JP4039863B2 - スペーサおよび管の取扱方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、スペーサおよび管の取扱方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、耐震機能を有する管の継手構造の一つとして図6に示すような継手構造がある。
【0003】
図6に示すように、一方の管1の端部には受口2が形成されており、受口2の奥側には奥端面3が形成されている。この奥端面3よりも受口2の開口側にはロックリング収容溝4が形成されており、このロックリング収容溝4には、ロックリング芯出し用のゴム輪5を介して周方向に一つの分割部6aを有する環状のロックリング6が収容されている。
【0004】
ロックリング収容溝4よりもさらに開口側には開口側に向かって広がるテーパ面7が形成されている。また、受口2の端部の外周には径方向外側に向けてフランジ8が形成されており、このフランジ8には、周方向に一定間隔で複数の管軸方向の丸孔9が貫通状態で形成されている。
【0005】
一方、他方の管10の端部には挿口11が形成されており、この挿口11の先端部の外周には挿口突部12が形成されている。挿口突部12の先端側の外周にはテーパ面13が形成されている。なお、挿口11は、挿口突部12がロックリング6と奥端面3との間に位置するまで受口2内に挿入されており、挿口突部12の外径はロックリング6の内径よりも大きく形成されている。
【0006】
ロックリング6の位置よりも開口側における挿口11の外周には、周方向一つ割りのバックアップリング14とゴム製のシール材15とが配置されている。また、挿口11における受口2に入り込まない部分の外周には、フランジ8と同様の外径で、シール材15を押圧可能な環状の押輪16が配置されている。
【0007】
この押輪16には、フランジ8に形成された複数の丸孔9に対応する丸孔17が貫通状態で形成されている。フランジ8における丸孔9と押輪16における丸孔17にはT字型ボルト18が通されており、このT字型ボルト18にナット19がねじ合わされている。このT字型ボルト18とナット19との締め付け力により押輪16が管軸方向に押され、挿口11の外周に配置されているシール材15及びバックアップリング14を押圧し、受口2に形成されているテーパ面7にシール材15を押し当てる。これにより、この管継手におけるシール機能が付与されている。
【0008】
地震等によりこの管継手の管軸方向に圧縮力が作用した場合には、挿口突部12はロックリング6の位置から受口2の奥端面3まで移動することができる。また、引張力が作用した場合には、挿口突部12が受口2の奥側からロックリング6にかかり合い、受口2から挿口11が抜け出すことを確実に防止することができる。このようにして、管の継手部に耐震機能が付与されている。
【0009】
一方の管1と他方の管10とを接合し、上記のような管の継手部を構成する方法を図7〜図10を用いて説明する。
一般に、受口2を有する管は、図7に示すように、受口2におけるロックリング収容溝4にゴム輪5及びロックリング6が収容されている状態で配管施工現場に搬入される。したがって、管の接合作業においては、図8に示すように、ロックリング6における分割部6aに、はさみ形状のロックリング拡径具20の先端部を挿入し、ロックリング拡径具20の一方の柄部20aに形成されているねじ孔20bにねじ合わされている、例えばT字型ボルト21を回転させ、ロックリング拡径具20を開きながらゴム輪5を圧縮しつつロックリング6を徐々に拡径する。このとき、ロックリング6の内径が、挿口突部12の外径よりも大きくなるように拡径する。なお、管の継手部の構造によっては、ゴム輪5を必要としない場合があり、この場合にはゴム輪5をロックリング収容溝4に収容する必要はない。
【0010】
ロックリング6を所定の径まで拡径すると、ロックリング6をこの状態で維持するために、図9及び図10に示すような、スペーサ22が用いられる。
図9及び図10に示すように、スペーサ22は、薄板状で拡径状態のロックリング6(仮想線にて示す)の分割部6aに挿入可能で、かつロックリング6の周方向の端面6c、6cにかかり合い可能な挿入部22aと、この挿入部22aと連続する薄板状で受口2の内面に沿って配置されるとともにその内面形状に応じて湾曲しているアーム部22bと、このアーム部22bと連続する薄板状で受口2の端面に沿った径方向の接続部22dと、この接続部22dと連続し、受口2におけるフランジ8の外周にかかり合い可能な外周係合部22cとが一体に形成された構成とされている。なお、挿入部22aは、拡径状態のロックリング6の分割部6aに確実に挿入可能なようにアーム部22bに対して径方向外向きに傾斜している。
【0011】
このような構成のスペーサ22における挿入部22aを、拡径状態のロックリング6の分割部6aに、ロックリング拡径具20に干渉しないように挿入し、かつ外周係合部22cを受口2のフランジ8の外周にかかり合わせてスペーサ22を受口2に装着する。そして、ロックリング拡径具20をロックリング6の分割部6aから取り外す。なお、図10は既にロックリング拡径具20が取り外されている状態を示している。
【0012】
ロックリング拡径具20をロックリング6の分割部6aから外すと、バックアップリング14、シール材15及び押輪16が既に外周に配置されている挿口11を受口2内に挿入する。このとき、挿口突部12が、拡径されたロックリング6の内側をロックリング6に接触することなく通過することができるので、挿口突部12がロックリング6と受口2の奥端面3との間に位置するまで、挿口11を受口2内に容易に挿入することができる。
【0013】
挿口11の挿入が完了すると、受口2の開口側からスペーサ22を引き抜いて回収し、ロックリング6の拡径状態を解消する。その後、図示は省略するが、バックアップリング14、シール材15及び押輪16を挿口11の外周の所定の位置まで移動させ、フランジ8における丸孔9と押輪16における丸孔17とにT字型ボルト18を通し、このT字型ボルト18にナット19をねじ合わせて継手部をシールし、管の接合作業が終了する。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
従来の技術において説明した管の接合方法の場合は、一方の管1と他方の管10とを接合するまでに、配管施工現場において、ロックリング収容溝4に収容されているロックリング6をロックリング拡径具20により拡径する工程と、拡径されている状態のロックリング6の分割部6aにスペーサ22の挿入部22aを挿入し、かつ外周係合部22cをフランジ8の外周にかかり合わせてスペーサ22を受口2に装着する工程との二つの工程を行う必要がある。
【0015】
しかし、配管施工現場において上記二つの工程を行うにはある程度の時間がかかってしまうため、管の接合作業に取り掛かるまでに時間がかかり、作業全体として長時間化するという問題があった。
【0016】
さらに、図9に示すように、スペーサ22において、ロックリング6の周方向の端面6c、6cに直接かかり合ってロックリング6の拡径状態を維持する部分は薄板状の挿入部22aのみであるので、ロックリング拡径具20を取り外した後のロックリング6の拡径状態の安定度が必ずしも十分とはいえないという問題もあった。
【0017】
そこで本発明はこのような問題点を解決して、配管施工現場において、ロックリングの拡径状態を安定させ、挿口を受口内に容易かつ迅速に挿入することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために請求項1記載の発明は、一方の管における受口の内周に形成されているロックリング収容溝に収容されている環状で周方向に分割部を有するロックリングを拡径させ、前記ロックリングの内側に他方の管における挿口の外周に形成されている挿口突部を通過させて前記挿口を前記受口内に挿入することにより、前記一方の管と前記他方の管とを接合する際に前記ロックリングの拡径状態を維持するためのスペーサであって、前記ロックリング収容溝に収容された状態で拡径されているロックリングにおける分割部周辺の内周面にかかり合い可能な内面支持部と、前記内面支持部に形成され、前記拡径されているロックリングにおける周方向の両端面にかかり合い可能な縮径防止部と、前記受口の外周にかかり合い可能な外周係合部と、前記内面支持部と前記外周係合部とをつなげる接続部とを有し、かつ前記受口内に前記挿口が挿入された後に前記受口と前記挿口との隙間を通って前記受口の開口側から前記受口の外部へ回収可能に構成されているものである。
このような構成によれば、縮径防止部が拡径状態のロックリングにおける周方向の両端面にかかり合うことによって、ロックリングを拡径状態に維持できる。しかも、内面支持部が前記ロックリングにおける分割部周辺の内周面にかかり合うことにより、縮径防止部によって拡径状態に維持されているロックリングがスペーサに対して管径方向にずれることを防止し、ロックリングの拡径状態を安定させることができる。また、スペーサの外周係合部が受口の外周にかかり合っていることにより、スペーサ及びロックリングが受口に対して管径方向にずれることを防ぐことができるので、ロックリングの拡径状態を一層安定させることができる。さらに、内面支持部と外周係合部との管径方向の距離を所定の寸法にしておけば、管軸に対してロックリングを芯出しすることも可能である。
請求項2記載の発明は、請求項1記載のスペーサを用いた管の取扱方法であって、管の接合作業の事前作業として、ロックリング収容溝にロックリングを収容し、前記ロックリングにおける分割部に、請求項1記載のスペーサをはめ合わせ、前記ロックリングにおける前記分割部に前記スペーサがはめ合わされて前記ロックリングが拡径されている状態で一方の管を配管施工現場に搬入するものである。
【0019】
このような構成によれば、管の接合作業の事前作業として、ロックリング収容溝に収容されているロックリングを拡径させた状態で、このロックリングにおける分割部に、請求項1記載のスペーサをはめ合わせ、ロックリングにスペーサが装着されている状態で一方の管を配管施工現場に搬入することにより、配管施工現場における管の接合作業としては、ロックリングの拡径作業が不要となるために、受口内に挿口を挿入し、スペーサを回収するだけでよい。したがって、挿口を受口内に容易かつ迅速に挿入することができ、管の接合作業全体としての長時間化を防止することができる。
【0020】
請求項3記載の発明は、請求項1記載のスペーサを用いた管の取扱方法であって、配管施工現場に搬入されて他方の管との接合待ち状態の一方の管の受口におけるロックリング収容溝に、前記ロックリングを収容し、前記ロックリングにおける分割部に、請求項1記載のスペーサをはめ合わせたものである。
【0021】
このような構成によれば、配管施工現場において、接合待ち状態の管における受口に請求項1記載のスペーサを装着することにより、管の接合時には、挿口を受口に挿入し、挿口の挿入後にスペーサを受口から回収するだけでよい。したがって、管の接合作業全体に要する時間を大幅に短縮することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態の管の取扱方法を図1〜図3を参照しながら説明する。なお、実施の形態において、従来の管の継手構造において既に説明したものと同様のものには、図6において使用した符号と同一の符号を付すことで、その詳細な説明を省略する。
【0027】
図3に示すように、本発明の実施の形態において用いられるスペーサである芯出しスペーサ23は、薄板状に形成されて拡径状態のロックリング6(仮想線にて示す)における分割部6a周辺の内周面6bを支持可能な部分を有する内面支持部23bと、この内面支持部23bに一体に形成されてロックリング6における周方向の端面6c、6cにかかり合い可能な縮径防止部である突起部23a、23aと、受口2のフランジ8の外周にかかり合い可能な外周係合部23cとを有しており、内面支持部23bと外周係合部23cとが径方向の接続部23dを介して一体に形成されている。なお、突起部23aの接続部23d側には傾斜面23eが形成されている。
【0028】
このような構成の芯出しスペーサ23を用いる管の取扱方法として、まず従来の技術において説明した方法と同様に、受口2に収容されているロックリング6を、図8に示したようなロックリング拡径具20を用いて拡径する(拡径工程)。
【0029】
そして、図1及び図2に示すように、拡径されている状態のロックリング6における分割部6aに芯出しスペーサ23における突起部23a、23aをロックリング拡径具20(図示は省略)に干渉しないようにして挟み込ませ、それぞれの突起部23aとそれぞれの端面6cとを接触させてロックリング6を拡径状態に維持し、かつロックリング6の内周面6bに内面支持部23bをかかり合わせ、ロックリング拡径具20を取り外す。このとき、外周係合部23cを受口2のフランジ8の外周にかかり合わせ、芯出しスペーサ23を受口2に装着する(装着工程)。
【0030】
内面支持部23bがロックリング6における分割部6a周辺の内周面6bにかかり合うことによって、突起部6aによって拡径状態に維持されているロックリング6を芯出しスペーサ23に対して管径方向に支持し、ロックリング6の拡径状態を安定させることができる。また、芯出しスペーサ23の外周係合部23cが受口2のフランジ8の外周にかかり合っていることにより、芯出しスペーサ23及びロックリング6が受口2に対して管径方向にずれることを防ぐことができるので、ロックリング6の拡径状態を一層安定させることができる。
【0031】
このとき、図1に示すように、内面支持部23bと外周係合部23cとの管径方向の距離、すなわち芯出しスペーサ23における接続部23dの管径方向長さを所定の寸法Lにしておけば、拡径状態のロックリング6を管軸に対して芯出しすることも可能であり、管の接合作業をさらに効率良く進めることもできる。
【0032】
本発明の管の取扱方法として、このような、拡径工程、装着工程を、管の接合作業の事前作業として、例えば管の製造工場等であらかじめ行っておく。そして、ロックリング6を拡径している状態、すなわち芯出しスペーサ23が受口2に装着されている状態の管を出荷し、配管施工現場に搬入する。
【0033】
これにより、配管施工現場における管の接合作業としては受口2内に挿口11を挿入し、受口2内に挿口11が挿入された後に受口2と挿口11との隙間を通って受口2の開口側から受口2の外部へ芯出しスペーサ23を回収するだけでよい。しかも、突起部23aにおける接続部23d側には傾斜面23eが形成されているので、芯出しスペーサ23を受口2の開口側から引き抜いて回収する際に、突起部23aがロックリング収容溝4の縁に引っかかることを防止でき、芯出しスペーサ23の取り外しも容易である。
【0034】
したがって、本来、配管施工現場において行わなければならなかった、拡径工程、装着工程を省略することで、挿口11を受口2内に容易かつ迅速に挿入することができ、管の接合作業全体としての長時間化を防止することができる。
【0035】
また、図1〜図3に示した芯出しスペーサ23のかわりに、図4及び図5に示す芯出しスペーサ24を用いることも可能である。
図4及び図5(a)に示すように、芯出しスペーサ24は、拡径状態のロックリング6における分割部6aに入り込み可能な挿入部である端面係止部24aと、この端面係止部24aから周方向へ突き出して形成されている突部24bと、受口2のフランジの外周にかかり合い可能な外周係合部24cとを有しており、端面係止部24aと外周係合部24cとが径方向の接続部24dを介して一体に形成された構成とされている。
【0036】
端面係止部24aの周方向の端面24e、24eの先端側は、端面係止部24aがロックリング6の分割部6aに挿入されたときに、このロックリング6の周方向の端面6c、6cに接触可能である。また、突部24bは、端面係止部24aの周方向の端面24e、24eにおけるロックリング6の周方向の端面6c、6cと接触する部分から周方向に突き出して形成されている。なお、この場合のロックリング6の周方向の端部である端面6c、6cには溝部6dが管軸方向に沿って貫通状態で形成されており、突部24bは、この溝部6dに入り込み可能である。
【0037】
このような構成の芯出しスペーサ24を用いる場合には、図4及び図5(a)に示すように、芯出しスペーサ24における端面係止部24aを拡径状態のロックリング6における分割部6aに挿入し、ロックリング6の周方向の端面6c、6cに形成されている溝部6dに、端面係止部24aに形成されている突部24bをはめ込んだうえで、ロックリング6の周方向の端面6c、6cに端面係止部24aの端面24e、24eを接触させてロックリング6を拡径状態に維持する。これと同時に、芯出しスペーサ24における外周係合部24cを受口におけるフランジ(図示は省略)の外周にかかり合わせ、受口2に芯出しスペーサ24を装着する。芯出しスペーサ24を受口2に装着すると、後は芯出しスペーサ23のときと同様にして管を取り扱う。
【0038】
上述のように、突部24bがロックリング6の周方向の端面6c、6cに軸方向に沿って貫通状態で形成されている溝部6dにはまり込むことにより、端面係止部24aによって拡径状態に維持されているロックリング6が芯出しスペーサ24に対して管径方向にずれることを防止し、ロックリング6の拡径状態を確実に安定させることができる。
【0039】
また、ロックリング6における溝部6dが貫通状態で形成されていることにより、芯出しスペーサ24を受口2から引き抜いて回収する際に、突部24bが溝部6dから抜け出すことができるので、芯出しスペーサ24を受口2から容易に回収することができる。さらに、芯出しスペーサ24の場合においても芯出しスペーサ23の場合と同様に、端面係止部24aと外周係合部24cとの管径方向の距離を所定の寸法にしておけば、管軸に対してロックリングを芯出しすることも可能である。
【0040】
さらに、芯出しスペーサ23または芯出しスペーサ24を、生分解性樹脂を用いて製造することにより、芯出しスペーサ23または芯出しスペーサ24を配管施工現場において土に埋めたりなどして土中で分解させて処理することができる。したがって、芯出しスペーサ23または芯出しスペーサ24を廃棄物として処理したり、回収したりする必要を無くすことができる。
【0041】
なお、図4及び図5(a)においては突部24bが、端面係止部24aの周方向の端面24e、24eから周方向へ突き出して形成されている場合、すなわち突部24bの肉厚が、端面係止部24aの肉厚よりも薄く形成されている場合を示しているが、図5(b)に示すように、突部24bを先細り状に、かつその基端部の肉厚が端面係止部24aの肉厚と同じになるように形成し、この突部24bを、この突部24bの形状に対応した形状の溝部6dにはめ込むことで、ロックリング6を拡径状態に維持させ、かつロックリング6及び芯出しスペーサ24が受口2に対して管径方向にずれることを防止することも可能である。
【0042】
さらに、図5(c)に示すように、ロックリング6における分割部6aの周辺の肉厚よりも端面係止部24aの肉厚の方が薄い芯出しスペーサ24を用いる場合には、突部24bの肉厚を端面係止部24aの肉厚と等しくし、この突部24bを溝部6dにはめ込むことで、図5(a)及び図5(b)に示した場合と同様の効果を得ることもできる。
【0043】
なお、上記の実施の形態の管の取扱方法として、拡径工程及び装着工程を、管の接合作業の事前作業として、例えば管の製造工場等であらかじめ行い、芯出しスペーサ23が受口2に装着されている状態の管を出荷して、配管施工現場に搬入する場合を示した。しかし、これに限るものではなく、芯出しスペーサ23が装着されていない状態の受口2を配管施工現場に搬入し、この現場において、管の接合作業に取り掛かるまでの待ち時間の間、例えば管を布設する位置まで土を掘削する場合であればこの掘削作業に要する時間の間に、現場に搬入された管における受口2に、上述した実施の形態と同様の方法で、芯出しスペーサ23を装着し、管の接合作業の事前作業とすることもできる。また、例えば土の掘削が完了して管路の布設が開始された後における、接合作業がまだ行われていない管、すなわち両端とも他の管と接合されていない接合待ち状態の管における受口2に芯出しスペーサ23を装着することもできる。このようにしておくことで、管の接合時には、挿口11を受口2に挿入し、挿口11の挿入後に芯出しスペーサ23を受口2から回収するだけでよい。したがって、配管施工現場に搬入される受口2に芯出しスペーサ23が装着されていない場合であっても、接合待ち状態の管における受口2に芯出しスペーサ23を装着することにより、管の接合作業全体に要する時間を、上述したような、芯出しスペーサ23を装着した状態の受口2を配管施工現場に搬入する場合と同様に、大幅に短縮することができる。
【0044】
【発明の効果】
以上のように本発明によると、管の接合作業の事前作業として、ロックリング収容溝に収容されているロックリングを拡径させた状態で、このロックリングにおける分割部に、ロックリングを拡径状態に維持させかつ受口内に挿口を挿入後に受口と挿口との隙間を通って受口の開口側から受口の外部へ回収可能なスペーサをはめ合わせ、ロックリングにスペーサが装着されている状態で一方の管を配管施工現場に搬入することにより、配管施工現場における管の接合作業としては、ロックリングの拡径作業が不要となるために、受口内に挿口を挿入し、スペーサを回収するだけでよい。したがって、挿口を受口内に容易かつ迅速に挿入することができ、管の接合作業全体としての長時間化を防止することができる。
【0045】
また、配管施工現場において、接合待ち状態の管における受口にスペーサを装着することにより、管の接合時には、挿口を受口に挿入し、挿口の挿入後にスペーサを受口から回収するだけでよい。したがって、管の接合作業全体に要する時間を大幅に短縮することができる。
【0046】
また、縮径防止部が拡径状態のロックリングにおける周方向の両端面にかかり合うことによって、ロックリングを拡径状態に維持できる。しかも、内面支持部が前記ロックリングにおける分割部周辺の内周面にかかり合うことにより、縮径防止部によって拡径状態に維持されているロックリングがスペーサに対して管径方向にずれることを防止し、ロックリングの拡径状態を安定させることができる。また、スペーサの外周係合部が受口の外周にかかり合っていることにより、スペーサ及びロックリングが受口に対して管径方向にずれることを防ぐことができるので、ロックリングの拡径状態を一層安定させることができる。さらに、内面支持部と外周係合部との管径方向の距離を所定の寸法にしておけば、管軸に対してロックリングを芯出しすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の管の取扱方法の実施の形態を示す管軸方向の断面図である。
【図2】図1におけるA−A断面図である。
【図3】本発明の実施の形態の芯出しスペーサとロックリングとの位置関係を示す斜視図である。
【図4】図1〜図3に示した構造とは異なる芯出しスペーサとロックリングとの位置関係を示す斜視図である。
【図5】(a)は、図4に示すスペーサによりロックリングを拡径状態に保持している様子を示す管径方向の断面図であり、(b)は、図5(a)とは異なる形状のスペーサを用いた場合、(c)は、図5(a)及び図5(b)とは異なる形状のスペーサを用いた場合を示す管径方向の断面図である。
【図6】従来の技術における耐震機能を有する継手構造の一例を示す管軸方向の断面図である。
【図7】図6の受口におけるロックリング収容溝にゴム輪とロックリングが収容されている様子を示す管軸方向の断面図である。
【図8】ロックリング拡径具を用いて図7のロックリングを拡径している様子を示す管径方向の断面図である。
【図9】従来の技術における、スペーサとロックリングとの位置関係を示す斜視図である。
【図10】従来の技術における管の接合方法を示す管軸方向の断面図である。
【符号の説明】
1 一方の管
2 受口
4 ロックリング収容溝
6 ロックリング
6a 分割部
10 他方の管
11 挿口
12 挿口突部
23 芯出しスペーサ
Claims (3)
- 一方の管における受口の内周に形成されているロックリング収容溝に収容されている環状で周方向に分割部を有するロックリングを拡径させ、前記ロックリングの内側に他方の管における挿口の外周に形成されている挿口突部を通過させて前記挿口を前記受口内に挿入することにより、前記一方の管と前記他方の管とを接合する際に前記ロックリングの拡径状態を維持するためのスペーサであって、前記ロックリング収容溝に収容された状態で拡径されているロックリングにおける分割部周辺の内周面にかかり合い可能な内面支持部と、前記内面支持部に形成され、前記拡径されているロックリングにおける周方向の両端面にかかり合い可能な縮径防止部と、前記受口の外周にかかり合い可能な外周係合部と、前記内面支持部と前記外周係合部とをつなげる接続部とを有し、かつ前記受口内に前記挿口が挿入された後に前記受口と前記挿口との隙間を通って前記受口の開口側から前記受口の外部へ回収可能に構成されていることを特徴とするスペーサ。
- 請求項1記載のスペーサを用いた管の取扱方法であって、管の接合作業の事前作業として、ロックリング収容溝にロックリングを収容し、前記ロックリングにおける分割部に、請求項1記載のスペーサをはめ合わせ、前記ロックリングにおける前記分割部に前記スペーサがはめ合わされて前記ロックリングが拡径されている状態で一方の管を配管施工現場に搬入することを特徴とする管の取扱方法。
- 請求項1記載のスペーサを用いた管の取扱方法であって、配管施工現場に搬入されて他方の管との接合待ち状態の一方の管の受口におけるロックリング収容溝に、前記ロックリングを収容し、前記ロックリングにおける分割部に、請求項1記載のスペーサをはめ合わせたことを特徴とする管の取扱方法。
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