JP4004701B2 - 介護用パンツ装置及び介護用着衣装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、病人、幼児、体の不自由な人、自力でトイレに行くことが困難な人のための介護用パンツ又は介護用着衣装置に係り、***物を検知してパンツ内部を洗浄・乾燥し、またパンツ又は着衣内部を清潔に保ち、更に、着衣者の床づれを防止し、マッサージ効果を有する装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、病人や幼児等がパンツを着用したままの状態で***できる***パンツとして、特開昭61−342号に示すものがあった。この***パンツは、パンツ主体の肛門部又はその近傍に設けられ排出パイプを連設した伸縮自在な袋部と、パンツ主体の股部適所に配置した***物用センサーと、この***物センサーの作動により袋部にエアを供給するエア供給装置を備え、***時に自動的に袋部を膨らませるようにしたものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、上記従来の***パンツを改良し、より実用化したもので、***物や洗浄水を漏出させることなくパンツ内部全体を汚さないようにすることを目的とする。
【0004】
また、排出パイプ内への***物の取込みをより確実に行わせ、***物や洗浄水の吸引時に、パンツ内部が真空状態にならず、効果的な吸引が可能になるようにする。
【0005】
また、介護用パンツ又は介護用着衣に送られる空気、温水又は泡等を一定箇所に滞らせることなくパンツ又は着衣の内部全面に供給させるようにする。
【0006】
また、介護用パンツ又は介護用着衣の着衣者の姿勢を***しやすい体勢にすると共に、パンツ又は着衣内部の洗浄を全体的に行わせる。
【0007】
更に、床づれ防止機能、自動寝返り機能、マッサージ機能を有する介護用着衣を提供する。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、パンツ内部の***物を排出パイプ内に吸引してパンツ外部に排出すると共に、パンツ内部を洗浄する介護用パンツを備えた装置において、***物を排出パイプ内に取込む際は、人体の***部を取り囲むように開いた状態となり、***物を外部に排出する際は、排出パイプ内に引き込まれる状態となる***物取込部を備え、かつ、介護用パンツの生地は内素材と外素材により構成され、この内素材と外素材の間に人体表面に向かって上下動する複数の突起部を設け、さらに介護用パンツの腰回り部と足回り部に、***時又は***物洗浄時に肌に密着する肌密着帯を備えると共に、この肌密着帯にパンツ外部からパンツ内部へ一方向の通気を可能にする通気路を設けたことを特徴とする。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1記載の介護用パンツ装置において、パンツの内側に人体の***部を取り囲む膨張体を設け、***時又は***物洗浄時には上記膨張体が膨張して人体表面に密着すると共に、この膨張体にパンツ外部からパンツ内部へ一方向の通気を可能にする通気路を設けたことを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載の介護用パンツ装置において、着衣者の臀部に相当する箇所の左右対称位置に膨張袋を取り付け、***時又は***物洗浄時に上記膨張袋内の圧力を調整して着衣者の姿勢を左右対称にすることを特徴とする。
【0011】
請求項4の発明の介護用着衣装置は、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の介護用パンツ装置を含むと共に、着衣者の胴体部を被覆する介護用着衣を備え、少なくとも着衣者の背中部、臀部に相当する箇所の左右対称位置に膨張袋を取り付け、***時又は***物洗浄時に上記膨張袋内の圧力を調整して着衣者の姿勢を左右対称にすることを特徴とする。
【0012】
請求項5の発明は、請求項4記載の介護用着衣装置において、上記膨張袋内の圧力を調整して着衣者の姿勢を中心線を軸にして左右に重心移動させることを特徴とする。
【0013】
請求項6の発明は、請求項4または請求項5に記載の介護用着衣装置において、少なくとも着衣者の背中部又は臀部に相当する箇所の介護用着衣の生地は内素材と外素材により構成され、この内素材と外素材の間に人体表面に向かって上下動する複数の突起部を設けると共に、これらの突起部に圧力センサを設け、この圧力センサが所定の体重圧を検知すると、当該圧力センサに対応する突起部が上下動することを特徴とする。
【0014】
請求項7の発明は、請求項6記載の介護用着衣装置において、上記介護用着衣の内部に送風する手段を設けたことを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1による介護用パンツ1を示す構造図であり、一部の破断断面部をも示している。介護用パンツ1の生地は、図示(A)に示すように内素材1aと外素材1bを重ね合わせた二重構造となっている。通常の着用時には素材1a,1bは剥がれない状態となり、メンテナンス時には後述する供給パイプ2、突起部11A,11B等を取り替え又は修理できるように相互に剥すことが可能な構造となっている。また、介護用パンツ1にはファスナー又はマジックテープ等からなる着脱部14が設けられており、着衣者が腰を上げることなく寝たままの状態で介護用パンツ1を容易に着脱できるように構成されている。
【0016】
内素材1aと外素材1bの間には、適切な温度に保持された空気又は温水を送るための供給パイプ2がパンツ全面に渡って縦横に配置されている。そして、供給パイプ2の複数箇所には噴出孔が設けられパンツ内部に空気又は温水を吹き付ける構造となっている。内素材1aは通気性、通水性の良好な素材により構成され、供給パイプ2から噴出される空気又は温水が人体表面にも達するようになっている。
【0017】
また、内素材1aと外素材1bの間には、パンツ全面又は着衣者の臀部に相当する部分に、図2(a)に示す突起部11A、又は図2(b)に示す突起部11Bが配設されている。図2(a)に示す突起部11Aは例えば先端がプラスチックで全体がゴム製の袋のようなものであり、その内部に圧力用パイプ110を通してオイル圧、エア圧、又は水圧が送られ、それぞれ個別に着衣者の体に向けて膨張・収縮する。また、ネット12は所定の緊張を持って内素材1aの内側に張られており、人体表面にフィットすると共に、突起部11Aから人体表面への直接刺激を防止する役割を果たす。図2(b)に示す突起部11Bは、同じくその内部に圧力用パイプ110を通してオイル圧、エア圧、又は水圧が送られ、それぞれ個別に上下に駆動制御される。突起部11Bの先端は羽状の構造となっており、内素材1aを介して人体表面に接触する構造となっている。
【0018】
介護用パンツ1の腰回り部と足回り部には、それぞれ肌密着帯としての肌密着パイプ10が取付けられている。この肌密着パイプ10は、後述する圧力制御部20から圧力用パイプ120を介して送られるオイル圧、エア圧、又は水圧によりそれぞれ収縮・膨張するように構成され、パンツ内部の洗浄時には肌に密着することによりパンツ外部への水漏れ、臭気漏れを遮断する役割を果たす。また、肌密着部10にはパンツ外部から内部への一方向の通気を可能にする一方向弁を有する通気路15が設けられ、後述する***物吸引装置5による***物の吸引効果(バキューム効果)を実行あらしめるようになっている。
【0019】
また、介護用パンツ1の股間部分には排出パイプ3が取付けられており、その先端部分には***物を取り込むための***物取込部3Aが設けられている。この***物取込部3Aは、通常時又は***物検知時には扇状に開いて肛門、泌尿器、性器等の***部を取り囲む状態となっており、***物の排出後には***物とともに排出パイプ3に引き込まれるように構成されている。
【0020】
また、介護用パンツ1には、肛門等の***部に対向した位置に、***物に多く含まれる化学物質(例えばアンモニア等)、***物の臭い、又は***物の重量を検出する***物検知センサ9が取付けられている。更に、肛門等の***部に向かって温水を噴射することにより排便を促し又は洗浄するための温水噴射パイプ13が取付けられている。
【0021】
排出パイプ3は、パイプ脱着部4により介護用パンツ1から分離し取り外しできるように構成されており、着衣者の移動時には介護用パンツ1と排出パイプ3との接続を取り外した後、通気性の良い栓をするようになっている。また、温水噴射パイプ13、空気又は温水を送る供給パイプ2、圧力用パイプ110,120、及びセンサ9の信号線も上記排出パイプ3と同様に介護用パンツ1から切り離すことができるように構成されている。
【0022】
図3は、図1の介護用パンツ1を含む介護用パンツ装置全体を示す構成図である。コントローラ100は中央演算処理的な機能を果たすものであって、介護用パンツ1内部の圧力センサ30および***物検知センサ9の検知信号を入力し、***物吸引装置5、送風機6、温水制御部7、切替コック8、圧力制御部20に対し制御指令信号を送信する。
【0023】
***物吸引装置5は***物を排出パイプ3を通して吸引する役割を果たすもので、吸引ポンプ等を内蔵している。また、***物吸引装置5は、排出パイプ3の先端部に設置した***部取込部3Aの開閉、引き込み動作を制御する役割をも果たす。送風機6は、供給パイプ2を通して介護用パンツ1の内部全面に適切な温度に制御した空気を送り出し、パンツ内部の蒸れを防止する役割を果たす。温水制御部7は、洗浄時に供給パイプ2を通して介護用パンツ1の内部全面に適切な温度に制御した温水を送り出すと共に、温水噴射パイプ13を通して排便を促し又は洗浄するための温水を送り出す役割を果たす。切替コック8は、供給パイプ2への送風機6の送風又は温水制御装置7の温水を切り替えるための制御弁である。圧力制御部20は、圧力用パイプ110を通してオイル圧、エア圧、又は水圧を送り出して突起部11A又は11Bの上下動作を制御すると共に、圧力用パイプ120を通してオイル圧、エア圧、又は水圧を送り出して肌密着パイプ10の収縮・膨張を制御する。
【0024】
次に、実施の形態1の介護用パンツ装置による洗浄動作について説明する。介護用パンツ1の***物検知センサ9が***物を検知すると、その検知信号がコントローラ100に送られる。そして、コントローラ100は***物吸引装置5に指令を出して***物取込部3Aの通路を開くとともに、圧力制御部20に指令を出し、圧力用パイプ120を介してオイル圧、エア圧、又は水圧を送り出し、肌密着パイプ10内の圧力を高めて膨張させ、介護用パンツ1の腰回り部及び足回り部を肌に密着させてパンツ内部の臭気及び洗浄時の水分が外部に漏れないようにする。その後、コントローラ100は温水制御部7に指令を出し、温水噴射パイプ13により肛門等の***部に向かって温水を噴射し、***を促すとともに***部の洗浄を行う。
【0025】
そして、***物が完全に***された所定時間T2経過後、コントローラ100は***物吸引装置5に指令を出し、扇状に開いた***物取込部3Aを排出パイプ3に引き込むと同時に吸引ポンプにより***物を吸引する。この時、肌密着部10に設けている通気弁15を通してパンツ外部から内部への通気が行われるので、***物吸引装置5による***物の吸引はスムーズに実施される。
【0026】
なお、***物取込部3Aは、通常時は排出パイプ3に引き込まれた状態にあり、***物検知センサ9により***物を検知した時に、***物を取り込むように扇状に開き、所定時間T2経過後、排出パイプ3に引き込まれるように構成しても良い。
【0027】
次に、コントローラ100は供給パイプ2の切替コック8を温水制御装置7側に切り替えるとともに、温水制御装置7から供給パイプ2及び温水噴射パイプ13を通して洗浄剤を混合した温水又は洗浄材を混合した泡を介護用パンツ1に供給する。供給パイプ2に送られた温水又は泡はパンツ全面に渡って噴出してパンツ内部及び人体を洗浄する。一方、***物吸引装置5に取り込まれた***物は、携帯型の***物入れタンクに収納しても良いし、そのまま下水道施設に送り出しても良い。
【0028】
介護用パンツ1内部の洗浄が終了すると、コントローラ100は供給パイプ2の切替コック8を送風機6側に切り替えるとともに、送風機6から供給パイプ2を通して温風を介護用パンツ1の内部全面に供給して乾燥させる。この時、パウダー等も一緒に噴霧して湿気を除去しても良い。
【0029】
次に、介護用パンツ1の突起部11A(11B)の動作について説明する。コントローラ100の指令により圧力制御部20が圧力用パイプ110を介してオイル圧、エア圧、又は水圧を制御することにより、突起部11A(11B)は膨張収縮又は上下動する。特に、介護用パンツ1内部の***物の洗浄時には、突起部11A(11B)の全てを突出させたり、隣り合う突起部11A(11B)のうち一方のみを突出させたり、又は隣り合う突起部11A(11B)を交互に上下動させたりすることにより、内素材1aと外素材1bの間に空間S1を作り、温水制御装置7から供給パイプ2を通して供給される温水又は泡や、送風機6から供給パイプ2を通して供給される温風を、一定箇所に滞らせることなく介護用パンツ1の内部全面に供給させることができる。なお、***物の洗浄時以外にも、複数の突起部11A,11Bを動作させることにより、介護用パンツ1の内部全面に温水又は温風を供給させ、介護用パンツ内部の清潔さや快適さを維持するようにしても良い。
【0030】
実施の形態2.
実施の形態2では、実施の形態1で述べた突起部11A(11B)に体重圧を検知する圧力センサ30(図2参照)を取り付け、それぞれ体重圧を感知して上下動することによりマッサージ機能を持たせるようにする。
【0031】
すなわち、複数の突起部11A(11B)に設置された圧力センサ30が所定の体重圧W0以上の圧力値を検知すると、コントローラ100は圧力制御部20に対して指令を出す。そして、所定値W0以上を検知している圧力センサ30が設置された突起部11A(11B)の内部のオイル圧、エア圧又は水圧を制御することにより、突起部11A(11B)を所定時間間隔をおいて上下運動させる。その結果、同じ箇所での体重圧による長時間の皮膚の圧迫が避けられ、うっ血、床づれを防止することができる。なおこの場合、隣り合う突起部11A(11B)を交互に上下動させたり、複数の突起部11A(11B)の列を波状的に上下動させることにより、心地よいマッサージ効果を得ることができる。
【0032】
実施の形態3.
実施の形態3では、実施の形態1で述べた介護用パンツ1の内側に人体の***部を取り囲む膨張体16を取り付け、***時又は***物洗浄時には膨張体16が人体表面と密着することにより、***物をパンツ全体にまき散らさないようにする。
【0033】
図4(a)は実施の形態3の膨張体16を取り付けた介護用パンツ1を示す斜視図であり、図4(b)は当該膨張体16の構造を示す断面図である。図に示すように、介護用パンツ1の内素材1aには、上述の圧力用パイプ120を介して送られる空気圧、オイル圧、水圧等により膨張するゴム等で構成された膨張体16が取り付けられている。
【0034】
***物検知センサ9が***物を検知すると、その検知信号がコントローラ100に送られ、コントローラ100は圧力制御部20に指令を出し、圧力用パイプ120を介してオイル圧、エア圧、又は水圧を送り出し、膨張体16の圧力を高めて膨らませる。
【0035】
その結果、膨張体16は人体表面並びに介護用パンツの外素材1b又は突起部11と密着することとなり、尿を含む***物が膨張体16で囲まれた部分の外側に流出しなくなり、パンツ内部全体に広がることがなくなる。また、膨張体16には介護用パンツの外側から膨張体16で囲まれた内側への通気を可能にする例えば一方向弁を有する通気路16aが設けられ、***物吸引装置5による***物の吸引(バキューム)がスムーズに行くように構成されている。
【0036】
実施の形態4.
実施の形態4では、実施の形態1で述べた介護用パンツ1の臀部の左右対称位置に膨張袋18a,bを取り付け、***時又は***物洗浄時には膨張袋18a,bの圧力の圧力を調整し、パンツ着衣者が***しやすい左右対称姿勢になるように矯正すると共に、パンツ内部の洗浄をスムーズに行わせるようにする。
【0037】
図5は実施の形態4による膨張袋18a,bを取り付けた介護用パンツ1の背部を示す斜視図である。図に示すように、介護用パンツ1の外側であって着衣者の臀部に相当する箇所に、体の中央線に対してほぼ左右対称位置に一対の膨張袋18a,bが取り付けられる。この膨張袋18a,bは、それぞれ圧力用パイプ180a,bを介して図3の圧力制御部20から送られる空気圧、オイル圧、水圧等により膨張・収縮するように構成されている。
【0038】
***物検知センサ9が***物を検知すると、その検知信号がコントローラ100に送られ、コントローラ100は圧力制御部20に指令を出し、圧力用パイプ180a,bを介してオイル圧、エア圧、又は水圧を送り出し、膨張袋18a,bの圧力を所定値に高めて膨らませる。この場合、膨張袋18a,bに設置した圧力センサ19a,bにより体重圧を検出し、コントローラ100がその検出値に基づいて圧力制御部20に指令を出し、左右の体重圧が均等になるように膨張袋18a,b内の圧力を調整する。
【0039】
その結果、***時には、パンツ着衣者が寝たままの状態でもその臀部が左右均等になるように矯正されるので、***しやすくなる。また、***物洗浄時においても、パンツ内部の洗浄を左右対称に行わせることができる。
【0040】
実施の形態5.
実施の形態5は、胴体部、臀部、大腿部等を被覆する介護用着衣装置に関し、その背部の左右対称位置に膨張袋を取り付け、***時又は***物洗浄時には膨張袋の圧力を調整し、パンツ着衣者が左右対称姿勢になるようにする。
【0041】
図6は実施の形態5による膨張袋を取り付けた介護用着衣50の背部を示す斜視図である。図において、介護用着衣50は、着衣者の胴体部、臀部、大腿部を被覆するものであって、実施の形態1〜4で説明した介護用パンツ1を繋げた構造となっている。介護用着衣50の外側であって着衣者の肩部、背中部、臀部、又は大腿部の裏側に相当する箇所に、体の中央線に対してほぼ左右対称位置に膨張袋51a,b、52a,b、53a,bが取り付けられる。これら膨張袋は、それぞれ図示しない圧力用パイプを介して図3の圧力制御部20から送られる空気圧、オイル圧、水圧等により膨張・収縮するように構成されている。
【0042】
***物検知センサ9が***物を検知すると、その検知信号がコントローラ100に送られ、コントローラ100は圧力制御部20に指令を出し、圧力用パイプを介してオイル圧、エア圧、又は水圧を送り出し、膨張袋51a,b、52a,b、53a,bの圧力を所定値に高めて膨らませる。この場合、膨張袋に設置した圧力センサ(図示せず)により体重圧を検出し、コントローラ100がその検出値に基づいて圧力制御部20に指令を出し、左右の体重圧が均等になるように膨張袋内の圧力を調整する。なお、膨張袋51a,b、52a,bはそれぞれ複数の膨張室a1,a2,a3,a4,b1,b2,b3,b4を有しており、各膨張室の圧力をそれぞれ制御することにより着衣者の姿勢をこまやかに調整することができる。
【0043】
図7は実施の形態5の膨張袋による着衣者の***時又は洗浄時の姿勢例を示す図である。図において、膨張袋51a,bの膨張室a1,a2,b1,b2を多めに膨らませ、膨張袋51a,bの膨張室a3,a4,b3,b4を少なめに膨らませ、膨張袋53a,bを膨らませることにより、着衣者の上体及び大腿部が少し起上がり、***しやすい体勢になる。
【0044】
以上のように実施の形態5によれば、***時には、着衣者が寝たままの状態でも背部、臀部、大腿部等が左右均等になるように矯正されるので、***しやすくなる。また、***物洗浄時においても、パンツ内部の洗浄を左右対称に行わせることができる。
【0045】
実施の形態6.
実施の形態6は、実施の形態5の介護用着衣装置において、その背部の左右対称位置に設けた膨張袋内の圧力を調整することにより、着衣者の姿勢を中心線を軸として左右に重心を移動させ、自動寝返り機能をもたせるようにした。
【0046】
すなわち、各膨張袋51a,b、52a,b、53a,bに設置された圧力センサ(図示せず)が所定の体重圧W0以上の圧力値を所定時間連続して検知すると、図示しない圧力制御装置により、所定値W0以上を検知している圧力センサ側の膨張袋の圧力を高め、左右反対側の膨張袋の圧力を弱める。その結果、所定時間連続して片側に寄っていた着衣者の姿勢を左右反対側に重心移動させ、床づれを防止させる。また、左右対称位置にある膨張袋51a,b、52a,b、53a,bの膨張・収縮を所定時間ごとに交互に繰り返すことにより、寝返り機能を持たせることができる。
【0047】
実施の形態7.
実施の形態7は、少なくとも胴体部、臀部を被覆する介護用着衣装置に関し、介護用着衣の内側に突起部を取り付け、この突起部を人体の表面に対して上下動させることによりマッサージ機能を持たせるようにする。
【0048】
図8は実施の形態7による介護用パンツの全体構造図、及び介護用パンツの内部の突起部の構造を示す断面図である。図において、介護用着衣60の生地は、内素材60aと外素材60bの二重構造となっており、内素材60aと外素材60bの間には、送風制御装置62から適切な温度に保持された空気を送るための送風パイプ63が縦横に配置されている。そして、送風パイプ63の複数箇所には噴出孔が設けられ、着衣内部に空気を吹き付ける構造となっている。内素材60aは通気性の良好な素材により構成され、送風パイプ63から噴出される空気が人体表面にも達するようになっている。
【0049】
また、内素材1aと外素材1bの間には、少なくとも着衣者の背中部又は臀部に相当する部分に、突起部61a又は突起部61bが配設されている。突起部61aは例えばゴム製袋のようなものであり、その内部に圧力用パイプ(図示せず)を通してオイル圧、エア圧、又は水圧が送られ、それぞれ個別に着衣者の体に向けて膨張・収縮する。また、ネットは所定の緊張を持って内素材60aの内側に張られており、人体表面にフィットすると共に、突起部61aから人体表面への直接刺激を防止する役割を果たす。突起部61bは、同じくその内部に圧力用パイプを通してオイル圧、エア圧、又は水圧が送られ、それぞれ個別に上下に駆動制御される。突起部61bの先端は羽状の構造となっており、内素材60aを介して人体表面に接触する構造となっている。
【0050】
複数の突起部61a(61b)には圧力センサが設置されており、この圧力センサが所定の体重圧W0以上の圧力値を検知すると、図示しない圧力制御部により、所定値W0以上を検知している圧力センサが設置された突起部61a(61b)の内部のオイル圧、エア圧又は水圧を制御して、突起部61a(61b)を所定時間間隔をおいて上下運動させる。その結果、同じ箇所での体重圧による長時間の皮膚の圧迫が避けられ、うっ血、床づれを防止することができる。なおこの場合、隣り合う突起部61a(61b)を交互に上下動させたり、複数の突起部61a(61b)の列を波状的に上下動させることにより、心地よいマッサージ効果を得ることができる。
【0051】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、***物を排出パイプ内に取込む際は人体の***部を取り囲むように開いた状態となり、***物を外部に排出する際は排出パイプ内に引き込まれる状態となる***物取込部を備えたことにより、***物を***物取込部外に漏出させることなくパンツ内部全体を汚さないようにする効果がある。また、排出パイプ内への***物の取込みをより確実に行うことができる。
【0052】
また、介護用パンツの内素材と外素材の間に人体表面に向かって上下動する複数の突起部を設けることにより、内素材と外素材の間に空間を確保することができ、パンツ内部に送られる空気、温水又は泡等を一定箇所に滞らせることなく介護用パンツの内部全面に供給させることができる。
【0053】
さらに、介護用パンツの腰回り部と足回り部に、***時又は***物洗浄時に肌に密着する肌密着帯を備えることにより、***物や洗浄水をパンツより外側に漏出させない効果が得られる。また、この肌密着帯にパンツ外部からパンツ内部へ一方向の通気を可能にする通気路を設けることにより、***物や洗浄水を吸引する場合、パンツ内部が真空状態にならず、効果的な吸引が可能になる。
【0054】
請求項2の発明によれば、パンツの内側に人体の***部を取り囲む膨張体を設け、***時又は***物洗浄時には膨張体が膨張して人体表面に密着するようにしたので、***物や洗浄水を膨張体より外側に漏出させることなくパンツ内部全体を汚さないようにする効果がある。また、この膨張体にパンツ外部からパンツ内部へ一方向の通気を可能にする通気路を設けることにより、***物や洗浄水を吸引する場合、膨張体で囲まれた部分が真空状態にならず、効果的な吸引が可能になる。
【0055】
請求項3の発明によれば、着衣者の臀部に相当する箇所の左右対称位置に膨張袋を取り付け、***時又は***物洗浄時に膨張袋内の圧力を調整して着衣者の姿勢を左右対称にすることにより、着衣者が***しやすい体勢になる。また、***物洗浄時においても、パンツ内部の洗浄を左右対称に行わせることができる。
【0056】
請求項4の発明によれば、少なくとも着衣者の背中部、臀部に相当する箇所の左右対称位置に膨張袋を取り付け、***時又は***物洗浄時に膨張袋内の圧力を調整して着衣者の姿勢を左右対称にすることにより、着衣者が***しやすい体勢になる。また、***物洗浄時においても、パンツ内部の洗浄を左右対称に行わせることができる。
【0057】
請求項5の発明によれば、着衣者の背中部又は臀部に相当する箇所の左右対称位置に膨張袋を取り付け、膨張袋内の圧力を調整して着衣者の姿勢を中心線を軸にして左右に重心移動させることにより、床づれを防止すると共に、自動寝返り機能を持たせることができる。
【0058】
請求項6の発明によれば、少なくとも着衣者の背中部又は臀部に相当する箇所の介護用着衣の内側に、人体表面に向かって上下動する複数の突起部を設けると共に、これらの突起部に圧力センサを設け、この圧力センサが所定の体重圧を検知すると、当該圧力センサに対応する突起部が上下動することにより、床づれを防止し、マッサージ機能を持たせることができる。
【0059】
請求項7の発明によれば、介護用着衣の内部に送風する手段を設けることにより、上下動する突起部により内素材と外素材の間に空間を確保し、着衣内部に送られる空気、温水又は泡等を一定箇所に滞らせることなく介護用着衣の内部全面に供給させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1による介護用パンツを示す構造図である。
【図2】 実施の形態1の介護用パンツの内部の突起部の構造を示す断面図である。
【図3】 実施の形態1の介護用パンツを含む介護用装置全体を示す構成図である。
【図4】 実施の形態3による膨張体を取り付けた介護用パンツを示す図である。
【図5】 実施の形態4による膨張袋を取り付けた介護用パンツの背部を示す斜視図である。
【図6】 実施の形態5による膨張袋を取り付けた介護用着衣の背部を示す斜視図である。
【図7】 実施の形態5の膨張袋による着衣者の***時又は洗浄時の姿勢例を示す図である。
【図8】 実施の形態7による介護用パンツの全体構造図及び介護用パンツの内部の突起部の構造を示す断面図である。
【符号の説明】
1 介護用パンツ、1a,60a 内素材、1b,60b 外素材、3 排出パイプ、3A ***物取込部、5 ***物吸引装置、6 送風機、7 温水制御部、
9 ***物検知センサ、10 肌密着部、11A,11B,61a,61b 突起部、
16,18a,18b,51a,51b,52a,52b,53a,53b 膨張体、
20 圧力制御部、30 圧力センサ、50,60 介護用着衣、62 送風制御装置、100 コントローラ。

Claims (7)

  1. パンツ内部の***物を排出パイプ内に吸引してパンツ外部に排出すると共に、パンツ内部を洗浄する介護用パンツを備えた装置において、
    ***物を排出パイプ内に取込む際は、人体の***部を取り囲むように開いた状態となり、***物を外部に排出する際は、排出パイプ内に引き込まれる状態となる***物取込部を備え、かつ、介護用パンツの生地は内素材と外素材により構成され、この内素材と外素材の間に人体表面に向かって上下動する複数の突起部を設け、さらに介護用パンツの腰回り部と足回り部に、***時又は***物洗浄時に肌に密着する肌密着帯を備えると共に、この肌密着帯にパンツ外部からパンツ内部へ一方向の通気を可能にする通気路を設けたことを特徴とする介護用パンツ装置。
  2. ンツの内側に人体の***部を取り囲む膨張体を設け、***時又は***物洗浄時には上記膨張体が膨張して人体表面に密着すると共に、この膨張体にパンツ外部からパンツ内部へ一方向の通気を可能にする通気路を設けたことを特徴とする請求項1記載の介護用パンツ装置。
  3. 着衣者の臀部に相当する箇所の左右対称位置に膨張袋を取り付け、***時又は***物洗浄時に上記膨張袋内の圧力を調整して着衣者の姿勢を左右対称にすることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の介護用パンツ装置。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の介護用パンツ装置を含むと共に、着衣者の胴体部を被覆する介護用着衣を備え、少なくとも着衣者の背中部、臀部に相当する箇所の左右対称位置に膨張袋を取り付け、***時又は***物洗浄時に上記膨張袋内の圧力を調整して着衣者の姿勢を左右対称にすることを特徴とする介護用着衣装置。
  5. 上記膨張袋内の圧力を調整して着衣者の姿勢を中心線を軸にして左右に重心移動させることを特徴とする請求項4記載の介護用着衣装置。
  6. 少なくとも着衣者の背中部又は臀部に相当する箇所の介護用着衣の生地は内素材と外素材により構成され、この内素材と外素材の間に人体表面に向かって上下動する複数の突起部を設けると共に、これらの突起部に圧力センサを設け、この圧力センサが所定の体重圧を検知すると、当該圧力センサに対応する突起部が上下動することを特徴とする請求項4または請求項5に記載の介護用着衣装置。
  7. 上記介護用着衣の内部に送風する手段を設けたことを特徴とする請求項6記載の介護用着衣装置。
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