JP4033050B2 - ロボットハンドの把持制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、任意形状の物体を把持する複数本の指を有するロボットハンドの把持制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ロボットにより物体を把持する従来技術としては、例えば特許文献1に記載されているものが知られている。この文献に記載のロボット制御装置は、ロボットをマニュアル動作させ、ロボット先端位置を記憶させることにより、移動経路上の代表的な位置・姿勢を表す参照点と運転時のロボット先端の動作位置の参照点に対する相対位置とを教示し、参照点の列で運転時のロボット先端の動作位置経路を指定し、その動作位置経路に従ってワークを把持するものである。
【0003】
【特許文献1】
特開平2−59285号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来技術においては、把持すべき物体(ワーク)の種類が変わるたびに、どのような動作位置経路が適当かを教示によって決める必要がある。このため、ワークの種類が多いと、教示作業に手間がかかり、効率が悪くなる。また、任意形状のワークに対応するのは困難である。
【0005】
本発明の目的は、任意形状の物体を確実に且つ効率良く把持することができるロボットハンドの把持制御装置を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、任意形状の物体を把持する曲面状の指先部を有する複数本の指と、前記各指の関節を駆動させる複数のアクチュエータとを備えたロボットハンドの把持制御装置であって、物体上における各指の指先部と接する目標接触点を画像認識によって決定し、目標接触点における法線ベクトルを求める接触位置設定手段と、各指について、指先部の表面を要素分割して複数の点を生成し、複数の点のうち任意の一点の周囲に位置する少なくとも3つの点で決められる平面の法線ベクトルを当該一点における法線ベクトルと近似することにより、各点における法線ベクトルをそれぞれ求め、目標接触点と指先部上の点との間の距離がゼロになると共に目標接触点における法線ベクトルと指先部上の点における法線ベクトルとが実質的に一致するような関節の目標角度を求める把持姿勢演算手段と、各指について、関節の目標角度に応じてアクチュエータを制御する駆動制御手段とを備えることを特徴とするものである。
【0007】
ロボットハンドの各指で物体を把持する際、各指の指先部が曲面状を有している場合には、指先部上のどの部分が対象物に接触するかは事前には分からないので、従来一般の逆運動解析法は効かない。しかし、曲面状の指先部であっても、物体上の目標接触点と指先部上の任意点との間の距離がゼロになると共に、物体上の目標接触点における法線ベクトルと指先部上の任意点における法線ベクトルとがほぼ一致していれば、物体の把持が可能な状態となる。本発明は、そのような点に着目して為されたものである。即ち、上記の接触位置設定手段、把持姿勢演算手段及び駆動制御手段を設けることにより、各指で物体を把持する時の関節の目標角度が求められ、この関節の目標角度に応じてアクチュエータが制御され、その結果として物体が各指に把持される。この場合には、ロボットハンドの動作に関する教示作業を一切行わなくて済む。従って、任意形状の物体を確実に且つ効率良く把持することが可能となる。
【0008】
好ましくは、把持姿勢演算手段は、任意の一点から最も近い4つの点で決められる平面の法線ベクトルを当該一点における法線ベクトルと近似することにより、各点における法線ベクトルをそれぞれ求め。この場合には、指先部上の多点における法線ベクトルを、簡単かつ高精度に求めることができる。
【0009】
また、好ましくは、把持姿勢演算手段は、目標接触点と指先部上の点との間の距離がゼロになると共に目標接触点における法線ベクトルと指先部上の点における法線ベクトルとが実質的に一致するように最適化するための下記の目標関数f(i)を設定し、指の関節角度を変数として目標関数f(i)に与えると共に指先部上の各点の座標及び当該各点における法線ベクトルを代入して目標関数f(i)を計算し、目標関数f(i)の最小値を求めることにより、前記関節の目標角度を求める。
f(i)=d i ( θ 1 , …θ m ) +α [(V ox V ix ) 2 (V oy V iy ) 2 (V oz V iz ) 2 ]
=( V ox V oy V oz
=( V ix V iy V iz
i :目標接触点と指先部上の点との間の距離
θ m :関節角度(mは関節数
α:重み係数
:目標接触点における法線ベクトル
:指先部上の点における法線ベクトル指先部上の複数のこれにより、各指の関節の目標角度を簡単な手法で確実に求めることができる。
【0010】
このとき、好ましくは、把持姿勢演算手段は、目標関数f(i)の最小値を目標関数f(i)に与えられる指の関節角度を修正するかどうかの判断基準となるしきい値と比較し、目標関数f(i)の最小値がしきい値よりも小さい場合には、その時に目標関数f(i)に与えられた指の関節角度を目標角度に設定し、目標関数f(i)の最小値がしきい値よりも小さくない場合には、指の関節角度の値を修正し、当該指の関節角度を変数として目標関数f(i)に与えると共に再び指先部上の各点の座標及び当該各点における法線ベクトルを代入して目標関数f(i)を計算する。この場合には、目標関数f(i)の最小値がしきい値よりも小さくなった時点で、関節の目標角度を求める処理が終了するので、把持姿勢演算手段の計算処理時間を短縮することが可能となる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るロボットハンドの把持制御装置の好適な実施形態について図面を参照して説明する。
【0012】
図1は、本発明に係る把持制御装置の一実施形態が適用されるロボットハンドの主要部の外観を示す斜視図である。同図において、ロボットハンド1は、図示しないロボットアームに取り付けられたものであり、任意形状の物体2を把持する4本の指3(親指3A、人差指3B、中指3C、薬指3D)を有している。これらの指3は、図示しないハンド掌部に連結されている。
【0013】
親指3Aは、4自由度のリンク系であり、4つの関節4Aと、各関節4Aを駆動させる4つのモータ5Aとを有している。人差指3Bは、3自由度のリンク系であり、4つの関節4Bと、各関節4Bを駆動させる3つのモータ5Bとを有している。最も先端側の関節4Bは、連動関節構造となっている。中指3Cは、3自由度のリンク系であり、4つの関節4Cと、各関節4Cを駆動させる3つのモータ5Cとを有している。最も先端側の関節4Cは、連動関節構造となっている。薬指3Dは、3自由度のリンク系であり、4つの関節4Dと、各関節4Dを駆動させる3つのモータ5Dとを有している。最も先端側の関節4Dは、連動関節構造となっている。各指3A〜3Dは、弾性体からなる曲面状の指先部6A〜6D(以下、指先部6)を有している。
【0014】
図2は、上記のロボットハンド1の各指3の把持姿勢を制御する把持制御装置を示す構成図である。同図において、把持制御装置7は、複数の6軸力センサ8と、複数のエンコーダ・ポテンショメータ9と、画像認識ユニット10と、ロボットハンド制御ユニット11と、複数のモータドライバ12とを有している。
【0015】
6軸力センサ7は、各指3の根元部に設けられ(図1参照)、把持反力を検出する。エンコーダ・ポテンショメータ8は、各モータ5A〜5D(以下、モータ5)に設けられ、各関節4A〜4D(以下、関節4)の角度(関節角度)θを検出する。関節角度θは、図3に示すように、関節4と連結された2本のリンク13の長手方向に延びる線が交差する角度である。
【0016】
画像認識ユニット10は、図示はしないが、光源、撮像部及び画像処理部等を有している。画像認識ユニット10は、図3に示すような物体2上における各指3の指先部6と接する目標接触点Pの座標を決定し、その目標接触点Pにおける物体曲面の法線ベクトルV0を求める。
【0017】
0=(V0x,V0y,V0z
なお、この法線ベクトルV0は、ロボットハンド1の手首(図示せず)に固定された絶対座標系における座標である。
【0018】
ロボットハンド制御ユニット11は、把持姿勢演算部14と、制御演算部15とを有している。把持姿勢演算部14は、画像認識ユニット10で予め設定された物体上の目標接触点Pの座標及び法線ベクトルV0を入力し、所定の演算を行い、物体2を把持するための指3の各関節4の目標角度(目標関節角度)を求める。なお、把持姿勢演算部14による演算処理については、後で詳述する。
【0019】
制御演算部15は、把持姿勢演算部14で求めた各指3の目標関節角度に応じた時系列の関節角度指令値を作成し、この指令値をモータドライバ12に送出する。このとき、エンコーダ・ポテンショメータ9の検出信号を入力し、関節4の角度(関節角度)をフィードバック制御する。また、6軸力センサ8の検出信号を入力し、各指3による把持力をフィードバック制御してもよい。
【0020】
モータドライバ12は、制御演算部15で作成された関節角度指令値に応じた駆動電流を各モータ5に供給して、各モータ5を回転駆動させる。
【0021】
次に、ロボットハンド制御ユニット11の把持姿勢演算部14において、ロボットハンド1の把持姿勢を求める考え方について、以下に説明する。
【0022】
(1)指先部の要素分割
図4に示すように、指先部6の表面を要素分割することにより、数多くの格子点Qを生成する。そして、関節4の回転中心を原点とし、指先リンク16に固定されたリンク座標系(ローカル座標系)における各格子点Qの座標のデータベースを予め作成しておく。
【0023】
(2)絶対座標系における指先部上の格子点座標の計算
リンク座標系と絶対座標系(前述)との間の座標変換を行うことにより、指先部6上の格子点Qの絶対座標系における座標を計算する。
【0024】
図5に、人差指3b、中指3c、薬指3dの座標系の取り方を示す。同図において、xsss座標系は、上述したようにロボットハンド1の手首に固定された絶対座標系である。x000座標系は、第4関節4aにおけるモータの静止部分に固定された相対座標系である。xiii(i=1〜4)座標系は、第3関節4b、第2関節4c及び第1関節4dの回転軸に固定されたリンク座標系である。
【0025】
iii座標系の原点は、関節4b〜4dまたはモータの中心点に位置している。xiii座標系のz軸は、関節4b〜4dの回転軸に対応している。xiii座標系のx軸は、関節4b〜4dの回転軸に直交し、且つ指先側のリンク16b〜16dの長手方向に延びた軸である。xiii座標系のy軸は、xiii座標系のx軸及びz軸に直交する軸である。各リンク16a〜16cの長さはL1〜L3であり、各関節4a〜4dの関節角度はθ1〜θ4である。ここで、関節4c,4dは連動関節であるため、関節4cの関節角度θ3と関節4dの関節角度θ4とは等しくなっている。
【0026】
指先部6上の任意の格子点jのx444座標系(指先リンク16dのリンク座標系)における座標(xj (4),yj (4),zj (4)) は、関節角θiにより変わらず、前記データベースから事前に決められる既知量である。このとき、xsss座標系における格子点jの座標(xj (s),yj (s),zj (s)) は、次式で表される。
【式1】
Figure 0004033050
ここで、s4は、x444座標系からxsss座標系への座標変換行列であり、次式のように隣り合うリンク座標系の座標変換行列により求められる。
【式2】
Figure 0004033050
ここで、x000座標系は、xsss座標系の各座標軸の並進移動を施すことによって得られるので、s0は次式で表される。
【式3】
Figure 0004033050
【0027】
また、xiii座標系は、xi-1i-1i-1座標系に次のような変換を施すことによって得られる。
(a)xi-1軸に沿ってai-1だけ並進
(b)xi-1軸回りにαi-1だけ回転
(c)回転後のzi-1軸(即ちzi軸)に沿ってdiだけ並進
(d)回転後のzi-1軸(即ちzi軸)回りにθiだけ回転
【0028】
iii座標系からxi-1i-1i-1座標系への座標変換行列i-1iは、以上の(a)〜(d)の同次変換の積で表せる。
【式4】
Figure 0004033050
上記(4)式のパラメータは、表1に示される。
【表1】
Figure 0004033050
【0029】
表1の各パラメータを(4)式に代入して、座標変換行列01122334を計算する。さらに、(3)式と(4)式を(2)式に代入して、座標変換行列s4を計算する。最後に、(2)式を(1)式に代入して、指先部6上の任意点jのxsss座標系(絶対座標系)における座標を得る。
【0030】
図6に、親指3aの座標系の取り方を示す。考え方は上記と同様であり、x444座標系からxsss座標系への座標変換を行うことで、指先部6上の任意点jのxsss座標系における座標を得る。座標変換行列i-1iを算出する式のパラメータは、表2に示される。
【表2】
Figure 0004033050
【0031】
(3)指先部上の任意点の法線ベクトルの計算
図7に示すように、指先部6上の任意点iにおける法線ベクトルViは、周囲の最も近い4つの格子点で決められる平面の法線ベクトルとして近似される。原理的には、3つの格子点で平面を定義できるが、近似精度を上げるためには、2つの格子点の中間点を計算し、これに他の2つの格子点を加えて平面を決めるのが望ましい。このような平面の方程式は、次のように導かれる。
【式5】
Figure 0004033050
ただし、3'点は、3点と4点の間の中間点であり、座標は次式によって求められる。
【式6】
Figure 0004033050
上式を整理すると、
【式7】
Figure 0004033050
このとき、上述した平面内の任意点iにおける法線ベクトルViの成分(Vix,Viy,Viz)は、次式で与えられる。
【式8】
Figure 0004033050
【0032】
(4)最適化手法による指の各関節の目標把持姿勢の導出
図3において、各指3の指先部6の点Qが物体に接触し、各指3の指先部6で物体2を把持する状態では、指先部6上の点Qと物体2上の目標接触点Pとの距離dがゼロであり、かつ点Qにおける法線ベクトルViと目標接触点Pにおける法線ベクトルV0とが一致するようになる。
【0033】
従って、最適化の目標関数としては、まず物体2上の目標接触点Pまで一番近い指先部6上の点Qを探せばよい。つまり、目標接触点Pと点Qとの間の距離dが最小となるように設定する。
【式9】
Figure 0004033050
座標(x0,y0,z0)は、物体2上の目標接触点Pの絶対座標である。座標(xi,yi,zi)は、上記(1)式から得られた指先部6上の点Qの絶対座標であり、各関節角度θ1〜θmの関数である。従って、(7)式のdiも各関節角度θ1〜θmの関数となる。
【0034】
次いで、制約条件式として、物体2と各指3との接触点における両者の法線ベクトルが一致するように設定する。
【式10】
Figure 0004033050
ここで、問題を簡単化するために、以上の制約条件付きの最適化問題を無制約最適化問題へ転換する。この場合、(8)式の制約条件を(6)式に組み込んで、次の目標関数f(i)を作る。
【式11】
Figure 0004033050
なお、αは重み係数である。
【0035】
このような(9)式に、指先部6上の各点Qの座標及び法線ベクトルViを代入して目標関数f(i)を計算し、各点Qに対応する目標関数f(i)を比較して一番小さい値fを探す。
【式12】
Figure 0004033050
ここで、(7)式のdi及び(8)式のSiは、両項とも正の値であるため、目標関数f(i)の最小値fがしきい値εよりも小さければ、di及びSiもしきい値εよりも小さくなる。即ち、(6)式の値fがほぼ最小となると同時に、(8)式の制約条件がほぼ満足される。これにより、(10)式の無制約最適化問題は、(6)式、(8)式の制約条件付きの最適化問題と等価である。
【0036】
従って、目標関数f(i)の最小値fがしきい値εよりも小さいときは、当該最小値fを満足する指の各関節角度θ1〜θmが最適化問題の解となり、それが各関節4a〜4dの目標関節角度となる。
【0037】
一方、目標関数f(i)の最小値fがしきい値ε以上のときは、各関節角度θ1〜θmを修正する必要がある。この各関節角度θ1〜θmを修正するための計算手法の1つとしては、最速降下法が知られている。この最速降下法の探索原理を図8に示す。
【0038】
同図において、変数θの初期値を任意に設定されたθ(0)とし、θ(0)点における目標関数fの勾配▽f0(曲線の接線)を計算する。θ(0)点における目標関数fの降下方向は−▽f0方向と一致するので、−▽f0方向に沿って適当なステップを取って新しい点θ(1)を得る。次いで、θ(1)点における勾配▽f1を計算し、−▽f1方向に沿ってθ(1)を修正してθ(2)を得る。このように▽fi=0となるまで繰り返すと、最小値fminが得られる。
【0039】
次に、最速降下法のアルゴリズムを説明する。
【式13】
Figure 0004033050
この(11)式の目標関数に対して勾配を次のように求める。
【式14】
Figure 0004033050
アルゴリズムは下記の通りである。
(a)初期値θ(0)及び許容誤差εを設定する。
(b)K=0とする。
(c)z(K)=−▽f(θ(K))を計算する。
(d)|z(K)|<εが成り立つと終了。θ(K)は最適解と見られる。そうでなければ、次に進む。
(e)下式のようにθを修正する。
θ(K+1)=θ(K)+sz(K)、s>0 (13)
さらに、一次元線形探索法によりf(θ(K)+sz(K))が最小となる最適なsを求める。
(f)K=K+1、ステップ(c)に戻る。
【0040】
この方法は、毎回の目標関数値が常に前回より小さくなるように降下方向に変数値を更新していくメリットがあるが、収束速度が遅い。通常は、改良型共役勾配法を用いて探索方向z(K)を決める。色々な共役勾配の計算方法があるが、収束速度が一番速いのは、Broyden,Fletcher,Goldfarb and Shannoの4人が提案したBFGS計算法であると考えられる。次式は、BFGSの計算数式である。
【式15】
Figure 0004033050
ここで、H(K)はHessian行列、H(0)はm×m単位行列であり、H(K)は次式で計算される。
【式16】
Figure 0004033050
改良型共役勾配法のアルゴリズムは、z(K)の計算以外の部分は最速降下法と全く同じである。
【0041】
以上のように説明した最適化手法を用いて、直方体状の物体を把持するシミュレーションを行ったところ、物体上の目標接触点で把持した理想的な把持姿勢となる計算結果が得られ、本計算方法の妥当性が実証された。
【0042】
図9は、上記のロボットハンド制御ユニット11の把持姿勢演算部14による演算処理手順の詳細を示すフローチャートである。以下、本フローチャートを用いて、ロボットハンド1で物体2を把持するための制御動作について説明する。
【0043】
まず画像認識ユニット10によって、物体2上の目標接触点Pの座標を決定し、その目標接触点Pにおける法線ベクトルV0を検出する。
【0044】
すると、把持姿勢演算部14は、その物体2上の目標把持点Pの座標と法線ベクトルV0とを入力する(図9の手順101)。そして、指3の各関節角度θ1〜θ4(図5及び図6参照)の初期値としきい値ε(前述)とを設定する(同手順102)。
【0045】
続いて、各関節角度θ1〜θ4の初期値を上記(1)〜(4)式に代入して、指先部6上の各点iの座標を計算する(同手順103)。また、(5)式により指先部6上の各点iにおける法線ベクトルViを計算する(同手順104)。続いて、各点iの座標及び法線ベクトルViを(9)式に代入して、物体2上の目標把持点Pと指先部6上の点iとの間の距離d、並びに法線ベクトルV0と法線ベクトルViとのズレを最適化するための目標関数f(i)を計算する(同手順105)。そして、各点iについて計算した目標関数f(i)を比較して、目標関数f(i)の最小値fを検出する(同手順106)。
【0046】
続いて、目標関数f(i)の最小値fをしきい値εと比較する(同手順107)。そして、目標関数f(i)の最小値fがしきい値εよりも小さいときは、その時に与えた関節角度θ1〜θ4を各関節4の目標関節角度に設定する(同手順108)。一方、目標関数f(i)の最小値fがしきい値εよりも小さくないときは、関節角度θ1〜θ4の値を修正し(同手順109)、上記手順103に戻る。そして、目標関数f(i)の最小値fがしきい値εよりも小さくなるまで、手順103〜107を繰り返し行うことにより、各関節4の目標関節角度を得る。
【0047】
以上のような演算処理を各指3A〜3Dについて実行することにより、指3A〜3Dの各関節4の目標関節角度を求め、ロボットハンド1全体としての把持姿勢角度を得る。
【0048】
このように把持姿勢演算部14で求められた指3A〜3Dの各関節4の目標関節角度は制御演算部15に送られ、制御演算部15において関節角度指令値が作成される。そして、その関節角度指令値は各モータドライバ12に送られ、各モータドライバ12により各モータ5が駆動制御される。これにより、ロボットハンド1の各指3A〜3Dが把持姿勢となり、各指3A〜3Dにより物体2が把持されることとなる。
【0049】
以上において、画像認識ユニット10は、物体2上における各指3の指先部6と接する目標接触点を決定し、目標接触点における法線ベクトルV0を求める接触位置設定手段を構成する。ロボットハンド制御ユニット11の把持姿勢演算部14は、前記各指3について、目標接触点と指先部6上の任意点との間の距離がゼロになると共に目標接触点における法線ベクトルV0と任意点における法線ベクトルViとが実質的に一致するような関節4の目標角度を求める把持姿勢演算手段を構成する。ロボットハンド制御ユニット11の制御演算部15及びモータドライバ12は、各指3について、関節4の目標角度に応じてアクチュエータ5を制御する駆動制御手段を構成する。
【0050】
以上のように本実施形態にあっては、各指3の指先部6上の任意点と物体2上の各目標接触点との距離がゼロになると共に指先部6上の任意点の法線ベクトルと物体2上の各目標接触点の法線ベクトルとがほぼ一致するような各指3の目標関節角度を求め、この目標関節角度に応じて各指3のモータ5を駆動制御するので、各指3の指先部6が曲面状をなしている場合であっても、あらゆる形状の物体2を確実に把持することができる。このとき、各指3の目標関節角度は、計算によって自動的に求められるので、ロボットハンド1の動作に関する教示作業が不要であり、これにより物体2を効率良く把持することが可能となる。
【0051】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、最適化のための目標関数f(i)の最小値fをしきい値εと比較し、最小値fがしきい値εよりも小さくなった時点で、各関節4の目標関節角度を決定するものとしたが、特にこの手法には限られず、関節角度の変数すべてを与えて、最適な目標関節角度を決定しても良い。
【0052】
また、上記実施形態のロボットハンドは4本の指を有するものであるが、指の数は複数本であればよく、また各指の関節数及び自由度数も、特に上記のものには限られない。
【0053】
【発明の効果】
本発明によれば、複数本の指について、物体上の目標接触点と指先部上の任意点との距離がゼロになると共に目標接触点における法線ベクトルと指先部上の任意点における法線ベクトルとが実質的に一致するような関節部の目標角度を求め、この関節部の目標角度に応じてアクチュエータを制御するので、任意形状の物体を効率良くかつ確実に把持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る把持制御装置の一実施形態が適用されるロボットハンドの主要部の外観を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る把持制御装置の一実施形態を示す構成図である。
【図3】ロボットハンドの指と物体との位置・姿勢関係を示す図である。
【図4】ロボットハンドの指先部の要素分割を示す図である。
【図5】ロボットハンドの人差指、中指、薬指の絶対座標系とリンク座標系を示す図である。
【図6】ロボットハンドの親指の絶対座標系とリンク座標系を示す図である。
【図7】ロボットハンドの指先部上の任意点における法線ベクトルを求める方法を示す図である。
【図8】最速降下法の捜索原理を示す図である。
【図9】図2に示す把持姿勢演算部による演算処理手順の詳細を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1…ロボットハンド、2…物体、3…指、3A…親指、3B…人差指、3C…中指、3D…薬指、4…関節、5…モータ(アクチュエータ)、6…指先部、7…把持制御装置、10…画像認識ユニット(接触位置設定手段)、11…ロボットハンド制御ユニット、12…モータドライバ(駆動制御手段)、14…把持姿勢演算部(把持姿勢演算手段)、15…制御演算部(駆動制御手段)。

Claims (4)

  1. 任意形状の物体を把持する曲面状の指先部を有する複数本の指と、前記各指の関節を駆動させる複数のアクチュエータとを備えたロボットハンドの把持制御装置であって、
    前記物体上における前記各指の指先部と接する目標接触点を画像認識によって決定し、前記目標接触点における法線ベクトルを求める接触位置設定手段と、
    前記各指について、前記指先部の表面を要素分割して複数の点を生成し、前記複数の点のうち任意の一点の周囲に位置する少なくとも3つの点で決められる平面の法線ベクトルを当該一点における法線ベクトルと近似することにより、前記各点における法線ベクトルをそれぞれ求め、前記目標接触点と前記指先部上の点との間の距離がゼロになると共に前記目標接触点における法線ベクトルと前記指先部上の点における法線ベクトルとが実質的に一致するような前記関節の目標角度を求める把持姿勢演算手段と、
    前記各指について、前記関節の目標角度に応じて前記アクチュエータを制御する駆動制御手段とを備えることを特徴とするロボットハンドの把持制御装置。
  2. 前記把持姿勢演算手段は、前記任意の一点から最も近い4つの点で決められる平面の法線ベクトルを当該一点における法線ベクトルと近似することにより、前記各点における法線ベクトルをそれぞれ求めることを特徴とする請求項1記載のロボットハンドの把持制御装置。
  3. 前記把持姿勢演算手段は、前記目標接触点と前記指先部上の点との間の距離がゼロになると共に前記目標接触点における法線ベクトルと前記指先部上の点における法線ベクトルとが実質的に一致するように最適化するための下記の目標関数f(i)を設定し、前記指の関節角度を変数として前記目標関数f(i)に与えると共に前記指先部上の各点の座標及び当該各点における法線ベクトルを代入して前記目標関数f(i)を計算し、前記目標関数f(i)の最小値を求めることにより、前記関節の目標角度を求めることを特徴とする請求項1または2記載のロボットハンドの把持制御装置。
    f(i)=d i ( θ 1 , …θ m ) +α [(V ox V ix ) 2 (V oy V iy ) 2 (V oz V iz ) 2 ]
    =( V ox V oy V oz
    =( V ix V iy V iz
    i :目標接触点と指先部上の点との間の距離
    θ m :関節角度(mは関節数
    α:重み係数
    :目標接触点における法線ベクトル
    :指先部上の点における法線ベクトル
  4. 前記把持姿勢演算手段は、前記目標関数f(i)の最小値を前記目標関数f(i)に与えられる前記指の関節角度を修正するかどうかの判断基準となるしきい値と比較し、前記目標関数f(i)の最小値が前記しきい値よりも小さい場合には、その時に前記目標関数f(i)に与えられた前記指の関節角度を前記目標角度に設定し、前記目標関数f(i)の最小値が前記しきい値よりも小さくない場合には、前記指の関節角度の値を修正し、当該指の関節角度を変数として前記目標関数f(i)に与えると共に再び前記指先部上の各点の座標及び当該各点における法線ベクトルを代入して前記目標関数f(i)を計算することを特徴とする請求項3記載のロボットハンド1の把持制御装置。
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