JP4021131B2 - 低誘電率シリカ系被膜形成用塗布液および低誘電率シリカ系被膜付基板 - Google Patents

低誘電率シリカ系被膜形成用塗布液および低誘電率シリカ系被膜付基板 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の技術分野】
本発明は、比誘電率が2.5以下と小さく、しかも低水分吸着性と高被膜強度の特性を有する低誘電率シリカ系被膜を形成するための塗布液およびこのような特性を有する低誘電率シリカ系被膜該被膜が形成された半導体基板に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
半導体装置の高集積化に伴い、多層配線を有する0.25ミクロンルール以下の半導体装置においては、金属配線間隔が狭くなるため、静電誘導による金属配線のインピーダンスが増大し、応答速度の遅れ、消費電力の増大等が懸念されている。このため、半導体基板とアルミニウム配線層などの金属配線層との間、あるいは金属配線層間に設けられる層間絶縁膜の比誘電率をできるだけ小さくすることが必要とされている。
【0003】
上記のような目的で用いられている層間絶縁膜は、一般にCVD法などの気相成長法または被膜形成用塗布液を用いて絶縁膜を形成する塗布法によって半導体基板上に形成されている。
しかしながら、CVD法などの気相成長法では、得られるシリカ系被膜の比誘電率がフッ素ドープシリカ膜の3.5が限界と言われており、3以下のシリカ系被膜を形成することは難しいという問題がある。また、ポリアリール樹脂、フッ素添加ポリイミド樹脂やフッ素系樹脂などのCVD被膜やこれらの塗布液を用いて形成される被膜は、比誘電率が2前後となるが、被塗布面との密着性が悪く、また微細加工に用いるレジスト材料との密着性も悪く、さらには耐薬品性、耐酸素プラズマ性等に劣るなどの問題がある。
【0004】
さらにまた、従来から用いられているアルコキシシランまたはハロゲン化シランの部分加水分解物または加水分解物を含むシリカ系被膜形成用塗布液では、比誘電率が2.5前後の被膜が得られるが、被塗布面との密着性が悪いという問題がある。
本発明者らは、これらの問題を解決するため鋭意研究を行ったところ、次に示すような低誘電率シリカ系被膜形成用塗布液を用いれば、比誘電率が3以下と小さく、しかも被塗布面との密着性、機械的強度、耐アルカリ性などの耐薬品性や耐クラック性に優れ、更には耐酸素プラズマ性やエッチング加工性などのプロセス適合性にも優れた被膜を形成できることを見い出し、これらの発明を出願している。
(1)発明−1(特開平9−315812号公報参照)。
【0005】
アルコキシシランおよび/またはハロゲン化シランまたはこれらの加水分解物と、シリカ微粒子との反応物を含む低誘電率シリカ系被膜形成用塗布液。
(2)発明−2(国際出願PCT/JP99/04051公報参照)
アルコキシシランおよび/またはハロゲン化シランまたはこれらの加水分解物と、500℃以下の温度で分解または揮散する易分解樹脂とを含む低誘電率シリカ系被膜形成用塗布液。
(3)発明−3(国際出願PCT/JP99/04050公報参照)
アルコキシシランおよび/またはハロゲン化シランまたはこれらの加水分解物とシリカ微粒子との反応物であるポリシロキサンと、500℃以下の温度で分解または揮散する易分解樹脂とを含む低誘電率シリカ系被膜形成用塗布液。
【0006】
その後、本発明者らは、これらの塗布液と従来公知の被膜形成法を用いて種々の半導体基板上に低誘電率シリカ系被膜を形成する試験を繰り返し行ったところ、前記の特性を有する被膜は得られるものの、比誘電率が2.5以下であって水分吸着性が低く、被膜強度が高いという優れた特性を有する被膜を安定的に形成することは難しいことを見出した。
【0007】
そして、本発明者らは、さらに鋭意研究を続けたところ、
(A)アルコキシシランおよびハロゲン化シランからなる群から選ばれる1種以上のケイ素化合物および/またはその加水分解物とともに、(B)有機テンプレート剤を含んでなる低誘電率シリカ系被膜形成用塗布液を用いて、半導体基板上に低誘電率シリカ系被膜を形成すれば、上記のような問題を容易に解決できることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
【発明の目的】
本発明は、上記のような問題点を解決しようとするものであって、半導体基板上に配設された金属配線にダメージを与えることなく、比誘電率が2.5以下と小さく、しかも低水分吸着性であり高被膜強度を有するという優れた特性を有する低誘電率シリカ系被膜が形成できる低誘電率シリカ系被膜形成用塗布液および該塗布液を塗布、乾燥等して得られる低誘電率シリカ系被膜が形成された半導体基板を提供することを目的としている。
【0009】
【発明の概要】
本発明の低誘電率シリカ系被膜形成用塗布液は、
(A)下記一般式(I)で示されるアルコキシシランおよび下記一般式(II)で示されるハロゲン化シランからなる群から選ばれる1種以上のケイ素化合物および/またはその加水分解物と、
(B)有機テンプレート剤と
を含んでなる低誘電率シリカ系被膜形成用塗布液。
【0010】
(B)下記一般式(III)で表される有機テンプレート材と
を含んでなる低誘電率シリカ系被膜形成用塗布液。
nSi(OR)4-n (I)
nSiX'4-n (II)
[R1234N]+- (III)
(式中、Xは水素原子、フッ素原子、または炭素数1〜8のアルキル基、フッ素置換アルキル基、アリール基もしくはビニル基を表し、Rは水素原子、または炭素数1〜8のアルキル基、アリール基もしくはビニル基を表し、X'はハロゲン原子を表す。また、nは0〜3の整数である。
【0011】
またR1は、炭素数が1〜20の炭化水素基、R2、R3、R4は、互いに異なっていても同一であってもよく、H原子または炭素数が1〜20の炭化水素基であり、さらにR1と同一であっても良い。Yはハロゲン原子またはOH基を示す。)
前記低誘電率シリカ系被膜形成用塗布液は、前記(A)ケイ素化合物および/またはその加水分解物と、(B)有機テンプレート剤とともに、
(C)下記一般式(I)で示されるアルコキシシランおよび下記一般式(II)で示されるハロゲン化シランからなる群から選ばれる1種以上のケイ素化合物および/またはその加水分解物とシリカ系微粒子との反応物であるポリシロキサンを含むことを特徴としている。
【0012】
nSi(OR)4-n (I)
nSiX'4-n (II)
(式中、Xは水素原子、フッ素原子、または炭素数1〜8のアルキル基、フッ素置換アルキル基、アリール基もしくはビニル基を表し、Rは水素原子、または炭素数1〜8のアルキル基、アリール基もしくはビニル基を表し、X'はハロゲン原子を表す。また、nは0〜3の整数である。)
本発明に係る低誘電率シリカ系被膜形成用塗布液には、さらに(D)易分解性樹脂を含まれていることが好ましい。
【0013】
このような(D)易分解性樹脂は、(A)ケイ素化合物および/またはその加水分解物、または(C)ポリシロキサンと、分子鎖レベルで絡み合った相互貫入型ポリマー組成物を構成していることが好ましい。
本発明の低誘電率シリカ系被膜付半導体基板は、低誘電率シリカ系被膜がシリコン基板上、多層配線構造の配線層間、素子表面および/またはPN接合部分に設けられてなるシリコン基板と、シリコン基板上の多層の配線層と、低誘電率シリカ系被膜とからなる低誘電率シリカ系被膜付半導体基板であって、
低誘電率シリカ系被膜が前記低誘電率シリカ系被膜形成用塗布液を塗布し、ついで加熱処理した後、焼成処理して得られることを特徴としている。
【0014】
【発明の具体的説明】
以下、本発明の低誘電率シリカ系被膜形成用塗布液について具体的に説明する。
[低誘電率シリカ系被膜形成用塗布液]
本発明による低誘電率シリカ系被膜形成用塗布液は、
(A)アルコキシシランおよびハロゲン化シランからなる群から選ばれる1種以上のケイ素化合物および/またはその加水分解物と、
(B)有機テンプレート材
が水および/または有機溶媒に分散あるいは溶解している。
【0015】
(A) ケイ素化合物およびその加水分解物
ケイ素化合物およびその加水分解物としては、下記一般式(I)で示されるアルコキシシランおよび下記一般式(II)で示されるハロゲン化シランからなる群から選ばれる1種以上のケイ素化合物および/またはその加水分解物が使用される。
nSi(OR)4-n (I)
nSiX'4-n (II)
(式中、Xは水素原子、フッ素原子、または炭素数1〜8のアルキル基、フッ素置換アルキル基、アリール基もしくはビニル基を表し、Rは水素原子、または炭素数1〜8のアルキル基、アリール基もしくはビニル基を表し、X'はハロゲン原子を表す。また、nは0〜3の整数である。)
前記一般式(I)で示されるアルコキシシランの具体例としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリイソプロポキシシラン、フルオロトリメトキシシラン、フルオロトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジメトキシシラン、ジエトキシシラン、ジフルオロジメトキシシラン、ジフルオロジエトキシシラン、トリフルオロメチルトリメトキシシラン、トリフルオロメチルトリエトキシシランなどが挙げられる。
【0016】
前記一般式(II)で示されるハロゲン化シランの具体例としては、トリクロロシラン、トリブロモシラン、ジクロロシラン、フルオロトリクロロシラン、フルオロブロモシラン、メチルトリクロロシラン、エチルトリクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ビニルトリクロロシランなどが挙げられる。
上記において、アルコキシシランおよび/またはハロゲン化シランの加水分解物を用いる場合は、アルコキシシランおよび/またはハロゲン化シランの有機溶媒溶液に、加水分解反応に必要な水を、アルコキシシランを構成するSi-OR基、またはハロゲン化シランを構成するSi-X'基1モル当たり、通常、0.1〜5モル、好ましくは0.1〜2モルの量で添加し、必要に応じて触媒を、通常、アルコキシシランまたはハロゲン化シラン1モル当たり0.001〜1モルの量で添加する。加水分解物は完全に加水分解されたものであっても、一部が加水分解された部分加水分解物であってもよい。
【0017】
このようなアルコキシシランおよびハロゲン化シランを用いる場合の有機溶媒としては、アルコール類、ケトン類、エーテル類、エステル類、炭化水素類などが挙げられ、より具体的には、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、プロピレングリコールモノプロピルエーテルなどのグリコールエーテル類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコールなどのグリコール類、酢酸メチル、酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチルなどのエステル類、ヘキサン、シクロヘキサン、オクタンなどの炭化水素類やトルエン、キシレン、メシチレンなどの芳香族炭化水素類が挙げられる。
【0018】
触媒としては、塩酸、硝酸、硫酸などの無機酸、酢酸、シュウ酸、トルエンスルホン酸などの有機酸、または金属セッケンなどの水溶液中で酸性を示す化合物が挙げられる。
加水分解条件としては、アルコキシシランを加水分解する場合には、通常、反応温度が80℃以下、好ましくは5〜60℃で、反応時間が攪拌条件下で10時間以下、好ましくは0.5〜5時間である。また、ハロゲン化シランを加水分解する場合には、通常、反応温度が50℃以下、好ましくは5〜20℃で、反応時間が攪拌条件下で20時間以下、好ましくは1〜10時間である。更に、アルコキシシランとハロゲン化シランを同時に加水分解する場合には、通常、ハロゲン化シランの加水分解条件が採用される。
【0019】
このようにして得られた加水分解物または部分加水分解物の数平均分子量(ポリスチレン換算)は、500〜10,000、好ましくは1,000〜5,000の範囲にあることが望ましい。加水分解物または部分加水分解物の数平均分子量が前記範囲にあると得られる塗布液は経時安定性に優れるとともに塗工性も良好である。
【0020】
このようなケイ素化合物およびその加水分解物は、SiO2換算で、塗布液中に5〜40重量%、好ましくは10〜25重量%の範囲で含まれていることが望ましい。
(B) 有機テンプレート材
次ぎに、本発明に用いる有機テンプレート材としては、下記一般式(III)で表されるものが挙げられる。
【0021】
[R1234N]+- (III)
式中、R1は、炭素数が1〜20の炭化水素基、R2、R3、R4は、互いに異なっていても同一であってもよく、H原子または炭素数が1〜20の炭化水素基であり、さらにR1と同一であっても良い。Yはハロゲン原子またはOH基を示す。
【0022】
このような有機テンプレート材はシリカ系被膜形成後、加熱処理によって容易に除去される。このため、有機テンプレート材が除去された後はシリカ系被膜中に有機テンプレート材と同程度の均一な大きさの細孔が形成され低誘電率且つ高被膜強度のシリカ系被膜を得ることができる。
このような有機テンプレート材として具体的には、テトラエチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラエチルアンモニウムクロライド、テトラプロピルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラプロピルアンモニウムブロマイド、テトラプロピルアンモニウムクロライド、n-ヘキサデシルトリメチルアンモニウムハイドロオキサイド、n-ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、n-オクタデシルトリメチルアンモニウムハイドロオキサイド、n-オクタデシルトリメチルアンモニウムブロマイド等を挙げることができる。
【0023】
中でも、YがOH基である有機テンプレート材(この場合有機塩基となる)を用いると塗布液中の前記アルコキシシランおよび/またはハロゲン化シランあるいはこれらの加水分解物の縮合触媒としても作用するために架橋が進み、特にアルコキシシランおよび/またはハロゲン化シランあるいはこれらの加水分解物が末端SiHを有する場合には、効果的に緻密なポリシロキサン構造に変成し、高被膜強度を有するシリカ系被膜が得られる。
【0024】
このような有機テンプレート材の使用量は塗布液中のシリカ系成分をSiO2に換算した時の重量の10〜200重量%の範囲にあることが好ましい。
有機テンプレート材の使用量が10重量%未満の場合は有機テンプレート材と同程度の大きさの細孔の形成が不充分となり誘電率が充分に低いシリカ系被膜が得られないことがある。
【0025】
有機テンプレート材の使用量が200重量%を越えると細孔の形成が多くなりすぎて得られるシリカ系被膜の強度が低下する傾向にある。
(C) ポリシロキサン
このような低誘電率シリカ系被膜形成用塗布液には、さらに下記一般式(I)で示されるアルコキシシランおよび下記一般式(II)で示されるハロゲン化シランからなる群から選ばれる1種以上のケイ素化合物および/またはこれらの加水分解物とシリカ系微粒子との反応物であるポリシロキサンを含んでいることが好ましい。
【0026】
nSi(OR)4-n (I)
nSiX'4-n (II)
(式中、Xは水素原子、フッ素原子、または炭素数1〜8のアルキル基、フッ素置換アルキル基、アリール基もしくはビニル基を表し、Rは水素原子、または炭素数1〜8のアルキル基、アリール基もしくはビニル基を表し、X'はハロゲン原子を表す。また、nは0〜3の整数である。)
シリカ系微粒子は、前記一般式(I)のアルコキシシランの一種以上を有機溶媒に混合して、水およびアンモニアの存在下で加水分解・縮重合させることによって得ることができる。一般式(I)で表されるアルコキシシランとしては、前記(A)ケイ素化合物およびその加水分解物にて例示したものと同様のものが挙げられる。
【0027】
シリカ系微粒子の調製法をさらに詳細に説明すると、例えば、水-アルコール混合溶媒を攪拌しながら、この混合溶媒にアルコキシシランおよびアンモニア水を添加し、アルコキシランの加水分解反応を起こさせる方法などがある。
この際、水は、アルコキシシランを構成するSi−OR基1モル当たり0.5〜50モル、好ましくは1〜25モルとなるような量で用いられる。
【0028】
またアンモニアは、アルコキシシランをSiO2に換算したときに、アルコキシシラン1モルに対し、0.01〜1モル、好ましくは0.05〜0.8モルとなるような量で配合されることが望ましい。
アルコキシランの加水分解反応は、180℃以上、好ましくは200℃以上でオートクレーブなどの耐熱耐圧容器を用いて行うことが好ましい。さらに、この後、同一温度またはより高い温度で熟成することもできる。上記の反応温度および/または熟成温度は、高い方がアルコキシシランの重縮合がより促進され、シリカ系微粒子内部が緻密となる。このような温度で反応および/または熟成を行うと、シリカ系微粒子がより一層緻密となり、粒子自体の吸湿性が低下すると同時に粒子表面の残留官能基も少なくなる。
【0029】
また、例えば攪拌下の水-アルコール混合溶媒にエチレングリコールなどの高沸点の溶媒を添加して、アルコキシシランの加水分解を行い、シリカ系微粒子を生成、成長させてもよい。このような高沸点の溶媒をアルコキシシランの加水分解時に添加しておくと、アルコキシ基のエステル交換反応が起こり、高沸点溶媒がシリカ粒子内部に取り込まれ、多孔質のシリカ系微粒子が得られる。
【0030】
その他のシリカ系微粒子としては、アルカリ金属珪酸塩等をイオン交換、加水分解などによって得られるシリカゾルなども用いられる。さらには、アルミノケイ酸塩からなるゼオライトからアルミニウムを除去したような多孔質ゼオライトからなる微粒子も用いることができる。
本発明で用いられるシリカ系微粒子は、その平均粒径が5〜50nm、好ましくは10〜50nmの範囲内にあることが望ましい。この範囲内にある粒径の微粒子であれば、均一な粒径のものでも粒径の異なる微粒子の2種類以上の混合物であってもよい。また、球形であっても異形であってもよい。この粒径が5nm未満では、これより製造される塗布液の経時安定性が乏しくなり、一方、50nmを越えると、これより製造される塗布液から得られる被膜のマイクロフォトリソグラフィ工程での微細加工時に欠陥を生じやすい。
【0031】
本発明で使用されるポリシロキサンは、このようなシリカ系微粒子と上記一般式(I)で表されるアルコキシシランおよび上記一般式(II)で表されるハロゲン化シランからなる群から選ばれる1種以上のケイ素化合物を有機溶媒中で混合し、水および触媒の存在下で加水分解させることによって得られる。
一般式(I)で表されるアルコキシシランおよび一般式(II)で表されるハロゲン化シランとしては、前記(A)ケイ素化合物およびその加水分解物にて例示したものと同様のものが挙げられる。
【0032】
このようなポリシロキサンの調製方法は、本出願人らによって出願された前記発明−1(特開平9−315812号参照)または前記発明−3(国際出願PCT/JP99/04050参照)などの公報に記載された方法に準じて調製することができる。
具体的には、上記シリカ系微粒子と一般式(I)で示されるアルコキシシランおよび一般式(II)で示されるハロゲン化シランの1種以上を有機溶媒中に混合して、水および触媒の存在下でアルコキシシラン、ハロゲン化シランの加水分解反応を行うことにより得られる。
【0033】
前記一般式(I)で示されるアルコキシシランとしては、前記シリカ系微粒子で例示したものと同様のものが挙げられる。加水分解に使用されるアルコキシシランは、シリカ系微粒子調製時に使用したものと同じものであっても、異なるものであってもよい。
有機溶媒としては、前記シリカ系微粒子の調製で例示したものと同様のものの他に、ヘキサン、シクロヘキサン、オクタンなどの炭化水素類やトルエン、キシレン、メシチレンなどの芳香族炭化水素類が挙げられる。
【0034】
触媒としては、塩酸、硝酸、硫酸などの無機酸、酢酸、シュウ酸、トルエンスルホン酸などの有機酸、または金属セッケンなどの水溶液中で酸性を示す化合物が挙げられる。
アルコシシランまたはハロゲン化シランの加水分解反応に必要な水は、アルコキシシランを構成するSi-OR基1モルまたはハロゲン化シランを構成するSi−X基1モル(アルコキシシランおよびハロゲン化シランを混合して使用する場合、Si-OR基とSi−X基との合計)当たり、通常、0.1〜5モル、好ましくは0.1〜2モルの量で用いられることが望ましい。また、触媒は、アルコキシシランまたはハロゲン化シラン(アルコキシシランおよびハロゲン化シランを混合して使用する場合、合計量)1モル当たり、0. 001〜1モルの量で添加されることが望ましい。
【0035】
ポリシロキサンの調製に用いられるシリカ系微粒子(S)と前記一般式(I)で示されるアルコキシシランおよび/またはハロゲン化シラン(T)の混合割合(S/T)は、ともにSiO2換算したときの重量比で、1/99〜10/90、好ましくは1/99〜5/95の範囲にあることが望ましい。この混合割合(S/T)が1/99未満ではシリカ系微粒子の表面以外にも加水分解反応が進行し、得られるポリシロキサンの経時安定性が乏しくなることがある。また、この混合割合(S/T)が10/90より多いと、得られるポリシロキサンの結合力が弱くなり、十分な膜強度が保てなくなる傾向がある。
【0036】
この工程での反応条件は特に制限されるものではないが、通常、約100℃以下、好ましくは80℃以下の温度で、撹拌しながら、通常0.5〜5時間、好ましくは0.5〜3時間かけて行うことが望ましい。
これにより、シリカ系微粒子の表面にアルコキシシランまたはハロゲン化シランの加水分解物が反応したポリシロキサンが得られる。
【0037】
しかしながら、このポリシロキサンの調製方法に関しては、上記に限定されるものではなく、特開平9−315812号公報記載の方法などで製造されたポリシロキサンを用いることもできる。
(D) 易分解性樹脂
本発明に係る低誘電率シリカ系被膜形成用塗布液は、さらに易分解性樹脂を含んでいてもよい。
【0038】
易分解性樹脂としては500〜50,000の数平均分子量(ポリスチレン換算)を有し、かつ500℃以下の温度で熱処理、あるいは紫外線、赤外線、電子線、X線を照射するか酸素プラズマを照射することにより分解または揮散するものである。
このような易分解性樹脂の具体例としては、数平均分子量(ポリスチレン換算)が500〜50,000、好ましくは5,000〜30,000のセルロース系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリオール系樹脂、エポキシ系樹脂などが挙げられる。
【0039】
また、本発明の低誘電率シリカ系被膜形成用塗布液においては、前記(D)易分解性樹脂が前記(A)ケイ素化合物(加水分解物)または前記(C)ポリシロキサンと分子鎖レベルで絡み合った相互貫入型ポリマー組成物を構成していることが好ましい。このような相互貫入型ポリマー組成物の数平均分子量(ポリスチレン換算)は、500〜50,000、好ましくは1,000〜30,000の範囲にあることが望ましい。
【0040】
このような相互貫入型ポリマー組成物の調製方法については、本出願人らによって出願された発明−2(国際出願PCT/JP99/04051)または前記発明−3(国際出願PCT/JP99/04050)の公報に、その詳細が記載されている。
このようなポリマー組成物は、前記(A)ケイ素化合物(加水分解物)および/または(C)ポリシロキサンと、(D)易分解性樹脂とをケトン類、エーテル類、エステル類、炭化水素類、芳香族炭化水素類などの有機溶媒中で混合することによって調製することができる。この場合、この有機溶媒中には、必要に応じて前記一般式(I)で示されるアルコキシシランの1種または2種以上を添加しておくことができる。
【0041】
(A)ケイ素化合物(加水分解物)および/または(C)ポリシロキサンと(D)易分解性樹脂とを混合した溶液(分散液)は、少量の水と酸触媒の存在下で、20〜60℃の温度にて1〜6時間、攪拌することが望ましい。これにより、(A)ケイ素化合物(加水分解物)および/またはポリシロキサンの二次的な加水分解反応が易分解性樹脂骨格中で進行し、(A)ケイ素化合物(加水分解物)および/または(C)ポリシロキサンと、(D)易分解性樹脂とが均一に絡み合ったポリマー組成物が得られる。ただし、この方法においては、易分解性樹脂の種類などによっては均一に絡み合ったポリマー組成物が得られない場合がある。
【0042】
また、ポリマー組成物は、アルコキシシランまたはハロゲン化シランと易分解性樹脂と、必要に応じてシリカ系微粒子とを、相溶しない有機溶媒と水とを用いて接触加水分解反応することによって調製することができる。この調製方法方法によれば、直接、相互貫入型ポリマー組成物を容易に形成することができる。
本発明の塗布液は、上記に示す前記(A)ケイ素化合物(加水分解物の場合も含む、以後同じ)、前記(B)有機テンプレート材、および任意で含まれる前記(C)ポリシロキサン、前記(D)易分解性樹脂を含む組成物、前記した相互貫入型ポリマー組成物などの固形分を、有機溶媒中に5〜35重量%、好ましくは10〜30重量%の量で含有していることが望ましい。
【0043】
前記有機溶媒としては、アルコール類、グリコールエーテル類、ケトン類、エーテル類、エステル類、炭化水素類、芳香族炭化水素類などの有機溶媒から選択して使用することができる。
つぎに、本発明の低誘電率シリカ系被膜付半導体基板について具体的に説明する。
【0044】
[低誘電率シリカ系被膜付半導体基板]
本発明に係る低誘電率シリカ系被膜付半導体基板は、低誘電率シリカ系被膜がシリコン基板上、多層配線構造の配線層間、素子表面および/またはPN接合部分に設けられてなるシリコン基板と、シリコン基板上の多層の配線層と、低誘電率シリカ系被膜とからなる低誘電率シリカ系被膜付半導体基板であって、
低誘電率シリカ系被膜が前記低誘電率シリカ系被膜形成用塗布液を塗布し、ついで加熱処理した後焼成処理して得られることを特徴としている。
【0045】
このシリコン基板上に形成されたシリカ系被膜は、比誘電率が2.5以下と小さく、しかも被塗布面との密着性、耐アルカリ性などの耐薬品性や耐クラック性に優れ、更には耐酸素プラズマ性やエッチング加工性などのプロセス適合性も備えているばかりでなく、著しく低い水分吸着性と十分に高い被膜強度を有している。
【0046】
この低誘電率シリカ系被膜は、前記した低誘電率シリカ系被膜形成用塗布液を塗布して形成されたものであり、下記一般式(I)で示されるアルコキシシランおよび下記一般式(II)で示されるハロゲン化シランからなる群から選ばれる1種以上のケイ素化合物の加水分解物を前駆体とするシリカ系成分からなっている。
nSi(OR)4-n (I)
nSiX'4-n (II)
(式中、Xは水素原子、フッ素原子、または炭素数1〜8のアルキル基、フッ素置換アルキル基、アリール基もしくはビニル基を表し、Rは水素原子、または炭素数1〜8のアルキル基、アリール基もしくはビニル基を表し、X'はハロゲン原子を表す。また、nは0〜3の整数である。)
前記一般式(I)で示されるアルコキシシランおよび前記一般式(II)で示されるハロゲン化シランの具体例としては、前記したと同様のものが挙げられる。
【0047】
このようなシリカ系被膜には、前記一般式(I)で示されるアルコキシシランおよび前記一般式(II)で示されるハロゲン化シランからなる群から選ばれる1種以上のケイ素化合物の加水分解物とシリカ系微粒子との反応物であるポリシロキサンとを含んでいても良い。
このようなポリシロキサンを被膜中に酸化物(SiO2)換算で5〜90重量%の範囲で含んでいることが好ましい。さらに好ましくは20〜80重量%の範囲である。ポリシロキサンを前記範囲で含んでいると、被膜の比誘電率が2.5以下で、耐熱性、強度等に優れたシリカ系被膜を得ることができる。
【0048】
なお、塗布液に添加された有機テンプレート材および易分解性樹脂は、被膜形成時の加熱によって、揮散または分解して消失している。
次ぎに、半導体基板上の低誘電率シリカ系被膜の形成方法について具体的に例示する。
低誘電率シリカ系被膜の形成は、特に制限はなく従来公知の方法を採用することができ、たとえば、(a)上記のような低誘電率シリカ系被膜形成用塗布液を半導体基板上に塗布し、(b)得られた被膜を350℃以下の温度にて加熱処理した後、(c)該被膜を不活性ガスの雰囲気下、350〜450℃の温度にて焼成処理することにより形成することができる。
【0049】
(a) 塗布工程
一般に、このような塗布液の塗布方法としては、スピンコート法、ディップコート法、ロールコート法、転写印刷法などが採用されているが、本発明方法においても、このような従来公知の方法を用いて低誘電率シリカ系被膜形成用塗布液を半導体基板上に塗布することができる。
【0050】
(b) 加熱処理
このようにして半導体基板上に塗布された被膜は、350℃以下、好ましくは50〜300℃の温度にて加熱処理される。この加熱は、被膜の膜厚などによっても異なるが、1〜10分、好ましくは2〜5分をかけて行うことが望ましい。
この加熱処理は、従来のように窒素などの不活性ガス雰囲気下で行ってもよいが、空気雰囲気下で行うことが好ましい。これは、この処理が350℃以下という比較的、低い温度条件下で短時間行われるので、たとえ酸素を比較的多量に含んでいる空気雰囲気下で加熱処理しても半導体基板上に配設された金属配線に対し金属酸化などによるダメージを与えないからである。これにより、高価な窒素ガスの使用量を削減でき、また微量の酸素が被膜中に取り込まれる可能性が高まるので、後段の(c)焼成処理の際にSi−O−Si結合の架橋の進んだSiO2 が生成し、低水分吸着性と高被膜強度を有する低誘電率シリカ系被膜を形成し易くなる。
【0051】
上記のようにして加熱処理を施すことによって、被膜中に含まれる有機溶媒が蒸発するとともに有機テンプレート材が脱離し、また一方では固形成分の重合が進んで硬化するとともに、加熱の過程で重合体の溶融粘度が低下して被膜のリフロー性が増大し、得られる被膜の平坦性が向上する。
このようにして形成される低誘電率シリカ系被膜の膜厚は、被膜を形成する半導体基板やその目的によっても異なるが、例えば、半導体装置におけるシリコン基板上では通常、100〜600nm程度であり、多層配線の配線層間の場合は通常、100〜1,000nmである。
【0052】
(c) 焼成処理
次いで、前記加熱処理を施された被膜は、不活性ガスの雰囲気下、350〜450℃の温度にて焼成処理(キュア)することが好ましい。
前記不活性ガスとしては、窒素ガスを用いることが望ましく、さらに必要に応じて、これに酸素ガスまたは空気を加えて、少量の酸素を含む不活性ガスとして用いても良い。
【0053】
前記の焼成温度は、塗布液に用いる有機テンプレート材の種類と量、あるいは塗布液中に含まれるSi含有化合物(シリカ系成分)の性状などによっても異なるが、350〜450℃の温度範囲から選択される。この温度範囲であれば、低水分吸着性で高被膜強度の低誘電率シリカ系被膜得ることができる。
さらに、易分解性樹脂を含む塗布液を用いた場合にも、この易分解性樹脂が分解または揮散する以上の温度で行うことが必要であり、350〜450℃の温度範囲であれば、有機テンプレート材および/または易分解性樹脂によりマトリックスが実質的に5nm以下の径の空孔のみを有する低密度で高強度の低誘電率シリカ系被膜が形成される。
【0054】
また、この焼成処理は、塗布液の種類や被膜の膜厚などによっても異なるが、10〜60分をかけて行うことが好ましい。
ここで、焼成処理の温度が350℃未満であると、シリカ系成分の前駆体の架橋が進みにくいので十分な被膜強度を有する被膜が得られず、また焼成処理の温度が450℃を越えると、半導体基板を構成するアルミニウム配線や銅配線などが酸化されたり、溶融され、該配線層に損傷を与えることがあるので、当該温度は350〜450℃の範囲に保つことが好ましい。
【0055】
【発明の効果】
本発明の低誘電率シリカ系被膜形成用塗布液は、特定のシリカ系成分の前駆体と有機テンプレート材と、必要に応じて易分解性樹脂とからなっており、得られる被膜はシリカ系成分前駆体の架橋が進行し、多孔質で低密度であるにも拘わらず高被膜強度の低誘電率シリカ系被膜を得ることができる。
【0056】
本発明の低誘電率シリカ系被膜付半導体基板は、シリコン基板上、多層配線構造の配線層間、素子表面および/またはPN接合部分に、低誘電率シリカ系被膜が形成された半導体装置用部品であって、この半導体基板上に形成された被膜は、本発明の低誘電率シリカ系被膜形成用塗布液を用いて形成されているので被塗布面との密着性、耐アルカリ性などの耐薬品性や耐クラック性に優れ、更には耐酸素プラズマ性やエッチング加工性などのプロセス適合性も備えているばかりでなく、著しく低い水分吸着性と十分に高い被膜強度を有している。
【0057】
【実施例】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0058】
【実施例1】
被膜形成用塗布液 (S-1) の調製
トリエトキシシラン(信越化学工業製)80.0gとメチルトリメトキシシラン(信越化学工業製)68.18gとエタノール451.82gの混合溶液を20℃に保持し、これに0.05重量%濃度の硝酸含有水溶液54.0gを一度に加えて、150rpmの速度で攪拌しながら、20℃の温度で約1時間、トリエトキシシランとメチルトリメトキシシランの加水分解を行った。その後、1.5倍量のプロピルプロピレングリコール(PFG)を添加し、ロータリーエバポレーターを用いてプロピルプロピレングリコール(PFG)に溶媒置換して、加水分解反応により生成したアルコールや溶解した水分(硝酸を含む)を完全に除去してシリカ濃度が20重量%であるトリエトキシシランとメチルトリメトキシシランの加水分解物(マトリックス前駆体PFG分散液)を得た。
【0059】
上記のようにして得られたマトリックス前駆体のPFG溶液の100gに、有機テンプレート材として濃度20重量%のn−ヘキサデシルトリメチルアンモニウムハイドロキサイド(n-HDTMAH)のメタノール溶液25gを混合して被膜形成用塗布液(S-1)125gを得た。
シリカ系被膜付半導体基板 (L-1 )の製造
上記のようにして調製した被膜形成用塗布液(S-1)を、それぞれ8インチのシリコンウェハー(半導体基板)にスピンコート法で塗布した。
【0060】
その後、基板を加熱処理工程に供して、空気雰囲気下で150℃の温度にて3分間加熱した。この加熱処理では、被膜中に含まれる有機溶媒などが蒸発してくるので、これを系外に排気した。
次いで、窒素ガス雰囲気下、表1に示す温度にて30分間、焼成処理を施してシリカ系被膜付半導体基板(L-1)を製造した。次に、室温近くの温度まで冷却して系外に取り出した。
【0061】
このようにして得られた被膜の膜厚は、5,000Åであった。
次いで、得られたシリカ系被膜の比誘電率(水銀プローブ法、周波数1MHz)、酸素プラズマ照射前後の被膜の水分吸着量変化(TDS法:Thermal Desorption Mass-Spectroscopy)、被膜強度(セバスチャン強度試験機)および基板上の金属配線に対する損傷の有無(テスターにより配線抵抗値の変化を測定)を測定した。
【0062】
結果を表1に示す。
【0063】
【実施例2】
被膜形成用塗布液 (S-2) の調製
実施例1と同様にして調製したマトリックス前駆体のPFG分散液100gに、有機テンプレート材として濃度20重量%のn−ヘキサデシルトリメチルアンモニウムハイドロキサイドのメタノール溶液75gを混合して被膜形成用塗布液(S-2)175gを得た。
【0064】
シリカ系被膜付半導体基板 (L-2 )の製造
上記のようにして調製した各被膜形成用塗布液(S-2)を用いた以外は実施例1と同様にしてシリカ系被膜付半導体基板(L-2)を製造した。
得られた被膜の膜厚は5,000Åであった。
次いで、得られたシリカ系被膜の比誘電率、酸素プラズマ照射前後の被膜の水分吸着量変化、被膜強度および基板上の金属配線に対する損傷の有無を測定した。
【0065】
結果を表1に示す。
【0066】
【実施例3】
被膜形成用塗布液 (S-3) の調製
実施例1と同様にして調製したマトリックス前駆体のPFG溶液80gに、濃度20重量%のアクリル樹脂(数平均分子量は、22,190)のPFG溶液20gを混合し、ついでこれに有機テンプレート材として濃度20重量%のn−ヘキサデシルトリメチルアンモニウムハイドロキサイド(n-HDTMAH)のメタノール溶液20gを混合して被膜形成用塗布液(S-3)120gを得た。
【0067】
シリカ系被膜付半導体基板 (L-3 )の製造
上記のようにして調製した各被膜形成用塗布液(S-3)を用いた以外は実施例1と同様にしてシリカ系被膜付半導体基板(L-3)を製造した。
得られた被膜の膜厚は5,000Åであった。
次いで、得られたシリカ系被膜の比誘電率、酸素プラズマ照射前後の被膜の水分吸着量変化、被膜強度および基板上の金属配線に対する損傷の有無を測定した。
【0068】
結果を表1に示す。
【0069】
【実施例4】
被膜形成用塗布液 (S-4) の調製
実施例1と同様にして調製したマトリックス前駆体のPFG分散液66.67gに、濃度20重量%のアクリル樹脂(数平均分子量は、22,190)のPFG溶液33.33gを混合し、ついでこれに有機テンプレート材として濃度20重量%のn−ヘキサデシルトリメチルアンモニウムハイドロキサイド(n-HDTMAH)のメタノール溶液16.67gを混合して被膜形成用塗布液(S-4)116.67gを得た。
【0070】
シリカ系被膜付半導体基板 (L-4 )の製造
上記のようにして調製した被膜形成用塗布液(S-4)を用いた以外は実施例1と同様にしてシリカ系被膜付半導体基板(L-4)を製造した。
得られた被膜の膜厚は5,000Åであった。
次いで、シリカ系被膜の比誘電率、酸素プラズマ照射前後の被膜の水分吸着量変化、被膜強度および基板上の金属配線に対する損傷の有無を測定した。
【0071】
結果を表1に示す。
【0072】
【実施例5】
有機テンプレート材としてn−オクタデシルトリメチルアンモニウムハイドロキサイド(n-ODTMAH)を用いた以外は、実施例4と同様にして被膜形成用塗布液(S-5)を調製し、ついでシリカ系被膜付半導体基板(L-5)を製造した。得られたシリカ系被膜の比誘電率、酸素プラズマ照射前後の被膜の水分吸着量変化、被膜強度および基板上の金属配線に対する損傷の有無を測定した。
【0073】
結果を表に示す。
【0074】
【比較例1】
有機テンプレート材を用いなかった以外は実施例1と同様にして被膜形成用塗布液を調製し、ついでシリカ系被膜付半導体基板を製造した。得られたシリカ系被膜の比誘電率、酸素プラズマ照射前後の被膜の水分吸着量変化、被膜強度および基板上の金属配線に対する損傷の有無を測定した。
【0075】
結果を表1に示す。
【0076】
【比較例2】
有機テンプレート材を用いなかった以外は実施例4と同様にして被膜形成用塗布液を調製し、ついでシリカ系被膜付半導体基板を製造した。得られたシリカ系被膜の比誘電率、酸素プラズマ照射前後の被膜の水分吸着量変化、被膜強度および基板上の金属配線に対する損傷の有無を測定した。
【0077】
結果を表1に示す。
【0078】
【表1】
Figure 0004021131

Claims (4)

  1. (A)下記一般式(I)で示されるアルコキシシランおよび下記一般式(II)で示されるハロゲン化シランからなる群から選ばれる1種以上のケイ素化合物および/またはその加水分解物と、
    (B)下記一般式(III)で表される有機テンプレート材と、
    (C)下記一般式(I)で示されるアルコキシシランおよび下記一般式(II)で示されるハロゲン化シランからなる群から選ばれる1種以上のケイ素化合物および/またはその加水分解物とシリカ系微粒子との反応物であるポリシロキサン
    を含むことを特徴とする低誘電率シリカ系被膜形成用塗布液。
    nSi(OR)4-n (I)
    nSiX'4-n (II)
    [R1234N]+-(III)
    (式中、Xは水素原子、フッ素原子、または炭素数1〜8のアルキル基、フッ素置換アルキル基、アリール基もしくはビニル基を表し、Rは水素原子、または炭素数1〜8のアルキル基、アリール基もしくはビニル基を表し、X'はハロゲン原子を表す。また、nは0〜3の整数である。またR1は、炭素数が1〜20の炭化水素基、R2、R3、R4は、互いに異なっていても同一であってもよく、H原子または炭素数が1〜20の炭化水素基であり、さらにR1と同一であっても良い。Yはハロゲン原子またはOH基を示す。)
  2. さらに、(D)易分解性樹脂を含むことを特徴とする請求項1に記載の低誘電率シリカ系被膜形成用塗布液。
  3. 前記(D)易分解性樹脂は、前記(A)ケイ素化合物および/またはその加水分解物、または前記(C)ポリシロキサンと、分子鎖レベルで絡み合った相互貫入型ポリマー組成物を構成していることを特徴とする請求項2に記載の低誘電率シリカ系被膜形成用塗布液。
  4. 低誘電率シリカ系被膜がシリコン基板上、多層配線構造の配線層間、素子表面および/またはPN接合部分に設けられてなるシリコン基板と、シリコン基板上の多層の配線層と、低誘電率シリカ系被膜とからなる低誘電率シリカ系被膜付半導体基板であって、低誘電率シリカ系被膜が請求項1〜3のいずれかに記載の低誘電率シリカ系被膜形成用塗布液を塗布し、ついで加熱処理した後焼成処理して得られたものであることを特徴とする低誘電率シリカ系被膜付半導体基板。
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