JP4020944B1 - 塗工紙 - Google Patents

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Abstract

【課題】高精細な印刷を可能とすると共に、背面の綴じ部に製本後生じる、いわゆる「のどじわ」の発生を抑えた軽量塗工紙を提供する。
【解決手段】製品坪量が55g/m2以下の塗工紙であって、塗工量が片面で3〜5g/m2、前記顔料中には、古紙処理工程から排出される脱墨フロスを主原料とし、該主原料を脱水工程、乾燥工程、焼成工程及び粉砕工程を経ることにより得られた再生顔料凝集体が、塗工用顔料として少なくとも含有され、かつ高圧型デンソメーター(HIGH PRESSURE GURLEY DENSOMETER)(熊谷理機工業株式会社製)を用いて測定した10cc透気度が14秒以下であり、サイズテスター(EST12)(Emtec社製)を用いて測定した動的吸水試験値が50%に到達するまでの時間が3秒以上である構成とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、塗工紙に関し、特にカタログやダイレクトメール等に用いられる塗工紙に関するものである。
近年、カタログやダイレクトメール等の軽量な印刷用紙には非塗工紙と塗工紙とが一般的に使用されている。非塗工紙で軽量なものには上質の薄葉紙や約款用紙等が多用されており、この種の薄葉紙等は手肉感が良好で高級感に富み、厚肉で捲りやすいので製本作業性も良好である。しかし、塗工されていないため不透明度が不十分で、インキ着肉性も劣ることが多く、未だ十分な印刷適性を満足できるものではない。一方、塗工紙は塗工層を設けてあるのでインキ着肉性に優れ、塗工層に配合される顔料の作用により不透明度にも優れるが、塗工により嵩減りしやすいため手肉感が劣り、印刷作業性もよくはない。
そのため、軽量な用紙においては、例えば広告宣伝用のカタログのようにインキ着肉性を重視するか、冊子のマニュアルや取扱説明書のように製本作業性を重視するかで、非塗工紙と塗工用紙とを分けて用いるしかなく、印刷業者や製本業者等において用紙管理に手間がかかったり、製本等の作業が繁雑になったりするといった問題が指摘されていた。
また、ダイレクトメールのように広告宣伝のチラシと共にマニュアル等の冊子とを同封して用いる場合は、塗工紙でありながら非塗工紙のように手肉感や印刷作業性に優れ、かつ製本適正に優れた印刷用紙が強く望まれていた。
そこで、従来から、坪量、低塗工量で軽量であるにも関わらず、印刷・製本作業適性の優れ、実用に適した剛度を有し、裏抜けの問題がなく、インキ着肉性も維持される微塗工紙として、接着剤として顔料100重量部に対して20重量部以上60重量部以下の澱粉を有する塗工層であり、塗工層が原紙上片面当たり3g/m2以上5g/m2以下の塗工量であり、塗工紙の坪量が55g/m2以下であることを特徴とする塗工紙がある(例えば、特許文献1参照)。
特開2004−124289号公報
近年の印刷用紙の軽量化、微塗工化に伴い、製本適性において、折ジワが折丁の近傍に生ずる、いわゆる「のどじわ」が発生し製品価値を損なう問題が起きている。上記発明でも、この「のどじわ」の問題を解消することができなかった。
一方、本発明者らは、「のどじわ」の発生原因が、製本加工時における折丁の背糊(ホットメルト引き)や糸綴り等による物理的な製本時の背部の固定による水分の移動制限、折られた用紙の間に閉ざされた空気の逃げに主要因があることを見出した。
そこで、本発明の主たる課題は、高精細な印刷を可能とすると共に、背面の綴じ部に製本後生じる、いわゆる「のどじわ」の発生を抑えた軽量塗工紙を提供することにある。
上記課題を解決した本発明は、つぎのとおりである。
<請求項1記載の発明>
少なくとも片面に顔料とバインダーとを必須成分とする塗工層が形成された製品坪量が55g/m2以下の塗工紙であって、
片面の塗工量が3〜5g/m2であり、前記顔料中には、古紙処理工程において、脱インクし、パルプを取出した後の残渣である脱墨フロスを主原料とし、該主原料を脱水工程、乾燥工程、焼成工程及び粉砕工程を経ることにより得られた再生顔料凝集体が、塗工用顔料として少なくとも含有され、かつ高圧型デンソメーター(HIGH PRESSURE GURLEY DENSOMETER)(熊谷理機工業株式会社製)を用いて測定した10cc透気度が14秒以下であり、サイズテスター(EST12)(Emtec社製)を用いて測定した動的吸水試験値が50%に到達するまでの時間が3秒以上であることを特徴とする塗工紙である。
<請求項2記載の発明>
請求項2記載の発明は、製品離解パルプの製品フリーネスが300〜450ccである、請求項1記載の塗工紙である。
<請求項3記載の発明>
請求項3記載の発明は、 前記塗工層中の前記再生顔料凝集体の平均粒径が0.1〜10μmの範囲内に設定されており、
かつ、該塗工層中の該再生顔料凝集体の平均粒径が、該塗工層中の他の顔料の平均粒径よりも小さくなるよう設定され、製品離解パルプにおけるカヤニ繊維長測定器(FIBER LAB)(METSO社製)を用いて測定する重量加重中心線平均繊維長が0.85〜1.15mmである、請求項1又は2記載の塗工紙である。
<請求項4記載の発明>
請求項4記載の発明は、 少なくとも片面に顔料とバインダーとを必須成分とする塗工層が形成された製品坪量が55g/m2以下の塗工紙であって、
片面の塗工量が3〜5g/m2であり、前記顔料中には、古紙処理工程において、脱インクし、パルプを取出した後の残渣である脱墨フロスを主原料とし、該主原料を脱水工程、乾燥工程、焼成工程及び粉砕工程を経ることにより得られた再生粒子凝集体を、珪酸アルカリ水溶液中に懸濁するとともに鉱酸を添加し、再生粒子凝集体粒子の周囲をシリカで被覆して得たシリカ被覆再生粒子凝集体が、塗工用顔料として少なくとも含有され、かつ高圧型デンソメーター(HIGH PRESSURE GURLEY DENSOMETER)(熊谷理機工業株式会社製)を用いて測定した10cc透気度が14秒以下であり、サイズテスター(EST12)(Emtec社製)を用いて測定した動的吸水試験値が50%に到達するまでの時間が3秒以上であることを特徴とする塗工紙である。
(作用効果)
本発明は、少なくとも片面に顔料とバインダーとを必須成分とする塗工層が形成された製品坪量が55g/m2以下の塗工紙を対象とし、低坪量の用紙でありながら高精細な印刷を可能とすると共に、背面の綴じ部に製本後生じる、いわゆる「のどじわ」の発生を抑えることができる。
従来の製品坪量が55g/m2以下の塗工紙は、紙質強度と印刷適正を両立させるため、塗工量が片面3〜5g/m2の塗工紙が一般的であり、3g/m2未満の塗工量では高精細な印刷を得がたく、5g/m2超えると原紙坪量が50g/m2未満になるため紙質強度・剛度の確保が困難になり、印刷時の搬送等の操業性低下や断紙等の問題をきたす。
製品坪量が42g/m2未満では、印刷時の紙質強度不足が顕著に表れ、塗工層を設けることが困難なため、製品坪量は、少なくとも42g/m2以上55g/m2以下が好適である。
従来品においては、塗工液の塗工量を片面で3〜5g/m2とすることで、塗工紙表面での塗工層の被覆性の低下や、印刷適性の悪化を抑えることができるものの、本件発明の課題の一つである「のどじわ」の発生を抑制することができない。
「のどじわ」発生のメカニズムは明確ではないが、本発明者らの検討においては、製品の透気度と動的吸水試験値を調整することで、「のどじわ」の改善を図ることが可能になることを見出し本発明を完成させた。
本発明においては、製品の透気度と動的吸水試験値の調整に、古紙処理工程から排出される脱墨フロスを主原料とし、該主原料を脱水工程、乾燥工程、焼成工程及び粉砕工程を経ることにより得られた再生顔料凝集体が、塗工用顔料として少なくとも含有し、高圧型デンソメーター(HIGH PRESSURE GURLEY DENSOMETER)(熊谷理機工業株式会社製)を用いて測定した10cc透気度が14秒以下とすることで、折り工程で紙中に閉じ込められた空気が抜けることができるため、「のどじわ」の発生を抑えることができる。さらに、サイズテスター(EST12)(Emtec社製)を用いて測定した動的吸水性試験値が50%に到達するまでの時間を3秒以上とすることで、ホットメルト付着、乾燥時の湿度環境変化に対し塗工紙の伸縮が抑えられるため、「のどじわ」の発生が解消できる。
顔料として使用する再生顔料凝集体は、脱墨フロスを主原料とし、該主原料を脱水工程、乾燥工程、焼成工程及び粉砕工程を経ることにより得られた、無機粒子が凝集したポーラスな焼成体であり、製本加工時における折丁の背糊(ホットメルト引き)や糸綴り等による物理的な製本時の背部の固定による水分の移動制限、折られた用紙の間に閉ざされた空気の逃げを効率的に行う機能を有しているため、「のどじわ」の発生が解消できるためと考えられる。
更に、製品離解後の製品離解パルプの製品フリーネスを300〜450ccの範囲とすることで、「のどじわ」の改善と高精細な印刷適性の両面の問題をより好適に解決することができる。なお、製品フリーネスとは、JIS P 8220に準拠して製品を離解したパルプのフリーネスのことをいうものである。
製品離解パルプにおけるカヤニ繊維長測定器(FIBER LAB)(METSO社製)を用いて測定する重量加重中心線平均繊維長を0.85〜1.15mmとすることで、紙の伸縮をある程度許容して「のどじわ」の発生を抑えると共に、印刷適性の悪化を防ぐことができる。
本発明によれば、高精細な印刷を可能とすると共に、背面の綴じ部に製本後生じる、いわゆる「のどじわ」の発生を抑えることができる等の利点がもたらされる。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
<製品坪量>
本発明に係る塗工紙は、製品坪量で42g/m2以上55g/m2以下である。
坪量が、55g/m2超であれば、本発明の技術を使用しなくとも当然のことながら、本発明の課題を容易に解決できる。製品坪量は、原紙の紙質強度の観点からは、少なくとも、42g/m2以上が好ましい。42g/m2未満の坪量では、原紙の紙質強度が低くなり、断紙などのトラブルにて生産性が低下すると共に、抄造・塗工における操業性も低下し、品質の低下につながる問題が発現するからである。
また、製品紙厚を50μm以上とすることが好ましい。
<塗工量>
本発明に係る塗工紙では、塗工液の塗工量は、乾燥重量で、片面で3〜5g/m2の範囲が好適である。3g/m2を下回ると用紙表面での塗工層の被覆性が低下し、印刷適性が悪くなる問題が発現する。塗工量が5g/m2を上回ると、「のどじわ」の主たる原因となる透気度が低下し、背糊を設ける際に「のどじわ」の問題が発現する。より好ましくは、透気度と動的吸水性試験値の両者と印刷適性をも好適な範囲にするため、片面で、3.5〜4.5g/m2が好ましい。
<塗工用顔料>
塗工液に用いられる顔料としては、古紙処理工程から排出される脱墨フロスを主原料とし、該主原料を脱水工程、乾燥工程、焼成工程及び粉砕工程を経ることにより得られた再生顔料凝集体が用いられる。更には、再生顔料凝集体に限定されることなく、例えばエンジニアードクレー、炭酸カルシウム、サチンホワイト、酸化チタン、水酸化アルミニウム、酸化亜鉛、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、シリカ、活性白土、珪藻土、レーキ、デラミネーテッドクレー等、既知の顔料を適宜組合わせて用いることができる。特にエンジニアードクレーは、平均粒径分布幅が狭く、顔料が下塗り層中に均一に分布しながらもポーラスな構造になるため、塗工層の平坦性とクッション性を併せ持つ効果を醸し出すことができる。
本発明で用いられる再生顔料凝集体について更に詳説する。
本発明で使用する再生顔料凝集体は、脱墨フロスを主成分として焼成して得られたものである。脱墨フロス以外の製紙スラッジなどは、構成成分が変動しやすいため、製品の性状の変動要因になりやすい。これに対し、脱墨フロスは、構成成分がほとんど変動しないため、得られる再生顔料の白色度等の品質をコントロールすることが容易となり、製紙用とするに好適である。なお、脱墨フロスの構成成分がほぼ変動せずに安定しているのは、古紙パルプの性状の安定が再生紙の品質安定につながり、この品質安定を目的として古紙パルプの原料たる古紙をほぼ同質にするためである。
構成成分の変動を抑制手法としては、前記脱墨フロスの利用以外に、性状が安定している、塗工工程スラッジや抄紙工程のスラッジなど出所が明確なスラッジを所定量混合することで調整可能になる。
ここで脱墨フロスとは、古紙処理工程において、脱インクし、パルプを取出した後の残渣である。主として、カオリン、炭酸カルシウム、タルク、二酸化チタン等の無機粒子、残留インク粒子、繊維、コーティング剤等の有機系化合物、及び、水を含む。
脱墨フロスは、例えば、沈殿や加圧浮上等の方法で固液分離して固形分を回収し、所定の水分に乾燥した後、第1焼成工程で所定の未燃率となるように調整して焼成する。これにより、塊状に凝集した多孔質原料となる。
以下は、脱墨フロスを例にとり、本発明に基づく再生顔料の製造方法例を詳述する。
イ.フロック化・脱水
通常脱墨フロスは、水分率95〜98質量%程度であり、凝集剤を加えてフロックを形成させ、脱水処理を行う。脱水処理は、1段でも複数段でも実施可能ではあるが、過度に脱水を進め固化させると、後工程の第1焼成工程において焼成ムラが生じる原因になるため、複数段で水分率を50〜60質量%程度まで脱水することが好ましい。
ロ.乾燥・分級
脱水物は、予め乾燥される。乾燥手段は、熱風乾燥等公知の乾燥手段を使用可能であるが、脱墨フロスを乾燥させながらほぐすことが可能であり、更に比重分級をも可能な熱風乾燥手段が最も好適に使用できる。
好適に使用できる熱風乾燥手段を具体的に例示すると、脱水製紙フロスをインペラ等のほぐし設備にてほぐしながら、インペラ設備下方に設けた熱風吹きだし手段にて熱風を吹き込み熱風乾燥を行う。ほぐされ、乾燥された製紙フロスのうち、比重の軽い製紙フロスを熱風乾燥手段の上部に設けた取出し口から排出させることで、乾燥と分級とを行うことができる。乾燥させた脱墨フロスの分級には、好適な手段として、サイクロンによる分級を採用することもできる。
ハ.焼成
乾燥・分級された脱墨フロスは、次に第1焼成工程に送られる。第1焼成工程においては、工程内酸素濃度が0.05%以上に保持し、未燃率を10質量%以上、15質量%未満になるように調整することが肝要である。未燃率を10質量%以上とすることで、第2工程の焼成において粒子に多孔性を付与することができる。更に、未燃率を15質量%未満にすることで、第2工程の焼成工程で自燃による過焼成で粒子が硬化することを防ぐことが可能になる。
焼成は、650℃以下で行うのが好ましく、特に、残カーボンによる白色度の低下を避けるために、450〜650℃の範囲で段階をつけて行うのが好ましい。650℃超の高温で焼成を行うと、炭酸カルシウムが分解して酸化カルシウムとなり、また、無機物の溶融が生じて極めて硬度が高く多孔性が低い無機粒子となるおそれがある。なお、酸化カルシウムは水溶性であるため、抄紙工程において添加した際に溶け出してしまい、例えば、サイズ剤等の薬品効果を妨げるおそれがある。
本形態の再生顔料は、以上の多孔質原料を、90重量%以上含み、かつこの多孔質原料が、X線マイクロアナライザーによる塗工紙表面の元素分析において、酸化物換算における、アルミニウムとケイ素とカルシウムとを8〜40:10〜40:20〜82の重量割合で、好ましくは、9〜30:10〜30:40〜82の重量割合、より好ましくは、9〜20:9〜20:60〜82の重量割合で含む。
焼成工程において、本発明の割合に調整するための方法としては、脱墨フロスにおける原料構成を調整することが本筋ではあるが、乾燥・分級工程、第1及び第2焼成工程において、出所が明確な塗工フロスや調整工程フロスをスプレー等で工程内に含有させる手段や、焼却炉スクラバー石灰を含有させる手段にて調整することも可能である。
例えば、再生顔料中のカルシウムの調整には、中性抄紙系の排水スラッジや、塗工紙製造工程の排水スラッジを用い、ケイ素の調整には、不透明度向上剤として多量添加されている新聞用紙製造系の排水スラッジを、アルミニウムの調整には酸性抄紙系等の硫酸バンドの使用がある抄紙系の排水スラッジや、タルク使用の多い上質紙抄造工程における排水スラッジを適宜用いることができる。
酸化物換算のアルミニウム、ケイ素及びカルシウムの合計包含割合を、90重量%以上にする手段としては、排水スラッジの凝集処理に用いる凝集剤に鉄分を含まないものを使用する、製造設備工程を鉄以外素材で設計又はライニングし、摩滅等により鉄分が系内に混入することを防止する、更に、乾燥・分級設備内に磁石等の高い磁性体を設置し取り除くことで調整可能になる。特に鉄分が、酸化により白色度低下の起因物質になるため、選択的に取り除くことが好ましい。
以上の焼成工程は、この工程内に空気を送風する手段及びこの工程内から空気を排気する手段の少なくともいずれか一方によって、工程内酸素濃度が、0.05%以上に、好ましくは、0.05〜20%に、更に好ましくは焼成炉内上端部で5〜15%、焼成炉内のバーナー近傍で10〜20%、焼成炉内で0.05〜10%に調節される。工程内酸素濃度が0.05%未満であると、焼成が進まず、ムラのある焼成が進むだけでなく、焼成に膨大な時間とエネルギーコストとが必要になる。他方、工程内酸素濃度が20%を超えると、過焼しやすく、過焼ムラにより無機物が黄変化するととともに、無機物の溶融が多発し、無機物の分解や酸化が進み、再資源としての活用が困難になる場合がある。また、本形態においては、焼成工程に供給される乾燥物の水分率が少なくとも2〜20質量%に調節されているため、焼成工程内酸素濃度を0.05〜20%とすると、極めて効率よく焼成を進ませることができ、焼成を60分以内で行うことが可能になり、極めて高い生産性を得ることができる。
ニ.溶解・粉砕
焼成された無機物は、抄紙あるいは塗工工程で使用するには粒径が不揃いであるため、そのままでは顔料への利用は問題がある。
顔料用途への使用においては、粒径の均一化や微細化が必要であるが、本発明に基づく再生顔料における顔料用途等への最適な粒径、顔料径について鋭意検討を重ねた結果、本形態の再生顔料は、一次粒子が平均粒子径0.01〜0.1μmであり、この一次粒子が凝集した二次粒子が平均粒子径0.1〜10μmであるのが好ましいことを知見した。本形態の再生顔料は、吸油量が30〜100ml/100gで、塗工工程で顔料として用いるには、平均粒径を0.3〜5μmに調整することが好ましい。
本発明の再生顔料は前記の乾燥・分級・焼成方法により粉砕処理前に既に40μm以下の粒子が90%以上となるよう処理しておくことが好ましい。これにより、従来一般的に行われている乾式粉砕による大粒子の粉砕及び湿式粉砕による微粒子化といった複数段の粉砕処理を行うことなく、湿式による1段粉砕処理が可能となる。これによりコールターカウンター法による粒度分布の微分曲線における平均粒子径のピーク高さを30%以上とすることができ、さらには原料スラッジ中のカルシウム、ケイ素及びアルミニウムを、酸化物換算で30〜82:9〜35:9〜35の重量割合に調整することで、再生顔料の細孔容積を0.15〜0.60cc/g、細孔表面積を10〜25m2/g、細孔半径を300〜1000オングストロームとすることができる。
(シリカ被覆処理工程)
次にシリカ被覆処理工程について説明する。上述のようにして粉砕した脱墨フロスを主原料とする再生粒子凝集体を珪酸アルカリ水溶液中に混合する。珪酸アルカリ水溶液は特に限定されないが、珪酸ナトリウム溶液(3号水ガラス)が入手に容易である点で望ましい。珪酸アルカリ溶液の濃度は水溶液中の珪酸分(SiO2換算)で3〜10質量%が好適である。10質量%を超えると形成される再生粒子凝集体とシリカが被覆された複合体は無機微粒子・シリカ複合凝集体ではなく、前記の再生粒子凝集体がホワイトカーボンで被覆されてしまい、芯部の再生粒子凝集体の、多孔性、光学的特性が全く発揮されなくなってしまう。また、3質量%未満では複合粒子中のシリカ成分が低下するため、シリカが被覆された再生粒子凝集体粒子が形成しにくくなってしまう。
再生粒子凝集体と珪酸アルカリ水溶液、鉱酸の混合工程は、上述のように調製した珪酸アルカリ水溶液に粉砕後の脱墨フロスを主原料とする再生粒子凝集体を加え、シリカ被覆化の反応を行う。本発明で使用される鉱酸としては希硫酸、希塩酸、希硝酸などの鉱酸の希釈液等が挙げられるが、価格、ハンドリングの点で希硫酸が最も望ましい。さらに、希硫酸を使用する場合の添加時の濃度は、0.2〜4.0モル濃度が望ましい。また、鉱酸添加量が多いほど短時間内にシリカが析出するので、それらの条件に合わせて添加速度を調整することが望ましい。5分以内の添加は、均一な反応系の構成が不十分になる。
本発明で用いる再生粒子には、所定の範囲でカルシウム、アルミニウムを構成元素として含有しており、過度の濃度の鉱酸添加は、再生粒子の変質を生じる恐れがある。
本発明での再生粒子凝集体のシリカ被覆粒子の製造時の反応温度に関しては、60〜100℃の範囲が望ましい。本発明者らの鋭意検討の結果から、本発明に使用する再生粒子凝集体との反応温度はシリカの生成、結晶成長速度および形成された再生粒子凝集体のシリカ被覆粒子の力学的強度に影響を及ぼす。反応温度が60℃未満ではシリカの生成・成長速度が遅く、形成された再生粒子凝集体のシリカ被覆粒子の被覆性に劣り、被覆の剥落が生じやすく、塗料塗工時にかかる剪断力で被覆が壊れ易い。100℃を超えると、水系反応であるためオートクレーブを使用しなければならないため反応工程が複雑になってしまう。最適反応温度は60〜80℃である。
また、再生粒子凝集体のシリカ被覆粒子を製造する場合、再生粒子凝集体を珪酸アルカリ水溶液に添加、分散しスラリーを調製するが、このスラリー濃度は、3〜35質量%が望ましい。スラリー濃度を調整することにより、形成される再生粒子凝集体のシリカ被覆粒子の粒径がコントロールされると同時に再生粒子凝集体とシリカの組成比率が決まる。
本発明では、再生粒子凝集体を珪酸アルカリ水溶液に添加・分散しスラリーを調製した後に攪拌しながら、液温を60〜100℃の範囲に保持し鉱酸を添加した混合液を調整し、シリカゾルを生成させ、前記混合液のpHを中性〜弱アルカリ性、好ましくは混合液を8〜11の範囲に調整することにより再生粒子凝集体のシリカ被覆粒子を製造し、スラリーをろ過・水洗するとウェットケーキが得られる。
(用途又は適用)
このような方法によって製造した本発明のシリカ被覆再生粒子凝集体は、バージンシリカと同程度の白色度を有し、しかも脱墨フロスを主原料とする再生粒子凝集体であるために硬度が低く、これを製紙用の顔料として使用した場合に塗工機等の摩耗性トラブルを回避できる。また本発明のシリカ被覆再生粒子凝集体は、元来ポーラスな再生粒子凝集体の表面をシリカで被覆したものであることから比表面積が大きく、これを塗工用顔料として使用すると、白色度と不透明度が高い紙を得ることもできる。
更に、シリカ被覆再生粒子凝集体の吸油度は、50〜180ml/100gの範囲が好ましい。塗工用顔料の合計量に対して、本発明のシリカ被覆再生粒子凝集体を5〜100質量%、好適には10〜100質量%添加して使用することができる。
他の顔料としてクレーを用いる場合、炭酸カルシウムとクレーとを重量基準で等量配合したものは、標準的な顔料として使用することができるが、重質炭酸カルシウムとクレーとの重量基準配合比が3:7〜7:3の範囲内に設定されている場合は、優れた印刷光沢度が得られると共に、操業性に優れ、しかも印刷用の塗工紙をより低コストで製造することができるので特に好ましい。
顔料は分散媒体中に分散されて塗工液とされた後、基紙に塗布される。この分散媒体としては、従来公知の各種のものが用いられ、特にスチレン・ブタジエンラテックスが好適に用いられる。なお、カチオン性バインダーに加えて、酸化澱粉、カチオン澱粉、デキストリンなどの澱粉類、ポリビニルアルコール(PVA)などの合成樹脂接着剤、カゼイン、大豆蛋白、合成蛋白などの蛋白類等の他の接着剤を適宜配合してもよい。
各種のスチレン・ブタジエンラテックスのなかでも、単量体成分としてのアクリロニトリルを含んでいないか、含んでいたとしても10重量%以下に設定されたラテックスであって、ガラス転移温度(Tg)が−30〜0℃で、平均粒子径が100〜170nmで、かつゲル含有量が80〜90%であるものが好ましい。なぜなら、アクリロニトリルを単量体成分として多く含むラテックスは、表面処理工程において黄変しやすく、また経時においても黄変しやすいことから、耐候性に難点があり、最終製品において色調ばらつきを発生させてしまう傾向があるからである。但し、単量体成分としてのアクリロニトリルを含んでいると、塗工液中のラテックス配合量を低減しつつ印刷用の塗工紙に必要な表面硬度を付与でき、しかも印刷光沢度が高まるという利点があることから、これらの利点を得るべく、10重量%以下の少量含ませてもよい。これらを考慮すると、アクリロニトリル含有量が1〜10重量%、より好ましくは3〜8重量%に設定されているラテックスがより好適に用いられる。なお、このような所定のラテックスは、ブタジエン、アクリロニトリル、スチレン、アクリル酸、ブチルアクリル酸、メタクリル酸、メチルメタクリル酸、酢酸ビニル等の単量体成分を適宜用いて重合させることにより製造することができる。
また、ラテックスのガラス転移温度(Tg)が−30〜0℃の範囲内のものが好適なのはつぎの理由による。すなわち、ガラス転移温度(Tg)が0℃を超えると、耐べたつき性が悪化して、操業性が悪化してしまう傾向があるからである。より詳しく説明すると、単量体成分としてのアクリロニトリル含有量が多い場合には、ガラス転移温度(Tg)が高くても耐べたつき性の悪化を抑制することが可能であるが、アクリロニトリル非含有あるいはアクリロニトリル少量含有のラテックスであることから、ガラス転移温度(Tg)を低くしないと耐べたつき性の悪化を抑制することが難しいからである。一方、ガラス転移温度(Tg)を−30℃より低くしても、−30℃の場合と比較して耐べたつき性の向上効果に殆ど差がみられない。このため、ガラス転移温度(Tg)は上記範囲内に設定されているのが好ましい。なお、ガラス転移温度(Tg)は、20℃、65%(相対湿度)でラテックスフィルムを作製し、その20mgを示差走査熱量測定装置(DSC)で昇温速度5℃/分、測定温度0〜100℃で得られる特性曲線から求めることができる。
更に、ラテックスの平均粒子径が100〜170nmの範囲内のものが好適なのはつぎの理由による。すなわち、平均粒子径が100nm未満であると、塗工性が低下して被覆性が悪化する傾向があり、逆に平均粒子径が170nmを超えると十分な接着強度や表面強度が得られず、耐べたつき性が悪化してしまう傾向があるからである。換言すれば、平均粒子径が上記範囲内であると、印刷用の塗工紙として必要な接着強度及び表面強度が得られると共に、良好な塗工性を確保することができるという利点がある。なお、平均粒子径は、濃度が0.05〜0.2%となるように希釈し、この希釈された各試料の波長525nmにおける吸光度を測定し、予め作成しておいた検量線を用いることで測定することができる。
また、ラテックスのゲル含有量が80〜90%の範囲内のものが好適なのはつぎの理由による。すなわち、ゲル含有量が80%未満であると、表面強度不足で操業性の悪化を招来する傾向があるからである。一方、ゲル含有量を90%より高くしても、90%の場合と比較して耐べたつき性の向上効果に殆ど差がみられないからである。そして、ゲル含有量は接着強度の指標であり、80〜90%という高い範囲内に設定することによって、印刷用の塗工紙に表面強度を付与するアクリロニトリルが非含有あるいは少量含有であっても、必要な表面強度を確保することが可能になる。なお、ゲル含有量は、下記の数式(1)により算出された値である。
ゲル含有量(%)=(乾燥フィルム重量−トルエン可溶分重量)×100/乾燥フィルム重量 …(1)
ここで、乾燥フィルム重量とは、ラテックス約0.3gをスライドグラス上に薄く広げ、50℃の乾燥機でフィルムとなるまで乾燥させて得た乾燥フィルムの重量である。また、トルエン可溶分重量とは、得られた乾燥フィルムを約50mlのトルエン中に一昼夜浸漬し、ガラスフィルターでろ過し、ろ物とろ液とに分離した後、このろ液を105℃の乾燥機で乾燥して、トルエン可溶分の重量を測定した値である。
そして、上記所定のラテックスの配合割合は、顔料100重量部に対して8〜15重量部の範囲内に設定されているのが好ましい。すなわち、配合量が少なすぎると印刷用の塗工紙に必要とされる接着強度や表面強度が不充分となってユーザーが印刷する際にピッキングトラブル(塗工層の剥離)が起こりやすい傾向があるからである。逆に配合量が多すぎると、塗工液中のアクリロニトリルの絶対量が多くなって、耐候性が悪化したり、製造コストが高くついたりなどの問題が発生する傾向があるからである。換言すれば、上記所定のラテックスの配合割合を上記範囲内に設定することにより、必要最小限の接着強度及び表面強度を確保しつつ、耐候性などに優れた印刷用の塗工紙とすることができる。但し、所定のラテックスの他に、他の接着剤を併用して接着強度や表面硬度を高めるようにしてもよいのは勿論である。特に、所定のラテックスと共に、尿素リン酸エステル化澱粉、カルバミン酸澱粉などのエステル化澱粉を用いることが好ましい。このエステル化澱粉の配合割合は、顔料100重量部に対し0.5〜10重量部の範囲内に設定するのが好適である。
なお、塗工液には、上記した各成分のほか、アクリル酸・アクリルアミド共重合体、分散剤、増粘剤、潤滑剤、消泡剤、耐水化剤、着色剤、pH調整剤などの従来公知の各種の助剤を使用目的やニーズに応じて適宜に配合することができる。特にアクリル酸・アクリルアミド共重合体を顔料100重量部に対して0.01〜0.1重量部の範囲内で配合するのが好ましい。最表層塗工層中に添加されるアクリル酸・アクリルアミド共重合物の添加量は、塗被方式、塗被速度又はその化合物を添加する前の粘度等によって異なるが、固形分で顔料100重量部に対し0.01〜0.1重量%の範囲が好ましく、0.04〜0.08重量%の範囲であることが特に好ましい。化合物の添加量が0.01重量%未満になると、増粘効果が不足し均質な面状が得られない。添加量が0.1重量%を超えると、増粘効果が過大となり、塗被液が著しい曳糸性を示すため、操業性が悪化すると共に塗被における引き延ばしが不安定となるので、均質な面状が得られない。
なお、本発明の塗工層は、塗工液を基紙の片面又は両面に塗工することにより形成することができる。塗工に際しては、ブレードコータ、エアーナイフコータ、ロールコータ、ブラシコータ、カーテンコータ、バーコータ、グラビアコータ、サイズプレスコータ等の、一般的な塗工装置を単独で、また、組み合わせて使用することができる。
<透気度>
本発明に係る塗工紙は、高圧型デンソメーター(HIGH PRESSURE GURLEY DENSOMETER)(熊谷理機工業株式会社製)を用いて測定した10cc透気度が14秒以下であることが好適である。いわゆる 「のどじわ」の改善には、透気度の調整は欠かすことが出来ない問題であり、透気度が14秒以下になるように、塗工量を設定する必要がある。透気度が14秒を上回ると、折り工程で紙中に閉じ込められた空気が抜けないため、「のどじわ」が発生する。
特に好ましくは12秒以下の範囲内に調整することにより、製本加工時における紙揃えにおいて、用紙間に空気溜りが生じにくくなり、用紙間が密接することにより、ホットメルトや糸綴り等の背表紙加工時に用紙への物理的なひずみが表裏面側の用紙に偏ることなく製本に供される用紙全体に分散されるため、「のどじわ」の発生を抑制することができる。
<動的吸水性試験値>
動的吸水試験値は、サイズテスター(EST12)(Emtec社製)を用いて測定する吸水性測定試験である。水中に設置された超音波発信素子と受信素子の間に試験試料をおき、超音波の透過強度の変化から紙中への水の浸透量(動的吸水試験値)を求めるものである。
本発明に係る塗工紙は、動的吸水性試験値が50%に到達するまでの時間が3秒以上であることが好適である。動的吸水性試験値が50%に到達するまでの時間を3秒以上とすることで、ホットメルト付着、乾燥時の湿度環境変化に対し用紙の伸縮が抑えられるため、「のどじわ」の発生が解消できる。3秒未満であると、ホットメルト付着、乾燥時の湿度環境変化に対し用紙の伸縮が抑えられず「のどじわ」が発生する。
<製品フリーネス>
本発明に係る塗工紙は、製品離解パルプの製品フリーネスが300〜450ccであることが好適である。ここで、製品フリーネスとは、JIS P 8220に準拠して製品を離解したパルプのフリーネスのことをいうものである。
製品離解後の製品離解パルプのフリーネスが300〜450ccの範囲になるように叩解処理を施すことで、本発明の課題である「のどじわ」の改善と高精細な印刷適正の両面の問題をより好適に解決することができる。300cc未満では、繊維間が密になりやすく、透気度が高くなると共に、物理的な外圧により紙層にひずみが生じやすく、「のどじわ」が発生しやすくなる。他方、450cc超では、表面の平滑性が低下するため印刷光沢の低下、印刷機への紙粉付着といった基本的な紙質、作業性が著しく低下するからである。
<重量加重中心線平均繊維長>
原料パルプとしては、例えば、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP)、針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)、広葉樹亜硫酸パルプ、針葉樹亜硫酸パルプ等の木材繊維を含むパルプを主原料として化学的に処理されたクラフトパルプ、木材以外の繊維原料であるケナフ、麻、藁、リンターパルプ等の非木材繊維を主原料として化学的に処理されたクラフトパルプや、チップを機械的にパルプ化したグランドパルプ、木材又はチップに化学薬品を添加しながら機械的にパルプ化したケミグランドパルプ、あるいはチップを柔らかくなるまで蒸解した後、リファイナー等でパルプ化したセミケミカルパルプ等のバージンパルプ、及びクラフトパルプ、セミケミカルパルプ、酵素漂白パルプを含むオフィス上物古紙を脱墨、漂白したパルプ、牛乳パック古紙上質断裁落ち古紙、コート断裁落ち古紙、上白、特白、中白等の未印刷の古紙から得られる回収パルプ等があげられる。なお、これらのパルプ原料は単独で使用してもよいが、2種以上を混合して使用してもよい。
ここで、本発明に係る塗工紙では、前述したように、透気度、動的吸水試験値とも、原料パルプに起因する要素が大きく、原料パルプに古紙パルプ、広葉樹クラフトパルプを用いることが好適である。より好ましくは、離解後の原料パルプの構成において、原料パルプ100%のうちクラフトパルプが15〜70%、残りを機械パルプが占める構成になるように、古紙パルプと広葉樹クラフトパルプの配合を行うことが好ましい。特に回収古紙を原料とする古紙パルプはその原料変動が生じるため、使用する古紙の選定を行うことで調整する必要がある。
ところで、本発明に係る塗工紙では、重量加重中心線平均繊維長が0.85〜1.15mmになる原料パルプを使用することが好適である。
原料パルプの重量加重中心線平均繊維長が0.85〜1.15mmであることが好ましい。ここで、重量加重中心線平均繊維長とは、カヤニ繊維長測定器(FIBER LAB)(METSO社製)を用いて測定する繊維長測定試験で、ガラス製測定セルを通過するパルプにヘリウム−ネオンレーザー及びキセノンランプを照射してCCDカメラで撮影した画像から、画像解析ソフトにより分析することで平均繊維長を求める方法である。前述した透気度や動的吸水性試験値での規定に加え、より「のどじわ」を低減させるためには原料パルプの繊維構成も考慮する必要がある。本発明者らによって、重量加重中心線平均繊維長が0.85〜1.15mmであることが好ましいことが知見された。重量加重中心線平均繊維長が0.85mm未満では、紙層間の空隙が少なくなり、紙の伸縮の許容が少なくなることから、「のどじわ」の発生を助長する原因となる。他方、重量加重中心線平均繊維長が1.15mmを超えると、地合いが悪くなり、印刷適性が悪化する。
重量加重中心線平均繊維長は、古紙パルプの変動により変動するため、これらの変動による紙質変動が、透気度、動的吸水試験値の変動につながり、「のどじわ」の発生に影響を及ぼす関係から、この面からも原料パルプとしての古紙パルプ、広葉樹クラフトパルプの調整が肝要である。例えば、上質系の古紙配合の多い古紙パルプであると、透気度が高く、動的吸水試験値は低くなりやすく、雑誌古紙の様に比較的機械パルプの多い古紙を使用した古紙パルプの場合は、透気度が低く、動的吸水試験値は高くなりやすい傾向を有するため、古紙処理工程における古紙離解工程での原料古紙の配合割合を適宜調整することが必要である。また、重量加重中心線平均繊維長については、既に公知の古紙パルプの「分級」手段を好適に併用することも可能である。分級には、比重差を利用した分級や網を利用した分級など公知の手段を利用することができる。
(評価方法)
印刷適性評価、製本作業性、「のどじわ」について以下に示すように評価した。
<印刷適性評価>
ローランド印刷機〔ローランド社製、型式:RVK−3B、印刷スピード:四六半裁(788mm×540mm)で120回転/分)〕により印刷した場合の紙粉発生状況により比較した。
◎:10,000枚印刷しても紙粉付着全く確認できない
○:10,000枚印刷しても紙粉付着殆ど確認できない
△:10,000枚印刷して際に紙粉付着多く、ブランケット洗浄が必要
×:5,000枚印刷して際に紙粉付着多く、ブランケット洗浄が必要
<製本作業性>
○:問題なし
×:折工程で折りズレによるシワ発生
<のどじわ>
○:発生しない
×:発生する
Figure 0004020944
Figure 0004020944

Claims (4)

  1. 少なくとも片面に顔料とバインダーとを必須成分とする塗工層が形成された製品坪量が55g/m2以下の塗工紙であって、
    片面の塗工量が3〜5g/m2であり、前記顔料中には、古紙処理工程において、脱インクし、パルプを取出した後の残渣である脱墨フロスを主原料とし、該主原料を脱水工程、乾燥工程、焼成工程及び粉砕工程を経ることにより得られた再生顔料凝集体が、塗工用顔料として少なくとも含有され、かつ高圧型デンソメーター(HIGH PRESSURE GURLEY DENSOMETER)(熊谷理機工業株式会社製)を用いて測定した10cc透気度が14秒以下であり、サイズテスター(EST12)(Emtec社製)を用いて測定した動的吸水試験値が50%に到達するまでの時間が3秒以上であることを特徴とする塗工紙。
  2. 製品離解パルプの製品フリーネスが300〜450ccである、請求項1記載の塗工紙。
  3. 前記塗工層中の前記再生顔料凝集体の平均粒径が0.1〜10μmの範囲内に設定されており、
    かつ、該塗工層中の該再生顔料凝集体の平均粒径が、該塗工層中の他の顔料の平均粒径よりも小さくなるよう設定され、製品離解パルプにおけるカヤニ繊維長測定器(FIBER LAB)(METSO社製)を用いて測定する重量加重中心線平均繊維長が0.85〜1.15mmである、請求項1又は2記載の塗工紙。
  4. 少なくとも片面に顔料とバインダーとを必須成分とする塗工層が形成された製品坪量が55g/m2以下の塗工紙であって、
    片面の塗工量が3〜5g/m2であり、前記顔料中には、古紙処理工程において、脱インクし、パルプを取出した後の残渣である脱墨フロスを主原料とし、該主原料を脱水工程、乾燥工程、焼成工程及び粉砕工程を経ることにより得られた再生粒子凝集体を、珪酸アルカリ水溶液中に懸濁するとともに鉱酸を添加し、再生粒子凝集体粒子の周囲をシリカで被覆して得たシリカ被覆再生粒子凝集体が、塗工用顔料として少なくとも含有され、かつ高圧型デンソメーター(HIGH PRESSURE GURLEY DENSOMETER)(熊谷理機工業株式会社製)を用いて測定した10cc透気度が14秒以下であり、サイズテスター(EST12)(Emtec社製)を用いて測定した動的吸水試験値が50%に到達するまでの時間が3秒以上であることを特徴とする塗工紙。
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