JP4027171B2 - 研磨方法 - Google Patents

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  • Grinding And Polishing Of Tertiary Curved Surfaces And Surfaces With Complex Shapes (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は高精度な光学素子を製造するための研磨方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、合成石英ガラス、低熱膨張ガラス、CVD−SiC材は高価であるにもかかわらず、その物理化学特性が優れているために高エネルギー短波長光用のレンズ、ミラーとして採用されている。これらのレンズ、ミラーの形状としては、平面、球面など単純な形状の要求も増してきている。これらの光学素子の代表的な構造として合成石英ガラス材を例に説明する。合成石英ガラス材を短波長光用のレンズとする工程は、最終形状に近い形状にする研削、そして研削面の形状誤差、うねり、表面粗さ等を低減し表面品質を向上する研磨からなる。
【0003】
この最終工程の研磨は、被加工面全域について形状計測を行ない、誤差量の多いところを長時間研磨するような小径研磨工具の滞留時間分布を算出し、前述の小径研磨工具を一定な運動(揺動、自転、または周転など)運動をさせながら被加工面上を前述の所定の滞留時間を実現するように走査させ、酸化セリウム、酸化ジルコニウム微粉、またはダイアモンド微粉等の研磨材を水に分散した研磨液を介在させるものが一般的である。この工程を繰り返すことで所定の自由曲面形状を仕上げていくものである。
【0004】
ここで研磨に用いる小径な研磨工具には図5(特開平07−75952号公報)に示すように、ポリッシャ(研磨工具)31cを保持するための工具保持部材31aに設けられた凸球面31dと加工力を加えるための荷重軸39の端部の支持部33に設けられた案内部35aとにより、少なくとも3個の互いに間隔をおいて配列された球35b…を挟み、凸球面31dの中心点が工具保持部材31aに保持された研磨工具31cの研磨面の中心点Oに一致するように構成する。このように、研磨工具31cの揺動に伴なうモーメントの発生による姿勢変化(被加工面の工具のある位置の曲率半径の球面を仮定して、その球面に研磨工具の研磨面が沿って揺動するときの工具のピッチング方向の姿勢変化)を原理上無視できる構成が提案されている。
【0005】
そして、本件発明者らにより参考文献「精密工学会1994年度秋季大会講演予稿集653〜654ページ」に報告されている加工の例(参考文献、654ページ、図8)にも示されるように被加工面形状をあらわす設計形状上において、研磨工具の中心が位置する1点における面の法線上に研磨工具の荷重軸を意図するように工具の位置をあらわす3座標(x、y、z)を算出形成し、その特定の荷重軸方向を定める荷重方向ベクトルを算出して、事前に被加工面上を工具が走査すべき走査パターンデータにそって研磨工具が移動するようなプログラムを生成していた。
【0006】
すなわち、幾何学的に被加工面を表す曲面上にあらわされた、研磨工具の走査すべき走査パターンの各座標値を計算するのに各点における法線を荷重方向としていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記特開平07−75952号公報に開示されている従来の研磨工具保持装置では、工具を高速に揺動運動させた場合、工具が高速度で自転するため工具保持部材31aに設けられた凸球面31dと加工力が加えられる支持部33に設けられた案内部35aとによって挟まれ互いに間隔を置いて配置された球35bが慣性力により接触状態が不安定となり、研磨工具31cや工具保持部材31aに必要な円滑な傾動追随運動が妨げられてしまうことがあった。そのため、特に高速度で自転するような工具にはこのような研磨工具保持装置を省く必要がある。
【0008】
研磨工具保持装置をもたない研磨工具において法線を荷重方向とすると、研磨工具は位置だけではなく有限ではあるが大きさを持ち被加工面と接しながら移動することを十分に反映していないので、精度の高い研磨加工が困難となることがあった。すなわち、全体の形状が凹面であり被加工面形状が小領域の中で大きく曲率半径が変わるような部分では有限ではあるが大きさを持つ研磨工具は曲率半径が小さくなる側での接触と曲率半径が大きくなる側での接触にアンバランスが生じる。この時、曲率半径が小さくなる側で接触圧力が大きくなるので研磨除去量が増加してしまう。このために予定されていた研磨除去とは異なる研磨となり、精度が向上しないといった問題が発生していた。
【0009】
また、このために加工回数が増加するといった能率上の問題も発生していた。
【0010】
また、全体の形状が凸面であり被加工面形状が小領域の中で大きく曲率半径が変わるような部分でも、有限ではあるが大きさを持つ研磨工具は曲率半径が小さくなる側での接触と曲率半径が大きくなる側での接触にアンバランスが生じる。凸面の場合は、曲率半径が小さくなる側で接触圧力が減少してしまうので研磨除去量が予定以下となってしまい、逆に曲率半径が大きくなる側で接触圧力が増し、除去量が増加してしまう。
【0011】
このアンバランスに起因して、予定されていた研磨除去と異なる研磨が生じ、精度向上が困難となることがあった。
【0012】
これらの課題を解決するために、被加工物表面形状が小領域の中で大きく曲率半径が変化するような形状であっても、アンバランスを生じず工具接触圧力が均一になるような研磨方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係わる研磨方法は、研磨工具の工具軸中心線の方向に荷重を加え、前記研磨工具を被加工物表面の各加工点において揺動運動をさせて被加工物を設計形状に研磨する研磨方法であって、前記研磨工具が各加工点において移動する運動領域を含む平面を仮想工具面とし、前記仮想工具面の中心を通る面法線が前記加工点を通り、且つ、前記仮想工具面上であって前記運動領域の外周に予め定めておいた複数の点が被加工物の前記設計形状曲面と交わるように前記仮想工具面を傾け、前記傾けた仮想工具面の面法線を前記加工点における前記研磨工具の工具軸中心線として研磨することを特徴とする。
【0019】
【発明の実施の形態】
まず本発明の研磨方法を実施するための研磨装置について図1に基づいて説明する。図1(a)は本発明の研磨装置の一実施形態を示す斜視図である。
【0020】
図1(a)において、50はベッドであり、ベッド50上にはベッド50に対して相対的にy方向に往復移動可能なyテーブル52が取り付けられている。54はyテーブル52の移動を駆動するためのモータであり、モータ54にはエンコーダ56が付設されており、エンコーダ56によりyテーブル52のy方向移動量が検出される。yテーブル52上にはyテーブル52に対して直交方向に相対的に往復移動可能なxテーブル58が取り付けられている。60はxテーブル58の移動を駆動するためのモータであり、モータ60にはエンコーダ62が付設されており、エンコーダ62によりxテーブル58のx方向移動量が検出される。
【0021】
xテーブル58上には研磨槽64が固設されている。研磨槽64中には支持体66が固定されており、支持体66には軸68により被研磨物保持体70が取り付けられている。保持体70はL字形状をなしており、その垂直面部分に軸68が接続されている。軸68はx軸方向を向いていて、従って保持体70はx軸のまわりに回動可能である。支持体66にはモータ72が取り付けられており、その駆動回転軸は軸68に結合されている。モータ72にはエンコーダ73が付設されており、エンコーダ73によりx軸まわりの傾斜角(回動量)が検出される。また保持体70上には回転テーブル71が設置されており、該回転テーブルは不図示のモータ、エンコーダにより回転駆動、および回転位置の検出がなされる。
【0022】
一方、xテーブル58には研磨槽64の外側にコラム74が固定されている。コラム74には上下方向すなわちz方向のガイド76が形成されており、ガイド76に沿って上下方向に往復移動可能なように研磨工具ヘッド保持体78が取り付けられている。保持体78には研磨ヘッド80が支持されている。研磨ヘッド80には、図1(b)に示すように主軸81は副軸82を偏心位置に保持し,副軸82の下端に小径工具である円形の工具面を有する研磨工具84が保持されている。主軸81は副軸82を偏心位置に保持し、副軸82の下端に小径工具である円形の工具面を有する研磨工具84が保持されている。主軸81は図示しない駆動手段によって回転駆動され、副軸82に保持された研磨工具84を公転させる。副軸82の中心線を工具軸中心線Tとする。研磨工具84は、公転中に副軸82の回りの方向性(回転位置)が変化しないように、例えば1公転中に逆回りの1自転を行うような機構を介して副軸82に保持され、図示しないエアシリンダ等によって所定の研磨圧で被加工物100に当接される。
【0023】
主軸81は20rpm以上の高速で回転可能である。図3は、一加工点における研磨工具の動きを示した図であり、主軸81が回転すると、図3に示すように、研磨工具84の中心Oは、主軸81の回転中心である公転中心Oのまわりの円軌道R上を移動する。
【0024】
主軸を高速で回転させることで研磨効率を飛躍的に向上させることが可能となる。
【0025】
保持体78にはモータ86が取り付けられており、その駆動回転軸は研磨ヘッド80に接続されていて、研磨ヘッド80のy軸まわりの回動を駆動することができる。モータ86にはエンコーダ87が付設されており、エンコーダ87によりy軸まわりの傾斜角(回動量)が検出される。
【0026】
88は保持体78をガイド76に沿って上下方向(Z方向)に移動させるための駆動手段たるモータであり、モータ88にはエンコーダ89が付設されており、エンコーダ89により保持体78のZ方向移動量が検出される。
【0027】
上述した研磨装置を用いて研磨を行う際には、回転テーブル71上に被加工物100を積載固定する。被加工物100は適切な前加工により所定の表面粗さ、形状精度に仕上げられているものとする。
【0028】
また、研磨槽64中には研磨液102が適当量注入されている。
【0029】
92は制御装置であり、エンコーダ56,62からのyテーブル移動量およびxテーブル移動量、回転テーブル71の位置を検出するエンコーダからの回転テーブル回転量が入力され、その値から、実行指令プログラムに従って工具中心が順に各加工点へ移動するように、54,60、エアシリンダー88、不図示の回転テーブルのモータへ信号を出力する。本実施形態においては、加工点の移動方向(走査方向)をx軸方向へ一致させておく。モータさらに各加工点において、エンコーダ73,87によりx軸まわり、y軸まわりの回動量が入力され、工具接触圧力が均一になるような研磨工具の被加工物表面に対する傾斜角(後に詳述する)に合致する回動量を72,86のモータに出力する。そして研磨ヘッド80中の不図示の研磨ヘッド駆動モータ、およびまたはその動きを代換するモータを駆動し、揺動方向に揺動させて実行指令プログラムに従って各加工点毎に決められた時間工具を滞留させ、次の加工点に順に走査させて被加工物表面全体を研磨する。
【0030】
次に研磨装置を駆動するための実行指令プログラムの算出方法、特に各加工点において、工具接触圧力が均一になるような研磨工具の被加工物表面に対する傾斜角の算出方法を、図2のフローチャートを参照しながら説明する。
【0031】
まず、被加工面の設計形状式、使用する工具の実効サイズ、走査パターンを制御装置92のメモリ上に予め記憶させておく。
【0032】
また、被加工物表面の測定形状データも、メモリ上に(x,y,z)の三次元データとして記憶させておく。x,yについては、走査パターンから導き出した工具の加工位置(送りピッチ)とし、xy平面上に通常等間隔に配置する。そのポイントにおけるz値を測定し、記憶手段に記憶させておく。これが実際の加工プログラムにおける加工点となる。
【0033】
まず、記憶手段から被加工面の設計形状式を呼び出し、被加工面の設計形状曲面を算出し、被加工物表面の測定形状データと同じように、メモリ上に(x,y,z´)の三次元データとして記憶させる。このとき、x、yは、先に述べた被加工物表面の測定形状データにおける、xy平面上に通常等間隔に配置された工具の加工位置と同じ値とする。またこの設計形状曲面と被加工物表面の測定形状データを比較し形状誤差を算出し各加工点における工具の移動速度を表す滞留時間を算出し、記憶手段に記憶させておく。
【0034】
次に、仮想工具面を設定する。先に説明した図3の一加工点における研磨工具の動きを示した図を使って説明する。使用する工具の実効サイズJに工具の単位運動(揺動運動)の領域を加えた平面Kを仮想工具面とする。また、走査方向の中心軸S、走査方向に直交する方向の中心軸U、仮想工具面の中心Oを通る垂線を仮想工具面の面法線(不図示)と定める。さらに、ほぼ均等に分散するように仮想工具面の外周上に複数の計算ポイントを定めておく。ここでは、走査方向の中心軸上および走査方向と直交する方向の中心軸上にそれぞれ二点ずつA、B、C、Dを定めた。
【0035】
次に、被加工面の表面形状、ここでは求めておいた設計形状曲面上の加工点毎に、次の加工点への走査方向(ここではx軸方向)と仮想工具面の走査方向の中心軸Sを合わせた状態で仮想工具面を設計形状曲面に重ね合わせていく。予め設定しておいた仮想工具面の外周上の複数点が設計形状曲面上に交わった状態における仮想工具面の面法線の傾きを設計形状曲面の加工点の各座標毎に制御装置の記憶手段に記憶させる。
【0036】
具体的に仮想工具面の面法線の算出方法を図4を用いて説明する。図4(a)に本発明の一実施例である被加工物の設計形状を示し、図4(b)は、図4(a)の一加工点Mにおける走査方向中心軸Sに沿った線S−S´の断面を示し、図4(c)は、図4(a)の一加工点Mにおける走査方向と直交する方向の中心軸Uに沿った線U−U´の断面を示す。まず、図4(b)に示すように、仮想工具面をその走査方向の中心軸Sを被加工物の次の加工点への走査方向(ここではx軸方向)に合わせた状態で、中心軸Sの垂直二等分線が加工点Mを通るように、予め設定しておいた仮想工具面の外周と走査方向の中心軸Sが交わった点(C、D)が設計形状曲面上に交わるまで重ね合わせる。設計形状曲面上に交わった状態における仮想工具面の走査方向の中心軸回りの傾斜角βを算出し、一加工点Mの工具の加工位置を示す座標(x,y,z)とともに制御装置の記憶手段に記憶させる。この傾斜角をここではy軸回りの回動量として設定する。さらに、図4(c)に示すように、仮想工具面をその走査方向と直交する方向の中心軸Uを被加工物の次の加工点への走査方向(ここではx軸方向)と直交する方向(ここではy軸方向)に合わせた状態で、中心軸Uの垂直二等分線が加工点Mを通るように、予め設定しておいた仮想工具面の外周と走査方向と直交する方向の中心軸Uが交わった点(A、B)が設計形状曲面上に交わるまで重ね合わせる。この時の仮想工具面の走査方向と直交する方向の中心軸回りの傾斜角αを算出し、一加工点Mの工具の加工位置を示す座標(x,y,z)とともに制御装置の記憶手段に記憶させる。この傾斜角をここではx軸回りの回動量として設定する。
【0037】
以上、y軸まわりの回動量とx軸まわりの回動量を走査方向中心軸と走査方向と直交する方向の中心軸を別々に設計形状曲面上に重ね合わせることにより求めたが、まず走査方向中心軸Sを被加工物の次の加工点への走査方向(ここではx軸方向)に合わせた状態で、中心軸Sの垂直二等分線が加工点Mを通るように、予め設定しておいた仮想工具面の外周と走査方向の中心軸Sが交わった点(C、D)が設計形状曲面上に交わるまで重ね合わせる。設計形状曲面上に交わった状態における仮想工具面の走査方向の中心軸回りの傾斜角βを算出し、一加工点Mの工具の加工位置を示す座標(x,y,z)とともに制御装置の記憶手段に記憶させた後、その中心軸Sの垂直2等分線を動かさないようにしながら走査方向と直交する方向の中心軸Uを傾斜させ、中心軸Uの延長線上と設計形状曲面が交わった時の中心軸Uの中心からの距離が等しくなった時の傾斜角を算出しx軸まわりの回動量として設定してもよい。(図4(d)参照)
これを加工終点まで繰り返した後、制御装置の記憶手段に記憶させた、走査パターン及び工具の加工位置を示す各座標(x,y,z)における傾斜角α、βから、仮想工具面の面法線を実際の工具の荷重方向として設定でき、また滞留時間から工具の速度を設定し、加工時に加工装置を制御する実行指令プログラムを作成し、前述した研磨装置をこの実行指令プログラムに従って駆動し、被加工物を高精度に加工する。
【0038】
またこの実施形態においては次の加工点への走査方向を走査方向として被加工物をx軸方向へ向くよう設定したが、各加工点における最小の曲率半径を持つ方向を事前に記憶させておきその方向を走査方向(x軸方向)へ向くように設定してもよい。曲率半径が大きく変化するような形状においてより研磨圧力にアンバランスが生じやすくなるため、このように設定することで最小の曲率半径を持つ面を確実に計算することができるため、より曲率半径のアンバランスを生じにくくすることが可能になる。
【0039】
また、本実施形態においては周転揺動の例を示したが、その他の揺動(例えば一軸揺動)でも同様の効果を得ることができる。
【0040】
以上述べてきたように、従来研磨工具の軌跡上の一点における設計形状の面法線を研磨工具の荷重軸方向としたために生じた研磨圧力分布に偏りが生じてしまっていたが、研磨工具の大きさを考慮することで被加工物表面形状が小領域の中で大きく曲率半径が変化するような形状であっても、アンバランスが生じにくく、工具接触圧力をできる限り均一にすることができ、より高精度な加工を行なうことができる。
【0041】
【実施例】
本発明の実施例を以下に示す。
【0042】
軸対称の非球面形状を、従来の加工点における面法線で工具を工具軸中心線Tから荷重を加えた場合と、本発明による新たに工具の大きさを考慮した工具軸中心線Tから荷重を加えた場合を比較して示す。近似球面からの非球面量が大きく、直径があまり大きくない光学素子の加工を実施した場合の例である。
【0043】
(実施例1)
対象とした光学素子は、光線有効径107mm、凹面の非球面であり、近似球面の曲率半径は約184mmであり、非球面量は約1.7mmである。
【0044】
計算の結果、従来の方法による工具軸の中心線T、荷重方向と本発明による工具軸の中心線T、荷重方向の差は最大で約0.97°あった。工具の実効サイズは直径15mmであり、工具の単位運動は自転であり、その速度は20rpmである。したがって仮想工具面の大きさは直径15mmである。この場合、従来例では約0.25mmの接触状態のアンバランスが発生しており,この結果工具の偏荷重接触が発生してしまい狙いどおりの加工が進行しにくかった。これに比べ、本発明の条件では約0.25mmのアンバランスが解消したので当初のプログラムに近い研磨加工が行われた。具体的には、平均研磨量6μmで軸対称な誤差が従来例では約2μm発生したのに対して、本発明では約0.6μmの発生となった。
【0045】
(実施例2)
対象とした光学素子は、光線有効径130mm、凹面の非球面であり、近似球面の曲率半径は約111mmであり、非球面量は約0.3mmである。
【0046】
計算の結果、従来の方法による工具軸の中心線T、荷重方向と本発明による工具軸の中心線T、荷重方向の差は最大で約0.40°あった。工具の実効サイズは直径20mmであり、工具の単位運動は自転であり、その速度は40rpmである。したがって仮想工具面の大きさは直径20mmである。この場合、従来例では約0.14mmの接触状態のアンバランスが発生しており,この結果工具の偏荷重接触が発生してしまい狙いどおりの加工が進行しにくかった。これに比べ、本発明の条件では約0.14mmのアンバランスが解消したので当初のプログラムに近い研磨加工が行われた。具体的には、平均研磨量6.5μmで軸対称な誤差が従来例では約0.8μm発生したのに対して、本発明では約0.6μmの発生となった。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したように、研磨工具の大きさを考慮することで被加工物表面形状が小領域の中で大きく曲率半径が変化するような形状であっても、アンバランスが生じにくく、工具接触圧力をできる限り均一にすることができ、より高精度な加工を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の研磨方法を実施するための研磨装置
【図2】本発明のフローチャート
【図3】仮想工具面を示す図
【図4】本発明の一実施例である被加工物の設計形状
【図5】従来の研磨工具
【符号の説明】
50 ベッド
52 yテーブル
54 yテーブルの移動を駆動するためのモータ
56 エンコーダ
58 xテーブル
60 xテーブルの移動を駆動するためのモータ
62 エンコーダ
64 研磨槽
66 支持体
68 軸
70 被研磨物保持体
71 回転テーブル
72 モータ
73 エンコーダ
74 コラム
76 z方向のガイド
78 研磨工具ヘッド保持体
80 周転円研磨ヘッド
81 主軸
82 副軸
84 研磨工具
86 モータ
87 エンコーダ
88 モータ
89 エンコーダ
92 制御装置
100 被加工物
102 研磨液

Claims (2)

  1. 研磨工具の工具軸中心線の方向に荷重を加え、前記研磨工具を被加工物表面の各加工点において揺動運動をさせて被加工物を設計形状に研磨する研磨方法であって、前記研磨工具が各加工点において移動する運動領域を含む平面を仮想工具面とし、前記仮想工具面の中心を通る面法線が前記加工点を通り、且つ、前記仮想工具面上であって前記運動領域の外周に予め定めておいた複数の点被加工物の前記設計形状曲面と交わるように前記仮想工具面を傾け、前記傾けた仮想工具面の面法線を前記加工点における前記研磨工具の工具軸中心線として研磨することを特徴とする研磨方法。
  2. 前記複数の点は、前記仮想工具面上であって前記運動領域の外周と前記研磨工具が走査する方向の中心軸とが交わる点、及び前記仮想工具面上であって前記運動領域の外周と前記研磨工具が走査する方向と直交する方向の中心軸とが交わる点であることを特徴とする請求項1記載の研磨方法。
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