JP2006057166A - めっき配線形成方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本発明の方法は、樹脂基板の上に選択的に導体をめっきすることによって配線を形成する方法であって、基板の表面にオゾン水を接触させるオゾン水処理工程と、基板の表面に選択的に光を照射する露光工程と、基板の表面にアルカリ処理液を接触させるアルカリ処理工程と、基板の表面にめっき触媒を付与する触媒付与工程と、基板の表面に導体を無電解めっきする無電解めっき工程とを備えることを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
上記の配線形成方法では、1μmより微細な配線を形成することが非常に困難である。金属エッチング液は、微小な凹部に入り込まないために、配線間の間隔を微細化することが困難であるからである。配線間の間隔を形成するために、エッチング処理に時間をかけると、配線を構成する金属薄膜が細ってしまう。それゆえ、金属薄膜をエッチング処理する技術では、微細な配線を形成することができなかった。
しかしながら、特許文献1の技術はさらなる改善の余地を残している。特許文献1の技術では、無電解めっきの核となるPd2+を単に平滑な基板の表面に付着させている。基板に対するめっきの付着強度はPd2+と基板の表面との結合の強さに依存するが、特許文献1の技術をそのまま実施した場合、Pd2+と基板との結合はあまり強くないため、所望の付着強度を得られない場合がある。
より高い付着強度を備える配線を形成することが可能な技術が望まれている。
樹脂製の基板をオゾン水に接触させると、表面の樹脂が活性化される。これは、オゾン水との接触によって基板10の表面の分子が酸化され、基板10の表面に親水基であるカルボキシル基が表出することによるものと考えられる。
基板10を浸漬するオゾン水としては、通常は水を溶媒とするオゾン水を用いるが、有機又は無機の極性溶媒を溶媒とすることが好ましい。有機極性溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、ヘキサメチルホスホルアミド、蟻酸、酢酸などの有機酸類、あるいはこれらを水やアルコール系溶媒と混合したものが例示される。また無機極性溶媒としては、硝酸、塩酸、フッ化水素などの無機酸が例示される。
上記のオゾン水処理工程を実施することによって、基板10の表面に一様な活性部14が形成される。
本発明者らは、オゾン水処理によって表面が活性化された樹脂基板に光を照射すると、照射を受けた部位の活性が失われることを見出した。この原因としては、次のようなことが考えられる。一般に、樹脂の表面に紫外線などの光を照射すると、樹脂の表面に吸着している有機分子が分解されて、樹脂の表面に親水基が表出して、樹脂は親水化される。しかし、その後さらに光の照射を継続すると、樹脂の分子そのものが分解されて、表面に露出していた親水基が失われ、樹脂が疎水化されるものと考えられる。上記の知見に基づいて、オゾン水によって一様に活性化された基板10の表面のうち、疎水化させたい領域に光を照射して、基板10の表面に活性部と失活部(活性を失った部位)のパターンを形成する。
選択的な光の照射は、例えば光源からの光をマスクを用いて選択的に透過してもよい。上記の光源としては、例えばエキシマランプ、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、バリア放電ランプ、マイクロ波無電極放電ランプなどが挙げられる。また、マスクを用いる代わりに、レーザーを用いて部分的に光を照射してもよい。
基板10の表面に存在する活性部のうち、光を照射された部分(露光部)は表面の分子が分解されて失活し、光を照射されていない部分(遮光部)は活性化された状態を保つ。露光工程を実施することによって、基板10の表面には活性部14と失活部16のパターンが形成される。
アルカリ処理工程は、好適にはアルカリ成分と界面活性剤を含むアルカリ処理液に基板10を浸漬させることによって行う。基板を浸漬させるアルカリ処理液としては、例えば水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、水酸化リチウム水溶液を用いることができる。アルカリ処理液に含有させる界面活性剤としては、陰イオン性界面活性剤あるいは非イオン性界面活性剤が用いられる。陰イオン性界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム、ステアリル硫酸ナトリウム、ステアリル硫酸カリウムなどが例示される。また非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンドデシルエーテル、ポリエチレングリコールドデシルエーテルなどが例示される。
基板10を上記のアルカリ処理液に浸漬すると、基板10の表面の活性部14ではアルカリ成分によって表面の脆化層が除去され、官能基(カルボキシル基)がより多く表出される。さらにアルカリ処理液中の陰イオン性界面活性剤が表出した官能基に吸着して、めっき触媒との親和性が向上するとともに、濡れ性が向上する。基板10の表面の失活部では同じようにアルカリ成分によって脆化層が除去されるものの、官能基を表出させるまでにはいたらず、界面活性剤は吸着しない。従って、後のめっき触媒付与工程でめっき触媒は吸着しない。
上記のアルカリ処理工程を実施することによって、基板10の活性部14のめっき触媒との親和性を向上し、後の触媒付与工程で好適にめっき触媒を付着させることができる。
基板10の表面にめっき触媒18を付与すると、活性部14の表面と失活部16の表面との親和性の相違から、めっき触媒18は基板10の上に選択的に吸着する。
触媒付与工程を実施することによって、基板10の上にめっき触媒18を選択的に吸着させることができる。
本発明者らが上記の方法に基づいて試作を実施し、めっきのピール強度に関する試験を実施したところ、めっきの付着強度は従来の製造方法の約2倍程度にまで向上することが確認された。この付着強度の向上は、オゾン水処理を実施した後にアルカリ処理を施した樹脂表面がめっき触媒を強固に吸着させるため、めっき触媒を核としてめっきされる導体は基板に対して強固に付着しているものと考えられる。
上記の方法によって、高い付着強度で基板の上にめっき配線を形成することができる。
オゾン水処理工程で用いるオゾン水の濃度は、基板10の表面の活性化に大きく影響を及ぼす。一般的な樹脂材料では、10ppm程度の濃度以上から基板10の表面を活性化する効果が見られるが、120ppm以上とすると短時間での処理が可能となり好ましい。120ppmの濃度では、8分から20分程度の時間で活性化処理が完了する。
無電解めっきによって形成された導体パターンを下地として電気めっきすることによって、形成される配線の導体を被覆したり、所望の厚さまで増厚したりすることを容易に実施することができる。
本実施例では、エポキシ樹脂製の基板の表面にニッケルの配線を形成する例を、図面を参照しながら説明する。
図1は本実施例に係る配線形成方法を示すフローチャートである。本実施例の配線形成方法は、S12で開始した後に、オゾン水処理工程S14、露光工程S16、アルカリ処理工程S18、触媒付与工程S20、無電解めっき工程S22、電気めっき工程S24を順に実施してS26で終了する。
オゾン水の濃度は、樹脂基板の表面の活性化に大きく影響を及ぼす。10ppm程度の濃度以上から表面の活性化の効果が見られるが、120ppm以上とすると短時間での活性化処理が可能となり好ましい。120ppmの濃度では、8分から20分程度の時間で活性化処理が完了する。この場合、オゾン水に浸漬する時間を8分未満とすると、めっきによる配線の形成ができない場合がある。これはオゾン水と基板との反応時間が短いと、オゾン水が基板の表面を活性化する力が著しく低減してしまうためと考えられる。また、オゾン水に浸漬する時間が20分を超えてしまうと、形成されるめっき配線の基板との密着性が低下する。これはオゾン水との反応によって樹脂が過剰に脆化してしまうためと考えられる。
上記のオゾン水処理工程S14を実施することによって、基板の表面に一様に活性化された活性部が形成される。
図3は光源としてエキシマランプを用いる場合の、露光工程S16の概要を模式的に示す図である。
マスク40は基板10の上に形成しようとする配線に応じた光透過模様を備えている。マスク40は図示されない固定治具によって、端部を保持されている。図3では図示の明瞭化のためにマスク40と基板10を大きく離して示しているが、基板10とマスク40は実際には近接している。
エキシマランプ(図示されない)から照射される光は、マスク40によって選択的に透過され、基板10の表面を選択的に露光する。エキシマランプによる照射は、圧力10Paの雰囲気化で、波長172nmの真空紫外線を照射することが好ましい。
基板10の活性部に上記の真空紫外線を照射することによって、基板の表面には露光部26と遮光部24が形成される。露光部26は、真空紫外線の照射によって、樹脂表面の分子が破壊されて、活性が失われ、失活部16が形成される。遮光部24では樹脂を構成する分子は活性化されたままの状態で保持され、活性部14となる。
露光工程S16を実施することによって、基板10の表面に、露光されて分子が失活される失活部16と、露光されずに分子が健全なまま保たれる活性部14のパターンが形成される。
アルカリ処理に用いるアルカリ処理液は、NaOHを50g/L溶解するとともに、ラウリル硫酸ナトリウムを1g/L溶解した混合水溶液である。
基板をアルカリ処理液に浸漬すると、基板の表面の遮光部ではアルカリ成分によって基板の表面の脆化層が除去され、官能基がより多く表出される。さらにアルカリ処理液中の陰イオン性界面活性剤が表出した官能基に吸着して、遮光部の濡れ性が向上する。濡れ性が向上した遮光部は、後のめっき触媒付与工程で好適にめっき触媒を吸着させることができる。基板の表面の露光部では同じようにアルカリ成分によって脆化層が除去されるものの、官能基が除去されるに至らず、界面活性剤は吸着しない。従って、後のめっき触媒付与工程でめっき触媒は吸着しない。
基板をアルカリ処理液に2分間浸漬した後、基板を引き上げ、水洗・乾燥を実施して、アルカリ処理工程を終了する。界面活性剤は基板の表面の官能基に強固に吸着しているため、水洗をしても表面からは除去されずに吸着した状態が維持される。
アルカリ処理工程S18を実施することによって、基板の活性部のめっき触媒との親和性が向上し、後の触媒付与工程で好適にめっき触媒を付着させることができる。
触媒付与に用いる触媒槽は、その内部にめっき触媒液を備えている。めっき触媒液は、PdCl2、PdSO4などの化合物と、錯化剤としてフタル酸を備えている。
触媒処理液の中に基板を浸漬させると、めっき触媒液中のPd2+は活性部の界面活性剤の親水基に吸着していく。所定の時間が経過した後に基板を取り出して乾燥させることで、活性部の表面にのみめっき触媒が吸着させ、失活部の表面にはめっき触媒を吸着させずにおくことができる。
触媒付与工程S20を実施することによって、基板の上にめっき触媒が選択的に付与される。
無電解めっきに用いるめっき浴は、内部にめっき液を蓄えている。めっき液はNi(ニッケル)の金属イオンと、還元剤として次亜リン酸ナトリウムを備えている。
めっき浴の内部に基板を浸漬すると、めっき液中の還元剤が活性部の表面に付着しているPd2+表面で酸化され、放出される電子によってめっき液中のNiイオンが還元される。その結果、活性部の表面上にNiが析出する。
無電解めっき工程を実施することによって、基板の上にNiの配線パターンが形成される。
上記の方法によって、基板の表面に微細な配線を形成することができる。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
14・・・活性部
16・・・失活部
18・・・めっき触媒
20・・・導体
24・・・遮光部
26・・・露光部
40・・・マスク
Claims (3)
- 樹脂基板の上に選択的に導体をめっきすることによって配線を形成する方法であって、
基板の表面にオゾン水を接触させるオゾン水処理工程と、
基板の表面に選択的に光を照射する露光工程と、
基板の表面にアルカリ処理液を接触させるアルカリ処理工程と、
基板の表面にめっき触媒を付与する触媒付与工程と、
基板の表面に導体を無電解めっきする無電解めっき工程と
を備えることを特徴とする配線形成方法。 - 前記オゾン水処理工程で用いるオゾン水の濃度が120ppm以上であることを特徴とする請求項1の方法。
- 無電解めっき工程を実施した後に、基板の表面に導体を電気めっきする電気めっき工程
をさらに備えることを特徴とする請求項2に配線形成方法。
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