JP4002119B2 - 水冷式エンジン冷却装置及びその制御方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は水冷式エンジン冷却装置に関し、さらに詳しくは、エンジンに冷却水を循環させるポンプを電動化した水冷式エンジン冷却装置及びその制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、水冷式エンジンの冷却装置としては、エンジンの回転数に比例してウォータポンプを駆動させて冷却水をシリンダヘッド及びシリンダブロックに循環させるようにしたものがある。しかし、このような方式の冷却装置では、上記したようにエンジンの回転数に冷却水の流量が比例しているため、例えば冬場において不必要にエンジンに冷却水を循環させ過ぎたり、高速走行時おいて不必要な流量の冷却水を余分に循環させているという問題点がある。このため、従来のウォータポンプを用いた水冷式エンジン冷却装置では、冷却水の余分な放熱が生じて暖機が遅れ、動力ロスがかなり大きいという問題点がある。さらに、エンジンの回転数のみが冷却水の流量を決めているため、高水温制御などを実施することができないという問題点がある。
【0003】
このような動力ロスの低減を図った技術として、特開2000−45774号公報に開示された冷却装置が知られている。この冷却装置では、ウォータポンプを電動化し、エンジンの冷却水出口側の冷却水温度と冷却水入口側の冷却水温度との差が所定温度差となるように制御を行っている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
一般に、冷却装置ではウォータポンプにより循環水量が変化すると、ラジエータのヘッダ間に配置された多数のチューブ内を流通する冷却水は流速に応じて層流状態や乱流状態となる。例えば、チューブ内の冷却水の流速が低下して所定の流速以下になると、冷却水が層流状態となりラジエータでの冷却効率が低下して冷やしきれず、ラジエータファンの動力の増大を余儀なくされるという問題点がある。また、チューブ内の冷却水の流速が速くなって乱流状態となった場合には、さらに流速が増加しても冷却効率の増加が見込めず、やはり冷却に必要な動力が増大するという問題点がある。これらの問題点は、上記した後者の冷却装置においても同様である。すなわち、この従来の冷却装置では、ウォータポンプを電動化し、エンジンの冷却水出口側の冷却水温度と冷却水入口側の冷却水温度との差が所定温度差となるように制御を行っても、ラジエータのチューブ内の冷却水の流速は制御できない。このため、冷却水が層流状態となった場合は、ラジエータでの冷却効率が低下して冷却水を冷やしきれず、ラジエータファンの動力の増大が必要となる。逆に、冷却水の流速が増加して乱流状態となった場合には、電動ポンプの稼働を増加させても、稼働増加に見合った冷却効率が得られず、さらに電動ポンプの稼働が過ぎると、チューブのエロージョンが発生して使用が不可となるという問題点がある。
【0005】
そこで、本発明が解決しようとする目的は、冷却水を循環させるポンプ動力を抑制しつつファンの無駄な稼働を防止するとともに、冷却水の余分な放熱を防止してエンジンの暖機を早め、燃費向上が図れる水冷式エンジンの冷却装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、水冷式エンジンから流出する冷却水をヘッダ間に配置されたチューブに流通させて冷却水の冷却を行う熱交換器と、前記チューブに送風を行うファンを備える回転駆動モータと、前記水冷式エンジンに独立して駆動されて前記水冷式エンジンと前記熱交換器とに冷却水を循環させるポンプと、前記水冷式エンジン内の冷却水温度を検出する温度検出手段と、前記温度検出手段による検出値に基づいて前記ポンプの駆動及び前記回転駆動モータの回転数を制御する制御装置と、を備える水冷式エンジン冷却装置であって、前記制御装置は、前記温度検出手段による検出温度が所定目標温度以上のときに、前記熱交換器の前記チューブ内を流通する冷却水の流動状態が、層流域と乱流域との間の遷移域、及びこの遷移域に近接する前記乱流域の範囲に入ると共に、冷却水が予め定められた流量で循環するように前記ポンプの駆動を制御し、且つ、所定の前記熱交換器の放熱量を得るために必要な前記ポンプの動力及び前記回転駆動モータの動力が最も低くなるように、前記ポンプの駆動及び前記回転駆動モータの回転数を制御することを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明は、水冷式エンジンから流出する冷却水をヘッダ間に配置されたチューブに流通させて冷却水の冷却を行う熱交換器と、前記チューブに送風を行うファンを備える回転駆動モータと、前記水冷式エンジンに独立して駆動されて前記水冷式エンジンと前記熱交換器とに冷却水を循環させるポンプと、前記水冷式エンジン内の冷却水温度を検出する温度検出手段と、前記温度検出手段による検出値に基づいて前記ポンプの駆動及び前記回転駆動モータの回転数を制御する制御装置と、を備える水冷式エンジン冷却装置であって、前記制御装置は、前記温度検出手段による検出温度が所定目標温度以上のときに、冷却水が予め定められた流量で循環するように前記ポンプの駆動を制御すると共に、前記冷却水の予め定められた流量において、前記熱交換器の前記チューブ内を流通する冷却水の流動状態が、層流域と乱流域との間の遷移域、またはこの遷移域に近接する前記乱流域のうち少なくともどちらか一方を含む領域の範囲に入るように、前記熱交換器が構成され、前記制御装置は、所定の前記熱交換器の放熱量を得るために必要な前記ポンプの動力及び前記回転駆動モータの動力が最も低くなるように、前記ポンプの駆動及び前記回転駆動モータの回転数を制御することを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の発明は、水冷式エンジンから流出する冷却水をヘッダ間に配置されたチューブに流通させて冷却水の冷却を行う熱交換器と、前記チューブに送風を行うファンを備える回転駆動モータと、前記水冷式エンジンに独立して駆動されて前記水冷式エンジンと前記熱交換器とに冷却水を循環させるポンプと、前記水冷式エンジン内の冷却水温度を検出する温度検出手段と、前記温度検出手段による検出値に基づいて前記ポンプの駆動及び前記回転駆動モータの回転数を制御する制御装置と、を備える水冷式エンジン冷却装置であって、前記制御装置は、前記温度検出手段による検出温度が所定目標温度以上のときに、前記熱交換器の前記チューブ内を流通する冷却水のレイノルズ数が1800〜6000の範囲に入ると共に、冷却水が予め定められた流量で循環するように前記ポンプの駆動を制御し、且つ、所定の前記熱交換器の放熱量を得るために必要な前記ポンプの動力及び前記回転駆動モータの動力が最も低くなるように、前記ポンプの駆動及び前記回転駆動モータの回転数を制御することを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の発明は、水冷式エンジンから流出する冷却水をヘッダ間に配置されたチューブに流通させて冷却水の冷却を行う熱交換器と、前記チューブに送風を行うファンを備える回転駆動モータと、前記水冷式エンジンに独立して駆動されて前記水冷式エンジンと前記熱交換器とに冷却水を循環させるポンプと、前記水冷式エンジン内の冷却水温度を検出する温度検出手段と、前記温度検出手段による検出値に基づいて前記ポンプの駆動及び前記回転駆動モータの回転数を制御する制御装置と、を備える水冷式エンジン冷却装置であって、前記制御装置は、前記温度検出手段による検出温度が所定目標温度以上のときに、冷却水が予め定められた流量で循環するように前記ポンプの駆動を制御すると共に、前記冷却水の予め定められた流量において、前記熱交換器の前記チューブ内を流通する冷却水のレイノルズ数が1800〜6000の範囲に入るように、前記熱交換器が構成され、前記制御装置は、所定の前記熱交換器の放熱量を得るために必要な前記ポンプの動力及び前記回転駆動モータの動力が最も低くなるように、前記ポンプの駆動及び前記回転駆動モータの回転数を制御することを特徴とする。
【0010】
請求項5記載の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載された水冷式エンジン冷却装置であって、前記水冷式エンジンは、シリンダヘッドを冷却するシリンダヘッド側通路と、該シリンダヘッド側通路と連通する、シリンダブロックを冷却するシリンダブロック側通路とを備え、冷却水が前記シリンダヘッド側通路から導入されると共に前記シリンダブロック側通路から導出されることを特徴とする。
【0011】
請求項6記載の発明は、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載された水冷式エンジン冷却装置であって、前記ポンプは、流量調節可能な電動ポンプであることを特徴とする。
【0012】
請求項7記載の発明は、請求項1乃至請求項6のいずれかに記載された水冷式エンジン冷却装置であって、前記冷却水は、前記シリンダヘッド側通路に80〜95℃の状態で導入され、前記シリンダブロック側通路から100〜115℃の状態で導出されることを特徴とする。
【0013】
請求項8記載の発明は、請求項1乃至請求項7のいずれかに記載された水冷式エンジン冷却装置であって、前記水冷式エンジンで暖められた冷却水を空気調和装置のヒータコアに流通させると共に、前記ヒータコアから導出される冷却水を前記ポンプの上流側に合流させる空調用迂回通路を有することを特徴とする。
【0014】
請求項9記載の発明は、請求項8記載の水冷式エンジン冷却装置であって、前記ヒータコアの上流側の前記空調用迂回通路には、冷却水の流通量を制御できる可変バルブが設けられていることを特徴とする。
【0015】
請求項10記載の発明は、水冷式エンジンから流出する冷却水をヘッダ間に配置されたチューブに流通させて冷却水の冷却を行う熱交換器と、前記チューブに送風を行うファンを備える回転駆動モータと、前記チューブに送風を行う送風機と、前記水冷式エンジンに独立して駆動されて前記水冷式エンジンと前記熱交換器とに冷却水を循環させるポンプと、前記水冷式エンジン内の冷却水温度を検出する温度検出手段と、前記温度検出手段による検出値に基づいて前記ポンプの駆動及び回転駆動モータの回転数を制御する制御装置と、を備える水冷式エンジン冷却装置の制御方法であって、前記温度検出手段による検出温度が所定目標温度以上のときに、前記制御装置が、前記熱交換器の前記チューブ内を流通する冷却水の流動状態が層流域と乱流域との間の遷移域及びこの遷移域に近接する前記乱流域のうち少なくともどちらか一方を含む領域の範囲に入る予め定められた流量で冷却水を循環させるように前記ポンプによる冷却水流量を制御し、且つ、所定の前記熱交換器の放熱量を得るために必要な前記ポンプの動力及び前記回転駆動モータの動力が最も低くなるように、前記ポンプの駆動及び前記回転駆動モータの回転数を制御することを特徴とする。
【0016】
請求項11記載の発明は、水冷式エンジンから流出する冷却水をヘッダ間に配置されたチューブに流通させて冷却水の冷却を行う熱交換器と、前記チューブに送風を行うファンを備える回転駆動モータと、前記チューブに送風を行う送風機と、前記水冷式エンジンに独立して駆動されて前記水冷式エンジンと前記熱交換器とに冷却水を循環させるポンプと、前記水冷式エンジン内の冷却水温度を検出する温度検出手段と、前記温度検出手段による検出値に基づいて前記ポンプの駆動及び回転駆動モータの回転数を制御する制御装置と、を備える水冷式エンジン冷却装置の制御方法であって、前記温度検出手段による検出温度が所定目標温度以上のときに、前記制御装置が、前記熱交換器の前記チューブ内を流通する冷却水のレイノルズ数が1800〜6000の範囲に入る予め定められた流量で冷却水を循環させるように前記ポンプによる冷却水流量を制御し、且つ、所定の前記熱交換器の放熱量を得るために必要な前記ポンプの動力及び前記回転駆動モータの動力が最も低くなるように、前記ポンプの駆動及び前記回転駆動モータの回転数を制御することを特徴とする。
【0017】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、水冷式エンジンに冷却水を循環させるポンプが水冷式エンジンに独立して駆動されるため、エンジンの回転数に比例することなくポンプを駆動させることができ、例えば冬場や高速走行時などに冷却水を余分に流通させることがない。このため、水温コントロールが容易になり、高温水制御が行えるという効果がある。また、請求項1記載の発明によれば、所定目標温度以上のときに、冷却水の状態が層流域と乱流域との間の遷移域、及びこの遷移域に近接する乱流域の範囲に予め設定された循環流量に制御されるため、冷却装置の動力ロスを低減でき、燃費を向上させるという効果がある。
【0018】
請求項2記載の発明によれば、水冷式エンジンに冷却水を循環させるポンプが水冷式エンジンに独立して駆動されるため、エンジンの回転数に比例することなくポンプを駆動させることができ、例えば冬場や高速走行時などに冷却水を余分に流通させることがない。このため、水温コントロールが容易になり、高温水制御が行えるという効果がある。また、請求項2記載の発明によれば、所定目標温度以上のときに、予め設定された流量において、熱交換器のチューブ内を流通する冷却水の状態が、層流域と乱流域との間の遷移域及びこの遷移域に近接する乱流域のうち少なくともどちらか一方を含む領域の範囲となるように熱交換器が構成されるため、冷却装置の動力ロスを低減でき、燃費を向上させるという効果がある。
【0019】
請求項3記載の発明によれば、所定目標温度以上のときに、冷却水のレイノルズ数が1800〜6000になるように設定されているため、冷却水の状態が層流域と乱流域との間の遷移域、及びこの遷移域に近接する乱流域の範囲に入り、冷却装置の動力ロスを低減でき、燃費を向上させるという効果がある。
【0020】
請求項4記載の発明によれば、所定目標温度以上のときに、予め設定された流量において、熱交換器のチューブ内を流通する冷却水のレイノルズ数が1800〜6000となるように熱交換器が構成されているため、冷却水の状態が、層流域と乱流域との間の遷移域及びこの遷移域に近接する乱流域のうち少なくともどちらか一方を含む領域の範囲に入り、冷却装置の動力ロスを低減でき、燃費を向上させるという効果がある。
【0021】
請求項5記載の発明によれば、請求項1〜請求項4に記載された発明の効果に加えて、熱交換器で冷却された冷却水がシリンダヘッドから導入されてシリンダブロックから導出されるため、シリンダヘッド部分は水温が低く高負荷時のノッキングを防止できると共に、シリンダブロック部分はシリンダヘッド部分より水温が上昇するため、油温を上昇させることができフリクションロスを低減させ燃費を良くする効果がある。
【0022】
請求項6記載の発明によれば、ポンプを電動ポンプとしたことにより、冷却水の流量制御が容易となり、応答性の高い制御が可能となる。
【0023】
請求項7記載の発明によれば、シリンダヘッドに導入される冷却水の温度を80〜95℃とすることにより、確実にノッキングを防止できるという効果がある。また、シリンダブロックから導出される冷却水の温度を100〜115℃とすることにより、高水温制御を行うことができ、フリクションロスを低減する効果がある。
【0024】
請求項8記載の発明によれば、シリンダブロックから導出される温度安定性を有する高温冷却水をヒータコアに循環させることにより、空気調和装置の温度安定性を高めて、質の高い空気調和を行うことが可能となる。
【0025】
請求項9記載の発明によれば、ヒータコアの上流側の空調用迂回通路に可変バルブを設けることで、ヒータコアでの熱交換量を可変バルブで制御することが可能となり、空気調和装置の小型化を実現することができる。
【0026】
請求項10記載の発明によれば、所定目標温度以上のときに、冷却水の状態が、層流域と乱流域との間の遷移域及びこの遷移域に近接する乱流域のうち少なくともどちらか一方を含む領域の範囲に予め設定された循環流量に制御されるため、冷却装置の動力ロスを低減でき、燃費を向上させるという効果がある。
【0027】
請求項11記載の発明によれば、所定目標温度以上のときに、冷却水のレイノルズ数が1800〜6000になるように設定されているため、冷却水の状態が層流域と乱流域との間の遷移域、またはこの遷移域に近接する乱流域の範囲に入るように制御できる。このため、冷却水を余分に流すことを防止でき、冷却装置の動力ロスを低減して燃費を向上させるという効果がある。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る水冷式エンジン冷却装置の詳細を図面に示す実施の形態に基づいて説明する。
【0029】
(実施形態1)
図1及び図2は、本発明に係る水冷式エンジンの冷却装置の実施形態1を示す説明図である。図1及び図2に示すように、本実施形態の冷却装置1は、水冷式エンジン(以下、単にエンジンという。)2から冷却水回路(冷却水流通管)3を介して流出する冷却水を冷却水をヘッダ4、5間に配置されたチューブ6に流通させて冷却水の冷却を行う熱交換器としてのラジエータ7と、エンジン2に対して独立して駆動されてこのエンジン2とラジエータ7とに冷却水を循環させる電動ポンプ8と、エンジン2内の冷却水温度を検出する温度検出手段としての温度センサ9と、途中に上記電動ポンプ8が介在されてラジエータ7からエンジン2へ冷却水を流通させる冷却水回路10と、ラジエータ7のチューブ6に送風を行うファン11を備える回転駆動モータ12と、上記冷却水回路3の途中に介在されてエンジン2からラジエータ6へ向けて送出させる冷却水量と冷却水温度に応じて電動ポンプ8の吸入側へバイパス回路13を介して迂回させる冷却水量との配分を電気制御可能なサーモスタット(バルブ)14と、温度センサ9で検出された検出値に基づいてサーモスタット14および電動ポンプ8の駆動出力、回転駆動モータ12の回転数を制御する制御装置15とを備えて大略構成されている。
【0030】
本実施形態では、エンジン2におけるシリンダヘッド21とシリンダブロック22とに連通する冷却水流通路23が形成されている。この冷却水流通路23のシリンダヘッド21側の端部には、上記した冷却水回路10が連通するように接続されている。一方、冷却水流通路23のシリンダブロック22側の端部には、上記した冷却水回路3が連通するように接続されている。すなわち、本実施形態では、電動ポンプ8により送出される冷却水は、シリンダヘッド21側から入ってシリンダブロック22側から出るように設定されている。
【0031】
ラジエータ7は、例えば上下に離間して配置されるヘッダ4、5とこれらヘッダ4、5間に互いに平行をなすように配置された多数のチューブ6とを備えた、所謂縦流れと称される構造のものを用いているが、所謂横流れと称される構造のラジエータを用いてもよい。なお、チューブ6は、熱交換用のプレートフィンやコルゲーテッドフィンなどを適宜備えている。本実施形態では、上側のヘッダ4に、シリンダブロック22側の冷却水流通路23の端部に接続された冷却水回路3が接続されている。本実施形態においては、この冷却水回路3の途中に介在されたサーモスタット14で、例えば冷却水が100℃以上のときシリンダブロック22側とヘッダ4とを繋ぐ冷却水回路3を少しずつ開き、105℃以上では、バイパス回路を完全に閉じて冷却水回路3を全開とする。ように設定され、100℃未満では冷却水回路3を閉じ且つバイパス回路13へ冷却水を流すように設定されている。尚、サーモスタット14は、ヘッダ5とエンジン2とを繋ぐ冷却水回路10の途中に配置され、例えば冷却水が100℃以上のときに冷却水回路10を開き、100℃未満のときに、冷却水回路10閉とし且つバイパス回路13から冷却水をエンジン2に導くように設定してもよい。
【0032】
また、ラジエータ7のチューブ6に送風を行うファン11が取り付けられた回転駆動モータ12は、制御装置15に接続されており、制御装置15からの回転数制御信号Srに基づいてその回転数が制御されるようになっている。
【0033】
電動ポンプ8は、制御装置15からの流速制御信号Svに基づいて冷却水の流速を変化させ得るようになっている。
【0034】
温度センサ9は、シリンダブロック22の冷却水流通路23における終端部近傍の温度検出を行い得るように配置されている。なお、本実施形態では、温度センサ9の検出端部をシリンダブロック22内に挿入配置しているが、冷却水流通路23の出口付近の温度検出を行うようにしてもよい。
【0035】
本実施形態においては、電動ポンプ8で発生させる流速、特にラジエータ7の管内流速と、ファン11の回転駆動モータ12の回転数とを制御するものであるが、高負荷時のラジエータ7内の管内を流通する冷却水の特性を特定することにより、動力ロスの低減を図るものであり、大幅な燃費向上を達成することを可能にしている。
【0036】
ここで、本実施形態の水冷式エンジンの冷却装置1の制御・動作の説明に先駆けて、ラジエータ7における水側レイノルズ数とファン風速と冷却に必要な動力との関係について図3を用いて説明する。
【0037】
図3に示すグラフは、コア部(放熱部)の横寸法が691.5mm、縦寸法が360mm、奥行き寸法が16mmにおいて、一般的な縦流れラジエータにおける高負荷時(冷却水温度が100℃に達してラジエータ7に冷却水が流通している状態)の冷却に必要な動力を示す図である。同図において、横軸がラジエータ7の水側レイノルズ数とファン風速(m/秒)であり、縦軸が冷却に必要な動力(W)を示している。同図に示すように、ラジエータ7の水側レイノルズ数が増加すると、これに伴い電動ポンプ8の動力も増加する。そして、ファン風速が増加すると、これに伴いファン動力、すなわち回転駆動モータ12の動力は増加する。これらポンプ動力とファン動力との和、すなわち冷却に必要な動力は、同図に示すように水側レイノルズ数が1800〜6000のときに低くなっている。
【0038】
このように冷却に必要な動力が低くなっている領域は、ラジエータ7のチューブ6内を流通する冷却水の流動状態が層流と乱流との遷移域と、この遷移域寄りの乱流域とに亙っている。このようなラジエータでは、高負荷時にレイノルズ数が1800〜6000領域にあるように電動ポンプ8を制御し、ファン11を2.8〜3.3m/秒に風速領域にあるように制御することで、冷却に必要な動力を低く抑えることができ、このとき最も燃費が良くなることを現している。
【0039】
因に、ラジエータ7の性能においては、チューブ6の外側に形成するフィンの性能改善及び風量の増加が性能向上のポイントとなるが、冷却水の水側レイノルズ数が低下して乱流でなくなったときに、極端に冷却水の冷却性能が低下するため、出来るだけ乱流で使用することが重要となる。
【0040】
ここで、エネルギーの視点から冷却に最適な設計について説明する。ラジエータによるエンジン冷却において、冷却水温度、ファン風量などのバランスが最も適しているかどうかを、冷却に必要なエネルギーを計算することにより検証する。
【0041】
(ラジエータ単体での水量、風量の寄与率)
ラジエータの放熱量は、下記の式によって求められる。
【0042】
【数1】
Q=κA△T
但し、Q:ラジエータ放熱量(W)、κ:ラジエータ熱通過率(W/mm2K)なお、K値はラジエータ性能を代用して表示しており、下記要素によって決定される。
【0043】
【数2】
1/κ=1/(αw・Aw/A)+d/(λt・Aw/A)+1/αa・ηa
【数3】
1/κ=11(%)+0.1(%)+88.9(%)
なお、図4に示すように、λtはチューブ伝導率(W/mK)、αaは空気側熱伝達率(W/m2K)、αwは水側熱伝達率、ηaはフィン総合効率(%)、Awは水側放熱面積(mm2)、Aは空気側放熱面積(mm2)、dはチューブ板厚(mm)である。また、数式3は、数式2における各項の寄与率を表し、算出に当たっては、コア部(放熱部)の横寸法が691.5mm、縦寸法が360mm、奥行き寸法が16mmの縦流れラジエータで、図8に示すようなチューブを76本備えたものを用い、流量40リットル/秒(レイノルズ数3500)、風速3m/秒の条件で行った。
【0044】
このようなK値と水側レイノルズ数との関係を図5のグラフに示す。この図5には、水側レイノルズ数に伴って変わる冷却水の流動状態を合わせ示している。図5から、上記した図3において冷却に必要な動力が低くなっている領域、すなわちチューブ内の冷却水のレイノルズ数が1800〜6000の領域は、ラジエータ7のチューブ6内を流通する冷却水の流動状態が層流と乱流との遷移域と、この遷移域寄りの乱流域とに亙っていることが判る。この状態における水と空気側の性能に対する寄与率は上記数式3のように、水側(11%)より空気側(88.9%)の方が大きい。よって、必要放熱量が増加した場合は水量は固定して(空気側)ファンの風量を増加させた方が省動力でエンジンを冷却できる。このように冷却に必要な動力を最適にする範囲における冷却水のレイノルズ数が決定されることにより、様々な形態のラジエータにおける最適な制御が可能となる。なお、各種ラジエータにおいて、冷却水は管内を流通するため、あらゆる形態のラジエータを含む(水冷式エンジンの)冷却装置に、本発明を適用することが可能となる。
【0045】
すなわち、レイノルズ数Reは、管の通水断面積をねれ縁長さ(内周長)で割った値に4を掛けた相当直径をDa、冷却水の質量速度をG、粘性係数をμとすれば、DaG/μ(相当直径×質量速度/粘性係数)で表され、このレイノルズ数Reが同じであれば、流れは力学的に相似になり、熱伝導率が等しくなる。よって、各種のラジエータ7を流通する冷却水のレイノルズ数が、上記したように1800〜6000の範囲に入るように制御することにより、エンジン2の冷却に必要な動力(ポンプ動力とファン動力との和)を最も低くすることが可能となる。この結果、動力負担を軽減でき、エンジンの燃費を大幅に向上することが可能となる。
【0046】
(ラジエータ冷却のための最適エネルギーバランス)
次に、上記ラジエータ7と同様に、コア部(放熱部)の横寸法が691.5mm、縦寸法が360mm、奥行き寸法が16mmの構造を有する縦流れラジエータを用いて、ラジエータ性能(ラジエータ放熱量Q)と風量(風速Va)と冷却水流量(Gw)との関係を図6のグラフに示す。縦軸はラジエータ放熱量であり、横軸は風速を示している。また、下表1は、同一ラジエータで同一性能(ラジエータ放熱量(Q))を出すための、風速(Va)と、冷却水流量(Gw)との組み合わせを示している。このように、同一のラジエータ放熱流量3.4×104Wを出すための、風速と冷却水流量との組み合わせを適宜選択することが可能である。
【0047】
【表1】
(冷却に必要なエネルギー量)
次に、空気側、冷却水側共に下記式4で表される理論動力を使用して、必要エネルギーの比較をすると、下表2のような結果となる。
【0048】
【数4】
P=ρgQH
但し、P:動力(W)、ρ:流体密度(kg/m3)、g:重力加速度(m/s2)Q:流量(m3/s)、H:圧力差(m)
【表2】
上記表2では、必要動力合計が280Wで最小となり、そのときのレイノルズ数2600は、上記した冷却に必要な動力を最小にするレイノルズ数の範囲(1800〜6000)に入っていることが確認できる。
【0049】
ところで、ラジエータの性能に対し空気側の寄与率は大きいが、水側の寄与率は小さい。このため、エネルギー量的には、冷却水の流量を少なくして、風量を大きくした方が、エンジン冷却に必要な動力は少なくてすむ。ただし、冷却水が層流域まで流量が少なくなると、水側の性能が極端に悪化して好ましくない。
【0050】
(実施形態1の制御方法)
このような構成の水冷式エンジンの冷却装置1の制御方法・動作を図7に示すフローチャートを用いて説明する。なお、本実施形態では、制御装置15に備えられた図示しないメモリ部に図3に示す最適な範囲の管内流速に対応した電動ポンプ8の出力データと、ファン風速に対応した回転駆動モータ12の出力データとが格納されており、これらの出力データは、検出温度の変化に伴い随時読み出されるようになっている。
【0051】
車両のエンジン2が始動すると、電動ポンプ8が10L/分程度の低流量で稼働を開始する。本実施形態では、冷却水がシリンダヘッド21、シリンダブロック22の順で冷却水流通路23を流れる。これに伴い温度センサ9は、シリンダブロック22の冷却水流通路23内の温度の検出を開始する(ステップS71)。サーモスタット14では、流通する冷却水の温度が105℃に達するまでは、図2に示すように、冷却水をバイパス回路13へ流してラジエータ7を迂回するように循環させる。
【0052】
エンジン2の稼働に伴い、シリンダブロック23から出る冷却水の温度が100℃まで上昇すると、サーモスタット14は、少しずつ開き、105℃以上では、図1に示すように、バイパス回路13を閉じて冷却水回路3を開きラジエータ7のヘッダ4側へ冷却水を流通させる。ヘッダ4から取り入れられた冷却水は、チューブ6を通ってヘッダ5に達する。
【0053】
このとき、温度センサ9での検出温度が所定の目標温度である105℃に達していない場合は、回転駆動モータ12は稼働されておらず、ファン11は回転していない状態にあり、チューブ6を通過する冷却水は走行外気との熱交換を行うのみである。ヘッダ5から出た冷却水は、電動ポンプ8を経て冷却水回路10を介してシリンダヘッド21の冷却水流通路23に送出される。シリンダヘッド21から導入された冷却水は、シリンダヘッド21を冷やした後、シリンダブロック22を冷やして冷却水回路3に導出されて、上記経路を循環される。
【0054】
次に、温度センサ9での検出値に基づいて、制御装置15では冷却水温度が105℃より高いか否かの判定を行う(ステップS72)。この結果、冷却水温度が105℃より高いと判定された場合は、ファン11が回転駆動されているか判定する(ステップS73)。ファン11が回転駆動されている場合、制御装置15では、ファン11の風量を大きくして冷却水温度が105℃になるように、回転駆動モータ12へ回転数制御信号Srを出力する。これに伴って、回転駆動モータ12の回転速度は速くなり、ファン11の風量が適宜増加する(ステップS74)。その後は、温度センサ9にて温度検出を続ける(ステップS71)。なお、このときシリンダヘッド21へ供給される冷却水の温度は、例えば約85℃となるように設定されている。
【0055】
一方、ファン11が回転駆動されていない場合、ラジエータ7のチューブ6の水側レイノルズ数が2600であるか判定する(ステップS75)。
【0056】
ステップS75において、水側レイノルズ数が2600である場合は、ステップ74の制御を行う。また、ステップS75において、水側レイノルズ数が2600でない場合、制御装置15は電動ポンプ8へ流速制御信号Svを出力して、水側レイノルズ数が2600となるように制御し(ステップS76)、ステップS71の温度検出を続ける。
【0057】
ところで、ステップS72の温度判定において、冷却水温度が105℃以下であると判定された場合、ファン11が回転駆動されているか判定する(ステップS77)。ここで、ファン11が回転駆動されている場合、制御装置15は、回転駆動モータ12へ回転数制御信号Srを出力して、冷却水の検出温度が105℃になるように、ファン11の回転を抑えるように制御し(ステップS78)、冷却水の温度検出を続ける(ステップS71)。
【0058】
また、ステップS77において、ファン11が回転駆動されていないと判定された場合、電動ポンプ8を10L/分の流量を保ったまま稼働を継続し(ステップS79)、冷却水温度の検出を継続する。
【0059】
このような制御を行うことにより、温度センサ9による検出温度が所定目標温度である105℃以上のときに、ラジエータ7のチューブ6内を流通する冷却水の流動状態が、図5に示すように層流域と乱流域との間の遷移域及びこの遷移域に近接する乱流域のうち少なくともどちらか一方を含む領域の範囲に入る予め定められた流量で循環するよう電動ポンプ8の駆動を行うことができる。
【0060】
本実施形態では、エンジンに高負荷がかかる状態において、電動ポンプ8による低流量化による動力ロスの低減が図れると共に、この低流量化によるラジエータ7の出入口温度差とシリンダヘッド21から冷却水を流す流路の改善により、シリンダヘッド21ではノッキングを防止するために低水温(約85℃)とし、シリンダブロック22はオイルなどのフリクションロスを低減するための高水温(約105℃)に制御できる。また、電動ポンプ8を用いることにより、冷却水の流量を最適量に応答性よく制御できるため、動力ロスを低減することができる。
【0061】
このような制御を行う冷却装置1を車両に適用すると、電動ポンプによる低流量化を図るだけで、例えば60km/hでの定速走行において、軽自動車で約9%、1.8Lクラスの排気量の自動車で約2%の燃費向上を図ることができる。また、シリンダ部分の高水温化により、60km/h定速走行において、軽自動車で約1%、1.8Lクラスの排気量の自動車で約3%の燃費向上を図ることが可能となる。
【0062】
(実施形態2)
図9は、本発明に係る水冷式エンジンの冷却装置の実施形態2を示す説明図である。本実施形態の冷却装置は、シリンダブロックから導出される温水を空気調和装置のヒータコアに循環させる構成を有する。なお、本実施形態2の冷却装置において、上記した実施形態1の冷却装置1と同一部分には同一の符号付して説明する。
【0063】
図9に示すように、本実施形態2の冷却装置1は、エンジン2から冷却水回路3を介して流出する冷却水を冷却水をヘッダ4、5間に配置されたチューブ6に流通させて冷却水の冷却を行う熱交換器としてのラジエータ7と、エンジン2に対して独立して駆動されてこのエンジン2とラジエータ7とに冷却水を循環させる電動ポンプ8と、エンジン2内の冷却水温度を検出する温度検出手段としての温度センサ9と、途中に上記電動ポンプ8が介在されてラジエータ7からエンジン2へ冷却水を流通させる冷却水回路10と、ラジエータ7のチューブ6に送風を行うファン11を備える回転駆動モータ12と、上記冷却水回路3の途中に介在されてエンジン2からラジエータ6へ向けて送出させる冷却水を冷却水温度に応じて電動ポンプ8の吸入側へバイパス回路13へ配分して流して迂回させるサーモスタット(バルブ)14と、温度センサ9で検出された検出値に基づいて電動ポンプ8の駆動出力及び回転駆動モータ12の回転数を制御する制御装置15とを備えてなり、加えてエンジン2側から導出される温水流通路24の途中に介在された空気調和装置25のヒータコア26が配置されている構成となっている。
【0064】
本実施形態2では、エンジン2におけるシリンダヘッド21とシリンダブロック22とに連通する冷却水流通路23が形成されている。この冷却水流通路23のシリンダヘッド21側の端部には、上記した冷却水回路10が連通するように接続されている。
【0065】
また、シリンダブロック22に形成された冷却水流通路23は、分岐して、電動ポンプ8の上流側の冷却水回路10に接続、連通される温水流通路24が接続されている。この温水流通路24の途中には、上記したようにヒータコア26が介在されており、ヒータコア26内を温水(エンジン冷却水)が通過するようになっている。そして、ヒータコア26の上流側の温水流通路24には、温水の流量の調節を行う電磁弁27が介在されている。この電磁弁27は、空気調和装置25の制御系により、適宜開閉または開度調節されるようになっている。
【0066】
一方、冷却水流通路23のシリンダブロック22側の端部には、上記した冷却水回路3が連通するように接続されている。すなわち、本実施形態においても、電動ポンプ8により送出される冷却水は、シリンダヘッド21側から入ってシリンダブロック22側から出るように設定されている。
【0067】
ラジエータ7は、例えば上下に離間して配置されるヘッダ4、5とこれらヘッダ4、5間に互いに平行をなすように配置された多数のチューブ6とを備えた、所謂縦流れと称される構造のものを用いている。本実施形態では、上側のヘッダ4に、シリンダブロック22側の冷却水流通路23の端部に接続された冷却水回路3が接続されている。本実施形態においては、この冷却水回路3の途中に介在されたサーモスタット14で例えば100℃以上でシリンダブロック22側とヘッダ4とを繋ぐ冷却水回路3を少しずつ開き、105℃以上では、バイパス回路を完全に閉じて、冷却水回路3を全開とするように設定され、100℃未満で冷却水回路3を閉じ且つバイパス回路13へ冷却水を流すように設定されている。
【0068】
また、ラジエータ7のチューブ6に送風を行うファン11が取り付けられた回転駆動モータ12は、制御装置15に接続されており、制御装置15からの回転数制御信号Srに基づいてその回転数が制御されるようになっている。なお、制御装置15では、上記実施形態1と同様に、シリンダブロック22から導出される冷却水の温度が105℃になるように制御を行うように設定されている。
【0069】
電動ポンプ8は、制御装置15からの流速制御信号Svに基づいて冷却水の流速を変化させ得るようになっている。
【0070】
温度センサ9は、シリンダブロック22の冷却水流通路23における終端部近傍の温度検出を行い得るように配置されている。
【0071】
本実施形態においては、電動ポンプ8で発生させる流量、特にラジエータ7の水側レイノルズ数と、ファン11の回転駆動モータ12の回転数とを制御するものであるが、高負荷時のラジエータ7内の管内を流通する冷却水の状態を規定することにより、動力ロスの低減を図るものであり、大幅な燃費向上を達成することを可能にしている。
【0072】
また、本実施形態2においては、シリンダブロック22の冷却水流通路23から温水流通路24を介して導出された105℃の略一定温度に設定された温水が、空気調和装置25のヒータコア26を循環するように設定されると共に、その循環流量が電磁弁27により制御できる。空気調整装置25においては、空気との熱交換量がヒータコア26の単位時間当たりの総熱量と空気風量で決定できるため、温水流量及び風量を制御することにより、空気調節装置25の吹き出し温度を設定することが可能となる。さらに、燃費と流体液量の関係は、ヒーターコアにおいても、ラジエータと同様で、そのチューブ内の冷却水流動状態を層流域と乱流域との間に遷移域及びこの遷移域に近接する乱流域のうち少なくともどちらか一方を含む領域の範囲、すなわち、レイノルズ数が1800〜6000の範囲、より好ましくはレイノルズ数2600前後となる予め定められた流量にポンプ及び電磁弁を制御することにより、効率的な熱交換を行うことができる。このため、従来のような冷気と暖気とを混合調整するためのエアーミックスドアを省略することが可能となり、空気調整装置25の小型化を図ることができる。
【0073】
(実施形態2の制御方法1)
このような構成の水冷式エンジンの冷却装置1の制御方法・動作を図10に示すフローチャートを用いて説明する。なお、本実施形態においても、制御装置15に備えられた図示しないメモリ部に図3に示す最適な範囲の水側レイノルズ数に対応した電動ポンプ8の出力データと、ファン風速に対応した回転駆動モータ12の出力データとが格納されている。
【0074】
本実施形態2では、車両のエンジン2を始動させたとき、シリンダブロック22内の冷却水流通路23内の冷却水温度が外気温であるときは、アイドリング状態の場合に5分間、走行を始めても3分間は、電磁ポンプ8を稼働しないようになっている(ステップS101)。
【0075】
その後、上記の所定時間(5分間または3分間)経過後は、電動ポンプ8を10L/分の流量で稼働させる(ステップS102)。そして、冷却水がシリンダヘッド21、シリンダブロック22の順で冷却水流通路23を流れる。これに伴い温度センサ9は、シリンダブロック22の冷却水流通路23内の温度の検出を開始する(ステップS103)。サーモスタット14では、流通する冷却水の温度が100℃に達するまでは、冷却水をバイパス回路13へ流してラジエータ7を迂回するように循環させる。
【0076】
エンジン2の稼働に伴い、シリンダブロック23から出る冷却水の温度が100℃まで上昇すると、サーモスタット14は、バイパス回路13を閉じて冷却水回路3を開いてラジエータ7のヘッダ4側へ冷却水を流通させる。ヘッダ4から取り入れられた冷却水は、チューブ6を通ってヘッダ5に達する。
【0077】
このとき、温度センサ9での検出温度が所定の目標温度である105℃に達していない場合は、回転駆動モータ12は稼働されておらず、ファン11は回転していない状態にあり、チューブ6を通過する冷却水は走行外気との熱交換を行うのみである。ヘッダ5から出た冷却水は、電動ポンプ8を経て冷却水回路10を介してシリンダヘッド21の冷却水流通路23に送出される。なお、このシリンダヘッド21に到達する冷却水の温度は、例えば85℃に設定されている。シリンダヘッド21から導入された冷却水は、シリンダヘッド21を冷やした後、シリンダブロック22を冷やして冷却水回路3に導出されて、上記経路を循環される。
【0078】
次に、図示しない外気温度センサで外気温が10℃より低いか否かの判定を行う(ステップS104)。
【0079】
ここで、外気温が10℃より低いと判定された場合は、温度センサ9により検出された温度値が80℃より高いか否かの判定を行う(ステップS105)。
【0080】
このステップS105の判定で冷却水温度が80℃より高い場合は、さらに105℃より高いか否かの判定を行う(ステップS106)。
【0081】
一方、ステップS105において、冷却水温度が80℃より高くない場合は、車室内温度が空気調整装置25の目標温度より高いか否かの判定を行う(ステップS107)。このステップS107において、車室内温度が目標温度より高い場合は、ステップS106の判定を行う。そして、ステップS107において、車室内温度が目標温度より低い場合は、ヒータコア26内を循環する温水量が例えば10L/分になるように電動ポンプ8を稼働させる(ステップS108)。
【0082】
また、ステップS106において、冷却水温度、すなわち温度センサ9の検出温度が105℃より高い場合は、ファン11が稼働されているか判定する(ステップS109)。この判定において、ファン11が稼働している場合は、シリンダブロック22の冷却水流通路23内の冷却水が105℃になるように、制御装置15は、回転数制御信号Srを回転駆動モータ12へ出力して、ファン11の回転を多くする制御を行う(ステップS110)。
【0083】
そして、ステップS109においてファン11が稼働されていない場合、電動ポンプ8をチューブ6の水側レイノルズ数2600であるか否かの判定を行う(ステップS111)。
【0084】
このステップS111において、水側レイノルズ数2600である場合は、シリンダブロック22の冷却水流通路23内の冷却水温度が105℃となるようにファン11の回転数を多くする(ステップS110)。
【0085】
また、ステップS111において、水側レイノルズ数2600でない場合は、水側レイノルズ数2600となるように電動ポンプ8を制御し(ステップS112)、温度センサ9での冷却水温度の検出を継続する。
【0086】
一方、ステップS106において、冷却水温度が105℃より低い場合は、ファン11が稼働しているか否かの判定を行う(ステップS113)。ここで、ファン11が稼働していない場合は、電動ポンプ8を10L/分で駆動して(ステップS114)、冷却水温度の検出を継続する。また、ファン11が稼働している場合は、シリンダブロック22の冷却水流通路23内の冷却水温度が105℃になるように、ファン11の回転数を少なく制御し(ステップS115)、冷却水温度の検出を継続する。
【0087】
一般に、自動車用エンジンでは、冷機始動時の暖機を早めるために、所定水温までアイドル時の燃料噴射量を多くする制御が行われているので、この制御時間が短い程、すなわち、より早く所定水温(例えば、80℃)以上とすることにより、燃費が向上する。
【0088】
本実施形態2では、温度センサ9で検出される冷却水温度が80℃より低いときに、電動ポンプ8を少ない流量(10L/分)に制御することにより、より速く冷却水の温度を高めることができ、暖房性能を高めることができるとともに、燃費を高めることができる。。
【0089】
このような制御を行うことにより、温度センサ9による検出温度が所定目標温度である105℃以上のときに、ラジエータ7のチューブ6内を流通する冷却水の流動状態が、図5に示すように層流域と乱流域との間の遷移域、及びこの遷移域に近接する乱流域の範囲に入ると共に、冷却水が予め定められた流量で循環するよう電動ポンプ8の駆動を行うことができる。
【0090】
本実施形態においても、エンジンに高負荷がかかる状態において、電動ポンプ8による低流量化による動力ロスの低減が図れると共に、この低流量化によるラジエータ7の出入口温度差とシリンダヘッド21から冷却水を流す流路の改善により、シリンダヘッド21ではノッキングを防止するために低水温(約85℃)とし、シリンダブロック22はオイルなどのフリクションロスを低減するための高水温に制御できる。また、電動ポンプ8を用いることにより、冷却水の流量を最適量に制御できるため、動力ロスを低減することができる。
【0091】
このような制御を行う冷却装置1を車両に適用すると、電動ポンプによる低流量化を図るだけで、例えば60km/hでの定速走行において、軽自動車で約9%、1.8Lクラスの自動車で約2%の燃費向上を図ることができる。また、シリンダ部分の高水温化により、60km/h定速走行において、軽自動車で約1%、1.8Lクラスの自動車で約3%の燃費向上を図ることが可能となる。
【0092】
加えて、本実施形態では、シリンダブロック22を通過した冷却水(温水)を空気調和装置25のヒータコア26に循環させることで、エアーミックスドアを省略可能として、空気調和装置25の小型化が図れると共に、ヒータコア26の温度上昇を迅速に行うことが可能となる。
【0093】
(実施形態2の制御方法2)
次に、本実施形態の制御方法2について以下する。このような構成の水冷式エンジンの冷却装置1の制御方法・動作を図11に示すフローチャートを用いて説明する。なお、この制御方法2においても、制御装置15に備えられた図示しないメモリ部に図3に示す最適な範囲の水側レイノルズ数に対応した電動ポンプ8の出力データと、ファン風速に対応した回転駆動モータ12の出力データとが格納されている。
【0094】
まず、イグニッションをONにする(ステップS201)。
【0095】
その後、電動ポンプ8を10L/分の流量で稼働させる(ステップS202)。そして、冷却水がシリンダヘッド21、シリンダブロック22の順で冷却水流通路23を流れる。これに伴い温度センサ9は、シリンダブロック22の冷却水流通路23内の温度の検出を開始する(ステップS203)。サーモスタット14では、流通する冷却水の温度が100℃に達するまでは、冷却水をバイパス回路13へ流してラジエータ7を迂回するように循環させる。
【0096】
エンジン2の稼働に伴い、シリンダブロック22から出る冷却水の温度が100℃まで上昇すると、サーモスタット14は、バイパス回路13を閉じ始めて、冷却水回路3を開き、105℃以上でバイパス回路13を閉じるとともに、冷却水回路3を全開としてラジエータ7のヘッダ4側へ冷却水を流通させる。ヘッダ4から取り入れられた冷却水は、チューブ6を通ってヘッダ5に達する。
【0097】
このとき、温度センサ9での検出温度が所定の目標温度である105℃に達していない場合は、回転駆動モータ12は稼働されておらず、ファン11は回転していない状態にあり、チューブ6を通過する冷却水は走行外気との熱交換を行うのみである。ヘッダ5から出た冷却水は、電動ポンプ8を経て冷却水回路10を介してシリンダヘッド21の冷却水流通路23に送出される。なお、このシリンダヘッド21に到達する冷却水の温度は、例えば85℃に設定されている。シリンダヘッド21から導入された冷却水は、シリンダヘッド21を冷やした後、シリンダブロック22を冷やして冷却水回路3に導出されて、上記経路を循環される。
【0098】
次に、ヒーター使用状態か否かの判定を行う(ステップS204)。尚、ヒーター使用状態とは、オートエアコンの設定室温より実室温が低い状態、またはマニュアルエアコンのヒータースイッチがONの状態をいう。
【0099】
ここで、ヒータースイッチがONである場合は、室温が目標温度より高いか否かの判定を行う(ステップS205)。このステップS205において、車室内温度が目標温度より高い場合は、ステップS206を行う。このステップS206において、車室内温度が目標温度より低い場合は、全体の水流量が10L/分になるようにポンプ8を稼働させてステップS208、ステップS209に移る。また、ステップS205において、車室内温度が目標温度より低いと判定された場合は、ヒータコア26内を循環する冷却水のレイノルズ数が2600となるように電動ポンプ8を稼働させる(ステップS217)。
【0100】
また、ステップS209において、冷却水温度、すなわち温度センサ9の検出温度が105℃より高い場合は、ファン11が稼働されているか判定する(ステップS210)。この判定において、ファン11が稼働している場合は、シリンダブロック22の冷却水流通路23内の冷却水が105℃になるように、制御装置15は、回転数制御信号Srを回転駆動モータ12へ出力して、ファン11の回転を多くする制御を行う(ステップS211)。
【0101】
そして、ステップS210においてファン11が稼働されていない場合、電動ポンプ8をチューブ6の水側レイノルズ数2600であるか否かの判定を行う(ステップS212)。
【0102】
このステップS212において、水側レイノルズ数2600である場合は、シリンダブロック22の冷却水流通路23内の冷却水温度が105℃となるようにファン11の回転数を多くする(ステップS211)。
【0103】
また、ステップS212において、水側レイノルズ数2600でない場合は、水側レイノルズ数2600となるように電動ポンプ8を制御し(ステップS213)、温度センサ9での冷却水温度の検出を継続する。
【0104】
一方、ステップS209において、冷却水温度が105℃より低い場合は、ファン11が稼働しているか否かの判定を行う(ステップS214)。ここで、ファン11が稼働していない場合は、電動ポンプ8を10L/分で駆動して(ステップS215)、冷却水温度の検出を継続する。また、ファン11が稼働している場合は、シリンダブロック22の冷却水流通路23内の冷却水温度が105℃になるように、ファン11の回転数を少なく制御し(ステップS216)、冷却水温度の検出を継続する。
【0105】
この制御方法2では、車室内温度が目標温度より高い場合に、電動ポンプ8を少ない流量(10L/分)に制御することにより、余分な放熱を抑えてより速く冷却水の温度を高めることができ、燃費性能を高めることができる。
【0106】
このような制御を行うことにより、温度センサ9による冷却水の検出温度が所定目標温度である105℃より高くファン11がONでないときに、ラジエータ7のチューブ6内を流通する冷却水の流動状態がレイノルズ数2600となるように電動ポンプ8を稼働することで、図5に示すように層流域と乱流域との間の遷移域、及びこの遷移域に近接する乱流域の範囲に入ると共に、冷却水が予め定められた流量で循環するよう電動ポンプ8の駆動を行うことができる。
【0107】
この制御方法2においても、エンジンに高負荷がかかる状態において、電動ポンプ8による低流量化による動力ロスの低減が図れると共に、この低流量化によるラジエータ7の出入口温度差とシリンダヘッド21から冷却水を流す流路の改善により、シリンダヘッド21ではノッキングを防止するために低水温(約85℃)とし、シリンダブロック22はオイルなどのフリクションロスを低減するための高水温に制御できる。また、電動ポンプ8を用いることにより、冷却水の流量を最適量に制御できるため、動力ロスを低減することができる。
【0108】
このような制御を行う冷却装置1を車両に適用すると、電動ポンプによる低流量化を図るだけで、例えば60km/hでの定速走行において、軽自動車で約9%、1.8Lクラスの自動車で約2%の燃費向上を図ることができる。また、シリンダ部分の高水温化により、60km/h定速走行において、軽自動車で約1%、1.8Lクラスの自動車で約3%の燃費向上を図ることが可能となる。
【0109】
加えて、本実施形態では、シリンダブロック22を通過した冷却水(温水)を空気調和装置25のヒータコア26に循環させることで、エアーミックスドアを省略可能として、空気調和装置25の小型化が図れると共に、ヒータコア26の温度上昇を迅速に行うことが可能となる。
【0110】
以上、実施形態1及び実施形態2について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、構成の要旨に付随する各種の設計変更が可能である。例えば、上記した両実施形態では、電動ポンプ8を制御してチューブ6の水側レイノルズ数を2600となるように設定したが、チューブ6内を流れる冷却水のレイノルズ数が1800〜6000の範囲に対応する流量であればこれに限定されるものではない。
【0111】
また、上記した両実施形態では、ラジエータ7のヘッダ4、5を上下方向に配置する形態(所謂、縦流れ型)を適用して説明したが、両ヘッダが横方向に隔てて配置された形態(所謂、横流れ型)のラジエータに適用することも勿論可能である。
【0112】
因に、この横流れ型のラジエータとして、図8に示すようなチューブを39本備えたものを用いて、ラジエータ性能(ラジエータ放熱量Q)と風量(風速Va)と冷却水流量(Gw)との関係を下表3に示す。この下表3では、同一ラジエータで同一性能(ラジエータ放熱量(Q))を出すための、風速(Va)と、冷却水流量(Gw)との組み合わせを示している。このように、同一のラジエータ放熱流量3.4×104Wを出すためには、風速と冷却水流量との組み合わせを適宜選択することが可能である。
【0113】
【表3】
また、下表4は、この横流れ型のラジエータにおけるファン、電動ポンプの効率を示す実験値である。
【0114】
【表4】
上記表4では、必要動力合計が230Wで最小となり、そのときのレイノルズ数が3300と4000であり、上記した冷却に必要な動力の最小にするレイノルズ数の範囲(1800〜6000)に入っていることが確認できる。このように横流れ型のラジエータでは、必要動力合計が最小で230Wとなり、縦流れ型のラジエータにも増して低動力化を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る水冷式エンジン冷却装置の実施形態1を示す概略説明図である。
【図2】実施形態1に係る水冷式エンジン冷却装置のバイパス回路に冷却水を流している状態を示す概略説明図である。
【図3】冷却に必要な動力と、ラジエータ水側レイノルズ数と、ファン風速との関係及びファン動力とポンプ動力との関係を示すグラフである。
【図4】チューブ内を流れる冷却水と伝熱系を示す説明図である。
【図5】K値と水側レイノルズ数とファン風速との関係を示すグラフである。
【図6】ラジエータ放熱量とファン風速との関係を示すグラフである。
【図7】実施形態1での制御の流れを示すフローチャートである。
【図8】チューブ内形状および寸法を示す説明図である。
【図9】本発明に係る水冷式エンジン冷却装置の実施形態2を示す概略説明図である。
【図10】実施形態2における制御方法1の流れを示すフローチャートである。
【図11】実施形態2における制御方法2の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 冷却装置
2 エンジン
3 冷却水回路
4、5 ヘッダ
6 チューブ
7 ラジエータ
8 電動ポンプ
9 温度センサ
10 冷却水回路
11 ファン
12 回転駆動モータ
13 バイパス回路
14 サーモスタット
15 制御装置
21 シリンダヘッド
22 シリンダブロック
23 冷却水流通路
24 温水流通路
25 空気調和装置
26 ヒータコア
27 電磁バルブ
Claims (11)
- 水冷式エンジン(2)から流出する冷却水をヘッダ(4、5)間に配置されたチューブ(6)に流通させて冷却水の冷却を行う熱交換器(7)と、
前記チューブに送風を行うファン(11)を備える回転駆動モータ(12)と、
前記水冷式エンジン(2)に独立して駆動されて前記水冷式エンジン(2)と前記熱交換器(7)とに冷却水を循環させるポンプ(8)と、
前記水冷式エンジン(2)内の冷却水温度を検出する温度検出手段(9)と、
前記温度検出手段(9)による検出値に基づいて前記ポンプ(8)の駆動及び前記回転駆動モータ(12)の回転数を制御する制御装置(15)と、を備える水冷式エンジン冷却装置(1)であって、
前記制御装置(15)は、前記温度検出手段(9)による検出温度が所定目標温度以上のときに、前記熱交換器(7)の前記チューブ(6)内を流通する冷却水の流動状態が、層流域と乱流域との間の遷移域、及びこの遷移域に近接する前記乱流域の範囲に入ると共に、冷却水が予め定められた流量で循環するように前記ポンプ(8)の駆動を制御し、且つ、所定の前記熱交換器の放熱量を得るために必要な前記ポンプの動力及び前記回転駆動モータ(12)の動力が最も低くなるように、前記ポンプの駆動及び前記回転駆動モータの回転数を制御することを特徴とする水冷式エンジン冷却装置(1)。 - 水冷式エンジン(2)から流出する冷却水をヘッダ(4、5)間に配置されたチューブ(6)に流通させて冷却水の冷却を行う熱交換器(7)と、
前記チューブに送風を行うファン(11)を備える回転駆動モータ(12)と、
前記水冷式エンジン(2)に独立して駆動されて前記水冷式エンジン(2)と前記熱交換器(7)とに冷却水を循環させるポンプ(8)と、
前記水冷式エンジン(2)内の冷却水温度を検出する温度検出手段(9)と、
前記温度検出手段(9)による検出値に基づいて前記ポンプ(8)の駆動及び前記回転駆動モータ(12)の回転数を制御する制御装置(15)と、を備える水冷式エンジン冷却装置(1)であって、
前記制御装置(15)は、前記温度検出手段(9)による検出温度が所定目標温度以上のときに、冷却水が予め定められた流量で循環するように前記ポンプ(8)の駆動を制御すると共に、前記冷却水の予め定められた流量において、前記熱交換器(7)の前記チューブ(6)内を流通する冷却水の流動状態が、層流域と乱流域との間の遷移域、またはこの遷移域に近接する前記乱流域のうち少なくともどちらか一方を含む領域の範囲に入るように、前記熱交換器(7)が構成され、前記制御装置(15)は、所定の前記熱交換器の放熱量を得るために必要な前記ポンプの動力及び前記回転駆動モータ(12)の動力が最も低くなるように、前記ポンプの駆動及び前記回転駆動モータ(12)の回転数を制御することを特徴とする水冷式エンジン冷却装置(1)。 - 水冷式エンジン(2)から流出する冷却水をヘッダ(4、5)間に配置されたチューブ(6)に流通させて冷却水の冷却を行う熱交換器(7)と、
前記チューブに送風を行うファン(11)を備える回転駆動モータ(12)と、
前記水冷式エンジン(2)に独立して駆動されて前記水冷式エンジン(2)と前記熱交換器(7)とに冷却水を循環させるポンプ(8)と、
前記水冷式エンジン(2)内の冷却水温度を検出する温度検出手段(9)と、
前記温度検出手段(9)による検出値に基づいて前記ポンプ(8)の駆動及び前記回転駆動モータ(12)の回転数を制御する制御装置(15)と、を備える水冷式エンジン冷却装置(1)であって、
前記制御装置(15)は、前記温度検出手段(9)による検出温度が所定目標温度以上のときに、前記熱交換器(7)の前記チューブ(6)内を流通する冷却水のレイノルズ数が1800〜6000の範囲に入ると共に、冷却水が予め定められた流量で循環するように前記ポンプ(8)の駆動を制御し、且つ、所定の前記熱交換器の放熱量を得るために必要な前記ポンプの動力及び前記回転駆動モータ(12)の動力が最も低くなるように、前記ポンプの駆動及び前記回転駆動モータ(12)の回転数を制御することを特徴とする水冷式エンジン冷却装置(1)。 - 水冷式エンジン(2)から流出する冷却水をヘッダ(4、5)間に配置されたチューブ(6)に流通させて冷却水の冷却を行う熱交換器(7)と、
前記チューブに送風を行うファン(11)を備える回転駆動モータ(12)と、
前記水冷式エンジン(2)に独立して駆動されて前記水冷式エンジン(2)と前記熱交換器(7)とに冷却水を循環させるポンプ(8)と、
前記水冷式エンジン(2)内の冷却水温度を検出する温度検出手段(9)と、
前記温度検出手段(9)による検出値に基づいて前記ポンプ(8)の駆動及び前記回転駆動モータ(12)の回転数を制御する制御装置(15)と、を備える水冷式エンジン冷却装置(1)であって、
前記制御装置(15)は、前記温度検出手段(9)による検出温度が所定目標温度以上のときに、冷却水が予め定められた流量で循環するように前記ポンプ(8)の駆動を制御すると共に、前記冷却水の予め定められた流量において、前記熱交換器(7)の前記チューブ(6)内を流通する冷却水のレイノルズ数が1800〜6000の範囲に入るように、前記熱交換器(7)が構成され、前記制御装置(15)は、所定の前記熱交換器の放熱量を得るために必要な前記ポンプの動力及び前記回転駆動モータ(12)の動力が最も低くなるように、前記ポンプの駆動及び前記回転駆動モータ(12)の回転数を制御することを特徴とする水冷式エンジン冷却装置(1)。 - 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載された水冷式エンジン冷却装置(1)であって、前記水冷式エンジン(2)は、シリンダヘッド(21)を冷却するシリンダヘッド側通路(23)と、該シリンダヘッド側通路(23)と連通する、シリンダブロック(22)を冷却するシリンダブロック側通路(23)とを備え、冷却水が前記シリンダヘッド側通路(23)から導入されると共に前記シリンダブロック側通路(23)から導出されることを特徴とする水冷式エンジン冷却装置(1)。
- 請求項1乃至請求項5のいずれかに記載された水冷式エンジン冷却装置(1)であって、前記ポンプ(8)は、流量調節可能な電動ポンプ(8)であることを特徴とする水冷式エンジン冷却装置(1)。
- 請求項1乃至請求項6のいずれかに記載された水冷式エンジン冷却装置(1)であって、前記冷却水は、前記シリンダヘッド側通路(23)に80〜95℃の状態で導入され、前記シリンダブロック側通路(23)から100〜115℃の状態で導出されることを特徴とする水冷式エンジン冷却装置(1)。
- 請求項1乃至請求項7のいずれかに記載された水冷式エンジン冷却装置(1)であって、前記水冷式エンジンで暖められた冷却水を空気調和装置(25)のヒータコア(26)に流通させると共に、前記ヒータコアから導出される冷却水を前記ポンプ(8)の上流側に合流させる空調用迂回通路(24)を有することを特徴とする水冷式エンジン冷却装置(1)
- 請求項8記載の水冷式エンジン冷却装置(1)であって、前記ヒータコア(26)の上流側の前記空調用迂回通路(24)には、冷却水の流通量を制御できる可変バルブ(27)が設けられていることを特徴とする水冷式エンジン冷却装置(1)。
- 水冷式エンジン(2)から流出する冷却水をヘッダ(4、5)間に配置されたチューブ(6)に流通させて冷却水の冷却を行う熱交換器(7)と、前記チューブに送風を行うファン(11)を備える回転駆動モータ(12)と、前記チューブ(6)に送風を行う送風機(11、12)と、前記水冷式エンジン(2)に独立して駆動されて前記水冷式エンジン(2)と前記熱交換器(7)とに冷却水を循環させるポンプ(8)と、前記水冷式エンジン(2)内の冷却水温度を検出する温度検出手段(9)と、前記温度検出手段(9)による検出値に基づいて前記ポンプ(8)の駆動及び回転駆動モータ(12)の回転数を制御する制御装置(15)と、を備える水冷式エンジン冷却装置(1)の制御方法であって、
前記温度検出手段(9)による検出温度が所定目標温度以上のときに、前記制御装置(15)が、前記熱交換器(7)の前記チューブ(6)内を流通する冷却水の流動状態が層流域と乱流域との間の遷移域及びこの遷移域に近接する前記乱流域のうち少なくともどちらか一方を含む領域の範囲に入る予め定められた流量で冷却水を循環させるように前記ポンプ(8)による冷却水流量を制御し、且つ、所定の前記熱交換器の放熱量を得るために必要な前記ポンプの動力及び前記回転駆動モータ(12)の動力が最も低くなるように、前記ポンプの駆動及び前記回転駆動モータ(12)の回転数を制御することを特徴とする水冷式エンジン冷却装置(1)の制御方法。 - 水冷式エンジン(2)から流出する冷却水をヘッダ(4、5)間に配置されたチューブ(6)に流通させて冷却水の冷却を行う熱交換器(7)と、前記チューブに送風を行うファン(11)を備える回転駆動モータ(12)と、前記チューブ(6)に送風を行う送風機(11、12)と、前記水冷式エンジン(2)に独立して駆動されて前記水冷式エンジン(2)と前記熱交換器(7)とに冷却水を循環させるポンプ(8)と、前記水冷式エンジン(2)内の冷却水温度を検出する温度検出手段(9)と、前記温度検出手段(9)による検出値に基づいて前記ポンプ(8)の駆動及び回転駆動モータ(12)の回転数を制御する制御装置(15)と、を備える水冷式エンジン冷却装置(1)の制御方法であって、
前記温度検出手段(9)による検出温度が所定目標温度以上のときに、前記制御装置(15)が、前記熱交換器(7)の前記チューブ(6)内を流通する冷却水のレイノルズ数が1800〜6000の範囲に入る予め定められた流量で冷却水を循環させるように前記ポンプ(8)による冷却水流量を制御し、且つ、所定の前記熱交換器の放熱量を得るために必要な前記ポンプの動力及び前記回転駆動モータ(12)の動力が最も低くなるように、前記ポンプの駆動及び前記回転駆動モータ(12)の回転数を制御することを特徴とする水冷式エンジン冷却装置(1)の制御方法。
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