JP4006588B2 - ローラ支持体、記録装置、液体噴射装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ローラを回転可能に支持するローラ支持体に係り、特にインクジェットプリンタ等の記録装置において、被記録材を搬送する搬送ローラを構成する従動ローラを支持するローラ支持体に関する。また、本発明は該ローラ支持体を備えた記録装置及び液体噴射装置に関する。
【0002】
ここで、液体噴射装置とは、インクジェット式記録ヘッドが用いられ、該記録ヘッドからインクを吐出して被記録媒体に記録を行うプリンタ、複写機およびファクシミリ等の記録装置に限らず、インクに代えてその用途に対応する液体を前記インクジェット式記録ヘッドに相当する液体噴射ヘッドから被記録材に相当する被噴射媒体に噴射して、前記液体と前記被噴射媒体に付着させる装置を含む意味で用いる。
【0003】
液体噴射ヘッドとして、前記記録ヘッドの他に、液晶ディスプレー等のカラーフィルター製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレーや面発光ディスプレー(FED)等の電極形成に用いられる電極材(導電ペースト)噴射ヘッド、バイオチップ製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド、精密ピペットとしての試料噴射ヘッド等が挙げられる。
【0004】
【従来の技術】
記録装置或いは液体噴射装置の1つとしてインクジェットプリンタがある。以下、インクジェットプリンタの構成を一例として説明する。インクジェットプリンタは、インクを吐出するインクジェット記録ヘッドの上流側に、印刷用紙を搬送する搬送ローラを備えている。搬送ローラは、回動駆動される駆動ローラと、該駆動ローラに接して従動回動する従動ローラとから構成されている。この従動ローラは、ローラ支持体によって自由回転可能に軸支されるとともに、前記ローラ支持体に付勢力を作用させるねじりコイルばねによって、前記駆動ローラに向けて付勢された状態に設けられている。
【0005】
図5及び図6は、特許文献1に開示された、従来技術に係るローラ支持体としての搬送従動ローラホルダ500を示すものであり、図5は搬送従動ローラホルダ500の外観斜視図、図6は搬送従動ローラホルダ500の取付状態を示す、取付部の平面図である。
図5において、搬送従動ローラホルダ500は樹脂材料によって形成され、軸支部504、504によって1つの搬送従動ローラ506を自由回転可能に軸支する。この搬送従動ローラホルダ500は、図6に示す様に、インクジェットプリンタの装置本体を形成する、金属板材によって形成されたフレーム508に、ねじりコイルばね505を介して取り付けられる。ねじりコイルばね505は搬送従動ローラホルダ500とフレーム508との間で付勢力を発揮し、搬送従動ローラ506を搬送駆動ローラ507に圧接させる。
【0006】
ここで、搬送従動ローラホルダ500は、以下の様にしてフレーム508に取り付けられる。フレーム508には、用紙搬送方向(図6の上下方向)と直交する方向(図6の左右方向:インクジェット記録ヘッドの主走査方向)に平行に突出する突起508aが形成されている。一方、搬送従動ローラホルダ500には、図5に示す様にねじりコイルばね505の一端(符号505cで示す)が搬送従動ローラ506の略中央付近に延び、且つ、他端(符号505bで示す)が搬送従動ローラホルダ500に形成されたばね掛止部502に掛止した状態で配されている。
【0007】
そして、この状態の搬送従動ローラホルダ500を、図6の下方向からフレーム508に近接させて、その後に、ねじりコイルばね505のコイル部505aを突起508aに嵌合させる様に、搬送従動ローラホルダ500を図6の右方向にスライドさせる様にして取り付ける。
【0008】
【特許文献1】
特開2002−265089号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、搬送従動ローラホルダ500を図6の右方向にスライドさせる際には、搬送従動ローラ506は搬送駆動ローラ507に既に圧接した状態にあるから、上記スライド作業は作業性が悪い。また、スライド時に搬送従動ローラ506の表面状態を悪化させ、結果として用紙との間の摩擦係数について所望の値が得られず、これによって適切な用紙搬送精度が得られなくなるといった虞がある。更に、搬送従動ローラホルダ500に付勢力を付与するねじりコイルばね505は、その一端505cのみによって搬送従動ローラホルダ500に付勢力を作用させる。即ち、付勢力の作用点が1点のみであることから、当該作用点が搬送従動ローラ506の中央から偏倚した場所にあると、搬送従動ローラ506が搬送駆動ローラ507に圧接する際に主走査方向(図6の左右方向)で圧接力が不均一となり、これによって用紙に斜行する方向の力が付与される虞があった。
【0010】
そこで本発明はこの様な状況に鑑みなされたものであり、その課題は、より一層取付作業性に優れ、更には、従動ローラと駆動ローラとの間の圧接力に不均一を生じさせないローラ支持体を得ることにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様は、回動駆動される駆動ローラに接して従動回動する従動ローラを回転可能に軸支するローラ軸支部を有するとともに、被取付部と前記ローラ軸支部との間で付勢力を発揮するねじりコイルばねの前記付勢力により、前記従動ローラを前記駆動ローラに圧接させるローラ支持体であって、前記ねじりコイルばねのコイル部の軸線が、前記従動ローラの軸線と略直交する方向となる様に配されるとともに、前記従動ローラの軸線と略直交する方向に突出する突起部によって成された前記被取付部に、前記コイル部を嵌合させることで取り付けられていることを特徴とする。
【0012】
上記第1の態様によれば、ローラ支持体を付勢するねじりコイルばねのコイル部の軸線が、従動ローラの軸線と略直交する方向、即ち、ローラ支持体の被取付部への取付方向に配されている。そして、被取付部についても同様に前記従動ローラの軸線と略直交する方向に突出する様に成されていて、これにより、前記ねじりコイルばねのコイル部を、被取付部へほぼ真っ直ぐに嵌合させることによってローラ支持体の取付作業が完了する為、ローラ支持体の取付作業が極めて容易となる。更に、これとは逆にローラ支持体の取り外し作業も容易に行うことができることから、例えば当該ローラ支持体を記録装置(例えば、インクジェットプリンタ)に適用した場合には、記録装置の解体作業が容易となり、リサイクル性に優れ、環境に配慮された記録装置を得ることが可能となる。
【0013】
加えて、前記従動ローラと前記駆動ローラとが圧接した状態でローラ支持体をスライドさせる必要がないことから、前記従動ローラの表面状態を悪化させず、前記駆動ローラと前記従動ローラとによる被搬送媒体の搬送精度を低下させることもない。
更に加えて、前記ローラ支持体は前記ねじりコイルばねのコイル部を中心にして、前記従動ローラの軸線と前記駆動ローラの軸線とのなす角度が変化する方向に揺動容易となるので、前記駆動ローラに対する、前記従動ローラの圧接力が、軸方向に均一化し易くなり、これによってもより一層適切に被搬送媒体を搬送することが可能となる。
【0014】
本発明の第2の態様は、上記第1の態様において、軸線を同じくする2つの前記従動ローラを有し、前記ねじりコイルばねのコイル部が、前記2つの従動ローラの中間位置に配されるとともに、前記コイル部から延びる2つのばね端が、それぞれ2つの前記従動ローラに向かって延びる様に設けられていることを特徴とする。
上記第2の態様によれば、前記ローラ支持体は軸線を同じくする2つの前記従動ローラを有していて、前記ねじりコイルばねのコイル部が、前記2つの従動ローラの中間位置に配されるとともに、前記コイル部から延びる2つのばね端が、それぞれ2つの前記従動ローラに向かって延びる様に設けられているので、2つの前記従動ローラに均等に荷重を付与することが可能となり、従って被搬送媒体にスキュー(斜行)させる様な力を与えず、以て適切な搬送動作を実行することが可能となる。
【0015】
本発明の第3の態様は、回動駆動される駆動ローラに接して従動回動する従動ローラを回転可能に軸支するローラ軸支部を有するとともに、被取付部と前記ローラ軸支部との間で付勢力を発揮するねじりコイルばねの前記付勢力により、前記従動ローラを前記駆動ローラに圧接させるローラ支持体であって、前記ねじりコイルばねのコイル部の軸線が、前記従動ローラの軸線と略直交する方向となる様に配され、前記被取付部が、前記従動ローラの軸線と略直交する方向に突出する突起部によって成され、前記コイル部が前記被取付部に嵌合し、且つ、前記コイル部から延びる2つのばね端が前記ローラ支持体に延びて前記ねじりコイルばねによる付勢力の作用点を形成することにより、前記従動ローラ及び前記駆動ローラの軸線と直交する方向から視て前記ねじりコイルばねが略ハの字形の形状をなす様に設けられていることを特徴とする。
【0016】
上記第3の態様によれば、ローラ支持体を付勢するねじりコイルばねのコイル部の軸線が、従動ローラの軸線と略直交する方向、即ち、ローラ支持体の被取付部への取付方向に配されている。そして、被取付部についても同様に前記従動ローラの軸線と略直交する方向に突出する様に成されていて、これにより、前記ねじりコイルばねのコイル部を、被取付部へほぼ真っ直ぐに嵌合させることによってローラ支持体の取付作業が完了する為、ローラ支持体の取付作業が極めて容易となる。また、前記従動ローラと前記駆動ローラとが圧接した状態でローラ支持体をスライドさせる必要がないことから、前記従動ローラの表面状態を悪化させず、前記駆動ローラと前記従動ローラとによる被搬送媒体の搬送精度を低下させることもない。
【0017】
次に、前記コイル部から延びる2つのばね端が前記ローラ支持体に延びて前記ねじりコイルばねによる付勢力の作用点を形成することにより、前記従動ローラ及び前記駆動ローラの軸線と直交する方向から視て前記ねじりコイルばねが略ハの字形の形状をなす様に設けられていることから、1つのばね端によって前記従動ローラに荷重を付与する場合に比して、前記従動ローラに均一に荷重を付与することが可能となり、従って被搬送媒体にスキュー(斜行)させる様な力を与えず、以て適切な搬送動作を実行することが可能となる。
【0018】
本発明の第4の態様は、被記録材に記録を行う記録部と、前記記録部に被記録材を搬送する、駆動ローラ及び該駆動ローラに接して従動回動する従動ローラによって構成された搬送ローラと、前記記録部によって記録の行われた被記録材を排出する被記録材排出手段と、を備えた記録装置であって、前記従動ローラが、上記第1から第3の態様のいずれかに記載された前記ローラ支持体によって支持されていることを特徴とする。
上記第4の態様によれば、被記録材に記録を行う記録部を備えた記録装置は、上記第1から第3の態様のいずれかに記載された前記ローラ支持体を備えているので、前記記録装置において上述した第1から第3の態様のいずれかと同様な作用効果を得ることが可能となる。
【0019】
本発明の第5の態様は、被噴射媒体に液体を噴射する液体噴射ヘッドと、前記液体噴射ヘッドに被噴射媒体を搬送する、駆動ローラ及び該駆動ローラに接して従動回動する従動ローラによって構成された搬送ローラと、前記液体噴射ヘッドによって液体噴射の行われた被噴射媒体を排出する被噴射媒体排出手段と、を備えた液体噴射装置であって、前記従動ローラが、該従動ローラを軸支するローラ軸支部を有するとともに、被取付部と前記ローラ軸支部との間で付勢力を発揮するねじりコイルばねの前記付勢力により、前記従動ローラを前記駆動ローラに圧接させるローラ支持体により軸支され、前記ねじりコイルばねのコイル部の軸線が、前記従動ローラの軸線と略直交する方向となる様に配されるとともに、前記従動ローラの軸線と略直交する方向に突出する突起部によって成された前記被取付部に、前記コイル部を直線的に嵌合させることで取り付けられていることを特徴とする。
【0020】
上記第5の態様によれば、ローラ支持体を付勢するねじりコイルばねのコイル部の軸線が、従動ローラの軸線と略直交する方向、即ち、ローラ支持体の被取付部への取付方向に配されている。そして、被取付部についても同様に前記従動ローラの軸線と略直交する方向に突出する様に成されていて、これにより、前記ねじりコイルばねのコイル部を、被取付部へほぼ真っ直ぐに嵌合させることによってローラ支持体の取付作業が完了する為、ローラ支持体の取付作業が極めて容易となる。
【0021】
加えて、前記従動ローラと前記駆動ローラとが圧接した状態でローラ支持体をスライドさせる必要がないことから、前記従動ローラの表面状態を悪化させず、前記駆動ローラと前記従動ローラとによる被噴射媒体の搬送精度を低下させることもない。
更に加えて、前記ローラ支持体は前記ねじりコイルばねのコイル部を中心にして、前記従動ローラの軸線と前記駆動ローラの軸線とのなす角度が変化する方向に揺動容易となるので、前記駆動ローラに対する、前記従動ローラの圧接力が、軸方向に均一化し易くなり、これによってもより一層適切に被噴射媒体を搬送することが可能となる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。以下では先ず、本発明の一実施形態に係る、「記録装置」、「液体噴射装置」の一例としてのインクジェットプリンタ(以下「プリンタ」と言う)100の概略構成について図1及び図2を参照しつつ説明する。ここで、図1はプリンタ100装置本体(外観カバーを取り外した状態)の外観斜視図であり、図2はプリンタ100の側断面概略図である。尚、以下では、図2の右側(プリンタ100の後方側)を「上流側」(用紙搬送経路の上流側)と言い、図2の左側(プリンタ100の前方側)を「下流側」(用紙搬送経路の下流側)と言うこととする。
【0023】
図1において、プリンタ100は金属板材の折り曲げによって形成されたメインフレーム10によって装置本体の基体が構成されている。メインフレーム10は平面視において略コの字形の形状をなし、且つ、前記金属板材が略垂直面に沿うように設けられ、その後方側には、「被記録材」「被噴射媒体」の一例としての印刷用紙を傾斜姿勢で複数枚セット可能な給紙装置90を有している。また、前方側には、記録部を構成するキャリッジ34、印刷用紙を搬送する搬送ローラを構成する「駆動ローラ」としての搬送駆動ローラ3、該駆動ローラ3に接して従動回動する「従動ローラ」としての搬送従動ローラ4等を備えている。搬送従動ローラ4は、本発明に係る「ローラ支持体」としての搬送従動ローラホルダ50に軸支されている。
【0024】
以下、図2の側断面図に沿って更に詳しく説明する。装置後方側(上流側)に設けられた給紙装置90は、印刷用紙(以下「用紙P」と言う)を装置前方側(下流側)へと1枚ずつ給送する様に構成されている。ここで、図2に示す様に給紙装置90は、給紙ローラ22と、ホッパ20と、分離パッド27とを備えている。
【0025】
図示しない駆動モータによって回動駆動される給紙ローラ22は側面視略D形の形状をなし、ローラ本体22aと、該ローラ本体22aの外周部に巻回されるゴム材22bとから構成されている。給紙ローラ22は、その円弧部分によって用紙Pを給送する一方、平坦部分によって用紙Pを通過させて、下流側の搬送ローラ18による搬送動作時に搬送負荷を与えない様になっている。
【0026】
ホッパ20は板状体からなり、図示する様に傾斜姿勢に設けられ、且つ、上部に設けられた回動軸20aを中心に図2の時計方向及び反時計方向に揺動可能に設けられている。そして、図示しないカム機構によって揺動駆動されることにより、下端部が給紙ローラ22に対して圧接及び離間動作する様になっている。従って、ホッパ20が給紙ローラ22に対して圧接方向に揺動すると、ホッパ20上に堆積された用紙Pの束は給紙ローラ22に圧接し、そして当該圧接状態で給紙ローラ22が回動することにより、堆積された用紙Pの最上位のものが下流側へと給送される。
【0027】
分離パッド27は、高摩擦部材からなり、給紙ローラ22と対向する位置に設けられている。給紙ローラ22が回動すると、給紙ローラ22の円弧部分と分離パッド27とが圧接し、圧接部が形成される。給紙ローラ22の円弧部分によって繰り出された最上位の用紙Pは、前記圧接部を通過して下流側へと進むが、最上位の用紙Pにつられて下流側へと進もうとする次位以降の用紙Pは、前記圧接部により、下流側への進行が阻止され、これによって用紙Pの重送が防止される。
【0028】
次に、給紙装置90の下流には板状体からなる紙案内29が略水平に設けられ、給紙ローラ22によって繰り出された用紙Pの先端が該紙案内229に斜めに当接し、滑らかに下流側に案内される。紙案内29から下流には上述した搬送駆動ローラ3と、該搬送駆動ローラ3に接して従動回動する搬送従動ローラ4とからなる搬送ローラ18が設けられ、用紙Pは、当該搬送駆動ローラ3と搬送従動ローラ4とにニップされて、一定ピッチで下流側に搬送される。
【0029】
ここで、搬送駆動ローラ3は、高剛性ローラ基体の表面に高摩擦層が一体に被着されて成る。高剛性ローラ基体の材質としては、金属、ゴム又はプラスチック(エラストマを含む)等が挙げられるが、本実施形態では高剛性の金属である。また、前記高摩擦層は、耐摩耗性粒子(例えば、アルミナ、炭化珪素等のセラミック)と、耐摩耗性粒子を均一に分散し且つ該耐摩耗性粒子を前記高剛性ローラ基体の外周面に露出させた状態で強固に保持する被着層とから成る。従って、搬送駆動ローラ3の外周面には、前記耐摩耗性粒子によって高摩擦な凹凸表面が形成されている。
【0030】
一方、この様な搬送駆動ローラ3に圧接する搬送従動ローラ4は、用紙Pと接触する表面は低摩擦部材から成り、該低摩擦部材は金属、硬質プラスチック等の材料から成るローラ基体の外周面上に被設されている。この低摩擦部材は、例えば熱可塑性エラストマーとフッ素樹脂を主成分とする組成物から成る含フッ素熱可塑性エラストマーから成る弾性部を基部として、その表面にフッ素樹脂コート層が形成されて成る。従って、搬送従動ローラ4の外周面は、滑らかな面に形成されている。そして、この搬送従動ローラ4は、用紙Pの幅方向に長い軸体としての搬送駆動ローラ3に、その軸方向に複数個局在する様に設けられている(図1参照)。
【0031】
この搬送従動ローラ4は、搬送従動ローラホルダ50の下流側に軸支されている。搬送従動ローラホルダ50は、搬送駆動ローラ3の軸方向に沿って複数個(本実施形態では、3個)配設され、1つの搬送従動ローラホルダ32には、本実施形態においては2つの搬送従動ローラ4が軸方向を同じくする様に軸支されている。
この搬送従動ローラホルダ50は、図2の上下方向に変位可能に設けられ、且つ、ねじりコイルばね55の付勢力を受けている(詳細は後述)。従ってこれにより、搬送従動ローラ4が、搬送駆動ローラ3に圧接する様になっている。
【0032】
続いて、最も0桁側(図2の紙面表側)に位置する搬送従動ローラホルダ50近傍には、用紙Pの通過を検出する、センサ本体部30bと検出レバー30aとからなる紙検出器30が配設されている。検出レバー30aは側面視略「く」の字の形状をなし、その中央付近の回動軸30cを中心に図2の時計方向及び反時計方向に回動可能に設けられている。検出レバー30aの上方に位置するセンサ本体部30bは発光部(図示せず)及び該発光部からの光を受ける受光部(図示せず)を備え、検出レバー30aの回動軸30cから上側が、その回動動作により、前記発光部から前記受光部に向かう光の遮断及び通過を行う様になっている。
【0033】
従って、図2に示す様に用紙Pの通過に伴って検出レバー30aが上方に押し上げられるように回動すると、検出レバー30aの上側がセンサ本体部30bから外れ、これによって前記受光部が受光状態となって、用紙P先端の通過を検出する様になっている。また、用紙Pの後端が検出レバー30aを通過すると、検出レバー30aが下方に戻る方向に回動し、これによって前記受光部が非受光状態となって、用紙P後端の通過を検出する様になっている。
【0034】
続いて、搬送駆動ローラ3の下流には、プラテン50と、「液体噴射ヘッド」の一例としてのインクジェット記録ヘッド(以下「記録ヘッド」と言う)1が上下に対向する様に配設され、搬送ローラ18によって記録ヘッド1の下へ搬送される用紙Pは、プラテン50によって下から支持される。記録ヘッド1はインクカートリッジ31(図1では図示省略)を搭載するキャリッジ34の底部に設けられ、該キャリッジ34は、主走査方向(図2の紙面表裏方向)に延びるキャリッジガイド軸33によって主走査方向にガイドされる。
【0035】
次に、記録ヘッド1から下流は被記録材排出手段(被噴射媒体排出手段)が設けられている。被記録材排出手段は、回動駆動される排紙駆動ローラ5と、排紙フレーム9に自由回動可能に設けられる排紙従動ローラ6とからなる排紙ローラ19によって構成される。記録ヘッド1によって印刷の行われた用紙Pは、排紙駆動ローラ5と排紙従動ローラ6とによってニップされた状態で排紙駆動ローラ5が回動することにより、矢印方向に排出される。尚、排紙駆動ローラ5は、用紙Pの幅方向に延びる軸体に、ゴムローラが幅方向に局在する様に設けられて成る(図示は省略)。
【0036】
ところで、搬送ローラ18と排紙ローラ19とは、協働して以下の様な作用効果を奏している。即ち、図2に示す様に、搬送ローラ18において搬送駆動ローラ3と搬送従動ローラ4とのニップ点がやや下流側に設定されていて、また、排紙ローラ19においては、排紙駆動ローラ5と排紙従動ローラ6とのニップ点がやや上流側に設定されている。従ってこれにより、搬送ローラ18と排紙ローラ19との間においては、用紙Pは図示する様に下に凸となる様な緩やかな湾曲状態となり、これにより、用紙Pがプラテン50に押し付けられる様になっている。その結果、用紙Pのプラテン50からの浮き上がりが防止され、印刷面と記録ヘッド1との距離が一定に保たれるので、印刷品質の低下を防止できる様になっている。
【0037】
以上がプリンタ100の用紙搬送経路の構成であり、以下、図3及び図4を参照しながら、「ローラ支持体」としての搬送従動ローラホルダ50について詳説する。ここで、図3は搬送従動ローラホルダ50の外観斜視図であり、図5は搬送従動ローラホルダ50の取付部の外観斜視図である。
【0038】
図3において、搬送従動ローラホルダ50は、プラスチック等の樹脂材料を用いた射出成形によって、平面視において略方形の形状をなす様に形成され、側面視においては、図2に示した様に搬送従動ローラ4を軸支する部分から上流側に向けて先細り形状となる様に形成されている。搬送従動ローラ4を軸支する下流側部分には、図3に示す様にローラ軸支部54が形成されていて、該ローラ軸支部54によって、2つの搬送従動ローラ4の両端を自由回転可能に軸支する。
【0039】
ローラ軸支部54の上流側には、搬送従動ローラ4の軸方向(記録ヘッド1の主走査方向)に延び、且つ、上方に突出する様なリブ51が、搬送従動ローラホルダ50の上面側に形成されている。このリブ51は、樹脂材料によって形成された搬送従動ローラホルダ50の弾性変形或いは塑性変形を防止する為のものであり、搬送従動ローラホルダ50が変形して、軸支された搬送従動ローラ4と、搬送駆動ローラ3との間の圧接力が搬送従動ローラ4の軸方向で不均一となる不具合を防止する。尚、搬送従動ローラホルダ50の下面側にも、この様な変形防止の為のリブが、搬送従動ローラ4の軸方向と、更にこれと交差する方向とに延びる様に形成されていて、尚一層の変形防止が図られている(図示は省略)。
【0040】
次に、2つの搬送従動ローラ4の中間にコイル部55aが位置する様にねじりコイルばね55が配されていて、上記リブ51の上流側には、前記コイル部55aの左右に位置する様に、リブ51と同様に上方に突出し且つ搬送従動ローラ4の軸方向に延びる様なリブ形状をなすばね端保持部56a、56bが形成されている。このばね端保持部56a、56bは、ねじりコイルばね55の付勢力作用部55cを遊挿する為のものである。即ち、ねじりコイルばね55は搬送従動ローラホルダ50の本体部50aに付勢力を作用させることにより、搬送従動ローラ4を搬送駆動ローラ3に圧接させるものであり、そのコイル部55aは、軸線が搬送従動ローラ4の軸線と直交する方向に配されている。
【0041】
そしてコイル部55aから両側に延びるばね端55b、55bが、搬送従動ローラ4の軸方向と直交する方向(図3の矢印A方向)から視て略「ハ」の字形の形状をなす様に、ねじりコイルばね55が配され、前記ばね端55b、55bの先端は、搬送従動ローラ4の軸方向と直交する方向に折り曲げられている(符号55cで示す付勢力作用部)。ねじりコイルばね55は、その付勢力作用部55cがばね端保持部56a、56bに遊挿される様にして搬送従動ローラホルダ50に配され、搬送従動ローラホルダ50に付勢力を作用させるべくコイル部55aが搬送従動ローラホルダ50に近接すると、これに伴って付勢力作用部55cが、ばね端保持部56a、56b内で本体部50aに圧接しながら搬送従動ローラ4の軸方向にスライドする様になっている。
【0042】
ところで、ばね端保持部56bの側には、開口部57が形成されている。この開口部57は、ねじりコイルばね55を搬送従動ローラホルダ50に配する際の作業性を向上させる為のものである。即ち、開口部57がばね端保持部56a、56bのいずれの側にも形成されていない場合には、付勢力作用部55cをばね端保持部56a、56b内に遊挿させる作業が行いづらいが、開口部57が形成されることにより、先ず最初にばね端保持部56aの側に付勢力作用部55cを遊挿させ、そしてその後にねじりコイルばね55の取付姿勢のまま、他方の付勢力作用部55cをばね端保持部56bに遊挿させることが可能となり、これにより、ねじりコイルばね55を搬送従動ローラホルダ50に配する際の作業性が向上する様になっている。
【0043】
続いて、搬送従動ローラホルダ50のメインフレーム10(図1参照)への取り付け方法について図4を参照しながら説明する。前述した様に、メインフレーム10は平面視において略コの字形の形状をなす様に金属板材が折り曲げられることによって形成され、且つ、前記金属板材が垂直面に沿う様に設けられている。メインフレーム10において搬送従動ローラホルダ50が取り付けられる部分(下端部)は略水平に折り曲げられ(符号10aで示す部分。以下「折り曲げ部」と言う)、更にその先端部分には、搬送従動ローラ4の軸方向と直交する方向に突出する「被取付部」としての突起10bが形成されている。
【0044】
搬送従動ローラホルダ50をメインフレーム10に取り付ける際には、ねじりコイルばね55を配した状態の搬送従動ローラホルダ50を、図4の矢印方向に真っ直ぐに、即ち直線的にメインフレーム10に近接させ、そしてそのままねじりコイルばね55のコイル部55aを、突起10bに嵌合させる。尚、搬送従動ローラホルダ50の本体部50aには、本体部50aとの間で折り曲げ部10aを挟む様な形状をなす規制部52、52が形成されていて、搬送従動ローラホルダ50をメインフレーム10に取り付ける際には、規制部52、52と、本体部50aとの間で折り曲げ部10aを挟む様にする。こうすることにより、搬送従動ローラホルダ50の、上下方向の変位量が規制されることになる。
【0045】
また、本体部50aには突起53、53が形成されていて、一方でメインフレーム10の側には、折り曲げ部10aに前記突起53、53が嵌合することのできる穴10c、10cが形成されている。従って搬送従動ローラホルダ50をメインフレーム10に取り付ける際には、突起53、53を穴10c、10cに嵌合させる様にして取り付けることにより、搬送従動ローラホルダ50の桁方向位置(搬送従動ローラ4の軸方向位置)が、適切な位置に定まることになる。
【0046】
以上の様に構成された搬送従動ローラホルダ50の作用効果について説明する。先ず、上述の様に搬送従動ローラホルダ50を付勢するねじりコイルばね55のコイル部55aの軸線が、搬送従動ローラ4の軸線と略直交する方向、即ち、搬送従動ローラホルダ50を取り付けるメインフレーム10への取付方向(図4の矢印方向)に配されている。そして、メインフレーム10に形成された「被取付部」としての突起10cは、同様に搬送従動ローラ4の軸線と略直交する方向に突出する様に成されていて、これにより、ねじりコイルばね55のコイル部55aを、突起10cへほぼ真っ直ぐに嵌合させることによって搬送従動ローラホルダ50の取付作業が完了する為、搬送従動ローラホルダ50の取付作業が極めて容易となる。更に、これとは逆に搬送従動ローラホルダ50の取り外し作業も容易に行うことができることから、プリンタ100の解体作業が容易となり、リサイクル性に優れ、環境に配慮されたプリンタ100とすることが可能となる。
【0047】
また、搬送従動ローラ4と搬送駆動ローラ3とが圧接した状態で搬送従動ローラホルダ50をスライドさせる必要がないことから、搬送従動ローラ4の表面状態を悪化させず、搬送駆動ローラ3と搬送従動ローラ4とによる用紙Pの搬送精度を低下させることもない。つまり、より詳しくは、上述の通り搬送従動ローラホルダ50のメインフレーム10への取付時には、ねじりコイルばね55のコイル部50aを突起10bに直線的に嵌合させるのみで足りる為、搬送従動ローラホルダ50を搬送従動ローラ4の軸方向にスライド動作させる必要がない。
【0048】
一方、上述の通り搬送駆動ローラ3の外周面は耐摩耗性粒子を含んだ高摩擦層からなるので、搬送従動ローラ4と搬送駆動ローラ3とが圧接した状態で搬送従動ローラ4を軸方向にスライドさせると、搬送従動ローラ4の外周面の状態が悪化し、適切な搬送精度を得られなくなる虞がある。しかし、上述の通り搬送従動ローラホルダ50のメインフレーム10への取付課程においては、上述の様なスライド動作が介在しない為、搬送従動ローラ4の外周面の状態を悪化させず、以て用紙Pの搬送精度を低下させることがない。
【0049】
次に、ねじりコイルばね55のコイル部55aが、2つの搬送従動ローラ4の中間位置に配されるとともに、コイル部55aから延びる2本のばね端55bが、それぞれ2つの搬送従動ローラ4に向かって延びる様に設けられている。即ち、コイル部55aから延びる2本のばね端55bが、搬送従動ローラホルダ50の本体部50aに延びてねじりコイルばね55による付勢力の作用点を形成することにより、搬送従動ローラ4の軸線と直交する方向から視て略ハの字形の形状をなす様に設けられたことから、1つのばね端によって搬送従動ローラ4に荷重を付与する場合に比して、搬送従動ローラ4により一層均等に荷重を付与することが可能となり、従って用紙Pにスキュー(斜行)させる様な力を与えず、以て適切な搬送動作を実行することが可能となる。
【0050】
また、搬送従動ローラホルダ50はねじりコイルばね55のコイル部50aが、搬送従動ローラ4の軸方向と直交する方向に突出する突起10bに嵌合することでフレーム10に取り付けられることから、コイル部50aを中心にして、搬送従動ローラ4の軸線と搬送駆動ローラ3の軸線とのなす角度が変化する方向に揺動容易となる。従って、搬送駆動ローラ3に対する、搬送従動ローラ4の圧接力が、軸方向に均一化し易くなり、これによってより一層適切に用紙Pを搬送することが可能となる。
【0051】
尚、換言すれば、上述した本実施形態に係る搬送従動ローラホルダ55においては、図6に示した従来技術に係る搬送従動ローラホルダ500に比して、梃子の原理における力点、支点の関係がほぼ同じ場所となっている。即ち、図6に示した従来技術に係る搬送従動ローラホルダ500においては、突起508aが支点、ばね端505cと搬送従動ローラホルダ500との接触点が作用点、ばね端505bとフレーム508との接触点が力点となる。これに対し、上述した本実施形態に係る搬送従動ローラホルダ55においては、図4における突起10bが力点及び支点、付勢力作用部55c、55cと本体部50aとの接触点が作用点となる。従ってこの様な構成の単純化により、搬送従動ローラホルダ55の取付性のより一層の向上が図られている。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るプリンタの外観斜視図である。
【図2】 本発明に係るプリンタの概略側断面図である。
【図3】 本発明に係るローラ支持体の外観斜視図である。
【図4】 ローラ支持体の取付部の外観斜視図である。
【図5】 従来技術に係るローラ支持体の外観斜視図である。
【図6】 ローラ支持体の取付部の平面図である。
【符号の説明】
1 インクジェット記録ヘッド、3 搬送駆動ローラ、4 搬送従動ローラ、5 排紙駆動ローラ、6 排紙従動ローラ、9 排紙フレーム、10 メインフレーム、10a 折り曲げ部、10b 突起、10c 穴、17 プラテン、18 搬送ローラ、19 排紙ローラ、50 搬送従動ローラホルダ、50a 本体部、51 リブ、52 規制部、53 突起、54 ローラ軸支部、55 ねじりコイルばね、55a コイル部、55b ばね端、55c 付勢力作用部、56a、56b ばね端保持部、57 開口部、90 給紙装置、100 インクジェットプリンタ、P 印刷用紙
Claims (5)
- 回動駆動される駆動ローラに接して従動回動する従動ローラを回転可能に軸支するローラ軸支部を有するとともに、被取付部と前記ローラ軸支部との間で付勢力を発揮するねじりコイルばねの前記付勢力により、前記従動ローラを前記駆動ローラに圧接させるローラ支持体であって、
前記ねじりコイルばねのコイル部の軸線が、前記従動ローラの軸線と略直交する方向となる様に配されるとともに、前記従動ローラの軸線と略直交する方向に突出する突起部によって成された前記被取付部に、前記コイル部を嵌合させることで取り付けられている、
ことを特徴とするローラ支持体。 - 請求項1において、軸線を同じくする2つの前記従動ローラを有し、
前記ねじりコイルばねのコイル部が、前記2つの従動ローラの中間位置に配されるとともに、前記コイル部から延びる2つのばね端が、それぞれ2つの前記従動ローラに向かって延びる様に設けられている、
ことを特徴とするローラ支持体。 - 回動駆動される駆動ローラに接して従動回動する従動ローラを回転可能に軸支するローラ軸支部を有するとともに、被取付部と前記ローラ軸支部との間で付勢力を発揮するねじりコイルばねの前記付勢力により、前記従動ローラを前記駆動ローラに圧接させるローラ支持体であって、
前記ねじりコイルばねのコイル部の軸線が、前記従動ローラの軸線と略直交する方向となる様に配され、
前記被取付部が、前記従動ローラの軸線と略直交する方向に突出する突起部によって成され、
前記コイル部が前記被取付部に嵌合し、且つ、前記コイル部から延びる2つのばね端が前記ローラ支持体に延びて前記ねじりコイルばねによる付勢力の作用点を形成することにより、前記従動ローラ及び前記駆動ローラの軸線と直交する方向から視て前記ねじりコイルばねが略ハの字形の形状をなす様に設けられている、
ことを特徴とするローラ支持体。 - 被記録材に記録を行う記録部と、
前記記録部に被記録材を搬送する、駆動ローラ及び該駆動ローラに接して従動回動する従動ローラによって構成された搬送ローラと、
前記記録部によって記録の行われた被記録材を排出する被記録材排出手段と、を備えた記録装置であって、
前記従動ローラが、請求項1から3のいずれか1項に記載された前記ローラ支持体によって支持されている、
ことを特徴とする記録装置。 - 被噴射媒体に液体を噴射する液体噴射ヘッドと、
前記液体噴射ヘッドに被噴射媒体を搬送する、駆動ローラ及び該駆動ローラに接して従動回動する従動ローラによって構成された搬送ローラと、
前記液体噴射ヘッドによって液体噴射の行われた被噴射媒体を排出する被噴射媒体排出手段と、を備えた液体噴射装置であって、
前記従動ローラが、該従動ローラを軸支するローラ軸支部を有するとともに、被取付部と前記ローラ軸支部との間で付勢力を発揮するねじりコイルばねの前記付勢力により、前記従動ローラを前記駆動ローラに圧接させるローラ支持体により軸支され、
前記ねじりコイルばねのコイル部の軸線が、前記従動ローラの軸線と略直交する方向となる様に配されるとともに、前記従動ローラの軸線と略直交する方向に突出する突起部によって成された前記被取付部に、前記コイル部を直線的に嵌合させることで取り付けられている、
ことを特徴とする液体噴射装置。
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