JP4009208B2 - 発光装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、発光装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、発光ダイオード(LED)や半導体レーザ(LD)等の発光素子を用いた発光装置は、今後さらなる低消費電力化や長寿命化がすすむものと予測されていることから注目されており、近年各種インジケーター、光センサー、ディスプレイ、ホトカプラ、バックライト、光プリンタヘッド等の種々の分野で使用され始めている。
従来の発光素子を搭載するための発光素子収納用パッケージ(以下、パッケージともいう)の断面図を図2に示す。
【0003】
図2に示すように、従来のパッケージ11は、一般に各種樹脂やセラミックスなどの材料から成る基体12を有する。基体12には、タングステンやモリブデン−マンガン等を含む導体ペーストを焼成して成るメタライズ層を形成し、その上にメッキ法によりNiメッキ層やAuメッキ層を施した配線導体13が形成されている。この配線導体13を介して、パッケージ11内の発光素子15に外部から電力が供給される。
【0004】
また基体12は、パッケージ11内部側の一方の主面に、中央部に上下面を貫通孔を有する、各種樹脂やセラミックスから成る略正方形の枠体14が設けられており、枠体14は基体12に700〜900℃の融点を有する銀(Ag)−銅(Cu)等のロウ材や樹脂接着剤、500℃以下で溶融する低融点ガラスにより固定される。
【0005】
発光素子15は、基体12にAgペースト16でダイボンドされている。発光素子15の電極は、基体12に形成された配線導体13とAu製のボンディングワイヤ17によりワイヤボンディングされている。
【0006】
また、発光素子15を保護するため、枠体14の内側に発光素子15を覆うように透明樹脂18が設けられる。この透明樹脂18は熱硬化性のエポキシ樹脂等を加熱硬化させることにより形成される。また、透明樹脂18は、発光素子15をパッケージ11に強固に密着させる働きも有する。これにより、発光素子15を収納した発光装置となる。
【0007】
この発光装置は、外部電気回路から供給される駆動電流によって発光素子15を発光させることで可視光を発光する。その用途としては、各種インジケーター、光センサー、ディスプレイ、ホトカプラ、バックライト、光プリンタヘッドなどである。
【0008】
近年、この発光装置を照明用として利用するようになってきており、高輝度、放熱性の点でより高特性のものが要求されている。また、照明用として使用する場合には寿命が重要な問題となるため、長寿命な発光装置が要求されている。
【0009】
そこで、近時、発光装置の発光輝度を向上させるために、枠体14や基体12がより反射率の高い材料から成る構成とすることが多い。例えば、発光素子15の光を反射させる枠体14の材料にAgやAlからなる反射率の高い金属を使用したり、それらの金属を枠体14の内周面に被着させることによって、高輝度の発光装置とすることが提案されている。
【0010】
【特許文献1】
特開2002−344029号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のパッケージ11では、発光素子15から出る熱によりパッケージ11に歪みが発生し、その結果、発光素子15から発光される光の放射角度が安定化しないという問題点があった。これは、基体12が樹脂やセラミックスから成るのに対して、枠体14が金属から成ることで、基体12と枠体14との熱膨張係数の違いにより発生するものである。
【0012】
また、従来のパッケージ11では、高輝度化には十分に対応できるものの、輝度を上げるために発光素子15の入力パワーを上げると、発光素子15から出る熱により安定した光強度、光の放射角度、光強度分布が得られないといった新たな問題がでてきている。放熱性が劣化すると、発光素子15の温度が上昇し、温度上昇および温度降下の熱履歴が繰り返されることによって発光素子15自体の強度が低下する。また、発光素子15とパッケージ11に歪みが生じ、パッケージ11から一定の距離を置いたところで測定される光放射角度および光強度分布が所望の値およびパターンからずれることとなる。光強度分布は単一の光束(光ビーム)またはそれらの集合体で表されるものであり、パッケージ11の歪みにより光束のパターンが一定にならず不安定となる。このように、発光装置が局部照明の用途等に使用される場合、光の放射角度、光強度分布は重要な問題である。
【0013】
したがって、本発明はかかる従来の問題点に鑑みて完成されたものであり、その目的は、発光素子が発光する光を枠体の内周面で良好に反射させ外部に均一に効率よく放射させるとともに、温度変化によって光強度、光の放射角度および光強度分布が変化しない安定した光学的特性が得られる発光装置を作製できる発光素子収納用パッケージおよび発光装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の発光装置は、金属材料からなり、突出部を有する基体と、絶縁材料からなり、上面と前記基体に接合された下面とを有しているとともに、前記基体の前記突出部が配置された空所を有する第1枠体と、前記第1枠体の前記上面に設けられた第1導出部と、前記第1枠体の前記下面に設けられた第2導出部とを有しており、前記基体と前記第1枠体との接合部上に位置する前記第1枠体の内部に形成された配線導体と、前記配線導体の前記第1導出部に電気的に接続されており、前記基体の前記突出部上に搭載された発光素子と、前記配線導体の前記第2導出部に電気的に接続されており、前記第1枠体の前記下面に設けられた外部リード端子と、前記発光素子を覆い、一部が前記配線導体の前記第1導出部が設けられた前記第1枠体の上面に被着されている樹脂と、上方に向かって広がるように傾斜した内周面を有しており、前記第1の枠体の前記上面に前記発光素子を囲むように取着された金属からなる第2枠体とを備えている。
【0015】
本発明の発光装置は、前記発光素子を囲む内周面を有しており、前記第1枠体の上面に配置された第2枠体を有することを特徴とする。
【0016】
また、本発明の発光装置は、前記発光素子を覆う透明樹脂を有することを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の発光装置について以下に詳細に説明する。図1は本発明の発光装置に用いられる発光素子収納用パッケージについて実施の形態の一例を示す断面図であり、図1において、2は基体、3は第1枠体、4は第2枠体であり、これらで発光素子5を収容するためのパッケージ1が主に構成されている。
【0018】
本発明の発光装置に用いられる発光素子収納用パッケージは、上側主面の中央部に発光素子5が搭載される搭載部2aを有する金属から成る基体2と、基体2の上側主面の外周部に搭載部2aを囲むように取着された、外形寸法が基体2よりも大きい枠状の絶縁体から成るとともに搭載部2aの近傍から外側にかけて導出する配線導体3aが形成された第1枠体3と、第1枠体3の上面に搭載部2aを囲むように取着された、内周面が上方に向かって広がる傾斜面とされた金属から成る第2枠体4とを具備している。
【0019】
本発明の基体2は、発光素子5を支持し搭載するための支持部材および発光素子5の熱を放熱させるための放熱部材として機能する。基体2の上面中央部には発光素子5を搭載する搭載部2aが設けられている。この搭載部2aには、発光素子5が樹脂接着剤や錫(Sn)−鉛(Pb)半田等の低融点ロウ材を介して取着される。そして、発光素子5の熱は、樹脂接着剤や低融点ロウ材を介して基体2に伝えられ外部に効率よく放散されることによって、発光素子5の作動性を良好に維持する。また、発光素子5から出射される光は、第2枠体4の内周面で反射されたり、第2枠体4の内側またはその上方の発光素子5の光軸上に設置されたレンズ等の透光性部材に入射されて、拡散光や平行光等に変換されて外部に放射される。
【0020】
また、基体2は、鉄(Fe)−ニッケル(Ni)−コバルト(Co)合金や銅(Cu)−タングステン(W)合金等の金属から成り、そのインゴットに圧延加工や打ち抜き加工等の従来周知の金属加工を施すことによって所定形状に形成されて製作される。とりわけ放熱効果を高めるためには、基体2は熱伝導性に優れたCu−W合金からなることが好ましい。また、その表面には耐食性に優れかつロウ材との濡れ性に優れる金属、具体的には厚さ0.5〜9μmのNi層と厚さ0.5〜9μmの金(Au)層をメッキ法により順次被着させておくのがよく、基体2が酸化腐食されるのを有効に防止できるとともに、基体2の上面の搭載部2aに発光素子5を強固に接合できる。
【0021】
また、基体2は、その上面の外周部に搭載部2aを囲むように絶縁体からなる第1枠体3が接合されており、第1枠体3の内側に発光素子5を収容するための空所が形成される。この第1枠体3は、外形寸法が基体2よりも大きくされているとともに、搭載部2aの近傍から外側にかけて導出する配線導体3aが形成されている。また、第1枠体3は、酸化アルミニウム質焼結体(アルミナセラミックス)、窒化アルミニウム質焼結体、ガラスセラミックス、または樹脂等の絶縁体からなる。
【0022】
また、第1枠体3に形成された配線導体3aはタングステン(W),モリブデン(Mo),マンガン(Mn),銅(Cu)等のメタライズ層で形成されており、例えばW等の粉末に有機溶剤、溶媒を添加混合して得た金属ペーストを、所定パターンに印刷塗布し焼成することによって第1枠体3に形成される。この配線導体3aの表面には、酸化防止のためとボンディングワイヤ7や外部リード端子8を強固に接続するために、厚さ0.5〜9μmのNi層や厚さ0.5〜5μmのAu層等の金属層をメッキ法により被着させておくと良い。
【0023】
本発明においては、図1に示すように、第1枠体3の下面の外周部に形成された空間に外部リード端子8を挿入して第1枠体3の配線導体3aに電気的に接続することができるため、外部リード端子8がかさばらずに低背化されたものとなる。
【0024】
本発明の第2枠体4は、Al(アルミニウム),Ag,Fe−Ni−Co合金,Fe−Ni合金等からなり、とりわけ光の反射効果を高めるためには反射率の高いAlから成ることが好ましい。また、第2枠体4は、内周面が上方に向かって広がる傾斜面とされた形状であるが、その材料のインゴットに切削加工、圧延加工や打ち抜き加工等の従来周知の金属加工を施すことによって、上記の所定形状に形成される。
【0025】
また、第2枠体4の貫通穴4aの内周面が基体2の上面に対して35〜60度の角度で上方に向かって広がるように形成されている。このように、貫通穴4a内に収容された発光素子5の光を傾斜した貫通穴4aの内周面で良好に反射させ、外部に放射角度20度以内の範囲で光を良好に放射することができ、本発明のパッケージ1を使用した発光装置の発光効率を極めて高いものとすることができる。
【0026】
なお、光の放射角度は、図1のような縦断面においてみた場合のものであり、光ビームの光軸に直交する断面における断面形状が円形状であれば放射角度は一定であり、光ビームの光軸に直交する断面における断面形状が楕円形状等の偏りがある場合は放射角度はその最大値とする。
【0027】
第2枠体4の貫通穴4aの内周面が基体2の上面となす角度が35度未満になると、放射角度が20度以上に広がり、分散した光の量が多くなり、光の輝度が低下する。一方、角度が60度を超えると、パッケージ1の外部に良好に放射されずにパッケージ1内で乱反射する光が多くなる。したがって、第2枠体4の貫通穴4aの内周面が基体2の上面となす角度は35〜60度が好ましい。
【0028】
また、枠体4の貫通穴4aの内周面の算術平均粗さRaは、4μmを超えると貫通穴4a内に収容された発光素子5が発光する光を均一に反射することが困難になり、反射する光の強さに偏りが発生しやすく、一方0.004μm未満であると、そのような面を安定かつ効率よく形成することが困難となる傾向にある。したがって、貫通穴4aの内周面の算術平均粗さRaは0.004〜4μmが好ましい。
【0029】
なお、貫通穴4aの内周面のRaを上記の範囲とするには、従来周知の化学エッチング法もしくは切削加工方法により加工することができる。また、金型の面精度を利用した転写加工による方法を用いてもよい。
【0030】
本発明においては、基体2、第1枠体3および第2枠体4の接合は、シリコーン系やエポキシ系等の樹脂接着剤により行なうか、またはAg−Cuロウ等の金属ロウ材やPb−Sn,Au−Sn,Au−Si等の半田により行なわれる。基体2、第1枠体3および第2枠体4を接合する接合材は、基体2、第1枠体3および第2枠体4の材質や熱膨張係数等を考慮して適宜選定すればよく、特に限定されるものではないが、接合の高信頼性を必要とされる場合、金属ロウ材や半田が好ましい。
【0031】
なお、本発明の発光素子収納用パッケージにおいて、基体2と第1枠体3と第2枠体4とは、基体2と第1枠体3との熱膨張係数が近似しているか同じであることが好ましく、より好ましくは、基体2と第1枠体3と第2枠体4との熱膨張係数が近似しているか同じであることがよい。これにより、温度変化によるパッケージ1の歪みをなくするか小さく抑えることができる。
【0032】
例えば、Fe−Ni−Co合金(熱膨張係数6×10−6/℃)等から成る基体2とAl(熱膨張係数23×10−6/℃)等から成る第2枠体4との熱膨張係数が異なっていても、それによる歪みを緩和することができる。すなわち、第2枠体4の影響により歪みが生じても、アルミナセラミックス(熱膨張係数5.7×10−6/℃)等から成る第1枠体3と基体2でその歪みを吸収することができ、パッケージ1全体の歪みを小さくできる。
【0033】
そして、発光素子5から発光される光の広がりを抑えて変化しないように安定化させるためには、温度変化等による光の放射角度の変化を10度以下に抑えることがよいとされるが、基体2と第1枠体3との熱膨張係数の差が5×10−6/℃以下であれば、光の放射角度の変化を10度以下に抑えることができる。したがって、基体2と第1枠体3との熱膨張係数の差は5×10−6/℃以下であることが好ましい。
【0034】
また、基体2は、その外周端が第2枠体4の下面の内周端と上下方向で重なっていることが好ましい。これにより、第1枠体3において、基体2の外周端と第2枠体4の下面の内周端との間にそれらが重ならない強度の小さい部位が発生せず、第1枠体3が基体2および第2枠体4との熱膨張係数差によって割れたり破損するのを抑えることができる。
【0035】
本発明において、第2枠体4の上面と内周面との間に段差4bを形成し、その段差4bにレンズ等の透光性部材の端部を係止し接着等して設置することがよく、この場合、発光素子5と透光性部材との光学的な結合状態を安定に維持することができ、光学的特性が安定化した発光装置となすことができる。
【0036】
また、基体2の熱伝導率は100W/m・K以上であることがよい。これにより、発光素子5の放熱性を高めて発光素子5に入力できる駆動電流値を大きくすることができる。100W/m・K未満では、例えば駆動電流値が20mAであると発光素子5の熱であるチップジャンクション温度が65℃以上になり、発光素子5に加わる熱的負荷が大きくなり、1万時間を超える寿命を確保するのが困難になる。100W/m・K以上では、駆動電流値が20mAであっても発光素子5のジャンクション温度が50℃以下になり、1万時間を超える寿命の確保ができるとともに、さらに大きな駆動電流を入力することができ、発光素子5の光出力を向上させることができる。
【0037】
なお、チップジャンクション温度とは、所定の駆動電流(20mA等)を入力した際のチップ(発光素子5)の温度であり、なるべく低い方がよい。すなわち、放熱性を高めないと発光素子5に熱がこもり、チップジャンクション温度が下がらないため、放熱性を高めてチップジャンクション温度を下げると、その分電流が流せることになる。
一般に、65℃以上になれば発光素子5の限界を超えていると言われており、それ以上駆動電流を入力できなくなる。
【0038】
かくして、基体2の搭載部2aに発光素子5を搭載し、発光素子5の電極と配線導体3aとをボンディングワイヤ7を介して電気的に接続し、しかる後、発光素子5を透明樹脂で覆うか、または発光素子5が収容された貫通穴4a内に透明樹脂を充填して発光素子5を封止し、第2枠体4の上面の段差4bに透光性部材を設置することで発光装置となる。
【0039】
【発明の効果】
本発明の発光装置は、金属材料からなり、突出部を有する基体と、絶縁材料からなり、上面と基体に接合された下面とを有しているとともに、基体の突出部が配置された空所を有する第1枠体と、第1枠体の上面に設けられた第1導出部と、第1枠体の下面に設けられた第2導出部とを有しており、基体と第1枠体との接合部上に位置する第1枠体の内部に形成された配線導体と、配線導体の第2導出部に電気的に接続されており、第1枠体の下面に設けられた外部リード端子と、を有していることから、発光効率および放熱性に優れ、安定した光学的特性が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の発光装置に用いられる発光素子収納用パッケージについて実施の形態の一例を示す断面図である。
【図2】従来の発光素子収納用パッケージの断面図である。
【符号の説明】
1:発光素子収納用パッケージ
2:基体
2a:搭載部
3:第1枠体
3a:配線導体
4:第2枠体
5:発光素子
Claims (2)
- 金属材料からなり、突出部を有する基体と、
絶縁材料からなり、上面と前記基体に接合された下面とを有しているとともに、前記基体の前記突出部が配置された空所を有する第1枠体と、
前記第1枠体の前記上面に設けられた第1導出部と、前記第1枠体の前記下面に設けられた第2導出部とを有しており、前記基体と前記第1枠体との接合部上に位置する前記第1枠体の内部に形成された配線導体と、
前記配線導体の前記第1導出部に電気的に接続されており、前記基体の前記突出部上に搭載された発光素子と、
前記配線導体の前記第2導出部に電気的に接続されており、前記第1枠体の前記下面に設けられた外部リード端子と、
前記発光素子を覆い、一部が前記配線導体の前記第1導出部が設けられた前記第1枠体の上面に被着されている樹脂と、
上方に向かって広がるように傾斜した内周面を有しており、前記第1の枠体の前記上面に前記発光素子を囲むように取着された金属からなる第2枠体とを備えていることを特徴とする発光装置。 - 前記発光素子を覆う透明樹脂を有することを特徴とする請求項1記載の発光装置。
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