JP4011197B2 - エタノールアミン含有水の処理方法 - Google Patents

エタノールアミン含有水の処理方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エタノールアミン含有水の処理方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、エタノールアミン含有水中のCOD成分と全窒素を、同時にかつ高除去率で分解除去することができるエタノールアミン含有水の処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
発電所において、エタノールアミンが防食剤として使用され、蒸気生成ラインに加えられる場合がある。エタノールアミンは、通常ライン中に設けられる復水処理用イオン交換装置で捕捉され、イオン交換装置の再生の際に排水に含まれて排出される。排水中に混入して排出されるエタノールアミンは、COD源や富栄養化源となって河川や湖沼を汚染する。
一般に、排水中の有機窒素化合物の除去方法としては、活性炭吸着法や生物処理法が代表的である。しかし、活性炭は有機窒素化合物を吸着するもののその吸着量は小さく、活性炭吸着により有機窒素化合物を処理するためには、大容量の活性炭を必要とする。また、活性炭が吸着平衡に達したのちに再生する必要があり、再生に伴って排出される再生廃液の処理が必要になるという問題がある。また、生物処理法による有機窒素化合物の分解は、反応速度が遅いために、大容量の生物反応槽を必要とし、大量の汚泥が発生するという問題がある。
これらの問題を解決する方法として、特公昭57−42391号公報には、COD成分やアンモニアを含む排水を金属担持触媒の存在下に、酸化剤として空気を用いて湿式酸化する方法が提案されている。しかし、この方法では、反応温度が200℃以上であることが必要であり、操作圧力も20kg/cm2以上が必要となるために、装置の材質が特殊なものとなり、装置コストが高く、実用的ではない。また、特開平9−239371号公報には、エタノールアミン含有希塩酸廃液を簡便かつ安全に処理する方法として、pH5〜7の微酸性で無隔膜電解処理する方法が提案されている。しかし、この方法でTOC濃度を十分に低下させるためには、多量の電気を投入する必要があり、処理コストの増大につながるために実用化がむずかしい。さらに、特開平9−234471号公報には、酸化剤を用いることなくエタノールアミンを酸化分解する方法として、廃液を塩素イオンの存在下にpHを5〜9に制御しながら電気分解する方法が提案されている。しかし、この方法では反応速度が遅く、廃液にクロム酸イオンを添加して反応効率の向上が図られている。このために、エタノールアミン含有水を効率的に処理して、低コストでCOD成分と窒素成分を同時に除去することができる処理方法が求められている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、エタノールアミン含有水を常温、常圧で処理して、水中のエタノールアミンを窒素ガスと炭酸ガスと水に分解し、水中のCOD成分と全窒素を同時に高除去率で分解除去することができるエタノールアミン含有水の処理方法を提供することを目的としてなされたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、エタノールアミン含有水の電気分解を複数回行ったのち、金属過酸化物触媒と接触させることにより、エタノールアミン含有水中のCOD成分と全窒素を高除去率で分解除去し得ることを見いだし、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)エタノールアミン含有水を塩化物イオンの共存下に電気分解したのち、金属過酸化物触媒と接触させて処理する方法であって、電気分解を複数回行うことを特徴とするエタノールアミン含有水の処理方法、及び、
(2)電気分解を行ったのち、電解処理水中のガスを分離し、再び電気分解する第(1)項記載のエタノールアミン含有水の処理方法、
を提供するものである。
さらに、本発明の好ましい態様として、
(3)電解反応槽を複数段に設けることにより、電気分解を複数回行う第(1)項記載のエタノールアミン含有水の処理方法、
(4)電解処理水を電解反応槽に循環することにより、電気分解を複数回行う第(1)項記載のエタノールアミン含有水の処理方法、
(5)電気分解をpH9〜11.5のpH条件で行う第(1)項記載のエタノールアミン含有水の処理方法、
(6)金属過酸化物触媒が、過酸化ニッケル触媒又は過酸化コバルト触媒である第(1)項記載のエタノールアミン含有水の処理方法、
(7)電解処理水を、過酸化ニッケル触媒と接触させたのち、過酸化コバルト触媒と接触させる第(6)項記載のエタノールアミン含有水の処理方法、
(8)金属過酸化物触媒が、多孔質粒状担体に担持されたものである第(1)項記載のエタノールアミン含有水の処理方法、及び、
(9)多孔質粒状担体が、X型、Y型若しくはA型の合成ゼオライト、クリノプチロライト型若しくはモルデナイト型の天然ゼオライト又はチタニアである第(8)項記載のエタノールアミン含有水の処理方法、
を挙げることができる。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明方法は、エタノールアミン含有水の処理に適用することができる。エタノールアミンは、中和剤や防食剤などとして使用されるので、使用箇所からはエタノールアミン含有水が排水として発生する。例えば、蒸気生成ラインに防食剤として添加されエタノールアミンが、復水処理用イオン交換装置に捕捉され、イオン交換装置の再生の際に排出されてエタノールアミンを含有する排水となる。本発明方法においては、エタノールアミン含有水を、塩化物イオンの共存下に電気分解する。この電気分解においては、電解反応槽の陽極において、
2Cl- → Cl2 + 2e- …[1]
陰極において、
2H2O + 2e- → H2 + 2OH- …[2]
で示される反応が起こり、さらに、塩素と水酸イオンが反応し、
Cl2 + 2OH- → OCl- + Cl- + H2O …[3]
によって次亜塩素酸イオンOCl-が生成する。
次亜塩素酸イオンは、下記の式に示される反応によって、水中のエタノールアミンのほか、アンモニア性窒素、ヒドラジンなどが含まれている場合も、これらの化合物を窒素ガスと炭酸ガスと水に分解する。
2H2NCH2CH2OH + 13OCl-
→ N2 + 4CO2 + 7H2O + 13Cl- …[4]
2NH4 + + 3OCl- → N2 + 3H2O + 2H+ + 3Cl- …[5]
24 + 2OCl- → N2 + 2H2O + 2Cl- …[6]
【0006】
式[4]、[5]及び[6]から、水中に含まれるエタノールアミン、アンモニア性窒素及びヒドラジンを分解するために必要な次亜塩素酸イオンの量を求めることができるので、さらに、式[1]、[2]及び[3]から、必要な塩化物イオンの量と電気量を算出することができる。エタノールアミン含有水が、すでに必要量の塩化物イオンを含有する場合は、そのまま電気分解し、エタノールアミン含有水中の塩化物イオンが不足する場合は、塩化ナトリウムなどを添加して塩化物イオン濃度を高めたのち電気分解することができる。投入する電気量は、式より算出される電気量及び予測される電流効率に基づいて選定することができる。
本発明方法は、エタノールアミン含有水を塩化物イオンの共存下に電気分解したのち、金属過酸化物触媒と接触させて処理する方法であって、エタノールアミン含有水の電気分解を複数回行う。電気分解を複数回行う方法には特に制限はなく、例えば、電解反応槽を複数段に設けることにより、電気分解を複数回行うことができ、あるいは、電解処理水を電解反応槽に循環することにより、電気分解を複数回行うこともできる。
【0007】
図1は、本発明方法の一態様の工程系統図である。エタノールアミン含有水は、原水貯槽1からポンプ2により第1の電解反応槽3に送られて電気分解される。第1の電解反応槽から流出する電解処理水は、気液分離装置4においてガスを分離したのち、ポンプ5により第2の電解反応槽6に送られて電気分解される。第2の電解反応槽から流出する電解処理水は、気液分離装置7においてガスを分離したのち、ポンプ8により第3の電解反応槽9に送られて電気分解される。第3の電解反応槽より流出する電解処理水は、気液分離装置10においてガスを分離したのち、ポンプ11により第1の金属酸化物触媒塔12及び第2の金属酸化物触媒塔13に送られる。第2の金属酸化物触媒塔より流出する処理水は、処理水貯槽14に貯留される。本態様においては、電解反応槽を3段に設け、電気分解を3回行っているが、本発明方法において、電解反応槽の段数には特に制限はなく、2段とすることも、あるいは4段以上とすることもできる。
【0008】
図2は、本発明方法の他の態様の工程系統図である。エタノールアミン含有水は、原水貯槽15からポンプ16により電解反応槽17に送られて電気分解される。電解反応槽から流出する電解処理水は、気液分離装置18においてガスを分離したのち、その一部がポンプ19により第1の金属酸化物触媒塔20及び第2の金属酸化物触媒塔21に送られる。第2の金属酸化物触媒塔より流出する処理水は、処理水貯槽22に貯留される。気液分離装置から金属酸化物触媒塔に送られない残余の電解処理水は、ポンプ23により電解反応槽17に送られ、再び電気分解される。電解処理水を電解反応槽に循環することにより、1個の電解反応槽を用いて電気分解を複数回行うことができ、電気分解の回数は電解処理水の循環量により調節することができる。
本発明方法のさらに他の態様として、電解反応槽を複数段に設け、かつ電解処理水を循環することもできる。例えば、図1の系統において、気液分離装置10と第1の電解反応槽3を結ぶ配管及びポンプを設け、気液分離装置10でガスが分離された電解処理水の一部を第1の電解反応槽3へ送って循環することができる。
【0009】
本発明方法においては、電解反応槽を複数段に設けて電気分解を複数回行うことにより、1個の電解反応槽を用いて一過式で電気分解を1回だけ行う方法に比べて、1個の電解反応槽の容量を小さくし、エタノールアミン含有水の通水線速度を大きくすることができる。あるいは、電解処理水を電解反応槽に循環して電気分解を複数回行うことによっても、エタノールアミン含有水の通水線速度を大きくすることができる。電解反応槽における通水線速度が大きくなると、電流効率が高くなり、同一電流密度の場合、エタノールアミンなどの分解率を向上することができる。通水線速度を大きくすることにより分解率が向上する現象は、エタノールアミンなどの酸化分解に特有の現象である。エタノールアミンなどが酸化されると、窒素分は窒素ガスになるが、電解反応槽における滞留時間が長くなると、その一部が硝酸イオンまで酸化されて、電気量が消費されるとともに全窒素の除去率も低下するものと考えられる。
【0010】
本発明方法においては、エタノールアミン含有水の電気分解を行ったのち、電解処理水中のガスを分離除去し、再び電気分解することが好ましい。エタノールアミン含有水を塩化物イオンの存在下に電気分解することにより、式[1]〜[6]に示されるように、水素ガス、窒素ガス、塩素ガス、炭酸ガスなどが発生する。電解処理水中のガスを気液分離により除去し、気泡を含まない状態として再び電気分解することにより、気泡の存在による電流効率の低下を防止し、エタノールアミンなどの有機物や、窒素化合物の分解効率を高めることができる。本発明方法においては、電解反応槽を複数段に設け、1段ごとに生成したガスを分離除去することにより、電解処理水中の気泡の滞留を抑えて、気泡の存在による電流効率の低下を抑制することができる。あるいは、電解処理水を電解反応槽に循環する場合は、循環ラインに気液分離装置を設けて、電解処理水が電解反応槽に戻る前にガスを分離除去することにより、電解処理水中の気泡の滞留を抑えて、気泡の存在による電流効率の低下を抑制することができる。本発明方法においては、電解反応槽の段数又は電解処理水の循環量が多いほど、電流効率を高めることができる。しかし、電解反応槽の段数の増加又は電解処理水の循環量の増加は、電解反応槽、気液分離装置、ポンプなどの設備や、消費エネルギーを増大させることになるので、処理コストを考慮して電解反応槽の段数又は電解処理水の循環量を選定することが好ましい。
【0011】
本発明方法において、気液分離装置の型式には特に制限はなく、任意の公知の気液分離装置を用いることができる。例えば、水中の気泡は容易に浮上して気相に移行するので、気相部を有する、頂部にガス抜き管を開口した槽に、電解処理水を短時間滞留させることにより、電解処理水中のガスを分離除去することができる。あるいは、電解反応槽の内部に気相部を設け、槽の頂部にガス抜き管を開口することにより、電解反応槽内でガスを分離除去することもできる。
本発明方法においては、エタノールアミン含有水のpHを9〜11.5に調整して電気分解することが好ましく、pHを10.5〜11.0に調整して電気分解することがより好ましい。エタノールアミン含有水のpHを9〜11.5に調整する方法には特に制限はなく、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ剤を添加することによりpHを調整することができる。エタノールアミン含有水のpHを9〜11.5に調整して電気分解することにより、通常はCOD成分及び全窒素のそれぞれ約90%を分解除去することができる。エタノールアミン含有水のpHが9未満であると、COD成分と全窒素の除去が不十分となり、処理水の水質が低下するとともに、電流効率も低下するおそれがある。エタノールアミン含有水のpHが11.5を超えると、次亜塩素酸イオンの濃度が低下し、金属過酸化物触媒との接触工程において必要な次亜塩素酸イオンが不足するとともに、窒素酸化物の発生量が増して全窒素の除去率が低下するおそれがある。
【0012】
本発明方法においては、エタノールアミン含有水を電気分解したのち、金属過酸化物触媒と接触させる。金属過酸化物触媒と接触させることにより、電気分解では完全に分解しきれず、水中に残存するエタノールアミンを、式[4]に示される反応により分解して、COD成分の除去率を99%以上まで到達させることができる。また、金属過酸化物触媒との接触により、水中に残存する過剰の次亜塩素酸イオンも分解除去することができる。
本発明方法に使用する金属過酸化物触媒としては、例えば、過酸化コバルト、過酸化ニッケル、過酸化銅、過酸化銀などを挙げることができる。これらの中で、過酸化ニッケル触媒及び過酸化コバルト触媒を特に好適に使用することができる。金属過酸化物触媒は、1種を単独で使用することができ、あるいは、2種以上を組み合わせて使用することもできる。過酸化ニッケル触媒は、有機化合物及び窒素化合物の酸化分解の促進に優れた性能を有し、過酸化コバルト触媒は次亜塩素酸イオンの分解に優れた性能を有するので、過酸化ニッケル触媒と接触させることによりエタノールアミンなどの有機化合物と、ヒドラジンなどの窒素化合物を分解除去したのち、過酸化コバルト触媒と接触させることにより、残留する次亜塩素酸イオンを分解除去することが好ましい。
【0013】
本発明方法において使用する金属過酸化物触媒は、多孔質担体に担持されたものであることが好ましい。金属過酸化物触媒を担持させる多孔質担体としては、例えば、ゼオライト、チタニア、γ−アルミナ、α−アルミナなどを挙げることができる。これらの中で、X型、Y型、A型などの合成ゼオライト、クリノプチロライト型、モルデナイト型などの天然ゼオライト、チタニアなどを好適に使用することができる。これらの多孔質担体は、1種を単独で使用することができ、あるいは2種以上を混合して使用することもできる。
本発明方法において使用する金属過酸化物触媒の調製方法を、ゼオライトを担体とする過酸化コバルト担持触媒を例として、以下に説明する。ゼオライトは、分子と同程度の大きさの均一な細孔を有する結晶性アルミノケイ酸塩で、ケイ素原子とその一部をアルミニウム原子で置換した四面体が、酸素原子を介して三次元網目構造をつくり、特有の空洞や孔路を形成したものである。空洞や孔路の大きさは、酸素環の大きさで決まる。ゼオライトは、通常カチオン交換能を有している。
【0014】
担体とするゼオライトの処理は、コバルトの硫酸塩、硝酸塩、塩化物などの水溶液又はこれらの混合水溶液と接触させることにより行うことができる。接触方法としては、ゼオライトの粒子を水溶液に浸漬することができ、あるいは、ゼオライトの粒子をカラムなどに充填し、水溶液を一過式又は循環式に接触することもできる。コバルト塩の濃度や接触時間は、ゼオライト上に必要量のコバルトが担持されるように設定する。コバルトの担持量は、通常担体の重量当たり0.01〜10重量%とすることが好ましい。コバルト塩の水溶液で処理したゼオライトを、水溶液と分離したのち必要に応じて水洗することが好ましい。水洗は、ゼオライトの活性点のみにコバルトイオンを残すためであり、この操作により、少量のコバルトイオンで効果的な触媒を得ることができる。洗浄の目安として、コバルトイオンの色が洗浄水から消えるまで行うことが好ましい。
次いで、このようにして得られた活性点にコバルトイオンを有するゼオライトを、塩素剤を含むアルカリ水溶液と接触させることにより、本発明方法に用いる過酸化コバルト触媒を得ることができる。接触方法としては、ゼオライトを塩素剤を含むアルカリ水溶液に浸漬することができ、あるいは、ゼオライトをカラムなどに充填し、塩素剤を含むアルカリ水溶液を一過式又は循環式に接触することもできる。また、水洗後のゼオライトをあらかじめ加熱してコバルトイオンを酸化物に変え、次いでアルカリ水溶液と接触させても同様な触媒を得ることができる。この接触の際に、微量のコバルトイオンがゼオライトから外れ、過酸化物の微細な沈殿物が生成する場合があるが、沈殿物は最後に水洗して除去することができる。塩素剤としては、例えば、次亜塩素酸ナトリウム、塩素ガス、電解により発生させた塩素など、遊離塩素を発生する薬剤を用いることができる。塩素剤とともに用いるアルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの水溶液を用いることができる。
【0015】
本発明方法においては、エタノールアミン含有水を、塩化物イオンの共存下に電解処理することによって発生した次亜塩素酸イオンにより、エタノールアミンの大部分を酸化分解し、さらに残余のエタノールアミンと次亜塩素酸イオンを含有する水を、金属過酸化物触媒と接触させることにより、エタノールアミンをほぼ完全に分解する。金属過酸化物触媒は、直径0.5〜10mm程度の粒子をカラムに充填して、固定層又は流動層として用いることができる。粒径が0.5mm未満であると、固定層では圧力損失が大きくなり、流動層では担体が破壊して処理水中に混入するおそれがある。通水方向は、上向流又は下向流のいずれともすることができるが、窒素ガスが発生するので、上向流とすることが好ましい。
本発明方法において、金属過酸化物触媒への通水速度は、残存するエタノールアミンの濃度、接触方法や担体上の金属過酸化物触媒の担持量などにより適宜選択することができるが、通常はSVが0.1〜60h-1であることが好ましく、SVが0.5〜20h-1であることがより好ましく、SVが1〜10h-1であることがさらに好ましい。エタノールアミン及び次亜塩素酸イオンを含有する水と、金属過酸化物触媒との接触は、通常は20〜30℃の常温で行うことができるが、40〜50℃まで加温すれば反応速度が大きくなり、接触時間を短縮することができる。一般的には、水中のエタノールアミン濃度が高い場合には、接触時間を長くすることが好ましい。また、接触時間が短かすぎると、処理水中に次亜塩素酸イオンが残留するおそれがある。
本発明方法によれば、エタノールアミン含有水を、塩化物イオンの共存下に電気分解を複数回行うことにより、発生する次亜塩素酸イオンの酸化反応を利用して、エタノールアミンを効率的に窒素ガスと炭酸ガスと水に分解するので、COD成分と全窒素を同時に除去することができる。電気分解において残留したCOD成分は、電気分解で生成した次亜塩素酸イオンの酸化力を利用して、金属過酸化物触媒と接触させることにより、高い除去率で除去することができる。
【0016】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
実施例1
図1に示す態様の装置を用いて、エタノールアミン含有水の処理を行った。電解反応槽として、陽極に4cm×25cmのチタン板に白金メッキした電極を用い、陰極に4cm×25cmのSUS316板を用い、極間距離を3mmにセットしたもの3槽を直列に設置した。通水方向は、電極の長さ25cmの辺に平行な方向である。各電解槽の投入電気量は、12A/dm2に設定した。各電解反応槽から流出する電解処理水は、容量500mlのビーカーを気液分離槽として用いて、気液分離を行った。
金属過酸化触媒塔として、内径30mm、高さ500mmのガラスカラムを2塔直列に設置し、1塔目のカラムには、粒径1〜2mmのY型ゼオライトに過酸化ニッケルをニッケルとして2.0重量%担持させた粒状触媒300mlを充填し、2塔目のカラムには、粒径1〜2mmのY型ゼオライトに過酸化コバルトをコバルトとして2.0重量%担持させた粒状触媒300mlを充填した。
処理したエタノールアミン含有水は、モノエタノールアミン4,500mg/リットル、アンモニア性窒素1,040mg/リットル、ヒドラジン300mg/リットル及び塩化物イオン24,000mg/リットルを含有する排水であり、この排水のCODMn濃度は2,040mg/リットル、全窒素濃度は2,330mg/リットルであった。
このエタノールアミン含有水のpHを10.7〜11.0に調整し、900ml/hの流速で、電解反応槽3槽と金属過酸化物触媒塔2塔を直列に通水して処理した。3槽目の電解反応槽の出口水のCODMn濃度は182mg/リットル、全窒素濃度は116mg/リットル、次亜塩素酸ナトリウム濃度は2,800mg/リットル、pHは8.9であった。また、2塔目の金属過酸化物触媒塔の流出水のCODMn濃度は2.1mg/リットル、全窒素濃度は114mg/リットル、次亜塩素酸ナトリウムは検出されず、pHは7.3であった。この処理により、エタノールアミン含有水のCODMnの99.9%と、全窒素の95.1%が除去された。
比較例1
実施例1で用いた装置の電解反応槽と気液分離槽をそれぞれ1槽のみとし、金属過酸化物触媒塔の触媒充填量をそれぞれ100mlに変更し、実施例1と同じエタノールアミン含有水のpHを10.7〜11.0に調整し、300ml/hの流速で、電解反応槽1槽と金属過酸化物触媒塔2塔を直列に通水して処理した。
電解反応槽の出口水のCODMn濃度は460mg/リットル、全窒素濃度は252mg/リットル、次亜塩素酸ナトリウム濃度は1,130mg/リットル、pHは9.6であった。また、2塔目の金属過酸化物触媒塔の流出水のCODMn濃度は234mg/リットル、全窒素濃度は248mg/リットル、次亜塩素酸ナトリウムは検出されず、pHは8.8であった。この処理により、エタノールアミン含有水のCODMnの88.5%と、全窒素の89.4%が除去された。
実施例1及び比較例1の原水、電解処理水及び触媒塔処理水の水質と、CODMn及び全窒素の除去率を第1表に示す。
【0017】
【表1】
Figure 0004011197
【0018】
第1表に見られるように、エタノールアミン含有水を3段の電解反応槽において電気分解することにより、COD成分の91%と全窒素の95%が除去されている。この電解処理水を、さらに過酸化ニッケル触媒及び過酸化コバルト触媒と接触させることにより、COD成分が分解除去されて原水のCOD成分に対する除去率が99.9%に達するとともに、次亜塩素酸ナトリウムが検出下限値以下まで減少している。これは、金属過酸化物触媒と接触させることにより、COD成分が次亜塩素酸ナトリウムと反応して酸化分解されるとともに、過剰の次亜塩素酸ナトリウムも分解除去されたためと考えられる。
これに対して、電解反応槽1槽のみを用いて電気分解を1回しか行わなかった比較例1においては、通水量に対して投入する電気量及び使用する触媒量の割合は実施例1と同一であるにもかかわらず、COD成分の除去率も全窒素の除去率も実施例1に比べて低い。
【0019】
【発明の効果】
本発明方法によれば、エタノールアミン含有水を、塩化物イオンの共存下に電気分解を複数回行うことにより、発生する次亜塩素酸イオンの酸化反応を利用して、エタノールアミンを効率的に窒素ガスと炭酸ガスと水に分解するので、COD成分と全窒素を同時に除去することができる。電気分解において残留したCOD成分は、電気分解で生成した次亜塩素酸イオンの酸化力を利用して、金属過酸化物触媒と接触させることにより、高い除去率で除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明方法の一態様の工程系統図である。
【図2】図2は、本発明方法の他の態様の工程系統図である。
【符号の説明】
1 原水貯槽
2 ポンプ
3 第1の電解反応槽
4 気液分離装置
5 ポンプ
6 第2の電解反応槽
7 気液分離装置
8 ポンプ
9 第3の電解反応槽
10 気液分離装置
11 ポンプ
12 第1の金属酸化物触媒塔
13 第2の金属酸化物触媒塔
14 処理水貯槽
15 原水貯槽
16 ポンプ
17 電解反応槽
18 気液分離装置
19 ポンプ
20 第1の金属酸化物触媒塔
21 第2の金属酸化物触媒塔
22 処理水貯槽
23 ポンプ

Claims (2)

  1. エタノールアミン含有水を塩化物イオンの共存下に電気分解したのち、金属過酸化物触媒と接触させて処理する方法であって、電気分解を複数回行うことを特徴とするエタノールアミン含有水の処理方法。
  2. 電気分解を行ったのち、電解処理水中のガスを分離し、再び電気分解する請求項1記載のエタノールアミン含有水の処理方法。
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