JP3999696B2 - 無電解めっき方法及びめっき部品 - Google Patents

無電解めっき方法及びめっき部品 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、所定パターンのめっき被膜をもち電子回路基板などに用いられるめっき部品と、そのめっき部品の製造に用いられる無電解めっき方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子回路基板を製造するには、エポキシ樹脂などの絶縁性の樹脂基板の表面全面にめっきによって銅被膜を形成し、それをエッチングして所定の回路パターンを形成するサブトラクティブ法が一般に用いられている。しかし LSIなどの回路基板では、パターンが微細であるために、エッチング時にパターンが損傷する場合がある。
【0003】
また樹脂基板の表面に無電解銅めっきを主体としてパターンを形成するアディティブ法、樹脂基板を触媒化した後にめっきレジストでパターンを形成し、その後無電解銅めっきにより導体パターンを形成するフルアディティブ法なども知られている。
【0004】
このフルアディティブ法は、樹脂基板へのパターン形成工法として最も単純であるが、めっきレジストをそのままソルダーレジストとするため、ソルダーレジストとしての信頼性の高いめっきレジストを用いる必要があり、材料の選択の自由度が低い。
【0005】
また、樹脂基板上に幅が10μm程度の微細なパターンを形成するためには、樹脂基板の表面粗さを1μm未満とする必要がある。そのため、樹脂基板を成形後にプレス処理して表面を平滑化し、その後にパターンを形成することが行われている。
【0006】
しかし平滑な樹脂表面に無電解めっきによってめっき被膜を形成すると、投錨効果による密着性向上効果が得られず、めっき被膜の密着性が低いという問題がある。特にパターンが微細になるほど、樹脂基板との接触面積が低下するため、電子回路基板の製造に当たってはめっき被膜の密着性の向上が重要な課題となっている。
【0007】
そこで特開平08−253869号公報あるいは特開平10−310873号公報などには、樹脂材料表面に紫外線を照射した後に無電解めっきを行う方法が開示されている。この方法によれば、紫外線の照射によって樹脂表面が活性化され、活性化された樹脂表面の極性基がめっき金属と化学的に結合するため、無電解めっき被膜の密着性が向上する。
【0008】
また特開2002−309377号公報には、樹脂素材をオゾン溶液に接触させた後、界面活性剤とアルカリ成分とを含む溶液で処理し、その後に無電解めっきを行うことが記載されている。この方法によれば、オゾンによる酸化によって樹脂素材表面の二重結合が切断され、極性基が生成される。またアルカリ成分によって脆化層が除去され、界面活性剤が極性基に吸着する。そして無電解めっきに先立つ触媒処理時には、極性基に吸着している界面活性剤に触媒が吸着するため、無電解めっき時に金属が強制基に結合しやすくなり、無電解めっき被膜の密着性が向上する。
【0009】
【特許文献1】
特開平08−253869号
【特許文献2】
特開平10−310873号
【特許文献3】
特開2002−309377号
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記公報には、回路パターンを形成する方法について全く記載がない。また、マスクを用いることが考えられるものの、いずれの方法においても無電解めっき被膜の密着力を発生させるためには長時間の処理が必要となる。上記したように、パターンが微細になるほど密着性を高める必要があり、処理時間はさらに長大化するという問題があった。
【0011】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、微細な回路パターンを容易に形成でき、しかも短時間の処理で無電解めっき被膜の密着性を高めることを課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明の無電解めっき方法の特徴は、樹脂素材の表面に所定パターンのマスクを施し樹脂素材の表面とオゾンを含む第1溶液とを接触させた状態で樹脂素材の表面に紫外線を照射するオゾン溶液−紫外線照射処理工程と、
マスクを除去した後にオゾン溶液−紫外線照射処理工程で処理された樹脂素材の表面に無電解めっき処理を施すめっき処理工程とを、この順に行うことにある。
【0013】
樹脂素材の表面に所定パターンのマスクが施された状態でオゾン溶液−紫外線照射処理工程を行い、マスクを除去した後にめっき処理を行うことが好ましい。
【0014】
オゾン溶液−紫外線照射処理工程後の樹脂素材に、アルカリ成分を含む第2溶液を接触させるアルカリ処理工程をさらに行うことが好ましく、第2溶液には、さらに陰イオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤の少なくとも一方が含まれていることが望ましい。また第1溶液は、有機又は無機の極性溶媒を溶媒とすることが望ましい。
【0015】
そして本発明のめっき部品の特徴は、樹脂素材と、樹脂素材の表面に所定パターンで形成されためっき被膜とよりなり、本発明の無電解めっき方法を用いて製造されてなることにある。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の無電解めっき方法では、オゾン溶液−紫外線照射処理工程において、樹脂素材の表面とオゾンを含む第1溶液とを接触させた状態で、樹脂素材の表面に所定パターンで紫外線を照射し、その後に無電解めっき処理工程を行っている。
【0017】
樹脂素材とオゾンを含む第1溶液とを接触させた状態で、樹脂素材に紫外線を照射することによって、第1溶液中のオゾンのみならず第1溶液から発生する酸素に紫外線が照射されることで生成する酸素ラジカルにより、樹脂素材表面が活性化される作用と、第1溶液中の溶媒が活性化した樹脂素材表面の活性基と結合して極性基を生成する作用と、紫外線照射により樹脂素材に与えられる過剰な熱を第1溶液へ逃がすことにより樹脂素材に与えられる熱ダメージを抑制する作用と、が相乗的に作用して、短時間の処理であっても樹脂素材の表面はきわめて活性が高くなり、密着性に優れためっき被膜を所定パターンで形成することができる。またPPやエラストマーとPPを含むポリマーアロイなどからなる樹脂素材であっても、密着性に優れためっき被膜を形成することができる。
【0018】
樹脂素材としては、 ABS,AS, AAS,PS, EVA,PMMA, PBT, PET, PPS,PA, POM,PC,PP,PE,エラストマーとPPを含むポリマーアロイ,変成PPO ,PTFE,ETFEなどの熱可塑性樹脂、あるいはフェノール樹脂,エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂からなるものを用いることができ、その形状は制限されない。
【0019】
第1溶液中のオゾン濃度は、樹脂素材表面の活性化に大きく影響を及ぼし、 10ppm程度から活性化の効果が見られるが、100ppm以上とすればその活性化の効果が飛躍的に高まり、より短時間の処理が可能である。また濃度が低いと劣化が先行するので、オゾン濃度は高い方が好ましい。
【0020】
第1溶液は、通常は水を溶媒とするが、有機又は無機の極性溶媒を溶媒とすることが好ましい。これにより処理時間をさらに短縮することが可能となる。有機極性溶媒としては、メタノール,エタノール,イソプロピルアルコールなどのアルコール類、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N-メチルピロリドン、ヘキサメチルホスホルアミド、蟻酸,酢酸などの有機酸類、あるいはこれらを水やアルコール系溶媒と混合したものが例示される。また無機極性溶媒としては、硝酸,塩酸,フッ化水素酸などの無機酸が例示される。
【0021】
照射される紫外線は、 310nm以下の波長のものが好ましく、 260nm以下、さらには 150〜 200nm程度のものが望ましい。また紫外線照射量は、50mJ/cm2 以上とすることが望ましい。このような紫外線を照射できる光源としては、低圧水銀ランプ,高圧水銀ランプ,エキシマレーザー,バリア放電ランプ,マイクロ波無電極放電ランプなどを用いることができる。
【0022】
樹脂素材をオゾンを含む第1溶液と接触させるには、樹脂素材表面に第1溶液をスプレーする方法、樹脂素材を第1溶液中に浸漬する方法などがある。樹脂素材を第1溶液中に浸漬する方法によれば、スプレーによる樹脂素材の第1溶液への接触に比べて第1溶液からオゾンが離脱し難いので好ましい。また紫外線を照射するには、樹脂素材をオゾンを含む第1溶液中に浸漬した状態で照射することが望ましい。このようにすれば、紫外線光源からの熱による樹脂素材の変形や劣化を抑制することができ、紫外線を長時間照射した場合にめっき被膜の密着性が低下するような不具合を防止することもできる。
【0023】
樹脂素材を第1溶液中に浸漬した状態で紫外線を照射するには、紫外線光源を第1溶液中に入れた状態で照射してもよいし、第1溶液の液面上方から照射してもよい。また第1溶液の容器を透明石英など紫外線透過性の材料から形成したものとすれば、第1溶液の容器外部から照射することもできる。
【0024】
また樹脂素材を第1溶液と接触させた後に紫外線を照射する場合には、第1溶液との接触後1分間以内の短時間の間に紫外線を照射することが望ましい。この時間が長時間になると、オゾンと紫外線による相乗作用の発現が困難となり、短時間の処理ではめっき被膜の密着性が低下する場合がある。
【0025】
樹脂素材の表面に所定パターンで紫外線を照射するには、フォトマスクなどを用いて表面をマスクした状態で紫外線を照射する方法を採用することができる。この場合には、パターンを作成する部分に紫外線が照射されるようにマスクを行い、しかもパターンを作成する部分にオゾンを含む第1溶液が接触するようにする必要がある。なお、マスクの材質は、紫外線及びオゾンが透過しないものであることが望ましい。このようなマスクとしては、メタルマスクがある。
【0026】
なおオゾン溶液−紫外線照射処理工程における処理温度は、原理的には高いほど反応速度が大きくなるが、温度が高くなるほど第1溶液中のオゾンの溶解度が低くなり、40℃を超える温度において第1溶液中のオゾン濃度を100ppm以上とするには、処理雰囲気を大気圧以上に加圧する必要があり、装置が大がかりなものとなる。したがって処理温度は、装置を大掛かりにしたくない場合には、室温程度で十分である。
【0027】
オゾン溶液−紫外線照射処理工程における第1溶液と樹脂素材との接触時間は、樹脂種によって異なるが、4〜20分とするのが好ましい。4分未満では、オゾン濃度を100ppmとしてもオゾン処理による効果の発現が困難となり、20分を超えると樹脂素材の劣化が生じるようになる。
【0028】
またオゾン溶液−紫外線照射処理工程における紫外線の照射時間は、樹脂種によって異なるが4〜15分とするのが好ましい。4分未満では紫外線照射による効果の発現が困難となり、15分を超えると熱によって樹脂素材の劣化が生じたり、めっき被膜の付着強度が低下する場合がある。
【0029】
本発明の無電解めっき方法では、オゾン溶液−紫外線照射処理工程後の樹脂素材とアルカリ成分を含む第2溶液とを接触させるアルカリ処理工程をさらに行うことが望ましい。アルカリ成分は、樹脂素材の表面を分子レベルで溶解する機能をもち、樹脂素材表面の脆化層を除去して官能基をより多く表出させることができる。したがってめっき被膜の密着性がさらに向上する。
【0030】
アルカリ成分としては、樹脂素材の表面を分子レベルで溶解して脆化層を除去できるものを用いることができ、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどを用いることができる。
【0031】
また第2溶液には、さらに陰イオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤の少なくとも一方が含まれていることが望ましい。
【0032】
オゾン溶液−紫外線照射処理工程により、樹脂素材の表面に C=O及びC-OHから選ばれる少なくとも一方の官能基が存在していると考えられる。したがってアルカリ処理工程では、界面活性剤は、表出する上記官能基にその疎水基が吸着すると考えられる。またアルカリ成分による脆化層の除去により表出した新たな官能基にも界面活性剤が吸着する。
【0033】
そして無電解めっき工程では、界面活性剤が吸着した樹脂素材が触媒と接触される。すると、触媒が上記官能基に吸着している界面活性剤の親水基に吸着すると考えられる。
【0034】
そして触媒が十分に吸着している樹脂素材に対して無電解めっき処理を施すことにより、界面活性剤が官能基から外れるとともに金属がC-OH基及び/又は C=O基と結合すると考えられ、密着性に優れためっき被膜を形成することができる。
【0035】
界面活性剤としては、 C=O及びC-OHからなる少なくとも一方の官能基に対して疎水基が吸着しやすいものが用いられ、陰イオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤の少なくとも一方が用いられる。陽イオン性界面活性剤及び中性界面活性剤では、めっき被膜が形成できなかったり、効果の発現が困難となる。陰イオン性界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム、ステアリル硫酸ナトリウム、ステアリル硫酸カリウムなどが例示される。また非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンドデシルエーテル、ポリエチレングリコールドデシルエーテルなどが例示される。
【0036】
界面活性剤とアルカリ成分とを含む第2溶液の溶媒としては、極性溶媒を用いることが望ましく、水を代表的に用いることができるが、場合によってはアルコール系溶媒あるいは水−アルコール混合溶媒を用いてもよい。また第2溶液をオゾン溶液−紫外線照射処理工程後の樹脂素材と接触させるには、樹脂素材を第2溶液中に浸漬する方法、樹脂素材表面に第2溶液を塗布する方法、樹脂素材表面に第2溶液をスプレーする方法などで行うことができる。
【0037】
第2溶液中の界面活性剤の濃度は、0.01〜10g/Lの範囲とすることが好ましい。界面活性剤の濃度が0.01g/Lより低いとめっき被膜の密着性が低下し、10g/Lより高くなると、樹脂素材表面に界面活性剤が会合状態となって余分な界面活性剤が不純物として残留するため、めっき被膜の密着性が低下するようになる。この場合には、前処理後に樹脂素材を水洗して余分な界面活性剤を除去すればよい。
【0038】
また第2溶液中のアルカリ成分の濃度は、pH値で12以上が望ましい。pH値が12未満であっても効果は得られるが、表出する上記官能基が少ないために、所定膜厚だけめっき被膜を形成するための時間が長大となってしまう。
【0039】
第2溶液と樹脂素材との接触時間は特に制限されないが、室温で1分以上とするのが好ましい。接触時間が短すぎると、官能基に吸着する界面活性剤量が不足してめっき被膜の密着性が低下する場合がある。しかし接触時間が長くなり過ぎると、 C=O及びC-OHから選ばれる少なくとも一方の官能基が表出した層まで溶解して無電解めっきが困難となる場合がある。1〜5分間程度で十分である。また温度は高い方が望ましく、温度が高いほど接触時間を短縮することが可能であるが、室温〜60℃程度で十分である。
【0040】
アルカリ処理工程は、アルカリ成分のみを含む水溶液で処理した後に界面活性剤を吸着させてもよいが、界面活性剤を吸着させるまでの間に再び脆化層が形成されてしまう場合があるので、第2溶液中に陰イオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤の少なくとも一方とアルカリ成分とが共存する状態で行うことが望ましい。
【0041】
またオゾン溶液−紫外線照射処理工程の後にアルカリ処理工程を行うのが好ましいが、場合によってはオゾン溶液−紫外線照射処理工程とアルカリ処理工程を同時に行うことも可能である。この場合には、第1溶液と第2溶液の混合溶液を調製し、その混合溶液中に樹脂素材を浸漬して紫外線を照射する、又は混合溶液を樹脂素材表面にスプレーしつつあるいはスプレー後に紫外線を照射することで行う。この場合にはオゾン及び紫外線と樹脂素材表面との反応が律速となるので、処理時間は混合溶液中のオゾン濃度あるいは紫外線の強度などに応じて決められる。
【0042】
なおアルカリ処理工程後、水洗してアルカリ成分を除去する工程を行ってもよい。界面活性剤は官能基に強固に吸着しているので、水洗する程度では除去されず吸着した状態が維持されることがわかっている。したがって、本発明によって前処理された樹脂素材は、無電解めっき工程までに時間が経過しても効果が失われることがない。
【0043】
触媒としては、Pd2+など、従来の無電解めっき処理に用いられる触媒を用いることができる。触媒を樹脂素材の表面に吸着させるには、触媒イオンが溶解している溶液を付着素材の表面に接触させればよく、上記した第2溶液の接触と同様に行うことができる。また接触時間、温度などの条件も、従来と同様でよい。
【0044】
また無電解めっき処理の条件、析出させる金属種などは特に制限されず、従来の無電解めっき処理と同様に行うことができる。さらに、無電解めっき処理工程後の樹脂素材に、電解めっき処理工程を行ってもよい。これにより必要なめっき厚さを確保することができる。
【0045】
【実施例】
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明する。
【0046】
(実施例1)
先ず、図1に示すようにエポキシ樹脂よりなる樹脂基板1を用意し、その表面に作成するパターンを抜いた形のネガ状のメタルマスク2を貼着した。
【0047】
<オゾン溶液−紫外線照射処理工程>
次に、図2に示すように 80ppmのオゾンを含有するオゾン水溶液3を容器4に充填し、メタルマスク2が貼着された樹脂基板1を室温雰囲気でオゾン水溶液3中に浸漬した。このとき、メタルマスク2が貼着された表面が液面に向かうようにした。そして液面の上方に配置された図示しない1kWの高圧水銀ランプから紫外線を照射した。
【0048】
ここで紫外線の照射時間を1分,3分,5分,7分,10分,15分,20分,30分の8水準とし、各時間の照射後に樹脂基板1を容器4から取り出し、メタルマスク2を除去した。この状態では、視認は困難であるが、図3に示すようにメタルマスク2の抜かれた部分のみに処理部10が形成されている。この処理部10のパターンは、幅が最大10μmの微細なものである。
【0049】
<めっき処理工程>
水洗・乾燥後、3N塩酸水溶液に塩化パラジウムを 0.1重量%溶解するとともに塩化錫を5重量%溶解し50℃に加熱された触媒溶液中に3分間浸漬し、次いでパラジウムを活性化するために、1N塩酸水溶液に3分間浸漬した。これにより触媒が吸着した各樹脂基板1を得た。
【0050】
その後、40℃に保温された無電解Cuめっき浴中に触媒が吸着した各樹脂基板を浸漬し、10分間無電解Cuめっき被膜を析出させた。析出した無電解Cuめっき被膜5の厚さは各々 0.5μmである。また処理部10を除く部分には、めっきが析出しなかった(図4)。さらに硫酸銅系Cu電解めっき浴にて、各無電解Cuめっき被膜5の表面に電解銅めっき被膜6を10μm析出させた(図5)。
【0051】
電解銅めっき被膜6の形成後、70℃で2時間乾燥した。その後、得られた電解銅めっき被膜6に樹脂基板1に達する切り込みを1cm幅で入れ、引張り試験機にてめっき被膜の付着強度をそれぞれ測定した。結果を表1に示す。
【0052】
(実施例2)
実施例1と同様にしてオゾン溶液−紫外線照射処理工程を行い、得られた各樹脂基板に対して以下のアルカリ処理工程を行った。
【0053】
<アルカリ処理工程>
NaOHを50g/L溶解するとともに、ラウリル硫酸ナトリウムを1g/L溶解した混合水溶液を60℃に加熱し、そこへオゾン溶液−紫外線照射処理工程後の各樹脂基板を2分間浸漬して陰イオン性界面活性剤(ラウリル硫酸ナトリウム)を吸着させた。
【0054】
その後、実施例1と同様にしてめっき処理工程を行い、同様にしてめっき被膜の付着強度をそれぞれ測定した。結果を表1に示す。
【0055】
(比較例1)
紫外線を照射しなかったこと以外は実施例1と同様にして、オゾン溶液のみで処理するオゾン処理工程を行った。その後実施例2と同様にアルカリ処理工程を行い、同様にめっき被膜を形成し、付着強度をそれぞれ測定した。結果を表1に示す。
【0056】
(比較例2)
オゾン水溶液に浸漬しなかったこと以外は実施例1と同様にして、紫外線のみを照射する紫外線処理工程を行った。その後実施例2と同様にアルカリ処理工程を行い、同様にめっき被膜を形成し、付着強度をそれぞれ測定した。結果を表1に示す。
【0057】
<評価>
【0058】
【表1】
Figure 0003999696
【0059】
表1における評価の基準は、めっき被膜の付着強度が1kg/cm以上の場合に○、めっき被膜の付着強度が 0.6kg/cm以上1kg/cm未満の場合に△、めっき被膜の付着強度が 0.6kg/cm未満の場合に×とした。
【0060】
各実施例の方法によれば、比較例1,2よりめっき被膜の付着強度が高いこと、また短い処理時間で付着強度が高くなることが明らかであり、これはオゾン溶液−紫外線照射処理を行った効果であることが明らかである。
【0061】
さらに実施例1より実施例2の方が未時間処理時間で付着強度が高くなることから、アルカリ処理工程を行うのが望ましいことも明らかである。
【0062】
なお処理時間が長くなるほど付着強度が低下しているが、これは樹脂の劣化が進行したためであり、実施例及び比較例ともその程度は同等であることから、オゾン溶液処理と紫外線照射処理との併用は、樹脂の劣化に対して悪影響を与えるものではないことがわかる。
【0063】
【発明の効果】
すなわち本発明の無電解めっき方法によれば、微細な回路パターンを容易に形成でき、しかも短時間の処理で高い密着性を有する無電解めっき被膜を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例において、メタルマスクを樹脂素材に貼着した状態の断面図である。
【図2】本発明の一実施例において、オゾン溶液−紫外線照射処理工程を行っている状態を示す説明断面図である。
【図3】本発明の一実施例において、オゾン溶液−紫外線照射処理工程後にメタルマスクを除去した樹脂素材とメタルマスクの断面図である。
【図4】本発明の一実施例において、無電解めっき処理後の樹脂素材の断面図である。
【図5】本発明の一実施例において、無電解めっき処理後さらに電解めっき処理した後の樹脂素材の断面図である。
【符号の説明】
1:樹脂基板 2:メタルマスク 3:オゾン水溶液
4:容器 5:無電解Cuめっき被膜 6:電解銅めっき被膜
10:処理部

Claims (6)

  1. 樹脂素材の表面に所定パターンのマスクを施し該樹脂素材の表面とオゾンを含む第1溶液とを接触させた状態で該樹脂素材の該表面に紫外線を照射するオゾン溶液−紫外線照射処理工程と、
    該マスクを除去した後に該オゾン溶液−紫外線照射処理工程で処理された該樹脂素材の該表面に無電解めっき処理を施すめっき処理工程とを、この順に行うことを特徴とする無電解めっき方法。
  2. 前記マスクはメタルマスクである請求項1に記載の無電解めっき方法。
  3. 前記オゾン溶液−紫外線照射処理工程後の前記樹脂素材に、アルカリ成分を含む第2溶液を接触させるアルカリ処理工程をさらに行う請求項1又は請求項2に記載の無電解めっき方法。
  4. 前記第2溶液には、さらに陰イオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤の少なくとも一方が含まれている請求項3に記載の無電解めっき方法。
  5. 前記第1溶液は、有機又は無機の極性溶媒を溶媒とする請求項1〜4のいずれかに記載の無電解めっき方法。
  6. 樹脂素材と、該樹脂素材の表面に所定パターンで形成されためっき被膜とよりなり、請求項1〜5のいずれかに記載の無電解めっき方法を用いて製造されてなることを特徴とするめっき部品。
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