JP4004028B2 - 回転電機の固定子コイル - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電動機や発電機などの回転電機に備えられる固定子コイルに係り、真空・加圧含浸によって絶縁処理される回転電機の固定子コイルに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、この種の回転電機の固定子コイルとしては図1に示すように、絶縁被覆が施された素線を複数本束ね成形した素線導体1上に、マイカシートまたはマイカテープを複数回巻回してコイル絶縁層2を有する固定子コイル3を形成した後、全体を真空乾燥して固定子コイル3を固定子鉄心スロット4に収納結線し、固定子鉄心5ごと絶縁組織の空隙部にエポキシ等の無溶剤含浸樹脂を真空・加圧含浸し、その後加熱硬化させた全含浸方式によるものがある。
【0003】
この場合、固定子コイル3には、固定子鉄心スロット4との間での部分放電の発生を防止するために、固定子鉄心スロット長とほぼ同じ範囲のコイル絶縁層2の表面の外周部に、炭素粉末等の導電性充填材を配合した樹脂を含浸して硬化させたガラス繊維テープまたはシート、あるいは上記樹脂を高分子フィルムの片面あるいは両面に塗布して硬化させたテープまたはシートから成るコロナ防止材等を巻回してコロナ防止層6を施している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ガラス繊維テープのような従来のコロナ防止材は、含浸樹脂を含浸し硬化する際の樹脂保持性や熱収縮性が劣るため、コイル絶縁層2内又はコロナ防止層6とコイル絶縁層2との界面に含浸樹脂の抜け落ちによる剥離やボイドが発生することがある。この剥離やボイドは、コイル絶縁層2の誘電特性を低下させる要因となるため、含浸樹脂の抜け落ち防止として、コロナ防止材とは別に熱収縮性を有するフィルム等をコイル絶縁層2の表面に巻回している。
【0005】
また、熱収縮性を有する高分子フィルムを用いた従来のコロナ防止材は、コイル絶縁層2の表面に一定部分を重ねて巻き付けられる。この際に、フィルムには部分的に皺が発生するが、皺の無い重複部分はフィルム同士が密着している。このフィルム同士が密着した重複部分は真空・加圧含浸時に更に密着するため、含浸樹脂のコロナ防止層6からの浸入が阻害され、コロナ防止層6とコイル絶縁層2との界面やコロナ防止材の重複部層間に含浸樹脂の未含浸或いは抜け落ち部が生じ、含浸・硬化後に剥離やボイドとなることがある。
【0006】
この剥離やボイドは前述したように、コイル絶縁層2の誘電特性を低下させる要因であり、回転電機の運転中に熱劣化や熱収縮等の作用により、この剥離やボイドは次第に拡大され部分放電が増大し、部分放電の熱でコロナ防止層6が徐々に欠損することがある。
【0007】
この欠損部は、固定子鉄心5と電気的に接続されず電位にならないために、固定子コイル3と固定子鉄心5でスロット放電が発生する。更に長期運転中の電磁振動等により欠損部が拡大され、最終的にコイル絶縁層2が損傷を受けることで絶縁特性の低下を招く恐れがある。
【0008】
そこで本発明は、含浸樹脂の抜け落ち防止のためにコロナ防止材とは別に熱収縮性を有するフィルム等をコイル絶縁層の表面に巻回する必要が無く、固定子コイル絶縁層内又はコロナ防止層とコイル絶縁層との界面或いは、コロナ防止層内に、含浸樹脂の未含浸又は樹脂の抜け落ちによる剥離やボイドの発生がなく、固定子コイル絶縁の誘電特性の低下や回転電機の長期運転による熱劣化や熱収縮および電磁振動等によりコイル絶縁層が損傷を受けて絶縁特性の低下を招くことのない回転電機の固定子コイルを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために請求項1の発明は、絶縁被覆が施された素線束上に未含浸の集成マイカテープを多重巻回して成る絶縁層の表面にコロナ防止層を設け固定子鉄心に収納結線後、前記固定子鉄心とともに熱硬化性樹脂中に浸漬して真空加圧含浸処理後、加熱硬化して成る回転電機の固定子コイルにおいて、前記コロナ防止層は、半導電性樹脂が塗布された熱収縮性の高分子フィルムの反対面に前記集成マイカテープを構成する集成マイカと同じ集成マイカとエポキシ樹脂組成物とから成る集成マイカ絶縁部材を貼り合せて構成されたコロナ防止テープまたはシートを巻回して形成されている構成とする。
【0010】
請求項1の発明の回転電機の固定子コイルにおいては、熱収縮性の高分子フィルムに集成マイカ絶縁部材が一体化されているため、同じ集成マイカから成るコイル絶縁層との馴染みが良く、コロナ防止材の重複部間に含浸性の良い集成マイカ絶縁部材が配置されるので、コロナ防止層と絶縁層との界面やコロナ防止材の重複部層間に含浸樹脂の未含浸或いは抜け落ちがなく、含浸・硬化後に剥離やボイドの発生がない。したがって、固定子コイル絶縁の誘電特性の低下や回転電機の長期運転中に熱劣化や熱収縮および電磁振動等の作用により、コイル絶縁層が損傷を受けて絶縁特性の低下を招くことがない。
【0013】
請求項の発明は、絶縁被覆が施された素線束上に未含浸の集成マイカテープを多重巻回して成る絶縁層の表面にコロナ防止層を設け固定子鉄心に収納結線後、前記固定子鉄心とともに熱硬化性樹脂中に浸漬して真空加圧含浸処理後、加熱硬化して成る回転電機の固定子コイルにおいて、前記コロナ防止層は、半導電性樹脂が塗布された熱収縮性の高分子繊維材の片面に前記集成マイカテープを構成する集成マイカと同じ集成マイカとエポキシ樹脂組成物とから成る集成マイカ絶縁部材を貼り合せて構成されたコロナ防止テープまたはシートを巻回して形成されている構成とする。
【0014】
請求項の発明の回転電機の固定子コイルにおいては、熱収縮性の高分子繊維材と集成マイカ絶縁部材とが一体化されているため、同じ集成マイカから成るコイル絶縁層との馴染みが良く、コロナ防止材と絶縁層との界面やコロナ防止材の重複部間に含浸樹脂の未含浸或いは抜け落ち部がなく、含浸・硬化後に剥離やボイドの発生がない。したがって、固定子コイル絶縁の誘電特性の低下や回転電機の長期運転中に熱劣化や熱収縮および電磁振動等の作用により、コイル絶縁層が損傷を受けて絶縁特性の低下を招くことがない。
【0018】
請求項の発明は、絶縁被覆が施された素線束上に未含浸の集成マイカテープを多重巻回して成る絶縁層の表面にコロナ防止層を設け固定子鉄心に収納結線後、前記固定子鉄心とともに熱硬化性樹脂中に浸漬して真空加圧含浸処理後、加熱硬化して成る回転電機の固定子コイルにおいて、前記コロナ防止層は、無機繊維材に半導電性シリコーンゴムが塗布された半導電性無機繊維材の片面に前記集成マイカテープを構成する集成マイカと同じ集成マイカとエポキシ樹脂組成物とから成る集成マイカ絶縁部材を貼り合せて構成されたコロナ防止テープまたはシートを巻回して形成されている構成とする。
【0019】
請求項の発明の回転電機の固定子コイルにおいては、無機繊維材に半導電性シリコーンゴムが塗布された半導電性無機繊維材に、含浸性および樹脂保持性の良い集成マイカ絶縁部材が一体化されているため、無機繊維材からの含浸樹脂の流出がなく、同じ集成マイカから成るコイル絶縁層および固定子鉄心スロットとの馴染みも良く、含浸樹脂の流出防止としてロナ防止材とは別に熱収縮性を有するフィルム等を絶縁層表面の外周部に巻回する必要がない。また、絶縁層表面又はコロナ防止材の重複部間に含浸性の良い集成マイカ絶縁部材が配置されるので、コロナ防止材と絶縁層との界面やコロナ防止材の重複部層間に含浸樹脂の未含浸或いは抜け落ち部がなく、含浸・硬化後に剥離やボイドの発生がない。したたって、固定子コイル絶縁の誘電特性の低下や回転電機の長期運転中に熱劣化や熱収縮および電磁振動等の作用により、コイル絶縁層が損傷を受けて絶縁特性の低下を招くことがない。
【0020】
請求項の発明は、前記無機繊維材はガラスまたはアルミナの織布または不織布である構成とする。
請求項の発明によれば、耐熱性に優れたコロナ防止層を備えた回転電機の固定子コイルを提供することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第1の実施の形態の回転電機の固定子コイルについて図1および図2を用いて説明する。すなわち、図1に示すように、回転電機の固定子コイル3は、絶縁被覆が施された素線を複数本束ね成形した素線導体1上に、集成マイカとガラス織布および高分子フィルムから成る未含浸のマイカシートあるいはテープを複数回巻回してコイル絶縁層2を形成した後、全体を真空乾燥して固定子鉄心スロット4内に収納結線し固定子鉄心5ごと、絶縁組織の空隙部にエポキシ等の無溶剤含浸樹脂を真空・加圧含浸し、その後加熱硬化させて構成する。このとき、前記固定子コイル3と固定子鉄心スロット4間での部分放電の発生を防止するために、固定子鉄心スロット4長とほぼ同じ範囲のコイル絶縁層2表面の外周部に、図2に示すように半導電性樹脂7が塗布された熱収縮性の高分子フィルム8の反対面に集成マイカとエポキシ樹脂組成物とから成る集成マイカ絶縁部材9を貼り合せて構成されたコロナ防止テープまたはシートを巻回してコロナ防止層6を形成した構成とする。
【0022】
半導電性樹脂7が塗布された熱収縮性の高分子フィルム8は、炭素粉末をエポキシ樹脂に配合し、熱収縮性を有するポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン等の高分子フィルムに塗布し硬化させ半導電性フィルムとしたのもである。ここでは、ポリエステル製の半導電性フィルムテープ(例えば、ニッカン工業製のD16半導電性フィルム)を用いた。
【0023】
また、コイル絶縁層2との適合性の観点から、集成マイカ絶縁部材9にはコイル絶縁層2と同じ集成マイカ材を用い、前記ポリエステル製の半導電性フィルムテープの片面に貼り合せてコロナ防止テープを製作した。
【0024】
このようにして得られたコロナ防止テープと従来の2種類のコロナ防止テープ(比較例1,2)と比較試験した。すなわち、10mm×50mm×800mmのアルミニウム角棒に1/2重ね巻きで未含浸の集成マイカテープを巻回して絶縁厚が同じになるように形成した。その絶縁範囲の中央部300mm長さに各コロナ防止テープを1/2重ね1回巻きし、更にその上に鉄板を当てて模擬スロットを形成し、無溶剤のエピビス系エポキシ樹脂を用いて真空加圧含浸処理後、加熱硬化して各コイルを得た。次に、得られた各コイルの誘電特性として電圧−tanδ特性を試験した。その結果は、図7に示すように第1の実施の形態の方が比較例1,2より電圧−tanδ特性は低値であった。
【0025】
このように、本実施の形態におけるコロナ防止テープまたはシートは、熱収縮性の高分子フィルム8に集成マイカ絶縁部材9が一体化されているため、同じ集成マイカから成るコイル絶縁層2との馴染みが良く、コロナ防止テープまたはシートの重複部間に含浸性の良い集成マイカ絶縁部材が配置されるので、コロナ防止テープまたはシートと絶縁層との界面或いは、コロナ防止テープまたはシートが重複する層間に、含浸樹脂の未含浸又は樹脂の抜け落ちによる剥離やボイドの発生を防止することができる。したがって、コイル絶縁層2の誘電特性の低下や回転電機の長期運転中の熱劣化や熱収縮および電磁振動等の作用により、コイル絶縁層2が損傷を受けて絶縁特性の低下を招くことがない。
【0026】
次に本発明の第2の実施の形態を説明する。この実施の形態では、固定子コイル3と固定子鉄心スロット4間での部分放電の発生を防止するため、固定子鉄心スロット4長とほぼ同じ範囲のコイル絶縁層2表面の外周部に、図3に示すように、熱収縮性の高分子フィルム8の両面に半導電性シリコーンゴム10a,10bが塗布されたコロナ防止テープまたはシートを巻回してコロナ防止層6を形成した構成とする。
【0027】
ここでは、半導電性シリコーンゴム10a,10bとして例えばGE東芝シリコーン製のXE16−610を用い、熱収縮性の高分子フィルム8(例えば、東レ製収縮ルミラーテープ)の両面に塗布し硬化してコロナ防止テープを製作した。
【0028】
このようにして得られたコロナ防止テープの性能を調べるために、10mm×50mm×800mmのアルミニウム角棒に1/2重ね巻きで未含浸の集成マイカテープを巻回して前記比較例1,2と絶縁厚が同じになるように形成した。その絶縁範囲の中央部300mm長さに本実施形態のコロナ防止テープを1/2重ね1回巻きし、更にその上に鉄板を当てて模擬スロットを形成し、無溶剤のエピビス系エポキシ樹脂を用いて真空加圧含浸処理後、加熱硬化してコイルを得た。次に、得られたコイルの誘電特性として電圧−tanδ特性を試験した。その結果は、図7に示すように第1の実施の形態で得られた比較例1,2より電圧−tanδは低値であった。
【0029】
このように、本実施の形態におけるコロナ防止テープまたはシートは、弾性体である半導電性シリコーンゴム10a,10bが熱収縮性の高分子フィルム8の両面に設けられているため、コイル絶縁層2表面および固定子鉄心スロット4面との馴染みが良く、平坦な高分子フィルム8の面に比して凹凸のあるシリコーンゴム10a,10bがコロナ防止テープまたはシートの重複部間に配置されるので、コロナ防止層6とコイル絶縁層2との界面或いは、コロナ防止テープまたはシートの重複部間に、含浸樹脂の未含浸又は樹脂の抜け落ちによる剥離やボイドの発生を防止することができる。したがって、コイル絶縁層2の誘電特性の低下や回転電機の長期運転中の熱劣化や熱収縮および電磁振動等の作用により、コイル絶縁層2が損傷を受けて絶縁特性の低下を招くことがない。
【0030】
次に本発明の第3の実施の形態を説明する。
この実施の形態では、固定子コイル3と固定子鉄心スロット4間での部分放電の発生を防止するために、固定子鉄心スロット4長とほぼ同じ範囲のコイル絶縁層2表面の外周部に、図4に示すように、半導電性樹脂が塗布された熱収縮性のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン等の有機繊維から成る織布及び不織布のいずれかを用いた半導電性高分子繊維材11の片面に、集成マイカとエポキシ樹脂組成物とから成る集成マイカ絶縁部材9を貼り合せて構成されたコロナ防止テープまたはシートを巻回して、コロナ防止層6を形成した構成とする。
【0031】
半導電性樹脂が塗布された熱収縮性の半導電性高分子繊維材11としては、炭素粉末をエポキシ樹脂に配合し、熱収縮性を有するポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン等の高分子繊維材に塗布し硬化させたものである。ここでは、高分子繊維材としてポリエステル繊維織布(例えば、帝人製テトロンクロステープ)を用いた。また、コイル絶縁層2との適合性の観点から集成マイカ絶縁部材9には、コイル絶縁層2と同じ集成マイカ材を用い、前記ポリエステルクロステープの片面に貼り合せてコロナ防止テープを製作した。
【0032】
このようにして得られたコロナ防止テープの特性を調べるために、10mm×50mm×800mmのアルミニウム角棒に1/2重ね巻きで未含浸の集成マイカテープを巻回して前記比較例1,2と絶縁厚が同じになるように形成した。その絶縁範囲の中央部300mm長さに本実施の形態のコロナ防止テープを1/2重ね1回巻きし、更にその上に鉄板を当てて模擬スロットを形成し、無溶剤のエピビス系エポキシ樹脂を用いて真空加圧含浸処理後、加熱硬化してコイルを得た。次に、得られたコイルの誘電特性として電圧−tanδ特性を試験した。その結果は、図7に示すように第1の実施の形態で得られた比較例1,2より−tanδ特性は低値であった。
【0033】
このように、本実施の形態におけるコロナ防止テープまたはシートは、熱収縮性の半導電性高分子繊維11と集成マイカ絶縁部材9が一体化されているため、同じ集成マイカから成るコイル絶縁層2との馴染みが良く、コロナ防止材の重複部間に含浸性の良い集成マイカ絶縁部材が配置されるので、コロナ防止材と絶縁層2との界面或いは、コロナ防止材が重複する層間に、含浸樹脂の未含浸又は樹脂の抜け落ちによる剥離やボイドの発生を防止することができる。したがってコイル絶縁層2の誘電特性の低下や回転電機の長期運転中の熱劣化や熱収縮および電磁振動等の作用により、コイル絶縁層2が損傷を受けて絶縁特性の低下を招くことがない。
【0034】
次に本発明の第4の実施の形態を説明する。
この実施の形態では、固定子コイル3と固定子鉄心スロット4間での部分放電の発生を防止するために、固定子鉄心スロット4長とほぼ同じ範囲のコイル絶縁層2表面の外周部に、図5に示すように、無機繊維材に半導電性シリコーンゴムが塗布された半導電性無機繊維材12の片面に、集成マイカとエポキシ樹脂組成物とから成る集成マイカ絶縁部材9を貼り合せて構成されたコロナ防止テープまたはシートを巻回して、コロナ防止層6を形成した構成とする。
【0035】
ここでは、無機繊維材にアルミナ繊維テープ(例えば、住友化学工業製アルテックス)を用い、半導電性シリコーンゴム(例えば、GE東芝シリコーン製のXE16−610)を塗布して半導電性無機繊維材12を得た。また、コイル絶縁層2との適合性の観点から前記集成マイカ絶縁部材9には、コイル絶縁層2と同じ集成マイカ材を用い、前記半導電性無機繊維材12の片面に貼り合せてコロナ防止テープを製作した。
【0036】
このようにして得られたコロナ防止テープの特性を調べるために、10mm×50mm×800mmのアルミニウム角棒に1/2重ね巻きで未含浸の集成マイカテープを巻回して前記比較例1,2と絶縁厚が同じになるように形成した。その絶縁範囲の中央部300mm長さに本実施の形態のコロナ防止テープを1/2重ね1回巻きし、更にその上に鉄板を当てて模擬スロットを形成し、無溶剤のエピビス系エポキシ樹脂を用いて真空加圧含浸処理後、加熱硬化してコイルを得た。次に、得られたコイルの誘電特性として電圧−tanδ特性を試験した。その結果は、図7に示すように第1の実施の形態で得られた比較例1,2より−tanδ特性は低値であった。
【0037】
このように、本実施の形態におけるコロナ防止テープまたはシートは、無機繊維材に半導電性シリコーンゴムが塗布された半導電性無機繊維材12に、含浸性および樹脂保持性の良い集成マイカ絶縁部材9が一体化されているため、半導電性無機繊維材12からの含浸樹脂の流出がなく、同じ集成マイカから成るコイル絶縁層2および固定子鉄心スロット4との馴染みも良い。そのため、含浸樹脂の流出防止としてロナ防止材とは別に熱収縮性を有するフィルム等を絶縁層2の表面の外周部に巻回する必要がない。また、含浸性の良い集成マイカ絶縁部材9がコロナ防止材の重複部間に配置されるので、コロナ防止層6と絶縁層2との界面或いは、コロナ防止材が重複する層間に、含浸樹脂の未含浸又は樹脂の抜け落ちによる剥離やボイドの発生を防止することができる。したがって、コイル絶縁層2の誘電特性の低下や回転電機の長期運転中に熱劣化や熱収縮および電磁振動等の作用により、コイル絶縁層2が損傷を受けて絶縁特性の低下を招くことがない。
【0038】
次に本発明の第5の実施の形態を説明する。
この実施の形態では、固定子コイル3と固定子鉄心スロット4間での部分放電の発生を防止するために、固定子鉄心スロット4長とほぼ同じ範囲のコイル絶縁層2表面の外周部に、図6に示すように、金属メッキされた熱収縮性のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン等の有機繊維から成る織布及び不織布のいずれかを用いた金属メッキ高分子繊維材13から成るコロナ防止テープまたはシートを巻回してコロナ防止層6を形成した構成とする。
【0039】
ここでは、ポリエステル織布に銅とニッケルをメッキした金属メッキ工分子繊維13(例えば、大和紡績製のテトロン/Cu−Niメッキクロス)をコロナ防止テープとして用いた。このコロナ防止テープの特性を調べるために、10mm×50mm×800mmのアルミニウム角棒に1/2重ね巻きで未含浸の集成マイカテープを巻回して絶縁厚が前記比較例1,2と同じになるように形成した。その絶縁範囲の中央部300mm長さに本実施の形態のコロナ防止テープを1/2重ね1回巻きし、更にその上に鉄板を当てて模擬スロットを形成し、無溶剤のエピビス系エポキシ樹脂を用いて真空加圧含浸処理後、加熱硬化してコイルを得た。次に、得られたコイルの誘電特性として電圧−tanδ特性を試験した。その結果は、図7に示すように第1の実施の形態で得られた比較例1,2より電圧−tanδ特性は低値であった。
【0040】
このように、本実施の形態におけるコロナ防止テープまたはシートは、熱収縮性の高分子繊維材13の表面が金属でメッキされているため、導電性でかつ含浸性が良く、含浸樹脂を加熱硬化する際に熱収縮するので、高分子繊維材13からの含浸樹脂の流出がなく、集成マイカから成るコイル絶縁層2および固定子鉄心スロット4との馴染みも良く、含浸樹脂の未含浸又は樹脂の抜け落ちによる剥離やボイドの発生を防止することができる。そのため、コイル絶縁層2の誘電特性の低下や回転電機の長期運転中に熱劣化や熱収縮および電磁振動等の作用により、コイル絶縁層2が損傷を受けて絶縁特性の低下を招くことがない。
【0041】
【発明の効果】
本発明によれば、含浸樹脂の抜け落ち防止のためにコロナ防止材とは別に熱収縮性を有するフィルム等をコイル絶縁層の表面に巻回する必要が無く、固定子コイル絶縁層内又はコロナ防止層とコイル絶縁層との界面或いは、コロナ防止層内に、含浸樹脂の未含浸又は樹脂の抜け落ちによる剥離やボイドの発生がなく、固定子コイル絶縁の誘電特性の低下や回転電機の長期運転による熱劣化や熱収縮および電磁振動等によりコイル絶縁層が損傷を受けて絶縁特性の低下を招くことのない回転電機の固定子コイルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来および本発明の実施の形態の回転電機の固定子コイルを示す断面図。
【図2】本発明の第1の実施の形態の回転電機の固定子コイルに用いられるコロナ防止テープまたはシートの構成を示す断面図。
【図3】本発明の第2の実施の形態の回転電機の固定子コイルに用いられるコロナ防止テープまたはシートの構成を示す断面図。
【図4】本発明の第3の実施の形態の回転電機の固定子コイルに用いられるコロナ防止テープまたはシートの構成を示す断面図。
【図5】本発明の第4の実施の形態の回転電機の固定子コイルに用いられるコロナ防止テープまたはシートの構成を示す断面図。
【図6】本発明の第5の実施の形態の回転電機の固定子コイルに用いられるコロナ防止テープまたはシートの構成を示す断面図。
【図7】本発明の第1から第5の実施の形態および比較例1,2のコイル絶縁の電圧−tanδ特性を示す曲線図。
【符号の説明】
1…素線導体、2…コイル絶縁層、3…固定子コイル、4…固定子鉄心スロット、5…固定子鉄心、6…コロナ防止層、7…半導電性樹脂、8…集成マイカ絶縁部材、9…集成マイカ絶縁部材、10a,10b…半導電性シリコーンゴム、11…半導電性高分子繊維材、12…半導電性無機繊維材、13…金属メッキ高分子繊維材。

Claims (4)

  1. 絶縁被覆が施された素線束上に未含浸の集成マイカテープを多重巻回して成る絶縁層の表面にコロナ防止層を設け固定子鉄心に収納結線後、前記固定子鉄心とともに熱硬化性樹脂中に浸漬して真空加圧含浸処理後、加熱硬化して成る回転電機の固定子コイルにおいて、前記コロナ防止層は、半導電性樹脂が塗布された熱収縮性の高分子フィルムの反対面に前記集成マイカテープを構成する集成マイカと同じ集成マイカとエポキシ樹脂組成物とから成る集成マイカ絶縁部材を貼り合せて構成されたコロナ防止テープまたはシートを巻回して形成されていることを特徴とする回転電機の固定子コイル。
  2. 絶縁被覆が施された素線束上に未含浸の集成マイカテープを多重巻回して成る絶縁層の表面にコロナ防止層を設け固定子鉄心に収納結線後、前記固定子鉄心とともに熱硬化性樹脂中に浸漬して真空加圧含浸処理後、加熱硬化して成る回転電機の固定子コイルにおいて、前記コロナ防止層は、半導電性樹脂が塗布された熱収縮性の高分子繊維材の片面に前記集成マイカテープを構成する集成マイカと同じ集成マイカとエポキシ樹脂組成物とから成る集成マイカ絶縁部材を貼り合せて構成されたコロナ防止テープまたはシートを巻回して形成されていることを特徴とする回転電機の固定子コイル。
  3. 絶縁被覆が施された素線束上に未含浸の集成マイカテープを多重巻回して成る絶縁層の表面にコロナ防止層を設け固定子鉄心に収納結線後、前記固定子鉄心とともに熱硬化性樹脂中に浸漬して真空加圧含浸処理後、加熱硬化して成る回転電機の固定子コイルにおいて、前記コロナ防止層は、無機繊維材に半導電性シリコーンゴムが塗布された半導電性無機繊維材の片面に前記集成マイカテープを構成する集成マイカと同じ集成マイカとエポキシ樹脂組成物とから成る集成マイカ絶縁部材を貼り合せて構成されたコロナ防止テープまたはシートを巻回して形成されていることを特徴とする回転電機の固定子コイル。
  4. 前記無機繊維材はガラスまたはアルミナの織布または不織布であることを特徴とする請求項に記載の回転電機の固定子コイル。
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