白地領域と判断された画素があるとすると、局所的な画像特性の変化が目立つために画質が劣化する。また画像特性を白地領域から非白地領域にかけて2値的に変化させたのでは、再生画像が滑らかな画質にならないという欠点がある。
【0008】
この点を鑑みて、本発明では、白地か非白地かの2値的な判断に基づいて二者択一的に画像特性を変化させるのではなく、連続的或いは多段階に画像特性を変化させることが可能な画像処理装置を提供することを目的とする。
【0009】
また本発明は、白地か非白地かの2値的な判断に基づいて二者択一的に画像特性を変化させる場合であっても、白地領域並びに白地と非白地との境界領域を対象として処理を行うことで、適切な画像特性変換が可能な画像処理装置を提供することを目的とする。
【0010】
また本発明は上記第1の問題点に鑑み、簡単な構成でかつ確実に白地上の文字・線画の鮮鋭性を向上させることができるとともに、絵柄では印刷網点原稿のモアレの発生を抑制しつつ写真などの連続調画像のエッジもくっきりと再現することができる画像処理装置を提供することを目的とする。
【0011】
また本発明は上記第2の問題点に鑑み、小規模な構成で白地あるいは背景上の文字、線画の再現性を向上させることができる画像処理装置を提供することを目的とする。特に、白地領域を検出する場合に、エッジ検出など文字の内側のエッジ部分をも検出するのではなく、文字輪郭部のみを積極的に抽出することを行う。
【0037】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明では、画像処理装置は、入力多値画像データの濃度をそれぞれ異なる濃度変換特性で変換する複数の濃度変換手段と、入力多値画像データの白地に隣接する画像境界部を検出する領域検出手段と、前記領域検出手段の検出結果に基づいて前記複数の濃度変換手段の1つを選択する選択手段を含み、前記領域検出手段は、入力多値画像データを所定の閾値で2値化する2値化手段と、該2値化手段により2値化されたデータに基づいて注目画素を含むマトリクス領域内に存在する白画素の密度により該マトリクス領域が白地候補領域か否かを検出する白地候補領域検出手段と、該白地候補領域検出手段により検出された白地候補領域を膨張する膨張手段と、該膨張手段により膨張された領域と該2値化手段により2値化されたデータを論理積して該白地に隣接する画像境界部として検出する論理積手段を含み、前記膨張手段は、前記入力多値画像データの入力解像度に対し、150<(入力解像度(dpi)/膨張画素数)<400の条件を満たす膨張画素数だけ前記白地候補領域を膨張することを特徴とする。
【0039】
請求項2の発明では、請求項1記載の画像処理装置において、白地に隣接する画像境界領域に適用される濃度変換特性は、少なくとも中濃度レベル以上の入力多値画像データを、前記画像境界領域以外の領域に適用される濃度変換特性より高い値に変換する特性であることを特徴とする。
【0048】
【発明の実施の形態】
<第1の実施形態>
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明に係る画像処理装置の一実施形態を示すブロック図、図2は図1のフィルタ処理部を詳しく示すブロック図、図3、図4はそれぞれ図2の第1、第2のフィルタの係数を示す説明図、図5は図1のエッジ量検出部を詳しく示すブロック図、図6〜図9はそれぞれ図5の第1〜第4の検出フィルタの係数を示す説明図、図10は図1の白地検出部を詳しく示すブロック図、図11は図1のエッジ量変換部を詳しく示すブロック図、図12、図13はそれぞれ図11の第1、第2のエッジ量変換部の処理を示す説明図である。
【0049】
図1において、画像入力部101は原稿を読み取ってデジタル化した画像信号を画像処理部102内のフィルタ処理部110と、エッジ量検出部114と白地検出部115に出力する。画像処理装置102では画像入力部101から出力された入力画像信号が入力すると、フィルタ処理部110においてエッジ量変換部116からのエッジ量(フィルタ倍率C)に応じて画像の周波数特性を変換してフィルタ処理し、処理結果を変倍処理部111に出力する。変倍処理部111では指示された変倍率に従って画像信号を電気的に拡大あるいは縮小してこれをγ変換部112に出力する。
【0050】
γ変換部112は原稿と画像出力部103からの出力画像との間の階調特性を所望の階調特性になるように変換してこれを中間調処理部113に出力する。中間調処理部113では画像出力部103の画像再現能力に合わせてディザ処理や誤差拡散処理などの中間調処理を行ってこれを画像出力部103に出力し、画像出力部103では紙などへの画像出力を行う。
【0051】
画像処理部102ではまた、画像入力部101からの画像信号が入力すると、エッジ量検出部114は局所的な画像の濃度勾配に応じたエッジ量Eを検出し、白地検出部115は原稿の白地及びその周辺領域を検出する。そして、エッジ量変換部116では、エッジ量検出部114により検出されたエッジ量Eをフィルタ処理部110が効果的に使用することができるようにフィルタ倍率Cに変換し、このとき、エッジ量変換部116のエッジ量変換は、後述するように白地検出部115の白地検出結果に応じて、白地及びその周辺領域とそれ以外の領域とで異なる変換となるように動作する。
【0052】
次に図2を参照してフィルタ処理部110について説明する。画像入力部101からの入力画像信号は第1のフィルタ201と第2のフィルタ202に入力し、フィルタ201、202では入力画像信号に対してそれぞれ異なった2次元空間フィルタ処理を行う。第1のフィルタ201の一例を図3に示す。図3はバンド強調特性を持った5×5画素のフィルタ係数を示し、印刷網点再生時に生じるモアレを低減しつつ文字・線画の鮮鋭性を保つようなフィルタ特性を有する。第2のフィルタ202の一例を図4に示す。図4は1+3+1=5画素の2次微分フィルタであり、画像濃度勾配に変化のあるエッジ部のみで出力値を有する。
【0053】
図2に示すように、フィルタ処理部110では第2のフィルタ202の出力値に対して、エッジ量変換部116によりエッジ量Eから変換されたフィルタ倍率Cを乗算器203により乗算し、さらにこの乗算結果と第1のフィルタ201の出力値を加算器204により加算してこの加算結果を次段の変倍処理部111に出力する。
【0054】
次にエッジ量検出部114について図5〜図9を参照して説明する。図5に示すようにエッジ量検出部114では入力画像信号を第1〜第4の検出フィルタ301〜304によりそれぞれエッジ量E1〜E4を検出し、検出フィルタ301〜304により検出されたエッジ量E1〜E4の最大値Eを最大値選択部305により選択してエッジ量変換部116に出力する。本実施例では、各検出フィルタ301〜304は縦、横、斜め2方向の5×5画素の1次微分フィルタにより構成されており、それぞれのフィルタ係数を図6〜図9に示す。図6は横方向の1次微分フィルタ、図7は縦方向の1次微分フィルタ、図8、図9はお互いに直交する斜め45度方向の1次微分フィルタである。
【0055】
図6〜図9に示す係数の各検出フィルタ301〜304は、局所的(ここでは5×5画素内)な画像の濃度勾配に応じた値を演算し、その絶対値をそれぞれの方向のエッジ量E1〜E4として出力する。最大値選択部305は検出フィルタ301〜304により検出された縦、横、斜め方向のエッジ量E1〜E4の最大値Eを選択して出力する。なお、ここでは5×5画素内での縦、横、斜めの1次微分フィルタによりエッジ量を検出しているが、求めたいエッジの構造によりフィルタサイズを変えたり、1次微分の方向を変えたり、また、2次微分特性を持たせたりすることができることは言うまでもない。
【0056】
次に図10を参照して白地検出部115について説明する。まず、2値化部801では画像入力部101からの入力画像信号を画素単位でしきい値と比較することにより2値化し、このとき入力画像信号がしきい値以下であるときは白画素(2値化データ=1)、しきい値より大きいときは黒画素(2値化データ=0)とする。次いでこの2値化データを第1の白地領域検出部802及び第2の白地領域検出部803に入力して、ある領域内が全て白画素のときその領域を白地画素領域とし、それ以外を非白地領域とする。本実施例では、第1の白地領域検出部802は5×3画素の横長の白地領域を検出し、第2の白地領域検出部803は3×5画素の縦長の白地領域を検出する。
【0057】
次に第1、第2の白地領域検出部802、803によりそれぞれ検出された5×3画素、3×5画素の白地画素領域を第1、第2の白地領域膨張部804、805により膨張する。これは白地領域検出部802、803では白地領域として検出できない白地に隣接する文字・線画領域にまで白地領域を膨張するためである。本実施例では第1の白地領域膨張部804では、白地領域検出部802により白地領域として検出された5×3画素(黒太枠で示す)周辺方向に2画素づつ膨張して9×7画素の領域を膨張した白地領域とする。また同様に、第2の白地領域膨張部805では7×9画素領域を膨張した白地領域とする。最後に白地領域膨張部804、805により白地領域として膨張された結果を画素毎にORして(図示806)、この結果を白地検出部115の白地検出結果としてエッジ量変換部116に出力する。
【0058】
次に図11〜図13を参照してエッジ量変換部116について説明する。まず、エッジ量検出部114により求められたエッジ量Eを第1、第2のエッジ量変換部901、902によりそれぞれフィルタ倍率C1、C2に変換する。図12は第1のエッジ量変換部901の変換例を示し、横軸は入力エッジ量E、縦軸はフィルタ倍率C1である。ここで、エッジ量EがEminより小さいときはフィルタ倍率C1を「0」にし、Emax以上は倍率Cmaxに固定し、EminからEmaxまではフィルタ倍率C1を「0」からCmaxまでリニアに増加するように設定している。
【0059】
また同様に、図13は第2のエッジ量変換部902の変換例を示し、図12に比べて、同じ入力エッジ量Eから変換されるフィルタ倍率C2が低くなるように設定している。また、Emin<Emin2であり、Cmax>Cmax2となるように設定されている。また、第1、第2のエッジ量変換部901、902ともに、エッジ量Eからフィルタ倍率C1、C2への変換特性は、フィルタ処理の度合いを見ながら設定することは言うまでもない。また、この変換処理はテーブル参照方式によって行ってもよいし、変換式によって行っても良い。
【0060】
次にセレクタ903は白地検出部115の白地検出結果により、白地領域画素の場合は第1のエッジ量変換部901の出力C1を選択し、白地領域画素以外の場合は第2のエッジ量変換部902の出力C2を選択してフィルタ処理部110に出力する。これは、同じエッジ量Eで有れば、白地領域でのエッジに対する鮮鋭性を、白地領域以外のエッジに対する鮮鋭性よりも大きくするように、フィルタ処理部110が動作するようにするためである。
【0061】
また、図14に示すように第2のエッジ量変換部902の代わりに、入力エッジ量Eに関係なくフィルタ倍率C2が「0」(図示1401)となるようにセレクタ903に入力し、白地検出部115の白地検出結果が白地領域画素以外の場合に選択するようにしても良い。他の具体的な構成、動作は図11と同じであるので説明を省略する。
<第2の実施形態>
次に図15以下を参照して第2の実施形態について説明する。なお、第1の実施形態と同じ構成部材には同じ参照符号を付す。図15は全体を示すブロック図であり、画像入力部101は原稿を読みとってデジタル化した画像信号を画像処理部102内のフィルタ処理部110aと領域検出部115に出力する。画像処理部102では画像入力部101から画像信号が入力すると、フィルタ処理手段110aにおいて画像の周波数特性を変換し、次いで変倍処理部111では指示された変倍率に従って画像信号を電気的に拡大あるいは縮小する。
【0062】
続くγ変換部112aでは、原稿と画像出力部103の出力画像との間の階調特性が所望の階調特性になるように変換し、また、このとき後述するように、白地に隣接する領域か否かでγ変換特性を切り換える。中間調処理部113では画像出力部103の画像再現能力に合わせてディザ処理や誤差拡散処理などの中間調処理を行ってこれを画像出力部103に出力し、画像出力部103では紙などへの画像出力を行う。
【0063】
画像処理部102aではまた、画像入力手段101からの画像信号が入力すると、領域検出部115は白地に隣接する画像境界領域を検出する。続く領域信号変倍処理部117は、変倍処理部111の変倍率に従って、領域検出部115によって出力された領域信号を電気的に拡大あるいは縮小する。γ変換部112aでは、この検出された領域検出結果に従って、白地に隣接する画像境界領域とそれ以外の領域とで異なる濃度変換を行う。
【0064】
領域検出部115は図16に示すように、第1の実施形態において図10に示した白地検出部115と同じ構成である。繰り返して説明すると、まず、2値化部801では画像入力部101からの入力画像信号を画素単位でしきい値と比較することにより2値化し、このとき入力画像信号がしきい値以下であるときは白画素(2値化データ=1)、しきい値より大きいときは黒画素(2値化データ=0)とする。次いでこの2値化データを第1の白地領域検出部802及び第2の白地領域検出部803に入力して、ある領域内が全て白画素のときその領域を白地画素領域とし、それ以外を非白地領域とする。本実施例では、第1の白地領域検出部802は5×3画素の横長の白地領域を検出し、第2の白地領域検出部803は3×5画素の縦長の白地領域を検出する。
【0065】
次に第1、第2の白地領域検出部802、803によりそれぞれ検出された5×3画素、3×5画素の白地画素領域を第1、第2の白地領域膨張部804、805により膨張する。これは白地領域検出部802、803では白地領域として検出できない白地に隣接する文字・線画領域にまで白地領域を膨張するためである。本実施例では第1の白地領域膨張部804では、白地領域検出部802により白地領域として検出された5×3画素(黒太枠で示す)周辺方向に2画素づつ膨張して9×7画素の領域を膨張した白地領域とする。また同様に、第2の白地領域膨張部805では7×9画素領域を膨張した白地領域とする。最後に白地領域膨張部804により白地領域として膨張された結果と白地領域膨張部805により白地領域として膨張された結果とを画素毎にOR演算して(図示806)、この結果を領域検出部115の検出結果として領域信号変倍処理部117に出力する。
【0066】
図17は、これを画像イメージで表現したものである(但し、図16の白地領域膨張部804による9×7画素の出力イメージである。)。*印は注目画素であり、この周囲5×3の領域に対して白画素検出を行い、図17に示す例ではこれら全てが白画素であるので、周囲2画素づつ膨張して9×7画素の検出領域を得る。図17のように、検出された領域は、所定の閾値で2値化された画像部に対し、2画素だけ入り込んだ形で検出が行われている。なお、本発明では白地領域検出部802、803が全ての画素が白画素の時、その領域を白地画素領域とする例を示したが、密度によって判定するようにしてもよく、例えば5×3領域の15画素中、14画素以上が白画素の時、白地画素領域とするなどしてもよい。
【0067】
図18は変形例の領域検出部115aを示している。この領域検出部115aでは図16に示す構成に対してインバータ807とANDゲート808が追加され、図16に示す構成による検出結果に対して、2値化後の画像データと論理積を取るようように構成されている。このように構成することにより、図16の検出結果から白地領域を除いた画像境界部のみの検出が可能となる。
【0068】
次に図19を参照してγ変換部112aについて説明する。γ変換部112aは2つの異なる濃度変換特性A、Bを有するγ変換部1901、1902と、領域検出部115の検出信号に基づいて白地領域などではγ変換部1901の出力を選択し、白地領域など以外の領域ではγ変換部1902の出力を応じて選択するセレクタ1903を有する。ここで、γ変換部1901、1902はそれぞれ、例えば図20に示すような濃度変換特性A、Bを有し、特性Aよりも特性Bの方が所定の入力濃度レベル(40以上)で大きな値を出力するように構成されている。
【0069】
このように2種類のγ変換特性A、Bを用意し、領域検出部115の検出結果に応じて、画像境界部あるいは画像境界部と白地部の両領域に対してはγ変換部1902を選択して示す濃度変換特性Bでγ変換し、また、非白地部に対しては、γ変換部1901を選択して濃度変換特性Aでγ変換する。このように領域に応じて濃度特性を選択的に切り換えることにより、白地上の文字の再現性、判読性をさせつつ、網点画像あるいは連続調画像のような絵柄部分では良好な階調性を満足することができる。
【0070】
ここで、画像境界部あるいは画像境界部と白地部の両領域に対して適用される濃度変換特性Bは、少なくとも中濃度部以上でそれ以外の領域に適用される濃度変換特性よりも高い値を出力するよう構成されており、このため白地上の文字の再現性、判読性を向上させることができる。中濃度以下の濃度レベルに対しては、文字の再現性にはあまり影響しないので、両濃度変換特性A、Bを同一にしても良いしあるいは、白地部の濃度特性Bを低く設定しても良い。なお、低く設定した場合には、白地上の地肌汚れを軽減できるという効果もある。また、本発明では画像の背景領域を白地と表現しているが、背景レベルが濃度=0の場合に限定した発明ではなく、背景領域の濃度に応じて2値化部801の閾値を適切な値に設定することにより、同等の効果が得られることはいうまでもない。すなわち、白地を背景と読み替えて、本発明は背景にも適用することができる。
【0071】
また、図16における白地領域膨張部804、805における膨張画素数には、入力解像度に対する最適値が存在する。例えば膨張画素数が小さい場合、白地に隣接する画像境界部に対し検出領域の入り込みが小さくなり、後段のγ変換部112aによる効果が薄れる結果となる。逆に、膨張画素数が大きい場合、白地に隣接する画像境界部に対し検出領域の入り込みが大きくなりすぎて、白地に隣接した中濃度絵柄部分などにおいては、縁取り現象が発生したりして見づらい画像となる。600dpiの解像度で読み込まれた画像に対しては2画素膨張が最適値であり、また300dpiで読み込まれた画像に対しては1画素膨張が最適値である(図21参照)。これを式で表すと、以下のようになる。
【0072】
150<(入力解像度(dpi)/膨張画素数)<400
このように、適正な領域膨張を行うことで最適な画像品質が得られる。
【0073】
次に図22を参照して濃度変換特性A、Bの変形例について説明する。曲線Bは、白地および白地に隣接する画像境界部に適用される濃度変換特性であり、曲線Aは、それ以外の領域に適用される濃度変換特性である。曲線Bは曲線Aに対して、所定の濃度レベル(=90)以上で、一定値だけ高濃度を出力するよう設定されている。このように構成することにより、白地および白地に隣接する画像境界部の画像に対しても階調性を満足した状態を保つことができるので、白地上の文字の再現性、判読性を向上しながらも階調のある文字を再現することができる。また、図22に示す特性A、Bを実現する構成としては、図23に示すように、ベースとなる濃度変換特性Aから演算部1905によって、異なる濃度変換特性Bを作成するようにしても良い。
【0074】
また、図24に示す特性のように、濃度レベルのシフトをなめらかに行うようにすれば、急激な濃度変化部が緩和され、良好な画像再生が行われる。図24では、入力濃度レベル=40〜120の領域に対し、スムーズな濃度変換特性となるように構成している。
【0075】
図25はさらに他の特性を示している。図25において、白地および白地に隣接する画像境界部に適用される濃度特性Bは、所定濃度レベル(=190)以上では最高濃度(画像データ=8bitの場合、255)を出力するように構成している。このように構成することによって、白地領域中の文字の判読性をさらに向上させることができる。
【0076】
次に図26以下を参照して第2の実施形態の変形例について説明する。ここで、図15は、スキャナ読取後の画像信号、あるいは図示しないがスキャナγ後の画像信号など、周波数特性を変換するような処理が行われていない画像信号に対して、領域検出を行う例を示した。これに対し、図26はフィルタ処理部110aにより処理された画像信号に対して領域検出を行う画像処理部102bを示している。フィルタ処理部110aは例えば孤立点を平滑化するような周波数特性を有するフィルタである。
【0077】
この場合、例えば図28に示すような、3×3の平滑化フィルタでも良いが、文字品質を確保するためには、図27に示すような高周波成分を平滑化するようなバンド強調型のフィルタが望ましい。この変形例によれば、孤立点があった場合、これを平滑化するようなフィルタリングが行われているので、領域検出部115における2値化の際にノイズや地肌部の微小なゴミなどによる孤立点が非白地領域として検出されることが無くなり、このため白地検出の検出精度が向上し、ひいては高画質化が実現できる。
【0078】
また、別の変形例として図29に示す画像処理部102cのように、領域検出前にフィルタ処理部110aとは異なる領域検出用フィルタ処理部118を設け、この領域検出用フィルタ処理部118の出力に基づいて「領域検出」を行うようにしてもよい。このように構成すれば、画像信号再生のためのフィルタと、領域検出のためのフィルタを独立して設定することができるので、フィルタ係数の自由度が大きくなる。画像信号再生のためにフィルタ110aを図30に示すようなMTFフィルタとし、領域検出のためのフィルタ118を図28に示す平滑化フィルタとすることにより、より高精細な画像再生が行える。また、本発明では説明しないが、孤立点を平滑化するようなフィルタを用いる代わりに、孤立点除去などの画像処理を行った後、領域検出を行っても同様の効果が得られる。
【0079】
図31は更に他の画像処理部102dを示し、領域検出部115は変倍処理後の信号出力に基づいて「領域検出」を行うように構成されている。このようにすることにより、領域検出結果に対する変倍処理(図15の領域信号変倍処理部117)が不要となり、安価に装置を構成することが出来る。
【0080】
図32はγ変換部112aの他の例として、白地上の文字の再生に関してユーザが容易に調整できるγ変換特性を示している。図示しないが、例えば、操作パネルには白地上文字濃度をボタン1(薄い)〜ボタン5(濃い)の五段階設定でユーザが任意に設定できる文字濃度設定ボタンが用意されている。これに対応して、非白地部における濃度変換特性を選択するよう構成されている。例えば、ボタン5(濃い)が選択されたときは、図32における特性「5」の濃度変換が行われ、ボタン1(薄い)が選択されたときは図32における特性「1」の濃度変換が行われる。
【0081】
図33は領域検出部の他の構成を示している。図33に示すように、領域検出部115の検出結果をブロック化部701により所定のブロックサイズに分割し、さらに領域画素計数部702によりブロック内の白地領域画素の密度を計測する。さらに判定部703では、所定の数以上の白地領域画素が計数されたときには、注目ブロックを白地領域とする。このように構成することによって、白地領域に対するデータ量を縮小することができ、省メモリー化が行える。また、ブロック形状を正方形とすることによって、画像の90°回転などに容易に対応することができる。
<第3の実施形態>
上記第1及び第2の実施例においては、白地検出にあたって、白地領域であるか非白地領域であるかを2値的に検出して、フィルタ処理/γ変換に関する処理特性/変換特性を二者択一的に制御していた。即ち、ある領域が白地であるか白地でないかの2値的な判断であり、どの程度白地に近いのかという中間的な情報は無視されることになる。このような処理は安定性にかける面があり、例えば本来は非白地領域として判断されて欲しい領域で、1つでも白地領域と判断された注目画素があるとすると、その注目画素を中心として白地領域が膨張されて、ある程度の面積を有した白地領域が形成されてしまう。
【0082】
この点を鑑みて、以下に説明する第3の実施例では、ある領域がどの程度白地らしいかを評価する白地度を検出して、この白地度に基づいてフィルタ処理の処理特性を制御する。ここで検出される白地度は、0か1かの2値ではなく、最小値から最大値まで(例えば0から1まで)の間で分布する複数の値のうちの1つをとるものである。これに応じて、フィルタ制御に関しては、二者択一的な特性選択ではなく、多段階の特性選択が出来るようになる。
【0083】
図34は、本発明の第3の実施例による画像処理装置を示すブロック図である。図34において、図1と同一の構成要素は同一の番号で参照され、その説明は省略される。
【0084】
図34に示される第3の実施例による画像処理装置は、図1の画像処理装置の画像処理部102の替わりに、画像処理部102Aが設けられている。画像処理部102Aにおいては、図1の白地検出部115の替わりに白地度検出部115Aが設けられ、また図1のエッジ量変換部116の替わりにエッジ量変換部116Aが設けられる。この白地度検出部115Aは、入力画像の各領域に関して白地らしさを示す白地度を検出して、検出結果をエッジ量変換部116Aに供給する。エッジ量変換部116Aは、白地度検出結果に応じて動作し、注目画素の白地度に応じてエッジ量の大きさを制御する。
【0085】
図35は、フィルタ処理部110の構成及びその周辺を示す構成図である。図35において、図2と同一の構成要素は同一の番号で参照され、その説明は省略される。
【0086】
図35に示されるように、フィルタ処理部110の構成は、図2の第1の実施例と第3の実施例とで変りはない。
【0087】
図2に示される第1の実施例においては、エッジ量が連続量であることを反映して、エッジ量変換部116の出力は連続量(厳密には多段階の離散量)である。このエッジ量変換部116の出力をフィルタ202の出力に重み係数として積算して、積算結果をフィルタ201の出力に加算している。但し、第1の実施例の場合には、白地検出部115の出力はあくまで0か1かの2値であり、図11に示されるフィルタ倍率C1或いはC2の選択は、二者択一的である。従って、エッジ量検出部114の出力が同一であれば、図2のエッジ量変換部116の出力は、白地か非白地かの判断に応じて二者択一的にしか変化しない。
【0088】
図35に示される第3の実施例においては、白地度検出部115Aの出力自体が連続量(厳密には多段階の離散量)である。これに対応して、エッジ量変換部116Aの出力は、仮にエッジ量検出部114の出力が同一であっても、白地度検出結果を反映して多段階に変化する。従って、フィルタ処理部110のフィルタ特性を、白地度に応じて多段階に制御することが可能になる。
【0089】
図36は、白地度検出部115Aの構成を示す構成図である。
【0090】
図36の白地度検出部115Aは、2値化部801、第1の白地領域検出部802、第2の白地領域検出部803、第1の白地度検出部1804、第2の白地度検出部1805、及び加算部1806を含む。図36において、図10と同一の構成要素は同一の番号で参照され、その説明は省略される。
【0091】
入力画像に対して、2値化部801により2値化処理を行い、第1の白地領域検出部802及び第2の白地領域検出部803によって各々水平方向及び垂直方向に関して白地を検出する点は、第1の実施例と同様である。即ち、第1の白地領域検出部802及び第2の白地領域検出部803に2値画像を入力して、ある領域内が全て白のときにあらかじめ定めた注目画素Xを白地領域画素とし、領域内に1つでも黒画素が存在するときは注目画素Xを非白地領域画素とする。 ここで本実施例では、第1の白地領域検出部802は注目画素Xを中心画素にとる5×3画素の横長の領域として白地領域画素を検出し、第2の白地領域検出部803は注目画素Xを中心画素とする3×5画素の縦長の領域として白地領域画素を検出する。
【0092】
第3の実施例においては、白地領域が検出された画像をもとにして、第1の白地度検出部1804及び第2の白地度検出部1805が白地度を検出する。
【0093】
即ち、第1の白地度検出部1804では、第1の白地領域検出部802で検出した白地領域画素数を白地度検出手段での注目画素Xとなる新たな注目画素を含む領域で計数する。また同様に、第2の白地度検出部1805は、第2の白地領域検出部803で検出した白地領域画素数を白地度検出手段での注目画素(X)となる新たな注目画素を含む領域で計数する。本実施例では、第1の白地度検出部1804及び第2の白地度検出部1805ともに5x5画素ブロックとし、それぞれ注目画素は中心画素Xとする。
【0094】
その後、加算部1806では、第1の白地度検出部1804及び第2の白地度検出部1805により計数された白地領域画素数を加算した後に、総画素数(本実施例では、25画素+25画素の50画素)で正規化した値を、白地度検出部115Aの結果として出力する。
【0095】
図37は、エッジ量変換部116Aの構成を示す構成図である。
【0096】
図37のエッジ量変換部116Aは、第1のエッジ量変換部901、第2のエッジ量変換部902、及び合成手段903Aを含む。図37において、図11と同一の構成要素は同一の番号で参照され、その説明は省略される。
【0097】
エッジ量変換部116Aは、エッジ量検出部114で求められたエッジ量を、白地度検出部115Aで求められた白地度に基づいて変換して出力する機能を有する。エッジ量検出部114から供給されたエッジ量は、白地領域に適した変換特性を有する第1のエッジ量変換部901と、非白地領域に適した変換特性を有する第2のエッジ量変換部902に供給され、それぞれの変換特性に従ってフィルタ倍率に変換される。第1のエッジ量変換部901及び第2のエッジ量変換部902は、第1の実施例で用いたものと同一であり、それぞれ図12及び図13に示す変換特性を有する。
【0098】
合成手段903Aは、第1のエッジ量変換部901及び第2のエッジ量変換部902から受け取るフィルタ倍率を、白地度に応じた重み付けで合成して出力する。
【0099】
図38は、合成手段903Aにおける合成処理の重み付け特性を示す図である。
【0100】
図38において、重み係数W1は第1のエッジ量変換部901に対する重み係数を示し、重み係数W2は第2のエッジ量変換部902に対する重み係数を示す。即ち、合成手段903Aは、第1のエッジ量変換部901の出力フィルタ倍率に重み係数W1を積算し、第2のエッジ量変換部902の出力フィルタ倍率に重み係数W2を積算し、両方の積算結果を加算することで出力を求める。
【0101】
これによって、白地度が小さい領域では第2のエッジ量変換部902の出力を優先し、白地度が大きい領域では第1のエッジ量変換部901の出力を優先し、中間領域では白地度に応じて徐々に両者の混合比を変化させる。
【0102】
以上のようにすることで、白地と非白地との境界領域において連続的にフィルタ特性を制御することが可能になり、境界において滑らかな画像再現を実現することが出来る。白地検出を2値的に行う第1の実施例では、処理が簡単でありハードウェアの小規模化やコストダウンが実現できるが、白地と非白地との境界領域においてフィルタ特性が2値的に切り替わるので、線画のがたつき(ジャギー)が発生する場合がある。これに対して、第3の実施例では、白地と非白地との境界領域において、線画のがたつき(ジャギー)等を抑えることが出来る。
【0103】
図39は、本発明の第3の実施例による画像処理装置の変形例を示すブロック図である。
【0104】
図39において、図34と同一の構成要素は同一の番号で参照され、その説明は省略される。
【0105】
図34に示される第3の実施例の変形例による画像処理装置は、図34の画像処理装置の画像処理部102Aの替わりに、画像処理部102Bが設けられている。画像処理部102Bにおいては、図34のエッジ量変換部116Aの替わりにエッジ量変換部116Bが設けられる。またフィルタ処理部110の替わりに、フィルタ処理部110Aが設けられる。更に、白地度検出部115Aの出力は、新たに設けられた白地度変換部120に供給される。白地度変換部120は、入力された白地度を変換して、変換白地度を出力する。エッジ量変換部116Bが出力するフィルタ倍率と、白地度変換部120が出力する変換白地度とが、フィルタ処理部110Aに供給される。
【0106】
図40は、フィルタ処理部110Aの構成及びその周辺を示す構成図である。図40において、図35と同一の構成要素は同一の番号で参照され、その説明は省略される。
【0107】
図40に示されるように、フィルタ処理部110Aは、フィルタ処理部110と比較して積算器205が新たに設けられた構成となっている。
【0108】
エッジ量変換部116Bの出力をフィルタ202の出力に重み係数として積算して、その積算結果を更に白地度変換部120の出力である変換白地度で積算して、その積算結果をフィルタ201の出力に加算している。
【0109】
ここでエッジ量変換部116Bは、エッジ量検出部114の出力であるエッジ量をフィルタ倍数に変換する単純な変換テーブルであり、例えば、図12に示す変換特性を有する。また白地度変換部120は、白地度検出部115Aの出力である白地度を変換白地度に変換する変換テーブルである。
【0110】
図41は、白地度変換部120の変換特性を示す図である。
【0111】
図41において、横軸が入力する白地度であり縦軸が出力する変換白地度である。ここでは、入力した白地度がWminまでは出力する変換白地度を0とし、入力した白地度がWmax以上は出力する変換白地度を1とし、WminからWmaxの間では、変換白地度が0から1にリニアに増加するように変換される。ここで図41において入力白地度は、0から1の間に正規化された値であるが、正規化していない総画素数(本実施例では50画素)の値をそのまま図41の横軸としてもよい。
【0112】
図40で説明したように、エッジ量変換部116Bの出力をフィルタ202の出力に積算して、更に白地度変換部120の出力である変換白地度で積算して、その積算結果をフィルタ201の出力に加算している。白地度の大きな部分では白地度変換部120の出力である変換白地度は略1であり、フィルタ202の出力とエッジ量変換部116Bの出力とを掛け合わせた信号が、そのままフィルタ201の出力に加算される。従ってこの場合には、強いエッジの強調を行うことが出来る。また白地度の小さな部分では、白地度変換部120の出力である変換白地度は略0であり、フィルタ202の出力とエッジ量変換部116Bの出力とを掛け合わせた信号は殆ど抑圧されて、フィルタ201の出力が支配的となる。従って、非白地部では、過度な強調を行わないように制御できる。
【0113】
また、白地と非白地との境界領域において連続的にフィルタ特性を制御することで、境界において滑らかな画像再現を実現することが出来る。
【0114】
なお図41では、白地度がWmin以下では出力を0にするような変換特性を示したが、図42に示すようにWmin以下の出力を0にしない変換特性とすることで、非白地部においてもフィルタ202によるエッジ強調を若干かけることが出来る。この場合、網点部や連続調画像部などのエッジの大きい部分に対してもエッジ協調をかけることが出来るので、網点上の文字などの再現性を向上することが可能になる。
<第4の実施形態>
以下に説明する第4の実施例では、ある領域がどの程度白地らしいかを評価する白地度を検出して、この白地度に基づいてγ変換の変換特性を制御する。ここで検出される白地度は、最小値から最大値まで(例えば0から1まで)の間で段階的に変化するものであり、γ変換制御に関して、二者択一的な特性選択ではなく、多段階の特性選択が出来るようになる。
【0115】
図43は、本発明の第4の実施例による画像処理装置を示すブロック図である。図43において、図15と同一の構成要素は同一の番号で参照され、その説明は省略される。
【0116】
図43に示される第4の実施例による画像処理装置は、図15の画像処理装置の画像処理部102aの替わりに、画像処理部102Cが設けられている。画像処理部102Cにおいては、図15の白地検出部115の替わりに白地度検出部115Aが設けられ、また図15のγ変換部112の替わりにγ変換部112Aが設けられる。この白地度検出部115Aは、図36に示された構成であり、入力画像の各領域に関して白地らしさを示す白地度を検出して、検出結果を変倍処理を介してγ変換部112Aに供給する。γ変換部112Aは、白地度検出結果に応じて動作し、注目画素の白地度に応じてγ変換係数の大きさを制御する。
【0117】
図44は、γ変換部112Aの構成を示す図である。
【0118】
図44のγ変換部112Aは、第1のγ変換部1901、第2のγ変換部1902、及び合成手段1903Aを含む。図44において、図19と同一の構成要素は同一の番号で参照され、その説明は省略される。
【0119】
γ変換部112Aは、供給された画像濃度レベルを、白地度に基づいてγ変換して出力する機能を有する。供給された画像濃度レベルは、非白地領域に適した変換特性を有する第1のγ変換部1901と、白地領域に適した変換特性を有する第2のγ変換部1902とに供給され、それぞれの変換特性に従ってγ変換される。第1のγ変換部1901及び第2のγ変換部1902は、第2の実施例で用いたものと同一であり、それぞれ図20に示すA及びBの変換特性を有する。
【0120】
合成手段1903Aは、第1のγ変換部1901及び第2のγ変換部1902から受け取る画像濃度レベルを、白地度に応じた重み付けで合成して出力する。
【0121】
図45は、合成手段1903Aにおける合成処理の重み付け特性を示す図である。
【0122】
図45において、重み係数W1は第1のγ変換部1901に対する重み係数を示し、重み係数W2は第2のγ変換部1902に対する重み係数を示す。即ち、合成手段1903Aは、第1のγ変換部1901の出力に重み係数W1を積算し、第2のγ変換部1902の出力に重み係数W2を積算し、両方の積算結果を加算することで出力を求める。
【0123】
これによって、白地度が大きい領域では第2のγ変換部1902の出力を優先し、白地度が小さい領域では第1のγ変換部1901の出力を優先し、中間領域では白地度に応じて徐々に両者の混合比を変化させる。
【0124】
以上のようにすることで、白地と非白地との境界領域において連続的にγ変換の変換量を制御することが可能になり、境界において滑らかな画像再現を実現することが出来る。
【0125】
図46は、γ変換部112Aの変形例の構成を示す図である。
【0126】
図46のγ変換部112Aは、第1のγ変換部1901、第2のγ変換部1902、第3のγ変換部1908、及びセレクタ1903Bを含む。図46において、図19と同一の構成要素は同一の番号で参照され、その説明は省略される。
【0127】
γ変換部112Aは、供給された画像濃度レベルを、白地度に基づいてγ変換して出力する機能を有する。供給された画像濃度レベルは、非白地領域に適した変換特性を有する第1のγ変換部1901と、白地領域に適した変換特性を有する第2のγ変換部1902と、中間領域に適した変換特性を有する第3のγ変換部1908とに供給され、それぞれの変換特性に従ってγ変換される。第1のγ変換部1901、第2のγ変換部1902、及び第3のγ変換部1908は、それぞれ図47に示すA、B、及びCの変換特性を有する。
【0128】
セレクタ1903Bは、第1のγ変換部1901、第2のγ変換部1902、及び第3のγ変換部1908から受け取る画像濃度レベルのうちの1つを、白地度に応じて選択する。
【0129】
図48は、セレクタ1903Bによる白地度に応じたγ変換特性の選択を示す図である。
【0130】
図48に示されるように、セレクタ1903Bは、白地度の小さな領域では変換特性Aを有する第1のγ変換部1901の出力を選択し、白地度の中間的な領域では変換特性Cを有する第3のγ変換部1908の出力を選択し、白地度の大きな領域では変換特性Bを有する第2のγ変換部1902の出力を選択する。このように制御することで、セレクタにより変換特性を選択する制御方式ではあっても、白地度に応じた多段階の変換特性の制御が可能になる。従って、前述の第4の実施例と同様の効果を得ることが出来る。
【0131】
なお上記第3及び第4の実施例は、白地か非白地かの2値判断を白地度という連続的(多段階的)判断にしたという意味で、それぞれ第1及び第2の実施例の上位概念的な構成にあたる。従って、第1及び第2の実施例に関連して説明した第1及び第2の実施例の構成の変形例、第1及び第2の実施例の特徴、第1及び第2の実施例の効果等は、基本的に第3及び第4の実施例に含まれるものであり、本発明はそのような構成も含むものである。
【0132】
【発明の効果】
本発明による画像処理装置は、入力画像を可変の周波数特性でフィルタ処理するフィルタ処理手段と、該入力画像におけるエッジの大きさをエッジ量として検出するエッジ量検出手段と、該入力画像の各領域における白地らしさを白地度として検出する白地度検出手段を含み、該エッジ量と該白地度に応じて該周波数特性を制御することを特徴とする。ここで、エッジ量が大きいほど、また白地度が大きいほど、より高周波成分を強調するようにフィルタの周波数特性を変化させる。これによって、簡単な構成でかつ確実に白地上の文字・線画の鮮鋭性を向上させることができる。
【0133】
また連続的に変化する白地度を用いることで、白地と非白地との境界領域において連続的にフィルタ特性を制御することが可能となり、境界において滑らかな画像再現を実現することが出来る。また白地か非白地かの2値的な判断に基づいて処理する場合であっても、白地領域並びに白地と非白地との境界領域を対象として処理を行うことで、適切な画像特性変換が可能となる。
【0134】
またフィルタ処理手段は、入力画像の全ての領域で同じ周波数特性を有する第1のフィルタと、エッジ量及び白地度の大きさに応じて出力強度が制御される高域強調特性を有する第2のフィルタとを含む構成とし、第1のフィルタは、印刷網点再生時に生じるモアレを低減しつつ文字・線画の鮮鋭性を保つようなフィルタ特性とする。これによって、絵柄では印刷網点原稿のモアレの発生を抑制しつつ、写真などの連続調画像のエッジも明瞭に再現することができる画像処理装置を提供することが出来る。
【0135】
また本発明による画像処理装置は、入力多値画像の各領域における白地らしさを白地度として検出する白地度検出手段と、該白地度に応じて変化する濃度変換特性で該入力多値画像の濃度を変換する濃度変換手段を含むことを特徴とする。白地らしさに応じて、異なる濃度変換特性で画像濃度を変換するので、白地上の文字部/線画部の認識性を向上させることができる。
【0136】
また連続的に変化する白地度を用いることで、白地と非白地との境界領域において連続的に濃度変換特性を制御することが可能となり、境界において滑らかな画像再現を実現することが出来る。また白地か非白地かの2値的な判断に基づいて処理する場合であっても、白地領域並びに白地と非白地との境界領域を対象として処理を行うことで、適切な画像特性変換が可能となる。
【0137】
また白地/非白地に関して領域を検出する領域検出手段に入力される画像信号をフィルタ処理後の画像信号とすれば、フィルタ処理によって孤立点が平滑化されるので、領域検出の精度を向上させることができる。
【0138】
また領域検出手段に入力される画像信号を変倍処理後の画像信号とすれば、領域検出結果に対する変倍手段が必要なく、安価な構成で同等の機能を実現することができる。
【0139】
また領域検出手段により検出された検出領域をm×n画素の複数のブロックに分割して領域検出をすれば、検出された領域データ量を1/(m×n)に削減することができると共に、このブロックを正方形とすれば、画像回転などの編集に容易に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る画像処理装置の一実施形態を示すブロック図である。
【図2】図1のフィルタ処理部を詳しく示すブロック図である。
【図3】図2の第1のフィルタの係数を示す説明図である。
【図4】図2の第2のフィルタの係数を示す説明図である。
【図5】図1のエッジ量検出部を詳しく示すブロック図である。
【図6】図5の第1の検出フィルタの係数を示す説明図である。
【図7】図5の第2の検出フィルタの係数を示す説明図である。
【図8】図5の第3の検出フィルタの係数を示す説明図である。
【図9】図5の第4の検出フィルタの係数を示す説明図である。
【図10】図1の白地検出部を詳しく示すブロック図である。
【図11】図1のエッジ量変換部を詳しく示すブロック図である。
【図12】図11の第1のエッジ量変換部の処理を示す説明図である。
【図13】図11の第2のエッジ量変換部の処理を示す説明図である。
【図14】図11のエッジ量変換部の変形例を示すブロック図である。
【図15】第2の実施形態の画像処理装置を示すブロック図である。
【図16】図15の領域検出部を詳しく示すブロック図である。
【図17】図16の領域検出部の処理を示す説明図である。
【図18】図16の領域検出部の変形例を示すブロック図である。
【図19】図15のγ変換部を詳しく示すブロック図である。
【図20】図19のγ変換部の変換特性の一例を示す説明図である。
【図21】入力解像度と膨張画素数の関係を示す説明図である。
【図22】図19のγ変換部の変換特性の他の例を示す説明図である。
【図23】図19のγ変換部の変形例を示すブロック図である。
【図24】図19のγ変換部の変換特性のさらに他の例を示す説明図である。
【図25】図19のγ変換部の変換特性のさらに他の例を示す説明図である。
【図26】図15の画像処理部の変形例を示すブロック図である。
【図27】図26のフィルタ処理部の処理を示すブロック図である。
【図28】平滑フィルタの処理を示すブロック図である。
【図29】図15の画像処理部の他の変形例を示すブロック図である。
【図30】図29の領域検出用フィルタ処理部の処理を示すブロック図である。
【図31】図15の画像処理部のさらに他の変形例を示すブロック図である。
【図32】図19のγ変換部の変換特性のさらに他の例を示す説明図である。
【図33】領域検出部のさらに他の変形例を示すブロック図である。
【図34】本発明の第3の実施例による画像処理装置を示すブロック図である。
【図35】図34のフィルタ処理部の構成及びその周辺を示す構成図である。
【図36】図34の白地度検出部の構成を示す構成図である。
【図37】図34のエッジ量変換部の構成を示す構成図である。
【図38】図37の合成手段における合成処理の重み付け特性を示す図である。
【図39】本発明の第3の実施例による画像処理装置の変形例を示すブロック図である。
【図40】図39のフィルタ処理部の構成及びその周辺を示す構成図である。
【図41】図39の白地度変換部の変換特性を示す図である。
【図42】図39の白地度変換部の別の変換特性を示す図である。
【図43】本発明の第4の実施例による画像処理装置を示すブロック図である。
【図44】図43のγ変換部の構成を示す図である。
【図45】図44の合成手段における合成処理の重み付け特性を示す図である。
【図46】図43のγ変換部の変形例の構成を示す図である。
【図47】図46の各γ変換部の変換特性を示す図である。
【図48】図46のセレクタによる白地度に応じたγ変換特性の選択を示す図である。
【符号の説明】
110フィルタ処理部
112aγ変換部
114エッジ量検出部
115白地検出部(領域検出部)
116エッジ量変換部
Claims (2)
- 入力多値画像データの濃度をそれぞれ異なる濃度変換特性で変換する複数の濃度変換手段と、
入力多値画像データの白地に隣接する画像境界部を検出する領域検出手段と、
前記領域検出手段の検出結果に基づいて前記複数の濃度変換手段の1つを選択する選択手段と、
を含み、
前記領域検出手段は、
入力多値画像データを所定の閾値で2値化する2値化手段と、
該2値化手段により2値化されたデータに基づいて注目画素を含むマトリクス領域内に存在する白画素の密度により該マトリクス領域が白地候補領域か否かを検出する白地候補領域検出手段と、
該白地候補領域検出手段により検出された白地候補領域を膨張する膨張手段と、
該膨張手段により膨張された領域と該2値化手段により2値化されたデータを論理積して該白地に隣接する画像境界部として検出する論理積手段
を含み、前記膨張手段は、前記入力多値画像データの入力解像度に対し、
150<(入力解像度(dpi)/膨張画素数)<400
の条件を満たす膨張画素数だけ前記白地候補領域を膨張することを特徴とする画像処理装置。 - 白地に隣接する画像境界領域に適用される濃度変換特性は、少なくとも中濃度レベル以上の入力多値画像データを、前記画像境界領域以外の領域に適用される濃度変換特性より高い値に変換する特性であることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
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