JP4006540B2 - 石英ガラス発泡構造体及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【０００１】
【産業上の利用分野】
本発明は、石英ガラス発泡構造体およびその製造方法に関する。さらに詳しくは、表面に開口泡のない透明で均一な硬質層を有し、構造的機械強度が高い上にパーティクルの発生がない石英ガラス発泡構造体およびその製造方法に関する。
【０００２】
【従来技術】
従来、石英ガラス発泡体は、軽量で、断熱性、耐薬品性に優れ、かつ低熱膨張性であるところから炉の保温断熱構造材や軽量反射鏡の基体等に幅広く使用されてきた。ところが、前記石英ガラス発泡体は、石英ガラスに比べ構造的機械強度が劣り、特に発泡体表面が非常に脆弱で、半導体ウエハーの熱処理炉の保存断熱材等に使用したとき、発泡体表面から研削時に生じたパーティクルが脱落し、半導体ウエハーに付着する等の問題があった。また発泡体の研削加工時に開口する開放泡（開口泡）に研削液や研削後の酸洗浄時の酸が付着し、それが半導体ウエハーの熱処理時に拡散して半導体ウエハーを汚染するなどの問題もあった。そのため、発泡体表面をバーナー等で焼き仕上げし、表面に開放泡のない構造体が提案されたが、発泡体表面をバーナーで焼いただけでは均一な０．５ｍｍ以上の硬質層を形成することが困難で、構造的機械強度に劣る欠点があった。そこで、シリカ多孔質体を耐熱製容器に入れ、その上下左右に板状シリカガラス焼結体及び／又は硬質シリカガラスを当接し、それを１４００〜１８００℃で加熱一体化したシリカ保温断熱材が特公平６−９４３８０号公報で提案された。しかしながら前記公報記載のシリカ保温断熱材は、その製造工程が複雑でコスト高となり高価であるという欠点があった。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
こうした現状に鑑み本発明者等は鋭意研究を続けた結果、石英ガラス発泡体を特定の温度の耐熱性部材に特定の圧力で押しあてることで、表面に開口泡がなく透明で均一な厚さの硬質層を有し、構造的機械強度が高い上にパーティクルの発生がない石英ガラス発泡構造体が得られることを見出し、本発明を完成したものである。すなわち、
【０００４】
本発明は、軽量で、断熱性、耐薬品性に優れ、かつ表面に開口泡のない透明で均一な厚さの硬質層を有し、構造的機械強度が高い上にパーティクルの発生がない石英ガラス発泡構造体を提供することを目的とする。
【０００５】
また、本発明は、上記石英ガラス発泡構造体の製造方法を提供することを目的とする。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明は、開口泡がない透明な硬質層と石英ガラス発泡体層とで構成された石英ガラス発泡構造体において、前記硬質層が０．５〜３ｍｍの均一な厚さを有し、かつ前記発泡体層の表面に一体融合的に形成されたガラス層であることを特徴とする石英ガラス発泡構造体及びその製造方法に係る。
【０００７】
本発明の石英ガラス発泡構造体は、０．５〜３ｍｍの厚さが均一な硬質層が発泡層の上に積層した構造体である。そのため、軽量で、断熱性や耐薬品性に優れるとともに、構造的機械強度が高く、研削処理によってもパーティクルの発生がなく、しかも表面に開口泡がないところから処理液の残留による汚染の問題が起らない発泡構造体である。前記「硬質層」とは、開口泡がなく、透明なガラスからなる層をいう。特に本発明の石英ガラス発泡構造体本発明の石英ガラス発泡構造体を半導体用部材として使用する場合には金属不純物含有量を１００ｐｐｍ以下、ＯＨ基濃度を３００ｐｐｍ以下にするのがよい。前記金属不純物としては、Ｎａ、Ｋなどのアルカリ金属元素、Ｃａ、Ａｌなどのアルカリ土類元素、Ｃｅ、Ｎｉ、Ｃｏ、Ｃｒ、Ｆｅ、Ｃｕなどの遷移金属元素が挙げられるが、これらの金属不純物の含有量が１００ｐｐｍを超えると、半導体ウエハーの処理時に金属不純物による汚染が起る。また、ＯＨ基濃度が３００ｐｐｍを超えると半導体の熱処理温度である１０００℃以上の温度で熱変形が起る。
【０００８】
本発明の石英ガラス発泡構造体は、石英ガラス発泡体を耐熱性部材に０．５〜１００ｇ／ｃｍ2の圧力で押しあて、１３００〜１９００℃の温度に加熱して石英ガラス発泡体の表面に０．５〜３ｍｍの均一な厚さを有し、かつ開口泡がない透明なガラスからなる硬質層を形成することで製造される。前記製造方法で得られた石英ガラス発泡構造体を図１（ａ）に、また原材料の石英ガラス発泡体を図１（ｂ）に示す。図１において、１は硬質層、２は発泡体、３は開口泡。４は気泡を示す。前記石英ガラス発泡体としては見掛け密度０．３〜１．４ｇ／ｃｍ3の石英ガラス発泡体がよくその製造方法が特に限定されるものではないが、好ましくは非晶質シリカをアンモニア雰囲気中で８００〜１３００℃に加熱し、それを１４００〜１９００℃で加熱発泡させて得た石英ガラス発泡体、前記加熱発泡時に雰囲気を大気圧に維持し見掛け密度を１〜１．４ｇ／ｃｍ3の発泡体を形成し、減圧下で徐々に気泡径を増大させる製造方法で得た石英ガラス発泡体などがよい。特に後者の製造方法で得られ石英ガラス発泡体は独立気泡が均一に分散する上に、気泡径も均一で好ましい。見掛け密度が０．３ｇ／ｃｍ3未満では硬質層がバラツキ、かつ機械的強度が低くなり好ましくなく、また見掛け密度が１．４ｇ／ｃｍ3を超えると保温断熱性が低下し、遮熱あるいは赤外線散乱材としての効果が少ない。
【０００９】
上記耐熱性部材としては、高純度の黒鉛製又はグラファイト製容器、板体又はシートなどが挙げられる。前記耐熱性部材の純度は総灰分が１０ｐｐｍ以下がよい。本発明の製造方法にあっては上述のとおり前記耐熱性部材に石英ガラス発泡体を押し当てて製造するが、その押し当て圧力は０．５〜１００ｇ／ｃｍ2の範囲で選ばれる。圧力が０．５ｇ／ｃｍ2未満では厚い均一な硬質層の形成が困難であり、また圧力が１００ｇ／ｃｍ2を超えると製造装置が高価である上に加圧効果も変わらない。前記加圧時の雰囲気としては大気圧の不活性雰囲気または減圧が採用される。本発明の製造方法での面精度は、発泡体表面に接する耐熱性部材の表面状態（表面粗さ）に依存する。硬質層表面の面精度が必要な場合、発泡体と接触する耐熱性部材の表面粗さを小さくすればよく、好ましくは、一例として中心線平均粗さ（Ｒa）が２５μｍ以下がよい。
【００１０】
【発明の実施の態様】
次に具体例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はそれにより限定されるものではない。
【００１１】
【実施例】
実施例１
四塩化珪素を散水素火炎中で加水分解するＣＶＤ法により、ターゲット上に非晶質シリカ母材を製造した。前記非晶質シリカ母材をターゲットから抜き取り粉砕してフレーク状石英ガラス粉にし、それを石英ガラス容器（内径３００ｍｍ×深さ３００ｍｍ）の中に入れ、アンモニアガスを窒素ガス０．５Ｎｍ3／ｈをキャリアガスとして、０．２Ｎｍ3／ｈ流しながら電気炉で８５０℃で５時間加熱保持した。ついで、アンモニア化した石英ガラス粉を石英ガラス容器から取り出し、内径３００ｍｍ、深さ３００ｍｍの黒鉛製容器に移し、窒素がスで置換した大気圧雰囲気中で１７５０℃で６０分加熱保持して独立気泡の石英ガラス発泡体を製造した。得られた石英ガラス発泡体を研削加工し、図１（ｂ）に示すような開口泡を有する直径２００ｍｍ、高さ１００ｍｍ、見掛け密度１．０ｇ／ｃｍ3の円柱状石英ガラス発泡体とした。それを内径２００ｍｍ、高さ１５０ｍｍの黒鉛製容器に移し、発泡体の上に黒鉛製蓋を載置し、その上に重しをおいて１０ｇ／ｃｍ2の圧力を掛け、窒素がスで置換した大気圧雰囲気で１７５０℃で３０分間加熱保持し、図１（ａ）に示す石英ガラス発泡構造体を製造した。前記図１（ａ）の発泡構造体の硬質層（１）の断面を観察したところ、開口泡がなく透明で、厚さが２ｍｍの均一なガラス層であった。この石英ガラス発泡構造体を１０％フッ酸で３０分間洗浄し、それを水洗したところ、前記フッ酸洗浄液は容易に除去できた。また、円柱状石英ガラス発泡構造体の表面に軽く触れてもパーティクルの脱落はなかった。
【００１２】
実施例２
実施例１と同様な製造方法で見掛け密度０．４ｇ／ｃｍ3の円柱状石英ガラス発泡体を製造した。該円柱状石英ガラス発泡体を内径２００ｍｍ、高さ１５０ｍｍの黒鉛製容器に移し、発泡体の上に黒鉛製蓋を載置し、その上に重しをおいて１０ｇ／ｃｍ2の圧力を掛け、真空下で１７００℃で３０分間加熱保持した。得られた石英ガラス発泡構造体の硬質層の断面を観察したところ、開口泡のない透明で、厚さが０．８ｍｍの均一なガラス層であった。前記石英ガラス発泡構造体を１０％フッ酸で３０分間洗浄し、それを水洗したところ、前記フッ酸洗浄液は容易に除去することとができた。また、円柱状石英ガラス発泡構造体の表面に軽く触れてもパーティクルの脱落がなかった。
【００１３】
比較例１
実施例１と同様な製造方法で見掛け密度０．４ｇ／ｃｍ3の円柱状石英ガラス発泡体を製造した。該円柱状石英ガラス発泡体の表面をバーナーで焼き仕上げし、その表面に硬質層を形成した図２に示す石英ガラス発泡構造体を得た。該石英ガラス発泡構造体の断面を切断し硬質層を観察したところ、硬質層の厚さにバラツキがある上に、硬質層が形成されていない部分もあった。前記石英ガラス発泡構造体を１０％フッ酸で３０分間洗浄し、それを水洗したところ、前記フッ酸洗浄液の除去は容易でなく、しかもパーティクルが容易に脱落した。
【００１４】
【発明の効果】
本発明の石英ガラス発泡構造体は、発泡体の表面部に均一な厚さを有し、開口泡がなく、透明な硬質層が形成されているところから、遮熱性、赤外線散乱性に優れていいる上に、機械的強度も高い。しかも容易に高純度化が果たせるところから、半導体処理用部材として有用である。前記石英ガラス発泡構造体は、石英ガラス発泡体を特定の温度の耐熱性部材に加圧下で押し当てることで簡単に製造できその工業的価値が高いものがある。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の石英ガラス発泡構造体を示す。（ａ）は硬質層を有する石英ガラス発泡構造体の、また（ｂ）は研削加工後の開口泡を有する石英ガラス発泡体の断面図を示す。
【図２】バーナーで焼き仕上した石英ガラス発泡構造体の断面図を示す。
【符号の説明】
１：硬質層
２：発泡体
３：開口泡
４：気泡
ｔ：硬質層の厚さ
【産業上の利用分野】
本発明は、石英ガラス発泡構造体およびその製造方法に関する。さらに詳しくは、表面に開口泡のない透明で均一な硬質層を有し、構造的機械強度が高い上にパーティクルの発生がない石英ガラス発泡構造体およびその製造方法に関する。
【０００２】
【従来技術】
従来、石英ガラス発泡体は、軽量で、断熱性、耐薬品性に優れ、かつ低熱膨張性であるところから炉の保温断熱構造材や軽量反射鏡の基体等に幅広く使用されてきた。ところが、前記石英ガラス発泡体は、石英ガラスに比べ構造的機械強度が劣り、特に発泡体表面が非常に脆弱で、半導体ウエハーの熱処理炉の保存断熱材等に使用したとき、発泡体表面から研削時に生じたパーティクルが脱落し、半導体ウエハーに付着する等の問題があった。また発泡体の研削加工時に開口する開放泡（開口泡）に研削液や研削後の酸洗浄時の酸が付着し、それが半導体ウエハーの熱処理時に拡散して半導体ウエハーを汚染するなどの問題もあった。そのため、発泡体表面をバーナー等で焼き仕上げし、表面に開放泡のない構造体が提案されたが、発泡体表面をバーナーで焼いただけでは均一な０．５ｍｍ以上の硬質層を形成することが困難で、構造的機械強度に劣る欠点があった。そこで、シリカ多孔質体を耐熱製容器に入れ、その上下左右に板状シリカガラス焼結体及び／又は硬質シリカガラスを当接し、それを１４００〜１８００℃で加熱一体化したシリカ保温断熱材が特公平６−９４３８０号公報で提案された。しかしながら前記公報記載のシリカ保温断熱材は、その製造工程が複雑でコスト高となり高価であるという欠点があった。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
こうした現状に鑑み本発明者等は鋭意研究を続けた結果、石英ガラス発泡体を特定の温度の耐熱性部材に特定の圧力で押しあてることで、表面に開口泡がなく透明で均一な厚さの硬質層を有し、構造的機械強度が高い上にパーティクルの発生がない石英ガラス発泡構造体が得られることを見出し、本発明を完成したものである。すなわち、
【０００４】
本発明は、軽量で、断熱性、耐薬品性に優れ、かつ表面に開口泡のない透明で均一な厚さの硬質層を有し、構造的機械強度が高い上にパーティクルの発生がない石英ガラス発泡構造体を提供することを目的とする。
【０００５】
また、本発明は、上記石英ガラス発泡構造体の製造方法を提供することを目的とする。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明は、開口泡がない透明な硬質層と石英ガラス発泡体層とで構成された石英ガラス発泡構造体において、前記硬質層が０．５〜３ｍｍの均一な厚さを有し、かつ前記発泡体層の表面に一体融合的に形成されたガラス層であることを特徴とする石英ガラス発泡構造体及びその製造方法に係る。
【０００７】
本発明の石英ガラス発泡構造体は、０．５〜３ｍｍの厚さが均一な硬質層が発泡層の上に積層した構造体である。そのため、軽量で、断熱性や耐薬品性に優れるとともに、構造的機械強度が高く、研削処理によってもパーティクルの発生がなく、しかも表面に開口泡がないところから処理液の残留による汚染の問題が起らない発泡構造体である。前記「硬質層」とは、開口泡がなく、透明なガラスからなる層をいう。特に本発明の石英ガラス発泡構造体本発明の石英ガラス発泡構造体を半導体用部材として使用する場合には金属不純物含有量を１００ｐｐｍ以下、ＯＨ基濃度を３００ｐｐｍ以下にするのがよい。前記金属不純物としては、Ｎａ、Ｋなどのアルカリ金属元素、Ｃａ、Ａｌなどのアルカリ土類元素、Ｃｅ、Ｎｉ、Ｃｏ、Ｃｒ、Ｆｅ、Ｃｕなどの遷移金属元素が挙げられるが、これらの金属不純物の含有量が１００ｐｐｍを超えると、半導体ウエハーの処理時に金属不純物による汚染が起る。また、ＯＨ基濃度が３００ｐｐｍを超えると半導体の熱処理温度である１０００℃以上の温度で熱変形が起る。
【０００８】
本発明の石英ガラス発泡構造体は、石英ガラス発泡体を耐熱性部材に０．５〜１００ｇ／ｃｍ2の圧力で押しあて、１３００〜１９００℃の温度に加熱して石英ガラス発泡体の表面に０．５〜３ｍｍの均一な厚さを有し、かつ開口泡がない透明なガラスからなる硬質層を形成することで製造される。前記製造方法で得られた石英ガラス発泡構造体を図１（ａ）に、また原材料の石英ガラス発泡体を図１（ｂ）に示す。図１において、１は硬質層、２は発泡体、３は開口泡。４は気泡を示す。前記石英ガラス発泡体としては見掛け密度０．３〜１．４ｇ／ｃｍ3の石英ガラス発泡体がよくその製造方法が特に限定されるものではないが、好ましくは非晶質シリカをアンモニア雰囲気中で８００〜１３００℃に加熱し、それを１４００〜１９００℃で加熱発泡させて得た石英ガラス発泡体、前記加熱発泡時に雰囲気を大気圧に維持し見掛け密度を１〜１．４ｇ／ｃｍ3の発泡体を形成し、減圧下で徐々に気泡径を増大させる製造方法で得た石英ガラス発泡体などがよい。特に後者の製造方法で得られ石英ガラス発泡体は独立気泡が均一に分散する上に、気泡径も均一で好ましい。見掛け密度が０．３ｇ／ｃｍ3未満では硬質層がバラツキ、かつ機械的強度が低くなり好ましくなく、また見掛け密度が１．４ｇ／ｃｍ3を超えると保温断熱性が低下し、遮熱あるいは赤外線散乱材としての効果が少ない。
【０００９】
上記耐熱性部材としては、高純度の黒鉛製又はグラファイト製容器、板体又はシートなどが挙げられる。前記耐熱性部材の純度は総灰分が１０ｐｐｍ以下がよい。本発明の製造方法にあっては上述のとおり前記耐熱性部材に石英ガラス発泡体を押し当てて製造するが、その押し当て圧力は０．５〜１００ｇ／ｃｍ2の範囲で選ばれる。圧力が０．５ｇ／ｃｍ2未満では厚い均一な硬質層の形成が困難であり、また圧力が１００ｇ／ｃｍ2を超えると製造装置が高価である上に加圧効果も変わらない。前記加圧時の雰囲気としては大気圧の不活性雰囲気または減圧が採用される。本発明の製造方法での面精度は、発泡体表面に接する耐熱性部材の表面状態（表面粗さ）に依存する。硬質層表面の面精度が必要な場合、発泡体と接触する耐熱性部材の表面粗さを小さくすればよく、好ましくは、一例として中心線平均粗さ（Ｒa）が２５μｍ以下がよい。
【００１０】
【発明の実施の態様】
次に具体例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はそれにより限定されるものではない。
【００１１】
【実施例】
実施例１
四塩化珪素を散水素火炎中で加水分解するＣＶＤ法により、ターゲット上に非晶質シリカ母材を製造した。前記非晶質シリカ母材をターゲットから抜き取り粉砕してフレーク状石英ガラス粉にし、それを石英ガラス容器（内径３００ｍｍ×深さ３００ｍｍ）の中に入れ、アンモニアガスを窒素ガス０．５Ｎｍ3／ｈをキャリアガスとして、０．２Ｎｍ3／ｈ流しながら電気炉で８５０℃で５時間加熱保持した。ついで、アンモニア化した石英ガラス粉を石英ガラス容器から取り出し、内径３００ｍｍ、深さ３００ｍｍの黒鉛製容器に移し、窒素がスで置換した大気圧雰囲気中で１７５０℃で６０分加熱保持して独立気泡の石英ガラス発泡体を製造した。得られた石英ガラス発泡体を研削加工し、図１（ｂ）に示すような開口泡を有する直径２００ｍｍ、高さ１００ｍｍ、見掛け密度１．０ｇ／ｃｍ3の円柱状石英ガラス発泡体とした。それを内径２００ｍｍ、高さ１５０ｍｍの黒鉛製容器に移し、発泡体の上に黒鉛製蓋を載置し、その上に重しをおいて１０ｇ／ｃｍ2の圧力を掛け、窒素がスで置換した大気圧雰囲気で１７５０℃で３０分間加熱保持し、図１（ａ）に示す石英ガラス発泡構造体を製造した。前記図１（ａ）の発泡構造体の硬質層（１）の断面を観察したところ、開口泡がなく透明で、厚さが２ｍｍの均一なガラス層であった。この石英ガラス発泡構造体を１０％フッ酸で３０分間洗浄し、それを水洗したところ、前記フッ酸洗浄液は容易に除去できた。また、円柱状石英ガラス発泡構造体の表面に軽く触れてもパーティクルの脱落はなかった。
【００１２】
実施例２
実施例１と同様な製造方法で見掛け密度０．４ｇ／ｃｍ3の円柱状石英ガラス発泡体を製造した。該円柱状石英ガラス発泡体を内径２００ｍｍ、高さ１５０ｍｍの黒鉛製容器に移し、発泡体の上に黒鉛製蓋を載置し、その上に重しをおいて１０ｇ／ｃｍ2の圧力を掛け、真空下で１７００℃で３０分間加熱保持した。得られた石英ガラス発泡構造体の硬質層の断面を観察したところ、開口泡のない透明で、厚さが０．８ｍｍの均一なガラス層であった。前記石英ガラス発泡構造体を１０％フッ酸で３０分間洗浄し、それを水洗したところ、前記フッ酸洗浄液は容易に除去することとができた。また、円柱状石英ガラス発泡構造体の表面に軽く触れてもパーティクルの脱落がなかった。
【００１３】
比較例１
実施例１と同様な製造方法で見掛け密度０．４ｇ／ｃｍ3の円柱状石英ガラス発泡体を製造した。該円柱状石英ガラス発泡体の表面をバーナーで焼き仕上げし、その表面に硬質層を形成した図２に示す石英ガラス発泡構造体を得た。該石英ガラス発泡構造体の断面を切断し硬質層を観察したところ、硬質層の厚さにバラツキがある上に、硬質層が形成されていない部分もあった。前記石英ガラス発泡構造体を１０％フッ酸で３０分間洗浄し、それを水洗したところ、前記フッ酸洗浄液の除去は容易でなく、しかもパーティクルが容易に脱落した。
【００１４】
【発明の効果】
本発明の石英ガラス発泡構造体は、発泡体の表面部に均一な厚さを有し、開口泡がなく、透明な硬質層が形成されているところから、遮熱性、赤外線散乱性に優れていいる上に、機械的強度も高い。しかも容易に高純度化が果たせるところから、半導体処理用部材として有用である。前記石英ガラス発泡構造体は、石英ガラス発泡体を特定の温度の耐熱性部材に加圧下で押し当てることで簡単に製造できその工業的価値が高いものがある。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の石英ガラス発泡構造体を示す。（ａ）は硬質層を有する石英ガラス発泡構造体の、また（ｂ）は研削加工後の開口泡を有する石英ガラス発泡体の断面図を示す。
【図２】バーナーで焼き仕上した石英ガラス発泡構造体の断面図を示す。
【符号の説明】
１：硬質層
２：発泡体
３：開口泡
４：気泡
ｔ：硬質層の厚さ
Claims (3)
- 高純度のカーボン製又はグラファイト製耐熱性部材に石英ガラス発泡体の表面を０．５〜１００ｇ／ｃｍ２の圧力で押し当てるとともに１３００〜１９００℃の温度に加熱することを特徴とする透明な硬質層と石英ガラス発泡体層とで構成される石英ガラス発泡構造体の製造方法。
- 耐熱性部材が容器、板体又はシートのいずれかである請求項１記載の透明な硬質層と石英ガラス発泡体層とで構成される石英ガラス発泡構造体の製造方法。
- 石英ガラス発泡体の見掛け密度が０．３〜１．４ｇ／ｃｍ３のであることを特徴とする請求項１記載の透明な硬質層と石英ガラス発泡体層とで構成される石英ガラス発泡構造体の製造方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP09678297A JP4006540B2 (ja) | 1997-03-31 | 1997-03-31 | 石英ガラス発泡構造体及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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| JP09678297A JP4006540B2 (ja) | 1997-03-31 | 1997-03-31 | 石英ガラス発泡構造体及びその製造方法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH10279325A JPH10279325A (ja) | 1998-10-20 |
| JP4006540B2 true JP4006540B2 (ja) | 2007-11-14 |
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ID=14174215
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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| JP09678297A Expired - Fee Related JP4006540B2 (ja) | 1997-03-31 | 1997-03-31 | 石英ガラス発泡構造体及びその製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP4006540B2 (ja) |
-
1997
- 1997-03-31 JP JP09678297A patent/JP4006540B2/ja not_active Expired - Fee Related
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| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPH10279325A (ja) | 1998-10-20 |
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Legal Events
| Date | Code | Title | Description |
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