JP4000750B2 - 動力出力装置およびその制御方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、動力出力装置およびその制御方法に関し、詳しくは、内燃機関と電動発電機とを備え、内燃機関の出力軸と電動発電機の回転軸と駆動軸とが所定の関係を保つよう結合された動力出力装置およびその制御方法、並びにハイブリッド車両に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、内燃機関に加えて電動機を備えるハイブリッド車両として、種々の構成が提案されている。ハイブリッド車両は、従来のガソリンエンジンを搭載した車両に比べて、化石燃料の消費量を大幅に削減することが可能であり、環境問題の深刻化に伴って社会的要請が増している。ハイブリッド車両の一種として、パラレル・ハイブリッド車両がある。パラレル・ハイブリッド車両では、内燃機関からの動力および電動機からの動力の両方を、車軸に伝達可能である。パラレル・ハイブリッド車両の構成の一例を、図1に示す。
【0003】
図1に示したハイブリッド車両は、エンジン150と、電動発電機MG1,MG2とが備えられている。これら三者は、プラネタリギヤ120を介して機械的に結合されている。プラネタリギヤ120は、遊星歯車とも呼ばれ、以下に示すそれぞれのギヤに結合された3つの回転軸を有している。プラネタリギヤ120を構成するギヤは、中心で回転するサンギヤ121、サンギヤ121の外周で自転しながら公転するプラネタリピニオンギヤ123、さらにその外周で回転するリングギヤ122である。プラネタリピニオンギヤ123は、プラネタリキャリア124に軸支されている。図1のハイブリッド車両では、エンジン150の駆動軸であるクランクシャフト156は、プラネタリキャリア124の回転軸と結合してプラネタリキャリア軸127を成す。また、電動発電機MG1の駆動軸は、サンギヤ121の回転軸に結合してサンギヤ軸125を成し、電動発電機MG2の駆動軸は、リングギヤ122の回転軸に結合してリングギヤ軸126を成す。さらにリングギヤ122は、チェーンベルト129およびディファレンシャルギヤを介して、車軸112に結合している。
【0004】
このようなハイブリッド車両は、上記したプラネタリギヤ120の機能により、種々の状態で走行することができる。例えば、ハイブリッド車両が走行を始めた比較的低速な状態では、エンジン150を停止したまま、電動発電機MG2を力行する(電動機として働かせる)ことにより車軸112に動力を伝達して走行する。同様にエンジン150をアイドル運転したまま走行することもある。低速走行時にエンジン150より動力を得る場合には、エネルギ効率を充分に高くすることは困難であるため、このように、発進時などの低速走行時には電動発電機MG2によって動力を得ることで、車両全体のエネルギ効率を高めることができる。
【0005】
走行開始後にハイブリッド車両が所定の速度に達すると、制御システム200はモータMG1を力行して出力されるトルクによってエンジン150をモータリングして始動する。このとき、電動発電機MG1の反力トルクがプラネタリギヤ120を介してリングギヤ122にも出力される。
【0006】
エンジン150を運転してプラネタリキャリア軸127を回転させると、所定の条件下で、サンギヤ軸125およびリングギヤ軸126が回転する。リングギヤ軸126の回転による動力はそのまま車輪116R,116Lに伝達される。サンギヤ軸125の回転による動力は電動発電機MG1で電力として回生する(発電機として働かせる)ことができる。一方、電動発電機MG2を力行すれば、リングギヤ軸126を介して車輪116R,116Lに動力を出力することができる。
【0007】
定常運転時には、エンジン150の出力が、車軸112の要求動力(すなわち車軸112の回転数×要求トルク)とほぼ等しい値に設定される。このとき、エンジン150の出力の一部はリングギヤ軸126を介して直接車軸112に伝えられ、残りの出力は電動発電機MG1によって電力として回生される。回生された電力は、電動発電機MG2がリングギヤ軸126を回転させるトルクを発生するために使用される。この結果、車軸112を所望の回転数および所望のトルクで駆動することが可能である。
【0008】
車軸112に伝達されるトルクが不足する場合には、電動発電機MG2によってトルクをアシストする。このアシストのための電力には、電動発電機MG1で回生した電力およびバッテリ194に蓄えられた電力が用いられる。このように、制御システム200は、車軸112から出力すべき要求動力に応じて2つの電動発電機MG1,MG2の運転を制御する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このように車軸112の回転数(車速)×要求トルクとして求められる要求動力に応じて、エンジン150の出力を決定すると共に、エンジン150および電動発電機MG1,MG2の駆動制御を行なう場合には、車両の走行条件によっては、運転者の意図する動力が充分な反応性で出力できなくなる場合が考えられた。すなわち、一旦アクセル開度が値0になると、要求トルクが値0となるため、エンジン150および電動発電機MG1,MG2による車両駆動のための動力発生が停止されるが、その後再び要求トルクが大きくなったときには、エンジン150が再始動して必要な動力を出力できるようになるまでに時間を要してしまい、所望のトルクを得るのに時間がかかる場合があった。
【0010】
例えば、山間地において車両が登坂走行しているときに、道路がカーブにさしかかって運転者が減速のためにアクセル開度を閉状態とすると、エンジン150に対する要求動力は値0となり、エンジン150は停止あるいはアイドリング状態となる。ここで、カーブの通過に伴い再びアクセルを踏んだとしても、エンジン150から充分な出力が得られるまでに時間がかかるために、所望の加速が得られない可能性がある。また、アクセル開度を閉状態とすることで一旦減速してしまうと、要求動力は上記したように車速×要求トルク(アクセル開度)として求められるため、加速しようとアクセルを踏んでも、充分に大きな要求動力が直ちには設定されず、さらに、一旦減速してしまうと所望の速度に達するのに要する加速度も大きくなるため、登坂走行しながら加速するにはトルクが不足した状態となり、所望の加速が得られなくなるおそれがある。
【0011】
エンジン150から充分な動力が得られるようになるまでの間は、通常は、バッテリ194に蓄えられた電力を用いて電動発電機MG2から動力を得ることが可能である。しかしながら、登坂走行時のように大きなトルクを必要とする場合には、また、上記したように登坂走行時に一旦減速した後に加速しようとする場合のようにより大きなトルクを必要とする場合には、電動発電機MG2からの出力だけでは不十分となり、所望の車速が得られなくなる場合があった。すなわち、車両の性能として、高負荷走行時においてエンジン150からの出力を要するようなハイブリッド車両では、上記したように登坂走行時に一旦アクセルを閉状態とした後の再加速時には、エンジン150から充分な出力が得られるようになるまでの間は、必然的にトルクが不足してしまうことになってしまう。
【0012】
また、高負荷走行時においてエンジン150からの出力の必要性が低いハイブリッド車両においても、上記したようなカーブが連続する道路を登坂走行する際には、エンジン150から充分な出力が得られるようになると再びカーブにさしかかって要求動力が値0になるということを繰り返す状況が考えられ、このような場合には、再加速の度にバッテリ194に蓄えられた電力を用いて電動発電機MG2が動力を出力し続ける。したがって、電動発電機MG2によるバッテリ194の電力消費が断続的に続いて、バッテリ194のSOCが非所望の程度にまで低下してしまうおそれがあった。バッテリ194のSOCが低下してしまうと、バッテリ194に蓄えられた電力を用いて電動発電機MG2から動力を出力して登坂を続ける走行を続行できなくなってしまう。
【0013】
本発明の動力出力装置およびその制御方法は、こうした問題を解決し、要求動力がない状態からある状態に変化したときに、運転者の意図に対応して動力を出力する反応性をより向上させることを目的としてなされ、次の構成を採った。
【0014】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
本発明の動力出力装置は、エンジンと電動機とを備え、外部に動力を出力する駆動軸に対して、前記エンジンと電動機とのうちの少なくとも一方から出力される動力を伝達することによって、前記駆動軸から動力を出力すると共に、該駆動軸から出力される動力の大きさは前記エンジンから出力される動力の大きさに依存する動力出力装置であって、
前記駆動軸に対して運転者が要求する動力に基づいて、前記エンジンが出力すべき動力および前記駆動軸から出力すべき動力を設定し、前記エンジンおよび前記駆動軸がそれぞれ設定した動力を出力するように、少なくとも前記エンジンと前記電動機とを制御する制御手段と、
運転者から動力要求がない場合に、次回、動力要求があった際に、前記駆動軸から出力される動力が運転者の要求する動力に追従できるか否かを予測する予測手段と
を備え、
前記制御手段は、運転者から動力要求がない場合であって、前記予測手段が追従できないと予測した場合には、前記予測手段が追従できると予測した場合に前記エンジンが出力すべき動力として設定される値よりも大きな値を、前記エンジンが出力すべき動力として設定することを要旨とする。
【0015】
以上のように構成された本発明の動力出力装置は、外部に動力を出力する駆動軸に対して、前記エンジンと電動機とのうちの少なくとも一方から出力される動力を伝達することによって、前記駆動軸から動力を出力する。また、駆動軸から出力される動力の大きさは前記エンジンから出力される動力の大きさに依存している。このような動力出力装置では、制御手段が、前記駆動軸に対して運転者が要求する動力に基づいて、前記エンジンが出力すべき動力および前記駆動軸から出力すべき動力を設定し、前記エンジンおよび前記駆動軸がそれぞれ設定した動力を出力するように、少なくとも前記エンジンと前記電動機とを制御する。また、運転者から動力要求がない場合に、次回、動力要求があった際に、前記駆動軸から出力される動力が運転者の要求する動力に追従できるか否かを、予測手段が予測する。ここで、運転者から動力要求がない場合であって、前記予測手段が追従できないと予測した場合には、制御手段は、前記予測手段が追従できると予測した場合に前記エンジンが出力すべき動力として設定される値よりも大きな値を、前記エンジンが出力すべき動力として設定する。
【0016】
また、本発明の動力出力装置の制御方法は、エンジンと電動機とを備え、外部に動力を出力する駆動軸に対して、前記エンジンと電動機とのうちの少なくとも一方から出力される動力を伝達することによって、前記駆動軸から動力を出力すると共に、該駆動軸から出力される動力の大きさは前記エンジンから出力される動力の大きさに依存する動力出力装置の制御方法であって、
(a)前記駆動軸に対して運転者が要求する動力に基づいて、前記エンジンが出力すべき動力および前記駆動軸から出力すべき動力を設定し、前記エンジンおよび前記駆動軸がそれぞれ設定した動力を出力するように、少なくとも前記エンジンと前記電動機とを制御する工程と、
(b)運転者から動力要求がない場合に、次回、動力要求があった際に、前記駆動軸から出力される動力が運転者の要求する動力に追従できるか否かを予測する工程と
を備え、
前記(a)工程は、運転者から動力要求がない場合であって、前記(b)工程において追従できないと予測した場合には、前記(b)工程において追従できると予測した場合に前記エンジンが出力すべき動力として設定される値よりも大きな値を、前記エンジンが出力すべき動力として設定することを要旨とする。
【0017】
このような本発明の動力出力装置および動力出力装置の制御方法によれば、運転者から動力要求がない場合に、次回、動力要求があった際に、前記駆動軸から出力される動力が運転者の要求する動力に追従できないと予測した場合には、エンジンが出力すべき動力をより大きく設定するため、実際に次回要求動力があったときには、直ちにエンジンから充分な動力を出力することができる。ここで、駆動軸から出力される動力の大きさはエンジンから出力される動力の大きさに依存するため、前記駆動軸から出力される動力を運転者の要求する動力により充分に追従させることが可能になる。
【0018】
本発明の動力出力装置において、
前記エンジンの出力軸および前記駆動軸に結合され、前記エンジンから出力された動力を前記駆動軸に伝達すると共に、該伝達される動力の大きさを電力のやり取りによって調整する動力調整手段をさらに備え、
前記電動機は、前記駆動軸に結合されており、
前記制御手段は、前記エンジンおよび前記駆動軸がそれぞれ設定した動力を出力するように、前記動力調整手段をさらに制御することとしてもよい。
【0019】
このような構成とすれば、エンジンから駆動軸に伝達される動力の大きさを動力調整手段によって調整するため、エンジンが出力すべき動力としてより大きな値を設定しても、運転者から動力要求がない間は、上記動力調整手段の働きによって、エンジンからの出力に起因して駆動軸から非所望の動力が出力されるのを防ぐことができる。
【0020】
本発明の動力出力装置において、前記制御手段は、前記駆動軸に対して運転者が要求する動力に基づいて前記駆動軸から出力すべき動力として設定された値が、所定の値を越えた場合には、前記電動機と前記エンジンとの両方からの出力が前記駆動軸に伝達されるよう制御することとしてもよい。
【0021】
このような場合には、駆動軸から出力すべき動力が大きいときには電動機とエンジンとの両方からの出力が駆動軸に伝達されるよう制御されるため、運転者から動力要求がない場合にエンジンから出力すべき動力をより大きく設定することによって、次回の要求動力が上記所定の値を超えていた場合にも、速やかにエンジンから必要な動力を出力することが可能となる。
【0022】
本発明の動力出力装置において、
前記予測手段は、
前記運転者から動力要求が無い状態から有る状態に移行した際に、前記駆動軸から実際に出力された動力が、運転者の要求動力に追従できたかどうかを検出する検出手段と、
該検出手段の検出結果を記憶する記憶手段と
を備え、
前記記憶手段に記憶されている検出結果に基づいて予測することとしても良い。
【0023】
このような構成とすれば、実際に運転者の要求動力に追従できない状況が起きたときに、次回、動力要求があった際に、駆動軸から出力される動力が運転者の要求する動力に追従できないと予測する。したがって、上記予測を精度良く行なうことができる。それによって、必要以上にエンジンの出力する動力を増大させることで動力出力に関わる効率が低下するのを抑えることができる。
【0024】
また、本発明の動力出力装置において、
少なくとも前記電動機との間で電気エネルギのやり取りを行なうバッテリをさらに備え、
前記予測手段は、前記バッテリの残存容量が所定量以下であるときに、運転者の要求動力に追従できないと予測することとしても良い。
【0025】
電動機との間で電気エネルギのやり取りを行なうバッテリの残存容量が充分であれば、次回、動力要求があった際に、電動機から駆動軸に動力を出力することができる。バッテリの残存容量が所定量以下であれば、電動機から充分な動力を出力できないため、運転者の要求動力に追従できないと予測することができる。このような場合にエンジンの出力すべき動力をより大きく設定することで、次回、動力要求があった際には、エンジンから速やかに動力を出力して、前記駆動軸から出力される動力を運転者の要求する動力により充分に追従させることが可能となる。
【0026】
このような動力出力装置において、
前記制御手段は、運転者から動力要求がない場合であって、前記予測手段が追従できないと予測した場合には、前記エンジンから出力される動力の少なくとも一部を電気エネルギとして回収すると共に、前記バッテリに供給される電流量が前記バッテリの許容量を越えないように、少なくとも前記エンジンと前記電動機とを制御することとしてもよい。
【0027】
このような構成とすれば、バッテリの残存容量に基づいて運転者の要求動力に追従できないと予測し、エンジンから出力すべき動力をより大きく設定したときに、エンジンから出力される動力の少なくとも一部が電気エネルギとして回収されるため、このような動作によってバッテリの残存容量を回復することができる。したがって、バッテリの残存容量を回復することで、次回、動力要求があったときに、電動機からもより充分な動力を出力することが可能となり、運転者の要求動力に追従できなくなるのを抑える効果を増すことができる。さらに、非所望の大きな電流によって前記バッテリを充電してしまうのを防止することができる。
【0028】
また、本発明の動力出力装置において、
前記制御手段は、運転者から動力要求がない場合であって、前記予測手段が追従できないと予測した場合には、前記動力調整手段によって前記エンジンから前記駆動軸に動力が伝達されると共に、前記エンジンによって前記駆動軸に発生するトルクを、前記電動機が発生するトルクで打ち消すように、前記動力調整手段および前記電動機を制御することとしても良い。
【0029】
このような構成とすれば、次回、動力要求があったときには、前記動力調整手段および前記電動機を制御することによって、前記エンジンから前記駆動軸に伝達されていた動力を直ちに駆動軸から出力することができる。すなわち、動力調整手段および電動機の運転状態を変更するために必要な時間を要するだけで、直ちに、前記エンジンから伝達されていた動力を駆動軸から出力することができ、次回の動力要求があってからエンジン出力を増大させる場合に比べて、動力要求に対する反応性を向上させることができる。したがって、運転者の要求動力に対して、より迅速に追従して駆動軸から動力を出力することが可能となる。
【0030】
このような動力出力装置において、
前記電動機が発生するトルクは、そのときの前記駆動軸の回転数に応じて、前記電動機が出力可能な最大トルクであることとしても良い。
【0031】
このような場合には、電動機が出力しうる最大トルクが駆動軸に伝達されていることになるため、次回、動力要求があったときには、より大きな動力を直ちに駆動軸から出力することが可能となり、運転者の要求動力に対する追従性を向上させることができる。
【0032】
このような動力出力装置において、
前記動力調整手段および前記電動機との間で電気エネルギのやり取りを行なうバッテリをさらに備え、
前記制御手段は、運転者から動力要求がない場合であって、前記予測手段が追従できないと予測した場合には、前記エンジンが出力すべき値として、前記駆動軸から出力される動力が運転者の要求する動力に追従できないと予測される程度と、前記バッテリの残存容量とのうちの少なくとも一つに応じた値を設定することとしても良い。
【0033】
このような構成とすれば、不必要に大きな動力をエンジンから出力してしまうのを防止できるため、動力出力装置全体の効率が低下してしまうのを抑えることができる。
【0034】
また、本発明の動力出力装置において、
前記予測手段は、前記駆動軸が回転しているときに、前記追従できるか否かの予測を行なうこととしても良い。
【0035】
本発明のハイブリッド車両は、
請求項1ないし10いずれか記載の動力出力装置を備え、前記駆動軸から出力される動力によって走行することを要旨とする。
【0036】
このようなハイブリッド車両によれば、運転者から動力要求がない場合に、次回、動力要求があった際に、車両の駆動軸から出力される動力が運転者の要求する動力に追従できないと予測した場合には、エンジンが出力すべき動力をより大きく設定するため、実際に次回要求動力があったときには、直ちにエンジンから充分な動力を出力することができ、車両の駆動軸から出力される動力を運転者の要求する動力により充分に追従させることが可能になる。したがって、動力要求がない状態からある状態に変わったときに、運転者の意図に反して車両の走行がもたつくのを抑えることができる。
【0037】
【発明の実施の形態】
以上説明した本発明の構成・作用を一層明らかにするために、以下本発明の実施の形態を、実施例に基づいて以下の順序で説明する。
1.ハイブリッド車両の全体構成
2.ハイブリッド車両の基本的動作
3.一般的なトルク制御の動作
4.トルク不足が予測されるときの動作
5.ハイブリッド車両の他の構成
【0038】
(1)ハイブリッド車両の全体構成:
はじめに、本発明の実施例としてのハイブリッド車両の構成について説明する。図1は、本発明の一実施例としてのハイブリッド車両の全体構成を示す説明図である。このハイブリッド車両は、エンジン150と、2つのモータ/ジェネレータMG1,MG2との3つの原動機を備えている。ここで、「モータ/ジェネレータ」とは、モータ(原動機)としても機能し、また、ジェネレータ(発電機)としても機能する原動機を意味している。なお、以下では簡単のため、これらを単に「モータ」と呼ぶ。車両の制御は、制御システム200によって行われる。
【0039】
制御システム200は、メインECU210と、ブレーキECU220と、バッテリECU230と、エンジンECU240とを有している。各ECUは、内部にCPU、ROM、RAMなどを有するマイクロコンピュータや、入力インタフェース、出力インタフェースなどの複数の回路要素が1つの回路基板上に配置された1ユニットとして構成されたものであり、CPUがROMに記録されたプログラムに従い種々の制御を実行する。メインECU210は、モータ制御部260とマスタ制御部270とを有している。マスタ制御部270は、エンジン150およびモータMG1,MG2の出力の配分などの制御量を決定する機能を有している。
【0040】
エンジン150は、通常のガソリンエンジンであり、クランクシャフト156を回転させる。エンジン150の運転はエンジンECU240により制御されている。エンジンECU240は、マスタ制御部270からの指令に従って、エンジン150の燃料噴射量その他の制御を実行する。
【0041】
モータMG1,MG2は、同期電動機として構成されており、外周面に複数個の永久磁石を有するロータ132,142と、回転磁界を形成する三相コイル131,141が巻回されたステータ133,143とを備える。ステータ133,143はケース119に固定されている。モータMG1,MG2のステータ133,143に巻回された三相コイル131,141は、それぞれ駆動回路191,192を介して2次バッテリ194に接続されている。駆動回路191,192は、各相ごとにスイッチング素子としてのトランジスタを1対ずつ備えたトランジスタインバータである。駆動回路191,192はモータ制御部260によって制御される。モータ制御部260からの制御信号によって駆動回路191,192のトランジスタがスイッチングされると、バッテリ194とモータMG1,MG2との間に電流が流れる。モータMG1,MG2はバッテリ194からの電力の供給を受けて回転駆動する電動機として動作することもできるし(以下、この動作状態を力行と呼ぶ)、ロータ132,142が外力により回転している場合には三相コイル131,141の両端に起電力を生じさせる発電機として機能してバッテリ194を充電することもできる(以下、この動作状態を回生と呼ぶ)。
【0042】
エンジン150とモータMG1,MG2の回転軸は、プラネタリギヤ120を介して機械的に結合されている。プラネタリギヤ120は、サンギヤ121と、リングギヤ122と、プラネタリピニオンギヤ123を有するプラネタリキャリア124と、から構成されている。本実施例のハイブリッド車両では、エンジン150のクランクシャフト156はダンパ130を介してプラネタリキャリア軸127に結合されている。ダンパ130はクランクシャフト156に生じる捻り振動を吸収するために設けられている。モータMG1のロータ132は、サンギヤ軸125に結合されている。モータMG2のロータ142は、リングギヤ軸126に結合されている。リングギヤ122の回転は、チェーンベルト129とデファレンシャルギア114とを介して車軸112および車輪116R,116Lに伝達される。
【0043】
制御システム200は、車両全体の制御を実現するために種々のセンサを用いており、例えば、運転者によるアクセルの踏み込み量を検出するためのアクセルセンサ165、シフトレバーの位置を検出するシフトポジションセンサ167、ブレーキの踏み込み圧力を検出するためのブレーキセンサ163、バッテリ194の充電状態を検出するためのバッテリセンサ196、およびモータMG2の回転数を測定するための回転数センサ144などを利用している。リングギヤ軸126と車軸112はチェーンベルト129によって機械的に結合されているため、リングギヤ軸126と車軸112の回転数の比は一定である。従って、リングギヤ軸126に設けられた回転数センサ144によって、モータMG2の回転数のみでなく、車軸112の回転数も検出することができる。
【0044】
(2)ハイブリッド車両の基本的動作:
次に、本実施例のハイブリッド車両の動作について説明する。ハイブリッド車両の基本的な動作を説明するために、以下ではまず、プラネタリギヤ120の動作について説明する。プラネタリギヤ120は、上述した3つの回転軸のうちの2つの回転軸の回転数が決定されると残りの回転軸の回転数が決まるという性質を有している。各回転軸の回転数の関係は次式(1)の通りである。
【0045】
Nc=Ns×ρ/(1+ρ)+Nr×1/(1+ρ) …(1)
【0046】
ここで、Ncはプラネタリキャリア軸127の回転数、Nsはサンギヤ軸125の回転数、Nrはリングギヤ軸126の回転数である。また、ρは次式で表される通り、サンギヤ121とリングギヤ122のギヤ比である。
【0047】
ρ=[サンギヤ121の歯数]/[リングギヤ122の歯数]
【0048】
また、3つの回転軸のトルクは、回転数に関わらず、次式(2),(3)で与えられる一定の関係を有する。
【0049】
Ts=Tc×ρ/(1+ρ) …(2)
Tr=Tc×1/(1+ρ)=Ts/ρ …(3)
【0050】
ここで、Tcはプラネタリキャリア軸127のトルク、Tsはサンギヤ軸125のトルク、Trはリングギヤ軸126のトルクである。
【0051】
本実施例のハイブリッド車両は、このようなプラネタリギヤ120の機能により、種々の状態で走行することができる。例えば、ハイブリッド車両が走行を始めた比較的低速な状態では、エンジン150を停止したまま、モータMG2を力行することにより車軸112に動力を伝達して走行する。同様にエンジン150をアイドル運転したまま走行することもある。
【0052】
走行開始後にハイブリッド車両が所定の速度に達すると、制御システム200はモータMG1を力行して出力されるトルクによってエンジン150をモータリングして始動する。このとき、モータMG1の反力トルクがプラネタリギヤ120を介してリングギヤ122にも出力される。
【0053】
エンジン150を運転してプラネタリキャリア軸127を回転させると、上式(1)〜(3)を満足する条件下で、サンギヤ軸125およびリングギヤ軸126が回転する。リングギヤ軸126の回転による動力はそのまま車輪116R,116Lに伝達される。サンギヤ軸125の回転による動力は第1のモータMG1で電力として回生することができる。一方、第2のモータMG2を力行すれば、リングギヤ軸126を介して車輪116R,116Lに動力を出力することができる。
【0054】
定常運転時には、エンジン150の出力が、車軸112の要求動力(すなわち車軸112の回転数×トルク)とほぼ等しい値に設定される。このとき、エンジン150の出力の一部はリングギヤ軸126を介して直接車軸112に伝えられ、残りの出力は第1のモータMG1によって電力として回生される。回生された電力は、第2のモータMG2がリングギヤ軸126を回転させるトルクを発生するために使用される。この結果、車軸112を所望の回転数で所望のトルクで駆動することが可能である。
【0055】
車軸112に伝達されるトルクが不足する場合には、第2のモータMG2によってトルクをアシストする。このアシストのための電力には、第1のモータMG1で回生した電力およびバッテリ194に蓄えられた電力が用いられる。このように、制御システム200は、車軸112から出力すべき要求動力に応じて2つのモータMG1,MG2の運転を制御する。
【0056】
本実施例のハイブリッド車両は、エンジン150を運転したまま後進することも可能である。エンジン150を運転すると、プラネタリキャリア軸127は前進時と同方向に回転する。このとき、第1のモータMG1を制御してプラネタリキャリア軸127の回転数よりも高い回転数でサンギヤ軸125を回転させると、上式(1)から明らかな通り、リングギヤ軸126は後進方向に反転する。制御システム200は、第2のモータMG2を後進方向に回転させつつ、その出力トルクを制御して、ハイブリッド車両を後進させることができる。
【0057】
プラネタリギヤ120は、リングギヤ122が停止した状態で、プラネタリキャリア124およびサンギヤ121を回転させることが可能である。従って、車両が停止した状態でもエンジン150を運転することができる。例えば、バッテリ194の残容量が少なくなれば、エンジン150を運転し、第1のモータMG1を回生運転することにより、バッテリ194を充電することができる。車両が停止しているときに第1のモータMG1を力行すれば、そのトルクによってエンジン150をモータリングし、始動することができる。
【0058】
ここで、プラネタリギヤ120の動作を、さらに共線図を用いて説明する。プラネタリギヤ120において、これが備える3つの回転軸であるプラネタリキャリア軸127,サンギヤ軸125,リングギヤ軸126の回転数の間に成り立つ関係はすでに式(1)に示しており、これら3つの回転軸におけるトルクの関係はすでに式(2)および(3)に示している。このように、各回転軸の回転状態の関係は、機構学上周知の計算式によって求めることができるが、共線図と呼ばれる図により幾何学的に求めることもできる。
【0059】
図2に共線図の一例を示す。縦軸は、各回転軸の回転数を示している。横軸は、各ギヤのギヤ比を距離的な関係で示している。サンギヤ軸125(図2中のS)とリングギヤ軸126(図2中のR)とを両端にとり、位置Sと位置Rとの間を1:ρに内分する位置Cを、プラネタリキャリア軸127の位置とする。既述したように、ρは、リングギヤ122の歯数に対するサンギヤ121の歯数の比である。こうして横軸上に定義された位置S,C,Rに対して、それぞれのギヤの回転軸の回転数Ns,Nc,Nrをプロットする。プラネタリギヤ120は、このようにプロットされた3点が、必ず一直線上に並ぶという性質を有している。この直線を動作共線と呼ぶ。直線は、2点が決まれば一義的に決定されるものであるため、この動作共線を用いることにより、3つの回転軸のうちの2つの回転軸の回転数から、残る1つの回転軸の回転数を求めることができる。なお、既述したように、エンジン150のクランクシャフト156はプラネタリキャリア軸127に結合されており、モータMG1のロータ132は、サンギヤ軸125に結合されており、モータMG2のロータ142は、車軸に機械的に結合されたリングギヤ軸126に結合されており、各回転軸の回転数は、それぞれ、エンジン150,モータMG1,MG2の回転数に対応している。
【0060】
また、プラネタリギヤ120では、各回転軸のトルクを動作共線に働く力に置き換えて示したとき、動作共線が剛体として釣り合いが保たれるという性質を有している。具体例として、プラネタリキャリア軸127に作用するトルクTc(エンジン150からの出力トルク)に相当する大きさの力を位置Cで動作曲線に鉛直方向下から上に作用させる。作用させる方向は、トルクTcの方向に応じて定まる。また、リングギヤ軸126に対して作用するトルクTp(車軸112に作用する駆動力)を、位置Rにおいて動作共線に、鉛直方向上から下に作用させる。図中のTs,Trは、剛体に作用する力の分配法則に基づいて、トルクTcを等価な2つの力に分配したものである。トルクTs,Trの大きさは、既述した式(2),(3)により表わすことができる。
【0061】
以上の力が作用した状態で、動作共線図が剛体として釣り合いがとれているという条件を考慮すれば、MG1によってサンギヤ軸125に作用すべきトルクTgと、MG2によってリングギヤ軸に作用すべきトルクTmとを求めることができる。トルクTgはトルクTsと等しくなり、トルクTmはトルクTpとトルクTrの差分と等しくなる。このような性質に基づいた各トルクTg、Tmを表わす式を、以下に式(4),(5)として示す。
【0062】
Tg=−ρ/(1+ρ)×Tc …(4)
Tm=Tp−1/(1+ρ)×Tc …(5)
【0063】
プラネタリキャリア軸127に結合されたエンジン150が回転しているとき、動作共線に関する上述の条件を満足する条件下で、サンギヤ121およびリングギヤ122は様々な運転状態で回転することができる。図1に示した構成を有するハイブリッド車両では、エンジン150から出力された動力を、車軸112に機械的に伝達される動力と、一方の電動発電機が回生する(発電機として働く)ことによって電力に変換される動力に分配し、さらに回生された電力を用いて他方の電動発電機が力行する(電動機として働く)ことによって、車軸112において所望の動力を出力しながら走行することができる。このように、図1に示した構成のハイブリッド車両が走行する際には、通常は、電動発電機MG1およびMG2がそれぞれ、力行あるいは回生を行ない、力行で消費される電力と回生で生じる電力とが釣り合うように制御される。
【0064】
(3)一般的なトルク制御の動作
本発明は、アクセルが全閉である状態から、次回にアクセルが踏み込まれて大きな動力を要求されたときに、運転者の要求に充分に追従して所望の動力を出力することを特徴としているが、その説明の前提として、まず、一般的なトルク制御の動作について、本実施例のハイブリッド車両に即して説明する。図3は、トルク制御処理ルーチンを表わすフローチャートである。本ルーチンは、主としてマスタ制御部270内のCPUにおいて、所定の時間ごとに実行されているが、エンジン150やモータMG1,MG2の駆動制御に関わる動作は、エンジンECU240およびモータ制御部260においても実行される。
【0065】
本ルーチンが実行されると、上記CPUは、まず、アクセル開度および車速を入力する(ステップS100)。ここで、アクセル開度は、既述したアクセルペダルポジションセンサから入力する信号を基に知ることができる。また、車速は、既述したセンサ144が検出したリングギヤ軸126の回転数から知ることができ、以下の処理では、車速としてリングギヤ軸126の回転数Nrを用いている。次に、CPUは、ステップS100で入力した情報を基に、アクセルが全閉状態であるか否かを判断する(ステップS110)。
【0066】
ステップS110においてアクセルが全閉状態ではないと判断されると、次に、駆動力(制御対象は車軸112からの出力トルクであるが、ここではリングギヤ軸126に対して働く目標トルク)Tp*を設定する(ステップS120)。マスタ制御部270では、予め所定のROM内に、アクセル開度および車速と、駆動力Tp*との関係がマップとして記憶されており、CPUは、このマップを参照することにより駆動力Tp*を決定する。
【0067】
駆動力Tp*を求めると、次にCPUは、エンジン要求動力Pe*を算出する(ステップS130)。このエンジン要求動力Pe*は、駆動力Tp*と車速Nrの積として算出される走行動力である。このようにエンジン要求動力Pe*を算出すると、CPUは、エンジン150の目標運転ポイント、すなわち、ステップS130で算出したエンジン要求動力Pe*を出力するための、目標回転数Ne*および目標トルクTe*を設定する(ステップS140)。このような制御においては、エンジン150の運転ポイントとして、運転効率が最も高くなる運転ポイントがマップから選択される。
【0068】
図4にエンジン150の運転ポイントと運転効率の関係を示す。図4中、Pe*1,Pe*2で示されている曲線は、エンジン150から出力される動力が一定の曲線であり、エンジン150の運転ポイントは、これらの曲線のうち、要求動力に対応する所定の曲線上で選択される。Pe*1,Pe*2の順に要求動力が低い状態を示している。例えば、エンジン150への要求動力Pe*が曲線Pe*1で表わされる動力に相当する場合、エンジン150の運転ポイントは、曲線Pe*1上で運転効率が最も高くなるD1点に設定され、目標回転数はNc*1、目標トルクはTc*1と設定される。同様に、エンジン150への要求動力がPe*2であるときには、エンジン150の運転ポイントは、曲線Pe*2上で運転効率が最も高くなるD2点に設定され、目標回転数はNc*2、目標トルクはTc*2と設定される。なお、図4では、所定の要求動力に対応する曲線として、説明の便宜上、2本の曲線だけを例示しているが、このような曲線は要求出力に応じて無数に引くことができ、エンジン150の運転ポイントD1等も無数に選択することができる。このようにエンジン150の運転効率の高い点をつなぐことにより描いた曲線が、図4中の曲線Aであり、これを動作曲線と呼ぶ。エンジン150の運転ポイントは、動作曲線A上において、上記エンジン要求動力Pe*に対応するポイントを設定する。
【0069】
以上の処理によりエンジン150の運転ポイントを設定すると、次に、モータMG1の運転ポイント、すなわちMG1の目標回転数Ns*および目標トルクTg*を設定する(ステップS150)。エンジン150の目標回転数、すなわちプラネタリキャリア軸127の目標回転数Nc*が設定されており、車軸112の回転数、すなわちリングギヤ軸126の回転数Nrが入力されているため、図2に示したような共線図によって、サンギヤ軸125の目標回転数、すなわちモータMG1の目標回転数Ns*を設定することができる。また、モータMG1の目標トルクTg*は、図2に示したような共線図の性質によれば、既述した(4)式に基づいて求めることができるが、実際にはPID制御によって設定される。なお、PID制御は周知の制御方法であるため詳しい説明は省略する。
【0070】
モータMG1の運転ポイントが設定されると、次にCPUは、モータMG2の運転ポイントを設定する(ステップS160)。モータMG2の目標回転数としては、ステップS100で入力したリングギヤ軸126の回転数Nrが与えられるため、ここでは、モータMG2の目標トルクTm*が設定される。モータMG2の目標トルクTm*は、既述した共線図に基づく性質により、駆動力Tp*およびエンジン目標トルクTc*を既述した(5)式に代入することにより求められるが、実際にはPID制御によって設定される。
【0071】
こうして設定された運転ポイントに従って、CPUは、モータMG1,MG2およびエンジン150の運転に関する制御処理を行ない(ステップS170)、本ルーチンを終了する。モータMG1,MG2の制御は、モータ制御部260によって、設定された目標回転数と目標トルクとに応じて各モータの三相コイルに印加する電圧が設定され、現時点での印加電圧との偏差に応じて、駆動回路191,192のトランジスタのスイッチングを行なうのである。同期モータを制御する方法については周知であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0072】
エンジン150についても、設定された運転ポイントで運転するための制御処理は周知であるため、ここでは説明を省略する。ただし、実際にエンジン150の制御を行なうのはエンジンECU240である。したがって、トルク制御処理ルーチンでのステップS170における処理では、マスタ制御部270からエンジンECU240に対して、エンジン150の回転数などの必要な情報を送信する処理が行なわれる。このように情報を送信することによって、マスタ制御部270は、間接的にエンジン150の運転を制御する。
【0073】
なお、ステップS110において、アクセルが全閉状態であると判断されたときには、CPUは、トルク要求ゼロ時処理ルーチンを実行して(ステップS180)、本ルーチンを終了する。アクセルが全閉状態ではないときには、既述したように、アクセル開度に応じて駆動力Tp*が求められ、所望の駆動力が実現されるようにエンジン150およびモータMG1,MG2が制御されるが、アクセルが全閉状態のときには運転者からのトルク要求がゼロであるため、異なる制御が行なわれる。
【0074】
ステップS100で入力された車速が値0であるとき、すなわち車両が停車中である場合には、車軸においてトルクが発生しない制御が行なわれる。このとき、通常はエンジン150は停止される。あるいは、エンジン150を所定の回転数で回転させ、アイドリング状態とすることとしてもよい。アイドリング状態のエンジンの回転数は、予め所定の値を設定しておくこととしても良い。また、本実施例のハイブリッド車両では、エアコンのコンプレッサは、エンジン150の駆動軸と機械的に接続することによって駆動する構成となっており、停車中にエアコンを使用する場合には、エンジン150を、通常の停車状態に設定される回転数よりも高い回転数で回転するように、アイドリング状態を設定すればよい。
【0075】
また、ステップS100で入力された車速が値0ではないとき、すなわち車両の走行中に、ステップS110においてアクセルが全閉であると判断されると、本実施例のハイブリッド車両では、通常のガソリンエンジンのみを用いて走行する車両でエンジンブレーキがかかった状態に対応するように、モータMG2において所定の負のトルクを発生させて、所定の制動力が車軸に作用するように制御する。図5は、このような状態の一例を表わす共線図である。モータMG2は、車速に対応する回転数Nrで回転しつつ、バッテリ194に蓄積した電力を用いて、制動力Tbに対応する負のトルクTmを発生するよう制御される。なお、図5では、エンジン150が停止している状態を示したが、上記した停車中の場合と同様に、エンジン150は所定の回転数で回転するアイドリング状態としても良い。また、上記エンジンブレーキに対応する動作として車軸に作用する制動力Tbの値は、予め一定の値を定めておくこととしても良く、車速などに応じて適宜制御することとしても良い。
【0076】
なお、図3に基づいた上記説明では省略したが、実際にエンジン150およびモータMG1,MG2の駆動制御を行なう際には、運転ポイントの設定などの際に種々の補正が行なわれる。例えば、エンジン150から出力された動力が、プラネタリギヤ120やモータMG1,MG2を介して車軸112に伝えられ、所定のトルクおよび回転数にて出力される際には、100%の効率で動力が伝達されるわけではない。したがって、エンジン150の要求動力Pe*を設定する際には、動力が伝達される間に生じるエネルギのロスを考慮して、よりも大きな値が設定される。また、モータMG1およびMG2の動作では、制御指令に対して遅れや誤差が生じるため、モータMG1,MG2の回転数を実測してフィードバックすることによって、制御指令値の補正を行なっている。このような補正の動作は、後述する他の制御においても同様に行なわれるが、補正に関する説明は省略する。
【0077】
(4)トルク不足の判別に関わる動作:
以下に、運転者の要求する動力に追従できず、トルク不足が生じると予測したときの動作について説明する。図6は、トルク不足防止処理ルーチンを表わすフローチャートである。図3では、アクセル開度に基づく一般的なトルク制御の動作について説明したが、本実施例のハイブリッド車両では、アクセル全閉時には、トルク追従遅れに関する判断をさらに行ない、トルク追従遅れを防止する構成となっており、図3のトルク制御処理ルーチンに代えて図6のトルク防止処理ルーチンを実行する。本ルーチンは、主としてマスタ制御部270内のCPUにおいて、所定の時間ごとに実行されているが、エンジン150やモータMG1,MG2の駆動制御に関わる動作は、エンジンECU240およびモータ制御部260においても実行される。
【0078】
本ルーチンが実行されると、上記CPUは、まず、図3のトルク制御処理ルーチンと同様に、アクセル開度および車速を入力する(ステップS200)。次に、CPUは、ステップS200で入力した情報を基に、アクセルが全閉状態であるか否かを判断する(ステップS210)。ステップS210においてアクセルが全閉状態であると判断されると、次に、トルクの追従遅れが起こり得るか否かを予測する(ステップS220)。
【0079】
ここで、トルクの追従遅れに関しては、種々の方法によって予測することができる。一つの方法として、バッテリ194の残存容量(SOC)によって予測することができる。バッテリ194の残存容量が充分であれば、アクセル全閉状態からアクセル開度が急激に大きくなったときにも、モータMG2の性能の範囲内で大きなトルクを車軸に出力することが可能であり、エンジン150から充分な動力が出力されるようになるまでの間の動力をある程度確保することができる。したがって、モータMG2から充分な出力が得られない程度にバッテリ194の残存容量が低下すると、トルクの追従遅れが起こると予測することができる。
【0080】
なお、バッテリ194は、その残存容量が所定の範囲内となるように制御されている。ここでは、エンジンの運転効率を優先しつつ、アクセル開度に基づいた通常の制御を行なう範囲内で、残存容量が低下したときにはエンジンの余力の範囲で充電を行なっている。これに対して、上記したトルクの追従遅れに関する予測のための残存容量の基準は、モータMG2から出力可能な動力の大きさに基づいたものとなっている。
【0081】
あるいは、ステップS220におけるトルクの追従遅れに関する予測は、トルクの追従遅れに関する過去の履歴に基づいて行なうこととしても良い。例えば、アクセル全閉状態からアクセル開度を大きくしたときに所望の動力が出力されなかったという履歴を記憶しておけば、次回にアクセル全閉状態となったときに、トルクの追従遅れが起こりうると予測することができる。このような、過去の履歴の記憶に関する動作は、後に詳しく説明する。
【0082】
ステップS220において、トルクの追従遅れが起こりうると予測すると、次に、モータMG2が出力し得る負のトルクのうちの最大トルクを、モータMG2の目標トルクTm*として設定する(ステップS230)。本実施例では、トルクの追従遅れが起こりうると予測したときには、エンジン150からの出力をより高く設定すると共に、エンジン150からの出力トルクの一部をプラネタリギヤ120を介して車軸に出力して、所望のトルクを直ちに車軸から出力可能となるよう準備することによって、次回の追従遅れを防止する構成となっているが、アクセル全閉状態の間は、このエンジン150から車軸に伝えられたトルク(以下、直達トルクと呼ぶ)を、MG2から出力する負のトルクによってキャンセルしている。
【0083】
図7は、エンジン150からの出力の一部を直達トルクとして車軸に出力しつつ、この直達トルクをモータMG2が出力する負のトルクによってキャンセルしている状態を表わす共線図である。本実施例では、直達トルクTrをキャンセルするためにモータMG2が出力する負のトルクTmの大きさとして、MG2が出力しうる最大トルクを設定している。モータMG2は、回転数に応じて出力トルクの限界値が定まっているため、ステップS200で入力した車速に応じてモータMG2から出力しうる負のトルクの最大値を、モータMG2の目標トルクTm*として設定する。
【0084】
次に、上記モータMG2の目標トルクTm*と車軸に作用する制動力Tbとに基づいて、直達トルクTrの大きさと、エンジン要求動力Pe*を算出すると共に(ステップS240)、エンジンの運転ポイントを設定する(ステップS250)。ここで、制動力Tbとは、図5に基づいてすでに説明したように、車両の走行中にアクセル全閉状態となったときに、エンジンブレーキに相当する力としてモータMG2によって車軸に作用する力である。モータMG2から出力されるトルクの一部は、このように車両の制動力としても消費するため、直達トルクTrは、上記モータMG2の目標トルクTm*と制動力Tbとの差分に釣り合うように設定すればよい。直達トルクTが求まると、このような直達トルクTrをリングギヤ軸126から出力するためにエンジン150から出力すべきトルクTcを算出することができる。エンジン150の運転ポイントは、エンジン150の運転効率が高いポイントを選択すれば良く、図4に示した動作曲線A上で、エンジントルクが上記トルクTcとなるポイントに対応するエンジン要求動力Pe*およびエンジン目標回転数Nc*が設定される。
【0085】
以上の処理によりエンジン150の運転ポイントを設定すると、次に、モータMG1の運転ポイント、すなわちMG1の目標回転数Ns*および目標トルクTg*を設定する(ステップS260)。このモータMG1の運転ポイントを求める動作は、図3におけるステップS150と同様の動作である。エンジン150の目標回転数Nc*と、車軸112の回転数Nrとに基づいて、モータMG1の目標回転数Ns*が設定される。また、PID制御によってモータMG1の目標トルクTg*が設定される。
【0086】
こうして設定された運転ポイントに従って、CPUは、図3におけるステップS170と同様に、モータMG1,MG2およびエンジン150の運転に関する制御処理を行ない(ステップS270)、本ルーチンを終了する。
【0087】
なお、ステップS220において、トルクの追従遅れが起こらないと予測された場合には、図3におけるステップS180と同様のトルク要求ゼロ時処理ルーチンを実行して本ルーチンを終了する。また、ステップS210において、アクセルが全閉状態でないと判断されたときには、CPUは、通常処理ルーチンを実行して(ステップS280)、本ルーチンを終了する。ここで、ステップS280で実行される通常処理ルーチンでは、図3のトルク制御処理ルーチンにおけるステップS120ないしステップS170に相当する処理が実行される。
【0088】
上記したトルク不足防止処理ルーチンのステップS220でトルクの追従遅れを予測する際に、トルクの追従遅れに関する過去の履歴に基づいて行なうこととしても良いことを述べたが、以下に、過去の履歴に基づいてトルクの追従遅れを予測する動作について説明する。図8は、トルク追従判別処理ルーチンを表わすフローチャートである。本ルーチンは、マスタ制御部270内のCPUにおいて、図6に示したトルク不足防止処理ルーチンとは別個に、所定の時間ごとに実行される。
【0089】
本ルーチンが実行されると、上記CPUは、まず、図6のトルク不足防止処理ルーチンと同様に、アクセル開度および車速を入力する(ステップS300)。次に、CPUは、ステップS300で入力した情報を基に、アクセルが全閉状態であるか否かを判断する(ステップS310)。ステップS310においてアクセルが全閉状態であると判断されると、次に、トルクの追従遅れが設定されているか否かを判断する(ステップS20)。このトルクの追従遅れの設定は、後述するように、トルクの追従遅れをCPUが検出したときに設定するものであり、ステップS20では、この設定がすでに行なわれているかどうかを判断する。
【0090】
ステップS20でトルクの追従遅れが設定されていないと判断されたときには、CPUは、再びアクセル開度と車速とを入力し(ステップS330)、アクセルが全閉状態であるかどうかを判断する(ステップS340)。アクセルが全閉状態でなくなるまでステップS330およびS340の処理を繰り返し、アクセルが全閉状態でないとステップS340で判断されると、入力した車速に基づいて、アクセルが全閉状態でなくなったときの加速度を算出する(ステップS350)。すなわち、CPUは、アクセルが全閉状態でなくなったときの速度と直前の速度との両方の値に基づいて、加速度を算出する。
【0091】
車両の加速度を算出すると、この加速度とアクセル開度とに基づいて、トルク不足が起きているかどうかを判断する(ステップS360)。本実施例のハイブリッド車両のマスタ制御部270は、通常の走行条件下(例えば平坦な路面を走行するとき)におけるアクセル開度と加速度との関係を、所定のメモリ(図示せず)内に記憶している。検出したアクセル開度に対応する値として記憶されている加速度と、車速に基づいてステップS350で算出した加速度とを比較し、前者が後者に比べて所定の値以上大きいならば、車軸から実際に出力されたトルクは、運転者が要求したトルクに比べて不足していたと判断する。
【0092】
ステップS360で、トルク不足が起きたと判断したときには、マスタ制御部270内の所定のメモリ(図示せず)にトルクの追従遅れの設定を記憶し(ステップS370)、本ルーチンを終了する。ステップS360で、トルク不足が起きていないと判断したときには、トルクの追従遅れの設定を行なうことなく(ステップS380)、本ルーチンを終了する。
【0093】
ステップS320において、トルクの追従遅れがすでに設定されていると判断した場合には、CPUは、再びアクセル開度と車速とを入力し(ステップS390)、アクセルが全閉状態であるかどうかを判断する(ステップS400)。アクセルが全閉状態でなくなるまでステップS390およびS400の処理を繰り返し、アクセルが全閉状態でないとステップS400で判断されると、入力した車速に基づいて、ステップS350と同様に、アクセルが全閉状態でなくなったときの加速度を算出する(ステップS410)。
【0094】
車両の加速度を算出すると、この加速度とアクセル開度とに基づいて、トルク過剰の状態が起きているかどうかを判断する(ステップS420)。ここで、ステップS420の判断を行なうときには、予めトルクの追従遅れが設定されていることによって、車両はアクセルが全閉状態のときには図7に示した状態となるよう駆動制御を行なっており、駆動軸にはエンジンの直達トルクが出力されている。そこで、ステップS420では、アクセルが全閉状態ではなくなったときに所望のトルクを車軸から出力しようとした際に、直達トルクTrが予め駆動軸に出力されていることによってトルク過剰の状態が発生したかどうかを判断する。
【0095】
ステップS420で、トルク過剰の状態が発生しなかったと判断したときには、マスタ制御部270内の所定のメモリ(図示せず)にトルクの追従遅れの設定を記憶した状態を続行し(ステップS430)、本ルーチンを終了する。ステップS420で、トルク過剰の状態が発生したと判断したときには、上記トルクの追従遅れの設定を解除して(ステップS440)、本ルーチンを終了する。
【0096】
ステップS380においてアクセルが全閉状態ではないと判断されたときには、CPUは、図6におけるステップS280と同様の通常処理ルーチンを実行して(ステップS280)、本ルーチンを終了する。
【0097】
このように、トルク追従判別処理ルーチンによってトルクの追従遅れの設定を行なう場合には、図6のトルク不足防止処理ルーチンのステップS220において、上記設定が記憶されているかどうかを参照し、設定が記憶されているときには、トルクの追従遅れが起こりうるかどうかを予測する。
【0098】
以上のように構成された本実施例のハイブリッド車両によれば、アクセルが全閉状態のときに、次回に動力要求が入力されると車軸の出力トルクが要求トルクに追従できないと予測されるときには、エンジン150からの出力を増大させる制御を行なう。したがって、次回に動力要求が入力されたときには(アクセルが踏み込まれたときには)、エンジン150から速やかに充分な動力を出力させることが可能になり、トルク不足による走行のもたつきを防止することができる。
【0099】
なお、上記実施例では、トルクの追従遅れが予測されるときには、車軸にエンジン150からの直達トルクを出力する構成としたが、必ずしも直達トルクを車軸に出力する必要はなく、エンジン150からの出力を、通常の制御時よりも増大させることによって、走行のもたつきを抑える所定の効果を得ることができる。例えば、アクセルが全閉状態のときに通常の制御ではエンジン150を停止する場合には、エンジン150をアイドリング状態とすることによって、また、アクセルが全閉状態のときに通常の制御ではエンジン150をアイドリングする場合には、アイドリングの回転数をより上昇させることによって、次回に動力要求が入力されたときに、エンジン150から充分な動力が出力されるまでの時間を短縮し、トルク不足による走行のもたつきを抑える効果を得ることができる。
【0100】
もとより、上記実施例のように、エンジン150からの出力を増大させ、車軸にエンジン150の直達トルクTrを出力しておく構成とすれば、次回動力要求が入力されたときには、モータMG1,MG2の駆動状態を切り替えることによって、速やかに所望のトルクを車軸から出力して所望の加速度を実現することができる。特に、上記実施例では、エンジン150の出力を増大させる際に、モータMG2の出力トルクTmが最大値となるように制御しているため、アクセル全閉状態から急激に大きな動力要求があった場合にトルク不足による走行のもたつきを抑える効果を、より充分に得ることができる。
【0101】
なお、アクセルが全閉状態のときに、図7に示したようにエンジン150およびモータMG1,MG2の駆動を制御すると、モータMG1,MG2は共に回生運転を行なうことになる。すなわち、モータMG1は、エンジン150から伝達されるトルクTsと釣り合うトルクTgを出力することで回生し、MG2は、制動力Tbを発生するために回生すると共に、直達トルクTrをうち消すトルクを発生することで回生する。そのため、このときバッテリ194は、MG1が回生する電力と、MG2が回生する電力との両方によって充電される。したがって、バッテリ194の残存容量が不十分であってトルクの追従遅れが予測されるときには、このような制御を行なうことで速やかに残存容量を回復することができるという効果を得ることができる。さらに、上記したように、MG2によって、直達トルクTrをうち消すトルクを出力するだけでなく、制動力Tbを発生させることによって、運転者にとっては自然な走行感覚(エンジンブレーキ相当の自然な減速感)を実現することができる。
【0102】
また、図6のステップS220でトルクの追従遅れを予測する際に、図8のトルク追従判別処理ルーチンを実行して、過去の動作の履歴に基づいて判断する場合には、実際にトルクが不足して走行がもたついたことに基づいて、エンジン150から出力する動力を増大させる処理を行なうため、トルクの追従遅れを防止する動作を行なう際に、車両のエネルギ効率が不必要に低下してしまうのを抑え、より無駄のない制御を行なうことができる。特に、山間地を登坂走行する場合のように、アクセル全閉状態から高負荷要求が発生する状態が断続的に続く場合には、過去の履歴に基づいて上記制御を行なうことにより、登坂中の加速のもたつきを防いで走行することが可能となる。
【0103】
なお、上記したように過去の動作の履歴に基づいてトルクの追従遅れを予測する場合であって、トルク不足が予測されるときにはエンジン150からの直達トルクを車軸に出力する制御を行なう場合には、このような動作は既述したように充電を伴うものであるため、バッテリ194の残存容量の検出を並行して行なうことが望ましい。そして、バッテリ194の残存容量が充分に回復して所定値を越えたときには、過充電を防止するために上記バッテリの出力を増大させる制御は停止するものとする。ただし、過去の動作の履歴が、図8に示したように加速度に基づくものであって、バッテリ194の残存容量が充分なときにはモータMG2から充分に大きな動力を出力することが可能な場合には、残存容量が回復したときにはトルクの追従遅れも解消されるため、バッテリ194の残存容量を検出することなく、既述したトルクの追従遅れを防止するための制御を行なうことも可能である。
【0104】
また、アクセル全閉状態のときにエンジンの直達トルクを車軸から出力する制御を行なう場合には、上記したように、バッテリ194は、MG1とMG2の両方が回生する電力によって充電される。バッテリを充電する際には、充電電流として許容できる範囲が決まっているため、上記した制御を行なう場合には、MG1およびMG2の回生電流を検出し、これらの合計電流値が、バッテリの充電電流として許容できる範囲を超えないように、エンジンの出力を制御すればよい。これによって、非所望の大きな電流でバッテリを充電してしまう不都合を防止することができる。
【0105】
上記した実施例では、トルクの追従遅れを予測してエンジンの直達トルクを車軸に出力する際に、モータMG2からの出力が最大値となるように制御を行なったが、このモータMG2からの出力は、トルクの追従遅れが予測される程度に応じて設定することとしても良い。例えば、バッテリ194の残存容量に基づいてトルクの追従遅れを予測する場合には、残存容量が低下している度合いに応じて、MG2からの出力を設定し、残存容量が低下しているほど、より大きな直達トルクを車軸に出力することとしても良い。あるいは、図8に示したように前回加速時の加速度といった過去の動作の履歴に基づいて予測する場合には、算出した加速度がアクセル開度に対して不足している度合いに応じてMG2からの出力を設定し、アクセル開度に対して加速度が小さいほど、より大きな直達トルクを車軸に出力することとしても良い。さらに、トルクの追従遅れを予測して上記直達トルクを車軸に出力する制御を行なう際にも、基準となるバッテリの残存容量やアクセル開度に対する加速度が回復するのに従って、MG2からの出力を設定し直し、車軸に出力する直達トルクを徐々に小さくすることとしても良い。
【0106】
また、図8に示した動作においては、トルクの追従遅れが設定されて、エンジンの直達トルクを車軸に出力させる制御がすでに実行されている場合には、次回に動力要求が入力されたときに、トルク過剰が発生したかどうかを判断することによって、追従遅れの設定を続行するか解除するかを決定している。このような、一旦トルクの追従遅れを設定した後の動作は、種々の変形が可能である。例えば、図8のステップS420においてトルク過剰が発生したかどうかを判断する代わりに、ステップS360と同様にトルク不足が起きたかどうかを判断することとしても良い。このような構成では、エンジンの直達トルクを車軸に出力することによってトルク不足が起きなくなったときには、一旦追従遅れの設定を解除し、解除することによって次回に再びトルク不足が生じたときには、再び追従遅れの設定を行なうこととすればよい。
【0107】
さらに、図8に示したステップS370において追従遅れを設定し、エンジンからの出力を増大させる制御を行なった場合にも、トルク不足が生じるおそれが小さくなったことを示す他の条件を入力することで、上記追従遅れの設定を解除することとしても良い。例えば、アクセル全閉状態で(図6のステップS210)トルクの追従遅れが予測されているとき(図6のステップS220)に、図6のステップS230〜S270の処理を実行した後、アクセル全閉状態が所定の時間以上継続した場合には、大きな動力要求が突然入力される可能性は低いと考えられるため、追従遅れの設定を解除することとしても良い。あるいは、図8のステップS370において一旦追従遅れを設定した後に、次回にアクセル全閉状態になるまでに所定の値を超える時間を要した場合には、エンジンが駆動される状態が継続することによってバッテリの残存容量を充分に回復可能であると共に、高負荷が連続する走行状態にはないと判断できるため、この場合にも追従遅れの設定を解除することとしても良い。
【0108】
上記実施例では、トルクの追従遅れの予測をするための基準として、バッテリの残存容量および過去の動作の履歴を挙げたが、他の基準を用いることとしても良く、また、複数の基準を組み合わせて判断することとしても良い。例えば、アクセル全閉状態から大きな動力要求が入力される状況としては、既述したように山間地を登坂走行する場合が考えられるため、車両に高度計を搭載し、高度に関する情報に基づいて、あるいは、バッテリの残存容量や過去の動作の履歴に関する情報に加えてさらに高度に関する情報に基づいて、トルクの追従遅れの予測を行なうこととしてもよい。あるいは、過去の動作の履歴として、アクセル開度に対する加速度を用いる代わりに、アクセル全閉状態から全開状態になるように急激に大きな動力要求が入力される履歴を検出し、このような高負荷要求が連続したときに、トルクの追従遅れが起こると予測することとしても良い。また、運転者によって指示入力可能なスイッチを設け、このスイッチから入力があり、アクセル全閉状態のときには、エンジンの出力を増大させる既述した処理を実行することとしても良い。このような構成とすれば、トルク不足が起きるような走行状態になると運転者が予測したときには、上記スイッチから指示入力することで、要求動力に対して走行がもたつくのを防止することができる。
【0109】
なお、上記したようにアクセル全閉状態のときにトルクの追従遅れを予測してエンジン出力を増大させる制御は、車両が走行中に限るものではない。例えば、山間地を登坂中に一旦停車してアクセル全閉状態としたときにも、バッテリの残存容量や過去の動作の履歴などに基づいて次回発進時におけるトルク不足を予測して、既述したエンジンの出力を増大させる制御、すなわち、アイドリングの回転数を上昇させたり、エンジンの直達トルクを車軸に出力する制御を行なうことで、発進時により速やかに所望のトルクを出力し、もたつきなく走行を開始することができる。
【0110】
(5)ハイブリッド車両の他の構成
以上の実施例では、プラネタリギヤ120を用いた構成のハイブリッド車両を例示した。本発明は、このような構成ばかりでなく、他の構成のハイブリッド車両にも適用可能である。エンジンと電動機との両方の動力を駆動軸に出力可能なハイブリッド車両であれば、本発明を適用することができる。もとより、プラネタリギヤ120とエンジン150、モータMG1,モータMG2とは、種々の態様で結合させた構成を採ることが可能である。また、プラネタリギヤ120と同様の作用、すなわち、3つの回転軸を有し、一の回転軸から入力された動力を残余の2つの回転軸に任意に分配して出力可能な作用を奏するその他の機構を採用することもできる。
【0111】
さらに、以下に示すとおり、プラネタリギヤ120とモータMG1の作用を一つの機構で実現する構成も可能であり、このような構成を第2実施例として説明する。図9は、第2実施例のハイブリッド車両の構成を示す説明図である。第2実施例のハイブリッド車両では、プラネタリギヤ120およびモータMG1に代えて、クラッチモータCMを用いる点で、既述した実施例と相違する。なお、図9では、図1に示したハイブリッド車両に対応する部材には同じ部材番号を付し、既述した実施例と共通する構成に関わる説明は省略する。
【0112】
クラッチモータCMとは、同軸周りに相対的に回転可能な2つのロータ、すなわち、インナロータ232とアウタロータ233とを有する対ロータ電動機である。本実施例では、インナロータ232にはモータMG2のロータと同様、永久磁石が貼付されており、アウタロータ233にはコイルが巻回されたモータを適用した。インナロータ232にはエンジン150のクランクシャフト156が結合されており、アウタロータ233にはモータMG2のロータが結合されている。アウタロータ233は、また、駆動軸113にも機械的に結合される。
【0113】
クラッチモータCMでは、コイルへの通電を駆動回路191で制御することにより、インナロータ232とアウタロータ233との磁気的な結合を制御することができる。駆動回路191は、第1実施例と同様に、トランジスタインバータで構成されている。このような磁気的な結合により、エンジン150から出力された動力を、駆動軸113に伝達することができる。また、所定の滑りをもった状態でインナロータ232とアウタロータ233とを回転させることにより、滑り量に応じた電力を回生することができる。当然、バッテリ194から電力の供給を受けて、トルクを出力することも可能である。つまり、クラッチモータCMは、単体でプラネタリギヤ120とモータMG1の組み合わせと同等の作用を奏することができる。
【0114】
このようなハイブリッド車両においても、既述した実施例と同様の制御を行なうことができる。第2実施例のハイブリッド車両において、図6に示したトルク不足防止処理ルーチンと同様の処理を行なう際の動作について、特に、トルクの追従遅れが予測される際の動作について、以下に説明する。
【0115】
図6のステップS200〜ステップS220までの処理は、第2実施例においても同様に行なわれる。すなわち、アクセル開度および車速(駆動軸113の回転数)Nrを入力し、アクセルが全閉状態であるかどうかを判断し、全閉状態のときには、トルクの追従遅れに関する予測を行なう。
【0116】
トルクの追従遅れが起こり得ると予測した場合には、ステップS230と同様に、モータMG2が出力し得る負のトルクのうちの最大トルクを、モータMG2の目標トルクTm*として設定する。本実施例の車両が備えるモータMG2も、第1実施例と同様に、回転数に応じて出力トルクの限界値が定まっており、ステップS200に対応する工程で入力した車速に応じて、モータMG2から出力しうる負のトルクの最大値をモータMG2の目標トルクTm*として設定する。
【0117】
次に、このモータMG2の目標トルクTm*に基づいて、ステップS240およびステップS260に対応する処理を行なう。ここで、本実施例のハイブリッド車両においても、第1実施例の車両と同様に、走行中にアクセル開度が全閉状態となると予め設定された所定の制動力が車軸に働くように制御を行なっている。モータMG2が出力するトルクは、このような制動力として働くと共に、エンジン150からクラッチモータCMを介してモータMG2および駆動軸113に伝達されるトルクをうち消すために働く。そこで、モータMG2の目標トルクTm*と上記制動力とに基づいて、両者の差に等しくなるように、クラッチモータCMの目標トルクTc*を設定する。
【0118】
また、第2実施例のハイブリッド車両では、クラッチモータCMの出力トルクとエンジン150の出力トルクとは等しくなるため、クラッチモータCMの目標トルクTc*が設定されれば、エンジン150の目標トルクTe*も決定される。エンジン150の運転ポイントは、第1実施例と同様に、エンジン150の運転効率が高いポイントを選択すれば良く、図4に示した動作曲線A上で、エンジントルクが上記トルクTe*となるポイントに対応するエンジン要求動力Pe*およびエンジン目標回転数Ne*が設定される。なお、実際には、このような制御を行なう際には、既述したように、エンジン150、クラッチモータCM、モータMG2の運転状態に関する種々の補正を行なう。
【0119】
このように、第2実施例のハイブリッド車両においても、エンジン150からの出力を増大させることによって、アクセル全閉状態から次回動力要求が入力があったときに、直ちに充分な動力をエンジンから得て、走行のもたつきを防止する同様の効果を得ることができる。
【0120】
以上本発明の実施例について説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々なる様態で実施し得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例としてのハイブリッド車両の全体構成を示す説明図である。
【図2】実施例の動力出力装置の作動原理を説明する共線図である。
【図3】トルク制御処理ルーチンを表わすフローチャートである。
【図4】エンジン150の運転ポイントの設定の様子を表わす説明図である。
【図5】実施例の動力出力装置の作動原理を説明する共線図である。
【図6】トルク不足防止処理ルーチンを表わすフローチャートである。
【図7】実施例の動力出力装置の作動原理を説明する共線図である。
【図8】トルク追従判断処理ルーチンを表わすフローチャートである。
【図9】第2実施例のハイブリッド車両の概略構成を示す説明図である。
【符号の説明】
112…車軸
113…駆動軸
114…デファレンシャルギア
116R,116L…車輪
119…ケース
120…プラネタリギヤ
121…サンギヤ
122…リングギヤ
123…プラネタリピニオンギヤ
124…プラネタリキャリア
125…サンギヤ軸
126…リングギヤ軸
127…プラネタリキャリア軸
129…チェーンベルト
130…ダンパ
131,141…三相コイル
132,142…ロータ
133,143…ステータ
144…回転数センサ
150…エンジン
156…クランクシャフト
163…ブレーキセンサ
165…アクセルセンサ
167…シフトポジションセンサ
191,192…駆動回路
194…バッテリ
196…バッテリセンサ
200…制御システム
210…メインECU
220…ブレーキECU
230…バッテリECU
232…インナロータ
233…アウタロータ
240…エンジンECU
260…モータ制御部
270…マスタ制御部

Claims (13)

  1. エンジンと第1の電動機とを備え、前記第1の電動機に結合されると共に外部に動力を出力する駆動軸に対して、前記エンジンと第1の電動機とのうちの少なくとも一方から出力される動力を伝達することによって、前記駆動軸から動力を出力すると共に、該駆動軸から出力される動力の大きさは前記エンジンから出力される動力の大きさに依存する動力出力装置であって、
    前記エンジンの出力軸および前記駆動軸に結合され、前記エンジンから出力された動力を前記駆動軸に伝達すると共に、少なくとも第2の電動機を備え、該第2の電動機によって、前記伝達する動力の大きさを調整する動力調整手段と、
    前記駆動軸に対して運転者が要求する動力に基づいて、前記エンジンが出力すべき動力および前記駆動軸から出力すべき動力を設定し、前記エンジンおよび前記駆動軸がそれぞれ設定した動力を出力するように、少なくとも前記エンジンと前記第1の電動機と前記第2の電動機とを制御する制御手段と、
    運転者から動力要求がない場合に、次回、動力要求があった際に、前記駆動軸から出力される動力が運転者の要求する動力に追従できるか否かを予測する予測手段と
    を備え、
    前記制御手段は、前記駆動軸が回転しており、運転者から動力要求がない場合であって、前記予測手段が追従できないと予測した場合には、前記予測手段が追従できると予測した場合に前記エンジンが出力すべき動力として設定される値よりも大きな値を、前記エンジンが出力すべき動力として設定すると共に、前記エンジンからの出力トルクの一部が前記動力調整手段を介して前記駆動軸に伝達される運転状態となるように、前記エンジンと前記第1の電動機と前記第2の電動機とを制御する
    動力出力装置。
  2. 請求項1記載の動力出力装置であって、
    前記制御手段が、前記エンジンが出力すべき動力を設定する前記制御は、前記エンジンがアイドル運転を行なう状態から、前記エンジンからの出力トルクの一部が前記動力調整手段を介して前記駆動軸に伝達される運転状態となるように行なう制御である
    動力出力装置。
  3. 前記制御手段は、前記駆動軸に対して運転者が要求する動力に基づいて前記駆動軸から出力すべき動力として設定された値が、所定の値を越えた場合には、前記第1の電動機と前記エンジンとの両方からの出力が前記駆動軸に伝達されるよう制御することを特徴とする
    請求項1または2記載の動力発生装置。
  4. 請求項1ないし3いずれか記載の動力出力装置であって、
    前記予測手段は、
    前記運転者から動力要求が無い状態から有る状態に移行した際に、前記駆動軸から実際に出力された動力が、運転者の要求動力に追従できたかどうかを検出する検出手段と、
    該検出手段の検出結果を記憶する記憶手段と
    を備え、
    前記記憶手段に記憶されている検出結果に基づいて予測することを特徴とする
    動力出力装置。
  5. 請求項1ないし4いずれか記載の動力出力装置であって、
    少なくとも前記第1の電動機との間で電気エネルギのやり取りを行なうバッテリをさらに備え、
    前記予測手段は、前記バッテリの残存容量が所定量以下であるときに、運転者の要求動力に追従できないと予測することを特徴とする
    動力出力装置。
  6. 請求項5記載の動力出力装置であって、
    前記制御手段は、前記駆動軸が回転しており、運転者から動力要求がない場合であって、前記予測手段が追従できないと予測した場合には、前記エンジンから出力される動力の少なくとも一部を電気エネルギとして回収すると共に、前記バッテリに供給される電流量が前記バッテリの許容量を越えないように、少なくとも前記エンジンと前記第1の電動機とを制御することを特徴とする
    動力出力装置。
  7. 前記制御手段は、前記駆動軸が回転しており、運転者から動力要求がない場合であって、前記予測手段が追従できないと予測した場合には、前記動力調整手段によって前記エンジンから前記駆動軸に動力が伝達されると共に、前記エンジンによって前記駆動軸に発生するトルクを、前記第1の電動機が発生するトルクで打ち消すように、前記動力調整手段および前記第1の電動機を制御することを特徴とする
    請求項1記載の動力出力装置。
  8. 請求項7記載の動力出力装置であって、
    前記第1の電動機が発生するトルクは、そのときの前記駆動軸の回転数に応じて、前記第1の電動機が出力可能な最大トルクであることを特徴とする
    動力出力装置。
  9. 請求項7または8記載の動力出力装置であって、
    前記第1の電動機および前記第2の電動機との間で電気エネルギのやり取りを行なうバッテリをさらに備え、
    前記制御手段は、前記駆動軸が回転しており、運転者から動力要求がない場合であって、前記予測手段が追従できないと予測した場合には、前記エンジンが出力すべき値として、前記駆動軸から出力される動力が運転者の要求する動力に追従できないと予測される程度と、前記バッテリの残存容量とのうちの少なくとも一つに応じた値を設定することを特徴とする動力出力装置。
  10. 請求項7ないし9いずれか記載の動力出力装置であって、
    前記第1の電動機および前記第2の電動機との間で電気エネルギのやり取りを行なうバッテリをさらに備え、
    前記駆動軸が回転しており、運転者から動力要求がない場合であって、前記予測手段が追従できないと予測した場合には、前記駆動軸に発生するトルクを打ち消す動作に伴って前記第1の電動機および前記第2の電動機で生じる電気エネルギによって前記バッテリを充電する
    動力出力装置。
  11. エンジンと電動機とを備え、前記電動機に結合されると共に外部に動力を出力する駆動軸に対して、前記エンジンと電動機とのうちの少なくとも一方から出力される動力を伝達することによって、前記駆動軸から動力を出力すると共に、該駆動軸から出力される動力の大きさは前記エンジンから出力される動力の大きさに依存する動力出力装置であって、
    前記エンジンの出力軸および前記駆動軸に結合され、前記エンジンから出力された動力を前記駆動軸に伝達すると共に、該伝達される動力の大きさを電力のやり取りによって調整する動力調整手段と、
    前記駆動軸に対して運転者が要求する動力に基づいて、前記エンジンが出力すべき動力および前記駆動軸から出力すべき動力を設定し、前記エンジンおよび前記駆動軸がそれぞれ設定した動力を出力するように、少なくとも前記エンジンと前記電動機と前記動力調整手段とを制御する制御手段と、
    運転者から動力要求がない場合に、次回、動力要求があった際に、前記駆動軸から出力される動力が運転者の要求する動力に追従できるか否かを予測する予測手段と
    を備え、
    前記制御手段は、運転者から動力要求がない場合であって、前記予測手段が追従できないと予測した場合には、前記予測手段が追従できると予測した場合に前記エンジンが出力すべき動力として設定される値よりも大きな値を、前記エンジンが出力すべき動力として設定すると共に、前記エンジンによって前記駆動軸に発生するトルクを、そのときの前記駆動軸の回転数に応じて前記電動機が出力可能な最大トルクで打ち消すように、前記動力 調整手段および前記電動機を制御することを特徴とする
    動力出力装置。
  12. 請求項1ないし11いずれか記載の動力出力装置を備え、前記駆動軸から出力される動力によって走行するハイブリッド車両。
  13. エンジンと第1の電動機とを備え、前記第1の電動機に結合されると共に外部に動力を出力する駆動軸に対して、前記エンジンと第1の電動機とのうちの少なくとも一方から出力される動力を伝達することによって、前記駆動軸から動力を出力すると共に、該駆動軸から出力される動力の大きさは前記エンジンから出力される動力の大きさに依存する動力出力装置の制御方法であって、
    前記動力出力装置は、前記エンジンの出力軸および前記駆動軸に結合され、前記エンジンから出力された動力を前記駆動軸に伝達すると共に、少なくとも第2の電動機を備え、該第2の電動機によって、前記伝達する動力の大きさを調整する動力調整手段をさらに備え、
    (a)前記駆動軸に対して運転者が要求する動力に基づいて、前記エンジンが出力すべき動力および前記駆動軸から出力すべき動力を設定し、前記エンジンおよび前記駆動軸がそれぞれ設定した動力を出力するように、少なくとも前記エンジンと前記第1の電動機と前記第2の電動機とを制御する工程と、
    (b)運転者から動力要求がない場合に、次回、動力要求があった際に、前記駆動軸から出力される動力が運転者の要求する動力に追従できるか否かを予測する工程と
    を備え、
    前記(a)工程は、前記駆動軸が回転しており、運転者から動力要求がない場合であって、前記(b)工程において追従できないと予測した場合には、前記(b)工程において追従できると予測した場合に前記エンジンが出力すべき動力として設定される値よりも大きな値を、前記エンジンが出力すべき動力として設定すると共に、前記エンジンからの出力トルクの一部が前記動力調整手段を介して前記駆動軸に伝達される運転状態となるように、前記エンジンと前記第1の電動機と前記第2の電動機とを制御する工程である
    動力出力装置の制御方法。
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