JP4017401B2 - 灰中の金属回収方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、灰中の金属回収方法に関し、具体的には、例えば燃料、廃棄物等の焼却灰、焼却飛灰、溶融飛灰等の複数の金属成分を含有する灰を処理して、目的の金属成分を回収すると共に灰を無害化するための灰中の金属回収方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
上記灰中の金属回収方法及び装置の従来技術(例えば特開2000−5722号公報参照)について、図6及び図7に基づいて説明する。
灰中の金属回収方法は以下の各工程からなる。先ず、上記焼却灰、焼却飛灰、溶融飛灰などを酸又はアルカリで溶解する溶解工程を行う。この際、懸濁液から固形分を除去するために固液分離して金属成分が溶解した金属溶解液を得る。次に、得られた金属溶解液をその液中の回収目的の金属成分と選択的に結合し得る金属吸着材が充填されたカラムに通液させて、その金属成分を金属吸着材に結合させる吸着工程を行う。次に、上記金属吸着材に溶離液を接触させて、金属吸着材に結合している金属成分を溶離液(溶離回収液)中に溶離させる溶離工程を行う。次に、この溶離液(溶離回収液)にアルカリ剤などの沈殿剤を添加して液中の金属成分を不溶化して沈殿させて、目的の金属成分を金属化合物として回収する沈殿工程を行う。そして、複数の金属成分が溶解した上記金属溶解液から各金属成分を回収するために、各金属成分の吸着に適するように金属吸着材の種類を変えて上記吸着工程と溶離工程を行う。
【0003】
溶解工程では、供給される灰1とHClなどの薬品2を溶解槽3に投入して攪拌し溶解液を作成する。さらに、その溶解液を脱水機4により固液分離して、溶解残渣5を除去し、金属溶解液は槽6に貯める。吸着工程では、金属溶解液はポンプ7により金属吸着材が充填されたカラム8に通液されて液中の金属イオンが金属吸着材に吸着する。この後、カラム8内に残存している金属溶解液を追い出すためにエアーブロー9による前洗浄を行う。溶離工程では、上記前洗浄後、溶離液槽10からポンプ11によって溶離液がカラム8に通液され、吸着していた金属イオンが溶離液に溶離し、この後、カラム8内に残存している溶離液を追い出すために洗浄液12による後洗浄を行う。尚、図7には、カラム8を4個備えた装置が示されており、吸着工程では、4個のカラム8に金属溶解液を直列に通液させて吸着させ、溶離工程では、4個のカラム8のうちの1つのカラム8についてだけ、そのカラム位置を順次ずらしながら溶離液を通液させる。
【0004】
沈殿工程では、沈殿槽15に回収された溶離液に沈殿剤(NaOHやNaHS等)を加えることにより金属イオンが沈殿した懸濁液を得る。そして、その懸濁液を脱水機13により固液分離し、鉛などの金属回収物14をPb(OH)2やPbSのような化合物の形で得るとともに、排水は排水槽20に貯留する。一方、カラム8を通過して上記金属成分が除去された液は沈殿槽16に貯留され、沈殿剤を添加して上記金属成分以外の別の金属イオンを沈殿させ、脱水機17により固液分離し別の金属回収物18を得る。尚、ここで分離された液は循環路19によって溶解槽3に戻され溶解液として再利用される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の灰中の金属回収方法及び装置では、以下の問題点があった。
(1)沈殿工程において沈殿剤を用いて金属成分を化合物の形で沈殿回収しているために、回収物の純度を高くすることができなかった。例えば、鉛を回収したときの鉛純度は80数%までしか上げることができなかった。
また、金属回収物に塩素が2〜4%程度含まれ、回収物を山元還元する際にペナルティとなる不利があった。塩素混入の原因としては、溶離液中に酸に溶け難いPbCl2が析出し、沈殿物と混じることなどが考えられる。尚、一般的に塩素が1%以上含まれていると、山元還元する際のペナルティとなる。さらに、沈殿工程で使用する沈殿剤の費用が高くついていた。
(2)灰中に含まれる複数の金属成分のうち含有率が高い金属成分を、吸着工程と溶離工程により金属吸着材に吸着させて回収すると、金属吸着材の使用量が多くなり、処理コストが高くなっていた。
【0006】
ここで、特開平11−335748号公報に、灰中の金属成分を電解採取により回収する技術が開示されている。具体的には、焼却灰からスケール付着の原因となる物質(Na,Caなど)を除去した後、灰に含まれる重金属類を酸溶解して抽出し、その溶解液について電極電位を各金属ごとに変化させて多段式に電気分解することで各種の重金属を分別して回収する内容である。しかし、この技術では、複数の金属成分が混合溶解している液から単一の金属成分だけを電解析出させるため、電極電位の設定がシビアであり、純度の高い金属回収物を得ることが容易でないという問題点がある。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、純度が高く塩素を含まない金属回収物を容易に得るようにしながら、処理コストを極力安くすることが可能となる灰中の金属回収方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る灰中の金属回収方法の特徴構成は、請求項1に記載した如く、回収目的の複数の金属成分を含有する灰を、酸又はアルカリを用いて溶解させて、前記複数の金属成分が溶解した金属溶解液を生成する溶解工程と、前記溶解工程で得られた前記金属溶解液を前記複数の金属成分のうちの一つ又は複数の特定の金属成分の夫々と選択的に結合し得る金属吸着材の夫々に接触させて、前記特定の金属成分の夫々を前記特定の金属成分別の金属吸着材に結合させる吸着工程と、前記吸着工程で前記特定の金属成分の夫々が結合した前記特定の金属成分別の金属吸着材に溶離液を接触させて、前記特定の金属成分の夫々を前記特定の金属成分別の溶離液に溶離させる溶離工程と、前記溶離工程で得られた前記特定の金属成分別の溶離液の夫々を電気分解して、その各溶離液中の前記特定の金属成分の夫々を電解析出させる主電解採取工程と、前記特定の金属成分の全てについて前記吸着工程を行った後の前記金属溶解液を電気分解して、その金属溶解液中の前記特定の金属成分以外の金属成分を電解析出させる副電解採取工程とからなり、前記主電解採取工程及び前記副電解採取工程の少なくとも一方において回収した電解ガスから生成した酸を前記溶解工程で用いる点にある。
【0012】
以下に作用並びに効果を説明する。
本発明に係る灰中の金属回収方法の特徴構成によれば、溶解工程では、回収目的の複数の金属成分を含有する灰を酸又はアルカリを用いて溶解させて、複数の金属成分が溶解した金属溶解液を生成し、吸着工程では、溶解工程で得られた金属溶解液を上記複数の金属成分のうちの一つ又は複数の特定の金属成分の夫々と選択的に結合し得る金属吸着材の夫々に接触させて、特定の金属成分の夫々を特定の金属成分別の金属吸着材に吸着させ、溶離工程では、前記特定の金属成分の夫々が結合した特定の金属成分別の金属吸着材に溶離液を接触させて、特定の金属成分の夫々を特定の金属成分別の溶離液に溶離させ、主電解採取工程では、溶離工程で得られた特定の金属成分別の溶離液の夫々を電気分解して、その各溶離液中の特定の金属成分の夫々を電解析出させ、副電解採取工程では、前記特定の金属成分の全てについて前記吸着工程を行った後の前記金属溶解液を電気分解して、その金属溶解液中の前記特定の金属成分以外の金属成分を電解析出させる。
【0013】
すなわち、金属溶解液中の複数の金属成分のうちの特定の金属成分については、吸着工程と溶離工程を経て特定の金属成分の夫々が溶離した特定の金属成分別の溶離液から、主電解採取工程により特定の金属成分の夫々を電解析出させて回収し、特定の金属成分以外の金属成分については、吸着工程と溶離工程を行わず、上記特定の金属成分について吸着工程を行った後の残りの金属溶解液から副電解採取工程により電解析出させて回収する。
そのため、主電解採取工程では、電解対象の溶離液は特定の金属成分だけを含み、副電解採取工程では、電解対象の金属溶解液は特定の金属成分が除去された残りの金属成分だけを含むので、両電解採取工程共に、電解対象の金属が限定され、電極電位などの電解条件の許容範囲が広くなり、シビアな電解条件の設定が不要となる。
【0014】
従って、回収目的の複数の金属成分のうち、特定の金属成分についてはその特定の金属成分の夫々が溶離した各溶離液から電解析出させ、又、特定の金属成分以外の金属成分については、特定の金属成分が除かれた後の残りの金属溶解液から電解析出させて回収することで、許容範囲の広い電解条件で容易な電解操作を行いながら、純度が高く塩素を含まない金属回収物を得ることができ、さらに、従来の沈殿工程の代わりに電解採取工程を行うので、電気代に比べて高価な沈殿剤が不要となり、また、特定の金属成分以外の金属成分については吸着工程と溶離工程を行わないので、全ての金属成分について吸着工程と溶離工程を行う場合に比べて、金属吸着材の使用量が減少して金属吸着材の費用が少なくて済む。もって、純度が高く塩素を含まない金属回収物を容易に得るようにしながら、処理コストを極力安くすることが可能となる灰中の金属回収方法が得られる。
【0015】
更に、同特徴構成によれば、前記主電解採取工程及び前記副電解採取工程の少なくとも一方において発生する電解ガスを回収し、その電解ガスから生成した酸を前記溶解工程で用いる。
すなわち、上記電解採取工程においてプラス電極とマイナス電極から夫々電気分解により電解ガスが発生するので、その電解ガスを回収して反応させて、溶解工程で用いる酸を生成することができる。
従って、溶解工程で必要になる酸を新たに購入する量が少なくて済むので、処理コストの一層の低減が可能となる灰中の金属回収方法の好適な実施形態が得られる。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明に係る灰中の金属回収方法及び金属回収装置の実施形態を図面に基づいて説明する。
灰中の金属回収方法は、図1に示すように、回収目的の複数の金属成分(鉛、銅、亜鉛)を含有する灰を、酸又はアルカリを用いて溶解させて、前記複数の金属成分が溶解した金属溶解液を生成する溶解工程と、前記溶解工程で得られた金属溶解液を複数の金属成分のうちの一つ又は複数の特定の金属成分(鉛と銅)の夫々と選択的に結合し得る金属吸着材(鉛用の金属吸着材と銅用の金属吸着材)の夫々に接触させて、前記特定の金属成分の夫々を前記特定の金属成分別の金属吸着材に結合させる吸着工程(鉛吸着工程と銅吸着工程)と、前記吸着工程で前記特定の金属成分の夫々が結合した前記特定の金属成分別の金属吸着材に溶離液を接触させて、前記特定の金属成分の夫々を前記特定の金属成分別の溶離液に溶離させる溶離工程(鉛溶離工程と銅溶離工程)と、前記溶離工程で得られた前記特定の金属成分別の溶離液の夫々を電気分解して、その各溶離液中の前記特定の金属成分の夫々を電解析出させる主電解採取工程(鉛電解採取工程と銅電解採取工程)と、前記特定の金属成分の全てについて前記吸着工程を行った後の前記金属溶解液を電気分解して、その金属溶解液中の前記特定の金属成分以外の金属成分(亜鉛)を電解析出させる副電解採取工程(亜鉛電解採取工程)とからなる。
【0021】
尚、上記溶解工程を行う際、懸濁液から固形分を除去するために固液分離している。また、鉛吸着工程を通過した後の金属溶解液にNaOHなどのアルカリを添加してpHを2〜3に調整し、次の銅吸着工程で銅吸着の阻害物質となるFeやAlを沈殿させて事前に除去している。
【0022】
また、灰中の金属回収装置は、図2に示すように、回収目的の複数の金属成分(鉛、銅、亜鉛)を含有する灰を、酸又はアルカリを用いて溶解させて、前記複数の金属成分が溶解した金属溶解液を生成する溶解部YBと、溶解部YBで得られる金属溶解液中の複数の特定の金属成分(鉛と銅)の夫々と選択的に結合し得る金属吸着材kk(鉛用の金属吸着材と銅用の金属吸着材)を有して、その金属吸着材kkに前記金属溶解液を接触させてその金属溶解液中の特定の金属成分の夫々を金属吸着材kkに結合させ、さらに、前記特定の金属成分の夫々が結合した金属吸着材kkに溶離液を接触させて、金属吸着材kkに結合した前記特定の金属成分の夫々を前記溶離液中に溶離させるように、前記特定の金属成分別に設けた吸着処理部KS(鉛用吸着処理部K1と銅用吸着処理部K2)と、前記特定の金属成分別の吸着処理部KSにて得られる前記溶離液を電気分解して、前記溶離液中の前記特定の金属成分の夫々を電解析出させるように、前記特定の金属成分別に設けた主電解部SD(鉛用電解部と銅用電解部)と、前記吸着処理部KSによって前記特定の金属成分の全てを金属吸着材kkに吸着させた後の前記金属溶解液を電気分解して、その金属溶解液中の前記特定の金属成分以外の金属成分(亜鉛)を電解析出させる副電解部FD(亜鉛用電解部)とを備えている。
【0023】
具体的には、回収目的の金属成分を含有する灰1と、酸又はアルカリ等の薬品2が、溶解槽3に投入されて溶解処理され、次に、溶解槽3から排出される懸濁液が脱水機4(固液分離装置)によって溶解残渣5(固形分)を除去され、得られた分離液が溶解液槽6に貯められる。すなわち、前記溶解部YBが、上記溶解槽3や脱水機4によって構成されている。
【0024】
上記溶解処理される灰の種類としては、各種の燃料、廃棄物等の焼却灰、焼却飛灰、溶融飛灰等が挙げられる。かかる灰は、複数の金属成分を含有し、金属成分を構成する金属元素としては、例えば、図3に灰中の金属含有率の一例を示すように、本実施形態で回収する鉛、亜鉛、銅の他に、鉄、アルミニウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マンガン、珪素、カドミウム、マグネシウム等が含まれている。図3より、亜鉛の含有率が最も高いので、亜鉛については多量の金属吸着材kkを使用することを避けるために、前述のように、吸着工程及び溶離工程を行わず、副電解採取工程により金属溶解液から直接電解採取する。なお、かかる金属元素を有する金属成分としては、これら金属元素単体に加え、その酸化物、水酸化物、硫化物、塩化物等の種々の形で含まれる。さらに、灰中には多量の塩素Clが含まれている。尚、T−Pは全リン量を示す。
【0025】
溶解に用いられる酸としては、上記の金属成分を可溶化して液側に移行できるものであればいずれでもよいが、典型的なものとして、硝酸、硫酸、塩酸、りん酸、しゅう酸等が挙げられる。また、溶解に用いられるアルカリとしては、上記の金属成分を可溶化して液側に移行できるものであればいずれでもよいが、典型的なものとして、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化アルカリ金属、水酸化カルシウム等の水酸化アルカリ土類金属、アルカリ金属炭酸塩、りん酸塩、アンモニア等が挙げられる。
【0026】
また、上記の酸又はアルカリに加えて、金属成分の溶解性を高めるために、各種塩類や溶解促進剤を添加してもよい。特に、塩酸を用いる場合、鉛成分が過剰の塩素イオンの存在下で高い溶解性が得られるので、塩化ナトリウム、塩化カルシウム等が適量添加される。具体的には、塩酸に対して塩素イオン濃度で、好ましくは0.5〜10モル倍、より好ましくは1〜3モル倍となるように用いられる。上記のうち、本発明では、塩酸水溶液を塩素イオンの共存下で用いることが好ましい。
尚、金属成分の溶解を容易にするため、適宜、水溶液の濃度を調整したり、加熱や攪拌を行うことができる。そして、使用する酸の好ましい濃度は、灰の濃度によって異なるが、最終pHが1以下となる濃度が特に有効である。得られた懸濁液には、金属成分が金属イオン、金属化合物イオン(錯イオンを含む)等の形で溶解した液体成分と、不溶性の残渣が存在することになる。本実施形態では、溶融飛灰を0.7M塩酸と1.35M塩化ナトリウム水溶液に溶解している。
【0027】
固液分離に用いる脱水機4としては、懸濁液から固形分を除去できるものであればいずれの方法も採用できるが、濾過、遠心分離、沈降分離などが挙げられる。なお、金属成分の回収率を高めるには、除去した固形分に液体成分の付着量が少ない方法をとることが好ましい。
【0028】
次に、溶解液槽6内の金属溶解液はポンプ7により鉛用の金属吸着材kkが充填されたカラム8に向けて送出可能に構成され、さらに、カラム8に対して、溶離液槽10からの溶離液と、洗浄液槽12からの後洗浄液と、エアーブロー9による前洗浄用ガスが夫々供給可能に構成され、前記溶離液と洗浄液を送出するためのポンプ11が設けられている。そして、上記カラム8に、前記複数の金属成分(鉛、銅、亜鉛)が溶解した金属溶解液を通液させることで、その金属溶解液中の特定の金属成分(鉛)が鉛用の金属吸着材kkに選択的に結合される。この後、カラム8内に残存している金属溶解液を追い出すためにエアーブロー9による前洗浄を行う。前洗浄後、溶離液槽10から溶離液がカラム8に通液され、鉛用の金属吸着材kkに吸着していた特定の金属成分(鉛)が溶離液に溶離し、この後、カラム8内に残存している溶離液を追い出すために洗浄液槽12から後洗浄液を供給する。
【0029】
従って、上記カラム8、エアーブロー9、溶離液槽10、洗浄液槽12及びポンプ7,11等によって、前記吸着処理部KSとしての鉛用吸着処理部K1が構成されている。図4に上記鉛用吸着処理部K1によって得られた溶離液(溶離回収液)の組成の一例を示すが、図3の灰中の金属含有率データと比較して、鉛成分の比率が高いことは当然として、塩素Clの比率が高いことが判る。
【0030】
鉛用の金属吸着材kkとして、具体的には、大環状化合物を固定化した担体が使用される。大環状化合物を固定化した担体は、クラウン化合物等の大環状化合物をスぺーサーを介して、シリカ等の担体に共有結合させたものであり、その環径と結合対象物の径との関係や両者の化学的親和性等に基づき、鉛成分と選択的に結合し得る鉛用の担体が得られる。例えば、鉛成分を鉛イオン又は含鉛塩化物イオンとして結合するPb用担体の場合には、18−クラウン−6エーテル、又はこれに類する化合物からなる群より選ばれる1種以上のものを用いる。
尚、銅用の金属吸着材kkも、同様に、銅成分と選択的に結合し得るように環径等が設定された大環状化合物を固定化した担体が使用される。
上記担体の形態としては、微粒子状、ビーズ状(多孔質、無孔質)、膜状(多孔質、無孔質)のものが挙げられるが、多孔質ビーズが接触効率や取扱いが容易であることから好ましい。担体の材料としては、シリカゲルの他、ガラス、砂、アルミナ、チタン、ジルコニア等が挙げられる。
【0031】
上記溶離液としては、結合した各種金属成分や溶解処理で用いた酸等に応じて適宜選択することができるが、金属イオンを再び可溶化させる酸や、溶解処理で用いた酸等の濃度を低下させることにより金属イオンを離脱させる水等の溶媒を用いることができる。
具体的には、金属イオンを再び可溶化させる酸としては、硫酸等が挙げられる。本実施形態では、鉛の溶離液には水(特に蒸留水)、銅の溶離液には硫酸を用いる。
【0032】
前記後洗浄液としては、結合した各種金属成分や溶解処理で用いた酸等に応じて適宜選択することができるが、本実施形態では、酸またはアルカリが用いられ、具体的には塩酸を用いる。
【0033】
前記鉛用吸着処理部K1から得られる溶離回収液は、鉛電解槽21において、Pt等を電極として電解分解され、鉛回収物22が得られる。すなわち、鉛電解槽21が前記主電解部SDの一つを構成する。この鉛電解採取では、溶離液中に含まれる金属成分がほぼ単一成分(鉛)であり、他の金属成分をほとんど含んでいないので、電極電圧を幅広い電圧範囲内に設定することができる。因みに、電極電圧の一例をあげると、電極電圧6.5Vで高純度の鉛回収物を得ている。
【0034】
図5(イ)に上記電解採取により回収された鉛回収物22の組成例を示し、図5(ロ)に比較例として従来の沈殿法による鉛回収物の組成例を示す。両データを比較すると、沈殿法による鉛回収物では鉛の純度が81.7%と低いのに比べて、電解採取による鉛回収物では鉛成分の純度が91.6%と高かった。更に得られたスポンジ状の鉛回収物を還元処理することで更に高い純度の鉛回収物を得ることができる。また、沈殿法による鉛回収物では塩素残存率が4.3%と非常に大きいのに対して、電解採取による鉛回収物の塩素残存率は0.032%と非常に小さいことが判る。さらに、電解採取による鉛回収物では、鉛以外の金属(例えば、亜鉛や銅)の混入率が低いことも判る。
【0035】
一方、前記鉛用吸着処理部K1を通液して鉛成分が除去された金属溶解液は、調整槽23において前述のようにpH調整されてFeやAlを除去した後、前記吸着処理部KSとしての銅用吸着処理部K2に供給される。尚、銅用吸着処理部K2は、前記カラム8に銅用の金属吸着材kkが充填される点、溶離液に硫酸を用いる点を除いて、前記鉛用吸着処理部K1と同様に構成されている。
上記銅用吸着処理部K2によって得られた溶離液(溶離回収液)は銅電解槽24において電解採取されて、銅回収物25が得られる。すなわち、銅電解槽24が前記主電解部SDの一つを構成する。この銅電解採取においても、溶離液中に含まれる金属成分がほぼ単一成分(銅)であり、他の金属成分をほとんど含んでいないので、鉛電解採取と同様に、電極電圧を幅広い電圧範囲内に設定することができる。
【0036】
前記銅用吸着処理部K2を通液し、鉛成分と銅成分が除去された金属溶解液は、亜鉛電解槽26において電解採取されて、亜鉛回収物27が得られる。すなわち、亜鉛電解槽26が前記副電解部FDを構成する。この亜鉛電解採取においては、鉛,銅、鉄、アルミニウムなどのイオン化傾向が亜鉛よりも小さいか、近い金属成分は前工程で除かれているので、電極電圧を幅広い電圧範囲内に設定して、高純度の亜鉛回収物を得ることができる。
尚、上記亜鉛電解採取を行った後の金属溶解液は、カルシウムなどの残存物質をNaOHなどのアルカリ剤で沈殿させ固液分離した後、循環路28によって溶解槽3に戻され溶解液の原料として再利用される。
【0037】
さらに、前記主電解部SDで実行される前記主電解採取工程及び前記副電解部FDで実行される前記副電解採取工程の少なくとも一方において回収した電解ガスから生成した酸を前記溶解工程で用いている。
具体的には、主電解採取工程である鉛電解採取工程と銅電解採取工程の夫々において、プラス電極からは塩素ガスが発生し、マイナス電極からは水素ガスが発生するので、両ガスを回収して、塩素ガスと水素ガスから塩酸を製造する方法として一般的に用いられている例えばタイラー式合成塩酸製造法により、溶解工程で用いる塩酸を作る。
【0038】
また、本金属回収装置は、清掃工場等の廃棄物処理設備に隣接設置されて、その廃棄物処理設備において発電される電力を前記主電解部SD及び前記副電解部FDにおける電解用電力として利用している。
具体的には、清掃工場等では、ゴミ(廃棄物)を燃焼させて処理するときに熱が発生し、その熱によって発電機を稼動させて安価な電力が得られるので、この安価な電力を前記電解用の電力として使用することで処理コストが低くなる。
例えば、従来の沈殿法で用いる沈殿剤とのコスト比較をしてみると、1トンの溶融飛灰当たり、鉛の沈殿に必要なNaOHの使用量は約215kgで、薬品代は約4300円(48%濃度NaOH:20円/kgで計算)であるのに対し、鉛の電解採取に要する電気量は約65kWh(前記実験値一例より算出)で、電気代は約520円(清掃工場内発電電力:8円/kWhで計算)とかなり安くなる。
【0039】
〔別実施形態〕
次に、本発明に係る灰中の金属回収方法及び金属回収装置の別実施形態について説明する。
上記実施形態では、灰中に含まれる複数の金属成分のうち、吸着工程及び溶離工程を行って得た溶離液から主電解採取工程により回収する特定の金属成分が、複数の金属成分(具体的には、鉛と銅)であり、この複数の特定の金属成分を吸着工程によって除去した後の金属溶解液から残りの金属成分(亜鉛)を副電解採取工程により回収するように構成したが、これ以外に、上記特定の金属成分が一つの金属成分であって、この一つの特定の金属成分を吸着工程によって除去した後の金属溶解液から残りの金属成分を電解採取する構成でもよい。
【0040】
上記実施形態では、溶融飛灰中における含有率、金属の利用価値などから、灰中の複数の金属成分のうち、鉛、銅、亜鉛を回収目的の金属成分とするとともに、主電解採取工程により回収する金属を鉛及び銅とし、副電解採取工程により回収する金属成分を灰中の含有率が最も高い金属(亜鉛)に選定したが、必ずしも、副電解採取工程により回収する金属成分を含有率が最も高い金属に選定する必要はない。灰の種類により、複数の金属成分の特性も異なるので、要求される各金属回収物の純度や、設備面及びコスト面で有利になるように、主電解採取工程によって回収する金属成分と、副電解採取工程によって回収する金属成分を選定することが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る灰中の金属回収方法を示すフロー図
【図2】本発明に係る灰中の金属回収装置の構成を示すブロック図
【図3】灰中の金属成分の組成についての一例を示す図
【図4】溶離液に溶離した金属成分の組成の一例を示す図
【図5】電解採取工程と沈殿工程により得られる金属回収物の組成の比較例を示す図
【図6】従来の灰中の金属回収方法を示すフロー図
【図7】従来の灰中の金属回収装置の構成を示すブロック図
【符号の説明】
FD 副電解部
kk 金属吸着材
KS 吸着処理部
SD 主電解部
YB 溶解部

Claims (1)

  1. 回収目的の複数の金属成分を含有する灰を、酸又はアルカリを用いて溶解させて、前記複数の金属成分が溶解した金属溶解液を生成する溶解工程と、
    前記溶解工程で得られた前記金属溶解液を前記複数の金属成分のうちの一つ又は複数の特定の金属成分の夫々と選択的に結合し得る金属吸着材の夫々に接触させて、前記特定の金属成分の夫々を前記特定の金属成分別の金属吸着材に結合させる吸着工程と、
    前記吸着工程で前記特定の金属成分の夫々が結合した前記特定の金属成分別の金属吸着材に溶離液を接触させて、前記特定の金属成分の夫々を前記特定の金属成分別の溶離液に溶離させる溶離工程と、
    前記溶離工程で得られた前記特定の金属成分別の溶離液の夫々を電気分解して、その各溶離液中の前記特定の金属成分の夫々を電解析出させる主電解採取工程と、
    前記特定の金属成分の全てについて前記吸着工程を行った後の前記金属溶解液を電気分解して、その金属溶解液中の前記特定の金属成分以外の金属成分を電解析出させる副電解採取工程とからなり、
    前記主電解採取工程及び前記副電解採取工程の少なくとも一方において回収した電解ガスから生成した酸を前記溶解工程で用いる灰中の金属回収方法。
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