JP3999630B2 - エアバッグ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、折り畳まれたエアバッグおよびインフレータをリテーナに支持し、車両の衝突時にインフレータが発生するガスでエアバッグを膨張させて車室内に展開させるエアバッグ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両の衝突時にステアリングホイールの中央部からエアバッグを車室内に展開させて乗員を拘束するエアバッグ装置は、一般に2枚の円形の基布を外周において縫製することでエアバッグを構成しており、そのエアバッグは一方の基布の中央の開口に固定されたインフレータが発生するガスで偏平な球状に膨張する。
【0003】
この種のエアバッグ装置において、乗員がステアリングホイールに近接した位置に在るときに、乗員に向かう方向(以下、この方向をエアバッグの径方向に対して軸方向という)のエアバッグの展開速度が大き過ぎると乗員を柔らかく拘束することができないため、エアバッグの軸方向の展開速度を小さくすることが望ましい。
【0004】
そこで、下記特許文献に記載されたエアバッグ装置では、エアバッグの外面の乗員に対向する面に円形のシート部材を配置し、このシート部材の外周部から延びる4本のベルトをベースプレートに結合することにより、シート部材および4本のベルトでエアバッグの軸方向の展開速度を規制している。
【0005】
【特許文献】
特公平6−51457号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記従来のものは、エアバッグの展開が完了してもベルトが破断せずに規制力を発揮し続けるので、エアバッグがその最大容積まで展開することができず、エアバッグの乗員拘束性能を充分に活かしきれない可能性がある。
【0007】
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、展開前期にはエアバッグの軸方向の展開速度を規制して乗員を柔らかく拘束するとともに、展開後期にはエアバッグを最大容積まで展開させて充分な乗員拘束性能を発揮させることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、折り畳まれたエアバッグおよびインフレータをリテーナに支持し、車両の衝突時にインフレータが発生するガスでエアバッグを膨張させて車室内に展開させるエアバッグ装置において、固定部と、この固定部から放射状に延びる複数本の規制布とを備える布製の規制部材をエアバッグの外面に沿って配置し、固定部をエアバッグの乗員に対向する面に固定して複数本の規制布の端部をリテーナに連結し、エアバッグの展開前期において規制布で該エアバッグの軸方向への膨張を規制するとともに、エアバッグの展開後期において規制布の脆弱部を張力で破断させて該エアバッグの最大容積への膨張を許容することを特徴とするエアバッグ装置が提案される。
【0009】
上記構成によれば、エアバッグの外面に沿って配置した布製の規制部材を固定部と、この固定部から放射状に延びる複数本の規制布とで構成し、固定部をエアバッグの乗員に対向する面に固定して複数本の規制布の端部をリテーナに連結したので、エアバッグの展開前期において規制布で該エアバッグの軸方向への膨張を規制することで乗員を柔らかく拘束することができ、かつエアバッグの展開後期において規制布の脆弱部を張力で破断させて該エアバッグの最大容積への膨張を許容することで最大限の乗員拘束性能を発揮させることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
【0011】
図1〜図7は本発明の第1実施例を示すもので、図1は自動車の車室前部の斜視図、図2は図1の2−2線拡大断面図、図3はエアバッグモジュールの分解斜視図、図4はエアバッグの分解斜視図、図5はエアバッグの展開時の作用説明図(図6の5−5線断面図)、図6は図5の6方向矢視図、図7は規制布が破断したときの作用説明図である。
【0012】
図1に示すように、運転席シート11の前方に配置されたステアリングホイール12の内部に運転席用のエアバッグモジュール13が収納される。
【0013】
図2および図3に示すように、ステアリングホイール12は、ステアリングシャフト14の後端にナット15で固定されたボス部16と、ボス部16に固定されたフロントカバー17と、フロントカバー17の後面にボルト18…で固定されたリヤカバー19と、フロントカバー17から放射状に延びる複数のスポーク部20…と、スポーク部20…の外周に連なるステアリングホイール本体部21とを備える。リヤカバー19の内周面にリテーナ22がボルト18…で共締めされており、このリテーナ22にエアバッグモジュール13が支持される。リヤカバー19の内面には、エアバッグ32の膨張時に破断する薄肉のティアライン19a(図2参照)が形成される。
【0014】
エアバッグモジュール13は、燃焼により高圧ガスを発生する推薬を充填したインフレータ31と、基布を縫製して構成したエアバッグ32と、エアバッグ32の基部を固定する固定リング33とを備える。リテーナ22の前面および後面に、インフレータ31の外周に形成したフランジ31aと固定リング33とが重ね合わされ、固定リング33に設けたボルト34…およびナット35…で固定される。このとき、リテーナ22の後面と固定リング33との間にエアバッグ32の基部が挟まれて固定される。
【0015】
図4に示すように、円形のエアバッグ32は後ろ側(乗員に対向する側)の第1基布36と、その前面に重ね合わされる第2基布37とを備え、第1、第2基布36,37は外周の縫製部38で一体に縫製される。エアバッグ32の基部となる第2基布37の中央にはインフレータ31を囲む円形の開口37aと、エアバッグ32の膨張時にガスの一部を逃がすベントホール37b,37bと、ボルト34…が貫通するボルト孔37c…とが形成される。
【0016】
エアバッグ32の外面に配置される布製の規制部材39は、円形の固定部40と、固定部40の外周から90°間隔で放射状に延びる4本の規制布41…とを備えており、固定部40は乗員に対向する第1基布36の外面に重ね合わされて縫製部42で縫製される。各規制布41の先端にはボルト孔41aが形成されており、このボルト孔41aを貫通する前記ボルト34でリテーナ22に共締めされる。また各規制布41の適宜の位置には、その張力が所定値を超えると破断するようにミシン目状の脆弱部41bが形成される。
【0017】
しかして、車両の衝突時に所定値以上の加速度が検出されるとインフレータ31が点火し、折り畳まれたエアバッグ32がインフレータ31が発生するガスで膨張を開始する。エアバッグ32が膨張する圧力を受けたリヤカバー19はティアライン19aが破断し、そこに形成された開口からエアバッグ32が車室内に展開する。
【0018】
図5および図6に示すように、エアバッグ32の展開前期には、膨張しようとするエアバッグ32の外周部が4枚の規制布41…によって拘束されるため、エアバッグ32はその軸方向(乗員に向かう方向)の膨張が規制される。その結果、エアバッグ32の軸方向の展開速度が小さくなり、乗員がステアリングホイール11に近い位置にあっても、エアバッグ32の拘束力が過剰になるのを防止して乗員を柔らかく拘束することができる。
【0019】
エアバッグ32の展開後期において、エアバッグ32の内圧により規制布41…に作用する張力が所定値を超えると、図7に示すように規制布41…の脆弱部41b…が張力によって破断することにより、規制を解かれたエアバッグ32を最大容積まで膨張させて乗員拘束性能を最大限に発揮することができる。
【0020】
このように、規制布41…の作用で展開前期にはエアバッグ32の軸方向の展開速度を抑制し、展開後期にはエアバッグ32を最大容積まで膨張させるので、乗員を柔らかく拘束しながら充分な拘束性能を確保することができる。
【0021】
次に、図8に基づいて規制部材39の他の実施例を説明する。
【0022】
前記第1実施例では規制部材39が90°間隔で4枚の規制布41…を備えていたが、図8(a)に示す第2実施例では規制部材39が120°間隔で3枚の規制布41…を備えており、図8(b)に示す第3実施例では規制部材39が180°間隔で2枚の規制布41…を備えている。
【0023】
これら第2実施例および第3実施例によっても、前記第1実施例と同様の作用効果を達成することができる。
【0024】
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
【0025】
例えば、実施例では運転席用のエアバッグモジュール13を例示したが、本発明は助手席用あるいはその他の用途のエアバッグモジュールに対しても適用することができる。
【0026】
また脆弱部41bの位置は規制布41の任意の位置に設けることができ、その構造もミシン目に限定されず、規制布41自体の幅を部分的に狭くしたり、厚さを部分的に薄くしたりしても良い。
【0027】
【発明の効果】
以上のように請求項1に記載された発明によれば、エアバッグの外面に沿って配置した布製の規制部材を固定部と、この固定部から放射状に延びる複数本の規制布とで構成し、固定部をエアバッグの乗員に対向する面に固定して複数本の規制布の端部をリテーナに連結したので、エアバッグの展開前期において規制布で該エアバッグの軸方向への膨張を規制することで乗員を柔らかく拘束することができ、かつエアバッグの展開後期において規制布の脆弱部を張力で破断させて該エアバッグの最大容積への膨張を許容することで最大限の乗員拘束性能を発揮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 自動車の車室前部の斜視図
【図2】 図1の2−2線拡大断面図
【図3】 エアバッグモジュールの分解斜視図
【図4】 エアバッグの分解斜視図
【図5】 エアバッグの展開時の作用説明図(図6の5−5線断面図)
【図6】 図5の6方向矢視図
【図7】 規制布が破断したときの作用説明図
【図8】 本発明の第2実施例および第3実施例に係る規制部材の形状を示す図
【符号の説明】
22 リテーナ
31 インフレータ
32 エアバッグ
39 規制部材
40 固定部
41 規制布
41b 脆弱部
43 規制布
Claims (1)
- 折り畳まれたエアバッグ(32)およびインフレータ(31)をリテーナ(22)に支持し、車両の衝突時にインフレータ(31)が発生するガスでエアバッグ(32)を膨張させて車室内に展開させるエアバッグ装置において、
固定部(40)と、この固定部(40)から放射状に延びる複数本の規制布(41)とを備える布製の規制部材(39)をエアバッグ(32)の外面に沿って配置し、固定部(40)をエアバッグ(32)の乗員に対向する面に固定して複数本の規制布(41)の端部をリテーナ(22)に連結し、エアバッグ(32)の展開前期において規制布(41)で該エアバッグ(32)の軸方向への膨張を規制するとともに、エアバッグ(32)の展開後期において規制布(41)の脆弱部(41b)を張力で破断させて該エアバッグ(32)の最大容積への膨張を許容することを特徴とするエアバッグ装置。
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