JP4022205B2 - 部材の接合構造 - Google Patents
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Description
上記有孔鋼板を用いた接合方法をコンクリート部材同士の接合に用いるためには、板厚が比較的大きな(30cm程度以上)部材に有孔鋼板を埋め込まないと力の伝達が十分におこなわれず、したがって、従来は上記合成桁への適用に限定されるものであった。また、プレキャストコンクリート部材同士の接合構造としては、接合部材の端部からループ状に曲げ加工した鉄筋同士を千鳥配置したループジョイントや直線状の鉄筋同士を重ね継手し、かかる継手部をコンクリート等で一体化する構造がある。
<1>プレキャストコンクリート部材同士の接合において、従来のコンクリート(普通コンクリートなど)にて製作されたコンクリート部材を使用した場合には、コンクリート部材の引張強度を期待できない。また、コンクリート部材を超高強度の繊維補強セメント系混合材料にて製作した場合であっても、従来の接合方法では接合面にて面直角方向引張力を伝達できず、したがって材料特性を発揮できない。
<2>プレキャストコンクリート部材同士を接合する際に、接合面端部からループ状鉄筋を突設させて交差させたループジョイントとする場合には、ループ状に曲げた鉄筋を所要の部材間隙間に配置することから断面内に配置できる鉄筋の断面積が少なくならざるを得ない。太径鉄筋はループ径が大きくなって収まり難く、小径鉄筋の過密配置は隙間内に充填する充填材の回り込みを防止することとなるからである。接合部の鉄筋断面積が少なくなることによって部材間伝達力も小さくならざるを得ない。
<3>プレキャストコンクリート部材同士を接合する際に、直線状の鉄筋同士を重ね継手する場合には部材間隙間を十分にとる必要が生じ、したがってその適用範囲が極めて限定される。
ここで、前記コンクリート部材同士の各々の前記有孔プレートに刻設された孔であって、対応する夫々の該孔に同一の鋼製棒体を貫通させた構成とすることもできる。
さらに本発明の接合構造は、コンクリート部材同士の接合構造であって、繊維補強セメント系混合材料からなるコンクリート部材と、前記コンクリート部材の接合側の内部に埋め込まれて接合側端部から突設させた有孔プレートと、接合される前記コンクリート部材同士の端部間に設けた間隔に充填された、繊維補強コンクリート系混合材料からなる充填材と、からなり、接合部においては、双方のコンクリート部材から突設した有孔プレートは、縦断面図的に交互に配され、かつ双方から突設した有孔プレートは、平面的に重なるように構成したことを特徴とする部材の接合構造である。
ここで、前記コンクリート部材同士の各々の前記有孔プレートに刻設された孔であって、対応する夫々の該孔に同一の鋼製棒体を貫通させた構成とすることもできる。
<1>有孔プレートを使用することにより、プレキャストコンクリート部材同士の接合において部材間隙間の間隔を極力狭くすることが可能となる。また、所要の部材間隙間間隔にも容易に対応可能となる。
<2>有孔プレートの板厚や数量を適宜調整することで、接合部の所要引張力(力の伝達力)を確保したプレキャストコンクリート部材同士の接合構造を実現できる。
<3>繊維補強セメント系混合材料にて製作したコンクリート部材を使用することにより、断面の縮小化、部材の軽量化を図ることができる。なお、コンクリート部材同士の隙間に上記材料と同一ないしは同程度の充填材を使用することによって、部材一般部に比して接合部が構造弱部とならない接合部の構造を実現できる。
本発明の部材の接合構造は、プレキャスト製品であるコンクリート部材1,1同士の接合構造である。ここで、プレキャスト製品とは、工場や現場ヤードにて予め製作された桁や床版などのコンクリート部材1のことをいう。以下、コンクリート部材1として、コンクリート桁を取り上げ、かかるコンクリート桁同士の接合構造について説明する。
コンクリート桁の接合側端部11には、有孔プレート2の一部をその内部に埋め込んでおくとともに該有孔プレート2の一端を突設させて構成しておく。有孔プレート2には複数の孔21を刻設しておくが、かかる孔21は有孔プレート2がコンクリート桁内に埋め込まれている部分及び接合側端部11から突設した部分の双方に設けておくのがよい。ここで、有孔プレート2のコンクリート桁への設置形態及び接合させるコンクリート桁双方の有孔プレート2,2同士の配置形態は様々である。以下、実施例ごとに分けて説明する。
また、双方のコンクリート桁から突設した有孔プレート2,2は、上記する縦断面図において千鳥配置となるように交互に配されるのがよい(図1参照)。左右のコンクリート桁からの力の伝達をかかる接合部の上面又は下面に偏らせることなく上面から下面にわたって均等に伝達させるためである。
さらに、コンクリート桁をその上面からみた平面図において、左右から突設した有孔プレート2,2が桁の幅方向において所定の間隔を置くように各コンクリート桁に該有孔プレート2が埋め込み設置されるのがよい(図2参照)。コンクリート桁の幅方向においても左右のコンクリート桁からの力の伝達をその幅方向において偏らないようにするためである。なお、縦断面的には千鳥配置としながら、各コンクリート桁の中央から突設した有孔プレート2,2を平面的には重なるように(平面的には千鳥配置とはなっていない)構成することもできる(図示せず)。
所定の間隔を置いてコンクリート桁同士を配置後、かかる間隔に充填材3を充填硬化させることによりコンクリート桁同士の接合構造を構築できる。
コンクリート部材1(コンクリート桁)は、設計条件に応じてその断面形状及び桁長などを適宜選定できる。
本発明で使用するコンクリート桁は、繊維補強セメント系混合材料にて製作されたコンクリート桁である。部材規模の縮小化及び軽量化を図ること、及び埋め込まれた有孔プレート2に外力(引張力など)が作用した場合でもその構成成分である鋼繊維の作用によって引張抵抗の向上を図ることなどが繊維補強セメント系混合材料にて製作する目的の一つである。図3にかかる外力と抵抗力のメカニズムを示す。従来のコンクリートにおいてはその組成が粗骨材を有することにより、コンクリート内部の局所的な応力が大きくなり、そこから破壊が誘発されることによって外力に対する抵抗力は比較的小さかった。それに比して繊維補強セメント系混合材料を使用した場合は、内部応力は比較的均一であり、また鋼繊維が入っているために局所的なひび割れが生じてもかかる鋼繊維も外力に対する抵抗力(引張抵抗)を発揮することができる。なお、有孔プレート2の孔21を貫通硬化したコンクリートのせん断抵抗によって、又孔21における支圧抵抗によって引張外力に抗し得ることとなる。
有孔プレート2は、鋼材にて製作するのが好ましい。
充填材3は、コンクリート桁同士の間隔に充填してコンクリート桁同士を一体化させるための接合構造の構成要素である。コンクリート桁は上記する繊維補強セメント系混合材料にて製作されるため、かかる接合部が構造弱部とならないためにも使用する充填材3としては桁と同様な繊維補強セメント系混合材料を使用するか、設計耐力を確保できるだけの高強度なセメント系材料を使用するのがよい。
本実施例においては、他の形態として、各コンクリート桁から夫々複数の有孔プレート2,2を突設させておき、上記同様に重なって対応する孔21,21に同一の鋼製棒体4を貫通させた構成とすることもできる(図示せず)。
本実施例において、各コンクリート桁から突設させる有孔プレート2は縦断面的には単数(1枚のプレート高が桁高程度である)であっても複数であってもよい(図6参照)。
11・・・接合側端部
2・・・・有孔プレート
21・・・孔
3・・・・充填材
4・・・・鋼製棒体
Claims (4)
- コンクリート部材同士の接合構造であって、
繊維補強セメント系混合材料からなるコンクリート部材と、
前記コンクリート部材の接合側の内部に埋め込まれて接合側端部から突設させた有孔プレートと、
接合される前記コンクリート部材同士の端部間に設けた間隔に充填された、繊維補強コンクリート系混合材料からなる充填材と、からなり、
接合部においては、
双方のコンクリート部材から突設した有孔プレートは、
縦断面図的に交互に配され、
かつ双方から突設した有孔プレートは、平面的に所定の間隔を置くように構成したことを特徴とする、
部材の接合構造。
- コンクリート部材同士の接合構造であって、
繊維補強セメント系混合材料からなるコンクリート部材と、
前記コンクリート部材の接合側の内部に埋め込まれて接合側端部から突設させた有孔プレートと、
接合される前記コンクリート部材同士の端部間に設けた間隔に充填された、繊維補強コンクリート系混合材料からなる充填材と、からなり、
接合部においては、
双方のコンクリート部材から突設した有孔プレートは、
縦断面図的に交互に配され、
かつ双方から突設した有孔プレートは、平面的に重なるように構成したことを特徴とする、
部材の接合構造。
- コンクリート部材同士の接合構造であって、
繊維補強セメント系混合材料からなるコンクリート部材と、
前記コンクリート部材の接合側の内部に埋め込まれて接合側端部から突設させた有孔プレートと、
接合される前記コンクリート部材同士の端部間に設けた間隔に充填された、繊維補強コンクリート系混合材料からなる充填材と、からなり、
接合部においては、
双方のコンクリート部材から突設した有孔プレートは、
縦断面図的に交互に配され、
かつ双方から突設した有孔プレートは、平面的に所定の間隔を置くように構成し、有孔プレートに刻設された孔であって、対応する夫々の該孔に同一の鋼製棒体を貫通させたことを特徴とする、
部材の接合構造。
- コンクリート部材同士の接合構造であって、
繊維補強セメント系混合材料からなるコンクリート部材と、
前記コンクリート部材の接合側の内部に埋め込まれて接合側端部から突設させた有孔プレートと、
接合される前記コンクリート部材同士の端部間に設けた間隔に充填された、繊維補強コンクリート系混合材料からなる充填材と、からなり、
接合部においては、
双方のコンクリート部材から突設した有孔プレートは、
縦断面図的に交互に配され、
かつ双方から突設した有孔プレートは、平面的に重なるように構成し、
有孔プレートに刻設された孔であって、対応する夫々の該孔に同一の鋼製棒体を貫通させたことを特徴とする、
部材の接合構造。
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