JP4004730B2 - 車両用防音材の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、ダッシュパネルやフロアパネルに装着されるインシュレータダッシュ、フロアカーペット等に好適な車両用防音材の製造方法に係り、特に、廉価で吸音性能に優れるセルロース系解繊物、粉砕物をベースとしたセルロース系成分からのホコリ発生を確実に防止でき、作業環境並びに車室内の環境を良好に維持できる車両用防音材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
通常、車両には、走行時における静粛性を確保するために、各種防音材が設置されている。例えば、図9に示すように、エンジンルームEと車室Rとを区画するダッシュパネル1aの室内側には、インシュレータダッシュ1が装着されているとともに、車室R内のフロアパネル2aの室内面にフロアカーペット2が敷設されている。
【0003】
また、エンジンルームE内には、ダッシュパネル1aの室内側に取り付けられるダッシュフロントインシュレータ3やフードパネル4aの室内側に取り付けられるフードインシュレータ4等が設置され、エンジンルームE内の音圧低下を図るとともに、ルーフパネル5aの室内面には、ルーフトリム5が装着されている。尚、図示はしないが、トランクルームやラゲージルーム内にはトランクトリム、ラゲージトリム、ホイールハウストリム等の防音性を有する内装材が設置されている。
【0004】
このように、車室RやエンジンルームE、あるいはトランクルーム、ラゲージルーム内には各種防音材が設置されているが、その代表的なものとして、ダッシュパネル1aの室内面に装着されるインシュレータダッシュ1の構成について図10を基に説明する。このインシュレータダッシュ1としては、吸音・遮音性能を有する防音性基材6の表面側に遮音材7を一体化した二層構造のものが従来から知られている。
【0005】
そして、遮音材7は、高密度の再生ゴムシートや再生塩ビシート等、重量の嵩むシート材料が使用されている。一方、防音性基材6の素材としては、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETという)等のポリエステル繊維やその他の合成繊維をベースとして、低融点の熱融着性繊維や熱可塑性樹脂パウダー等の樹脂バインダを添加して、ニードリング加工や熱風をかけながらプレス加工を行なうことにより不織布マットを作製し、この不織布マットを加熱軟化処理後、コールドプレス成形することによりダッシュパネル1aの形状に合わせて防音性基材6を成形している。
【0006】
また、別の従来例としては、反毛(毛を原料とする製品のぼろや屑のもつれを解きほぐして回収した羊毛、再生毛)を主繊維とし、これにバインダを添加して成形性を付与したフエルトを使用することもあり、このフエルトは、同様に加熱軟化処理後、所要形状にコールドプレス成形することにより防音性基材6を成形している。
【0007】
更に、型内にウレタン樹脂液を注入後、発泡成形により得られるウレタン発泡成形体を防音性基材6として使用する場合もある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
このように、上述したインシュレータダッシュ1の吸音性基材6では、例えば、PETなどの合成繊維をベースとした場合、合成繊維が高価であるため、製品コストの高騰化に繋がり、しかも、製品の剛性や反発力を調整する場合は、バインダの配合比を増大させる方法でしか対応できず、バインダが高価なため、このこともコストアップを招く大きな要因となっている。
【0009】
一方、フエルトを使用した場合、反毛は繊維が太いため、吸音性能の低下、並びに製品の重量化を招くという不具合があった。更に、ウレタン発泡体を使用した場合、コストダウンは期待できるものの焼却の際、有害な窒素酸化物が発生するためリサイクル面で不利であるという問題点があった。
【0010】
この発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、インシュレータダッシュやフロアカーペット、フードインシュレータ等、広範囲に適用できる車両用防音材の製造方法であって、コストが廉価にもかかわらず、吸音・遮音性能を良好に維持でき、外部にホコリ成分が飛散することなくリサイクルにも好適なセルロース系基材を成形できる車両用防音材の製造方法を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、この出願の請求項1に記載の発明は、セルロース系解繊物又は粉砕物をベースとした吸音・遮音成分と、該吸音・遮音成分を結合させる樹脂バインダとを混綿工程で混合した後、マット形成工程によりセルロース系原反マットを作製するセルロース系原反マットの作製段階、あるいはセルロース系原反マットの作製後、このセルロース系原反マットの表裏面の少なくとも一方面に、ホコリ成分が外部に飛散するのを防止するために、ホコリ成分を固定できるバリア機能をもつ不織布をラミネートし、加熱軟化処理後、プレス成形によりセルロース系基材を所要形状に成形することを特徴とする。
【0012】
防音材としては、車室内に設けられるインシュレータダッシュ、フロアカーペット、ルーフトリム等の基材に適用でき、エンジンルーム内のダッシュフロントインシュレータ、フードインシュレータ、またトランクルーム内のトランクルームトリム等の基材として適用できる。
【0013】
ここで、吸音・遮音成分は、多孔質による吸音性能が得られるとともに、それ自体の剛性並びに重量により遮音性能が期待できる等、遮音性能と吸音性能の両者を発揮することができるという意味である。
【0014】
そして、上記吸音・遮音成分として、セルロースからなる天然繊維、再生材、リサイクル材を使用し、例えば、純パルプ、再生セルロース、古紙(古新聞、古雑誌、段ボール等)を解繊、あるいは粉砕することによって得られる解繊物、あるいは粉砕物を使用する。
【0015】
次いで、吸音・遮音成分を結合させる樹脂バインダは、低融点PET等の熱融着性繊維やPE(ポリエチレン)樹脂等の樹脂パウダー、あるいは反応性接着剤(例えば、ウレタン樹脂系接着剤)等が使用できる。
【0016】
上記吸音・遮音成分と樹脂バインダとを混合する際の配合比は、吸音・遮音成分/樹脂バインダ=90:10〜20:80の間に設定する。そして、用途により、ソフト感や吸音性能が要求されるときは吸音・遮音成分リッチに配合比を調整し、逆に剛性や遮音性能が要求されるときは樹脂バインダリッチに配合比を調整する。
【0017】
更に、吸音・遮音成分に高融点合成繊維を添加しても良く、高融点合成繊維としては、PET、PP、PE、PA(ポリアミド樹脂)等で、繊維径が0.2〜30デニールで繊維長さは2〜80mm、好ましくは10〜64mmのものが好ましい。
【0018】
そして、セルロース系原反マットに積層ラミネートされる目の細かい不織布としては、例えば、PET、PP、PE等の合成繊維不織布や、あるいはパルプなど天然繊維からなるペーパー状の不織布で面密度が10〜200g/mの範囲とし、20〜100g/m程度のものが好ましい。
【0019】
セルロース系原反マットと不織布とのラミネート時期としては、セルロース系混合材料をマット状に堆積した後、熱風加熱炉での加熱工程の前後いずれで行なっても良く、また、セルロース系原反マット作製後、加熱軟化処理前に行なっても良い。
【0020】
そして、請求項1に記載の発明によれば、セルロース等の天然繊維、再生材、リサイクル材を主繊維として採用し、繊維径が細いものを選択的に使用すれば吸音性能を高めることができるとともに、繊維状の解繊物、あるいは粉砕物を吸音・遮音成分としたため、表面積が大きく、吸音・遮音性能を高めることができ、しかも、樹脂バインダとの絡まりが強化され、剛性や強度を高めることができる。
【0021】
加えて、セルロース系原反マットの表裏面の少なくとも一方面に目の細かい不織布が積層ラミネートされているため、セルロース系原反マットを熱風加熱処理する際、風及び熱風が排出される側にこの目の細かい不織布を設定すれば、セルロース系原反マット内のホコリ成分が不織布に食い止められ、加熱炉内に飛散するのを防止できる。
【0022】
また、セルロース系原反マットの一面に目の細かい不織布がラミネートされ、この不織布により所要形状に成形されたセルロース系基材から車室内にホコリ成分が飛散するのを防止できる。
【0023】
更に、セルロース系原反マット中のバインダ成分が少ない場合には、ホコリ成分が非常に発生し易いため、セルロース系原反マットの両面に目の細かい不織布を設定すれば、ホコリ成分の外部への飛散防止により効果がある。
【0024】
次に、本願発明の好ましい実施の形態においては、セルロース系原反マットと不織布とのラミネートは、セルロース系原反マット中の樹脂バインダの融着作用により、セルロース系原反マットと不織布が接着一体化することを特徴とする。
【0025】
そして、上記実施の形態によれば、セルロース系原反マット中の樹脂バインダの融着性を利用して、セルロース系原反マットの一面に目の細かい不織布を重ねた状態で熱風加熱や水蒸気加熱をするだけで、このバインダ成分により両者が接着されるため、ラミネートのための接着剤を廃止あるいは削減できる。
【0026】
また、本願発明の好ましい実施の形態においては、セルロース系原反マットと不織布とのラミネートは、接着剤により行なうことを特徴とする。
【0027】
ここで、セルロース系原反マット中の樹脂バインダの配合量が少ない場合には、セルロース系原反マットと目の細かい不織布は、接着剤を介して接着固定される。
【0028】
接着剤としては、樹脂パウダー、パウダー状・ペレット状・チップ状・網目状・くもの巣状ホットメルト系接着剤、液状ホットメルトを糸状にしてランダム、あるいは網目状に塗布する。また、合成接着剤、あるいは天然物質由来の接着剤、例えば、澱粉、ゼラチン、ロジン等が使用できる。
【0029】
そして、上記実施の形態によれば、セルロース系原反マットと不織布は接着剤を介して固定されるが、接着剤はセルロース系原反マットに不織布を接着させる機能の他に、セルロース系原反マット表面のホコリ成分を固定する機能をもつため、ホコリ成分が外部に飛散することをより確実に防止できる。
【0030】
次に、本発明の好ましい実施の形態においては、セルロース系原反マットと不織布とのラミネートは、双方をニードルパンチング加工により行なうことを特徴とする。
【0031】
そして、上記実施の形態によれば、セルロース系原反マットと不織布はニードルパンチング加工により一体化されるため、接着剤を使用することなく両者を一体化できる。
【0032】
この出願の請求項2に記載の発明は、セルロース系原反マットと不織布とのラミネートは、セルロース系原反マットに水を噴霧、あるいは塗布した際生じるセルロースの粘着性により両者を接着固定することを特徴とする。
【0033】
そして、請求項2に記載の発明によれば、セルロース系原反マットの表面に水を噴霧、あるいは塗布した際、セルロースの粘着性により不織布を貼付できるが、その際、セルロース系原反マット表面のホコリ成分も同時に固定することができる。
【0034】
この出願の請求項3に記載の発明は、セルロース系解繊物又は粉砕物をベースとした吸音・遮音成分と、該吸音・遮音成分を結合させる樹脂バインダとを混綿工程により混合した後、マット形成工程により作製されるセルロース系原反マットの表裏面の少なくとも一方面に水又は溶液、薬剤等を噴霧又は塗布して、ホコリ成分を固定した後、加熱軟化処理を行ない、セルロース系原反マットを所要形状にプレス成形することにより、所要形状にセルロース系基材を成形することを特徴とする。
【0035】
ここで、水又は溶液、薬剤を噴霧又は塗布するタイミングとしては、原反マット製作工程における熱風処理の前後いずれでも良く、また、セルロース系原反マット製作後、プレス成形前に行なっても良い。
【0036】
そして、セルロース系原反マットの製作工程における熱風処理前に水又は溶液、薬剤等の噴霧又は塗布処理を行なえば、原反マットの熱風処理と同時に乾燥処理を行なうことができる。
【0037】
また、セルロース系原反マットの熱風処理後に上記水又は溶剤、薬剤等の噴霧又は塗布工程を行なえば、乾燥処理工程は廃止できるが、セルロース系原反マット同士のブロッキングを防止できるため、乾燥処理を行なうほうが望ましい。
【0038】
更に、原反マット作製後、プレス成形前に水又は溶液、薬剤等の噴霧又は塗布工程を行なう場合、材料段取り地点で処理を行なうか、成形機内(例えば搬送装置部分)に処理装置を内蔵しても良く、この場合には、成形前の加熱工程でセルロース系原反マットを乾燥できるため、乾燥設備を別途設置する必要がない。
【0039】
上記噴霧又は塗布する溶剤、薬剤としては、種々の有機系、あるいは水性接着剤、エマルジョン及びエマルジョン系接着剤等の合成接着剤の他に天然物質由来の接着剤及び多糖類が使用できる。例えば、寒天、カラギーナン、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム及びアルギン酸化合物等の海藻抽出物、澱粉、アミロペクチン、ペクチン、アラビアガム、ローカストビーンガム、グアーガム等の植物抽出物、ゼラチン、ガゼイン等の動物性蛋白、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース他セルロースに化学的に修飾したもの、その他、タッキファイヤー(粘着付与材樹脂)、ロジン(松脂)化合物、アミロース、ペクチン酸、キシラン、アルギン酸繊維、蛋白質系繊維等がある。
【0040】
そして、請求項3に記載の発明によれば、セルロース系原反マットの表裏面の少なくとも一面に噴霧又は塗布された水又は溶剤、薬剤等によりホコリ成分が確実に固定できる。
【0041】
また、セルロース系原反マット中の解繊物や粉砕物の配合割合に応じて水や溶剤、薬剤の塗布量を調整することにより、有効なホコリ防止対策が施せる。
【0042】
次に、この出願の請求項4に記載の発明は、セルロース系解繊物又は粉砕物をベースとした吸音・遮音成分と、該吸音・遮音成分を結合させる樹脂バインダとを混綿工程において混合した後、マット形成工程でセルロース系原反マットを作製し、このセルロース系原反マットの少なくとも一方面にホットメルトを塗布し、このホットメルトをセルロース系原反マット面の広範囲に引き伸ばし、冷却固化し、ホコリ成分を固定した後、加熱軟化処理を行ない、所要形状にプレス成形してセルロース系基材を成形することを特徴とする。
【0043】
ここで、ホットメルトとしては、パウダー状ホットメルト、フィルム状ホットメルト、フィルム類や網目状・くもの巣状ホットメルトを使用しても良く、また、液状ホットメルトを細い糸状としてセルロース系原反マット表面にランダム、あるいは網目状に塗布しても良い。
【0044】
上記原反マットにホットメルトを散布、あるいは積層した状態で熱ベルト、あるいは熱ロールに通し、次いで冷却ベルト、あるいは冷却ロールに通すことにより、ホットメルトがセルロース系原反マット表面に面状に広がりその表面を被覆する。
【0045】
そして、請求項4に記載の発明によれば、溶融状態のホットメルトが冷却固化することにより、セルロース系原反マットのホコリ成分を有効に固定することができ、外部にホコリ成分が飛散することがない。また、ホットメルトは、セルロース成分に水素結合を生じさせないために、セルロース系原反マットの成形性を阻害することがない。
【0046】
次に、この出願の請求項5に記載の発明は、セルロース系解繊物又は粉砕物をベースとした吸音・遮音成分と、該吸音・遮音成分を結合させる樹脂バインダとを混綿工程で混合した後、マット作製工程でセルロース系原反マットを作製し、その後、セルロース系原反マットを加熱軟化処理後、所要形状にプレス成形して基材を成形する車両用防音材の製造方法であって、セルロース系原反マットの混綿工程で水、あるいは液状接着剤を混合することでセルロースのホコリ成分を固定することを特徴とする。
【0047】
ここで、混綿工程で添加する水あるいは接着剤としては、下記の合成接着剤、あるいは天然物質由来の接着剤、及び多糖類などがある。
【0048】
<合成接着剤>
・種々の有機系あるいは水性接着剤
・エマルジョン及びエマルジョン系接着剤
【0049】
<天然物質由来の接着剤及び多糖類など>
(海藻抽出物)
例)寒天、カラギーナン
例)アルギン酸、アルギン酸ナトリウム及びアルギン酸化合物
(植物抽出物)
例)澱粉、アミロペクチン、ペクチン、アラビアガム
例)ローカストビーンガム、グァーガム
(動物性蛋白)
例)ゼラチン、カゼイン
(セルロース系)
例)カルボキシメチルセルロース
例)メチルセルロース他セルロースに化学的に修飾したもの
(その他)
・タッキファイヤー(粘着付与材樹脂)
・ロジン(松脂)化合物
・アミロース、ペクチン酸、キシラン、アルギン酸繊維、蛋白質系繊維
【0050】
そして、請求項5に記載の発明によれば、セルロース系原反マット中に水あるいは液状接着剤等を添加するというものであるから、少ない添加量で原反マット内部のホコリ成分を確実に固定できるため、外部にホコリ成分が飛散することを確実に抑えることができる。
【0051】
次いで、この出願の請求項6に記載の発明は、セルロース系解繊物又は粉砕物をベースとした吸音・遮音成分と、該吸音・遮音成分を結合させる樹脂バインダとを混綿工程で混合した後、マット作製工程でセルロース系原反マットを作製し、その後、セルロース系原反マットを加熱軟化処理後、所要形状にプレス成形して基材を成形する車両用防音材の製造方法であって、セルロース系原反マットの混綿工程で多糖類を固体状態あるいは溶液状又は液体状態で添加し、セルロース系原反マットの加熱軟化処理工程で、多糖類がゲル状態となりセルロースのホコリ成分を固定することを特徴とする。
【0052】
そして、請求項6に記載の発明によれば、セルロース系原反マットの混綿工程で添加される多糖類は融点が低く、溶融状態の粘性が高いため、熱風処理や加熱炉で高温処理した際、多糖類等が流動してホコリ成分が有効に固定される。
【0053】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る車両用防音材の製造方法の実施形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【0054】
図1は本発明に係る車両用防音材の実施形態である自動車用インシュレータダッシュ並びにダッシュフロントインシュレータの構成を示す断面図、図2は同インシュレータダッシュの製造方法における第1実施形態の工程説明図、図3は同インシュレータダッシュにおけるセルロース系基材と不織布とのラミネート時にフィルム状ホットメルトを使用した際の各工程チャート図、図4はインシュレータダッシュの製造方法における第2実施形態を示す工程説明図、図5,図6は同インシュレータダッシュの製造方法における第3実施形態を示す工程説明図、図7はフィルム状ホットメルトとセルロース系原反マットのラミネート工程のフローチャート図、図8はインシュレータダッシュの製造方法における第4実施形態を示す工程説明図である。
【0055】
まず、図1において、本発明に係る車両用防音材の適用例について説明する。
【0056】
図面において、エンジンルームEと車室Rとを区画するダッシュパネル10の室内面側に自動車用インシュレータダッシュ11が添設固定されるとともに、ダッシュパネル10のエンジンルーム側には、ダッシュフロントインシュレータ12が装着されている。
【0057】
そして、インシュレータダッシュ11は、ダッシュパネル10の面形状に合わせて成形されているセルロース系基材20の表面側に目の細かい不織布21がラミネート処理されており、セルロース系基材20特有のホコリ発生という問題を目の細かな不織布21によりホコリ成分が車室R内に飛散するのを確実に防止している。
【0058】
同様に、ダッシュフロントインシュレータ12においても、セルロース系基材20の表面に目の細かな不織布21がラミネート処理され、セルロース系基材20からホコリ成分がエンジンルームE内に飛散するのを防止している。
【0059】
そして、上記セルロース系基材20は、樹脂バインダで結合させた吸音・遮音成分から構成されており、吸音・遮音成分としては、セルロース系成分であり、具体的には、純パルプ、再生セルロース、古紙(古新聞、古雑誌、段ボール等)や、木材など植物、また化学的に修飾・加工したセルロース類、製紙工業等で発生する天然素材由来の産業廃棄物(ヘドロ状であったり、湿っていたりしても良い)を必要に応じ乾燥させたものなどを使用し、これらは解繊、粉砕されることによって繊維状又は粉末状となっている。
【0060】
一方、樹脂バインダとしては、低融点PETからなる熱融着性繊維、ポリエチレン樹脂等の樹脂パウダーや反応性接着剤(例えば、ウレタン系接着剤)が使用でき、この実施形態においては、古紙を粉砕処理した粉砕物に低融点PETを素材とした熱融着性繊維を樹脂バインダとして使用している。
【0061】
そして、吸音・遮音成分と樹脂バインダとの配合比は、吸音・遮音成分/樹脂バインダ=90:10〜20:80の範囲内に設定すれば良いが、この配合比の設定については、例えば吸音性能やソフト感が要求される用途には吸音・遮音成分リッチな配合とし、剛性や遮音成分が要求される用途には樹脂バインダリッチな配合比を適宜選択することにより、セルロース系基材20の使用範囲を広げることができる。
【0062】
尚、インシュレータダッシュ11のセルロース系基材20としては、遮音・吸音成分/樹脂バインダ=80:20でかつセルロース系基材20の面密度及び平均厚みはそれぞれ1,000g/m、20〜30mmに設定されている。
【0063】
そして、セルロース系基材20は、セルロースからなる天然素材、再生材、リサイクル材をベースとして採用しているため、例えば、繊維径が細径のものを使用すれば、吸音性能を高めることができ、また、端材や使用後の製品を焼却可能、再生可能であり、特に、古紙など、廃品の解繊品、あるいは粉砕品を使用すれば、コスト的にも非常に有利である。
【0064】
また、シュレッダー等で得られる紐状とは異なり、表面積が大きいため、吸音・遮音性能が高く、樹脂バインダとの絡まりが強化され、製品の強度を高めるこができる。
【0065】
加えて、遮音・吸音性能を高めるために、高融点繊維を添加することも可能であり、その場合、高融点繊維としては、PET、PP、PE、PA(ポリアミド樹脂)などの合成繊維から適宜選択でき、繊維径が0.2〜30デニール、繊維長さが2〜80mm(好ましくは10〜64mm)の高融点合成繊維を添加すれば、吸音性能を高めることができる。
【0066】
そして、本発明においては、セルロース系基材20をダッシュパネル10の形状に合わせて成形する際、また、ダッシュパネル10に取り付けた後もセルロース系基材20からホコリ成分が外部に飛散することがなく、作業環境、あるいは車室内の環境を悪化させることを確実に防止したもので、セルロース系基材20の片面(室内面側)に目の細かな不織布21がラミネートされている。
【0067】
この不織布21の面密度は、10〜200g/mの範囲とし、好ましくは20g/m程度のものが良く、素材としては、PET、PP、PE等の合成繊維、あるいはパルプなど、天然繊維を素材としてペーパーライクの不織布21とする。
【0068】
従って、セルロース系基材20から外部に飛散しようとするホコリ成分は、この不織布21のバリヤ効果により、車室内側に飛散するのが食い止められ、車室内の環境衛生を良好に維持できる。
【0069】
同様に、ダッシュパネル10のエンジンルーム側に装着されるダッシュフロントインシュレータ12においても、セルロース系基材20のエンジンルーム側に目の細かな不織布21を形成して、セルロース系基材20内のホコリ成分がエンジンルームEに飛散するのをこの不織布21で食い止めている。尚、インシュレータダッシュ11は、セルロース系基材20とその表面に積層される目の細かな不織布21との積層構造体から構成されているが、この表面側に再生ゴムシート、あるいは再生塩ビシート等、面密度の高い遮音材(図示せず)を一体化しても良い。
【0070】
次いで、セルロース系基材20の表面に不織布21をラミネートしたインシュレータダッシュ11の製造方法について、図2を基に説明する。
【0071】
まず、混合器30内に吸音・遮音成分と樹脂バインダとを投入し、混合器30内で混合した後、ベルトコンベア31上に混合材料32を堆積させ、この上側に不織布ロール22から供給した目の細かな不織布21を載置する。
【0072】
次いで、熱風加熱炉33内でプレス圧をかけながら熱風を混合材料32、不織布21に通過させることにより、混合材料32中の樹脂バインダを溶融させて、樹脂バインダの融着作用により、堆積した混合材料32の一面に不織布21が融着する。
【0073】
そして、この熱風加熱炉33内には、ベルト34が複数のプーリー34aの駆動により循環駆動され、ベルト34により加圧しながらベルト34に開設されている複数の穴を通じて熱風が混合材料32及び不織布21に供給される。また、混合材料32と不織布21とが接着するには、混合材料32中の樹脂バインダの配合比が比較的多い場合であり、ベルト34により所定厚みに圧縮した後、所定寸法にカット刃35によりカット処理して、一面に不織布21をラミネートしたセルロース系原反マットMを作製する。尚、不織布21のラミネート時期は、混合材料32単独を熱風加熱処理した後や、また、セルロース系原反マットM作製後に行なっても良い。
【0074】
そして、熱風加熱炉36内でこのセルロース系原反マットMを加熱軟化させた後、コールドプレス成形用上下型37,38内にセットし、上下型37,38を型締めすることにより、セルロース系基材20の一面に不織布21を一体化した自動車用インシュレータダッシュ11の成形が完了する。
【0075】
尚、セルロース系原反マットM中に樹脂バインダの配合量が少ない場合には、ホコリが非常に発生し易いため、セルロース系原反マットMの両面に不織布21を設定するのが好ましい。
【0076】
この不織布21は、PET、PP、PE等の合成繊維不織布、あるいはパルプなど天然繊維からなるペーパー状の不織布を使用する。この不織布21の面密度は10〜200g/mで20g/m程度のものが好ましい。
【0077】
そして、図2に示す工程は、セルロース系基材の素材である吸音・遮音成分と樹脂バインダの配合で樹脂バインダリッチの場合にのみ適用できるが、熱風加熱に替えて水蒸気加熱を用いても良く、また、熱ラミネート工法を使用することもできる。
【0078】
しかし、樹脂バインダの配合比が少ない場合には、セルロース系原反マットMと不織布21は、以下の接着手段を通して一体化される。この接着手段としては、樹脂パウダー、パウダー状・ペレット状・チップ状・霧状・網目状・くもの巣状ホットメルト系接着剤を介してセルロース系マットMと不織布21とを接着する。
【0079】
また、液状ホットメルトを糸状にしてランダム、あるいは網目状に塗布して両者を接着一体化しても良く、合成接着剤、あるいは天然物質由来の接着剤を使用して両者を接着することもできる。
【0080】
合成接着剤としては、種々の有機系、あるいは水性接着剤、エマルジョン及びエマルジョン系接着剤を使用する。また、天然物質由来の接着剤及び多糖類としては、以下のものがある。
【0081】
(海藻抽出物)
例)寒天、カラギーナン
例)アルギン酸、アルギン酸ナトリウム及びアルギン酸化合物
(植物抽出物)
例)澱粉、アミロペクチン、ペクチン、アラビアガム
例)ローカストビーンガム、グァーガム
(動物性蛋白)
例)ゼラチン、カゼイン
(セルロース系)
例)カルボキシメチルセルロース
例)メチルセルロース他セルロースに化学的に修飾したもの
(その他)
・タッキファイヤー(粘着付与材樹脂)
・ロジン(松脂)化合物
・アミロース、ペクチン酸、キシラン、アルギン酸繊維、蛋白質系繊維
【0082】
更に、セルロース系原反マットMと不織布21を同時にニードルパンチング加工により接着剤を使用することなく両者を固定することもできる。また、セルロース系原反マットMに水を噴霧、あるいは塗布し、生じたセルロースの粘着性で不織布21をセルロース系原反マットMに貼り付けることもできる。尚、以上の方法は、セルロース系原反マットMの通気性を損なわないため、成形に熱風加熱工法を採用でき、成形時間の短縮化に役立ち、また、吸音性能を損なうものではない。
【0083】
図3は、セルロース系原反マットMに不織布21をフィルム状ホットメルト(非通気性を有する)を用いて一体化する方法であり、図3(a)に示すように、不織布21にフィルム状ホットメルトをラミネート処理した後、これを赤外ヒーター、あるいは恒温槽で加熱する一方、セルロース系原反マットMを熱風加熱により加熱した後、両者を同時プレス成形によりセルロース系基材20の一面に不織布21を一体化することができる。
【0084】
また、図3(b)に示すように、不織布21、フィルム状ホットメルト、セルロース系原反マットMの三者をラミネート又は積層仮止め処理して赤外ヒーターで加熱した後、同時プレス成形を行なっても良く、図3(c)に示すように、不織布21にフィルム状ホットメルトをラミネート処理し、更に、セルロース系原反マットMにラミネート又は積層仮止め処理した後、赤外ヒーターで加熱処理してプレス成形を行なうこともできる。一方、図3(d)に示すように、セルロース系原反マットMにホットメルトフィルム並びに不織布21の双方をラミネート又は積層仮止め処理して、赤外ヒーターで加熱した後、プレス成形によりセルロース系基材20を成形することもできる。
【0085】
このように、本発明の第1実施形態によれば、セルロース系原反マットMの作製段階、あるいはセルロース系原反マットMの作製後に原反マットの表裏面の少なくとも一方面に目の細かい不織布21をラミネートするというものであるから、熱風加熱炉33,36内にセルロース系成分中のホコリが飛散することがなく、作業環境を良好に維持できるとともに、インシュレータダッシュ11をダッシュパネル10に取り付けた後も車室R内にホコリ成分が飛散することがないため、車室内の環境衛生上も好ましい。
【0086】
次いで、図4は、本発明の第2実施形態を示すもので、セルロース系原反マットMの成形工程でホコリ成分が外部に飛散するのを防止するために、水又は水溶液、あるいは薬剤を噴霧又は塗布してホコリ成分を固定するというものである。
【0087】
すなわち、混合器30内に吸音・遮音成分と樹脂バインダとを投入して混合した後、ベルトコンベア31上に上記混合した混合材料32を散布して堆積させ、これら混合材料32の表面に噴霧器40により水又は溶液、薬剤(本実施形態では水41)を噴霧する。尚、溶液、薬剤としては、種々の有機系、あるいは水性接着剤、エマルジョン及びエマルジョン系接着剤がある。
【0088】
次いで、熱風加熱炉33内でベルト34により加圧しながら熱風を送り込み、ベルト34により厚み調整を行なった後、カット刃35により所定寸法にカットされ、水素結合により形成したバリヤ層42によりホコリ成分の外部への飛散を防止したセルロース系原反マットMが得られる。その後、熱風加熱炉36内で加熱軟化処理後、コールドプレス成形用上下型37,38により所望形状にプレス成形して、セルロース系基材20を成形する。
【0089】
図4に示す実施形態では、噴霧器40による水41の噴霧工程を熱風処理前に行なったが、熱風加熱炉33における熱風処理後に行なっても良い。この場合、セルロース系原反マットM同士のブロッキングを防止するために乾燥処理を行なったほうが好ましい。
【0090】
また、この噴霧工程は、セルロース系原反マットMを作製した後、熱風加熱炉36による成形前の予備加熱工程前に行なっても良く、材料段取り時点に処理を実施するか、プレス成形機内(搬送装置部分)に処理装置を内蔵しても良い。プレス成形装置内に処理装置を内蔵する場合は、成形前の加熱工程で基材を乾燥できるため、乾燥設備は別途設けなくても良い。
【0091】
次いで、図5は、本発明方法の第3実施形態を示すもので、セルロース系原反マットMの片面、あるいは両面にホットメルトで処理してホコリ成分を固定するという方法である。
【0092】
すなわち、セルロース系原反マットMの片面に容器50からパウダー状のホットメルト51を散布するか、あるいは網目状・くもの巣状ホットメルトの原反ロール52からホットメルト51をセルロース系原反マットMの一面にセットし、熱ロール53により循環駆動される上下の熱ベルト54により搬送され、セルロース系原反マットMとホットメルト51とを熱ラミネート処理した後、冷却ロール55により循環駆動される冷却ベルト56により、ホットメルト51を面状に広げ、セルロース系原反マットMの表面全面がホットメルト51により被覆される。
【0093】
その後、上述した実施形態同様、熱風加熱炉36内で加熱軟化処理後、コールドプレス成形用上下型37,38により所要形状に成形し、ホットメルト51により表面を被覆したセルロース系基材20を成形することができる。
【0094】
この方法においても、セルロース系原反マットMのホコリ成分はホットメルト51により固定され、作業環境を良好に保つことができ、更に、セルロース系基材20をダッシュパネル10に取り付ける際、あるいは取り付けた後もホコリ成分が車室内に飛散することがない。そして、ホットメルト51は、セルロース成分に水素結合を生じさせないため、表面が硬化せず、セルロース系原反マットMの成形性を損なうことがない。
【0095】
図6は、上述した第3実施形態の変形例を示すもので、塗工器57から液状のホットメルト51をセルロース系原反マットMの一面に細い糸状としてランダム、あるいは網目状に塗布して、冷却ロール55によりこの液状のホットメルト51を製品表面に広げることもできる。この方法では、液状のホットメルト51は塗布時点で溶融しているため、熱ロール53や熱ベルト54で溶融させる工程は廃止でき、工程が短縮化できる。
【0096】
上記ホットメルト51として、フィルム状ホットメルトの場合は、図7(a)に示すように、フィルム状ホットメルトを赤外ヒーター、あるいは恒温槽で加熱処理する一方、セルロース系原反マットMを熱風加熱処理して両者を同時プレス成形しても良く、また、図7(b)に示すように、フィルム状ホットメルトとセルロース系原反マットMをラミネート処理した後、赤外ヒーターで加熱して、プレス成形することも可能である。
【0097】
図8は、本発明方法の第4実施形態を示すもので、セルロース系原反マットMの作製工程、特に混合器30内での成分の混合工程において、ホコリ固定成分60を添加することにより、セルロース系原反マットM中のホコリを固定して、作業環境の悪化を未然に防止するというものである。
【0098】
すなわち、混合器30内にセルロース系の吸音・遮音成分と樹脂バインダに加えてホコリ固定成分60を混入して、この混合材料32をベルトコンベア31上に堆積させて、以下上述実施形態同様、加圧しながら熱風を吹き付ける熱風加熱工程によりセルロース系原反マットMを作製した後、熱風加熱炉36内で加熱軟化処理した後、コールドプレス成形用上下型37,38によりセルロース系基材20を所要形状に成形するというものである。
【0099】
そして、このホコリ固定成分60は、水、接着剤が使用でき、この接着剤としては、種々の有機系、あるいは水性接着剤、エマルジョン及びエマルジョン系接着剤等の合成接着剤の他に天然物質由来の接着剤及び多糖類が使用できる。例えば、寒天、カラギーナン、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム及びアルギン酸化合物等の海藻抽出物、澱粉、アミロペクチン、ペクチン、アラビアガム、ローカストビーンガム、グアーガム等の植物抽出物、ゼラチン、ガゼイン等の動物性蛋白、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース他セルロースに化学的に修飾したもの等のセルロース系、その他、タッキファイヤー(粘着付与材樹脂)、ロジン(松脂)化合物、アミロース、ペクチン酸、キシラン、アルギン酸繊維、蛋白質系繊維等がある。
【0100】
上記ホコリ固定成分60は、溶液状態で塗布してホコリを固定することもできるが、固体状態で添加した場合には、例えば、多糖類などは融点が低く、溶融状態の粘性が高いことを利用して、熱風処理や加熱炉内での高温処理でホコリ固定成分60を溶融流動させてホコリ成分を固定する。
【0101】
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明方法は、セルロース系基材をベースとした車両用防音材を製造する際、セルロース系原反マットの作製工程並びにセルロース系原反マットの成形工程において、内部のホコリ成分が外部に飛散するという不具合をセルロース系原反マットの表裏面のうち少なくとも一方側面に目の細かい不織布や水又は水溶液、あるいはホットメルト等を表面にラミネートすることにより、ホコリ成分の外部への飛散を防止するか、あるいはセルロース系原反マット内部にホコリ固定成分を添加することにより、セルロース系基材特有のホコリ発生という問題点を有効に解決したものであるから、セルロース系原反マット製作時において加熱炉内にホコリ成分が飛散することがなく、作業環境を良好に保つことができるとともに、車両に防音材を設置した後も車室内やエンジンルーム内にホコリ成分が飛散することがなく、車両の環境衛生上も好ましいという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法により製作された車両用防音材としてのインシュレータダッシュ、ダッシュフロントインシュレータをダッシュパネルに取り付けた状態を示す断面図である。
【図2】本発明に係る車両用防音材の製造方法の第1実施形態を示す工程説明図である。
【図3】本発明に係る車両用防音材の製造方法の第1実施形態におけるセルロース系原反マットと不織布とのラミネート工程及び成形工程を示すチャート図である。
【図4】本発明に係る車両用防音材の製造方法の第2実施形態を示す工程説明図である。
【図5】本発明に係る車両用防音材の製造方法の第3実施形態における原反マットの作製工程を示す説明図である。
【図6】本発明に係る車両用防音材の製造方法の第3実施形態における原反マットの作製工程の変形例を示す説明図である。
【図7】本発明に係る車両用防音材の製造方法の第3実施形態の変形例を示す説明図である。
【図8】本発明に係る車両用防音材の製造方法の第4実施形態を示す工程説明図である。
【図9】車両用防音材の設置箇所を示す説明図である。
【図10】従来のインシュレータダッシュの構成を示す断面図である。
【符号の説明】
10 ダッシュパネル
11 自動車用インシュレータダッシュ
12 ダッシュフロントインシュレータ
20 セルロース系基材(吸音層)
21 不織布
30 混合器
31 ベルトコンベア
32 混合材料
33 熱風加熱炉
34 ベルト
35 カット刃
36 熱風加熱炉
37,38 コールドプレス成形用上下型
40 噴霧器
41 水又は溶液、薬剤など
42 バリヤ層
50 散布器
51 ホットメルト
52 原反ロール
53 熱ロール
54 熱ベルト
55 冷却ロール
56 冷却ベルト
57 塗工器
60 ホコリ固定成分

Claims (6)

  1. セルロース系解繊物又は粉砕物をベースとした吸音・遮音成分と、該吸音・遮音成分を結合させる樹脂バインダとを混綿工程で混合した後、マット形成工程によりセルロース系原反マットを作製するセルロース系原反マットの作製段階、あるいはセルロース系原反マットの作製後、このセルロース系原反マットの表裏面の少なくとも一方面に、ホコリ成分が外部に飛散するのを防止するために、ホコリ成分を固定できるバリア機能をもつ不織布をラミネートし、加熱軟化処理後、プレス成形によりセルロース系基材を所要形状に成形することを特徴とする車両用防音材の製造方法。
  2. セルロース系原反マットと不織布とのラミネートは、セルロース系原反マットに水を噴霧、あるいは塗布した際生じるセルロースの粘着性により両者を接着固定することを特徴とする請求項1に記載の車両用防音材の製造方法。
  3. セルロース系解繊物又は粉砕物をベースとした吸音・遮音成分と、該吸音・遮音成分を結合させる樹脂バインダとを混綿工程により混合した後、マット形成工程により作製されるセルロース系原反マットの表裏面の少なくとも一方面に水又は溶液、薬剤等を噴霧又は塗布して、ホコリ成分を固定した後、加熱軟化処理を行ない、セルロース系原反マットを所要形状にプレス成形してセルロース系基材を成形することを特徴とする車両用防音材の製造方法。
  4. セルロース系解繊物又は粉砕物をベースとした吸音・遮音成分と、該吸音・遮音成分を結合させる樹脂バインダとを混綿工程において混合した後、マット形成工程でセルロース系原反マットを作製し、このセルロース系原反マットの少なくとも一方面にホットメルトを塗布し、このホットメルトをセルロース系原反マット面の広範囲に引き伸ばし、冷却固化し、ホコリ成分を固定した後、加熱軟化処理を行ない、所要形状にプレス成形してセルロース系基材を成形することを特徴とする車両用防音材の製造方法。
  5. セルロース系解繊物又は粉砕物をベースとした吸音・遮音成分と、該吸音・遮音成分を結合させる樹脂バインダとを混綿工程で混合した後、マット作製工程でセルロース系原反マットを作製し、その後、セルロース系原反マットを加熱軟化処理後、所要形状にプレス成形して基材を成形する車両用防音材の製造方法であって、セルロース系原反マットの混綿工程で水、あるいは液状接着剤を混合することでセルロースのホコリ成分を固定することを特徴とする車両用防音材の製造方法。
  6. セルロース系解繊物又は粉砕物をベースとした吸音・遮音成分と、該吸音・遮音成分を結合させる樹脂バインダとを混綿工程で混合した後、マット作製工程でセルロース系原反マットを作製し、その後、セルロース系原反マットを加熱軟化処理後、所要形状にプレス成形して基材を成形する車両用防音材の製造方法であって、セルロース系原反マットの混綿工程で多糖類を固体状態あるいは溶液又は液体状態で添加し、セルロース系原反マットの加熱軟化処理工程で、多糖類がゲル状態となりセルロースのホコリ成分を固定することを特徴とする車両用防音材の製造方法。
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