JP4028194B2 - 不釣合い修正装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、被試験体としてのロータを駆動する装置と、ロータのジャーナルの位置に割り当てることが可能な、ロータのジャーナルを軸受するための多数の軸受装置と、修正する不釣合いを決定するための装置と、材料除去により不釣合いを修正するための装置とを含む、多数のジャーナルを有するロータ用の動釣合い試験機に使用するための不釣合い修正装置に関する。
【0003】
【従来の技術】
カール・シェンク・アーゲー社の「クランクシャフト用動釣合い試験機」という標題の印刷物B1420から、上記技術の動釣合い試験機が公知である。これは加工が終わったクランクシャフトの不釣合いを検出し、検出された不釣合いを修正するための装置である。マシンベッドに支持された揺動能力のある揺動フレームが、回転軸方向に変位可能で、交換可能な多数の軸受装置を有する。軸受装置は、クランク軸の適切なジャーナル、たとえば4−シリンダクランクシャフトの場合、その両側および中央のジャーナルを受け入れる。この公知の動釣合い試験機には、カウンタ軸受が設けられ、自由モーメントに基づきクランク軸が回転する間、クランクシャフトが外れるのを防止する。検出された不釣合いを修正するため、ガントリータイプドリル装置が備えられている。この装置はクランク軸の軸方向に変位可能であり、また、半径方向に変位可能なドリル切削装置として形成された材料除去装置である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
この公知の動釣合い試験機の場合、軸受に受け止められたクランクシャフト、特に、軽いクランクシャフトに対してドリル切削をする場合、軸受に受け止められたクランクシャフト軸が動くという課題があった。クランクシャフト軸が動くと不釣合い修正精度を高めることができない。
この発明は、かかる課題を解決するためになされたものである。
【0005】
すなわち、この発明の目的は、軸受に受け止められたロータに対する修正精度が向上した動釣合い試験機用の不釣合い修正装置を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
上述の発明の目的は、修正プロセスの間、ロータを固定する装置を有するこの発明により解決される。
【0007】
請求項1記載の発明は、被試験体であるロータの所定のジャーナル(20a,20b,20c)に割り当てられて、そのロータを軸受する複数の軸受装置(3,4,5)を有する、複数のジャーナルを備えるロータのための動釣合い試験機に装着可能な不釣合い修正装置であって、ロータの軸方向に、修正面に合わせて変位される1つの構成グループ(6)として構成されており、材料除去装置(7)と、材料除去装置(7)によりロータの一部が除去されて不釣合い修正が行われる間、当該ロータを軸受装置に固定するための固定装置(8)とを含み、材料除去装置(7)および固定装置(8)は、互いに、一方がベース装置としてロータの軸方向と平行方向および軸方向に直交方向に移動可能であり、かつ、他方がベース装置上で、ロータの軸方向と平行方向および軸方向に直交方向に移動可能であることを特徴とする不釣合い修正装置である。
【0008】
請求項2記載の発明は、前記固定装置(8)は、少なくとも1つの、任意の軸受装置(3,4または5)に割り当て可能な掴みアーム(9)を含むことを特徴とする、請求項1記載の装置である。
請求項3記載の発明は、前記掴みアーム(9)は、ロータのジャーナルを軸受装置に対して斜め上方から押さえつけることによってロータを軸受装置に固定することを特徴とする、請求項2記載の装置である。
【0009】
上述のように、この発明に係る不釣合い修正装置では、修正プロセスの際にロータを固定する装置8が備えられている。ロータを固定する装置8は、1つの構成グループ(または1つのユニット)6として構成された不釣合い修正装置に含まれている。不釣合い修正装置6には、上記ロータ固定装置8に加え、材料除去装置7が備えられている。これら材料除去装置7とロータ固定装置8とは互いに独立して位置決め可能であるのが好ましい。
【0010】
すなわち、材料除去装置7とロータ固定装置8とは、ロータ軸を含む加工面Bにおいて、ロータ軸に沿いかつロータ軸の半径方向で互いに独立して変位可能である。
材料除去装置7とロータ固定装置8とを変位させるために、それぞれ、2つの互いに直交して延びる直線状案内具10,11,12,13が備えられている。
不釣合い修正装置に含まれる材料除去装置7とロータ固定装置8とが互いに独立して位置決め可能である場合には、多様なロータやクランク軸に柔軟に対応できる。また不釣合い修正のための適切な修正位置を与えることができ、ロータ軸方向におけるジャーナルの一方側かまたは他方の側を修正位置として定めることができる。
【0011】
ロータ固定装置8は、少なくとも1つの、任意の軸受装置3,4または5に割り当て可能な掴みアーム9を有するのが望ましく、掴みアーム9は、ロータ修正面に隣接可能な軸受装置に対してカウンタ軸受として作用する。すなわち掴みアーム9は、ロータ修正面に隣接した軸受装置に搭載されたジャーナルを、斜め上方から押さえることにより、ロータを固定する働きをする。
ロータを固定する装置は、1つの構成グループとして形成された修正装置6に備えられているから、ロータ(具体的にはクランクシャフト)を損傷することなく、たとえば修正ドリル切削装置により孔を穿つことにより、ロータの材料除去を確実に行うことができる。また材料除去プロセスの間にロータが動くことは、固定装置8により確実に防止される。
【0012】
この発明によれば、複数の軸受位置を有するロータ、特にクランク軸の不釣合いを修正する場合に、硬金属またはダイヤモンドを装備した工具による高速切削プロセスを可能にすることができる。そして正確な不釣合い成分の除去および精度の高い修正結果が得られる。
材料除去装置7とロータ固定装置8とが1つの構成グループとして形成されている場合には、この構成グループをモジュールとし、既存の動釣合い試験機の装備に容易に追加することが可能である。
【0013】
追加の場合には、動釣合い試験機のベッドにより材料除去装置7およびロータ固定装置8を有するモジュール(1つの構成グループ)を支持することが適切である。この構成グループの支持は、直線状案内具を介して行うことができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
次に、この発明を図面に示した実施形態に基づき詳細に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る不釣合いを修正するための構成を示す側面図である。但し図1では、動釣合い試験機の構成は簡略化されている。
図2は、図1に示す不釣合いを修正するための構成の平面図である。
図1に示す動釣合い試験機1は、被試験体であるロータ、具体的にはクランク軸2の不釣合い測定および不釣合いの修正を行うための装置である。図ではクランク軸2の駆動装置、測定値計測装置および修正する不釣合いを決定する評価装置は示されていないが、これらの構成は動釣合い試験機の分野において周知のものである。
【0015】
動釣合い試験機1は、揺動フレームを有し、揺動フレームは不図示のばねによりマシンベッド30に支持されている。揺動フレームは、クランク軸2を受け入れるために、クランク軸2のジャーナルの位置において3つの軸受装置3,4,5を有する。図示の実施形態の場合、5つのジャーナルを有する4−シリンダクランク軸2が扱われており、このクランク軸2の両外側のジャーナル20a,20cおよび中央のジャーナル20bが軸受装置3,5および4でそれぞれ受け止められている。
【0016】
なお、軸受装置3,4,5が図示とは異なるジャーナルを受け止めるように、軸受装置3,4,5の間隔を変位させてもよいし、軸受装置を追加してより多くのジャーナルを受け止められる構成としてもよい。また、5−シリンダクランク軸や6−シリンダクランク軸を受け止める場合は、それに合わせて軸受装置の間隔を変位させたり、軸受装置を追加すればよい。
マシンベッド30には、修正プロセスの際に発生する屑を除去するのに役立つ装置が備えられている。すなわち、ガイド受け板17とそれに関連付けられた搬送ベルトを有する屑用コンベア18とが略図で示されている。既知の方法で、回転するロータ2の不釣合い測定作業の際、大きさと角位置に従って修正する不釣合いを決定する目的で、図示されていない測定値記録装置が不釣合い振動を検出し、角位置を決定するために使用される。
【0017】
動釣合い試験機1は、不釣合いを修正する装置6を有する。この装置6は、1つの構成グループ(または1つの構成ユニット)として形成されており、材料除去装置7およびロータ固定装置8が含まれている。
材料除去装置7は、ドリル切削装置であり、その切削軸の方向はロータ軸に対して半径方向斜め上方に配置されている。
ロータ固定装置8は、掴みアーム9を有する。この掴みアーム9によって、修正プロセスの際、ロータ(クランク軸)2が軸受装置3,4または5に押しつけられる。そのとき、修正位置あるいは修正面に応じて軸受装置3,4または5が選択される。図2に示された実施形態では、修正面Aと軸受装置4とが選ばれた状態になっている。不釣合いを修正する装置6は、ロータ2の軸方向に、修正面に合わせて変位される。さらに、材料除去装置7およびロータ固定装置8は、互いに独立して位置決めすることかできる。すなわち後述するように、材料除去装置7およびロータ固定装置8は、独自のレールによってロータ2の軸方向と平行方向および軸方向に直交方向に移動可能になっている。
【0018】
この実施形態にかかる不釣合いを修正する装置6は、マシンベッド30に支持され、マシンベッド30に向き合って変位可能である。不釣合い修正装置6を構成する構成グループは、まず第1の直線状案内具(第1の直線レール対)10を介してロータ2の軸に平行にロータ2の軸方向(ロータ縦方向)に変位される。また第2の直線状案内具11を介してロータの軸方向に直交しかつロータ2に接近,離反する方向に移動される。
【0019】
第1の直線状案内具10を介して、材料除去装置7、具体的にはドリルを修正面Aに臨ませることができる。また、第2の直線状案内具11を介して、材料除去のためドリルがロータ2の半径方向に変位可能である。ドリルは、ドリル切削プロセスの間の送りが、ドリル主軸の送りで行われるようにされていて、通常縦(ドリルの長手方向)に変位可能である。
これらの運動とは独立して、ロータ2を固定する装置8、すなわち掴みアーム9が、第3の直線状案内具(直線状レール対)12を介してロータ2の軸に平行に、つまりロータの軸方向に変位できる。さらに第4の案内具13を介してロータの軸方向に直交し、ロータ2に接近,離反する方向に変位できる。
【0020】
第3の直線状案内具12を介して、掴みアーム9が、割り当てられた軸受装置4に対して位置決めされる。そしてロータ2のジャーナル20bが軸受装置4に置かれた後、第4の直線状案内具13を介して、ロータ2のジャーナル20bに対してその半径方向にアーム9が移動される。そしてアーム9の先端でジャーナル20bを斜め上方から軸受装置4に向けて押さえることで、ロータ2は軸受装置4に固定される。
【0021】
上述の実施形態では、不釣合い修正装置6は、1つの構成グループで形成されていて、それは、X方向およびY方向に変位可能な材料除去装置7と、材料除去装置7に対して取り付けられ、材料除去装置7に対してX方向およびY方向に変位可能なロータ固定装置8とを含んでいる。つまり材料除去装置7とロータ固定装置8との関係を見ると、材料除去装置7がベース装置であり、そのベース装置7に対してロータ固定装置8が搭載されている。しかしこの関係を逆にしてもよく、ロータ固定装置8をベース装置とし、その上に材料除去装置7が搭載された構成であってもよい。
【0022】
なお、材料除去装置7およびロータ固定装置8は、図示していないが所定の駆動装置によりそれぞれX方向およびY方向に駆動される。
構成グループ6全体が第2の直線状案内具11に沿って変位することにより、構成グループ6はロータ2の軸に対して半径方向に移動する。その際、材料除去装置7に対して空間的に固定され、構成グループ6内に配置されたばね掴み部材15が、掴みアーム9に取り付けられたばね掴み部材16に向かって動き、その間に置かれたばね14に応力を加える間、掴みアーム9は半径方向に留まったままである。その結果、材料の切削が実行されている間、ロータ2のジャーナル20bに置かれた掴みアーム9の先端が、予め応力が加えられたばね14の力で軸受装置4に押しつけられ、ロータ2が固定される。
【0023】
修正プロセスの最初の段階で、まずドリル7および掴みアーム9がロータ2の軸方向に位置決めされ、その後、材料除去(材料の切削)のために、ドリル7および掴みアーム9、すなわち構成グループ6がロータ2の半径方向に移動される。ドリル7がロータ2に接触する前に、掴みアーム9は、ロータ2のセンタージャーナル20bに達し、ジャーナル20bを軸受装置4に対してばね14の圧縮されたばね力により押しつける。
【0024】
つまりこの実施形態では、掴みアーム9の先端がジャーナル20bに斜め上方から当接され、ジャーナル20bを軸受装置4に斜め上方から押しつけることにより、ジャーナル20b、すなわちロータ2を軸受装置4に対して固定状態にする。この状態では、まだドリル7の先端は修正面Aに接していない。次に、修正装置6全体が、第2の直線状案内具11によってロータ2の半径方向に、ロータ2に近接するように変位され、ドリルによって修正面Aが切削される。この時、掴みアーム9もロータ2の半径方向に、ロータ2に近接するように変位されるが、その変位はばね14の伸縮により吸収されて、ばね14のばね力により掴みアーム9の先端がジャーナル12を押さえつけるのである。
【0025】
ばね14の代わりに、たとえば空気圧シリンダ等がばね掴み部15,16の間に配置されていてもよい。ばね14を用いた場合はその伸縮によりばね力が変化するが、空気圧シリンダではその力が一定に保たれる利点がある。
切削送りは、移動するドリル主軸で行われる。修正プロセスの間に生じる屑は、下方に向かって落ち、ガイド板17を介して、運び出すために屑用コンベア18に送られる。
【0026】
さらに次の修正を行うために、ロータ2の軸方向に変位し、所定の修正面にドリルが置かれる。修正位置はロータ2が回転する間にドリルに対する所定の角位置に配置される。
この発明は以上説明した実施形態に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態に係る不釣合い修正装置の構成を示す側面図である。
【図2】この発明の一実施形態に係る不釣合い修正装置の構成を示す平面図である。
【符号の説明】
1 動釣合い試験機
2 クランク軸(ロータ)
3,4,5 軸受装置
6 不釣合い修正装置(構成グループ)
7 材料除去装置(ドリル切削装置)
8 ロータ固定装置
9 掴みアーム
10 第1の直線状案内具
11 第2の直線状案内具
12 第3の直線状案内具
13 第4の直線状案内具
14 ばね
15,16 ばね掴み部材
17 ガイド受け板
18 屑用コンベア
20a,20b,20c ジャーナル
A 修正面
30 マシンベッド
Claims (3)
- 被試験体であるロータの所定のジャーナル(20a,20b,20c)に割り当てられて、そのロータを軸受する複数の軸受装置(3,4,5)を有する、複数のジャーナルを備えるロータのための動釣合い試験機に装着可能な不釣合い修正装置であって、
ロータの軸方向に、修正面に合わせて変位される1つの構成グループ(6)として構成されており、
材料除去装置(7)と、
材料除去装置(7)によりロータの一部が除去されて不釣合い修正が行われる間、当該ロータを軸受装置に固定するための固定装置(8)とを含み、
材料除去装置(7)および固定装置(8)は、互いに、一方がベース装置としてロータの軸方向と平行方向および軸方向に直交方向に移動可能であり、かつ、他方がベース装置上で、ロータの軸方向と平行方向および軸方向に直交方向に移動可能であることを特徴とする不釣合い修正装置。 - 前記固定装置(8)は、少なくとも1つの、任意の軸受装置(3,4または5)に割り当て可能な掴みアーム(9)を含むことを特徴とする、請求項1記載の装置。
- 前記掴みアーム(9)は、ロータのジャーナルを軸受装置に対して斜め上方から押さえつけることによってロータを軸受装置に固定することを特徴とする、請求項2記載の装置。
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