JP4035009B2 - ヨウ素含有物品の簡易製造方法、耐水性を有するヨウ素ガス徐放具およびそれらを用いた消毒システム。 - Google Patents

ヨウ素含有物品の簡易製造方法、耐水性を有するヨウ素ガス徐放具およびそれらを用いた消毒システム。 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ヨウ素を吸着したヨウ素徐放性高分子化合物をヨウ素ガス発生源とするヨウ素含有物品の簡易製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から繊維シート状物にヨウ素を吸着させ、殺菌効果を発現せしめる試みがなされている。例えば特開平1−124688号公報には、ヨード錯体付加物を含有した殺菌性布地が開示され、かかる布地としてナイロン、アクリル等の繊維が記載されている。また特開平11−50376号公報にはヨウ素化合物を担持したビニロン不織布が開示されている。これらは何れもヨウ素化合物溶液に繊維シート状物を浸漬または塗布して、繊維にヨウ素を吸着せしめている。しかしながらヨウ素溶液を用いて繊維シート状物を処理するのは操作が煩雑な上ヨウ素を含む廃液の処理が必要となる問題がある。
【0003】
一方、病院等においては微生物による感染を防止するため手指や器物の消毒が極めて重要となっているが、普通用いられるビグアニド系殺菌剤、4級アンモニウム塩系殺菌剤、ポリビニルピロリドンとヨウ素の錯体、アルコール等は手荒れの問題、抗菌スペクトルの問題や使い勝手の問題等があり、すべての面で満足とは言えないため、さらに優れた消毒剤あるいは消毒システムの開発が望まれている。
【0004】
また病院手術室等で用いられる手洗い用の無菌水の蛇口を微生物逆汚染から守るため,蛇口内にヨウ素を吸着したプラスチックビーズを挿入し、ビーズから溶出するヨウ素を利用する方法が行われている。この方法は蛇口内に滞留する水を消毒することにより蛇口からの汚染を防止することを目的とするが、装置使用中は流出する水のために微生物汚染の心配はないので、その間水中にヨウ素が放出される必要がない。したがって使用中のヨウ素の放出を制限することはビーズの使用期間を長くもたせることになる。しかし従来法においてはビーズが直接水に接触するため装置使用時は加温された水によりヨウ素が無駄に消費される欠点があった。
【0005】
また従来、病院等において、器物を消毒するためには紫外線やホルムアルデヒドガスなどがよく用いられるが、高価な装置を必要としたり、人体に危険があったりして問題があった。
【0006】
さらに、病室内や床等の消毒についても充分に簡便で確実な方法があるとは言えず、また器物を液剤に浸漬する消毒において、コンタクトレンズのように一般ユーザーが実施する消毒は安全、確実さと簡便さが要求されるが、未だ理想的なものは出現していない状況である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述のごとき事情を背景としてなされたもので、本発明の目的は消毒用として病院や家庭で簡単に且つ安全に製造出来るヨウ素含有物品、特にヨウ素を含有する繊維シート状物の製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記目的を達成するため種々検討した結果、ヨウ素を吸着した高分子化合物をヨウ素ガス発生源として利用することにより、前記目的を達成することに成功し本発明に到達した。
【0009】
すなわち本発明はヨウ素を吸着した高分子化合物ををヨウ素ガス発生源として物品にヨウ素を吸着せしめることを特徴とするヨウ素含有物品の製造方法をその要旨とする。ヨウ素を吸着した高分子化合物として、ABS樹脂、AS樹脂、エチレン・ビニルアルコール共重合体、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ホルマール化ポリビニルアルコール等からなる群から選ばれたビーズ、粉末、線維、フィルム、織物、不織布あるいはゲルなどが用いられる。
【0010】
そして前記ヨウ素を吸着した高分子化合物からヨウ素ガスを吸着せしめる物品としてポリアミドエピクロルヒドリン系樹脂またはポリアミン・ポリアミドエピクロルヒドリン系樹脂を含む繊維シート状物が好ましく用いられ、該ヨウ素含有繊維シート状物は水で濡らして用いることにより有力な消毒方法を提供することが出来る。
【0015】
なお。特開平9-67217号、特開平9-122655号、特開平10-165960号には、プラスチックにヨウ素を吸着せしめ、これと水を接触させることにより、水中にヨウ素を徐放する抗菌性組成物が開示されているが、本発明はプラスチックにヨウ素を吸着せしめ、これを水と接触させることなく、ヨウ素ガス徐放剤として用いる新規な方法を開発したものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明において、ヨウ素ガス発生源として用いるヨウ素を吸着した高分子化合物としては、ヨウ素吸着性を有する高分子化合物にヨウ素を吸着せしめたものを用いる。ヨウ素吸着性を有するプラスチックとしては、ABS樹脂、AS樹脂、エチレン・ビニルアルコール共重合体(EVOH)、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリアミド、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリル・塩化ビニル共重合樹脂、ポリウレタン樹脂、酢酸セルロース樹脂、ポリビニルアルコール、ホルマール化ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリエチレンオキサイド樹脂、デンプン、ポリビニルピロリドン共重合体(例えばビニルピロリドン・メタクリル酸メチル共重合体)等が用いられる。またヨウ素吸着性の乏しい樹脂であっても、上記のヨウ素吸着性樹脂を混合して成形することにより使用可能となる。
【0017】
上記プラスチックの中で特に望ましいのは、ヨウ素吸着性に優れている点でABS樹脂、AS樹脂、エチレン・ビニルアルコール共重合体(EVOH)である。一般にABS樹脂として市販されているものは、アクリロニトリル成分が20〜30重量%、スチレン成分が40〜70重量%、ブタジエン成分が10〜30重量%程度であるが、本発明においては何れも使用可能である。EVOH系樹脂としては、その共重合体中のエチレンの含有量が20〜50モル%のものを用いるのが好ましい。市販品としては日本合成化学工業(株)製のソアノール各種と(株)クラレ製のエバール各種の中でいずれの品種も使用することが出来る。
【0018】
ヨウ素を吸着した高分子化合物の形態としてはビーズ、粉末、繊維、織物又は不織布、フィルムまたはゲル等種々の形態で使用出来る。また射出成形、押し出し成形、圧縮成型等の熱成形による成形品も使用可能である。好ましい形態は使用方法、用途などによって異なるが、ヨウ素吸着工程の容易さの点ではビーズ状または粉末状が好ましい。ビーズ状の形態としてはプラスチック材料の射出成形用ペレットが、市販品をそのまま利用出来るので有利である。射出成形用ペレットを粉砕して細かくしたものを用いることもできる。
【0019】
ヨウ素吸着性高分子化合物材料(以下高分子材料と略記する)からヨウ素を吸着した高分子化合物を得るには高分子材料にヨウ素を吸着せしめる必要がある。ヨウ素の吸着には高分子材料をヨウ素溶液に浸漬する液相法でもよいが、気相法で行う方が操作性がよく、吸着量を高くすることが容易であり、また廃液が出ることもないので有利である。高分子材料へのヨウ素の吸着方法については、特開平10−165960号等に詳細に記述されている。すなわちヨウ素の気相吸着は、高分子材料と固体ヨウ素を密閉容器に入れ、50℃〜110℃に加熱することにより行われる。加熱は固体ヨウ素が全て高分子材料に吸着される迄行うがその時間は高分子材料の種類、形態及び吸着させるヨウ素量により異なる。
【0020】
上記高分子材料に対するヨウ素の吸着量は5〜200重量%が好ましい。粉末のように表面積の大きい材料ではヨウ素吸着量は比較的少なくてよく、表面積の小さい材料の場合は比較的多量を要する。望ましい吸着量はビーズ状の形態の場合10〜200重量%、特に好ましくは30〜150重量%(対プラスチック重量)である。粉末の場合はヨウ素吸着量は10〜100重量%(対プラスチック重量)程度が適当である。
【0021】
例えばABS樹脂成形用ペレットに対して100重量%のヨウ素を吸着せしめる場合、密閉容器中で樹脂ペレットと等量の固体ヨウ素と混合し、50〜100℃で1〜10時間加熱することによりヨウ素を完全に吸着させることが出来る。
【0022】
ヨウ素を高分子材料に吸着せしめて後、吸着時の温度より高い温度で熱処理を行うとヨウ素は高分子材料のより内部まで侵入する。この場合ヨウ素を吸着した高分子化合物からのヨウ素徐放速度は減少するが、より長時間ヨウ素を徐放することができる。ヨウ素の徐放速度はヨウ素吸着量及び熱処理条件によって、調節することが出来る。高分子材料が微粉末の場合は、熱処理を行わなくても、ヨウ素は内部まで侵入するが、ヨウ素の放出が速いので徐放の時間は短い方向となる。
【0023】
ヨウ素を吸着した高分子化合物としては、上記のように高分子材料にヨウ素を吸着させたものの他、ヨウ素溶液を含浸した親水性高分子化合物のゲルなどを用いることも出来る。
【0024】
本発明においては、上記のヨウ素を吸着した高分子化合物をヨウ素ガス発生源として、ヨウ素吸着性物品にヨウ素を吸着せしめることにより、ヨウ素含有物品を簡単に製造することが出来る。ここでヨウ素吸着性物品とは、ヨウ素を吸着する能力を有する物品を意味する。
【0025】
ヨウ素吸着性物品としては、セルロース、ポリアクリロニトリル系ポリマー、ポリアミド、ポリエステル、エチレン・ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール、部分ホルマール化ポリビニルアルコール等の高分子化合物が用いられるが、ポリオレフィン系樹脂、フッ素系樹脂等はヨウ素吸着性に乏しい。ガラス、陶器等は吸着性を有しない。
【0026】
ヨウ素を吸着した高分子化合物をヨウ素ガス発生源として、ヨウ素吸着性物品にヨウ素を吸着せしめることにより、ヨウ素含有物品を製造する方法の具体例の一つとしては、パッキンを備えた着脱自在の蓋を有する密閉容器中に上記ヨウ素を吸着した高分子化合物とヨウ素吸着性物品を入れて放置しておくだけで、ヨウ素吸着性物品はヨウ素を吸着した高分子化合物から徐放されるヨウ素ガスを吸着してヨウ素含有物品が自動的に製造される。
【0027】
上記ヨウ素含有物品の製造は室温でもよいし、加温してもよい。加温するとヨウ素ガス発生量が増加し短時間でヨウ素吸着性物品にヨウ素を吸着せしめることが出来る。加温する場合の温度としては30〜60℃程度が好ましい。ヨウ素吸着性物品にヨウ素ガス徐放剤からヨウ素を吸着せしめる時間は、ヨウ素吸着性物品の形態やヨウ素徐放剤のヨウ素徐放量等により異なるが、通常は室温で1時間から1月である。40〜50℃に加温した場合は時間を数分の1に短縮出来る。
【0028】
上記のヨウ素を吸着した高分子化合物がビーズまたは粉末状の場合は、ポリオレフィン系繊維等の不織布を用いテイーバッグのような袋に入れるなど、耐ヨウ素性を有する材料で被覆して用いることが出来る。
【0029】
本発明のヨウ素含有物品の製造方法によれば、ヨウ素発生源としてヨウ素を吸着した高分子化合物を用い、これとヨウ素吸着性物品を共存せしめることにより、気相でヨウ素含有物品が得られるので、従来の方法と比べ格段に簡単にヨウ素含有物品を製造することが出来る。即ち本発明で用いるヨウ素を吸着させた高分子化合物は、固体ヨウ素のように激しくヨウ素ガスを発生させることがなく、穏やかにヨウ素を徐放するので、扱い易く、開放された普通の部屋で扱うことが出来る。また前記のように、製造条件により、ヨウ素の徐放量を調節することも容易である。また水を用いる必要がないので廃液が出ることもなく、排気の心配もない。このため本発明の方法によれば、病室や家庭内においても簡単に且つ安全に消毒用のヨウ素吸着物品を調製出来る。
【0030】
本発明のヨウ素含有物品の製造法により製造したヨウ素含有物品は、抗菌性物品或いは材料として使用することが出来る。また消毒用途に有用である。
【0031】
本発明の方法によって製造されるヨウ素含有物品の中で、特に有用な形態として繊維シート状物がある。繊維シート状物としては紙、不織布、織物、編み物何れでもよい。ヨウ素含有繊維シート状物を製造するためには、シート状物を構成する繊維がヨウ素を吸着する能力を有すればよい。セルロース系繊維(木綿、再生セルロース繊維、アセテート繊維)、ポリアミド、ポリエステル、アクリル繊維は何れもヨウ素吸着能を有する。ヨウ素含有繊維シート状物の製造には、例えば着脱自在の蓋を有する密閉容器中に上記ヨウ素を吸着した高分子化合物を収納し、容器中にヨウ素吸着性繊維シート状物を入れる。繊維シート状物が以下に述べるような条件により、十分なヨウ素を吸着したら容器から取り出し、ヨウ素含有繊維シート状物として使用することが出来る。この場合ヨウ素を吸着した高分子化合物の量およびヨウ素ガス徐放速度などによって必要な吸着時間を調節する必要がある。
【0032】
消毒を目的とする繊維シート状物としては親水性のセルロース系繊維を使用するのが好ましい。このため木綿ガーゼ、再生セルロース系不織布等を用いることが出来るが、これらはヨウ素吸着能が比較的低いため、吸着に長時間を要する。一方セルロース系繊維シート状物をポリアミン・ポリアミド系又はポリアミドエピクロルヒドリン系樹脂で処理するとヨウ素吸着能が高まり短時間で大量のヨウ素を吸着することが可能となる。繊維シート状物を上記樹脂の水溶液に浸漬して圧搾した後、100〜110℃で乾燥することによりセルロースの水酸基と架橋して、シートの耐水性が高まると同時にヨウ素吸着能の高い繊維シート状物が得られる。これらのエピクロルヒドリン系樹脂は一般に紙の湿潤紙力増強剤として用いられており、例えばハリマ化成(株)より「ハーマイドPY−410」及び「ハーマイドPY−430」として市販されている。
【0033】
現在市販されているティッシュペーパー、紙製ワイパー類には通常上記湿潤紙力増強剤が使用されている。このため市販のテイッシュペーパー、ワイパー類はヨウ素含有繊維シート状物の材料として有利に使用出来る。特に(株)クレシアから市販されているJKワイパー、ケイドライ、キムワイプはヨウ素吸着性が優れているので好ましい。市販テイッシュペーパーも使用可能であるがややヨウ素吸着性が低い。その中で例えばカミ商事(株)のエルモアは比較的ヨウ素吸着性に優れているので使用可能である。
【0034】
ヨウ素吸着性の高い繊維シート状物を用いた場合は、通常ヨウ素吸着所要時間は室温で2、3時間から30時間である。木綿ガーゼ、純粋な再生セルロース不織布のようなセルロース繊維単独の場合は30時間以上を要する。温度を高めた場合は吸着所要時間は大幅に短縮される。繊維シート状物に対するヨウ素の吸着量は通常0.01重量%〜2.5重量%程度である。消毒用繊維シート状物としては0.5重量%以下でも十分な効果を発揮することができる。
【0035】
ヨウ素含有繊維シート状物は種々の用途に使用することが出来るが、特に手指や器物等の消毒に有用である。ヨウ素含有繊維シート状物を消毒目的で使用するには、ヨウ素含有繊維シート状物を水道水等の水で濡らして手指、器物等を拭くことにより目的を達することが出来る。またヨウ素含有繊維シート状物を水に浸漬するとヨウ素が水中に溶出するので、消毒用のヨウ素水を簡単に製造することも出来る。このような消毒方法は病院、診療所、食品工業、食品調理所、介護施設、家庭介護等広い分野で使用出来る。
【0061】
【実施例】
以下本発明をより具体的に明らかにするために、幾つかの実施例を示す。
【0062】
実験例1
ダイヤペットABS(品種PS−505)の成形用ペレット(三菱レイヨン(株)製)200g及びヨウ素フレーク(日本天然ガス(株)製)260gをポリプロピレン製のボトルに入れ、密封して65℃で5時間オーブン中で時々振とうしながら加熱してヨウ素を完全に吸着せしめた。次いで80℃で12時間加熱した後、105℃で24時間熱処理した。ペレットの重量増加からペレットにはABS重量にたいして130重量%のヨウ素が吸着したことがわかった。このペレットをテイーバッグ用の袋に12gずつ詰め、ヒートシールした。
【0063】
実施例1
実験例1で得られたヨウ素を吸着したABS樹脂ペレットの袋6個を18×12×6cmのプラスチック製の角形容器に収め、JKワイパー((株)クレア)20枚を入れてパッキン付の蓋をしクリップで密封した。室温で24時間放置した後にJPワイパーを取り出し、その1枚を水200mlに浸漬すると濃度18ppmのヨウ素水が得られ、消毒用途として十分ななヨウ素を吸着していることがわかった。またこの操作を30回繰り返した後もJPワイパーに吸着するヨウ素量はほとんど変化がなく、多数回使用出来ることが確認された。
【0064】
実施例2および比較例1
本発明の方法で製造されたヨウ素含有物品の手指消毒効果を調べた。先ず消毒前の手のひらの菌を調べるため、直径35mm、深さ10mmの使い捨てシャーレにトリプトソイ寒天培地(パールコア“栄研”lot13102)を入れ、被験者4名の手のひらに押しつけた。次に比較例1としてJPワイパー1枚を滅菌イオン交換水で濡らし、絞った後10秒間被験者4名の手の平を拭いた後上と同様にして培地を手の平に押しつけた。次に実施例2として、実施例1でヨウ素を吸着せしめたJPワイパー1枚を滅菌イオン交換水で濡らし、絞った後10秒間被験者4名の手の平を拭き、上と同様にして培地を手の平に押しつけた。各培地を33℃で48時間培養した後、菌の生育状態を観察した。ワイパーで拭く前の手の平及びヨウ素未吸着のワイパーで拭いた手の平については、何れの被験者についても多数の菌のコロニーが認められたが、ヨウ素を吸着したワイパーで拭いた手の平については何れの被験者についても菌は殆ど消失していた。これにより、本発明のヨウ素含有物品の優れた消毒効果が確認された。
【0065】
実施例3および比較例2
本発明の方法で製造されたヨウ素含有物品を用いた器物の消毒効果を調べた。表面の粗いテーブル等のモデルとして、プラスチックシャーレの内面3.5cm四方に0.5cm間隔で碁盤の目状にカッターでキズを付けた。黄色ブドウ球菌(S.aureus ATCC6538)5.0×10cfu/mlの菌液を調製し、その100μlを上記シャーレに添加し、全体に拡げた。比較例2としてJPワイパー1枚を滅菌イオン交換水で濡らし、絞った後10秒間シャーレの内面を拭き、次いで不活化剤含有希釈液(DPBST液)2mlを添加してシャーレごとボルテックスにかけ、この液を回収して適宜希釈し、不活化剤含有ソイビーンカゼイン培地(SCDLP培地)を用いて33℃で48時間培養し、生菌数を求めたところ、生菌数は1.1×10であった。また実施例3として、実施例1でヨウ素を吸着せしめたJPワイパー1枚を滅菌イオン交換水で濡らし、絞った後比較例2と同様にして10秒間シャーレの内面を拭き、比較例2と同様に処理して生菌数を測定したところ、生菌数は0であった。次に大腸菌(E.coli ATCC8739)5.2×10cfu/mlの菌液を調製し、上と同様の試験を行ったところ、ヨウ素を吸着していないワイパーについては、6.0×10cfu/mlの生菌が検出された。一方実施例2でヨウ素を吸着せしめたワイパーについては、生菌数0であった。これにより本発明のヨウ素含有物品が器物の消毒に有効であることが確認された。
【0077】
【発明の効果】
本発明に従えば、ヨウ素ガス徐放剤をヨウ素ガス発生源とすることにより、実施例1に示したように安全にヨウ素含有繊維シート状物等のヨウ素含有物品が調製出来る。その調製は極めて簡単で且つ安価である。またヨウ素ガス発生源のヨウ素ガス徐放剤は繰り返し何回でも使用可能である。
【0078】
得られた繊維シート状物は水道水等に浸すだけで強力な消毒用シートとなり、実施例2および3に示したように手指の消毒、器物の消毒等に使用出来る。これは従来の方法と比べて簡単で且つ効果的である。本発明の消毒システムはヨウ素ガス徐放剤の周辺の消毒やガーゼ、布巾等の消毒にも使用可能である。

Claims (6)

  1. 10〜200重量%のヨウ素を吸着したヨウ素徐放性高分子化合物から徐放されるヨウ素を、
    セルロース系繊維、ポリアミド系繊維、ポリエステル系繊維、アクリル系繊維からなる群より選択された一種以上の繊維シート状物に接触させることにより
    ヨウ素を吸着せしめることを特徴とするヨウ素吸着繊維シートの製造方法。
  2. 前記ヨウ素徐放性高分子化合物が、ヨウ素を吸着したABS樹脂、AS樹脂、エチレン・ビニルアルコール共重合体、ポリアミド、ポリアクリロニトリル、ポリアクリロニトリル・塩化ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、ホルマール化ポリビニルアルコールからなる群から選ばれた高分子化合物である請求項1記載のヨウ素吸着繊維シートの製造方法。
  3. 前記ヨウ素徐放性高分子化合物が、ビーズ、粉末、繊維、フィルム、織物、不織布またはゲルの形態である、請求項1または2記載のヨウ素吸着繊維シートの製造方法。
  4. 開閉可能な蓋体を有する密閉容器中に前記ヨウ素徐放性高分子化合物を配し、該密閉容器中にセルロース系繊維、ポリアミド系繊維、ポリエステル系繊維、アクリル系繊維からなる群より選択された一種以上の繊維シート状物を共存せしめる請求項1乃至3のいずれかに記載のヨウ素吸着繊維シートの製造方法。
  5. 前記繊維シート状物が、ポリアミドエピクロルヒドリン系樹脂またはポリアミン・ポリアミドエピクロルヒドリン系樹脂で処理されている、請求項1乃至4のいずれかに記載のヨウ素吸着繊維シートの製造方法。
  6. 前記繊維シート状物が、ポリアミドエピクロルヒドリン系樹脂またはポリアミン・ポリアミドエピクロルヒドリン系樹脂を紙力増強剤として用いた紙または不織布である請求項5記載のヨウ素吸着繊維シートの製造方法。
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