JP3999395B2 - ガスタービン分割環 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はガスタービン分割環に関し、分割環の接続部の冷却を改善することにより高温ガスによる端部の焼損を防止し、信頼性を向上するようにしたものである。
【0002】
【従来の技術】
図7はガスタービンの一般的な断面図であり、31は1段静翼、32は静翼のフランジ、33はそのサポートリングである。34は1段動翼、35は2段静翼、36は2段動翼、37は3段静翼、38は3段動翼、39は4段静翼、40は4段動翼である。本例では4段の翼で構成され、それぞれ各段において静翼が取付けられ、その間に動翼がロータ周方向にディスクを介して取付けられ、複数枚の静翼と動翼はロータ軸方向に交互に配置されている。
【0003】
上記のようなガスタービンにおいては、タービン効率を高めるために作動ガスの温度を高めることが要求されており、ガス通路を形成する壁面の金属材料の温度を材料の許容温度以下に保つために、その部材内に冷却空気を通す穴を設け、その穴に空気を流通させて冷却することが行なわれている。図7において、20は1段動翼周囲の壁面で分割環を示しており、円周上で分割された円弧状の環を複数連結して円筒状の壁面を構成し、冷却空気穴を設けて冷却空気を流し、冷却するようにしている。
【0004】
図8は図7におけるB部詳細であり、上記の分割環を示している。図7において1段静翼31と2段静翼35との間には1段動翼34が配置され、その周囲には分割環20が円筒状に配置されている。図8において、21は分割環20にあけられた冷却空気穴であり、上面に21aの開口部と側面に21bの開口部を有している。22はインピンジ板であり、上部には冷却空気流入穴23が設けられ、冷却空気50が送り込まれる。冷却空気50は内部空間24に入り、インピンジ板22の多数の孔より分割環20に当り、表面を冷却すると共に開口部21aより冷却空気穴21内に流入し、開口部21bより外部のガス通路(以下、「ガスパス」とも言う)に流出し、その過程において分割環20の内部を冷却する。
【0005】
図9は図8におけるC−C矢視図であり、分割環の1部を示している。図では円筒状の構造の1部を形成する分割環20を示し、円筒状の側面には多数の冷却空気穴21が配列してあけられ、開口部21bが開口しており、内部全面を空気で冷却する構造となっている。分割環20は隣接する分割環20a,20bと接続され、円筒状に配置されるが、接続部には互に溝26a,26bを設け、この溝26a,26bにシール板25を嵌入して冷却空気のもれを防止している。
【0006】
図10は図9におけるD−D矢視図であり、前述したように両端の溝にはシール板25が挿入されてシールを保持すると共に、分割環20内部には多数の冷却空気穴21が穿設されており、冷却空気穴21は一方では表面に開口部21a、他方には側面の開口部21bを有して冷却空気を開口部21aから導入し、開口部21bからガスパスに流出させて分割環20壁面を冷却している。
【0007】
図11は図9のシール板の拡大詳細図であり、(a)は側面図、(b)は(a)におけるE−E矢視図である。図において互に隣接する分割環20と20aにはそれぞれ溝26a,26bが設けられ、これら両溝内にはシール板25が挿入されている。図11(a)において両端部のX,Yで示す部分はシール板25の溝が加工されている部分であり、冷却空気穴を設けにくい領域であり、冷却が充分になされず、又、両端部で形成する空間Zの領域では高温ガスがよどんで滞留しやすい場合であり、X,Yで示す端部は高温ガスにより焼損を受けやすい部分となっている。
【0008】
図12は図11におけるX,Y領域の焼損を受けた状態を示し、(a)は断面図、(b)は(a)におけるF−F矢視図である。図において、領域X,Yの端部は高温ガスの影響を受け、50,51で示すように端部が焼損し、欠けた状態となり、この状態が進行すると溝26a,26bの下端が欠落し、内部のシール板25がぬけ出してしまうことが起る。従って、このような分割環接続部の端部の焼損を防止する冷却構造の検討が必要となってきた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
前述のように従来のガスタービン分割環の接続部には、シール板により接続部をシールする構造が採用されており、この接続部では、溝を形成してシール板が挿入される端部が高温燃焼ガスにより焼損を受けたり、高温酸化による減肉が生じ、端部が溶融したり、欠落して溝内部のシール板が抜け出してしまう課題が発生している。
【0010】
そこで本発明は、分割環接続部のシール板を保持する端部の冷却を強化し、端部の高温燃焼ガスによる影響を軽減し、分割環端部の焼損を防止して分割環の寿命を延ばし、信頼性を向上するようにしたガスタービン分割環を提供することを課題としてなされたものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は前述の課題を解決するために次の(1)乃至()の手段を提供する。
【0012】
(1)複数の分割部分を円筒状に連結し、各分割部分の対向する端面同志の接合部にシール板の端部をそれぞれ挿入して構成されるガスタービン分割環において、前記接合部は一方の分割部分端面形状がロータ半径方向外側よりも内側がロータ周方向に突出して段部を形成し、その同半径方向内側が突出形状部分をなす形状とし、他方の分割部分端面形状は前記一方の端面形状とは逆に同一方の端面と対向して所定の隙間を保って連結され、前記突出形状部分には同半径方向外側より接合部方向へ斜めに穿設され同突出形状部分の前記半径方向内側壁面で開口する冷却空気穴を設けたことを特徴とするガスタービン分割環。
(2)前記シール板は前記段部より前記半径方向外側に配設したことを特徴とする(1)記載のガスタービン分割環。
【0013】
)複数の分割部分を円筒状に連結し、各分割部分の対向する端面同志の接合部にシール板の端部をそれぞれ挿入して構成されるガスタービン分割環において、前記接合部は一方の分割部分端面形状がロータ半径方向外側よりも内側がロータ周方向に突出して段部を形成し、その同半径方向内側が突出形状部分をなす形状とし、他方の分割部分端面形状は前記一方の端面形状とは逆に同一方の端面と対向して所定の隙間を保って連結され、前記突出形状部分には同半径方向外側より接合部方向へ斜めに穿設され前記接合部の端面で開口する冷却空気穴を設け、前記シール板は前記部より前記半径方向内側に配設したことを特徴とするガスタービン分割環。
【0014】
)前記冷却空気穴の接合部端面開口に対向する前記他方の分割部分端面は同冷却空気穴の傾斜に沿って斜めにカットされていることを特徴とする()記載のガスタービン分割環。
【0015】
)前記シール板は前記より前記半径方向内側設することに代え、同半径方向外側に配したことを特徴とする()記載のガスタービン分割環。
【0016】
)前記シール板には穴を穿設し、同穴は前記半径方向外側から内側へ前記接合部分の隙間を通って空気を流すことを特徴とする()記載のガスタービン分割環。
【0017】
)前記分割部分のロータ軸方向に沿う接続部端面は途中にほぼ直交する端面を設けて屈曲して構成されることを特徴とする(1)から()のいずれかに記載のガスタービン分割環。
【0018】
本発明の(1)、(2)においては、分割環の端面同志がガス通路(ガスパスの内側と外側とでロータ周方向に変化した形状であり、段部を形成し直線状で連結されていない。この接合部には熱伸びを考慮して所定の隙間が設けられているのでシール板が介在している。従って冷却用空気の接続部からのもれ量はシール板で防止される。又、接続部は段部を有し屈曲した隙間が存在するのでガスパスの内側(前記半径方向内側)から隙間に流入しようとする高温燃焼ガスの流路抵抗を増し、ガスが侵入しにくい構造となっている。更に、傾斜して設けられた冷却空気穴が接続部近辺前記半径方向側の内壁面で開口しているので、この開口部より流出する空気により接合部の前記半径方向内側端部がフィルム冷却され、接合部の内側端部の焼損を防止する。
【0019】
本発明の()では、上記(1)、(2)と同様の作用、効果を奏するが、冷却空気穴が接合部のロータ半径方向内側近くの端面で開口しており、冷却空気はこの開口より接続部の同半径方向内側寄りの隙間より流出するので、前記半径方向内側から隙間に侵入しようとする高温ガスを防止し、接続部隙間の冷却を保つようにしている。更に、シール板は接続部の屈曲した隙間の段部よりも前記半径方向内側に配置したので、同段部より同半径方向外側隙間からシール板の溝を通って流出しようとするもれ空気の流路の抵抗を増し、冷却空気がもれにくくする効果を有する。
【0020】
本発明の()では、上記()の発明の冷却空気穴の開口と対向する前記他方の分割部分端面が斜めにカットされているので、流出する空気がスムーズに流れ、上記()の発明のフィルム冷却効果を良好とし、又、本発明の()では、()の発明のシール板を前記段部より前記半径方向外側に配置するようにして、上記()の発明の変形例として設計の応用範囲を広めることができる。
【0021】
本発明の()では、上記()の発明においてシール板に穴を穿設し、この穴からは前記半径方向外側の冷却空気を接続部の隙間を通してわずかな量流すようにしており、この空気流により隙間に滞留する高温燃焼ガスを前記半径方向内側に流し、隙間の加熱を抑え、冷却効果が増すようにしている。
【0022】
更に、本発明の()では、分割部分のロータ軸方向に沿う接続部端面は途中にほぼ直交する端面を設けて屈曲して構成され、分割部分の屈曲した端面同志を連結して円筒状の分割環を構成するので、上記(1)〜()の発明の端面の冷却効果に加え、シール性が良好となるものである。このような(1)〜()の発明により従来発生していた分割部分接続部の前記半径方向内側端部の高温燃焼ガスによる焼損が防止され、シール板が抜け落ちるとの不具合も解消し、ガスタービンの信頼性が著しく向上するものである。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面に基いて具体的に説明する。図1は本発明の実施の第1形態に係るガスタービン分割環の接続部の断面図であり、図9に示す従来の分割環の接続部分に相当する図である。図において、1a,1bは従来の技術で説明したと同様に周方向において分割された分割環であり、2は分割環1aの一方の端部のロータ半径方向(以下、単に「半径方向」という)の内側に向って斜めに穿設された冷却空気穴である。この冷却空気穴2は分割環1aの面に軸方向に5mmピッチで10個程度設ける。3a−1,3b−1は分割環の端面であり、3a−1は分割環1aの一方の端面であり、フランジ部4aはその半径方向外側よりも内側がロータ周方向に向って突出して段部を形成するように屈曲して形成され、段部の半径方向内側は突出形状部分をなす。3b−1は分割環1bの他方の端面であり、前記一方の端面3a−1の形状に沿って対向した端面を形成している。
【0024】
4a,4bは上記のフランジ部、5−1は一方の端面3a−1他方の端面3b−1で形成される接続部溝である。25はシール板であり、従来と同じく、フランジ部4a,4bに形成された溝26a,26b内に嵌入されている。
【0025】
上記構成の実施の第1形態においては、シール板25の半径方向内側には段部を有する端面3a−1,3b−1を形成して屈曲した接続部溝5−1を形成させる。この溝の形状により溝26a,26bから流出する冷却空気の流れに抵抗を与え、シール性を良好にすると共に、高温燃焼ガスが半径方向内側から隙間内に侵入しにくくしている。更に、前記突出形状部分に設けられた傾斜した冷却空気穴2からは分割環1aの半径方向外側より冷却空気100がロータの回転方向(以下、単に「回転方向」という)Rに沿って流出し、接続部溝5−1の内側端部をフィルム冷却し、接続部溝5−1内側のガス滞留領域を効果的に冷却し、この部分の高温燃焼ガスによる焼損を防ぐ。従ってシール板25の抜け落ちる不具合が防止され、分割環の信頼性が向上する。
【0026】
図2は本発明の実施の第2形態に係るガスタービン分割環の断面図である。図において図1の実施の第1形態と異る部分はシール板25を接続部溝5−2の屈曲した流路の半径方向内側、すなわち前記段部より半径方向内側に配置すると共に、冷却空気穴12の出口を接続部溝5−2の内側開口部よりも同溝5−2の内部へ移動して配置している。即ち、分割環1a,1bのフランジ部4a,4bには段部を有し屈曲した一方の端面3a−2,他方の端面3b−2を形成し、両端面により接続部溝5−2を形成させている。
【0027】
接続部溝5−2の屈曲した流路は図1の例よりも上部(半径方向外側)へ移動させ、溝26a,26bは屈曲した流路、すなわち段部半径方向内側へ設け、シール板25は図1の例よりも半径方向内側に設置されている。又、冷却空気穴12はフランジ4aに半径方向外側から内側へ向って斜めに穿設されるが、その出口は接続部溝5−2の開口より溝内に入り込んだ位置としている。
【0028】
上記構成の実施の第2形態によれば、前記段部を有し屈曲した接続部溝5−2の半径方向外側開口部では外側から流入しようとする冷却空気の入口流路抵抗を大きくし、シール板25周囲の溝26a,26bからの空気のもれ量を少くできると共に、分割環1aの半径方向外側から冷却空気穴12へ流入した空気101は接続部溝5−2の溝内に流出し、溝出口からガスパスに流出し、接続部溝の端部周囲を冷却する。この冷却空気の流出は、溝5−2の半径方向内側開口部の溝内で流出するので接続部開口部からシール板25までの溝5−2内の流路への高温燃焼ガスの逆流が防止され、端面の冷却効果が向上するものである。
【0029】
図3は本発明の実施の第3形態に係るガスタービン分割環の断面図である。図において、本実施の第3形態の特徴部分は、図1に示す実施の第1形態において空気冷却穴12出口を図2の例と同じく接続部溝5−3の開口近辺の溝内部とし、更に、接続部溝5−3の冷却空気穴12の開口と対向する分割環1bの端部を斜めに回転方向Rに沿って切り落した切欠き部6を設けた部分である。
【0030】
即ち、溝26a,26b、シール板25は図1と同じであり、一方の端面3a−3,他方の端面3b−3の形状も同じであるが、他方の端面3b−3の半径方向内側端面には前述のように切欠き部6が設けられている。冷却空気穴12は図2の例と同じくフランジ部4aにおいて半径方向外側から斜めに穿設され、接続部溝5−3内側の溝内で開口し、この開口部に対向する他方の端面3b−3は斜めにカットされた切欠き部6となっている。
【0031】
上記構成の実施の第3形態において、前記段部を有する接続部溝5−3の屈曲した流路により図1に示す実施の第1形態と同様に流出する空気のシール性を向上させると共に、冷却空気穴12より流出する空気102は切欠き部6の傾斜面に沿ってスムーズに流出し、両端部を効果的にフィルム冷却することができる。更に、本実施の第3形態では図1に示す第1形態と比べると冷却空気102の出口は接続部溝5−3の溝内に入り込んでいるので接続部溝5−3出口から溝内に逆流する高温ガスの流入を防ぐことができる。
【0032】
図4は本発明の実施の第4形態に係るガスタービン分割環の断面図である。図において、本実施の第4形態は図2に示す実施の第2形態に、更に切欠き部6を設けた部分にあり、その他は図2と同じ構成である。即ち、溝26a,26b、シール板25は図2と同じ配置であり、一方の端面3a−4,他方の端面3b−4も同じ形状をしているが、他方の端面3−4の半径方向内側端に斜めに切り欠かれた切欠き部6が形成されている。冷却空気穴12はフランジ4aにおいて半径方向外側から斜めに穿設され、接続部溝5−4内側において溝内で開口し、この開口部に対向する他方の端面3b−4は斜めにカットされた切欠き部6となっている。
【0033】
上記構成の実施の第4形態においては、実施の第2形態と同様の作用、効果を奏すると共に、更に冷却空気穴12より流出する空気103は切欠き部6の傾斜面に沿ってスムーズに流出し、両端部を効果的に冷却するが、特に分割環1bの端部は切欠き部6の斜面によりフィルム冷却がなされ、この部分の冷却効果が増すものである。
【0034】
図5は本発明の実施の第5形態に係るガスタービン分割環の断面図であり、図において、本実施の第5形態においては、全体の構成は図3に示す実施の第3形態と同じであり、本発明の特徴部分はシール板5に設けた細い空気穴7にある。即ち、溝26a,26b、シール板25は図3と同じ配置であり、冷却空気穴12、一方の端面3a−5,他方の端面3b−5、切欠き部6も同じであり、これらにより形成される接続部溝5−5も同様に形成されている。
【0035】
空気穴7はシール板25に穿設され、シール板で区分された接続部溝5−5の半径方向外側と内側を連通している。図に示す構造では接続部溝5−5の途中の仕切板25と切欠き部6までの間が冷却空気穴12出口から流出する空気104で閉じられ、この内部に高温のガスが封入され、流動しないで滞留する状態が起るが、空気穴7から半径方向内側に向って流出する空気105によって接続部溝5−5の内部のガスが対流し、ガスの溝内の滞留を抑え、端面3a−5,3b−5の冷却効果が一層向上する。なお、この空気穴7はシール板25のシール性能に影響するので、細穴とし、もれ空気量程度とし、溝内の対流を起こす目的のものであり、シール性を損わないような穴径を設定する。その他の作用効果は図3に示す実施の第3形態と同じである。
【0036】
図6は本発明の実施の第6形態に係るガスタービン分割環を示し、(a)は断面図、(b)は(a)におけるA−A矢視図である。図において、本実施の第6形態の特徴部分は接続部溝の形状にあり、図では(a)は実施の第1形態の分割環で示しているが、実施の第2〜第5形態の分割環の接続構造にも同様に適用されるものである。
【0037】
図において(a)は図1に示す構造と同じであり、説明を省略するが、(b)において、分割環1a,1bの一方の端面3a−1,他方の端面3a−2はL,L,Lの部分から構成され、L,Lロータ軸方向に沿う直線、Lは両直線L,Lと直交し、直角に屈曲した面を形成する直線である。従って両端面3a−1,3b−2で形成される接続部溝5−6は中央部で直角に折れて迂回する経路から形成される。
【0038】
このような接続部溝5−6を形成することにより、実施の第1〜第5形態の分割環の接続部の溝経路が複雑となり、流路抵抗が増して冷却空気のもれ量も少くなり、かつ内側からの高温燃焼ガスの接続部溝内への廻り込みを制限され、冷却効果が増すものである。
【0039】
【発明の効果】
本発明のガスタービン分割環は(1)複数の分割部分を円筒状に連結し、各分割部分の対向する端面同志の接合部にシール板の端部をそれぞれ挿入して構成されるガスタービン分割環において、前記接合部は一方の分割部分端面形状がロータ半径方向外側よりも内側がロータ周方向に突出して段部を形成し、その同半径方向内側が突出形状部分をなす形状とし、他方の分割部分端面形状は前記一方の端面形状とは逆に同一方の端面と対向して所定の隙間を保って連結され、前記突出形状部分には同半径方向外側より接合部方向へ斜めに穿設され同突出形状部分の前記半径方向内側壁面で開口する冷却空気穴を設けたことを特徴としている。
また、本発明の(2)では、上記(1)の発明のガスタービン分割環において、前記シ ール板は前記段部より前記半径方向外側に配設したことを特徴としている。
このような分割環により、分割環を構成する分割部分の接続部内側端部の高温燃焼ガスによる焼損が防止され、接続部に介在しているシール板が抜け落るような不具合が防止される。
【0040】
本発明の()では、上記(1)、(2)と同様の分割環の構造において、前記接合部の端面で開口する冷却空気穴を設け、前記シール板は前記部より半径方向内側に配設したことを特徴としている。このような分割環においても上記(1)、(2)と同様の効果が得られると共に、冷却空気は接続部の半径方向内側寄りの隙間より流出するので、半径方向内側から隙間に侵入しようとする高温ガスを防止し、接続部隙間の冷却が効果的になされる。
【0041】
本発明の()では、上記()の発明の冷却空気穴の開口と対向する前記他方の分割部分端面が斜めにカットされているので、流出する空気がスムーズに流れ、上記()の発明のフィルム冷却効果を良好とし、又、本発明の()では、()の発明のシール板を前記段部より前記半径方向外側に配置するようにして、上記()の変形例として設計の応用範囲を広めることができる。
【0042】
本発明の()では、上記()の発明においてシール板に穴を穿設し、この穴からは前記半径方向外側の冷却空気を接続部の隙間を通してわずかな量流すようにしており、この空気流により隙間に滞留する高温燃焼ガスを前記半径方向内側に流し、隙間の加熱を抑え、冷却効果が増すようにしている。
【0043】
更に、本発明の()では、分割部分のロータ軸方向に沿う接続部端面は途中にほぼ直交する端面を設けて屈曲して構成され、分割部分の屈曲した端面同志を連結して円筒状の分割環を構成するので、上記(1)〜()の発明の端面の冷却効果に加え、シール性が良好となるものである。このような(1)〜()の発明により従来発生していた分割部分接続部の前記半径方向内側端部の高温燃焼ガスによる焼損が防止され、シール板が抜け落ちるとの不具合も解消し、ガスタービンの信頼性が著しく向上するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の第1形態に係るガスタービン分割環の断面図である。
【図2】 本発明の実施の第2形態に係るガスタービン分割環の断面図である。
【図3】 本発明の実施の第3形態に係るガスタービン分割環の断面図である。
【図4】 本発明の実施の第4形態に係るガスタービン分割環の断面図である。
【図5】 本発明の実施の第5形態に係るガスタービン分割環の断面図である。
【図6】 本発明の実施の第6形態に係るガスタービン分割環を示し、(a)は断面図、(b)は(a)におけるA−A矢視図である。
【図7】 ガスタービンの一般的な構成図である。
【図8】 図7におけるB部詳細断面図である。
【図9】 図8におけるC−C矢視図である。
【図10】 図9におけるD−D矢視図である。
【図11】 従来のガスタービン分割環の接続部を示し、(a)は接続部側面図、(b)は(a)におけるE−E矢視図である。
【図12】 従来のガスタービン分割環の接続部焼損状態を示し、(a)は断面図、(b)は(a)におけるF−F矢視図である。
【符号の説明】
1a,1b 分割環
2,12 冷却空気穴
3a−1,3b−1 端面(一方の端面、他方の端面)
3a−2,3b−2 端面(一方の端面、他方の端面)
3a−3,3−3 端面(一方の端面、他方の端面)
3a−4,3b−4 端面(一方の端面、他方の端面)
3a−5,3b−5 端面(一方の端面、他方の端面)
4a,4b フランジ部
5−1,5−2,5−3,5−4,5−5,5−6 接続部溝
6 切欠き部
7 空気穴
25 シール板
26a,26b 溝

Claims (7)

  1. 複数の分割部分を円筒状に連結し、各分割部分の対向する端面同志の接合部にシール板の端部をそれぞれ挿入して構成されるガスタービン分割環において、前記接合部は一方の分割部分端面形状がロータ半径方向外側よりも内側がロータ周方向に突出して段部を形成し、その同半径方向内側が突出形状部分をなす形状とし、他方の分割部分端面形状は前記一方の端面形状とは逆に同一方の端面と対向して所定の隙間を保って連結され、前記突出形状部分には同半径方向外側より接合部方向へ斜めに穿設され同突出形状部分の前記半径方向内側壁面で開口する冷却空気穴を設けたことを特徴とするガスタービン分割環。
  2. 前記シール板は前記段部より前記半径方向外側に配設したことを特徴とする請求項1記載のガスタービン分割環。
  3. 複数の分割部分を円筒状に連結し、各分割部分の対向する端面同志の接合部にシール板の端部をそれぞれ挿入して構成されるガスタービン分割環において、前記接合部は一方の分割部分端面形状がロータ半径方向外側よりも内側がロータ周方向に突出して段部を形成し、その同半径方向内側が突出形状部分をなす形状とし、他方の分割部分端面形状は前記一方の端面形状とは逆に同一方の端面と対向して所定の隙間を保って連結され、前記突出形状部分には同半径方向外側より接合部方向へ斜めに穿設され前記接合部の端面で開口する冷却空気穴を設け、前記シール板は前記部より前記半径方向内側に配設したことを特徴とするガスタービン分割環。
  4. 前記冷却空気穴の接合部端面開口に対向する前記他方の分割部分端面は同冷却空気穴の傾斜に沿って斜めにカットされていることを特徴とする請求項記載のガスタービン分割環。
  5. 前記シール板は前記より前記半径方向内側設することに代え、同半径方向外側に配したことを特徴とする請求項記載のガスタービン分割環。
  6. 前記シール板には穴を穿設し、同穴は前記半径方向外側から内側へ前記接合部分の隙間を通って空気を流すことを特徴とする請求項記載のガスタービン分割環。
  7. 前記分割部分のロータ軸方向に沿う接続部端面は途中にほぼ直交する端面を設けて屈曲して構成されることを特徴とする請求項1からのいずれかに記載のガスタービン分割環。
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