JP4023215B2 - 車両用操舵装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、操作部材の操作量と車輪の転舵量との比を変更可能な車両用操舵装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
操作部材の操作に応じた操舵用アクチュエータの動きを車輪に舵角が変化するように伝達する際に、操作部材の操作量と車輪の転舵量との比を変化させることで操舵特性を変更可能な車両用操舵装置が開発されている。そのような操舵装置として、操作部材を車輪に機械的に連結しない所謂ステアバイワイヤシステムを採用したものと機械的に連結したものとがある。ステアバイワイヤシステムを採用した操舵装置においては、ステアリングホイールを模した操作部材を車輪に機械的に連結することなく、操舵用アクチュエータの動きをステアリングギヤにより舵角が変化するように車輪に伝達する際に、その操舵用アクチュエータを制御することで操作量と転舵量との比を変更している。また、操作部材を車輪に機械的に連結した操舵装置においては、ステアリングホイールの回転を遊星ギヤ機構等の伝達比可変機構を介してステアリングギヤに伝達する際に、その遊星ギヤ機構を構成するリングギヤ等を駆動する操舵用アクチュエータを制御することで操作量と転舵量との比を変更している。
【0003】
ステアバイワイヤシステムを採用した操舵装置においては、車輪と路面との間の摩擦に基づく操舵抵抗やセルフアライニングトルクは操作部材に伝達されない。また、ステアリングホイールと車輪とが伝達比可変機構を介して機械的に連結されている操舵装置においては、その操舵抵抗やセルフアライニングトルクは操作部材の操作量に対応しない。そのため、操作部材に作用するトルクを発生する操作用アクチュエータを設けることでドライバーに操舵フィーリングを与えている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の操作部材の操作量と車輪の転舵量との比を変更可能な車両用操舵装置においては、操作用アクチュエータの制御パターンは一定とされていた。そのため、その一定の制御パターンに従って操作用アクチュエータを制御して操作部材にトルクを作用させた場合、操舵フィーリングがドライバーの好みに合致しないことがあった。
【0005】
また、従来の操作部材の操作量と車輪の転舵量との比を変更可能な車両用操舵装置においては、その比が変化しないように操舵用アクチュエータを制御することができなかった。そのため、操舵フィーリングがドライバーの好みに合致しないことがあった。
本発明は上記問題を解決することのできる車両用操舵装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の車両用操舵装置の第1の特徴は、操作部材と、その操作部材に作用するトルクを発生する操作用アクチュエータと、操舵用アクチュエータと、その操舵用アクチュエータの動きを舵角変化が生じるように車輪に伝達するステアリングギヤと、その操作部材の操作量の検出手段と、その車輪の転舵量の検出手段と、その操作部材の操作量と車輪の転舵量との比が車両運転条件に応じて変化するように、その操舵用アクチュエータを制御可能な制御系と、その操作用アクチュエータを制御可能な制御系と、その操作用アクチュエータの制御のために予め設定された互いに異なる複数の操作制御パターンの記憶手段と、その複数の操作制御パターンの中の何れかを選択するための操作用選択スイッチとを備え、その操作用選択スイッチにより選択される操作制御パターンに従って、その制御系により操作用アクチュエータが制御され、前記複数の操作制御パターンとして、第1操作制御パターン、第2操作制御パターン、及び第3操作制御パターンが記憶され、前記第1操作制御パターン、前記第2操作制御パターン、及び前記第3操作制御パターンそれぞれにおいて、路面から前記車輪に作用する反力に対応する付加トルクが前記操作部材に作用されるトルクに付加されるように前記操作用アクチュエータが制御され、前記付加トルクは、前記第1操作制御パターンでは前記第2操作制御パターンよりも小さくされると共に前記第3操作制御パターンよりも大きくされ、さらに前記車輪のサスペンションの変位に比例するものとされる点にある。
これにより、操作用アクチュエータの制御パターンを操作用選択スイッチの操作により変化させることができるので、ドライバーの好みに応じた操舵フィーリングを操作用選択スイッチの操作により選択できる。
【0007】
本発明の車両用操舵装置の第2の特徴は、操作部材と、その操作部材に作用するトルクを発生する操作用アクチュエータと、操舵用アクチュエータと、その操舵用アクチュエータの動きを舵角変化が生じるように車輪に伝達するステアリングギヤと、その操作部材の操作量の検出手段と、その車輪の転舵量の検出手段と、その操舵用アクチュエータを制御可能な制御系と、その操作用アクチュエータを制御可能な制御系と、その操作用アクチュエータの制御のために予め設定された互いに異なる複数の操作制御パターンの記憶手段と、その操舵用アクチュエータの制御のために予め設定された互いに異なる複数の操舵制御パターンの記憶手段と、その複数の操作制御パターンの中の何れかを選択するための操作用選択スイッチと、その複数の操舵制御パターンの中の何れかを選択するための操舵用選択スイッチとを備え、その操舵用選択スイッチにより選択可能な操舵制御パターンとして、その操作部材の操作量と車輪の転舵量との比が車両運転条件に応じて変化するように操舵用アクチュエータを制御するパターンと、その操作部材の操作量と車輪の転舵量との比が一定になるように操舵用アクチュエータを制御するパターンとが記憶され、その操作用選択スイッチにより選択される操作制御パターンに従って、その制御系により操作用アクチュエータが制御され、その操舵用選択スイッチにより選択される操舵制御パターンに従って、その制御系により操舵用アクチュエータが制御され、前記複数の操作制御パターンとして、第1操作制御パターン、第2操作制御パターン、及び第3操作制御パターンが記憶され、前記第1操作制御パターン、前記第2操作制御パターン、及び前記第3操作制御パターンそれぞれにおいて、路面から前記車輪に作用する反力に対応する付加トルクが前記操作部材に作用されるトルクに付加されるように前記操作用アクチュエータが制御され、前記付加トルクは、前記第1操作制御パターンでは前記第2操作制御パターンよりも小さくされると共に前記第3操作制御パターンよりも大きくされ、さらに前記車輪のサスペンションの変位に比例するものとされる点にある。
これにより、操舵用選択スイッチの操作によって操作部材の操作量と車輪の転舵量との比が変化する状態を選択することもできるし、その比が一定になる状態を選択することもできる。よって、ドライバーの好みに応じた操舵フィーリングを操舵用選択スイッチの操作により選択することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1に示す実施形態の車両用操舵装置は、ステアリングホイールを模した操作部材1と、操舵用アクチュエータ2と、その操舵用アクチュエータ2の動きを、その操作部材1を車輪4に機械的に連結することなく舵角変化が生じるように車輪4に伝達するステアリングギヤ3とを備える。
【0010】
操作部材1は、車体側により回転可能に支持される入力側回転シャフト10に同行回転するように連結されている。その入力側回転シャフト10に操作用アクチュエータ19の出力シャフトが一体化されている。その操作用アクチュエータ19は操作部材に作用するトルクを発生することができる。その操作用アクチュエータ19はブラシレスモータ等の電動モータにより構成できる。
【0011】
操舵用アクチュエータ2はブラシレスモータ等の電動モータにより構成できる。そのステアリングギヤ3は操舵用アクチュエータ2の出力シャフトの回転運動をステアリングロッド7の直線運動に変換する運動変換機構を有する。そのステアリングロッド7の動きがタイロッド8とナックルアーム9を介して車輪4に伝達されることで車輪4のトー角が変化する。そのステアリングギヤ3は公知のものを用いることができ、操舵用アクチュエータ2の動きを舵角が変化するように車輪4に伝達できれば構成は限定されない。本実施形態では、操舵用アクチュエータ2の出力シャフトに取り付けられたピニオン2aに噛み合うラック7aをステアリングロッド7に形成することで構成されている。操舵用アクチュエータ2が駆動されていない状態では、車輪4はセルフアライニングトルクにより直進位置に復帰できるようにホイールアラインメントが設定されている。
【0012】
操作部材1の操作量として操作角δhを検出する角度センサ11が設けられている。車輪4の転舵量として舵角δを検出する舵角センサ13が設けられている。本実施形態の舵角センサ13は舵角δとしてステアリングロッド7の移動量を検出する。車両運転条件として車速Vを検出する速度センサ14が設けられている。操作トルクThとして入力側回転シャフト10により伝達されるトルクを検出するトルクセンサ12が設けられている。その角度センサ11、トルクセンサ12、舵角センサ13、速度センサ14はコンピュータにより構成される制御装置20に接続されている。
【0013】
その制御装置20は、操舵用アクチュエータ2と操作用アクチュエータ19を制御する制御系を構成し、また、操作用アクチュエータ19の制御のために予め設定された互いに異なる複数の操作制御パターンと、操舵用アクチュエータ2の制御のために予め設定された互いに異なる複数の操舵制御パターンとを記憶する。その複数の操作制御パターンの中の何れかを選択するための操作用選択スイッチSw1と、その複数の操舵制御パターンの中の何れかを選択するための操舵用選択スイッチSw2とが制御装置20に接続されている。両スイッチSw1、Sw2は、例えば車両のインストルメントパネルにドライバーによって操作可能に取り付けられるトグルスイッチ等により構成できる。
【0014】
操作用選択スイッチSw1により選択可能な操作制御パターンとして、本実施形態では第1操作制御パターンと第2操作制御パターンと第3操作制御パターンとが記憶される。操作用選択スイッチSw1により選択される何れかの操作制御パターンに従って、操作用アクチュエータ19は制御装置20により制御される。例えば制御装置20は、各操作制御パターンに対応付けて操作角δhと目標操作トルクTh* との間の予め定めた関係を記憶する。本実施形態における操作角δhに対する目標操作トルクTh* の比Th* /δhは、操作部材1を遊びの範囲で操作している操作角δhの小さい範囲を除いて、図2において実線で示す第1操作制御パターンでの値K1が一点鎖線で示す第2操作制御パターンでの値K2よりも小さくされると共に二点鎖線で示す第3操作制御パターンでの値K3よりも大きくされ、各比K1、K2、K3が記憶される。制御装置20は検出操作角δhと記憶した比Th* /δhとから目標操作トルクTh* を演算し、目標操作トルクTh* と検出操作トルクThとの偏差をなくすように操作用アクチュエータ19の駆動信号を出力する。これにより、操作量を変化させた時の操作トルクの変化が、第2操作制御パターンの選択時は第1操作制御パターンの選択時よりも大きくなり、第3操作制御パターンの選択時は第1操作制御パターンの選択時よりも小さくなる。
また、路面から車輪4に作用する反力を操作部材1に作用するトルクに反映させるように操作用アクチュエータ19を制御し、ドライバーに路面の状況をフィードバックし、複数の操作制御パターンの互いとの相違がその反力の反映程度の相違に対応するものである。例えば、路面から車輪4に作用する反力に対応する値として車輪4のサスペンションの変位を検出するセンサを設け、その検出変位に比例する付加トルクを、凹凸のない路面を走行した場合に操作部材1に作用させるトルクに付加されるように操作用アクチュエータ19を制御する。その付加トルクを第1操作制御パターンでは第2操作制御パターンよりも小さくすると共に第3操作制御パターンよりも大きくする。これにより、平均的な凹凸の大きさの路面を走行する場合は第1操作制御パターンを選択し、凹凸の小さい路面を走行する場合は第2操作制御パターンを選択し、凹凸の大きい路面を走行する場合は第3操作制御パターンを選択することで、操作部材1に作用するトルクに路面状況を過不足なく反映できる。
【0015】
操舵用選択スイッチSw2により選択可能な操舵制御パターンとして、操作部材1の操作量と車輪4の転舵量との比が車両運転条件に応じて変化するように操舵用アクチュエータ2を制御する第1操舵制御パターンと、操作部材1の操作量と車輪4の転舵量との比が一定になるように操舵用アクチュエータ2を制御する第2操舵制御パターンとが記憶される。操舵用選択スイッチSw2により選択される何れかの操舵制御パターンに従って、操舵用アクチュエータ2は制御装置20により制御される。本実施形態の制御装置20は、第1操舵制御パターンに対応付けて操作部材1の操作角δhと車速Vと目標舵角δ* との間の予め定めた関係を記憶し、検出操作角δhと検出車速Vとから演算した目標舵角δ* と検出舵角δとの偏差をなくすように操舵用アクチュエータ2の駆動信号を出力する。その操作角δhと車速Vと目標舵角δ* との間の関係は、例えば車輪4の転舵量が最大値に達するまでは低車速で旋回性能を向上して高車速で走行安定性を向上するため、車速Vが大きくなる程に操作角δhに対する目標舵角δ* の比δ* /δhが小さくなるものとされる。なお、その比δ* /δhは車速Vに応じて変化するものに限定されず、例えば操作速度や操作角等の他の車両運転条件に応じて変化してもよく、その比が車両運転条件に応じて変化するように操舵用アクチュエータ2を制御できればよい。また制御装置20は第2操舵制御パターンに対応付けて操作部材1の操作角δhに対する目標舵角δ* の一定の比K=δ* /δhを記憶し、検出操作角δhから演算した目標舵角δ* と検出舵角δとの偏差をなくすように操舵用アクチュエータ2の駆動信号を出力する。その比Kは車両の操舵特性に応じて予め適宜定められる。
【0016】
なお、図1に示すように出力側回転シャフト15が、舵角変化による車輪4の動きに応じて回転するように車輪4に機械的に連結されている。例えば上記ラック7aに噛み合うピニオン15aに出力側回転シャフト15が同行回転するよう連結されている。出力側回転シャフト15と上記入力側回転シャフト10は通常は相対回転し、操舵用アクチュエータ2や制御系の故障等の異常発生時に操舵ができるように連結機構30を介して連結される。その連結機構30は、例えば上記制御装置20からの信号により異常発生時に入力側回転シャフト10と出力側回転シャフト15とを連結する電磁クラッチにより構成される。
【0017】
図3のフローチャートを参照して実施形態の制御装置20による操舵用アクチュエータ2と操作用アクチュエータ19の制御手順を説明する。
まず、各センサによる検出値を読み込む(ステップS1)。次に、操舵用選択スイッチSw2により第1操舵制御パターンが選択されているか否かを判断する(ステップS2)。ステップS2において第1操舵制御パターンが選択されていれば、検出操作角δhと検出車速Vと第1操舵制御パターンに対応付けて記憶された関係とから目標舵角δ* を求め(ステップS3)、目標舵角δ* と検出舵角δとの偏差をなくすように操舵用アクチュエータ2を制御する(ステップS4)。ステップS2において第1操舵制御パターンが選択されていない場合、第2操舵制御パターンに対応付けて記憶した操作角δhに対する目標舵角δ* の一定の比Kと検出操作角δhとから目標舵角δ* を求め(ステップS5)、目標舵角δ* と検出舵角δとの偏差をなくすように操舵用アクチュエータ2を制御する(ステップS4)。次に、操作用選択スイッチSw1により第1操作制御パターンが選択されているか否かを判断し(ステップS6)、選択されていれば第1操作制御パターンに対応付けて記憶された操作角δhに対する目標操作トルクTh* の比K1を読み出す(ステップS7)。ステップS6において第1操作制御パターンが選択されていなければ、操作用選択スイッチSw1により第2操作制御パターンが選択されているか否かを判断し(ステップS8)、選択されていれば第2操作制御パターンに対応付けて記憶された操作角δhに対する目標操作トルクTh* の比K2を読み出す(ステップS9)。ステップS8において第2操作制御パターンが選択されていなければ、第3操作制御パターンに対応付けて記憶された操作角δhに対する目標操作トルクTh* の比K3を読み出す(ステップS10)。次に、その読み出した比K1、K2またはK3と検出操作角δhから目標操作トルクTh* を求め(ステップS11)、その目標操作トルクTh* と検出操作トルクThとの偏差をなくすように操作用アクチュエータ19を制御する(ステップS12)。そして制御を終了するか否かを、例えばイグニッションスイッチがオフか否かにより判断し(ステップS13)、終了しない場合はステップS1に戻る。
【0018】
上記実施形態によれば、制御装置20による操作用アクチュエータ19の制御パターンを操作用選択スイッチSw1の操作により変化させることで、ドライバーの好みに応じた操舵フィーリングを選択することができる。また、操舵用選択スイッチSw2の操作により、車両運転条件に応じて操作部材1の操作角δhと車輪4の転舵量との比が変化する状態を選択することもできるし、その比が一定になる状態を選択することもできる。よって、ドライバーの好みに応じた操舵フィーリングを操舵用選択スイッチSw2の操作により選択することができる。
【0019】
本発明は上記実施形態に限定されない。例えば、図4の変形例に示すように、操作部材であるステアリングホイールHが車輪に機械的に連結され、且つ、操作部材の操作量と車輪の転舵量との比を変化させることができる操舵装置101に本発明を適用してもよい。その操舵装置101においては、ステアリングホイールHの操作に応じた入力シャフト102の回転は、回転伝達機構130により出力シャフト111に伝達され、出力シャフト111の回転が車輪に舵角が変化するようにステアリングギヤ(図示省略)により伝達される。そのステアリングギヤはラックピニオン式ステアリングギヤやボールスクリュー式ステアリングギヤ等の公知のものを用いることができる。入力シャフト102と出力シャフト111は互いに同軸心に隙間を介して配置され、ベアリング107、108、112、113を介してハウジング110により支持されている。その回転伝達機構130は、本変形例では遊星ギヤ機構とされ、サンギヤ131とリングギヤ132とに噛み合う遊星ギヤ133をキャリア134により保持する。サンギヤ131は、入力シャフト102の端部に同行回転するように連結されている。キャリア134は、出力シャフト111に同行回転するように連結されている。リングギヤ132は、入力シャフト102を囲むホルダー136にボルト362を介して固定されている。ホルダー136は、入力シャフト102を囲むようにハウジング110に固定された筒状部材135によりベアリング109を介して支持されている。そのホルダー136の外周にウォームホイール137が同行回転するように嵌め合わされている。ウォームホイール137に噛み合うウォーム138がハウジング110により支持されている。ウォーム138がハウジング110に取り付けられた操舵用アクチュエータ139により駆動される。その操舵用アクチュエータ139の制御によってステアリングホイールHの操作量と車輪の転舵量との比を変化させることができる。また、ステアリングホイールHに作用するトルクを発生する操作用アクチュエータ119が設けられている。他は上記実施形態と同様に操作用アクチュエータ119と操舵用アクチュエータ139を操作用選択スイッチにより選択される操作制御パターンと操舵用選択スイッチにより選択される操舵制御パターンとに従って制御するようにすればよい。
【0020】
さらに、操舵用アクチュエータ2の第1操舵制御パターンは、操作部材の操作量と車輪の転舵量との比が車両運転条件に応じて変化するものであればよく、例えば上記実施形態において操作角δhと車速Vと目標舵角δ* との間の予め定めた関係と検出操作角δhと検出車速Vとから目標舵角δ* を演算することに代えて、操作トルクThと車速Vと目標舵角δ* との間の予め定めた関係と検出操作トルクThと検出車速Vとから目標舵角δ* を演算してもよい。
【0021】
上記実施形態における操舵用アクチュエータ2と、その操舵用アクチュエータ2の回転運動をステアリングロッド7の直線運動に変換する運動変換機構に代えて、図5の変形例に示す操舵用アクチュエータ200と運動変換機構を用いてもよい。その操舵用アクチュエータ200は、車体に固定されるハウジング201に固定されるステータ202と、このステータ202に挿入されると共にハウジング201により軸受けを介して回転可能に支持されるロータ203とを有し、そのロータ203にステアリングロッド7が挿入される。その運動変換機構は、そのロータ203に一体化されるボールナット210と、そのボールナット210に図外ボールを介してねじ合わされると共にステアリングロッド7に一体化されるボールスクリューシャフト211とを有する。これにより、操舵用アクチュエータ200の回転運動はステアリングロッド7の直線運動に変換される。なお、操舵用アクチュエータ200と同軸心に操舵用アクチュエータ200と同様の構成の予備操舵用アクチュエータ200′が配置され、ハウジング201に固定されるステータ202′に挿入されると共にハウジング201により軸受けを介して回転可能に支持されるロータ203′にボールナット210が一体化されている。その予備操舵用アクチュエータ200′のロータ203′に、ボールナット210とは別のボールナットを一体化するようにしてもよい。
【0022】
上記実施形態における操作用選択スイッチSw1と操舵用選択スイッチSw2の中の何れか一方のみを設け、操作用アクチュエータと操舵用アクチュエータの中の何れか一方のみの制御に本発明を適用してもよい。
【0023】
車両の停車状態での操舵時におけるドライバーの操舵負担を軽減するため、操作部材1を操作することなくスイッチを操作するだけで舵角が変化するようにしてもよい。例えば、上記実施形態において制御装置20に常開の右据え切り操舵用スイッチと常開の左据え切り操舵用スイッチとを接続し、車速零において右据え切り操舵用スイッチを閉じている間は右操舵方向へ車輪が転舵されるように操舵用アクチュエータ2を駆動し、左据え切り操舵用スイッチを閉じている間は左操舵方向へ車輪が転舵されるように操舵用アクチュエータ2を駆動してもよい。
【0024】
【発明の効果】
本発明によれば、スイッチ操作によってドライバーの好みに応じた操舵フィーリングを選択可能な車両用操舵装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の車両用操舵装置の構成説明図
【図2】本発明の実施形態の車両用操舵装置における操作角と目標操作トルクTh* との関係を示す図
【図3】本発明の実施形態の車両用操舵装置における操舵用アクチュエータと操作用アクチュエータの制御手順を示すフローチャート
【図4】本発明の変形例の車両用操舵装置の構成説明図
【図5】本発明の変形例の操舵用アクチュエータと運動変換機構の構成説明図
【符号の説明】
1 操作部材
2、139、200 操舵用アクチュエータ
3 ステアリングギヤ
4 車輪
11 角度センサ
13 舵角センサ
19、119 操作用アクチュエータ
20 制御装置
Sw1 操作用選択スイッチ
Sw2 操舵用選択スイッチ
Claims (2)
- 操作部材と、
その操作部材に作用するトルクを発生する操作用アクチュエータと、
操舵用アクチュエータと、
その操舵用アクチュエータの動きを舵角変化が生じるように車輪に伝達するステアリングギヤと、
その操作部材の操作量の検出手段と、
その車輪の転舵量の検出手段と、
その操作部材の操作量と車輪の転舵量との比が車両運転条件に応じて変化するように、その操舵用アクチュエータを制御可能な制御系と、
その操作用アクチュエータを制御可能な制御系と、
その操作用アクチュエータの制御のために予め設定された互いに異なる複数の操作制御パターンの記憶手段と、
その複数の操作制御パターンの中の何れかを選択するための操作用選択スイッチとを備え、
その操作用選択スイッチにより選択される操作制御パターンに従って、その制御系により操作用アクチュエータが制御され、
前記複数の操作制御パターンとして、第1操作制御パターン、第2操作制御パターン、及び第3操作制御パターンが記憶され、
前記第1操作制御パターン、前記第2操作制御パターン、及び前記第3操作制御パターンそれぞれにおいて、路面から前記車輪に作用する反力に対応する付加トルクが前記操作部材に作用されるトルクに付加されるように前記操作用アクチュエータが制御され、前記付加トルクは、前記第1操作制御パターンでは前記第2操作制御パターンよりも小さくされると共に前記第3操作制御パターンよりも大きくされ、さらに前記車輪のサスペンションの変位に比例するものとされることを特徴とする車両用操舵装置。 - 操作部材と、
その操作部材に作用するトルクを発生する操作用アクチュエータと、
操舵用アクチュエータと、
その操舵用アクチュエータの動きを舵角変化が生じるように車輪に伝達するステアリングギヤと、
その操作部材の操作量の検出手段と、
その車輪の転舵量の検出手段と、
その操舵用アクチュエータを制御可能な制御系と、
その操作用アクチュエータを制御可能な制御系と、
その操作用アクチュエータの制御のために予め設定された互いに異なる複数の操作制御パターンの記憶手段と、
その操舵用アクチュエータの制御のために予め設定された互いに異なる複数の操舵制御パターンの記憶手段と、
その複数の操作制御パターンの中の何れかを選択するための操作用選択スイッチと、
その複数の操舵制御パターンの中の何れかを選択するための操舵用選択スイッチとを備え、
その操舵用選択スイッチにより選択可能な操舵制御パターンとして、その操作部材の操作量と車輪の転舵量との比が車両運転条件に応じて変化するように操舵用アクチュエータを制御するパターンと、その操作部材の操作量と車輪の転舵量との比が一定になるように操舵用アクチュエータを制御するパターンとが記憶され、
その操作用選択スイッチにより選択される操作制御パターンに従って、その制御系により操作用アクチュエータが制御され、
その操舵用選択スイッチにより選択される操舵制御パターンに従って、その制御系により操舵用アクチュエータが制御され、
前記複数の操作制御パターンとして、第1操作制御パターン、第2操作制御パターン、及び第3操作制御パターンが記憶され、
前記第1操作制御パターン、前記第2操作制御パターン、及び前記第3操作制御パターンそれぞれにおいて、路面から前記車輪に作用する反力に対応する付加トルクが前記操作部材に作用されるトルクに付加されるように前記操作用アクチュエータが制御され、前記付加トルクは、前記第1操作制御パターンでは前記第2操作制御パターンよりも小さくされると共に前記第3操作制御パターンよりも大きくされ、さらに前記車輪のサスペンションの変位に比例するものとされることを特徴とする車両用操舵装置。
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