JP4028765B2 - 電磁波吸収体及びこれを用いた高周波回路用パッケージ - Google Patents

電磁波吸収体及びこれを用いた高周波回路用パッケージ Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電磁波吸収特性の良好な電磁波吸収体及びこれを用いた高周波回パッケージや電気光変換器を有する光送信器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
通常、高周波回路用パッケージでは、金属またはセラミックス等からなる直方体状のパッケージ蓋体をパッケージベースに取り付けることにより気密封止を行っている。従って、高周波回路用パッケージ内部には直方体状の空洞が形成されることから、高周波回路用パッケージは方形空洞共振器と同様の性質を有する。そのため前記空洞の寸法によって定まる遮断周波数より高い周波数帯域で、空洞共振を生じるので、この周波数帯域で動作する高周波半導体素子あるいはその他の回路素子を高周波回路用パッケージに実装する場合には、前記空洞の寸法を小さくすることで、遮断周波数を前記素子が動作する周波数帯域よりも十分に高くしている。ところが、この方法では素子の動作周波数が高周波化するに伴い、素子が動作する周波数帯域より空洞共振が生じる周波数の方が低くなるという問題があった。近年、この問題を解決するために、電磁波吸収体を高周波回路用パッケージ内部に装着して、空洞共振時の電界エネルギーまたは磁界エネルギーを吸収することにより、空洞共振を抑制する方法が採られるようになってきている。
【0003】
例えば、高周波回路用パッケージ内部に使用される電磁波吸収体としては、図7の高周波回路用パッケージ70のように、パッケージ蓋体71の裏面に直方体の形状を有するフェライトシートからなる電磁波吸収体72を装着したもの、あるいは液状のフェライト塗料を塗布したもの(特開平6−236935号公報)等が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記高周波回路用パッケージ70内部に装着されたフェライトシートや液状のフェライト塗料では、少なくとも20重量%の合成樹脂が必要であるため、耐難燃性が劣るといった問題があった。そこで、この問題を解決するために、デカブロモジフェニルオキサイド、TBAエポキシオリゴマー・ポリマー、TBAカーボネートオリゴマー等の難燃剤を添加し耐難燃性の向上を図ることが一般的に行われているが、このような難燃剤はBr、Cl元素を含む化合物であるため、温度負荷がかかるとBr、Cl元素を含む脱離ガスが発生する。
【0005】
このような難燃剤を含む電磁波吸収体72を高周波回路用パッケージ70内部に装着すると、パッケージ蓋体71とパッケージベース73との接合時や高周波回路用パッケージ70とマザーボード(不図示)との接合時に温度負荷がかかるため、Br、Cl元素を含む脱離ガスが高周波回路用パッケージ40内部に充満する。このようなガスは腐食性があることから、高周波回路用パッケージ70内部に実装される半導体素子(不図示)や、パッケージベース73に形成される伝送線路(不図示)等を腐食させるといった問題があった。
【0006】
また、脱離ガスの発生を抑制するために、機能性セラミックス、例えば、Niーフェライト、NiーZnフェライトあるいはMnーZnフェライトを電磁波吸収体に用いることも考えられるが、このようなフェライトは通常数MHz程度の周波数帯域を対象とした電磁波吸収体にしか用いることができなかった。これに対し、近年、10GHz以上の高周波帯域に使用する電磁波吸収体が求められているが、このようなフェライトを10GHz以上の高周波数帯域を対象とした電磁波吸収体に用いても所望の電磁波吸収特性が得られないという問題があった。
【0007】
そこで本発明は、製造が容易であるとともに、電磁波吸収特性が良好でしかも脱離ガスが全く発生しない、主に10GHz以上の高周波数帯域を対象とした高周波回路用パッケージ部品に用いられる電磁波吸収体及びこれを用いた高周波回路用パッケージを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の電磁波吸収体は、Fe及びAlを含有する焼結体からなり、その含有量がFe 20mol%以上90mol%以下、Al が10mol%以上80mol%以下、残部が25mol%以下であるとともに、気孔率が2%から15%であり、周波数10GHz以上における電磁波の減衰量が2dB以上であることを特徴とする。
また、上記電磁波吸収体は、Fe の含有量が40〜90mol%であることを特徴とする。
【0009】
また、上記電磁波吸収体は、Fe及びAl 残部ZnO,CuO,Biの少なくとも一種であることを特徴とする。
【0010】
また、上記電磁波吸収体の体積固有抵抗値は5×105Ω・m以下であることを特徴とする。
【0011】
また、パッケージベースと、該パッケージベース上に取り付けられたパッケージ蓋体とからなる高周波回路用パッケージにおいて、上記電磁波吸収体を前記高周波回路用パッケージ内部に装着したことを特徴とする。
【0012】
また、パッケージベースと、該パッケージベース上に取り付けられたパッケージ蓋体とからなる高周波回路用パッケージにおいて、前記パッケージ蓋体が上記電磁波吸収体で形成されたことを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の電磁波吸収体について詳細に説明する。
【0014】
先ず、本発明の電磁波吸収体はFe及びAlを含有する焼結体からなり、その含有量がFe 20mol%以上90mol%以下、Al が10mol%以上80mol%以下、残部が25mol%以下であるとともに、気孔率が2%から15%であり、周波数10GHz以上における電磁波の減衰量が2dB以上であることが重要である。
【0015】
ここで、Fe23を20mol%以上としたのは、20mol%未満とすると電磁波吸収体の体積固有抵抗が上がることで、良好な電磁波吸収特性が得られないからである。
【0016】
また本発明の電磁波吸収体は、Fe23の含有量が40〜90mol%であることが好適である。
【0017】
ここで、Fe23の含有量を40mol%以上としたのは、20mol%以上40mol%未満では、電磁波吸収特性は良好であるものの、Fe23の含有量が微妙に違っても電磁波吸収特性に及ぼす感度が大きく、高周波回路用パッケージの設計を難しくするからである。
【0018】
一方、Fe23の含有量を90mol%以下としたのは、90mol%を超えると、焼成温度を相当上げなければ焼結させることが難しく、良好な電磁波吸収特性が得られない場合があるからである。
【0019】
また、その残部にAl23を含有させたのは、Al23を全く含まない場合は電磁波吸収体の体積固有抵抗が上がり、良好な電磁波吸収特性が得られないとともに、低温で焼結させることが難しくなるからである。本発明の電磁波吸収体をなす焼結体は、上述したようにFe23を含むことで、焼結性が悪くなる傾向があるが、所定量のAl23を含有することで低温で緻密な焼結体を得ることができる。上記電磁波吸収体は成形圧や焼成温度によっては10dB以上の大きな電磁波の減衰量が得られるという観点から電磁波吸収体に対し、Al23を10〜60mol%含有させることが好適である。
【0020】
また、一般的な高周波回パッケージで用いられる周波数帯域、即ち周波数10GHz以上における電磁波の減衰量を2dB以上としたのは、2dB未満では空洞共振を抑制することができないからである。
【0021】
また、Fe及びAl 残部ZnO,CuO,Biの少なくとも一種であることが好ましく、このようにすることで、焼成温度を1400℃、成形圧を460MPa程度と低くしても、電磁波吸収体として焼結させることができる。ここで、ZnO,CuO,Biの含有量は、電磁波吸収体の体積固有抵抗を10Ω・m以下にできるという観点から、電磁波吸収体に対し、1mol%以上であることが好ましい。また、ZnO,CuO,Biの含有量は、電磁波吸収体に対し、25mol%以下であることが好ましい。25mol%を超えると焼結可能な温度領域がたいへん狭くなり、量産には向かなくなってしまうからである。
【0022】
さらに、電磁波吸収特性に大きな影響を及ぼす因子の一つである体積固有抵抗値は5×105Ω・m以下とすることが好ましい。これは、体積固有抵抗値を5×105Ω・m以下とすることで、周波数10GHz以上における電磁波の減衰量2dB以上の達成が容易となるからである。
【0023】
例えば、図1に示すように半導体素子(不図示)を実装した高周波回路基板14が取り付けられ、その表面に伝送線路15を形成したパッケージベース12と、パッケージベース12上に取り付けられたパッケージ蓋体11とからなる高周波回路用パッケージ10内部に本発明の電磁波吸収体16を装着することで良好な電磁波吸収特性が得られるとともに、空洞共振を抑制することができる。
【0024】
また、電磁波吸収体16は、Br、Cl、S元素を含む化合物が含まれないことが重要である。電磁波吸収体16がBr、Cl、S元素を含む化合物を含んでいると、電磁波吸収体16を高周波回路用パッケージ10内部に装着した場合、半導体素子(不図示)や伝送線路15等を腐食させるからである。本発明の電磁波吸収体16はフェライト系セラミックスで形成されることからBr、Cl、S元素を含む化合物を本質的には含んでいないので、半導体素子(不図示)や伝送線路15等を腐食させることはない。
【0025】
但し、本発明の電磁波吸収体16は、SiO2やCa,Al,Co,Cu,Mn等の金属元素を不可避不純物として数100ppm程度含んでいても、半導体素子(不図示)や伝送線路15等を腐食させることはないので、何ら差し支えない。
【0026】
本発明の電磁波吸収体は、以下の方法によって作製される。
【0027】
先ず、Fe2320mol%以上の原料粉末及びAl23の原料粉末を、水とともにボールミルまたはビーズビルに投入調合した後、少なくとも6時間以上湿式混合を行うことで、所定の粘性を有するスラリーを得る。
【0028】
ここで、Fe23原料粉末やAl23原料粉末をボールミルまたはビーズビルに投入調合する際、本発明の範囲内において公知の硬化剤、硬化助剤、滑材、可塑剤、分散剤、離型剤、着色剤、増量剤(無機材)を少量添加しても何ら差し支えない。
【0029】
また、湿式混合を行った後のFe23原料粉末やAl23原料粉末の平均粒径は、焼結性確保のため、1μm以下、好ましくは0.85μm以下であることが好ましい。
【0030】
さらに、より低圧での成形を可能にするという観点から、ZnO,CuO,Biの少なくとも一種原料粉末添加することが好ましく、その添加量の合計が5〜10mol%であることが特に好適である。このようにすることで、成形に用いる装置のコスト低減をることができ、複雑な形状の電磁波吸収体を作製することもできるようになる。
【0031】
次に、噴霧乾燥機を用い、上記スラリーを乾燥、造粒した後、得られた造粒粉を所望の成形手段、例えば、粉末加圧成形法により、任意形状の成形体を得る。
【0032】
あるいは、上記スラリーを乾燥したものを800〜1100℃程度で仮焼合成を行い、ボールミルやビーズミル等で粉砕し、噴霧乾燥機で再度乾燥させた後、所望の成形手段、例えば、粉末加圧成形法により、任意形状の成形体を作製してもよい。
【0033】
ここで、粉末加圧成形法を用いる場合、その成形圧は、例えば460〜1900MPaとすればよい。
【0034】
そして、上記成形体を1400〜1600℃、保持時間0〜2時間で焼成した後、300〜500℃/時間で降温することで本発明の電磁波吸収体が得られる。
【0035】
また、体積固有抵抗値が5×105Ω・m以下となる電磁波吸収体を得るには、上述した製造方法において、成形圧を934MPa以上とするか、焼成温度を1500℃以上にすればよい。
【0036】
なお、厚みの薄い電磁波吸収体を作製する場合、焼成後、研削あるいは研磨等の加工を施してもよい。
【0037】
上記のようにして得られた電磁波吸収体は、直方体に限らず、円柱、円錐、三角柱、三角錐、それらの組み合わせ、あるいは電磁波吸収体内部に空隙部が存在しても良い。また、電磁波吸収体を装着する位置は高周波回路用パッケージの特性に影響が無く、且つ空洞共振を抑制できれば、高周波回路用パッケージ内部のどこでも良い。
【0038】
本発明の電磁波吸収体16を高周波回路用パッケージ10内部に装着する場合、パッケージ蓋体11に対し、電磁波吸収体16を半田か公の熱硬化性樹脂系接着剤で固定すればよい。熱硬化性樹脂系接着剤を用いる場合、特にエポキシ系樹脂を使用するのが好ましい。
【0039】
また、半田や熱硬化性樹脂系接着剤にはBr、Cl、S元素の化合物を含まないことが重要である。前述の通り、Br、Cl、S元素の化合物が含まれていると、半導体素子(不図示)や伝送線路15等を腐食させる原因となるからである。
【0040】
また、熱硬化性樹脂系接着剤(以下、単に接着剤という。)を用いて電磁波吸収体16をパッケージ蓋体11に固定する場合、接着剤のヤング率は10GPa以下、特に5GPa以下であることが好ましい。これは、通常パッケージ蓋体11の材質と電磁波吸収体16の材質とは線膨張係数が異なるため、接着剤のヤング率が10GPaより大きくなると、電磁波吸収体16の内部に発生する応力を十分に緩和することができずに高周波回路用パッケージ10を破壊してしまうためである。
【0041】
これらを満たす接着剤としては、エポキシ系樹脂が好ましく、特にビスフェノールA型エポキシ樹脂を使用するのが好ましい。
【0042】
また、パッケージ蓋体11に対する電磁波吸収体16の接着方法は、予め電磁波吸収体16またはパッケージ蓋体11に接着剤を印刷、塗布等行った後、電磁波吸収体16とパッケージ蓋体11とを接触した状態で、所定の温度で熱処理することによって得られる。
【0043】
また、電磁波吸収体16には開気孔が存在することが好ましい。パッケージ蓋体11と接する面に開気孔が存在すると、電磁波吸収体16とパッケージ蓋体11とを接着する際に、接着剤が電磁波吸収体16の開気孔内に入り込み、接着強度を高くすることができる。電磁波吸収体16の内部には、空隙、気孔等が存在するため、表面を研削加工することで開気孔が得られる。
【0044】
このような開気孔を得るためには、電磁波吸収体16の気孔率が2%から15%程度であることが好ましい。
【0045】
このような電磁波吸収体16は、高周波回路用パッケージ10内部で、空洞共振や半導体素子より発生する不要輻射波等を抑制することができるとともに、電磁波吸収体1や接着剤から腐食性を有する脱離ガスが発生しないことから、高周波回路用パッケージ 10 内部に実装される半導体素子や、パッケージベース 12 に形成される伝送線路 45 等を腐食させるといった問題がなく、信頼性の高い高周波回路用パッケージ10とすることができる。
【0046】
また、本発明の他の実施形態としては、図2に示すようにパッケージベース12と、パッケージベース12上に取り付けられたパッケージ蓋体11とからなる高周波回路用パッケージ10において、パッケージ蓋体11を本発明の電磁波吸収体16で形成してもよく、空洞共振や半導体素子より発生する不要輻射波等を抑制することができるだけでなく、部品点数を削減できると同時に電磁波吸収体を装着するための工程を廃止することができ、製造コストを引き下げることもできる。また、電磁波吸収体16で形成されたパッケージ蓋体11から腐食性を有する脱離ガスが発生しないことから、高周波回路用パッケージ内部に実装される半導体素子や、パッケージベース 12 に形成される伝送線路 45 等を腐食させるといった問題がない。
【0047】
なお、パッケージ蓋体11を本発明の電磁波吸収体16で形成した場合、電磁波吸収体16はパッケージ蓋体としての特性上、気孔率2%以下の緻密な焼結体とすることが好ましい。
【0048】
さらに、本発明の電磁波吸収体を電気ー光変換器を有する光通信器に装着しても良好な電磁波吸収特性が得られることは言うまでもない。
【0049】
【実施例】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
【0050】
(実施例1)
先ず、Fe23及びAl23の原料粉末が表1に示す比率になるように秤量したものを出発原料とした。この出発原料を水とともに、ボールミルに投入調合した後、8時間湿式混合を行うことで、所定の粘性を有するスラリーを得た。次に、噴霧乾燥機を用い、上記スラリーを乾燥、造粒した後、得られた造粒粉を粉末加圧成形法により、表1に示す成形圧で成形することで成形体を得た。
【0051】
そして、上記成形体を表1に示す焼成条件で焼成することにより、外形寸法3mm×7mm×0.4mmの電磁波吸収体16及び外径20mm、厚み2mmの評価用試料を得た。
【0052】
その後、上記電磁波吸収体16の装着によって得られる電磁波の減衰量及び評価用試料の体積固有抵抗値を測定し、電磁波吸収体16の共振抑制効果についても評価を行った。
【0053】
電磁波吸収体16の装着によって得られる電磁波の減衰量は、以下のようにして測定した。
【0054】
先ず、図3に示すように、伝送線路15が形成されたパッケージベース12上に、伝送線路15を覆うように電磁波吸収体16を載置した。ここで、パッケージベース12の外形寸法は、10mm×10mm×0.5mmとした。次に、伝送線路15にプローブ17を押し当て、プローブ17から同軸ケーブル(不図示)を介して接続されるネットワークアナライザー(不図示)により、周波数帯域10〜40GHzで電力反射係数S11、電力透過係数S21を測定した。電磁波吸収体16の装着によって得られる電磁波の減衰量は、電力反射係数S11、電力透過係数S21を以下の数式に代入することで算出した。
【0055】
【数1】
Figure 0004028765
【0056】
ここで、図3に示すパッケージベース12単体は、電力透過係数S21が−1.5dB以上のものを使用した。電磁波吸収体16の共振抑制の効果については、図4に示すように、伝送線路15が形成されたパッケージベース12と、パッケージベース12上に取り付けられ、8mm×8mm×0.8mmの空洞を有するAuメッキ付きコバール(KOV)製のパッケージ蓋体11とからなる高周波回路用パッケージ10を用いて評価した。なお、電磁波吸収体16は、パッケージ蓋体11をパッケージベース12に取り付ける前に、パッケージ蓋体12内部に低融点半田で接合した。
【0057】
電磁波吸収体16の共振抑制の評価については、伝送線路15にプローブ17を押し当て、プローブ17から同軸ケーブル(不図示)を介して接続されるネットワークアナライザー(不図示)により10〜40GHzにおける電力透過係数S21を測定し、電磁波吸収体16を装着しないときの電力透過係数S21(o)との差の絶対値ΔS21が0.1dB未満であったものを共振抑制の効果が良好なものとして○、0.1dB以上であったものを共振抑制の効果がないものとして×とした。
【0058】
一方、評価用試料の体積固有抵抗値については、その形状を除き、JIS C2141(1992)に準拠して測定した。
【0059】
周波数10,20,40GHzにおける電磁波の減衰量の算出結果、体積固有抵抗値の測定結果及び10〜40GHzにおける共振抑制の評価結果を表1に示す。
【0060】
表1の結果から明らかなように、試料No.1〜4は、Fe23の比率が20%未満であるため、2dB以上の大きな減衰量は得られず、共振抑制の評価でもΔS21は0.1dB以上となり、共振が発生した。
【0061】
また、試料No.14,18,22,26は、焼結温度が1500℃であるAl23の比率が50%と比較的高いものであるにも係わらず、焼成温度を1400℃と低くしたことにより、緻密な焼結体が得られなかった。その結果、2dB以上の大きな減衰量が得られず、共振抑制の評価でもΔS21は0.1dB以上となり、共振が発生した。
【0062】
また、試料No.30はAl23の比率が40%と低くしてはいるものの成形圧が467MPa、焼成温度が1400℃とともに低いことにより、やはり緻密な焼結体が得られなかった。その結果、2dB以上の大きな減衰量は得られず、共振抑制の評価でもΔS21は0.1dB以上となり、共振が発生した。
【0063】
また、試料No.62もAl23を含まないため、2dB以上の大きな減衰量は得られず、共振抑制の評価でもΔS21は0.1dB以上となり、共振が発生した。
【0064】
一方、本発明実施例である試料No.5〜13,15〜17,19〜21,23〜25,27〜29,31〜61は、2dB以上の大きな減衰量を得ることができるとともに、共振の発生も防ぐことができ、電磁波吸収体として良好であった。
【0065】
【表1】
Figure 0004028765
【0066】
(実施例2)
次に、Fe23、Al23及びZnOの原料粉末が表2に示す比率になるよう秤量したものを出発原料とした。この出発原料を水とともに、ボールミルに投入調合した後、8時間湿式混合を行うことで、所定の粘性を有するスラリーを得た。次に、噴霧乾燥機を用い、上記スラリーを乾燥、造粒した後、得られた造粒粉を粉末加圧成形法により、表2に示す成形圧で成形することで成形体を得た。
【0067】
そして、上記成形体を表2に示す焼成条件で焼成することにより、外形寸法3mm×7mm×0.4mmの電磁波吸収体16を得た。
【0068】
得られた電磁波吸収体16の嵩密度の測定結果を表2に示す。また、嵩密度と焼成温度との関係を成形圧ごとに試料No.63〜82については図5に、試料No.83〜102については図6にそれぞれ示した。
【0069】
図5からわかるように試料No.63〜82は、ZnOが含まれていないために、成形圧によって嵩密度が大きく変動し、場合によっては低圧成形や低温焼成を行うことができない。
【0070】
一方、図6からわかるように試料No.83〜102は、ZnOが含まれているため、成形圧が変わっても嵩密度はほぼ一定であることから、低圧成形や低温焼成を可能とし、製造コストを引き下げることができる。
【0071】
なお、本実施例では、電磁波吸収体にZnOが含まれている例で説明したが、ZnO以外、CuO,Bi23の少なくともいずれか一種を含有する電磁波吸収体であっても同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0072】
【表2】
Figure 0004028765
【0073】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明によれば、Fe及びAlを含有する焼結体からなり、その含有量がFe 20mol%以上90mol%以下、Al が10mol%以上80mol%以下、残部が25mol%以下であるとともに、気孔率が2%から15%であり、周波数10GHz以上における電磁波の減衰量が2dB以上の電磁波吸収体とすることで、低温焼成を可能とし、腐食性を有する脱離ガスの発生がなく、良好な電磁波吸収特性を得ることができる。
【0074】
また、上記電磁波吸収体中のFe23の含有量を40〜50mol%とすることで、良好な電磁波吸収特性が得られると同時に、この電磁波吸収体を高周波回路用パッケージに用いる場合、高周波回路用パッケージの設計の自由度を高めることができる。
【0075】
また、Fe及びAl 残部がZnO,CuO,Biの少なくとも一種である電磁波吸収体とすることで、成形圧に関係なく、焼結性を安定させることができるとともに、成形に用いる装置のコスト低減をることができ、複雑な形状の電磁波吸収体を作製することもできる。
【0076】
また、体積固有抵抗値を5×105Ω・m以下とした電磁波吸収体とすることで、周波数10GHz以上における電磁波の減衰量2dB以上の達成を容易にできる。
【0077】
また、パッケージベースと、該パッケージベース上に取り付けられたパッケージ蓋体とからなる高周波回路用パッケージにおいて、上記電磁波吸収体を前記高周波回路用パッケージ内部に装着したことで、良好な電磁波吸収特性が得られると同時に、空洞共振を抑制することができる。また、電磁波吸収体から腐食性を有する脱離ガスが発生しないことから、高周波回路用パッケージ内部に実装される半導体素子や、パッケージベースに形成される伝送線路等を腐食させるといった問題がない。
【0078】
さらに、パッケージベースと、該パッケージベース上に取り付けられたパッケージ蓋体とからなる高周波回路用パッケージにおいて、前記パッケージ蓋体を上記電磁波吸収体で形成したことで、部品点数を削減できると同時に電磁波吸収体を装着するための工程を廃止することができ、製造コストを引き下げられる。また、電磁波吸収体で形成されたパッケージ蓋体から腐食性を有する脱離ガスが発生しないことから、高周波回路用パッケージ内部に実装される半導体素子や、パッケージベースに形成される伝送線路等を腐食させるといった問題がない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電磁波吸収体を備えた高周波回路用パッケージの断面図である。
【図2】パッケージ蓋体に本発明の電磁波吸収体を用いた高周波回路用パッケージの断面図である。
【図3】本発明の電磁波吸収体を装着することによって得られる電磁波の減衰量を測定する装置の断面図である。
【図4】本発明の電磁波吸収体を用いた高周波回路用パッケージの共振抑制を評価するための断面図である。
【図5】本発明の電磁波吸収体の焼成温度と嵩密度の関係を示すグラフである。
【図6】本発明の電磁波吸収体の焼成温度と嵩密度の関係を示すグラフである。
【図7】従来の電磁波吸収体を用いた高周波回路用パッケージの断面図である。
【符号の説明】
10・・・高周波回路用パッケージ
11・・・パッケージ蓋体
12・・・パッケージベース
13・・・グラウンド
14・・・高周波回路基板
15・・・伝送線路
16・・・電磁波吸収体
17・・・プローブ
20・・・電磁波の減衰量を測定する装置
70・・・高周波回路用パッケージ
71・・・パッケージ蓋体
72・・・電磁波吸収体
73・・・パッケージベース

Claims (6)

  1. Fe及びAlを含有する焼結体からなり、その含有量がFe 20mol%以上90mol%以下、Al が10mol%以上80mol%以下、残部が25mol%以下であるとともに、気孔率が2%から15%であり、周波数10GHz以上における電磁波の減衰量が2dB以上であることを特徴とする電磁波吸収体。
  2. Feの含有量が40〜90mol%であることを特徴とする請求項1に記載の電磁波吸収体。
  3. Fe及びAl 残部ZnO,CuO,Biの少なくとも一種であることを特徴とする請求項1または2に記載の電磁波吸収体。
  4. 体積固有抵抗値が5×10Ω・m以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の電磁波吸収体。
  5. パッケージベースと、該パッケージベース上に取り付けられたパッケージ蓋体とからなる高周波回路用パッケージにおいて、請求項1乃至4のいずれかに記載の電磁波吸収体を前記高周波回路用パッケージ内部に装着したことを特徴とする高周波回パッケージ。
  6. パッケージベースと、該パッケージベース上に取り付けられたパッケージ蓋体とからなる高周波回路用パッケージにおいて、前記パッケージ蓋体が請求項1乃至4のいずれかに記載の電磁波吸収体で形成されたことを特徴とする高周波回パッケージ。
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