JP4019745B2 - 内燃機関の空燃比制御装置 - Google Patents

内燃機関の空燃比制御装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関における触媒による浄化能力を好適に維持可能な内燃機関の空燃比制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、内燃機関の空燃比制御装置に関連する先行技術文献としては、特開平5−141293号公報、特開平8−193537号公報にて開示されたものが知られている。このうち、特開平5−141293号公報には、燃料カット状態から燃料噴射状態への復帰後、燃料カット制御により燃料カット(燃料噴射停止)されていた時間の長さに応じて燃料噴射量を増量補正する技術が示されている。また、特開平8−193537号公報には、燃料カット状態から燃料噴射状態への復帰後、触媒の吸着酸素量に応じて目標空燃比をリッチ側に補正する技術が示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前述の特開平5−141293号公報では、車載バッテリの取替時にメモリ内容がクリアされた際、燃料系の学習が未完であるときには、狙い通りに増量補正が実施されず空燃比がリッチ側またはリーン側にずれて、エミッションやドライバビリティ悪化を招くという不具合があった。
【0004】
また、前述の特開平8−193537号公報では、燃料カット状態から燃料噴射状態への復帰後、空燃比フィードバック(以下、『F/B』と記す)制御に戻るまでディレイ時間が存在し、この期間は燃料量に対する空燃比F/B補正が実施されていないため、空燃比がリーンからストイキ(理論空燃比)付近に至るまで時間を要していた。この空燃比F/B補正に基づく燃料補正量は、目標空燃比と実空燃比との差分に大きく依存している。このため、空燃比が大きくリーン側にずれたまま空燃比F/B制御を再開すると空燃比F/B補正に基づく燃料補正量が大きくなり、空燃比をリッチ側に乱れさせる原因となる。そこで、これに対処するため、燃料量に対する空燃比F/B補正を、ディレイ時間を長くして遅らせると、逆に、空燃比のリーン状態が長くなってしまう結果となるのである。これら空燃比の乱れやずれは、エミッションやドライバビリティ悪化を招くという不具合があった。
【0005】
そこで、この発明はかかる不具合を解決するためになされたもので、燃料カット状態から燃料噴射状態への復帰に際し、空燃比の乱れやずれを抑止しつつ素早く空燃比F/B制御に戻し、触媒による浄化能力を好適に維持可能な内燃機関の空燃比制御装置の提供を課題としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1の内燃機関の空燃比制御装置によれば、燃料カット制御手段による燃料カット状態から燃料噴射制御手段による内燃機関の運転状態に応じて燃焼室内に燃料噴射弁から燃料を噴射供給する燃料噴射制御への復帰後で、空燃比検出手段で検出された空燃比に基づき空燃比F/B(フィードバック)制御手段によって空燃比F/B制御が実行されるまでの間に、燃料噴射制御手段による燃料増量制御によって燃料が増量供給される。すると、この期間では、触媒中の空燃比が速やかに酸素を消費するので、燃料カット復帰してから空燃比が目標空燃比に安定するまでの期間において、この増量した期間分は短縮される。これと共に、増量後は空燃比F/B制御によって空燃比を制御するので燃料カット復帰後に空燃比を目標空燃比に追従させる際に、空燃比の安定性を確保することができる。
【0007】
更に、前記燃料噴射制御手段によって燃料増量制御における燃料噴射量の補正量及び空燃比F/B制御における目標空燃比の補正量が吸着酸素量演算手段による触媒の吸着酸素量に基づき算出され、これにより、空燃比F/B制御で燃料噴射量を逐次補正する場合より、一度に多くの増量補正が実行可能となり、触媒をより素早く狙い通りの状態に制御することができる。また、空燃比の状態がリーンからストイキ付近に素早く復帰されることで空燃比F/B制御実行直後における空燃比の乱れが小さくなりエミッションが改善される。
【0008】
請求項2の内燃機関の空燃比制御装置によれば、燃料カット制御手段による燃料カット状態から燃料噴射制御手段による内燃機関の運転状態に応じて燃焼室内に燃料噴射弁から燃料を噴射供給する燃料噴射制御への復帰後で、空燃比検出手段で検出された空燃比に基づき空燃比F/B(フィードバック)制御手段によって空燃比F/B制御が実行されるまでの間に、燃料噴射制御手段による燃料増量制御によって燃料が増量供給される。すると、この期間では、触媒中の空燃比が速やかに酸素を消費するので、燃料カット復帰してから空燃比が目標空燃比に安定するまでの期間において、この増量した期間分は短縮される。これと共に、増量後は空燃比F/B制御によって空燃比を制御するので燃料カット復帰後に空燃比を目標空燃比に追従させる際に、空燃比の安定性を確保することができる。
【0009】
更に、内燃機関の空燃比制御装置における燃料噴射制御手段では、燃料増量制御における燃料噴射量の補正量及び空燃比F/B制御における目標空燃比の補正量が、内燃機関の燃料カット状態であった際の時間、吸入空気量、機関回転速度、負荷、空燃比、または点火回数のうち少なくとも1つに基づき算出される。これにより、燃料カット制御終了直後の燃料増量制御における燃料噴射量の増量補正量及び空燃比F/B制御復帰直後における目標空燃比の補正量が適宜、得られる。
【0010】
ところで、空燃比F/B制御では、排気通路中の実空燃比が空燃比検出手段によって検出することができる空燃比範囲を越えていた場合、速やかに空燃比を目標空燃比に追従させようと燃料増量を過度に行なってしまう可能性がある。
そこで、請求項3の内燃機関の空燃比制御装置によれば、燃料を増量する増量期間として、燃料カット復帰後の空燃比が空燃比検出手段により検出されることができる範囲になるまでの期間を設定した場合には、空燃比F/B制御手段により空燃比F/B制御に切替わった後の空燃比制御を安定して行なうことができるので、燃料カット復帰後の空燃比を目標空燃比までに追従させる期間を短縮させると共に、安定して目標空燃比に追従させることができるという優れた効果を奏することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を実施例に基づいて説明する。
【0012】
図1は本発明の実施の形態の一実施例にかかる内燃機関の空燃比制御装置が適用された内燃機関及びその周辺機器を示す概略構成図である。
【0013】
図1において、内燃機関1は4気筒4サイクルの火花点火式として構成され、その吸入空気は上流側からエアクリーナ2、吸気通路3、スロットルバルブ4、サージタンク5及びインテークマニホルド6を通過して、インテークマニホルド6内でインジェクタ(燃料噴射弁)7から噴射された燃料と混合され、所定空燃比の混合気として各気筒に分配供給される。また、内燃機関1の各気筒に設けられた点火プラグ8には、点火回路9から供給される高電圧がディストリビュータ10にて分配供給され、各気筒の混合気を所定タイミングで点火する。そして、燃焼後の排気ガスはエキゾーストマニホルド11及び排気通路12を通過し、排気通路12に設けられ、白金やロジウム等の触媒成分とセリウムやランタン等の添加物を担持した三元触媒13にて有害成分であるCO(一酸化炭素)、HC(炭化水素)、NOx(窒素酸化物)等が浄化され大気中に排出される。
【0014】
吸気通路3には吸気温センサ21と吸気圧センサ22とが設けられ、吸気温センサ21はエアクリーナ2の下流側の吸気温THA、吸気圧センサ22はスロットルバルブ4の下流側の吸気圧PMをそれぞれ検出する。また、スロットルバルブ4にはスロットル開度TAを検出するスロットル開度センサ23が設けられ、このスロットル開度センサ23はスロットル開度TAに応じたアナログ信号と共に、スロットルバルブ4がほぼ全閉であることを検出する図示しないアイドルSW(スイッチ)からのオン/オフ信号を出力する。また、内燃機関1のシリンダブロックには水温センサ24が設けられ、この水温センサ24は内燃機関1内の冷却水温THWを検出する。ディストリビュータ10には内燃機関1の機関回転速度NEを検出する回転角センサ25が設けられ、この回転角センサ25は内燃機関1のクランクシャフト(図示略)の2回転、即ち、720〔°CA(Crank Angle:クランク角)〕毎にパルス信号を24回出力する。更に、排気通路12の三元触媒13の上流側には、内燃機関1から排出される排気ガスの空燃比λに応じたリニアな空燃比信号VOX1を出力するA/Fセンサ26が設けられ、三元触媒13の下流側には、排気ガスの空燃比λが理論空燃比(λ=1)に対してリッチかリーンかに応じた電圧信号VOX2を出力する酸素(O2 )センサ27が設けられている。
【0015】
内燃機関1の運転状態を制御するECU(Electronic Control Unit:電子制御ユニット)30は、周知の各種演算処理を実行する中央処理装置としてのCPU31、制御プログラムや制御マップ等を格納したROM32、各種データ等を格納するRAM33、B/U(バックアップ)RAM34等を中心に論理演算回路として構成され、各種センサからの検出信号を入力する入力ポート35及び各種アクチュエータ等に制御信号を出力する出力ポート36に対しバス37を介して接続されている。そして、ECU30は入力ポート35を介して各種センサから吸気温THA、吸気圧PM、スロットル開度TA、冷却水温THW、機関回転速度NE、空燃比信号VOX1、電圧信号VOX2等を入力し、それらの各値に基づいて燃料噴射量TAU、点火時期Ig を算出し、出力ポート36を介してインジェクタ7及び点火回路9にそれぞれ制御信号を出力する。
【0016】
以下、実施例の動作について各制御毎に説明する。
【0017】
〈燃料カット制御フラグXFCの設定:図2参照〉
燃料カット制御フラグXFC設定ルーチンを図2に基づいて説明する。なお、この燃料カット制御フラグXFC設定ルーチンは4〔ms:ミリ秒〕毎にECU30内のCPU31にて実行される。
【0018】
図2において、まず、ステップS101で、燃料カット制御フラグXFCが「1」にセットされているかが判定される。この燃料カット制御フラグXFCは、通常の空燃比F/B(フィードバック)制御状態では「0」にクリアされている。ステップS101の判定条件が成立せず、即ち、燃料カット制御フラグXFCが「0」にクリアされ、燃料カット制御中でなく通常の空燃比F/B制御状態にあるときにはステップS102に移行する。
【0019】
ステップS102では、アイドルSWがオンであるかが判定される。ステップS102の判定条件が成立、即ち、アイドルSWがオンでアクセルペダル(図示略)が踏込まれていないときにはステップS103に移行し、機関回転速度NEが1400〔rpm〕を越えているかが判定される。この機関回転速度NEにおける1400〔rpm〕は内燃機関1に対する燃料カット制御の実行を判定するため予め設定された閾値である。
【0020】
ステップS103の判定条件が成立、即ち、機関回転速度NEが1400〔rpm〕を越え高く、燃料カット制御の実行条件が成立しているときにはステップS104に移行し、ディレイカウンタCDFCが「0」であるかが判定される。ステップS104の判定条件が成立、即ち、ディレイカウンタCDFCのカウント値が当初で「0」に初期設定されているときにはステップS105に移行し、ディレイカウンタCDFCが「1」に設定され、本ルーチンを終了する。
【0021】
一方、ステップS104の判定条件が成立せず、即ち、ディレイカウンタCDFCが「0」でなく既に「1」に設定されているときにはステップS106に移行し、後述のようにカウントされるディレイカウンタCDFCが予め設定された判定値CK1を越えているかが判定される。この判定値CK1は、例えば、0.5秒に相当するカウント値である。ステップS106の判定条件が成立、即ち、ディレイカウンタCDFCのカウント値が判定値CK1を越え大きいときにはステップS107に移行し、燃料カット制御フラグXFCが「1」、空燃比F/B制御フラグXFBが「0」、ディレイカウンタCDFCが「0」に設定され、本ルーチンを終了する。一方、ステップS106の判定条件が成立せず、即ち、ディレイカウンタCDFCのカウント値が判定値CK1以下と小さいときには、何もすることなく本ルーチンを終了する。
【0022】
一方、ステップS102の判定条件が成立せず、即ち、アイドルSWがオフでアクセルペダルが踏込まれているとき、またはステップS103の判定条件が成立せず、即ち、機関回転速度NEが1400〔rpm〕以下と低く、燃料カット制御の実行条件が不成立であるときにはステップS108に移行する。ステップS108では、ディレイカウンタCDFCが「0」に設定され、本ルーチンを終了する。
【0023】
ここで、ステップS101の判定条件が成立、即ち、燃料カット制御フラグXFCが「1」にセットされ、燃料カット制御中であるときにはステップS109に移行し、機関回転速度NEが1000〔rpm〕未満であるかが判定される。この機関回転速度NEにおける1000〔rpm〕は内燃機関1に対する燃料カット制御終了を判定するため予め設定された閾値である。ステップS109の判定条件が成立せず、即ち、機関回転速度NEが1000〔rpm〕以上と高いときにはステップS110に移行し、アイドルSWがオンであるかが判定される。ステップS110の判定条件が成立せず、即ち、アイドルSWがオフでアクセルペダルが踏込まれているときにはステップS111に移行し、燃料カット制御フラグXFCが「0」、ディレイカウンタCDFBが「1」に設定され、本ルーチンを終了する。
【0024】
一方、ステップS109の判定条件が成立、即ち、機関回転速度NEが1000〔rpm〕未満と低く、燃料カット制御終了と判定されるときには上述のステップS111に移行し、同様に、燃料カット制御フラグXFCが「0」、ディレイカウンタCDFBが「1」に設定され、本ルーチンを終了する。一方、ステップS110の判定条件が成立、即ち、アイドルSWがオンでアクセルペダルが踏込まれていないときには、何もすることなく本ルーチンを終了する。
【0025】
〈ディレイカウンタCDFCのカウント:図3参照〉
ディレイカウンタCDFCカウントルーチンを図3に基づいて説明する。なお、このディレイカウンタCDFCカウントルーチンは32〔ms〕毎にECU30内のCPU31にて実行される。
【0026】
図3において、ステップS201で、ディレイカウンタCDFCが「0」に設定されているかが判定される。ステップS201の判定条件が成立せず、即ち、ディレイカウンタCDFCが「0」でなく、上述した図2のステップS105で「1」に設定されているときにはステップS202に移行し、ディレイカウンタCDFCが「+1」インクリメントされ、本ルーチンを終了する。一方、ステップS201の判定条件が成立、即ち、ディレイカウンタCDFCが「0」に設定されているときにはステップS202をスキップし、本ルーチンを終了する。
【0027】
〈ディレイカウンタCDFBのカウント:図4参照〉
ディレイカウンタCDFBカウントルーチンを図4に基づいて説明する。なお、このディレイカウンタCDFBカウントルーチンは内燃機関1の各気筒のTDC(Top Dead Center:圧縮上死点)信号の割込毎にECU30内のCPU31にて実行される。
【0028】
図4において、ステップS301で、ディレイカウンタCDFBが「0」に設定されているかが判定される。ステップS301の判定条件が成立せず、即ち、ディレイカウンタCDFBが「0」でなく、上述した図2のステップS110で「1」に設定されているときにはステップS302に移行し、ディレイカウンタCDFBが「+1」インクリメントされる。次にステップS303に移行して、ディレイカウンタCDFBが判定値CK2に等しいかが判定される。この判定値CK2は、例えば、30カウントに予め設定されている。
【0029】
ステップS303の判定条件が成立、即ち、ディレイカウンタCDFBが判定値CK2に達しているときにはステップS304に移行し、空燃比濃化制御フラグXErichが「1」、空燃比F/B制御フラグXFBが「1」、ディレイカウンタCDFBが「0」に設定され、本ルーチンを終了する。一方、ステップS301の判定条件が成立、即ち、ディレイカウンタCDFBが「0」であるとき、ステップS303の判定条件が成立せず、即ち、ディレイカウンタCDFBが判定値CK2に達していないときには、何もすることなく本ルーチンを終了する。
【0030】
〈吸着酸素量SMO2 の算出:図5参照〉
吸着酸素量SMO2 算出ルーチンを図5に基づいて説明する。なお、この吸着酸素量SMO2 算出ルーチンは内燃機関1の各気筒のTDC信号の割込毎にECU30内のCPU31にて実行される。
【0031】
図5において、ステップS401で、燃料カット制御フラグXFCが「1」にセットされているかが判定される。ステップS401の判定条件が成立、即ち、燃料カット制御フラグXFCが「1」にセットされ、燃料カット制御中であるときにはステップS402に移行し、吸着酸素量SMO2 算出処理が実行される。ここでは、燃料カット制御中に三元触媒13に吸着された酸素量としての吸着酸素量SMO2 〔mol〕が、次式(1)にて算出される。
【0032】
【数1】
Figure 0004019745
【0033】
ここで、上式(1)における排気量(排出空気量)は、吸気量(吸入空気量)に相当する値であり、この値は機関回転速度NE及び吸気圧PMより算出される(=NE×PM×係数)。また、燃料カット制御中は排気ガスが空気のみとなるため、酸素濃度は空気中に占める酸素割合(=約20〔%〕)に一致する。
【0034】
次にステップS403に移行して、吸着酸素量SMO2 が予め設定された飽和吸着量OST以下であるかが判定される。ステップS403の判定条件が成立せず、即ち、ステップS402で算出された吸着酸素量SMO2 が飽和吸着量OSTを越え多いときにはステップS404に移行し、吸着酸素量SMO2 が飽和吸着量OSTにてホールドされ、本ルーチンを終了する。つまり、上述の飽和吸着量OSTは、三元触媒13がリーン側に飽和状態になったときの酸素を対象とした最大吸着量に相当する。したがって、吸着酸素量SMO2 が飽和吸着量OSTを越え多いときには、排気ガス中の酸素はこれ以上、三元触媒13に吸着されることなく下流側に流れることになるため、吸着酸素量SMO2 が飽和吸着量OSTにてホールドされる。ここで、ステップS403の判定条件が成立、即ち、吸着酸素量SMO2 が飽和吸着量OST以下と少ないときには、何もすることなく本ルーチンを終了する。
【0035】
一方、ステップS401の判定条件が成立せず、即ち、燃料カット制御フラグXFCが「0」にクリアされ、燃料カット制御中でなく通常の空燃比F/B制御状態にあるときにはステップS405に移行し、空燃比濃化制御フラグXErichが「1」にセットされているかが判定される。ステップS405の判定条件が成立、即ち、空燃比濃化制御フラグXErichが「1」にセットされ、空燃比濃化制御中であるときにはステップS406に移行し、脱離酸素量PGO2 算出処理が実行される。ここでは、空燃比濃化制御中に三元触媒13から脱離された酸素量としての脱離酸素量PGO2 〔mol〕が、次式(2)にて算出される。
【0036】
【数2】
Figure 0004019745
【0037】
ここで、上式(2)における酸素濃度の脱離相当量は、A/Fセンサ26により検出された空燃比信号VOX1に所定の係数が乗算され、実際の空燃比λに略比例した値として算出される。
【0038】
次にステップS407に移行して、これまでの吸着酸素量SMO2 からステップS406で算出された脱離酸素量PGO2 が減算され、吸着酸素量SMO2 が更新される。この吸着酸素量SMO2 が三元触媒13に残留されている酸素量に相当する。次にステップS408に移行して、吸着酸素量SMO2 が「0」近傍の所定値S0 未満であるかが判定される。ステップS408の判定条件が成立、即ち、吸着酸素量SMO2 が所定値S0 未満と少ないときにはステップS409に移行し、空燃比濃化制御が不要であるとして空燃比濃化制御フラグXErichが「0」にクリアされ、本ルーチンを終了する。
【0039】
一方、ステップS405の判定条件が成立せず、即ち、空燃比濃化制御フラグXErichが「0」にクリアされているときにはステップS410に移行し、吸着酸素量SMO2 が「0」にクリアされ、本ルーチンを終了する。一方、ステップS408の判定条件が成立せず、即ち、吸着酸素量SMO2 が所定値S0 以上と多いときには未だ空燃比濃化制御が必要であるとして、何もすることなく本ルーチンを終了する。
【0040】
〈燃料噴射量TAUの算出:図6参照〉
燃料噴射量TAU算出ルーチンを図6に基づいて説明する。なお、この燃料噴射量TAU算出ルーチンは内燃機関1の各気筒のTDC信号の割込毎にECU30内のCPU31にて実行される。
【0041】
図6において、ステップS501で、燃料カット制御フラグXFCが「0」にクリアされているかが判定される。ステップS501の判定条件が成立せず、即ち、燃料カット制御フラグXFCが「1」にセットされ、燃料カット制御中であるときにはステップS502に移行し、燃料カット制御中における燃料噴射量TAUが「0」に設定され、本ルーチンを終了する。一方、ステップS501の判定条件が成立、即ち、燃料カット制御フラグXFCが「0」にクリアされ、燃料カット制御中でなく通常の空燃比F/B制御状態にあるときにはステップS503に移行し、基本燃料噴射量Tp算出処理が実行される。この基本燃料噴射量Tpは、例えば、ROM32内に予め記憶されている燃料噴射量マップを用い、そのときの機関回転速度NE及び吸気圧PMに応じて算出される。
【0042】
次にステップS504に移行して、空燃比F/B制御フラグXFBが「1」にセットされているかが判定される。ステップS504の判定条件が成立、即ち、空燃比F/B制御フラグXFBが「1」にセットされ、空燃比F/B制御中であるときにはステップS505に移行し、空燃比濃化制御フラグXErichが「1」にセットされているかが判定される。ステップS505の判定条件が成立せず、即ち、空燃比濃化制御フラグXErichが「0」にクリアされ、空燃比濃化制御が不要であるときにはステップS506に移行し、目標空燃比λTGが所定値KPARG1に設定される。この所定値KPARG1は、例えば、ROM32内に予め記憶されている目標空燃比設定マップを用い、燃料噴射復帰前の燃料カット制御時における三元触媒13の吸着酸素量SMO2 、燃料カット制御実行時間、燃料カット制御時における内燃機関1の吸気量、機関回転速度NE、吸気圧PM等に基づく負荷、空燃比信号VOX1、点火回数のうち少なくとも1つ以上をパラメータとして算出される。
【0043】
一方、ステップS505の判定条件が成立、即ち、空燃比濃化制御フラグXErichが「1」にセットされ、空燃比濃化制御が必要であるときにはステップS507に移行し、目標空燃比λTGが所定値KPARG2に設定される。この所定値KPARG2は、例えば、ROM32内に予め記憶されている目標空燃比設定マップを用い、燃料噴射復帰前の燃料カット制御時における三元触媒13の吸着酸素量SMO2 、燃料カット制御実行時間、燃料カット制御時における内燃機関1の吸気量、機関回転速度NE、吸気圧PM等に基づく負荷、空燃比信号VOX1、点火回数のうち少なくとも1つ以上をパラメータとして算出される。
【0044】
ステップS506またはステップS507で目標空燃比λTGが設定されたのちステップS508に移行し、空燃比F/B補正係数FAF算出処理が実行され、次式(3)にて空燃比F/B補正係数FAFが算出される。ここで、kはサンプリング開始からの制御回数を示す変数、K1〜Kn+1 は最適F/Bゲイン、ZI(k) は積分項、Ka は積分定数である。なお、この空燃比F/B補正係数FAFの設定については、特開平1−110853号公報に開示されている。
【0045】
【数3】
Figure 0004019745
【0046】
一方、ステップS504の判定条件が成立せず、即ち、空燃比F/B制御フラグXFBが「0」にクリアされ、空燃比F/B制御中でないときにはステップS509に移行し、増量補正量算出処理が実行される。この増量補正量は、例えば、ROM32内に予め記憶されている増量補正量マップを用い、燃料噴射復帰前の燃料カット制御時における三元触媒13の吸着酸素量SMO2 、燃料カット制御実行時間、燃料カット制御時における内燃機関1の吸気量、機関回転速度NE、吸気圧PM等に基づく負荷、空燃比信号VOX1、点火回数のうち少なくとも1つ以上に基づき算出される。次にステップS510に移行して、空燃比F/B補正係数FAFが「1.0」に設定される。
【0047】
ステップS508またはステップS510の処理により空燃比F/B補正係数FAFが設定されたのちステップS511に移行し、各種補正係数FALL算出処理が実行される。ここでは、冷却水温THWや電気負荷等に基づき各種補正係数FALLが算出される。次にステップS512に移行して、燃料噴射量TAU算出処理が実行される。ここでは、ステップS503で算出された基本燃料噴射量Tp、ステップS508で算出またはステップS510で設定された空燃比F/B補正係数FAF、そしてステップS511で算出された各種補正係数FALLに基づき燃料噴射量TAUが次式(4)にて算出され、本ルーチンを終了する。
【0048】
【数4】
TAU←Tp×FAF×FALL ・・・(4)
【0049】
次に、上述した燃料カット制御時、燃料増量制御時及び空燃比濃化制御時の処理に対応する各種制御量等の遷移状態を示す図7のタイムチャートを参照し、より具体的に説明する。なお、図7における時刻t1 はアイドルSWがオンになる時点、時刻t2 〜時刻t3 は燃料カット制御が実行される期間、時刻t3 〜時刻t4 は燃料カット制御終了から空燃比F/B制御開始までの所定のディレイ時間にて設定された期間で、燃料増量制御が実行される期間、時刻t4 〜時刻t5 は燃料カット制御終了後に空燃比濃化制御が実行される期間を示す。
【0050】
図7において、時刻t1 では空燃比F/B制御が実行されており、この時刻t1 でアイドルSWがオンとなり、このとき、内燃機関1の機関回転速度NEが1400〔rpm〕を越え高いという条件を満足するときには、ディレイカウンタCDFCが「0」からカウント開始される。そして、ディレイカウンタCDFCのカウント値が所定の判定値CK1に到達する時刻t2 では、燃料カット制御フラグXFCが「1」にセットされると共に、空燃比F/B制御フラグXFBが「0」にクリアされる(図2のステップS107の処理)。このとき、空燃比F/B制御が停止され、燃料カット制御が開始される。なお、ディレイカウンタCDFCは判定値CK1に到達する以前にアイドルSWがオフになると、直ちに「0」にクリアされる(図2のステップS108の処理)。つまり、一時的にアイドルSWがオンになったときには燃料カット制御は実施されない。
【0051】
次に、時刻t3 で機関回転速度NEが所定回転速度である1000〔rpm〕まで低下すると、燃料カット制御フラグXFCが「0」にクリアされる(図2のステップS111の処理)。即ち、時刻t2 〜時刻t3 の期間は燃料カット制御が実行され、この期間において空燃比がリーン側に大きく偏ることとなる。また、燃料カット制御中は、吸入空気が各気筒を抜けてそのまま排気通路12側に流れ、この吸入空気中の酸素が三元触媒13に吸着される。そして、三元触媒13に吸着された酸素は、吸着酸素量SMO2 として逐次算出される(図5のステップS402の処理)。
【0052】
また、時刻t3 では、ディレイカウンタCDFBが「0」からカウント開始され、ディレイカウンタCDFBのカウント値が所定の判定値CK2に到達する時刻t4 にて空燃比濃化制御フラグXErich及び空燃比F/B制御フラグXFBが「1」にセットされる(図4のステップS304の処理)。この燃料カット制御の終了から空燃比F/B制御の開始まで、所定のディレイ時間が設定されている。この時刻t3 〜時刻t4 の所定のディレイ時間に、図6のステップS509の処理にて算出された増量補正量が考慮された燃料噴射量TAUが内燃機関1に噴射供給される。これにより、空燃比λが、破線にて示す従来例では、空燃比F/B制御開始直後に一旦、リッチ側に大きくオーバシュート気味に遷移されていたが、実線にて示す本実施例では、空燃比λのリッチ側への遷移を少なくでき、また、素早く空燃比λを14.7のストイキ(理論空燃比)付近に落着かせることができる。
【0053】
そして、時刻t4 にて空燃比F/B制御が再開されると、空燃比濃化制御フラグXErichが「1」にセットされているため目標空燃比λTGが所定値だけリッチ側にずらされる(図6のステップS507の処理)。このように、空燃比がリッチ側にずらされることにより、三元触媒13に吸着されている酸素成分は徐々に反応し消費される。この時刻t4 以降、空燃比の濃化により消費される酸素量が脱離酸素量PGO2 として逐次算出され、それまでの吸着酸素量SMO2 から脱離酸素量PGO2 を減算した値が最新の吸着酸素量SMO2 となる(図5のステップS406、ステップS407の処理)。そして、吸着酸素量SMO2 が略「0」にまで減少する時刻t5 では、空燃比濃化制御フラグXErichが「0」にクリアされ(図5のステップS408、ステップS409の処理)、以降、通常の空燃比F/B制御が実施される。
【0054】
なお、空燃比の濃化度合は、理論空燃比に対して0.5〜2.0〔%〕程度リッチ側の所定値で設定するのが望ましい。即ち、この範囲を越えて濃化度合を設定すると三元触媒13の単位面積・単位時間当たりのリッチ成分が増加し過ぎてしまい、三元触媒13に酸素が残留しているにもかかわらずリッチ成分の浄化が困難となる不具合があるが、空燃比の濃化度合が0.5〜2.0〔%〕の範囲内であれば三元触媒13からの酸素の脱離とリッチ成分の浄化とが共に実現できる。
【0055】
上述したように、本実施例の内燃機関の空燃比制御装置では、燃料カット制御により吸入空気中の酸素が三元触媒13に吸着しても、燃料カット制御から空燃比F/B制御への復帰時に、三元触媒13の吸着酸素が迅速に脱離される。したがって、燃料カット制御時に三元触媒13に吸着された過多量の酸素により排気ガス中の有害成分(主にNOx )の浄化が不十分になるという不具合が生じることはない。また、燃料カット制御終了後に三元触媒13に対する速やかな機能回復が図られ、高い浄化率が確保されるため、燃料カット制御終了直後の急加速時においても、三元触媒13により排気成分の適切な浄化を実現することができる。
【0056】
更に、本実施例では、内燃機関1への吸気量に基づき、上式(1)にて燃料カット制御時における三元触媒13の吸着酸素量SMO2 が算出され、また、A/Fセンサ26により検出されるリニアな空燃比検出結果に基づき、上式(2)にて空燃比濃化制御時における三元触媒13の脱離酸素量PGO2 が算出されることで、空燃比の濃化を適度に実施することができるという効果が得られる。つまり、本実施例によれば、吸着酸素量SMO2 は吸気量に比例するため吸着酸素量SMO2 をより正確に把握することができる。また、広域で、かつリニアな空燃比検出結果を用いることにより、三元触媒13からの酸素脱離状態が精度良く監視される。そして、これら吸着酸素量SMO2 、脱離酸素量PGO2 の監視結果に基づき空燃比の濃化が実施されることにより適度な空燃比濃化が実現される。
【0057】
加えて、本実施例では、三元触媒13の吸着酸素量SMO2 が飽和吸着量OSTに到達したときには、吸着酸素量SMO2 が飽和吸着量OSTにてホールドされる。つまり、三元触媒13の酸素吸着能力が限界状態となると吸着酸素量が飽和状態となるため、吸着酸素量SMO2 が飽和吸着量OSTにてホールドされることで、過剰な空燃比の濃化を防止することができる。
【0058】
更にまた、三元触媒13は劣化に伴い排気成分の吸着能力や浄化性能が変化するため、上述の図5のステップS403、ステップS404に示す飽和吸着量OSTは経時的に変化する。そこで、飽和吸着量OSTの学習処理について以下に説明する。
【0059】
〈学習開始の判定:図8参照〉
学習開始判定ルーチンを図8に基づいて説明する。なお、この学習開始判定ルーチンは図示しない車両の車速センサからの検出信号に基づき、車両が2000〔km〕走行する毎にECU30内のCPU31にて実行される。
【0060】
図8において、ステップS601で、空燃比F/B制御フラグXFBが「1」にセットされ、かつ空燃比濃化制御フラグXErichが「0」にクリアされているかが判定される。ステップS601の判定条件が成立、即ち、空燃比F/B制御中であり、かつ空燃比濃化制御中でないときにはステップS602に移行し、内燃機関1の運転状態が定常状態であるかが判定される。この判定では、内燃機関1における機関回転速度NEや吸気圧PMが略一定値と安定しているときには定常状態とされる。なお、酸素センサ27の出力電圧VOX2が所定の許容範囲内に収束しているかを判定条件に加えることもできる。
【0061】
ステップS602の判定条件が成立、即ち、内燃機関1の運転状態が定常状態であるときにはステップS603に移行し、学習実行フラグXOSTGが「1」から「0」にクリアされた変化時点から所定のインタバル時間Tが経過しているかが判定される。ステップS603の判定条件が成立、即ち、学習実行フラグXOSTGの「0」への変化時点からインタバル時間Tが経過しているときにはステップS604に移行し、学習実行フラグXOSTGが「1」にセットされ、本ルーチンを終了する。
【0062】
一方、ステップS601の判定条件が成立せず、即ち、空燃比F/B制御中でなく、または空燃比濃化制御中であるとき、またはステップS602の判定条件が成立せず、即ち、内燃機関1の運転状態が定常状態でなく加減速状態等であるとき、またはステップS603の判定条件が成立せず、即ち、学習実行フラグXOSTGの「0」への変化時点からインタバル時間Tが経過していないときにはステップS605に移行し、学習実行フラグXOSTGが「0」にクリアされ、本ルーチンを終了する。
【0063】
〈A/F変動の制御:図9参照〉
A/F変動制御ルーチンを図9に基づいて説明する。なお、このA/F変動制御ルーチンは図示しない車両の車速センサからの検出信号に基づき、車両が2000〔km〕走行する毎にECU30内のCPU31にて実行される。
【0064】
図9において、ステップS701で、学習実行フラグXOSTGが「1」であるかが判定される。ステップS701の判定条件が成立せず、即ち、学習実行フラグXOSTGが「0」であるときには、何もすることなく本ルーチンを終了する。一方、ステップS701の判定条件が成立、即ち、学習実行フラグXOSTGが「1」であるときにはステップS702に移行し、補正実行カウンタTC が予め設定されたリッチ補正時間TR を越えているかが判定される。ステップS702の判定条件が成立せず、即ち、補正実行カウンタTC がリッチ補正時間TR 以下と小さく、未だリッチ補正時間TR を経過していないときにはステップS703に移行し、目標空燃比λTGが予め設定されたリッチ目標空燃比λRTとされる。
【0065】
一方、ステップS702の判定条件が成立、即ち、補正実行カウンタTC がリッチ補正時間TR を越え大きく、リッチ補正時間TR を経過しているときにはステップS704に移行し、補正実行カウンタTC がリッチ補正時間TR に予め設定されたリーン補正時間TL を加算した値を越えているかが判定される。つまり、リッチ補正時間TR の経過後に更にリーン補正時間TL が経過したかが判定される。ステップS704の判定条件が成立せず、即ち、補正実行カウンタTC がリッチ補正時間TR にリーン補正時間TL を加算した値以下と小さいときにはステップS705に移行し、目標空燃比λTGが予め設定されたリーン目標空燃比λLTとされる。
【0066】
ステップS703またはステップS705の処理ののちステップS706に移行し、補正実行カウンタTC が「+1」インクリメントされ、本ルーチンを終了する。一方、ステップS704の判定条件が成立、即ち、補正実行カウンタTC がリッチ補正時間TR にリーン補正時間TL を加算した値を越え大きいときにはステップS707に移行し、学習実行フラグXOSTGが「0」にクリアされ、本ルーチンを終了する。
【0067】
このように、本実施例の内燃機関の空燃比制御装置は、内燃機関1の排気通路12に配設され、排気通路12中の排気ガスの空燃比を検出する空燃比検出手段としてのA/Fセンサ26と、内燃機関1の排気通路12に設置され、排気ガス中の有害物質を除去する三元触媒13と、内燃機関1の運転状態に応じて燃焼室(図示略)内にインジェクタ(燃料噴射弁)7から燃料を噴射供給するECU30にて達成される燃料噴射制御手段と、前記燃料噴射制御手段による燃焼室内への燃料をカットすると共に、この燃料カット状態からの復帰後に燃焼室内への燃料の噴射供給を再開するECU30にて達成される燃料カット制御手段と、前記燃料噴射制御手段で燃焼室内に供給する燃料量に対してA/Fセンサ26で検出された空燃比信号VOX1に基づき空燃比F/B(フィードバック)制御を実行するECU30にて達成される空燃比F/B制御手段とを具備し、前記燃料噴射制御手段は、燃料カット状態からの復帰後に燃料増量制御を所定期間実行し、この燃料増量制御が終了したのち空燃比F/B制御に切換えるものである。
【0068】
つまり、燃料カット状態から燃料噴射制御への復帰後で空燃比F/B制御が実行されるまでの間に燃料増量制御によって空燃比がストイキ(理論空燃比)付近の状態とされる。即ち、燃料増量制御によって増量補正を行なう期間を、燃料カット状態から燃料噴射制御への復帰後で空燃比F/B制御が実行されるまでの短い期間に限定するものである。すると、この期間では、三元触媒13中の空燃比が速やかに酸素を消費するので、燃料カット復帰してから空燃比が目標空燃比に安定するまでの期間において、この増量した期間分は短縮される。これと共に、増量後は空燃比F/B制御によって空燃比が制御されるので燃料カット復帰後に空燃比を目標空燃比に追従させる際に、空燃比の安定性を確保することができる。このため、この燃料増量制御による増量補正によれば、空燃比F/B制御復帰後に燃料噴射量TAUを逐次補正する場合に比べ、喩え燃料増量制御における増量補正量が狙いより多少ずれたとしても、空燃比F/B制御実行直後の空燃比に及ぼす影響が少なく空燃比の乱れを抑えることでエミッションを改善し、内燃機関1の運転状態における安定性を向上することができる。
【0069】
また、本実施例の内燃機関の空燃比制御装置のECU30にて達成される燃料噴射制御手段は、A/Fセンサ26が空燃比を検出することができる範囲に空燃比が到達するよう燃料増量制御における所定期間を設定するものである。ここで、空燃比F/B制御では、排気通路12中の実空燃比がA/Fセンサ26によって検出することができる空燃比範囲を越えていた場合、速やかに空燃比を目標空燃比に追従させようと燃料増量を過度に行なってしまう可能性がある。このため、燃料を増量する増量期間として、燃料カット復帰後の空燃比がA/Fセンサ26により検出されることができる範囲になるまでの期間が設定される。これにより、空燃比F/B制御に切替わった後の空燃比制御を安定して行なうことができ、燃料カット復帰後の空燃比を目標空燃比までに追従させる期間を短縮させると共に、安定して目標空燃比に追従させることができる。
【0070】
そして、本実施例の内燃機関の空燃比制御装置は、燃料カット状態において三元触媒13に吸着される酸素量を吸着酸素量SMO2 として算出するECU30にて達成される吸着酸素量演算手段とを具備し、ECU30にて達成される燃料噴射制御手段は、燃料増量制御における燃料噴射量TAUの補正量である増量補正量及び空燃比F/B制御における目標空燃比λTGの補正量を吸着酸素量SMO2 に基づき算出するものである。
【0071】
つまり、燃料増量制御における燃料噴射量の増量補正量及び空燃比F/B制御における目標空燃比の補正量が、燃料カット制御時における三元触媒13への吸着酸素量SMO2 に基づき算出される。これにより、空燃比F/B制御復帰後に燃料噴射量TAUを逐次補正する場合より、それ以前の期間に一度に多くの増量補正が実行可能となり、三元触媒13を素早く狙い通りの状態に制御することができる。また、空燃比F/B制御実行直後に空燃比の状態がリーンからストイキ付近に素早く復帰されることで空燃比の乱れを小さくしエミッションを改善することができる。
【0072】
更に、本実施例の内燃機関の空燃比制御装置のECU30にて達成される燃料噴射制御手段は、燃料増量制御における燃料噴射量TAUの増量補正量及び空燃比F/B制御における目標空燃比λTGの補正量を、内燃機関1の燃料カット状態であった際の時間、吸入空気量、機関回転速度、負荷、空燃比、または点火回数のうち少なくとも1つに基づき算出するものである。これにより、燃料カット制御終了直後における燃料噴射量TAUの増量補正量及び空燃比F/B制御復帰直後における目標空燃比λTGの補正量を適宜、得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は本発明の実施の形態の一実施例にかかる内燃機関の空燃比制御装置が適用された内燃機関及びその周辺機器を示す概略構成図である。
【図2】 図2は本発明の実施の形態の一実施例にかかる内燃機関の空燃比制御装置で使用されているECU内のCPUにおける燃料カット制御フラグ設定の処理手順を示すフローチャートである。
【図3】 図3は本発明の実施の形態の一実施例にかかる内燃機関の空燃比制御装置で使用されているECU内のCPUにおけるディレイカウンタカウントの処理手順を示すフローチャートである。
【図4】 図4は本発明の実施の形態の一実施例にかかる内燃機関の空燃比制御装置で使用されているECU内のCPUにおけるディレイカウンタカウントの処理手順を示すフローチャートである。
【図5】 図5は本発明の実施の形態の一実施例にかかる内燃機関の空燃比制御装置で使用されているECU内のCPUにおける吸着酸素量算出の処理手順を示すフローチャートである。
【図6】 図6は本発明の実施の形態の一実施例にかかる内燃機関の空燃比制御装置で使用されているECU内のCPUにおける燃料噴射量算出の処理手順を示すフローチャートである。
【図7】 図7は本発明の実施の形態の一実施例にかかる内燃機関の空燃比制御装置による燃料カット制御時及び空燃比濃化制御時の処理に対応する各種制御量等の遷移状態を示すタイムチャートである。
【図8】 図8は本発明の実施の形態の一実施例にかかる内燃機関の空燃比制御装置で使用されているECU内のCPUにおける学習開始判定の処理手順を示すフローチャートである。
【図9】 図9は本発明の実施の形態の一実施例にかかる内燃機関の空燃比制御装置で使用されているECU内のCPUにおけるA/F変動制御の処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 内燃機関
7 インジェクタ(燃料噴射弁)
12 排気通路
13 三元触媒
26 A/Fセンサ
30 ECU(電子制御ユニット)

Claims (3)

  1. 内燃機関の排気通路に配設され、前記排気通路中の排気ガスの空燃比を検出する空燃比検出手段と、
    前記内燃機関の排気通路に設置され、排気ガス中の有害物質を除去する触媒と、
    前記内燃機関の運転状態に応じて燃焼室内に燃料噴射弁から燃料を噴射供給する燃料噴射制御手段と、
    前記燃料噴射制御手段による前記燃焼室内への燃料をカットすると共に、この燃料カット状態からの復帰後に前記燃焼室内への燃料の噴射供給を再開する燃料カット制御手段と、
    前記燃料カット制御状態において前記触媒に吸着される酸素量を吸着酸素量として算出する吸着酸素量演算手段と、
    前記燃料噴射制御手段で前記燃焼室内に供給する燃料量に対して前記空燃比検出手段で検出された空燃比に基づき空燃比フィードバック制御を実行する空燃比フィードバック制御手段とを具備し、
    前記燃料噴射制御手段は、前記燃料カット状態からの復帰後に燃料増量制御を所定期間実行し、この燃料増量制御が終了したのち前記空燃比フィードバック制御に切換え、また、前記燃料増量制御における燃料噴射量の補正量及び前記空燃比フィードバック制御における目標空燃比の補正量を前記吸着酸素量に基づき算出することを特徴とする内燃機関の空燃比制御装置。
  2. 内燃機関の排気通路に配設され、前記排気通路中の排気ガスの空燃比を検出する空燃比検出手段と、
    前記内燃機関の排気通路に設置され、排気ガス中の有害物質を除去する触媒と、
    前記内燃機関の運転状態に応じて燃焼室内に燃料噴射弁から燃料を噴射供給する燃料噴射制御手段と、
    前記燃料噴射制御手段による前記燃焼室内への燃料をカットすると共に、この燃料カット状態からの復帰後に前記燃焼室内への燃料の噴射供給を再開する燃料カット制御手段と、
    前記燃料噴射制御手段で前記燃焼室内に供給する燃料量に対して前記空燃比検出手段で検出された空燃比に基づき空燃比フィードバック制御を実行する空燃比フィードバック制御手段とを具備し、
    前記燃料噴射制御手段は、前記燃料カット状態からの復帰後に燃料増量制御を所定期間実行し、この燃料増量制御が終了したのち前記空燃比フィードバック制御に切換え、また、前記燃料増量制御における燃料噴射量の補正量及び前記空燃比フィードバック制御における目標空燃比の補正量を、前記内燃機関の前記燃料カット状態であった際の時間、吸入空気量、機関回転速度、負荷、空燃比、または点火回数のうち少なくとも1つに基づき算出することを特徴とする内燃機関の空燃比制御装置。
  3. 前記燃料噴射制御手段は、前記空燃比検出手段が空燃比を検出することができる範囲に空燃比が到達するよう前記燃料増量制御における所定期間を設定することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の内燃機関の空燃比制御装置。
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