JP4031846B2 - 合成エトリンガイトの製造方法 - Google Patents

合成エトリンガイトの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主として建築用の天井材や壁材等に利用される珪酸カルシウム成形体の嵩比重低減材及び/または白色化材として有用な合成エトリンガイトの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術・課題】
珪酸カルシウム成形体の製造に際して、生石灰、消石灰等の石灰質原料、珪砂、フライアッシュ等の珪酸質原料及び補強繊維からなり、更に必要に応じてパーライト、珪藻土等の嵩比重低減材、その他の骨材等を含有してなる原料混合物は、各々の製造方法に適した水量の水と混合される。例えば抄造法による珪酸カルシウム成形体の製造に際しては、上述の原料を固形分濃度が5〜15重量%になるように水と混合してスラリーを形成し、常法に従い丸網式抄造機等でスラリーを抄き取り、抄き取った成形体をオートクレーブ養生することが行われている。
【0003】
しかし、珪酸カルシウム成形体の嵩比重を低減する目的で使用される嵩比重低減材として、5〜20重量%の珪藻土を添加して得られる珪酸カルシウム成形体は、寸法変化率が大きく、また、2〜10重量%のパーライトを添加して得られる珪酸カルシウム成形体は、曲げ強度の低下及び表面平滑性の悪化を生じるという欠点があった。
【0004】
また、特開昭52−105926号公報には、石綿珪酸カルシウム板本来の特性を損なうことなく、より軽量で耐熱性に富み、且つ比強度に優れた軽量石綿珪酸カルシウム板を提供するための手段として、石綿、珪酸原料及び石灰原料とを多量の水に加えて原料スラリーとなし、これに予め水熱合成によって得られたゾノトライト結晶スラリーを全固形分重量に対して固形分で10〜40%加えて原料スラリー混合物となし、この原料スラリー混合物をゲル化処理することなく抄造機により抄造して板状体を形成し、この板状体を蒸熱処理した後乾燥することを特徴とする軽量石綿珪酸カルシウム板の抄造法が開示されている。しかし、この方法では、原料スラリーの濾水性が悪くなる恐れがあり、且つゾノトライトスラリーを合成するために縦型オートクレーブ等の大規模な設備を必要とすることから、安価で大量生産を必要とする建築用材料の原料としてゾノトライトは不向きであった。
【0005】
更に、エトリンガイトの合成方法として、例えば特開昭53−32900号公報には、水滓50〜60部、石膏50〜40部の混合物を原料とし、苛性ソーダ、苛性カリ、消石灰等のアルカリ刺激剤を原料の5〜20%添加し、かつ原料の5〜20倍の水を加えたうえ、70〜90℃の常圧熱水下で10時間以上撹拌混合し、次いで20〜90℃で24時間以内の熟成をすることを特徴とする方法が開示されている。
【0006】
また、特開昭55−3359号公報には、珪酸アルミナ原料と石灰原料とを、苛性ソーダ、苛性カリ等のアルカリの存在下で懸濁液とし、この懸濁液を水熱反応させてトバモライトを生成させ、このトバモライトを分離した後、濾液中のアルカリ反応生成物1モルに対し、石灰原料、石膏原料をそれぞれ約1.5モルずつ加え、常温〜90℃で反応させてエトリンガイトを生成させることを特徴とするエトリンガイトの合成方法が開示されている。
【0007】
更に、特開昭55−3360号公報には、アルミン酸ナトリウム溶液に、アルミン酸ナトリウム1モルに対し、石灰原料、石膏原料をそれぞれ約1.5モルずつ加え、常温〜90℃で5時間以上反応させることを特徴とするエトリンガイトの合成方法が開示されている。
【0008】
しかし、これらの公報に記載された方法により得られるエトリンガイトを、CaOまたはCa(OH)を主体とした石灰質原料、珪酸質原料、補強繊維並びに無機骨材等と共に原料として珪酸カルシウム成形体に使用すると、エトリンガイトのアスペクト比が小さいことから軽量化効果は少なく、しかも、濾水性が著しく悪いため製造効率が悪化し、水熱反応中に層間剥離等の不良が発生する。また、エトリンガイトの合成に5〜10時間を要する等、いろいろな不都合が生じ、嵩比重0.9以下の珪酸カルシウム成形体、あるいは大量生産を必要とする建築用材料の原料として、これらの方法により得られたエトリンガイトは不向きであった。
【0009】
また、特開平6−305807号公報には、ドバモライト質のマトリックス中にII型無水石膏を含有し、通気率が1.5×10−5ml・cm/sec・cmHO以上、曲げ強さが80kgf/cm以上であることを特徴とする珪酸カルシウム質成形体が開示されている。
【0010】
ここで、該公報に記載されている珪酸カルシウム質成形体は、II型無水石膏の原料として2水石膏を使用するものであり、この2水石膏が水熱反応の際にII型無水石膏へ変化する際の約40%の体積減少を生ずることによりマトリックス中に微細な気孔が形成されるものである。しかし、該公報の実施例においては、珪酸カルシウム質成形体には、嵩比重を調節するために珪藻土が配合されており、珪藻土を配合することにより生ずる上述のような問題点は何ら解決されていない。
【0011】
更に、特開昭57−95861号公報には、合成エトリンガイトを配合したセメントスラリーから抄造法により板状体を成形し、該成形体をオートクレーブ等により養生することを特徴とする無機質板の製造方法が示されている。
【0012】
しかし、この公報に記載されている方法により得られる成形体は、石灰質原料としてセメントを使用していることから、成形体の嵩比重が高くなり、汎用されている嵩比重0.9以下の珪酸カルシウム成形体を製造することは到底無理である。また、セメントを主体とした石灰質原料を使用しているので、白色度の高い成形体を得ることができない。このような白色度の低い製品の場合、塗装を行う時には、下地処理の層数を増やしたり、塗装膜を厚くする必要があり、工程の複雑化、あるいはコストアップを招くこととなり工業生産上好ましくない。
【0013】
なお、この公報に記載されている、製品に用いられているエトリンガイトの繊維長は約20μmであり、石灰質原料に自硬性のあるセメントを主として用いた場合、オートクレーブ水熱反応中に層間剥離等の不良を発生することなく成形体を得ることができるが、石灰源としてセメント以外の自硬性のない原料[例えばCaOまたはCa(OH)]を主体とする場合には、オートクレーブ水熱反応中にエトリンガイトの濾水不良に起因する層間剥離、爆裂等の不良が発生し、目的とする成形体を得ることができない。
【0014】
従って、本発明の目的は、建築用材料として使用される珪酸カルシウム成形体の実用上必要な強度、寸法安定性を確保しながら、製造効率を悪化させることなく、軽量化を図ることができる嵩比重低減材及び/または白色化を図ることができる白色化材として有効な合成エトリンガイトの製造方法を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る合成エトリンガイトの製造方法は、硫酸アルミニウム溶液に、水酸化カルシウム水性懸濁液を、硫酸アルミニウム1モル当たり、水酸化カルシウム5.8〜6.2モルの割合で、硫酸アルミニウム1モルに対して水酸化カルシウム0.6モル/分以下の添加速度で、硫酸アルミニウム溶液と水酸化カルシウム懸濁液の温度を50℃〜90℃に維持しながら添加することにより繊維長が50〜100μmの範囲内にあるエトリンガイトを得ることを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係る合成エトリンガイトの製造方法は、硫酸アルミニウム溶液に、水酸化カルシウム水性懸濁液を、硫酸アルミニウム1モル当たり、水酸化カルシウム4.5〜8.0モルの割合で、硫酸アルミニウム1モルに対して水酸化カルシウム0.6モル/分以下の添加速度で、硫酸アルミニウム溶液と水酸化カルシウム水性懸濁液の温度を50℃〜90℃に維持しながら添加することにより濾水速度が13.0ml/秒以上のエトリンガイトを得ることを特徴とする。
【0017】
なお、本明細書に記載の「濾水速度」は、固形分濃度10%のエトリンガイトスラリー300mlをJIS P3801・2種の濾紙を敷いた直径12cmのブフナーロートに入れ、50cmHgの負圧力で吸引濾過したときの濾水量(ml)/濾過時間(秒)として表したものである。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明に係る合成エトリンガイトの製造方法は、硫酸アルミニウム溶液に、水酸化カルシウム水性懸濁液を添加することを特徴とするものであり、更に詳細には、硫酸アルミニウム1モルに対して、水酸化カルシウム5.8〜6.2モル、好ましくは6モルの割合で、前記硫酸アルミニウム溶液と前記水酸化カルシウム水性懸濁液の温度を50℃〜90℃、好ましくは60〜80℃の範囲内に維持しながら、硫酸アルミニウム1モルに対して0.6モル/分以下の添加速度で水酸化カルシウム水性懸濁液を添加するものであり、本発明方法により繊維長が50〜100μmの範囲内にある合成エトリンガイトが得られる。
【0019】
硫酸アルミニウム溶液への水酸化カルシウム水性懸濁液の添加割合は、硫酸アルミニウム1モルに対して水酸化カルシウム5.8〜6.2モルである。硫酸アルミニウムと水酸化カルシウムのモル比が上記範囲以外であると、得られるエトリンガイトの繊維長が50μm未満と短くなるために好ましくない。
【0020】
また、本発明に係る他の合成エトリンガイトの製造方法は、硫酸アルミニウム溶液に、水酸化カルシウム水性懸濁液を添加する際に、硫酸アルミニウム1モルに対して、水酸化カルシウム4.5〜8.0モル、好ましくは5.0〜7.5モルの割合で、前記硫酸アルミニウム溶液と前記水酸化カルシウム水性懸濁液の温度を50℃〜90℃、好ましくは60〜80℃の範囲内に維持しながら、硫酸アルミニウム1モルに対して0.6モル/分以下の添加速度で水酸化カルシウム水性懸濁液を添加するものであり、本発明方法により濾水速度が13.0ml/秒以上の合成エトリンガイトが得られる。
【0021】
この合成エトリンガイトの製造方法において、硫酸アルミニウム溶液への水酸化カルシウム水性懸濁液の添加割合は、硫酸アルミニウム1モルに対して水酸化カルシウム4.5〜8.0モルであるが、このモル比が上記範囲以外であると、濾水速度が遅くなるために好ましくない。
【0022】
また、上記いずれの方法においても硫酸アルミニウム溶液と、水酸化カルシウム水性懸濁液の温度は、50℃〜90℃、好ましくは60〜80℃の範囲内に維持することが好ましく、硫酸アルミニウム溶液と水酸化カルシウム水性懸濁液の温度が50℃未満であると、得られるエトリンガイトの繊維長が短くなったり、濾水速度が遅くなるために好ましくなく、また、90℃を超えると、エトリンガイト以外の物質、例えばモノサルフェート型のCA−CaSO−HO系複塩等が生ずるために好ましくない。
【0023】
更に、上記いずれの方法においても硫酸アルミニウム溶液へ水酸化カルシウム水性懸濁液を添加する際に、水酸化カルシウム水性懸濁液の添加速度を硫酸アルミニウム1モルに対して水酸化カルシウム0.6モル/分以下とすることが重要である。該添加速度が0.6モル/分を超えると得られるエトリンガイトの繊維長が短くなったり、濾水速度が遅くなり、これを建築材料として使用される珪酸カルシウム成形体の嵩比重低減材及び/または白色化材として使用すると、製造効率が悪化し、更に、水熱反応中に層間剥離、爆裂等の不良が発生する傾向があるために好ましくない。
【0024】
本発明方法によれば、数十分から数時間の合成時間で所定の繊維長を有する合成エトリンガイト、あるいは所定の濾水速度を有する合成エトリンガイトを製造することができる。この合成エトリンガイトを建築用材料として使用される珪酸カルシウム成形体の嵩比重低減材及び/または白色化材として使用すると、製造効率を悪化させることなく、また、水熱反応中に層間剥離等の不良が発生することなく、製品の嵩比重を0.9以下とすることができ、この嵩比重の範囲内で実用上必要な100kg/cm程度、あるいはそれ以上の曲げ強度、寸法安定性を確保することができる。
【0025】
このようにして得られた合成エトリンガイトを使用して珪酸カルシウム成形体を製造することができる。該珪酸カルシウム成形体は、石灰質原料、珪酸質原料、補強繊維及び嵩比重低減材を必須の構成成分とする水性スラリーを水熱反応することにより得られ、嵩比重低減材及び/または白色化材として上記合成エトリンガイトを5〜50重量%使用するものである。ここで、合成エトリンガイトの添加量が5重量%未満の場合には、顕著な軽量化効果が得られないために好ましくなく、また、該添加量が50重量%を超えると、充分な強度を有する珪酸カルシウム成形体が得られないために好ましくない。
【0026】
また、珪酸カルシウム成形体は、上記合成エトリンガイトを含有し、水熱反応することにより得られた珪酸カルシウム成形体であって、通常用いられる嵩比重低減材である珪藻土等を配合したものに比べ、白色度が高いところに特徴がある。なお、その白色度は85以上である。ここで、本明細書中に記載する「白色度」はJIS L1015・C法により測定された白色度を言うものとする。
【0027】
ここで、前記珪酸カルシウム成形体を構成する石灰質原料、珪酸質原料、補強繊維、無機骨材等は特に限定されるものではなく、珪酸カルシウム成形体に通常使用されるものをいずれも使用することが可能である。例えば石灰質原料としては生石灰、消石灰のようなCaO、Ca(OH)を主体とするものや、必要に応じて少量のポルトランドセメント等も用いることができる。また、珪酸質原料としては珪砂、フライアッシュ等を用いることができる。更に、補強繊維としては木質パルプ、耐アルカリガラス繊維並びにポリプロピレン繊維やレーヨン繊維等の有機合成繊維を用いることができる。また、無機骨材としてはワラストナイト、炭酸カルシウム等を使用することができる。
【0028】
前記珪酸カルシウム成形体は、上記配合を有する水性スラリーを常法、例えばプレス成形法、抄造法等により成形し、得られた成形体を140〜200℃、好ましくは170〜190℃の飽和水蒸気下のオートクレーブ内で水熱反応させることにより得ることができる。なお、水熱反応の際の反応温度の上昇に伴い、徐々に結晶水が脱水され、反応温度が140℃以上になると合成エトリンガイトが分解してX線回折でエトリンガイトの回折線が認められなくなり、変わってII型無水石膏の回折線が現れるようになる。ここで、水熱反応の際に、反応温度が140℃未満であると、合成エトリンガイトが分解されず、該エトリンガイト中に含まれる結晶水の影響により寸法安定性が著しく損なわれ、且つ水熱反応を充分に行うことができず、珪酸カルシウム成形体の強度が損なわれるために好ましくない。また、反応温度が200℃を超えると、得られる珪酸カルシウム成形体が脆くなり、強度にバラツキを生ずるために好ましくない。
【0029】
更に、前記珪酸カルシウム成形体は、水熱反応することにより得られる珪酸カルシウム成形体において、AlとSOを同時に含有し、かつ白色度が高いところに特徴がある。なお、それらの含有量は、酸化物換算量でAlが1〜16重量%及びSOが0.9〜16重量%の範囲内である。また、白色度は85以上である。
【0030】
【実施例】
実施例1
合成エトリンガイトの製造例:
表1に示す合成条件下で硫酸アルミニウム溶液に、水酸化カルシウム水性懸濁液を添加することにより合成エトリンガイトを製造した。
各製造例で得られた合成エトリンガイトの繊維長及び濾水速度を表1に併記する。
次に、得られた合成エトリンガイトを表1に示す配合割合で他の原料と共に配合し、更に、所定量の水を加えて固形分濃度10重量%のスラリーを調製し、単層式丸網抄造機で抄き取り、約6mmの厚さの成形体とし、得られた成形体を180℃の飽和水蒸気下のオートクレーブ内で6時間養生した後、105℃で24時間乾燥することにより、珪酸カルシウム成形体を得た。
得られた珪酸カルシウム成形体の嵩比重、曲げ強度(JIS A 1408)、寸法変化率(JIS A 5430)、抄造時の層数並びに水熱反応中の層間剥離発生程度を表1に併記する。なお、層間剥離発生程度は、〇:層間剥離なし、△:半数以下で発生、×:半数以上で発生により表す。
【0031】
【表1】
Figure 0004031846
【0032】
【表2】
Figure 0004031846
【0033】
表1に記載の結果からも明らかなように、本発明方法により得られた合成例1〜6で得られる合成エトリンガイトは、繊維長が長く、珪酸カルシウム成形体を製造する際の抄造成形性も良好であり、合成例1〜6で得られる合成エトリンガイトを珪酸カルシウム成形体の嵩比重低減材として使用することにより、少ない層数で、水熱反応中の層間剥離の発生もなく、実用上必要な曲げ強度や寸法安定性を確保しながら珪酸カルシウム成形体の軽量化を図ることができた。
また、合成例7で得られる合成エトリンガイトは、合成例1〜6で得られた合成エトリンガイトに比べて繊維長が短く、抄造成形した際により多くの層数を要し、水熱反応中に剥離が発生した。また、液温が95℃と高い合成条件の合成例8は、合成操作後にエトリンガイトが得られず、モノサルフェート型複塩及び二水石膏が生成した。
次に、合成例9で得られる合成エトリンガイトは、同条件下の単層式丸網抄造機でも抄造においては、スラリーの濾水性が悪いため、丸網からの脱水量が少なく、一層当たりのグリーンシート(抄造直後の成形体)の含水率が高く、自己保形性が得られず、成形体を得ることはできなかった。
また、CaO/Alモル比が5.5または6.5である合成例10及び11においては、得られる合成エトリンガイトの繊維長が短くなるが、濾水速度が13.0ml/秒以上であり、得られる珪酸カルシウム成形体には特に影響はないことが判る。
【0034】
実施例2
合成エトリンガイトの製造例:
実施例1と同様に合成エトリンガイトを製造し、得られた合成エトリンガイトの繊維長並びに濾水速度を表2に併記する。
次に、得られた合成エトリンガイトを用いて、実施例1と同様にして珪酸カルシウム成形体を得た。得られた珪酸カルシウム成形体の嵩比重、曲げ強度、寸法変化率、抄造時の層数、水熱反応中の層間剥離発生程度を表2に併記する。
【0035】
【表3】
Figure 0004031846
【0036】
【表4】
Figure 0004031846
【0037】
表2に記載の結果からも明らかなように、合成例12、13、14、17及び18で得られる合成エトリンガイトは、繊維長が長く、且つ濾水速度も速く、珪酸カルシウム成形体を製造する際の抄造成形性も良好であり、合成例12、13、14、17及び18で得られる合成エトリンガイトを珪酸カルシウム成形体の嵩比重低減材として使用することにより、少ない層数で、且つ水熱反応中の層間剥離発生もなく、実用上必要な曲げ強度や寸法安定性を確保しながら珪酸カルシウム成形体の軽量化を図ることができた。
なお、添加速度を0.03モル/分とした合成例14で得られる合成エトリンガイトは繊維長も長く、濾水速度も速いものであった。
また、合成例15及び16で得られるエトリンガイトは、合成例12、13、14、17及び18に比べて繊維長は短いものの、濾水速度が本発明の範囲内にあり、珪酸カルシウム成形体を製造する際の抄造成形性も良好であり、合成例15及び16で得られる合成エトリンガイトを珪酸カルシウム成形体の嵩比重低減材として使用することにより、少ない層数で、かつ水熱反応中の層間剥離発生もなく、実用上必要な曲げ強度や寸法安定性を確保しながら珪酸カルシウム成形体の軽量化を図ることができた。
次に、合成例19、22及び23で得られる合成エトリンガイトは、合成例12、13、14、17及び18に比べ繊維長が短く、合成エトリンガイト12〜18に比べて濾水速度も遅く、珪酸カルシウム成形体を製造する際の抄造成形の際により多数の層数を必要とし、且つ水熱反応中に層間剥離が発生し、特に、合成例19で得られる合成エトリンガイトを用いたものは顕著であった。また、得られた珪酸カルシウム成形体の嵩比重は、合成例12〜18で得られる合成エトリンガイトを使用したものに比べて高く、特に、合成例22で得られる合成エトリンガイトを用いた珪酸カルシウム成形体では顕著であった。
更に、合成例20では、合成操作後エトリンガイトは得られず、モノサルフェート型複塩、及び二水石膏が生成し、合成例21で得られる合成エトリンガイトは、同条件下の単層式丸網抄造機での抄造において、スラリーの濾水性が悪いため、丸網からの脱水量が少なく、1層当たりのグリーンシート(抄造直後の成形体)の含水率が高く、成形体を得ることができなかった。
【0038】
参考例
実施例1の合成例1で得られる合成エトリンガイトを使用し、該合成エトリンガイトの配合量を表3に示すように変化させた以外は、実施例1と同様の方法により、珪酸カルシウム成形体を作製した。得られた珪酸カルシウム成形体の諸特性を表3に併記する。
【0039】
【表5】
Figure 0004031846
【0040】
【表6】
Figure 0004031846
【0041】
表3に示す結果からも明らかなように、合成例1で得られる合成エトリンガイトを使用して得られる参考品1〜5は、白色度が高く、建築材料として実用上必要な曲げ強度、寸法安定性を確保しながら、珪酸カルシウム成形体の軽量化を図ることができた。
また、合成エトリンガイトを配合しない比較品6〜9の珪酸カルシウム成形体は、嵩比重を低減することができなかったり、充分な曲げ強度及び寸法安定性が得られず、建築材料として実用上必要な曲げ強度並びに寸法安定性を確保しながら、珪酸カルシウム成形体の軽量化を図ることはできなかった。
更に、合成エトリンガイトを配合しない比較品10の珪酸カルシウム成形体は、物性面では良好であるが、白色度が低いものであった。
また、合成エトリンガイトを配合したものの、石灰質原料としてセメントを配合した比較品11においては、建築材料として実用上必要な曲げ強度並びに寸法安定性を確保しているものの、嵩比重が高く、白色度が低いものであった。
更に、合成エトリンガイトを配合したものの、その配合量が少ない比較品12においては、嵩比重の充分な低減効果が得られず、また、配合量が多い比較品13においては、嵩比重は大幅に低減し、更に、曲げ強度も大幅に低下し、曲げ強度並びに寸法安定性を確保しながら、珪酸カルシウム成形体の軽量化を図るという本発明の目的を達成することができなかった。
【0042】
【発明の効果】
本発明方法によれば、簡便な操作により合成エトリンガイトを製造することができる。
また、該合成エトリンガイトを珪酸カルシウム成形体の嵩比重低減材及び/または白色化材として使用すれば、建築材料として実用上必要な曲げ強度並びに寸法変化率を確保しながら、珪酸カルシウム成形体の軽量化及び/または白色化を図ることができる。

Claims (2)

  1. 硫酸アルミニウム溶液に、水酸化カルシウム水性懸濁液を、硫酸アルミニウム1モル当たり、水酸化カルシウム5.8〜6.2モルの割合で、硫酸アルミニウム1モルに対して水酸化カルシウム0.6モル/分以下の添加速度で、硫酸アルミニウム溶液と水酸化カルシウム水性懸濁液の温度を50℃〜90℃に維持しながら添加することにより繊維長が50〜100μmの範囲内にあるエトリンガイトを得ることを特徴とする合成エトリンガイトの製造方法。
  2. 硫酸アルミニウム溶液に、水酸化カルシウム水性懸濁液を、硫酸アルミニウム1モル当たり、水酸化カルシウム4.5〜8.0モルの割合で、硫酸アルミニウム1モルに対して水酸化カルシウム0.6モル/分以下の添加速度で、硫酸アルミニウム溶液と水酸化カルシウム水性懸濁液の温度を50℃〜90℃に維持しながら添加することにより濾水速度が13.0ml/秒以上のエトリンガイトを得ることを特徴とする合成エトリンガイトの製造方法。
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