JP6471723B2 - 磁性トナー - Google Patents

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Description

本発明は、静電潜像現像用トナーに関する。
識別マークを用いた偽造防止方法として、MICR(Magnetic Ink Character Recognition)システムが知られている。MICRシステムでは、磁性インク又は磁性トナーを用いて、所定の媒体(より具体的には、小切手、有価証券、請求書、又はチケット等)に所定の識別マークを印刷してから、その媒体を流通させる。一般に、識別マークは、数字と記号との組合せで構成される。流通後は、識別マークに含まれる所定の情報(より具体的には、マークの形状、及び磁気情報等)を、専用の読取機を用いて読み取ることで、その媒体の真偽を判断することができる。
例えば特許文献1に、MICRシステムで用いられる磁性トナー(MICR用トナー)が開示されている。特許文献1に記載される磁性トナーでは、トナー粒子の残留磁化σrが4≦σr≦7emu/gである。
特開平6−282100号公報
しかしながら、特許文献1に開示される技術だけでは、磁性粉の分散性、磁気読取性、及び定着性に優れ、常温常湿環境及び高温高湿環境のいずれの環境下でも高画質の画像を形成できる磁性トナーを提供することは困難である。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、磁性粉の分散性、磁気読取性、及び定着性に優れ、常温常湿環境及び高温高湿環境のいずれの環境下でも高画質の画像を形成できる磁性トナーを提供することを目的とする。
本発明に係る磁性トナーは、結晶性ポリエステル樹脂と、非結晶性樹脂と、磁性粉とを含有するトナー粒子を、複数含む。前記磁性粉は、アスペクト比2.0以上の針状磁性粒子の粉体である針状磁性粉と、アスペクト比2.0未満の非針状磁性粒子の粉体である非針状磁性粉とを含む。前記針状磁性粒子は、ニグロシンで表面処理されている。前記磁性トナーの残留磁化は7emu/g以上20emu/g以下である。
本発明によれば、磁性粉の分散性、磁気読取性、及び定着性に優れ、常温常湿環境及び高温高湿環境のいずれの環境下でも高画質の画像を形成できる磁性トナーを提供することが可能になる。
本発明の実施形態について説明する。なお、粉体(より具体的には、トナー母粒子、磁性粉、外添剤、又はトナー等)に関する評価結果(形状又は物性などを示す値)は、何ら規定していなければ、粉体から平均的な粒子を相当数選び取って、それら平均的な粒子の各々について測定した値の個数平均である。
粉体の個数平均粒子径は、何ら規定していなければ、顕微鏡を用いて測定された1次粒子の円相当径(粒子の投影面積と同じ面積を有する円の直径)の個数平均値である。また、粉体の体積中位径(D50)の測定値は、何ら規定していなければ、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(株式会社堀場製作所製「LA−750」)を用いて測定した値である。また、軟化点(Tm)は、何ら規定していなければ、高化式フローテスター(株式会社島津製作所製「CFT−500D」)を用いて測定した値である。高化式フローテスターで測定されたS字カーブ(横軸:温度、縦軸:ストローク)において、「(ベースラインストローク値+最大ストローク値)/2」となる温度が、Tm(軟化点)に相当する。また、融点(Mp)の測定値は、何ら規定していなければ、示差走査熱量計(セイコーインスツル株式会社製「DSC−6220」)を用いて測定されるDSC曲線中の最大吸熱ピークの温度である。また、BET比表面積の測定値は、何ら規定していなければ、全自動BET比表面積測定装置(株式会社マウンテック製「Macsorb(登録商標)HM MODEL−1208」)を用いて測定した値である。
以下、化合物名の後に「系」を付けて、化合物及びその誘導体を包括的に総称する場合がある。化合物名の後に「系」を付けて重合体名を表す場合には、重合体の繰返し単位が化合物又はその誘導体に由来することを意味する。また、アクリル及びメタクリルを包括的に「(メタ)アクリル」と総称する場合がある。
本実施形態に係る磁性トナーは、例えばMICRシステムで、正帯電性トナーからなる1成分現像剤として、静電潜像の現像に好適に用いることができる。本実施形態の磁性トナーは、複数のトナー粒子(それぞれ後述する構成を有する磁性粒子)を含む粉体である。
本実施形態に係る磁性トナーは、例えば電子写真装置(画像形成装置)において画像の形成に用いることができる。正帯電性トナーは、画像形成装置において、摩擦により正に帯電する。以下、電子写真装置による画像形成方法の一例について説明する。
まず、画像データに基づいて感光体(例えば、アモルファスシリコン(a−Si)感光体ドラムの表層部)に静電潜像を形成する。次に、形成された静電潜像を、トナーを用いて現像する。現像工程では、感光体の近傍に配置された現像スリーブ(例えば、現像装置内の現像ローラーの表層部)上のトナー(例えば、ブレードとの摩擦により帯電したトナー)を静電潜像に付着させて、感光体上にトナー像を形成する。そして、続く転写工程では、感光体上のトナー像を記録媒体(例えば、紙)に転写する。その後、トナーを加熱して、記録媒体にトナーを定着させる。その結果、記録媒体に画像が形成される。
本実施形態に係る磁性トナーは、複数のトナー粒子を含む。トナー粒子は、外添剤を備えていてもよい。トナー粒子が外添剤を備える場合には、トナー粒子はトナー母粒子と外添剤とを備える。外添剤はトナー母粒子の表面に付着している。トナー母粒子は、結着樹脂と磁性粉とを含有する。トナー母粒子は、必要に応じて、磁性粉以外の内添剤(例えば、離型剤、着色剤、及び電荷制御剤の少なくとも1つ)を含有していてもよい。なお、必要がなければ外添剤を割愛してもよい。外添剤を割愛する場合には、トナー母粒子がトナー粒子に相当する。
本実施形態に係る磁性トナーに含まれるトナー粒子は、シェル層を備えないトナー粒子(以下、非カプセルトナー粒子と記載する)であってもよいし、シェル層を備えるトナー粒子(以下、カプセルトナー粒子と記載する)であってもよい。カプセルトナー粒子では、トナー母粒子が、コアと、コアの表面を覆うシェル層とを備える。シェル層は、実質的に樹脂から構成される。例えば、低温で溶融するコアを、耐熱性に優れるシェル層で覆うことで、トナーの耐熱保存性及び低温定着性の両立を図ることが可能になる。シェル層を構成する樹脂中に添加剤が分散していてもよい。シェル層は、コアの表面全体を覆っていてもよいし、コアの表面を部分的に覆っていてもよい。トナーの定着性を向上させるためには、カプセルトナー粒子のコアが、実質的に熱可塑性樹脂から構成されることが好ましい。カプセルトナー粒子では、後述する非カプセルトナー粒子におけるトナー母粒子をコアとして使用できる。シェル層は、実質的に熱硬化性樹脂から構成されてもよいし、実質的に熱可塑性樹脂から構成されてもよいし、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂との両方を含有していてもよい。
本実施形態に係る磁性トナーは、次に示す基本構成を有する。
(磁性トナーの基本構成)
磁性トナーが、結晶性ポリエステル樹脂と、非結晶性樹脂と、磁性粉とを含有するトナー粒子を、複数含む。磁性粉は、アスペクト比2.0以上の針状磁性粒子の粉体(以下、針状磁性粉と記載する)と、アスペクト比2.0未満の非針状磁性粒子の粉体(以下、非針状磁性粉と記載する)とを含む。針状磁性粒子は、ニグロシンで表面処理されている。磁性トナーの残留磁化は7emu/g以上20emu/g以下である。なお、アスペクト比は、粒子の顕微鏡像に基づいて測定される粒子の「最大長径/最大長径に直交する幅」に相当する。
十分なトナーの残留磁化、定着性、及び帯電性を確保しつつトナー粒子からの磁性粉の脱離を抑制するためには、トナーが針状磁性粉と非針状磁性粉とを含むことが好ましい。非針状磁性粉よりも針状磁性粉のほうが、トナーに対する残留磁化付与性が高い傾向がある。非針状磁性粉だけでトナーに十分な残留磁化を付与するために、トナーに多量の磁性粉を含ませると、十分なトナーの定着性を確保しにくくなる。他方、トナー粒子中の磁性粉の分散性は、針状磁性粉よりも非針状磁性粉のほうが優れる傾向がある。トナーが針状磁性粉だけを含むと、トナー粒子の表面から針状磁性粉が突出して、他の物体との摩擦などによりトナー粒子から針状磁性粉が脱離し易くなる。また、湿度の高い環境下では、トナー粒子の表面で突出した針状磁性粉に水分が吸着して、トナーの帯電量が低下し易い。トナーの帯電量が不十分になると、画像形成において、画像濃度が低くなり、かぶりが生じ易くなる。MICRシステムにおいて、印刷された識別マークの画質が悪いと、識別マークを正確に読み取ることができない可能性が高くなる。また、MICRシステムにおいて、磁性トナーで形成された識別マークの磁気読取性を高めるためには、その磁性トナーの残留磁化が、7emu/g以上20emu/g以下であることが好ましく、8emu/g以上14emu/g以下であることがより好ましい。
十分なトナーの残留磁化、定着性、及び帯電性を確保しつつトナー粒子からの磁性粉の脱離を抑制するためには、針状磁性粒子のアスペクト比が3.0以上5.0以下であり、非針状磁性粒子のアスペクト比が1.0以上1.5以下であることが特に好ましい。非針状磁性粒子の形状は、球状であってもよいし、多面体状であってもよい。
磁性トナーが7emu/g以上20emu/g以下の残留磁化を有するためには、磁性トナーが、飽和磁化75emu/g以上95emu/g以下かつ残留磁化25emu/g以上50emu/g以下の針状磁性粉と、飽和磁化75emu/g以上95emu/g以下かつ残留磁化5emu/g以上20emu/g以下の非針状磁性粉との混合物であることが好ましい。
発明者は、トナー粒子中に、結晶性ポリエステル樹脂と、ニグロシンで表面処理された針状磁性粒子の粉体(針状磁性粉)とを含有させることで、トナー粒子中における針状磁性粉の分散性を向上させることができることを見出した。結晶性ポリエステル樹脂とニグロシンとが適度に相溶するためであると考えられる。また、トナー粒子中にニグロシンを含有させることで、トナーの正帯電性が向上する。以下、ニグロシンで表面処理される前の針状磁性粒子(未処理粒子)を、処理対象粒子と記載する場合がある。
ニグロシンは、粒子の状態で針状磁性粒子の表面に存在することが好ましい。結晶性ポリエステル樹脂とニグロシンとが相溶し過ぎると、トナー粒子に対するニグロシンの正帯電付与性が低くなる傾向がある。このため、トナーの正帯電性を向上させるためには、ニグロシンが、結晶性ポリエステル樹脂と相溶し過ぎず、粒子の状態で針状磁性粒子の表面に存在することが好ましい。ニグロシン粒子の表面全域のうち面積割合で10%以上70%以下の領域が、処理対象粒子(例えば、フェライト粒子)に接触していることが好ましい。ニグロシン粒子が処理対象粒子に埋まり過ぎると、ニグロシンの正帯電付与性が十分に発揮されない可能性がある。ニグロシン粒子と処理対象粒子との接触面積が小さ過ぎると、ニグロシン粒子と処理対象粒子との接着力が弱くなり、処理対象粒子からニグロシン粒子が脱離し易くなる。なお、トナーの正帯電性が過剰に強くなることを抑制するためには、非針状磁性粒子の表面にはニグロシンが存在しないことが好ましい。
十分なトナーの残留磁化、定着性、及び帯電性を確保しつつトナー粒子からの磁性粉の脱離を抑制するためには、針状磁性粒子が、ニグロシンで表面処理されたフェライト粒子であり、ニグロシンの量が、フェライト粒子100質量部に対して2質量部以上4質量部以下であることが好ましい。
なお、磁性体の飽和磁化(単位:emu/g)、残留磁化(単位:emu/g)、及び保磁力(単位:Oe(エルステッド))は、例えば、次のような方法で測定できる。まず、磁性体を外部磁場(例えば、5kOeの磁場)の中にいれて、磁性体の磁化を飽和させ、磁性体の飽和磁化を測定する。続けて、外部磁場をゼロにして、磁性体の残留磁化を測定する。続けて、逆向きの外部磁場を磁性体にかけて磁性体の磁化をゼロにした時の外部磁場の強さ(保磁力)を測定する。なお、磁性体の磁気ヒステリシス曲線を測定し、磁気ヒステリシス曲線から飽和磁化等を読み取ってもよい。
トナーの耐熱保存性及び低温定着性の両立を図るためには、トナー母粒子の体積中位径(D50)が4μm以上9μm以下であることが好ましい。
以下、非カプセルトナー粒子の構成の好適な例について説明する。トナー母粒子及び外添剤について、順に説明する。トナーの用途に応じて必要のない成分(例えば、内添剤又は外添剤)を割愛してもよい。
[トナー母粒子]
(結着樹脂)
トナー母粒子では、一般に、成分の大部分(例えば、85質量%以上)を結着樹脂が占める。このため、結着樹脂の性質がトナー母粒子全体の性質に大きな影響を与えると考えられる。結着樹脂として複数種の樹脂を組み合わせて使用することで、結着樹脂の性質(より具体的には、水酸基価、酸価、Tg、又はTm等)を調整することができる。結着樹脂がエステル基、水酸基、エーテル基、酸基、又はメチル基を有する場合には、トナー母粒子はアニオン性になる傾向が強くなり、結着樹脂がアミノ基又はアミド基を有する場合には、トナー母粒子はカチオン性になる傾向が強くなる。
前述の基本構成を有する磁性トナーでは、トナー母粒子が、結着樹脂として、結晶性ポリエステル樹脂及び非結晶性樹脂を含有する。
トナーの低温定着性を向上させるためには、トナー母粒子に含有される結晶性ポリエステル樹脂の結晶性指数が0.90以上1.50以下であることが好ましい。こうした結晶性指数を有する結晶性ポリエステル樹脂は、シャープメルト性に優れる。なお、結晶性指数は、融点(Mp)に対する軟化点(Tm)の比率(=Tm/Mp)である。非結晶性ポリエステル樹脂については、明確なMpを測定できないことが多い。ポリエステル樹脂の結晶性指数は、ポリエステル樹脂を合成するための材料(例えば、アルコール及び/又はカルボン酸)の種類又は使用量を変更することで、調整できる。
非結晶性樹脂としては、例えば、スチレン系樹脂、アクリル酸系樹脂(より具体的には、アクリル酸エステル重合体又はメタクリル酸エステル重合体等)、オレフィン系樹脂(より具体的には、ポリエチレン樹脂又はポリプロピレン樹脂等)、塩化ビニル樹脂、ポリビニルアルコール、ビニルエーテル樹脂、N−ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、又はウレタン樹脂のような熱可塑性樹脂が好ましい。また、これら各樹脂の共重合体、すなわち上記樹脂中に任意の繰返し単位が導入された共重合体(より具体的には、スチレン−アクリル酸系樹脂又はスチレン−ブタジエン系樹脂等)も、非結晶性樹脂として好適に使用できる。
トナーの耐熱保存性及び低温定着性の両立を図るためには、トナー母粒子が、非結晶性樹脂としてポリエステル樹脂及び/又はスチレン−アクリル酸系樹脂を含有することが好ましい。
ポリエステル樹脂は、1種以上のアルコールと1種以上のカルボン酸とを縮重合させることで得られる。ポリエステル樹脂はアルコール成分と酸成分とを含む。ポリエステル樹脂を合成するためのアルコールとしては、例えば以下に示すような、2価アルコール(より具体的には、ジオール類又はビスフェノール類等)又は3価以上のアルコールを好適に使用できる。ポリエステル樹脂を合成するためのカルボン酸としては、例えば以下に示すような、2価カルボン酸又は3価以上のカルボン酸を好適に使用できる。
ジオール類の好適な例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、2−ブテン−1,4−ジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、又はポリテトラメチレングリコールが挙げられる。
ビスフェノール類の好適な例としては、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、又はビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物が挙げられる。
3価以上のアルコールの好適な例としては、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、ジグリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、又は1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼンが挙げられる。
2価カルボン酸の好適な例としては、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、マロン酸、コハク酸、アルキルコハク酸(より具体的には、n−ブチルコハク酸、イソブチルコハク酸、n−オクチルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、又はイソドデシルコハク酸等)、又はアルケニルコハク酸(より具体的には、n−ブテニルコハク酸、イソブテニルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸、又はイソドデセニルコハク酸等)が挙げられる。
3価以上のカルボン酸の好適な例としては、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、又はエンポール三量体酸が挙げられる。
スチレン−アクリル酸系樹脂は、1種以上のスチレン系モノマーと1種以上のアクリル酸系モノマーとの共重合体である。スチレン−アクリル酸系樹脂を合成するためには、例えば以下に示すような、スチレン系モノマー及びアクリル酸系モノマーを好適に使用できる。カルボキシル基を有するアクリル酸系モノマーを用いることで、スチレン−アクリル酸系樹脂にカルボキシル基を導入できる。また、水酸基を有するモノマー(より具体的には、p−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、又は(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル等)を用いることで、スチレン−アクリル酸系樹脂に水酸基を導入できる。
スチレン系モノマーの好適な例としては、スチレン、アルキルスチレン(より具体的には、α−メチルスチレン、p−エチルスチレン、又は4−tert−ブチルスチレン等)、p−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、ビニルトルエン、α−クロロスチレン、o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、又はp−クロロスチレンが挙げられる。
アクリル酸系モノマーの好適な例としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、又は(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルが挙げられる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルの好適な例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸iso−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸iso−ブチル、又は(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルが挙げられる。(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルの好適な例としては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、又は(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチルが挙げられる。
(着色剤)
トナー母粒子は、着色剤(例えば、黒色着色剤)を含有していてもよい。黒色着色剤の例としては、カーボンブラック、オイルファーネスブラック、チャンネルブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、又はアニリンブラックが挙げられる。
黒色着色剤の量は、結着樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上10質量部以下であることが好ましい。
(離型剤)
トナー母粒子は、離型剤を含有していてもよい。離型剤は、例えば、トナーの定着性又は耐オフセット性を向上させる目的で使用される。トナーの定着性又は耐オフセット性を向上させるためには、離型剤の量は、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上30質量部以下であることが好ましい。
離型剤としては、例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、ポリオレフィン共重合物、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、又はフィッシャートロプシュワックスのような脂肪族炭化水素ワックス;酸化ポリエチレンワックス又はそのブロック共重合体のような脂肪族炭化水素ワックスの酸化物;キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、ホホバろう、又はライスワックスのような植物性ワックス;みつろう、ラノリン、又は鯨ろうのような動物性ワックス;オゾケライト、セレシン、又はペトロラタムのような鉱物ワックス;モンタン酸エステルワックス又はカスターワックスのような脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスのような、脂肪酸エステルの一部又は全部が脱酸化したワックスを好適に使用できる。1種類の離型剤を単独で使用してもよいし、複数種の離型剤を併用してもよい。
(電荷制御剤)
トナー母粒子は、電荷制御剤を含有させてもよい。電荷制御剤は、例えば、トナーの帯電安定性又は帯電立ち上がり特性を向上させる目的で使用される。トナーの帯電立ち上がり特性は、短時間で所定の帯電レベルにトナーを帯電可能か否かの指標になる。
トナー母粒子に負帯電性の電荷制御剤を含有させることで、トナー母粒子のアニオン性を強めることができる。また、トナー母粒子に正帯電性の電荷制御剤を含有させることで、トナー母粒子のカチオン性を強めることができる。ただし、トナーにおいて十分な帯電性が確保される場合には、トナー母粒子に電荷制御剤を含有させる必要はない。
正帯電性の電荷制御剤としては、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、1,2−オキサジン、1,3−オキサジン、1,4−オキサジン、1,2−チアジン、1,3−チアジン、1,4−チアジン、1,2,3−トリアジン、1,2,4−トリアジン、1,3,5−トリアジン、1,2,4−オキサジアジン、1,3,4−オキサジアジン、1,2,6−オキサジアジン、1,3,4−チアジアジン、1,3,5−チアジアジン、1,2,3,4−テトラジン、1,2,4,5−テトラジン、1,2,3,5−テトラジン、1,2,4,6−オキサトリアジン、1,3,4,5−オキサトリアジン、フタラジン、キナゾリン、又はキノキサリンのようなアジン化合物;アジンファストレッドFC、アジンファストレッド12BK、アジンバイオレットBO、アジンブラウン3G、アジンライトブラウンGR、アジンダークグリ−ンBH/C、アジンディープブラックEW、又はアジンディープブラック3RL、又はニグロシンのような染料;ナフテン酸又は高級有機カルボン酸の金属塩類;アルコキシル化アミン;アルキルアミド;ベンジルデシルヘキシルメチルアンモニウムクロライド、又はデシルトリメチルアンモニウムクロライドのような4級アンモニウム塩を好適に使用できる。上記正帯電性の電荷制御剤は、2種以上を組み合わせて使用できる。トナーの帯電立ち上がり特性を向上させるためには、上記正帯電性の電荷制御剤のうち、ニグロシン及び/又は4級アンモニウム塩を用いることが特に好ましい。
(磁性粉)
前述の基本構成を有する磁性トナーでは、トナー母粒子が、針状磁性粉(アスペクト比2.0以上の針状磁性粒子の粉体)と、非針状磁性粉(アスペクト比2.0未満の非針状磁性粒子の粉体)とを含有する。
針状磁性粉及び非針状磁性粉の各々の材料としては、例えば、強磁性金属(より具体的には、鉄、コバルト、ニッケル、又はこれら金属の1種以上を含む合金等)、強磁性金属酸化物(より具体的には、フェライト、マグネタイト、又は二酸化クロム等)、又は強磁性化処理が施された材料(より具体的には、熱処理により強磁性が付与された炭素材料等)を好適に使用できる。
針状磁性粒子は、ニグロシンで表面処理されている。ニグロシンは、アニリン化合物(より具体的には、アニリン又はアニリン塩酸塩等)と芳香族ニトロ化合物(より具体的には、ニトロベンゼン、ニトロフェノール、又はニトロクレゾール等)とを、触媒(より具体的には、鉄、塩化鉄、又は銅等)の存在下で酸化還元縮合反応させることによって得られる。こうして得られるニグロシンは、1種以上のアジン化合物を含む混合物であることが多い。アジン化合物は、環内に窒素原子を1個以上有する6員環を含む化合物である。ニグロシンの好適な例としては、フェナジン骨格を有するアジン化合物が挙げられる。
ニグロシン(C.I.ソルベントブラック5、C.I.ソルベントブラック7、及び他のニグロシン)の具体例として、オリヱント化学工業株式会社製の市販品を、以下に示す。なお、1種類の市販品を単独で使用してもよいし、2種以上の市販品を混ぜて使用してもよい。また、市販品に代えて又は加えて、市販品以外のニグロシン(特注品又は自作品)を使用してもよい。
(C.I.ソルベントブラック5)
・SPIRIT BLACK:「ABL」
・NUBIAN(登録商標)BLACK:「NH−805」/「NH−815」
(C.I.ソルベントブラック7)
・NIGROSINE BASE:「EX」/「EX−BP」/「SAPL」
・SPECIAL BLACK:「EB」
・NUBIAN BLACK:「TN−870」/「TN−877」/「TH−807」
(他のニグロシン)
・BONTRON(登録商標):「N−71」/「N−75」/「N−79」
針状磁性粒子の表面処理で使用されるニグロシンは、トナー母粒子が内添剤として含有するニグロシンと同じであってもよい。これらを同じ物質にすることで、帯電傾向のばらつきに起因するトナー母粒子の変質などを抑制し、トナーの信頼性を高めることが可能になる。
針状磁性粒子は、ニグロシンのほかに、ニグロシン以外の表面処理剤(以下、他の表面処理剤と記載する)でさらに表面処理されていてもよい。他の表面処理剤の例としては、シラン化合物又はシリコーンオイルが挙げられる。
ニグロシンを含有する樹脂膜で針状磁性粒子の表面を覆ってもよい。
[外添剤]
トナー母粒子の表面に外添剤(詳しくは、複数の外添剤粒子を含む粉体)を付着させてもよい。例えば、トナー母粒子(粉体)と外添剤(粉体)とを一緒に攪拌することで、物理的な力でトナー母粒子の表面に外添剤が付着(物理的結合)する。外添剤は、例えばトナーの流動性又は取扱性を向上させるために使用される。トナー粒子からの外添剤粒子の脱離を抑制しながら外添剤の機能を十分に発揮させるためには、外添剤の量(複数種の外添剤粒子を使用する場合には、それら外添剤粒子の合計量)が、トナー母粒子100質量部に対して、0.5質量部以上10質量部以下であることが好ましい。また、トナーの流動性又は取扱性を向上させるためには、外添剤の粒子径は0.01μm以上1.0μm以下であることが好ましい。
外添剤粒子としては、無機粒子が好ましく、シリカ粒子、又は金属酸化物(より具体的には、アルミナ、ジルコニア、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、チタン酸ストロンチウム、又はチタン酸バリウム等)の粒子が特に好ましい。ただし、外添剤粒子として、樹脂粒子を使用してもよい。1種類の外添剤粒子を単独で使用してもよいし、複数種の外添剤粒子を併用してもよい。
[トナーの製造方法]
前述の基本構成を有する磁性トナーを容易かつ好適に製造するためには、例えば、次に示す溶融混練工程、粉砕工程、洗浄工程、乾燥工程、及び外添工程を含むトナーの製造方法が好ましい。
(溶融混練工程)
以下、溶融混練工程の一例について説明する。溶融混練工程では、結晶性ポリエステル樹脂、非結晶性樹脂、及び磁性粉を含むトナー材料(例えば、結晶性ポリエステル樹脂、非結晶性ポリエステル樹脂、着色剤、離型剤、電荷制御剤、及び磁性粉)を混合して、混合物を得る。使用される磁性粉は、前述の基本構成で規定される構成を有する。詳しくは、磁性粉は、針状磁性粉と非針状磁性粉とを含む。針状磁性粒子は、ニグロシンで表面処理されている。例えば、針状磁性粉とニグロシンとの混合物を、混合装置(例えば、FMミキサー)を用いて適当な回転速度(例えば、800rpm以上2800rpm以下)で適当な時間(例えば、30秒間以上10分間以下)攪拌することで、容易に針状磁性粒子をニグロシンで表面処理できる。また、液中でニグロシンと他の表面処理剤とを相溶させて、その液中に針状磁性粒子を加えて液を攪拌することで、針状磁性粒子をニグロシンと他の表面処理剤とで表面処理してもよい。トナー材料の混合には、混合装置(例えば、FMミキサー)を好適に使用できる。トナー材料としては、結着樹脂及び着色剤を含むマスターバッチを用いてもよい。
続けて、得られた混合物を溶融混練し、溶融混練物を得る。混合物の溶融混練には、二軸押出機、三本ロール混練機、又は二本ロール混練機を好適に使用できる。
(粉砕工程)
以下、粉砕工程の一例について説明する。まず、ドラムフレーカーのような冷却固化装置を用いて溶融混練物を冷却することにより固化する。続けて、第1の粉砕装置を用いて、得られた固化物を粗粉砕する。その後、得られた粗粉砕物を、第2の粉砕装置を用いてさらに粉砕して、粉体を得る。得られた粉体(粉砕物)を、分級機(例えば、風力分級機)を用いて分級してもよい。
(洗浄工程)
粉砕工程の後、例えば水を用いてトナー母粒子を洗浄してもよい。トナー母粒子の洗浄方法としては、例えば、トナー母粒子を含む分散液を固液分離して、ウェットケーキ状のトナー母粒子を回収し、回収されたウェットケーキ状のトナー母粒子を水で洗浄する方法が好ましい。また、トナー母粒子の洗浄方法としては、トナー母粒子を含む分散液中のトナー母粒子を沈降させ、上澄み液を水と置換し、置換後にトナー母粒子を水に再分散させる方法が好ましい。
(乾燥工程)
洗浄工程の後、トナー母粒子を乾燥してもよい。例えば、乾燥機(より具体的には、スプレードライヤー、流動層乾燥機、真空凍結乾燥器、又は減圧乾燥機等)を用いてトナー母粒子を乾燥することができる。乾燥中のトナー母粒子の凝集を抑制するためには、スプレードライヤーを用いてトナー母粒子を乾燥することが好ましい。スプレードライヤーを用いる場合には、例えば、外添剤(より具体的には、シリカ粒子等)が分散した分散液をトナー母粒子に噴霧することで、乾燥工程と後述の外添工程とを同時に行うことが可能になる。
(外添工程)
トナー母粒子の表面に外添剤を付着させてもよい。混合機を用いて、トナー母粒子に外添剤が埋め込まれないような条件でトナー母粒子と外添剤とを混合することで、トナー母粒子の表面に外添剤を付着させることができる。
上記工程により、トナー粒子を多数含むトナーを製造することができる。なお、必要のない工程は割愛してもよい。例えば、市販品をそのまま材料として用いることができる場合には、市販品を用いることで、その材料を調製する工程を割愛できる。また、トナー母粒子の表面に外添剤を付着させない(外添工程を割愛する)場合には、トナー母粒子がトナー粒子に相当する。また、所定の化合物を得るために、原料として、その化合物の塩、エステル、水和物、又は無水物を使用してもよい。効率的にトナーを製造するためには、多数のトナー粒子を同時に形成することが好ましい。同時に製造されたトナー粒子は、互いに略同一の構成を有すると考えられる。
本発明の実施例について説明する。表1に、実施例又は比較例に係るトナーTA−1〜TA−6及びTB−1〜TB−3(それぞれMICR用磁性トナー)を示す。また、表2には、表1に示される各トナーの製造に用いられるフェライト粒子を示す。表3には、針状磁性粉におけるフェライト粒子の表面処理条件を示す。
Figure 0006471723
Figure 0006471723
Figure 0006471723
以下、トナーTA−1〜TA−6及びTB−1〜TB−3の製造方法、評価方法、及び評価結果について、順に説明する。なお、誤差が生じる評価においては、誤差が十分小さくなる相当数の測定値を得て、得られた測定値の算術平均を評価値とした。
[トナーの製造方法]
(結晶性ポリエステル樹脂の準備)
結晶性ポリエステル樹脂として、花王株式会社製の「HDK−C14」を準備した。
(非結晶性ポリエステル樹脂の準備)
ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物(詳しくは、ビスフェノールAを骨格にしてエチレンオキサイドを付加したアルコール)に、多官能基を有する酸(詳しくは、テレフタル酸)を反応させることにより、非結晶性ポリエステル樹脂を合成した。
(非針状磁性粉の準備)
非針状磁性粉としては、表2に示す物性を有するフェライト粒子の粉体を準備した。非針状磁性粉に含まれる非針状磁性粒子のアスペクト比は1.3であった(表2参照)。非針状磁性粒子の形状は、多面体状であった。
(針状磁性粉の準備)
表2に示す物性を有するフェライト粒子(処理対象粒子)の粉体に、表3に示す表面処理を行って、針状磁性粉MA〜MDを得た。詳しくは、FMミキサー(日本コークス工業株式会社製「FM−20B」)を用いて、フェライト粒子(粉体)1000gと、トリメトキシシラン化合物(γ−グリシドオキシプロピレントリメトキシシラン)10gと、表3に示す量のニグロシン(オリヱント化学工業株式会社製「BONTRON N−71」)とを、回転速度500rpmで5分間混合した。例えば、針状磁性粉MAの調製では、フェライト粒子(粉体)1000gに対して、ニグロシンを30g添加した(表3参照)。また、針状磁性粉MDの調製では、ニグロシンを添加しなかった。針状磁性粉MA〜MDの各々に含まれる針状磁性粒子のアスペクト比は、表面処理前と変わらず3.6であった(表2参照)。
(トナー母粒子の作製)
FMミキサー(日本コークス工業株式会社製「FM−20B」)を用いて、結晶性樹脂(前述のように準備した結晶性ポリエステル樹脂)2質量部と、非結晶性樹脂(前述のように準備した非結晶性ポリエステル樹脂)と、着色剤(カーボンブラック:三菱化学株式会社製「MA−100」)5質量部と、離型剤(エステルワックス:日油株式会社製「ニッサンエレクトール(登録商標)WEP−3」)4質量部と、電荷制御剤(ニグロシン:オリヱント化学工業株式会社製「BONTRON N−71」)1質量部と、針状磁性粉(各トナーに定められた、表1に示される針状磁性粉MA〜MDのいずれか)と、非針状磁性粉(前述のように準備した非針状磁性粉)とを、温度40℃かつ回転速度1500rpmで5分間混合した。非結晶性樹脂(非結晶性ポリエステル樹脂)と針状磁性粉と非針状磁性粉との各々の添加量は、表1に示すとおりであった。例えば、トナーTA−1の製造では、非結晶性ポリエステル樹脂を38質量部、針状磁性粉MAを40質量部、非針状磁性粉(フェライト粒子)を10質量部、それぞれ添加した。また、トナーTB−1の製造では、非結晶性ポリエステル樹脂を38質量部、針状磁性粉MAを50質量部、それぞれ添加し、非針状磁性粉を添加しなかった。
続けて、得られた混合物を、2軸押出機(株式会社池貝製「PCM−30」)を用いて溶融混練した。その後、得られた混練物を冷却した。その結果、板状の混練物が得られた。続けて、得られた板状の混練物を、粉砕機(ホソカワミクロン株式会社製「ロートプレックス(登録商標)」)を用いて粗粉砕した。続けて、得られた粗粉砕物を、粉砕機(フロイント・ターボ株式会社製「ターボミルRS型」)を用いて微粉砕した。続けて、得られた微粉砕物を、分級機(日鉄鉱業株式会社製「エルボージェットEJ−LABO型」)を用いて分級した。その結果、体積中位径(D50)6μmのトナー母粒子が得られた。
(外添工程)
FMミキサー(日本コークス工業株式会社製「FM−20B」)を用いて、回転速度1500rpmの条件で、トナー母粒子100質量部と、第1シリカ粒子(キャボット社製「CAB−O−SIL(登録商標)TG−7120」)1.0質量部と、第2シリカ粒子(テイカ株式会社製「MS−220NF」)0.5質量部と、第1酸化チタン粒子(チタン工業株式会社製「EC−100」)1.2質量部と、第2酸化チタン粒子(石原産業株式会社製「ET−808」)0.4質量部とを、5分間混合した。これにより、トナー母粒子の表面に外添剤(シリカ粒子及び酸化チタン粒子)が付着した。その後、300メッシュ(目開き48μm)の篩を用いて篩別を行った。その結果、多数のトナー粒子(磁性粒子)を含む磁性トナー(表1に示されるトナーTA−1〜TA−6及びTB−1〜TB−3)が得られた。
上記のようにして得られたトナーTA−1〜TA−6及びTB−1〜TB−3に関して、残留磁化の測定結果は、表1に示すとおりであった。例えば、トナーTA−1に関しては、残留磁化が12.9emu/gであった。残留磁化の測定条件は、下記のとおりであった。
<残留磁化の測定条件>
・測定装置:高感度振動試料型磁力計(東英工業株式会社製「VSM−P7」)
・測定モード:3/4ループ
・測定磁界範囲:−5kOe〜+5kOe
・サンプル量:約55mg
[評価方法]
各試料(トナーTA−1〜TA−6及びTB−1〜TB−3)の評価方法は、以下のとおりである。
(磁性粉の分散性)
試料(トナー)に含まれるトナー粒子を、ウルトラミクロトーム(RMC社製「MT−6000XL」)を用いて切断し、電子顕微鏡を用いてトナー粒子の断面を観察した。下記基準に従って、磁性粉の分散性を評価した。
○(良い):磁性粉の塊が観察されなかった。
△(普通):磁性粉の小さい塊が観察された。
×(悪い):磁性粉の大きい塊が観察された。
(定着性)
評価機としては、モノクロプリンター(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製「FS−4020DN」)を用いた。インストールモードで評価機の現像装置に試料(トナー)約200gをセットした。また、評価機の定着温度は180℃に設定した。
温度23℃かつ湿度55%RHの環境下、上記評価機を用いて、評価用紙(ニーナ社製「クラシッククレスト(登録商標)」)に印字率90%の画像を形成した。その後、画像が形成された紙を評価機の定着装置に通した。続けて、反射濃度計(X−Rite社製「SpectroEye(登録商標)」)を用いて、定着装置に通した紙上の画像の画像濃度(以下、擦り前IDと記載する)を測定した。続けて、布帛で被覆した1kgの分銅を用いて、評価用紙上の画像を10往復摩擦した。続けて、反射濃度計(SpectroEye)を用いて、評価用紙上の画像の画像濃度(以下、擦り後IDと記載する)を測定した。続けて、式「定着率=100×擦り後ID/擦り前ID」に従って、定着率(単位:%)を求めた。定着率は、擦る前の画像濃度(ID)を基準にして、擦った後で画像濃度(ID)がどの程度低下するかを示している。すなわち、定着率は、画像を構成するトナーのうち十分に定着したトナーの割合を示す指標となる。
◎(非常に良い):定着率が95%以上であった。
○(良い):定着率が90%以上95%未満であった。
×(悪い):定着率が90%未満であった。
(画像濃度及びかぶり濃度)
N/N環境(温度23℃かつ湿度55%RH)下とH/H環境(温度28℃かつ湿度80%RH)下との各々で、画像濃度及びかぶり濃度の各々の評価を行った。所定の環境(N/N環境又はH/H環境)下、試料(トナー)をセットしたモノクロプリンター(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製「FS−2020DN」)を用いて、ソリッド部と空白部とを含むサンプル画像を評価用紙に印刷した。そして、反射濃度計(X−Rite社製「RD914」)を用いて、印刷された紙におけるサンプル画像のソリッド部の反射濃度(ID:画像濃度)を測定した。また、上記反射濃度計(RD914)を用いて、印刷された紙におけるサンプル画像の空白部と、印刷していないベースペーパー(未印刷紙)との各々について、反射濃度を測定した。そして、次の式に基づいて、かぶり濃度(FD)を算出した。
FD=(空白部の反射濃度)−(未印刷紙の反射濃度)
画像濃度(ID)は、下記基準で評価した。
◎(非常に良い):画像濃度(ID)が1.30以上であった。
○(良い):画像濃度(ID)が1.20以上1.30未満であった。
△(普通):画像濃度(ID)が1.10以上1.20未満であった。
×(悪い):画像濃度(ID)が1.10未満であった。
かぶり濃度(FD)は、下記基準で評価した。
◎(非常に良い):かぶり濃度(FD)が0.010未満であった。
○(良い):かぶり濃度(FD)が0.010以上0.020未満であった。
△(普通):かぶり濃度(FD)が0.020以上0.100未満であった。
×(悪い):かぶり濃度(FD)が0.100以上であった。
(磁気読取性)
温度23℃かつ湿度55%RHの環境下、試料(トナー)をセットしたモノクロプリンター(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製「FS−2020DN」)を用いて、評価用紙にE13Bフォントを印字した。MICRリーダー(RDM社製「MICR Qualifier」)を用いて、印字されたフォントの読取率を測定した。読取率が90%以上200%未満であれば○(良い)と評価し、読取率が90%未満又は200%以上であれば×(良くない)と評価した。なお、読取率100%は、標準テストパターンの読取率に相当する。
[評価結果]
トナーTA−1〜TA−6及びTB−1〜TB−3の各々の評価結果を、表4に示す。表4は、磁性粉の分散性(顕微鏡観察による評価結果)、定着性(定着率)、N/N環境下での画像評価(画像濃度及びかぶり濃度)、H/H環境下での画像評価(画像濃度及びかぶり濃度)、及び磁気読取性(読取率)の各々の測定値を示している。
Figure 0006471723
トナーTA−1〜TA−6(実施例1〜6に係る磁性トナー)はそれぞれ、前述の基本構成を有していた。詳しくは、トナーTA−1〜TA−6ではそれぞれ、トナー粒子が、結晶性ポリエステル樹脂と、非結晶性樹脂と、磁性粉とを含有していた。表2に示されるように、磁性粉は、針状磁性粉(アスペクト比2.0以上の針状磁性粒子の粉体)と、非針状磁性粉(アスペクト比2.0未満の非針状磁性粒子の粉体)とを含んでいた。針状磁性粒子は、ニグロシンで表面処理されていた。ニグロシンは、粒子の状態で針状磁性粒子の表面に存在していた。また、非針状磁性粒子の表面にはニグロシンが存在しなかった。表1に示されるように、トナーTA−1〜TA−6の各々の残留磁化は7emu/g以上20emu/g以下であった。
表4に示されるように、トナーTA−1〜TA−6はそれぞれ、磁性粉の分散性、定着性、N/N環境下での画像評価、H/H環境下での画像評価、及び磁気読取性に優れていた。
トナーTB−2(比較例2に係る磁性トナー)は、磁性粉の分散性、及び画像評価で、トナーTA−1〜TA−6よりも劣っていた。トナーTB−2では、磁性粉の分散不良でリークが生じ、トナーの帯電量が不十分になったと考えられる。
なお、トナーTA−1の製造方法において、非結晶性樹脂として、非結晶性ポリエステル樹脂の代わりに非結晶性スチレン−アクリル酸系樹脂(具体的には、スチレンとアクリル酸n−ブチルとの共重合体)を使用した場合にも、全ての評価で良い結果(○又は◎)が得られた。ただし、定着性の評価に関しては、非結晶性ポリエステル樹脂を使用した場合のほうが良かった。
本発明に係る磁性トナーは、例えば複写機、プリンター、又は複合機において画像を形成するために用いることができる。

Claims (9)

  1. 結晶性ポリエステル樹脂と、非結晶性樹脂と、磁性粉とを含有するトナー粒子を、複数含む磁性トナーであって、
    前記磁性粉は、アスペクト比2.0以上の針状磁性粒子の粉体である針状磁性粉と、アスペクト比2.0未満の非針状磁性粒子の粉体である非針状磁性粉とを含み、
    前記針状磁性粒子は、ニグロシンで表面処理されており、
    前記磁性トナーの残留磁化は7emu/g以上20emu/g以下であり、
    前記非針状磁性粒子の表面にはニグロシンが存在しない、磁性トナー。
  2. 前記非結晶性樹脂は、非結晶性ポリエステル樹脂である、請求項1に記載の磁性トナー。
  3. 前記トナー粒子は、
    前記結晶性ポリエステル樹脂と、前記非結晶性樹脂と、前記磁性粉とを含有するトナー母粒子と、
    前記トナー母粒子の表面に付着した外添剤と、
    を備える、請求項1又は2に記載の磁性トナー。
  4. 前記ニグロシンは、粒子の状態で前記針状磁性粒子の表面に存在する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の磁性トナー。
  5. 前記磁性トナーの残留磁化は、8emu/g以上14emu/g以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の磁性トナー。
  6. 飽和磁化75emu/g以上95emu/g以下かつ残留磁化25emu/g以上50emu/g以下の針状磁性粉と、飽和磁化75emu/g以上95emu/g以下かつ残留磁化5emu/g以上20emu/g以下の非針状磁性粉との混合物である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の磁性トナー。
  7. 前記針状磁性粒子は、ニグロシンで表面処理されたフェライト粒子であり、
    前記ニグロシンの量は、前記フェライト粒子100質量部に対して2質量部以上4質量部以下である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の磁性トナー。
  8. 前記針状磁性粒子のアスペクト比は3.0以上5.0以下であり、
    前記非針状磁性粒子のアスペクト比は1.0以上1.5以下である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の磁性トナー。
  9. 前記磁性トナーはMICR用トナーである、請求項1〜のいずれか一項に記載の磁性トナー。
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