JP4010999B2 - 電圧変動補償装置 - Google Patents
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Description
従来の電圧変動補償装置は、電力系統に直列に接続され、正負いずれかの極性で補償電圧を出力する複数の電圧補償回路で構成される。各電圧補償回路には、ダイオードが逆並列に接続された4個の半導体スイッチング素子から成るフルブリッジインバータ、および充電コンデンサが備えられ、充電コンデンサの直流電圧を交流に変換して出力する。また、各電圧補償回路の出力端には、高速機械式の定常短絡スイッチが並列に設けられる。各電圧補償回路内の充電コンデンサは、充電ダイオードと充電用トランスによってそれぞれ異なる電圧が充電され、電圧の比は概ね2のべき乗比に設定される。
以下、この発明の実施の形態1について説明する。図1はこの発明の実施の形態1による電圧変動補償装置100の概略構成図である。
図1に示すように、送電線1からの電力は、変圧器2により降圧されて、電圧変動補償装置100を介して需要家3(負荷)に接続され、電力が供給される。電圧変動補償装置100は、図に示すように、複数(この場合3個)の電圧補償ユニット15と制御回路16とで構成され、正負いずれかの極性で補償電圧を出力する電圧補償回路PN1、PN2、PN3が電力系統に直列に接続される。各電圧補償ユニット15には、ダイオードが逆並列に接続された4個のIGBT9sw11〜9sw14、9sw21〜9sw24、9sw31〜9sw34から成るフルブリッジインバータ、および充電コンデンサ10pn1〜10pn3で構成される各電圧補償回路PN(PN1、PN2、PN3)と、充電コンデンサ10(10pn1〜10pn3)を充電するための充電ダイオード11と充電用トランス14の2次巻線13とが備えられる。なお、充電用トランス1次巻線12は、電力系統と接続される。
V3=2×V2=2×2×V1
また、直列接続された複数の電圧補償回路PNの出力端には、並列に高速機械式の定常短絡スイッチ8が設けられる。
なお、この定常短絡スイッチ8は、各電圧補償回路PNと並列にそれぞれ設けても良い。
また、フルブリッジインバータはIGBT9以外の自己消弧型半導体スイッチング素子で構成しても良い。
図2に示すように、系統電圧Vx、系統電流Ixは制御回路16に入力され、極性判定回路24にてそれぞれ極性が判定され、極性判定回路24は、電圧極性信号24aを出力すると共に、系統電圧極性と系統電流極性とが異極性であるとき異極性検出信号24bを出力する。また、系統電圧Vxは誤差増幅器21にも入力され、誤差増幅器21では、系統電圧Vxを、予め設定された正常時の系統電圧である基準電圧20と比較し、両者の差を増幅し、さらに絶対値変換を施して誤差電圧信号21aを出力する。
また、各電圧補償回路PN内のコンデンサ10は電圧検出器を備えて電圧をモニタしており、電圧検出値V1、V2、V3を制御回路16に入力する。
また、23は瞬低検出部で、瞬低検出して信号z(=0)により定常短絡スイッチ8をオフする。
さらに、25は、各電圧補償回路PNのインバータの駆動信号を発生する駆動信号発生器で、極性判定回路24からの電圧極性信号24aと、デジタル信号D1〜D3とを入力として、各電圧補償回路PNのインバータの駆動信号g11〜g14、g21〜g24、g31〜g34を発生する。
また系統電圧の瞬低時には、誤差増幅器21からの誤差電圧信号21aに基づいて発生されたデジタル信号D1〜D3によって、出力すべき電圧補償回路PN1、PN2、PN3が選択される。系統電圧Vxと基準電圧20との差が、充電コンデンサ10pn1の充電電圧V1と等しくなったとき、A/D変換器22からの出力信号における最下位ビットD1のみが1、即ち゛001゛となるよう、また、同様に゛010゛・・・゛111゛の場合も、充電コンデンサ10の充電電圧の組み合わせと等しくなるように誤差増幅器21のゲインは予め調整しておく。
このような補償動作時における基準電圧、電圧変動補償装置(以下、補償装置と称す)の出力である補償電圧および系統電圧と、各電圧補償回路PN1〜PN3の出力との関係を図3に示す。図3(a)に示すように、系統電圧が基準電圧よりも低下する瞬低時に、その電圧低下量を補償するように、補償装置出力である補償電圧が発生される。この補償電圧Voutは、図3(b)、図3(c)に示すように、各電圧補償回路PN1〜PN3からそれぞれ発生される出力電圧の総和から成る。なお、電圧変動補償装置100全体から8階調の電圧出力を発生することができ、最大の補償電圧は、Vc(=7×V1)となる。
A/D変換器22では、系統電圧が正常に復帰すると、各コンデンサ10の電圧検出値V1、V2、V3からコンデンサ10の電圧低下を検出し、充電すべきコンデンサ10を有する電圧補償回路PNから系統電圧と逆極性の電圧を出力させるようにデジタル信号D1〜D3を出力する。例えば、D1=−1とすると、電圧補償回路PN1は系統電圧と逆極性の出力電圧を発生し、電圧補償回路PN1内のコンデンサ10pn1は、電力系統から電圧補償回路PN1を介して充電される。
図4において、直列接続された複数の電圧補償回路PN1〜PN3は、全体でV1−V2の電圧を発生して系統電圧に重畳する。ここでは、系統電圧は正極性の場合を示し、瞬低補償終了後に電圧補償回路PN2内のコンデンサ10pn2の電圧低下が検出され、このコンデンサ10pn2に充電するように動作させる。A/D変換器22からの出力を、D1=1、D2=−1、D3=0とすることで、図4に示すように、コンデンサ10pn2は、電力系統から電圧補償回路PN1を介して充電されるが、系統電圧と逆極性の電圧発生は、全体でV1−V2となり、負荷電圧の低下は1階調分となる。
例えば、図1で示す電圧補償回路PN1においては、最下位ビットD1=1のときに、系統電圧Vxの極性が正の場合、IGBT9sw11、9sw14をオンし、IGBT9sw12、9sw13をオフすることにより、充電電圧V1を正極性で出力する。また系統電圧の極性が負の場合、IGBT9sw12、9sw13をオンし、IGBT9sw11、9sw14をオフすることにより、充電電圧V1を負極性で出力する。
また、最下位ビットD1=−1のときに、系統電圧Vxの極性が正の場合、IGBT9sw12、9sw13をオンし、IGBT9sw11、9sw14をオフすることにより、充電電圧V1を負極性で出力する。また系統電圧の極性が負の場合、IGBT9sw11、9sw14をオンし、IGBT9sw12、9sw13をオフすることにより、充電電圧V1を正極性で出力する。このD1=−1の場合、出力させる電圧は系統電圧と逆極性の電圧であり、即ち、系統電圧によりコンデンサ10が充電されるものである。
またD1=0のとき、IGBT9sw11〜9sw14、のうち上アーム側9sw12、9sw14あるいは下アーム側9sw11、9sw13のどちらか一方をオン状態とし他方をオフ状態として出力端を短絡し、電圧補償回路PN1からの出力をほぼゼロとする。
なお、系統電圧と逆極性の電圧を発生させてコンデンサ10への充電動作を行っている途中で、系統電圧に瞬低が発生すると、コンデンサ10への充電動作を止め、速やかに補償動作に切り替える。
ところで、一般的に負荷3は、定格からの電圧低下量が10%程度以下であれば問題なく正常に動作する。そこで、この実施の形態では、上記実施の形態1で示した電圧変動補償装置において、コンデンサ10を充電する際に、負荷3に供給される負荷電圧の低下量が定格から10%程度以下となるように制御する。
図5に示すように、瞬低が終了して系統電圧が低下していない通常状態に復帰すると、系統電圧のピーク値周辺で系統電圧と逆極性の逆極性電圧Voutを補償装置から出力させる。この場合、電圧補償回路PN1内のコンデンサ電圧であるV1の大きさに相当する1階調の電圧を逆極性電圧Voutとして出力し、さらに、この逆極性電圧が系統電圧の10%以下となるように、系統電圧のピーク値周辺で出力させる。これにより、図に示すように、系統電圧に補償装置出力の逆極性電圧Voutが重畳された負荷電圧は、ピーク値周辺で逆極性電圧Vout分だけ低下する。
1)V1>(V2/2)>(V3/4)、あるいは(V2/2)>V1>(V3/4)のとき、V1+V2−V3の逆極性電圧を発生し、電圧補償回路PN3のコンデンサ10を充電する。
2)V1>(V3/4)>(V2/2)、あるいは(V3/4)>V1>(V2/2)のとき、V1−V2の逆極性電圧を発生し、電圧補償回路PN2のコンデンサ10を充電する。
3)(V3/4)>(V2/2)>V1、あるいは(V2/2)>(V3/4)>V1のとき、のとき、−V1の逆極性電圧を発生し、電圧補償回路PN1のコンデンサ10を充電する。
系統の基準電圧をVn、瞬低後の系統電圧がVs(位相変化なし)、コンデンサjの容量をCj、コンデンサjの初期充電電圧をVChj、補償動作により発生するコンデンサjの電圧低下を△VCj、負荷電流をIn、負荷力率をpf、瞬低継続時間をTとすると、概ね次の関係が成り立つ(j=10pn1、10pn2、10pn3)。
Σ1/2×Cj×[VChj2−(VChj−△VCj)2]=(Vn−Vs)×In×pf×T
逆極性電圧としてα×Vnを発生してコンデンサjを充電する場合、充電時間をT2、充電中のコンデンサjの電圧をVCjとすると概ね次の関係が成り立つ。
Σ1/2×Cj×[VCj2−(VChj−△VCj)2]=α×Vn×In×pf×T2
ここで、VCj=VChjまでコンデンサjを充電するとすると
T2=(T/α)×Vn/(Vn−Vs)
となる。
但し、Vn−Vsは、Vnの10%〜100%程度、αは0.1程度である。
上記実施の形態2では、逆極性電圧が系統電圧の10%以下となるように、系統電圧のピーク値周辺で出力させたが、この実施の形態では、図6に示すように、補償装置から出力される逆極性電圧Voutを、正弦波による滑らかな電圧波形で出力させる。この場合、逆極性電圧Voutは系統電圧の10%程度で出力し、これにより、系統電圧に補償装置出力の逆極性電圧Voutが重畳された負荷電圧は、系統電圧の90%程度の正弦波による電圧波形となる。
このような、逆極性電圧Voutは、各電圧補償回路PN内の複数のIGBTから成るインバータをPWM制御を用いて駆動制御することで出力できる。
9sw11〜9sw14,9sw21〜9sw24,9sw31〜9sw34 インバータ(半導体スイッチング素子としてのIGBT)、
10(10pn1,10pn2,10pn3) 充電コンデンサ、16 制御回路、
23 瞬低検出部、24 極性判定回路、24b 異極性検出信号、
25 駆動信号発生器、100 電圧変動補償装置、
PN1〜PN3,PN 電圧補償回路、V1,V2,V3 コンデンサ電圧検出値、
Vx 系統電圧、Ix 系統電流。
Claims (7)
- それぞれコンデンサの電圧を交流に変換して出力する複数の電圧補償回路を電力系統に直列に接続し、該電力系統における電圧低下の監視、およびそれに基づく給電制御を行う制御部を備えて、系統電圧低下時に、上記複数の電圧補償回路の中から所望の組み合わせを選択し、その出力電圧の総和を上記系統電圧に重畳して上記系統電圧の低下を補償し、負荷に供給される電圧の変動を抑える電圧変動補償装置において、上記電力系統から上記電圧補償回路を介して上記コンデンサを充電する手段を有し、上記系統電圧が低下していない通常時に、上記電圧補償回路を介して上記負荷に電力供給しつつ、上記電圧補償回路の出力電圧を該電圧補償回路を流れる系統電流の極性と逆極性として、該電圧補償回路が有する上記コンデンサを充電することを特徴とする電圧変動補償装置。
- 上記電圧補償回路を流れる系統電流の極性が上記系統電圧と同極性の場合のみ、上記電力系統から上記電圧補償回路を介して上記コンデンサを充電することを特徴とする請求項1記載の電圧変動補償装置。
- 上記コンデンサを充電する際、上記負荷に供給される電圧の低下量が所定の許容量以下となるように、上記電圧補償回路から出力される上記系統電流極性の逆極性電圧(以下、単に逆極性電圧と称す)を制御することを特徴とする請求項1または2記載の電圧変動補償装置。
- 上記コンデンサを充電する際、上記複数の電圧補償回路の中から、各出力電圧極性が上記系統電流と同極性のものを含むことを可能にして所望の組み合わせを選択し、その出力電圧の総和による上記逆極性電圧にて上記コンデンサを充電することを特徴とする請求項3記載の電圧変動補償装置。
- 上記複数の各電圧補償回路は、ダイオードが逆並列に接続された複数個の半導体スイッチング素子から成るインバータを備え、上記コンデンサを充電する際、上記インバータ内の各半導体スイッチング素子をPWM制御を用いて駆動制御することを特徴とする請求項3または4記載の電圧変動補償装置。
- 上記各電圧補償回路内の上記コンデンサの電圧低下を検出する手段を有し、該電圧低下が検出されたコンデンサを充電するように、上記各電圧補償回路から電圧出力することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の電圧変動補償装置。
- 上記コンデンサの電圧低下が解消された時点で、上記電圧補償回路は上記系統電圧への上記逆極性電圧の重畳を止め、上記コンデンサへの充電を終了することを特徴とする請求項6記載の電圧変動補償装置。
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